JP2002200565A - 高速回転用砥石車及びその製造方法 - Google Patents

高速回転用砥石車及びその製造方法

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JP2002200565A
JP2002200565A JP2000401859A JP2000401859A JP2002200565A JP 2002200565 A JP2002200565 A JP 2002200565A JP 2000401859 A JP2000401859 A JP 2000401859A JP 2000401859 A JP2000401859 A JP 2000401859A JP 2002200565 A JP2002200565 A JP 2002200565A
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Shinji Soma
伸司 相馬
Ryohei Mukai
良平 向井
Koji Nishi
幸二 西
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Toyoda Koki KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】各種のクーラントによっても腐食することな
く、取り付けによる変形が少ないアルミニウム・シリコ
ン合金製のコア部材を有し、製造が容易な高速回転用砥
石車及びその製造方法を提供する。 【解決手段】円盤状のコア部材32の外周に接着層34
を介して砥石層35を接着した砥石車31の製造に際
し、該コア部材32は、アルミニウム合金粉末と半金属
であるシリコン粉末を焼結してアルミニウム合金粉末冶
金合金として形成し、該コア部材32の中心取付孔内に
補強リング45を熱収縮を利用した嵌合法により嵌着一
体結合し、コア部材32と補強リング45の両側面を同
時に加工し、コア部材の両側面の所定箇所にニッケル−
りん(Ni−P)メッキ70,71を施すことにより、
円盤状のコア部材32の外周に接着層34を介して砥石
層33を接着した砥石車である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速研削加工を目
的として設計された研削盤の砥石軸に取り付けて使用す
る高速回転用砥石車及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図5に示すように、高速研削加工に使用
される砥石車1は、円盤状の金属製コア部材2の外周に
CBN或いはダイヤモンド等の超砥粒で組成されたセグ
メント状の複数の砥石チップを接着層3を介して接着し
て砥粒層4を形成している。砥石回転速度の高速化に伴
って、砥石車1のコア部材2は遠心膨張による悪影響を
軽減するため鋼製から軽合金へと改良されてきた。軽合
金の代表例として、比重が小さく、比強度の高いアルミ
ニウムを主成分とする合金が砥石車基盤材料として採用
されつつあり、特に、アルミニウム合金粉末と半金属で
あるシリコン粉末からなるアルミニウム粉末冶金合金が
有望視されている。このような砥石車1を主軸6の一端
に固着するには、主軸6の一端にこれと同心に円筒ボス
7を突出させ、砥石車1のコア部材2の内孔8をこの円
筒ボス7に嵌合させた状態で、複数の締め付けボルト9
をコア部材2を挿通させて主軸6のねじ穴10にねじ込
み、主軸6の一端面とボルト9の頭部との間に砥石車1
を挟持する構成が採用されている。また、該砥石車1を
主軸6の円筒ボス7に嵌合し、取り付ける際、砥石車1
のコア部材2の内孔に補強リングを予め取り付けておく
ことも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記アルミニウム合金
性のコア部材で製造された砥石車においては、コア部材
がアルミニウム製であるため、特別な耐食処理は行われ
ていない。しかし、本発明者は、研削作業において、例
えばアルカリ系クーラント等の特定なクーラントを使用
した場合には、アルミニウム合金製のコア部材に著しい
腐食が起きることを見出だした。そこで、アルミニウム
合金に対する耐食処理として一般的に用いられるアルマ
イト処理を施すことが考えられる。しかし、アルミニウ
ム合金製のコア部材には、アルミニウム合金の中にシリ
コンが存在しているためアルマイト処理が不安定とな
り、表面が凹凸状となる。また、アルマイト処理をした
場合には、その被膜はアルミニウム酸化物であるため靭
性が劣り、何らかの衝撃力により被膜が脱落する欠点が
ある。また、アルミニウム合金製のコア部材は、軽量で
あるが、主軸に取り付ける時の締め付け圧力によりその
中心孔の内径に変形が生じ、取り外し、或いは再利用に
困難を生じる。そこでアルミニウム合金製のコア部材の
中心孔の内周に強度の強い補強リングを嵌合することが
行われているが、その形状により、なお、コア部材の変
形が生じたり、加工に困難をきたす等の欠点がある。
【0004】そこで、本発明の目的は、上記問題点を解
消し、各種のクーラントによっても腐食することなく、
取り付けによる変形が少ないアルミニウム合金製のコア
部材を有し、製造が容易な高速回転用砥石車、及びその
製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の高速回転用砥石車は、円盤状のコア部材の
外周に接着層を介して砥石層を接着した砥石車であっ
て、該コア部材は、アルミニウム・シリコン合金により
形成され、該コア部材の両側面に耐アルカリ硬質被膜層
を形成したことを特徴とするものである。また、本発明
の高速回転用砥石車は、前記耐アルカリ硬質被膜層は、
前記砥石車を砥石軸に取り付けた場合にクーラントに触
れる部分のみに形成されていることを特徴とするもので
ある。また、本発明の高速回転用砥石車は、前記耐アル
カリ硬質被膜層が、ビッカ−ス硬度250以上であるこ
とを特徴とするものである。また、前記耐アルカリ硬質
被膜層は、ニッケル−りん(Ni−P)メッキ層である
ことを特徴とするものである。また、前記コア部材の中
心に設けられた取付孔に補強リングを嵌着したことを特
徴とするものである。
【0006】また、本発明の高速回転用砥石車の製造方
法は、円盤状のコア部材の外周に接着層を介して砥石層
を接着した砥石車の製造方法であって、該コア部材は、
アルミニウム合金粉末と半金属であるシリコン粉末を焼
結してアルミニウム合金粉末冶金合金として形成し、該
コア部材の両側面に耐アルカリ硬質被膜を形成すること
を特徴とするものである。また、本発明の高速回転用砥
石車の製造方法は、円盤状のコア部材の外周に接着層を
介して砥石層を接着した砥石車の製造方法であって、該
コア部材は、アルミニウム合金粉末と半金属であるシリ
コン粉末を焼結してアルミニウム合金粉末冶金合金とし
て形成し、該コア部材の中心取付孔内に補強リングを熱
収縮を利用した嵌合法により嵌着し、該コア部材と補強
リングの両側面を同時に加工し、該コア部材の両側面に
耐アルカリ硬質被膜を形成することを特徴とするするも
のである。更に、前記コア部材の両側面に耐アルカリ硬
質被膜を形成するに当たって、砥石車を取り付ける際に
他の部材に接触する部分にマスキングを施して被膜層形
成処理をすることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の高速回転用砥石車は、円
盤状のコア部材の外周に接着層を介して砥石層を接着し
た砥石車であって、該コア部材は、アルミニウム・シリ
コン合金により形成され、該コア部材の両側面に耐アル
カリ硬質被膜層を形成したことを特徴とするものであ
り、該コア部材は、軽量で高速回転に耐え、熱膨張係数
が小さい利点を有し、硬質で剥離しにくい耐アルカリ硬
質被膜層を形成したので、各種のクーラントによる腐食
を防止することができる。円盤状のコア部材は、その両
側面が中心部から外周部にかけて平行なもの(厚さが同
一のもの)であっても、中心部が厚く、その外側部が肉
薄になるように形成したものでも良い。前記耐アルカリ
硬質被膜層は、コア部材の両側面に形成するが、砥石車
を砥石軸に取り付けた場合にクーラントに触れる部分の
みに形成することにより、耐アルカリ硬質被膜の量を節
約することができるとともに、被膜のない部分により固
着することができるため固着精度を向上させることもで
きる。前記耐アルカリ硬質被膜層としては、コア部材に
含まれるシリコンとの結合性を考慮しなくてはならない
が、ニッケル−りん(Ni−P)メッキ層が良好であ
り、シリコンの含有によりアルマイト処理が難しいコア
部材であっても、クーラントによる腐食防止のための被
膜を形成することができる。なお、耐アルカリ硬質被膜
層としては、その外にニッケル(Ni)メッキ、クロム
(Cr)メッキ等による硬質メッキ層でも良く、また、
TiN,TiC,TiCN,TiAlN等を公知の気相
合成法により被膜層を形成しても良い。そして、該耐ア
ルカリ硬質被膜層はいずれもビッカ−ス硬度250以上
とすることにより、高速回転時の切屑の衝突にも十分耐
え得ることができる。前記コア部材の中心に設けられた
取付孔に補強リングを嵌着することにより、砥石車の取
り付けによるコア部材の塑性変形を防止できる。
【0008】本発明の高速回転用砥石車の製造方法は、
円盤状のコア部材の外周に接着層を介して砥石層を接着
した砥石車の製造方法であって、該コア部材は、アルミ
ニウム合金粉末と半金属であるシリコン粉末を焼結して
アルミニウム合金粉末冶金合金として形成し、該コア部
材の両側面に耐アルカリ硬質被膜層を形成することを特
徴とするものであり、軽量で高速回転に耐え、熱膨張係
数が小さい利点を有し、クーラントによる腐食を防止す
るための被膜層を施した高速回転用砥石車を容易に製造
することができる。また、本発明の高速回転用砥石車の
製造方法は、円盤状のコア部材の外周に接着層を介して
砥石層を接着した砥石車の製造方法であって、該コア部
材は、アルミニウム合金粉末と半金属であるシリコン粉
末を焼結してアルミニウム合金粉末冶金合金として形成
し、該コア部材の中心取付孔内に補強リングを熱収縮を
利用した嵌合法により嵌着し、該コア部材と補強リング
の両側面を同時の加工し、該コア部材の両側面に耐アル
カリ硬質被膜を形成することを特徴とするするものであ
り、前記特徴に加えて、アルミニウム合金粉末冶金合金
製のコア部材の取付孔に補強リングを取付けることによ
りコア部材の取付孔部分の塑性変形を防止することがで
きるとともに、コア部材と補強リングを一体化したのち
にコア部材と補強リングの両側面を同時に研削加工等の
加工ができることで、取り付け精度が向上した高速回転
用砥石車を容易に製造することができる。更に、前記コ
ア部材の両側面に耐アルカリ硬質被膜を形成するに当た
って、砥石車を取り付ける際に他の部材に接触する部分
にマスキングを施して被膜形成処理をすることを特徴と
するものであり、前記特徴に加えて、研削盤への取付精
度を向上した高速回転用砥石車を低コストで製造するこ
とができるものである。
【0009】
【実施例】本発明の1実施例を図1〜図4について、本
発明の高速回転用砥石車をその研削盤への取り付けた状
態について説明する。図1は、本発明による高速回転用
砥石車31を取り付けた研削盤の砥石台の一部正面図
で、研削盤の図略のベッド上で同じく図略のワークに対
して進退する砥石台20は、主軸21を回転自在に支持
している。主軸21は、軸受22により回転自在かつ軸
方向不動に支持され、ビルトインモータ23により回転
駆動される。
【0010】軸受22は、各種の転がり軸受やすべり軸
受を使用できるが、図例では流体軸受を使用している。
流体軸受22は、その内面に円周方向に配置した複数の
軸受ポケット23内に圧油の静圧力を発生させ、この静
圧力により主軸21を軸受内表面から浮上させてラジア
ル方向に支持し、また主軸21のフランジ部24を図略
の端面軸受ポケットに発生する静圧力により軸方向変位
不能にスラスト方向に支持する形式のものである。主軸
駆動用のモータとしては、ビルトインモ一タ23に限ら
れず、主軸21の図示されてない右端に直結されるモー
タや、同端部に固定されるプーリを図略のベルト式駆動
機構を介して駆動するモータを採用できる。
【0011】主軸21の左端には、図2(図1のA−A
矢視断面図)に詳細図示する砥石車固着構造30によ
り、研削加工用の高速回転用砥石車31が取り外し可能
に固着されている。砥石車31は、図5に示す従来装置
のそれと類似のもので、円盤状のコア部材32の外周に
多数のセグメント状の砥石チップ33を接着層34を介
して固定し、砥石層35を形成している。砥石チップ3
3は、CBN砥粒やダイヤモンドなどの超砥粒をビトリ
フアイドボンド、メタルボンドなどの結合剤でマトリッ
クス状に結合したものである。コア部材32は、比重が
小さく、比強度の高い軽合金、例えば、アルミニウム合
金粉末のベースに半金属であるシリコン粉末を混合して
焼結した焼結金属素材で形成される。シリコン粉末の混
合割合は、20〜40重量パーセント程度が好ましい。
この焼結金属素材の弾性率は、9900(kgf/mm2)で
あり、比重は2.6(g/cm3)である。なお、本実施例
においては、円盤状のコア部材32は、その中心部から
外周部に亙って同一肉厚に形成しているが、中心部(取
付部分)と外周部の間の部分において肉薄としても良
い。
【0012】図2に詳細図示されるように、本発明の砥
石車31を固着するための構造30は、主軸21の一端
から円筒ボス41が同心に突出されている。円筒ボス4
1の直径は、主軸21の一端部の直径の4割程度の寸法
とし、円筒ボス41の突出長さは、砥石車31が幅方向
に5割以上支持されるようにすることが好ましい。円筒
ボス41は、主軸21の基端部からストレート、つまり
円筒となっているが、自由端側には面取りを設けたり、
或いは、緩やかな数度の勾配を持つテーパ状として砥石
車31の挿入を容易にすることが好ましい。
【0013】この円筒ボス41上に嵌合する砥石車31
の内孔42は、円盤状のコア部材32の内孔43に一体
的に嵌着された補強リング45の内孔となっている。補
強リング45は、強度が大きく、ヤング率の高い硬質材
料、典型的には鋼材により形成され、コア部材32の内
孔43でコア部材32と一体結合される。具体的には、
コア部材32と補強リング45に温度差を持たせた状態
で補強リング45をコア部材32の内孔43に挿入し、
しかるのち温度差をなくして強固に嵌合させる。このよ
うな熱収縮を利用した嵌合法は、公知の焼き嵌め工法
や、冷やし嵌め工法として知られている。これにより、
使用の常態では、補強リング45はコア部材32からは
離脱できないようになっている。補強リング45とコア
部材32の締め代として、砥石車31が毎秒200メー
トル以上の周速度で高速回転されて、コア部材32の内
孔43の直径が遠心膨張により拡大するときでも、補強
リング45が強固にコア部材32の内孔43に嵌合する
ことを保証するように内孔43の直径に対する補強リン
グ45外径のオーバーサイズ量が選定される。補強リン
グ45は、コア部材32の内孔43の両端部と一致する
ように形成される。補強リング45として、窒化けい
素、炭化けい素などのセラミックスを使用することもで
きる。コア部材と補強リングとを一体化した後に、コア
部材と補強リングの側面を同時に加工することで、段差
のない(0.01mm以内)コア部材を形成する。
【0014】砥石車31は、円盤状のコア部材32の右
端面に密着する概ね円盤状のラビリンス形成板50と左
端面に密着する概ね円盤状のボルト受板51との間に挟
持されるような状態で、図3に示すように複数(例え
ば、等角度配置の10本)の六角穴付ボルト52により
主軸21の左端面に固着される。このため、コア部材3
2とラビリンス形成板50とボルト受板51には、同じ
角度位相位置に軸方向に延びるボルト挿通孔53、5
4、55が貫通して形成されており、これらボルト挿通
孔53、54、55を通り抜けるボルト52の先端ねじ
部が主軸21の端面に開口するねじ穴56にそれそれね
じ係合している。従って、周知の図略の六角レンチをも
ちいて、ボルト52をねじ込むことにより、ラビリンス
形成板50、砥石車31、ボルト受板51の3部材を一
体として主軸21の端面に固着できる。砥石車31を取
り外す場合には、ボルト52を緩め、その先端ねじ部を
主軸21のねじ穴56とのねじ係合から解除することに
より、ボルト受板51、砥石車31、ラビリンス形成板
50の順序で個別に主軸21から取り去ることができ
る。ボルト52は、六角頭付ボルトを代用できる。
【0015】ラビリンス形成板50は、コア部材32の
補強リング45が嵌合する円筒ボス部41に嵌合する内
孔を有し、この内孔により砥石車31と同心に保持され
る。また、ラビリンス形成板50の砥石台20側の他端
には、砥石台20側に張り出す外周縁部に環状突起60
が形成されている。この環状突起60は、流体軸受22
の端面に形成された環状溝と遊嵌され、この環状溝との
間にラビリンスシールを構成し、研削加工中において砥
粒、研削屑、クーラントなどの異物が主軸21の外周面
と流体軸受22の軸受面との間の軸受隙間を通って軸受
22内に侵入することを阻止している。さらに、ラビリ
ンス形成板50は、主軸21と同様に鋼製とされ、かつ
複数のボルト52が配置されるボルトサークルよりもか
なり大きな直径のものとされ、ボルト52のねじ込み状
態においてボルト挿通孔53周りへ集中する締め付け応
力を分散し、コア部材32のボルト挿通孔53周りの塑
性変形を防止する役目もある。
【0016】一方、ボルト受板51は、コア部材32と
同径の内孔が設けられ、コア部材32の左側側面に密
着、固定される。ボルト受板51は、鋼製とされ、ボル
ト52の頭部による押圧に耐え、コア部材32の各ボル
ト挿通孔53周りに集中する締め付け応力を分散する役
目を果たしている。ボルト受板51の直径は、ボルトサ
ークルよりもかなり大径にされる。左右対称性を図るた
め、ボルト受板51の直径は、ラビリンス形成板50の
直径と同一にしてもよい。
【0017】上記のように構成される本発明の高速回転
用砥石車の固着構造においては、砥石車31を主軸21
に固着する際には、ラビリンス形成板50、砥石車31
の順で円筒ボス41上に嵌合し、ボルト受板51を同心
状に重ねて、ボルト52をこれらボルト挿通孔55、5
3、54を通じて挿入し、それらの先端ねじ部を主軸2
1のねじ穴56内へ六角レンチを用いてねじ込み締め付
ける。この際、コア部材32の両面に介在されたラビリ
ンス形成板50及びボルト受板51によりコア部材32
が挟持されるので、このようなラビリンス形成板50及
びボルト受板51を介在しない場合に各ボルト挿通孔5
3周りに集中していた応力は分散され、各ボルト挿通孔
53周りの塑性変形が防止される。この応力分散の結
果、コア部材32の内孔43の表面が径方向内方へ弾性
変形したり、或いはその降伏点を超えて塑性変形したり
する量は、著しく減少される。
【0018】コア部材32の内孔43表面のこのような
弾性変形或いは塑性変形は、本発明が特徴とする補強リ
ング45をコア部材32の内孔43に嵌着固定すること
により、ほぼ完全に防止される。図4のグラフは、アル
ミニウム・シリコン合金製のコア部材32に補強リング
45を嵌着しない従来の砥石車(図5のもの)と鋼製の
補強リング45を嵌着した本発明砥石車において、ボル
ト締め付けトルク変化に対する砥石車内孔(従来の砥石
車の場合は図5の内孔8、本発明砥石車の場台は補強リ
ング45の内孔42)の真円度の変化率を示す。この実
験結果は、第2図に示すようにラビリンス形成板50及
びボルト受板51を使用して砥石車を取り付けた場合の
ものである。この比較グラフから明らかなように、補強
リングのない従来の砥石車(−◇−)では、各ボルトの
締め付けトルクを30N・m以上に増加するとコア部材
2の内孔8の真円度変化率が顕著に増加するので、それ
以上に締め付けトルクを増加すると、円筒ボス7表面
や、コア部材2の内孔8表面を損傷し、コア部材2が再
利用できなくなる。
【0019】これに対し、補強リング45を嵌着した本
発明砥石車(−■−)では、実用範囲内の70N・mの
締め付けトルクまでは、補強リング45内孔42の真円
度はほとんど変化していない。したがって、砥石車の内
孔は変形せず、砥石車の取り付け、取り外しが容易とな
り、またコア部材の再利用が可能となる。これは、各ボ
ルト52の締め付け力の大部分を、コア部材32より剛
性の強い補強リング45の端面により分担していること
により、コア部材32のボルト締め付け力による内孔4
3の中心方向への変形を防いでいるためであると考えら
れる。
【0020】本発明の砥石車31においては、図2の図
示により明らかなように、砥石車31のコア部材32の
両側面の研削加工中にクーラントが接触する箇所に、耐
アルカリ硬質被膜層としてのニッケル−りん(Ni−
P)メッキ層70、71が形成されている。すなわち、
砥石車31のラビリンス形成板50側の側面において
は、ラビリンス形成板50が接触していない外周側のみ
に該メッキ層70が形成され、また、ボルト受板51が
接触している側においても、ボルト受板51が接触して
いない部分のみに該メッキ層71が形成されている。砥
石車31をこのように形成することにより、図2の状態
で高速回転にて研削加工を行った場合においても、コア
部材32のクーラントが接触する部分に耐アルカリ硬質
被膜層としてのニッケル−りん(Ni−P)メッキ層7
0、71が形成されているため、コア部材がクーラント
により腐食することがなく、耐久性が増し、コア部材の
再利用も可能となる。本実施例においては、ラビリンス
形成板50及びボルト受板51が接触していない部分の
みにニッケル−りん(Ni−P)メッキ層70、71を
形成している。そのことにより、使用状態において、ク
ーラントが接触しない部分にはメッキ層を設けないこと
によりメッキ層が少なくてすみ経済的であると同時に、
ラビリンス形成板50及びボルト受板51が接触する部
分にはメッキ層がないため、機械加工面が直接ラビリン
ス形成板50及びボルト受板51と密接するための固着
精度が増すという利点がある。
【0021】しかし、ラビリンス形成板50及びボルト
受板51の大きさが特定されてない場合に備えて、コア
部材32の両側面の全面に耐アルカリ硬質被膜層として
のニッケル−りん(Ni−P)メッキ層を形成しても良
いことはもちろんである。なお、耐アルカリ硬質被膜層
としては、実施例のニッケル−りん(Ni−P)メッキ
層に限られず、ニッケル(Ni)メッキ、クロム(C
r)メッキ等による硬質メッキ層でも良く、また、Ti
N,TiC,TiCN,TiAlN等を公知の気相合成
法により被膜層を形成しても良い。そして、該耐アルカ
リ硬質被膜層はいずれもビッカ−ス硬度250以上とす
る。耐アルカリ硬質被膜層の厚みは、特に限定されるも
のではないが、約15μ程度が目安となる。
【0022】本発明の高速回転用砥石車31の製造方法
については、コア部材の製造方法はすでに説明したが、
耐アルカリ硬質被膜層の形成方法を説明する。まず、砥
石車31のコア部材32は、前述のように、比重が小さ
く、比強度の高い軽合金、例えば、アルミニウム合金粉
末のベースに半金属であるシリコン粉末を20重量パー
セント以上混合して焼結した焼結金属素材で形成され
る。そして、補強リング45は、強度が大きく、ヤング
率の高い硬質材料、典型的には鋼材により形成され、公
知の焼き嵌め工法等の熱収縮を利用した嵌合方法によ
り、コア部材32の内孔43に嵌着一体化される。補強
リング45が一体化されたコア部材32は、そのまま機
械加工機に取り付けて、その両側面を同時に同一平面に
加工する。次に、両側面に電解メッキ法等の通常のメッ
キ方法によりニッケル−りん(Ni−P)メッキ層7
0、71を形成する。その際、必要に応じて、研削盤に
取り付ける際ラビリンス形成板50及びボルト受板51
が接触する部分にマスキングを施すことにより、その部
分にはメッキ層を形成しないようにすることができる。
ニッケル−りん(Ni−P)メッキ層70、71の厚さ
は約15μ程度とし、その際の硬度はビッカ−ス硬度1
50度以上である。その他の耐アルカリ硬質被膜の形成
も通常の方法により前記と同様に形成することができる
ものである。すなわち、通常の電解メッキ法等によりニ
ッケル(Ni)メッキ、クロム(Cr)メッキ処理をす
ることにより硬質メッキ層を形成できるし、また、Ti
N,TiC,TiCN,TiAlN等を公知の気相合成
法により被膜層を形成しても良い。それらの硬質被膜
も、その厚さは約15μ程度とし、硬度はビッカ−ス硬
度150度以上とする。
【0023】
【発明の効果】本発明の高速回転用砥石車は、円盤状の
コア部材の外周に接着層を介して砥石層を接着した砥石
車であって、該コア部材は、アルミニウム・シリコン合
金で形成し、該コア部材の両側面に耐アルカリ硬質被膜
層を形成したことを特徴とするものであり、コア部材
は、軽量で高速回転に耐え、熱膨張係数が小さい利点を
有し、耐アルカリ硬質被膜層を形成したので、被膜は硬
質で剥離しにくく、各種のクーラントによる腐食を防止
することができ、円盤状のコア部材の再利用が可能とな
る。前記耐アルカリ硬質被膜層は、コア部材の両側面に
形成するが、砥石車を砥石軸に取り付けた場合にクーラ
ントに触れる部分のみに形成することにより被膜形成量
を節約することができるとともに、被膜が形成されてい
ない部分により固着することができるため固着精度を向
上させることもできる。コア部材の中心に設けられた取
付孔に補強リングを嵌着することにより、砥石車の取り
付けによるコア部材の塑性変形を防止できる。
【0024】本発明の高速回転用砥石車の製造方法は、
円盤状のコア部材の外周に接着層を介して砥石層を接着
した砥石車の製造方法であって、該コア部材は、アルミ
ニウム合金粉末と半金属であるシリコン粉末を焼結して
アルミニウム合金粉末冶金合金として形成し、該コア部
材の両側面に耐アルカリ硬質被膜を形成することによ
り、軽量で高速回転に耐え、熱膨張係数が小さい利点を
有し、クーラントによる腐食を防止のための耐アルカリ
硬質被膜を施した高速回転用砥石車を容易に製造するこ
とができる。また、アルミニウム合金粉末冶金合金製の
コア部材の取付孔に補強リングを取付けることによりコ
ア部材の取付孔部分の塑性変形を防止した高速回転用砥
石車を容易に製造することができる。更に、前記コア部
材の両側面に耐アルカリ硬質被膜を形成するに当たっ
て、砥石車を取り付ける際に他の部材に接触する部分に
マスキングを施して被膜形成処理をすることにより、研
削盤への取付精度を向上した高速回転用砥石車を低コス
トで製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高速回転用砥石車を研削盤の砥石
台に固着した状態を示す一部正面図。
【図2】図1のA−A線に沿った本発明の実施例の断面
図。
【図3】図1において、B矢視方向の砥石車の一部正面
図。
【図4】ボルトの締め付けトルクの変化に対するコア部
材の内孔の真円度変化率を示すグラフ。
【図5】従来の砥石車を砥石軸に固着した状態を示す断
面図。
【符号の説明】
21: 主軸 31: 砥石車 32: コア部材 35: 砥粒層 45: 補強リング 50: ラビリンス形成板 51: ボルト受板 52: ボルト 56: ねじ穴 70、71: メッキ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西 幸二 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 Fターム(参考) 3C063 AA02 AB03 BA02 BB02 BC02 BC05 BG01 BG07 BG24 BG30 BH32 FF04 FF11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円盤状のコア部材の外周に接着層を介して
    砥石層を接着した砥石車であって、該コア部材は、アル
    ミニウム・シリコン合金により形成され、該コア部材の
    両側面に耐アルカリ硬質被膜層を形成したことを特徴と
    する高速回転用砥石車。
  2. 【請求項2】前記耐アルカリ硬質被膜層は、前記高速回
    転用砥石車を砥石軸に取り付けた場合にクーラントに触
    れる部分のみに形成されていることを特徴とする請求項
    1記載の高速回転用砥石車。
  3. 【請求項3】前記耐アルカリ硬質被膜層は、ビッカ−ス
    硬度250以上であることを特徴とする前記請求項1又
    は請求項2記載の高速回転用砥石車。
  4. 【請求項4】前記耐アルカリ硬質被膜層は、ニッケル−
    りん(Ni−P)メッキ層であることを特徴とする前記
    請求項1〜3のいずれかに記載の高速回転用砥石車。
  5. 【請求項5】前記コア部材の中心に設けられた取付孔に
    補強リングを嵌着したことを特徴とする前記請求項1〜
    4のいずれかに記載の高速回転用砥石車。
  6. 【請求項6】円盤状のコア部材の外周に接着層を介して
    砥石層を接着した砥石車の製造方法であって、該コア部
    材は、アルミニウム合金粉末と半金属であるシリコン粉
    末を焼結してアルミニウム合金粉末冶金合金として形成
    し、該コア部材の両側面に耐アルカリ硬質被膜を形成す
    ることを特徴とする高速回転用砥石車の製造方法。
  7. 【請求項7】円盤状のコア部材の外周に接着層を介して
    砥石層を接着した砥石車の製造方法であって、該コア部
    材は、アルミニウム合金粉末と半金属であるシリコン粉
    末を焼結してアルミニウム合金粉末冶金合金として形成
    し、該コア部材の中心取付孔内に補強リングを熱収縮を
    利用した嵌合法により嵌着し、該コア部材と補強リング
    の両側面を同時に加工し、該コア部材の両側面に耐アル
    カリ硬質被膜を形成することを特徴とする高速回転用砥
    石車の製造方法。
  8. 【請求項8】前記コア部材の両側面に耐アルカリ硬質被
    膜を形成するに当たって、砥石車を取り付ける際に他の
    部材に接触する部分にマスキングを施して被膜形成処理
    をすることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の高
    速回転用砥石車の製造方法。
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