JP2002199888A - 好熱性プロリルエンドペプチダーゼ - Google Patents
好熱性プロリルエンドペプチダーゼInfo
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Abstract
ロリルエンドペプチダーゼを提供すること。 【解決手段】 好熱性プロリルエンドペプチダーゼ活性
を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を
含有する単離されたDNA、このDNAを含む組換えD
NAおよび発現ベクター、この発現ベクターにより形質
転換された形質転換体ならびにこの形質転換体を用いて
前記ポリペプチドを製造する方法を見出した。生成され
たプロリルエンドペプチダーゼは、高温で一定時間加熱
処理することにより、本来の蛋白の構造をとり、高活性
を実現できる。この好熱性プロリルエンドペプチダーゼ
は、古細菌Pyrococcus horikoshiiから得られる。
Description
ルエンドペプチダーゼ、好熱性プロリルエンドペプチダ
ーゼをコードするDNA、好熱性プロリルエンドペプチ
ダーゼをコードするDNAにより形質転換された形質転
換体、および形質転換体を用いる好熱性プロリルエンド
ペプチダーゼの製造方法に関する。
条件下で、ペプチド中に存在するプロリン残基のC末端
側での選択的な加水分解開裂を触媒する。この酵素は、
反応条件と基質によって、縮合またはペプチド転移によ
るペプチド断片のカップリングも触媒することができ
る。従って、プロリルエンドペプチダーゼは、活性なペ
プチドを遊離させるための前駆体ペプチドの選択的開裂
やペプチドのカップリングの触媒用に使用できる。
ロにおいては、例えば前駆体タンパク質あるいは融合タ
ンパク質として発現させる遺伝子工学的手法により得ら
れる組換え体ペプチドのインビトロでのプロセシング等
に重要である。プロリルエンドペプチダーゼ特有の特異
性の為に、非特異的ペプチダーゼにおいて見られる副反
応を伴うことなく目的のペプチドを得られる利点から、
この酵素の必要性は大きい。
宮において発見され、哺乳類の各臓器にも広く分布して
いる。生体内において、この酵素は、生理活性ペプチド
の代謝制御に関与し、重要な作用を有している。
じ基質特異性を示すエンドペプチダーゼが細菌のフラボ
バクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium m
eningosepticum)中にも発見された。しかしながら、
F.メニンゴセプチカムからのプロリルエンドペプチダ
ーゼの調製は、この細菌が病原性であること、およびこ
の細菌が、プロリルエンドペプチダーゼだけでなく相当
量の他の特異的または非特異的ペプチダーゼも生産する
ことから、不都合が伴っていた。
ーゼはペプチダーゼ触媒反応に通常使われる条件によっ
て阻害または失活を非常に受けやすい。すなわち、前駆
体ペプチドの開裂に使われる緩衝液中の変性剤あるいは
可溶化剤に敏感である。また、カップリング生成物の形
成を行うために通常用いられる条件、例えば高濃度の有
機溶剤、極端なpHおよび/または高温にも敏感であ
る。
工業生産用の触媒として多目的に利用できるようにする
ためにプロリルエンドペプチダーゼの安定性を改善する
ことを目指して、熱安定性であるプロリルエンドペプチ
ダーゼが見出された(特表平10-501981)。
で見出されているいずれのプロリルエンドペプチダーゼ
も、至適温度は、35℃から60℃付近である。反応効
率の観点から言えばさらにより高温で反応を行う方が望
ましい。また、遺伝子工学的手法で本酵素を得る場合お
よび得られた酵素を使用してペプチダーゼ反応を行わせ
る場合等に混入物を除去しあるいは混入物の反応への影
響を除く為に、100℃近い高温でもなお、安定かつ触
媒活性を保持し得るプロリルエンドペプチダーゼ(以
下、「好熱性プロリルエンドペプチダーゼ」という)が
渇望されている。本発明の目的は、新規な好熱性プロリ
ルエンドペプチダーゼ、そのアミノ酸配列、それをコー
ドするヌクレオチド配列を含むDNAを提供することに
ある。さらに、該DNAを含む発現ベクター、それを含
む形質転換体、およびこのような好熱性プロリルエンド
ペプチダーゼの製造方法を提供することにある。
題を解決するため、鋭意検討した結果、90-100℃
で生育する超好熱性細菌に着目し、高温(100℃以上)
で生育する好熱菌であるパイロコッカス・ホリコシ(JC
M9974)から新規好熱性プロリルエンドペプチダー
ゼを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明によ
れば、以下の特性を有する新規なプロリルエンドペプチ
ダーゼが提供される: a.分子量約70,000; b.至適温度95℃以上100℃以下; c. 至適pH5.4; d.安定性 約95℃で24時間安定。
リルエンドペプチダーゼは、パイロコッカス(Pyrocuco
us)属に由来する。
熱性プロリルエンドペプチダーゼは、配列表の配列番号
1に記載のアミノ酸配列を有する。
ルエンドペプチダーゼは、配列表の配列番号1に記載の
アミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が
欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含む。
1に記載のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
を含む単離されたDNA分子が提供される。
記載のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸
残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列をコ
ードするヌクレオチド配列を含む単離されたDNA分子
が提供される。
号2に記載のポリヌクレオチド配列を含む単離されたD
NA分子が提供される。
号2に記載のポリヌクレオチド配列とストリンジェント
な条件下でハイブリダイズし得、かつ好熱性プロリルエ
ンドペプチダーゼ活性を有するポリペプチドをコードす
る、単離されたDNA分子が提供される。
ンドペプチダーゼをコードするヌクレオチド配列を有す
るDNA分子を含む発現ベクター、このような発現ベク
ターにより形質転換された形質転換体、および形質転換
体を用いた好熱性プロリルエンドペプチダーゼの製造方
法が提供される。
る。本明細書中で使用するペプチドという用語は、短鎖
ペプチドのみを意味するとは限らず、ペプチド結合によ
って結合したアミノ酸から構成されるすべての分子を示
す。すなわち、本明細書において、ペプチドとは、短鎖
ペプチド、オリゴペプチドのような短鎖ペプチドからた
んぱく質を構成するようなポリペプチドまでを含む。
ーゼ」は、任意のプロリルエンドペプチダーゼ、即ちプ
ロリン残基のカルボキシル末端で特異的にペプチドの加
水分解的開裂を触媒する任意のプロテアーゼを意図す
る。そのようなプロリルエンドペプチダーゼのEC番号
は3.4.21.26である。
ーゼ」は、90℃から100℃付近の高温下で安定でか
つその温度領域を至適温度とするプロリルエンドペプチ
ダーゼである。好ましくは、さらに以下の特性を有す
る: a.分子量約70,000; b.至適温度95℃以上100℃以下; c. 至適pH5.4; d.安定性 約95℃で24時間安定。
ーゼ」には、熱により活性が高められたプロリルエンド
ペプチダーゼも含まれる。熱活性の条件は特に限定され
ないが、好熱性プロリルエンドペプチダーゼ産生菌等か
ら得られた酵素を、好ましくは、60℃から100℃、
より好ましくは80℃から100℃、最も好ましくは9
5℃の温度条件下、30分から200分、好ましくは6
0分から200分の間、処理することができる。
ゼは、原核生物、好ましくは、古細菌パイロコッカス
(Pyrococcus)属、より好ましくは、超好熱性細菌で最
適成長温度が98℃である硫黄代謝好熱菌 パイロコッ
カス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii, 登録番号JCM
9974JCM微生物株カタログ第7版,1999年1月
発行)から得られ得る。
ゼは、例えば配列表の配列番号1に記載の天然型のアミ
ノ酸配列を有する。あるいは、配列表の配列番号1に記
載のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残
基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含
み、かつ天然型の好熱性プロリルエンドペプチダーゼと
実質的に同等の活性を有するポリペプチドも、本発明の
好熱性プロリルエンドペプチダーゼに含まれる。
有するポリペプチドには、多様な変異が導入され得る。
このようなポリペプチドは、当業者に周知の遺伝子組換
え技術を用いて、目的のポリペプチドをコードするDN
Aを改変し、改変したDNAを発現させることにより得
られ得る。得られたポリペプチドが天然型のポリペプチ
ドと同等の活性を有するか否かは、その活性を測定する
ことにより容易に決定され得る。
ゼは、融合タンパクとして調製することもできる。融合
タンパクは、ペプチド結合により融合した第一のペプチ
ドと第二のペプチドを含む。第一のペプチドは、本発明
で定義される好熱性プロリルエンドペプチダーゼであ
る。第二のペプチドは、特定のタンパク質またはその断
片であり得る。そのような第二のペプチドになり得る特
定のたんぱく質には、ベータガラクトシダーゼ、グルタ
チオンSトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ、ホース
ラディッシュペルオキシダーゼ等がある。
ゼをコードするヌクレオチド配列は、配列表の配列番号
1に記載のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
を含み得る。あるいは、配列表の配列番号1に記載のア
ミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が欠
失、置換、または付加されたアミノ酸配列をコードする
ヌクレオチド配列を含み得る。好ましくは、このヌクレ
オチド配列は、配列表の配列番号2に記載のポリヌクレ
オチド配列である。あるいは、配列表の配列番号2に記
載のポリヌクレオチド配列とストリンジェントな条件下
でハイブリダイズし得、かつ好熱性プロリルエンドペプ
チダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレ
オチド配列であり得る。
またはホモログの人為的調製法は、当業者に周知であ
り、そのような技術を用いて、例えば天然型の好熱性プ
ロリルエンドペプチダーゼ活性を保持する変異体または
ホモログを調製することができる。このような変異体ま
たはホモログも本発明の好熱性プロリルエンドペプチダ
ーゼに含まれる。
ジェントな条件」とは、例えば、65℃における0.2
×SSCをいう。
ゼポリヌクレオチドは、例えば、パイロコッカス・ホリ
コシ培養後、BLAST探索法を使用して、本好熱性細菌の
遺伝子配列からPyrococcus furiosusのプロリルエンド
ペプチダーゼ配列に類似し、本酵素活性を示すと思われ
る遺伝子(配列番号2)を、PCR反応で増幅し抽出して
得られる。次に本発明に係るポリヌクレオチドを含有す
る組換えベクターを含む形質転換体を培地中で培養し、
培養物から好熱性アミノペプチダーゼを採取する。
はないが、宿主細胞内で自立複製可能なものでも、染色
体に1コピーもしくは複数のコピーが挿入されるもので
も良く、上記DNAすなわち好熱性プロリルエンドペプ
チダーゼ遺伝子を組み込むことができる挿入部位を持
ち、更にこの組み込んだDNAを宿主細胞内で発現させ
得る領域が必要である。
エンドペプチダーゼ遺伝子としては、cDNAだけでな
く、cDNAから予想されるアミノ酸配列をコードする
ように設計して合成されたDNAでも良い。このような
アミノ酸配列を基にした遺伝子の合成は、DNA自動合
成機を利用して合成したオリゴヌクレオチドをアニール
後に連結することなどにより、容易に行うことができ
る。
を発現させるプロモーターとしては、通常異種タンパク
質の発現に用いられる強力なプロモーターを用いること
ができる。また、好熱性プロリルエンドペプチダーゼ遺
伝子の下流にはターミネーターを挿入することもでき
る。例えば、trp、tac、lac、trc、λPL、T7等のプロモ
ーター、tpA、lpp、T4等のターミネーターが挙げられ
る。
種類、数、SD配列と開始コドンの間の領域の塩基組
成、配列、長さを好熱性プロリルエンドペプチダーゼ遺
伝子の発現に最適になるようにすることも可能である。
必要なプロモーターから翻訳開始点までの領域は、従来
公知のPCR法や化学合成法などにより調製することが
できる。
応じた公知の発現ベクターに、前記好熱性プロリルエン
ドペプチダーゼ遺伝子を含むDNAを従来公知の方法に
よって挿入することにより得ることが可能である。ここ
で用いる発現ベクターは多コピーのものであることが望
ましい。
のできる公知のベクターとしてはpUC18、pHSG299、Pet-
11a等が挙げられる。
挿入されて得られる種々の形質転換体について説明す
る。
coli等の細菌が挙げられる。E.coliの一具体例として
は、JM109株(recA、endA1、gyrA96、thi、hsdR17、sup
E44、relA1、Δ(lac-proAB)/F'[traD36、proAB+、lacI
q、lacZΔM15])がある。
は、枯草菌、酵母、麹菌等があり、これらのタンパク質
分泌能を利用して、本発明の好熱性プロリルエンドペプ
チダーゼを培地中に生産させる方法も考えられる。さら
には、動物細胞、植物細胞、および昆虫細胞も含まれ
る。
に導入し、形質転換体を得る。組換え発現ベクターの宿
主細胞内への導入方法は、従来の慣用的に用いられてい
る方法により行うことができる。コンピテントセル法、
プロトプラスト法、リン酸カルシウム共沈法、エレクト
ロポレーション法、マイクロインジェクション法、リポ
ソーム融合法等、種々のものが挙げられる。
タンパク質または分泌されて得られるタンパク質を公知
の方法で単離し、精製することにより、目的とする酵素
が得られる。
合体、すなわちタンパク質封入体として好熱性プロリル
エンドペプチダーゼ遺伝子産物を得た後、これを適当な
方法で活性化することも可能であり、活性再生後、活性
型タンパク質を公知の方法で分離精製することにより、
目的の酵素を得てもよい。
り、例えば、E.coliではLB培地などの栄養培地や、M9培
地などの最小培地に炭素源、窒素源、ビタミン源等を添
加して用いることができる。形質転換体の培養は、宿主
に応じて、通常16−42℃、好ましくは25−37℃で5−168
時間、好ましくは8−72時間行う。振盪培養と静置培養
のいずれも可能であるが、必要に応じて攪拌、通気を行
ってもよい。
離、精製方法としては、形質転換体の抽出物より、公知
の塩析、等電点沈殿法もしくは溶媒沈殿法等の沈殿法、
透析、限外濾過もしくはゲル濾過等の分子量差を利用す
る方法、イオン交換クロマトグラフィー等の特異的親和
性を利用する方法、疎水クロマトグラフィー、逆相クロ
マトグラフィー等の疎水度の差を利用する方法やその他
アフィニティークロマトグラフィー、SDSポリアクリ
ルアミド電気泳動法、等電点電気泳動法などが挙げら
れ、これらを組み合わせることにより精製が可能であ
る。
て簡単に単離精製できる。熱遺伝子組換えによる製造方
法については、以下の実施例で詳細に説明するが、当業
者にとっては、当分野における通常の技術を使用して本
発明の記載に種々の変更等を加えることが可能であり、
かかる変更等も本発明に含まれる。
本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。 (実施例1)パイロコッカス・ホリコシの培養 パイロコッカス・ホリコシは公知の好熱菌であり、その
培養条件なども知られているが、ここではその一例を挙
げる。
0.2gのNaHCO3、0.1gのKBr、30 mgのH3BO3、10gのMgCl2
・6H2O、1.5gのCaCl2、25mgのSrCl2、1.0mlのレザスリ
ン溶液(0.2g/L)、1.0gの酵母エキス、5gのバクトペプ
トンを蒸留水1Lに溶かし、pHを6.8に調整した後、加圧
殺菌した。ついで、乾熱滅菌した元素硫黄を0.2%とな
るように加え、この培地をアルゴンガスで飽和して嫌気
性とした後、パイロコッカス・ホリコシOT3を植菌し
た。培地が嫌気性となったか否かはNa2S溶液を加えて、
培養液中でNa2Sによるレザスリン溶液のピンク色が着色
しないことにより確認した。この培養液を95℃で2−4
日培養した。
した。菌体を10mM Tris(pH 7.5)-1mM EDTA溶液で2回洗
浄後、InCert Agarose(FMC社製)ブロック中に封入し
た。このブロックを1%N-ラウロイルサルコシン-1mg/m
lプロテアーゼK溶液中で処理することにより、染色体DN
AをAgaroseブロック中に分離調製した。
リークローンの作製 実施例2で得られた染色体DNAを制限酵素Hind III に
より部分分解後アガロースゲル電気泳動により約40kb長
の断片を調整した。このDNA断片を、制限酵素Hind I
II によって完全分解したBacベクターpBAC108LまたはpF
OS1に、T4リガーゼを用いて結合させた。前者のベクタ
ーを用いた場合には結合終了後のDNAをただちに大腸菌
内へ電気孔窄法により導入した。後者のベクターpFOS1
を用いた場合には、結合終了後のDNAをGIGA Pack Gold
(ストラタジーン社製)により試験管内でλファージ粒
子内に詰め込み、この粒子を大腸菌に感染させることに
よりDNAを大腸菌内に導入した。これらの方法により得
られた抗生物質クロラムフェニコール耐性の大腸菌集団
をBACライブラリーまたはFosmidライブラリーとした。
ライブラリーからJCM9974の染色体をカバーするの
に適したクローンを選択して、クローンの整列化を行っ
た。
クローンの塩基配列決定 整列化されたBAC或いはFosmid クローンについて順次以
下の方法で塩基配列を決定していった。大腸菌より回収
した各BAC或いはFosmidクローンのDNAを超音波処理する
ことにより断片化し、アガロースゲル電気泳動により1k
b及び2kb長のDNA断片を回収した。この断片をプラス
ミドベクターpUC118のHinc II 制限酵素部位に挿入
したショットガンクローンを各BAC或いはFosmidクロー
ン当たり500クローン作製した。各ショットガンクロー
ンの塩基配列をパーキンエルマー、ABI社製自動塩基配
列読み取り装置373または377を用いて決定していった。
各ショットガンクローンから得られた塩基配列を塩基配
列自動連結ソフトSequencherを用いて連結編集し、各BA
C或いはFosmidクローンの全塩基配列を決定していっ
た。
遺伝子の同定 上記で決定された各BAC或いはFosmidクローンの塩基配
列の大型計算機による解析を行い、古細菌JCM9974のゲ
ノム解析データと照合して、プロリルエンドペプチダー
ゼをコードする遺伝子(配列表の配列番号2)を確認し
た。この遺伝子は、開始コドンから終止コドンまでで1
854塩基対からなり、そのコードするアミノ酸( 6
17アミノ酸)配列(配列番号1)は、パイロコッカス
フリオシス(Pyrococcus furiosus) のプロリルエ
ンドペプチダーゼと86%の相同性を有していた。
イトを構築する目的で、次の2種のDNAプライマーを合
成した。プライマー1:5'-TTTTGAATTCTTGCATATGATGTC
AATGATAGAGAAG-3'(上流用プライマー、配列表の配列
番号3)プライマー2:5'-TTTTGGTACCTTTGGATCCTTATC
CCTCCTAGAGCTCAAATGCTAA-3')(下流用プライマー、配
列表の配列番号4)。このプライマー対を用いて、PCR
でその遺伝子の前後に制限酵素サイトを導入した。PCR
反応後、制限酵素(Nde I とXho I)で完全分解(37
℃で2時間)した後、その構造遺伝子を精製した。
I とXho I で切断・精製した後、上記の構造遺伝子とT4
リガーゼで16℃,2時間反応させ連結した。連結したDNA
の一部をE.coli-XL2−BlueMRF’(Stratagene社
製)のコンピテントセルに導入し形質転換体のコロニー
を得た。得られたコロニーから発現プラスミドをアルカ
リ法で精製した。
テントセルを融解して、ファルコンチューブに0.1mL移
した。その中に発現プラスミド溶液を0.005mLを加え氷
中に30分間放置した後42℃でヒートショックを30秒間行
い、SOCmedium0.9mLを加え、37℃で1時間振とう培養
する。その後アンピシリンを含む2YT寒天プレートに
適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体を得た。当形
質転換体をアンピシリンを含む2YT培地1Lで600nmの
吸収が1に達するまで培養した後、IPTG(Isopropyl
-b-D-thiogaractopyranoside)100mM溶液を10ml加え
さらに6時間培養した。培養後遠心分離(6,000rpm、
20min)で集菌した。
後、5倍量の10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を加え
懸濁液を得た。得られた懸濁液を85℃で30分加熱後遠心
分離(11,000rpm,20分)し、上澄みをHiTrap
Q(ファルマシア社製)カラムに吸着させ活性画分を得
た。
ら15%のゲル勾配上でSDS-PAGEを実施した。溶出した
画分はアミノ酸配列から計算される適当な分子量(70
k)に相当する単一のバンドを示し、これを酵素の性状
解析のために使用した。
ルG3000SWXLカラム(TOSHO,東京)上で
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行って決定し
た。溶出は0.3M NaClを含む50mM リン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH6.8)で、流速0.8ml/分、室温で行
った。溶出したタンパク質を280nmにおけるUV吸収で検
出した。精製した酵素はSDS-PAGEでも、ゲルろ過の溶出
液からも共に70キロダルトンであることが解った。
緩衝液,50mMリン酸緩衝液及び50mM酢酸ナトリ
ウム緩衝液でpH4〜9までの基質(Ser-Gln-Asn-Tyr-Pro
-Ile-Val)3mM溶液を調整し、85℃で酵素の加水分解活
性の初速度を測定することにより求めた。pH5.4最大
速度が得られたため、最適pHは5.4と結論した。
mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)中に一定量の
酵素を加えて10分反応させ、相対活性を調べた。最大
活性(至適温度)は95℃であった。
液(pH5.4)中、95℃で24時間加熱後、温度を85℃に
低下させ残存活性を調べたが、活性の低下は見られなか
った。
le-Val、ii) Cbz(カルボベンゾキシル)-Ala-Pro-Leu-
Gly-Pro、iii) Cbz-Ala-Pro-pNA(パラニトロアニリド)
iv) Cbz(カルボベンゾキシル)-Ala-Ala-pNA を用い
て測定した。さらに、v) Ala-Pro-pNA, vi) Gly-Pro-pN
Aも基質として使用した。すなわち、酵素溶液(0.1mg/m
L)を各種の基質(2mM)を含む50mM酢酸ナトリウム緩
衝液(pH5.4)中、85℃で 1時間インキュベートし
た後、触媒活性を調べた。
をカドミウムニンヒドリンあるいは、p-ニトロアニリド
の吸収から検出した。その結果、基質i) Ser-Gln-Asn-T
yr-Pro-Ile-Val、基質 ii) Cbz-Ala-Pro-Leu-Gly-Pro、
基質iii) Cbz-Ala-Pro-pNAでは、プロリンのC末端側の
開裂が確認された。基質 iv) Ala-Pro-pNAおよびv) Gly
-Pro-pNAでは、加水分解した基質を得ることができなか
ったが、カルボベンゾキシルを結合させた同基質では、
プロリンのC末端側の開裂が観察された。これらをまと
めた結果を表1に示す。
プチダーゼは、95℃の高温において、プロリンのC末端
側の選択的な加水分解開裂を触媒することが確認され
た。
ホリコシ由来の好熱性プロリルエンドペプチダーゼと高
い相同性を有するパイロコッカスフリオシス由来のプロ
リルエンドペプチダーゼは、65℃で不安定となり、自
己分解を起こすことがわかっている。
加え,菌体を粉砕した後、5倍量の10mMトリス塩酸緩衝
液(pH8.0)を加え懸濁液を得た。得られた懸濁液を
遠心分離(11,000rpm,20分)し、上澄みをHiTr
apQ(ファルマシア社製)カラムに吸着させ活性画分
を得た。
ゼを、50mM酢酸ナトリウムバッファ(pH5.4)
中で、0.60mg/mlとし、インキュベーションし
た。各時間ごとに、酵素をサンプリングし、Ac−Leu−P
naを基質として、同バッファ中で85℃にて活性を測定
した。それぞれの活性を図1に示す。温度はそれぞれ6
5℃(黒三角)、75℃(白三角)、85℃(黒丸)お
よび95℃(白丸)である。図に示されているように、
95℃での180分のインキュベーションにより、イン
キュベーションしなかった場合の約4倍もの比活性が得
られた。95℃にて180分間処理した熱活性化したプ
ロリルエンドペプチダーゼ(HPEPh)は、95℃での2
4時間処理でも安定であった。さらに、HPEPhを4−2
5℃に戻して同じ酵素反応を行っても、活性が落ちず、
HPEPhが、不可逆的に活性化されていることがわかっ
た。
比活性と時間との関係は、一次反応式に従う。速度定数
(kact)は、図2に示すように、データを対数グラフに
プロットすることで得られる。それぞれのプロットは、
図1と同じ意味を表す。このグラフから、HPEPhは、熱
処理をしていないプロリルエンドペプチダーゼ(PEPh)
と比較して、酵素のモノマー分子のコンフォメーション
が変化し、分子同士の凝集や解離を伴わずに、酵素活性
が上昇していることがわかった。
e-Valを使用し、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH
5.4)中に一定量の酵素を加えて、各温度で10分ず
つ反応させ、HPEPhと熱処理していない好熱性プロリル
エンドペプチダーゼ(PEPh)との相対活性を調べた。最
大活性(至適温度)はいずれも95℃付近であったが、温
度が上昇するにつれ、HPEPhが非常に高い活性を示し、
その差が大きくなるがわかった。図3に各温度におけ
る、両酵素の比活性を表すグラフを示す。グラフの黒丸
は、HPEPhを示し、白丸はPEPhを示す。
あり、プロリン残基のC末端側での選択的な加水分解開
裂を触媒する新規な好熱性プロリルエンドペプチダーゼ
が提供できる。さらに、酵素分子が安定であるという事
から耐有機溶媒性の向上も期待できる。本発明の酵素に
より、高温下での、ポリペプチドのアミノ末端分析等が
可能になる。
した場合の比活性の変化を示した図である。
ラフで表した図である。
本酵素の比活性を温度により比較した図である。
Claims (15)
- 【請求項1】 下記の特性を有する好熱性プロリルエン
ドペプチダーゼ: a.分子量約70,000; b.至適温度95℃以上100℃以下; c. 至適pH5.4; d.安定性 約95℃で24時間安定。 - 【請求項2】 原核生物に由来する、請求項1に記載の
好熱性プロリルエンドペプチダーゼ。 - 【請求項3】 パイロコッカス(Pyrocucous)属に由来
する、請求項1に記載の好熱性プロリルエンドペプチダ
ーゼ。 - 【請求項4】 パイロコッカス ホリコシ(Pyrocucous
horikoshii)に由来する、請求項1に記載の好熱性プ
ロリルエンドペプチダーゼ。 - 【請求項5】 配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配
列を有する、請求項1に記載の好熱性プロリルエンドペ
プチダーゼ。 - 【請求項6】 配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配
列において、1または数個のアミノ酸残基が欠失、置
換、または付加されたアミノ酸配列を含む、請求項1に
記載の好熱性プロリルエンドペプチダーゼ。 - 【請求項7】 配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配
列をコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離され
たDNA分子。 - 【請求項8】 配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配
列において、1またはアミノ酸残基が欠失、置換、また
は付加されたアミノ酸配列をコードする、ポリヌクレオ
チド配列を含む、単離されたDNA分子。 - 【請求項9】 配列表の配列番号2に記載のポリヌクレ
オチド配列を含む、請求項7に記載の単離されたDNA
分子。 - 【請求項10】 配列表の配列番号2に記載のポリヌク
レオチド配列とストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズし得、かつ好熱性プロリルエンドペプチダーゼ活性
を有するポリペプチドをコードする、単離されたDNA
分子。 - 【請求項11】 請求項7から10までのいずれかに記
載のDNA分子を含む組換えベクター。 - 【請求項12】 好熱性プロリルエンドペプチダーゼの
発現用のプロモーターの調節下に請求項7から11まで
のいずれかに記載のDNA分子を含んで成り、宿主細胞
において、好熱性プロリルエンドペプチダーゼの活性を
有するポリペプチドを発現する能力を有する、発現ベク
ター。 - 【請求項13】 請求項11または12に記載のベクタ
ーにより形質転換された形質転換体。 - 【請求項14】 微生物細胞、動物細胞、植物細胞また
は昆虫細胞を宿主とする、請求項13に記載の形質転換
体。 - 【請求項15】 請求項13に記載の形質転換体を培養
する工程、得られる培養物より好熱性プロリルエンドペ
プチダーゼを回収する工程を含む、好熱性プロリルエン
ドペプチダーゼ活性を有するポリペプチドの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN114854782A (zh) * | 2022-05-12 | 2022-08-05 | 华南理工大学 | 一种高效表达具有高活性的重组多肽连接酶原的方法 |
-
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JPN6010067061, Database DDBJ/EMBL/GenBank[online],Accession No.BAA30364<http://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/3257681 * |
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