JP2002192173A - 低沸点有機物を含む廃水の処理方法及び装置 - Google Patents

低沸点有機物を含む廃水の処理方法及び装置

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JP2002192173A
JP2002192173A JP2000396499A JP2000396499A JP2002192173A JP 2002192173 A JP2002192173 A JP 2002192173A JP 2000396499 A JP2000396499 A JP 2000396499A JP 2000396499 A JP2000396499 A JP 2000396499A JP 2002192173 A JP2002192173 A JP 2002192173A
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catalyst
steam
condenser
water
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JP2000396499A
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English (en)
Inventor
Junji Mizutani
淳二 水谷
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Sasakura Engineering Co Ltd
Original Assignee
Sasakura Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で操作容易で少ないエネルギー消
費で低沸点有機物を含む廃水を処理できる方法及び装置
を提供する。 【解決手続】 本装置は、対象廃水を導入して蒸発させ
る蒸発缶1、酸化剤としてオゾンガスを発生させて添加
する酸化剤供給系2、触媒として白金を担持したセラミ
ック球が入れられた触媒層31を持つ触媒充填槽3、低
沸点有機物ガスを排出する真空ポンプ42を備え水蒸気
を凝縮させる凝縮器4、等を有する。 【効果】 蒸発させた水蒸気を気相状態で加熱するため
耐圧容器が不要になる。触媒と酸化剤と加熱から成る条
件の下に低沸点有機物ガスを燃焼処理し、そのまま凝縮
器で凝縮させるだけの操作になるので、少ない処理過程
で低コストの設備によって有機物の十分少ない蒸留水を
得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばアルコール
類のように低沸点有機物を含む廃水の処理方法及び装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】有機物を含む廃水は、通常生物処理され
ているが、生物処理では設備の設置面積が大きくなると
いう欠点がある。また、オゾンや過酸化水素などの酸化
剤や紫外線を用いて有機物含有廃水を直接的に炭酸ガス
と水に分解する方法も実施されているが、この方法によ
れば消費エネルギーが多くなる。
【0003】一方、廃水を蒸発させて凝縮水を回収水と
して有効利用できるようにする廃水蒸発処理方法も従来
から知られている。しかしこの方法では、廃水が低沸点
有機物を含む場合には、低沸点物質が水と共沸的溶解物
になっているため、水を蒸発させるとこれに付随して蒸
発し、液化させたときに凝縮水に混入してBODやCO
D値を高くし、排水規制値を満たさなかったり、再使用
時の目的に合った高純度の純水を得られないという問題
があった。この場合、凝縮水を更に生物処理、活性炭処
理又は逆浸透膜処理する必要が生じ、処理設備が一層複
雑且つ高価なものになるという問題があった。
【0004】低沸点有機物含有廃水に対処した廃水の蒸
発処理法としては、蒸発時の濃縮倍率を10〜20倍程
度に蒸発操作すると共に、蒸留後に凝縮水に酸化剤又は
還元剤を添加して有機物を分解処理する方法が提案され
ている(特開平11−309484号公報参照)。
【0005】この方法では、原水を蒸発−凝縮させる蒸
発凝縮装置と酸化剤添加槽及び触媒塔の他に、ヒータ、
気液分離塔、冷却用の熱交換器等を設けて、廃水の含有
する有機物の種類によっても異なるが、一度蒸発凝縮さ
せた液体を200℃程度まで再加熱し、液状で有機物を
酸化処理し、冷却及び気液分離後処理水を回収するよう
にしている。この再加熱においては、凝縮水を再蒸発さ
せることなく液状を保持して加熱する必要があるため、
1.6MPa程度の高圧で処理することになる。その結
果、この処理方法及び装置では、操作が多く処理システ
ムが複雑になると共に、耐圧容器が必要になって装置が
高度化しコスト高なものになるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術に於
ける上記問題を解決し、エネルギー消費が少なく、高圧
容器等を必要とせず、簡単な構成でコストが低く、操作
過程が少なく操作の容易な有機物含有廃水の処理方法及
び装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、請求項1の発明の低沸点有機物を含む廃水
の処理方法は、低沸点有機物を含む廃水を蒸発させて蒸
気にし、該蒸気に酸化剤を加え、前記蒸気と前記酸化剤
とを加熱された触媒層を通過させて処理済み物質とし、
該処理済み物質を冷却して前記蒸気を凝縮させた凝縮水
にすることを特徴とする。
【0008】請求項2の発明の低沸点有機物を含む廃水
の処理装置は、低沸点有機物を含む廃水を蒸発させて蒸
気にする蒸発器と、該蒸気に酸化剤を加える酸化剤供給
系と、前記蒸気と前記酸化剤とを加熱された触媒層を通
過可能にする触媒充填槽と、前記触媒充填槽を通過した
処理済み物質を冷却して前記蒸気を凝縮させた凝縮水に
する凝縮器と、を有することを特徴とする。
【0009】請求項3の発明は、上記に加えて、前記蒸
気と前記酸化剤とを前記触媒充填槽を通過させる前に昇
圧された気体にする昇圧手段を設け、前記蒸発器と前記
凝縮器とを蒸発兼凝縮器とし、前記昇圧された蒸気を前
記蒸発兼凝縮器で凝縮させて凝縮熱で前記廃水を蒸発さ
せるように構成したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明を適用した低沸点有
機物含有廃水の処理装置の全体構成の一例を示す。本例
の廃水処理装置は、低沸点有機物を含む廃水を蒸発させ
て蒸気にする蒸発部としての蒸発缶1、発生した蒸気に
酸化剤を添加する酸化剤供給系2、蒸気と酸化剤とを加
熱された触媒層31を通過可能にする触媒充填槽3、こ
の部分を通過した処理済み物質を冷却して蒸気を凝縮さ
せた凝縮水にする凝縮器4、等で構成されている。
【0011】本例の装置によれば、低沸点有機物として
例えば沸点82.4℃のイソプロピルアルコールをTO
Cで1000ppm程度の少量含んだ半導体製造工場の
廃水を好都合に処理することができる。蒸発缶1には、
導入された廃水を通常70℃程度の温度に加熱して大気
圧以下の圧力で蒸発させる蒸発用ヒータ11が底部に設
けられている。そのため、後述するように凝縮器4から
脱気する真空ポンプ42を設け、蒸発缶1内を真空にし
て、廃水を上記70℃程度の液温で蒸発可能にしてい
る。
【0012】蒸発缶1は、真空状態を保つため当然気密
容器として形成されるが、100℃以下で加熱するた
め、耐圧容器である必要はない。従って低コストのもの
である。なお、図示を省略しているが、連続又は間歇的
に濃縮され高濃度になった十分少量の廃水は、別途設け
られる固形化装置、焼却装置又は活性炭装置で処理され
るか、公共下水道に放流され処理される。
【0013】酸化剤としては、本例では、高濃度オゾン
ガスが用いられている。従って、酸化剤供給系2には、
電解式の200g/Nm3 程度の高濃度オゾンガスを発
生させるオゾン発生装置21が設けられている。触媒充
填槽3は、通常管材を用いた筒状の簡単な構造のもので
ある。触媒層31には白金層を担持した3〜5mmサイ
ズのセラミック球が充填されている。符号32は酸化反
応を生じさせるために槽内を450℃程度までの温度に
加熱可能な蒸気加熱用ヒータである。
【0014】凝縮器4の冷却管41には、工業用水や井
戸水等の冷却水が流される。又、凝縮器4の上部のガス
クーリングゾーンから非凝縮性ガスを排出し器内をほぼ
0.03MPaの真空にするように真空ポンプ42が設
けられている。この真空は蒸発缶での前記70℃程度の
真空蒸発に対応した値である。凝縮水はホットウェル部
43に溜められ、ポンプ44で吸い出されて再使用水又
は排水処理される。
【0015】なお、70℃程度の真空蒸発によれば、凝
縮水の再冷却(ドレンクール)を省略可能にし、装置の
保温・防熱を簡略なものにし、工業用水や河川水や井戸
水やクーリングタワー水等の任意の冷却水を使用でき、
後述するベーパーコンプレッション方式を採用するとき
の圧縮機のシール問題も発生させず、経済性の良い実用
的に優れた装置にすることができる。但し、これより高
い真空蒸発又は大気圧蒸発にした装置に対しても、本発
明を適用できることは勿論である。
【0016】図2は、本発明を適用した低沸点有機物含
有廃水の処理方法の一例を示す。この方法は図1に示す
ような装置を用いて実施される。本例の廃水処理方法
は、低沸点有機物を含む廃水を蒸発させて蒸気にする蒸
発過程(S−1)、この蒸気に酸化剤を加える酸化剤添
加過程(S−2)、この蒸気と前記酸化剤とを加熱され
た触媒層を通過させて処理済み物質とする酸化反応処理
過程(S−3)、この処理済み物質を冷却して蒸気を凝
縮させた凝縮水にする液化過程(S−4)、等で構成さ
れている。
【0017】蒸発缶1内は凝縮器4の真空に対応して形
成される0.03MPa程度の負圧になっていて、蒸発
過程(S−1)では、導入された廃水が蒸発用ヒータ1
1によって加熱されて約70℃の温度で蒸発する。この
とき、沸点82.4℃のイソプロピルアルコールはほぼ
全量蒸発する。なお、缶内には少量の濃縮水が残り全量
が蒸発しないので、蒸発した水蒸気及びイソプロピルア
ルコールの蒸気から成る混合気体中のイソプロピルアル
コールの濃度は原廃水のときの値よりも少し高くなる。
【0018】酸化剤添加過程(S−2)では、オゾン発
生装置21で発生した200g/Nm3 程度の高濃度オ
ゾンガスが酸化剤として蒸発した混合気体中に重量比率
で約0.1%添加される。
【0019】酸化反応処理過程(S−3)では、これら
の混合気体が、蒸気加熱用ヒータ32で加熱された触媒
層31を通過するように酸化剤充填槽3に流され、処理
されて処理済み物質とされる。即ち、加熱されて高温に
なっている層内で触媒の作用の下に強力な酸化剤である
オゾンによってイソプロピルアルコールの蒸気がほぼ完
全に燃焼し、炭酸ガスと水になり、もとの水蒸気と共に
処理済み物質とされる。生成した水は高温処理によって
当然に水蒸気になる。
【0020】液化過程(S−4)では、この処理済み物
質を冷却し、蒸気を凝縮させて凝縮水にする。即ち、高
温の水蒸気や炭酸ガス等を凝縮器4に導入し、通常30
℃程度までの工業用水等によって導入した混合気体を冷
却すると共に、真空ポンプ41によって脱気し、0.0
3MPa程度の圧力で約70℃の飽和温度まで冷却し、
水蒸気を凝縮させて液化すると共に、炭酸ガスや未反応
オゾンや余剰酸素等の非凝縮ガスを真空ポンプ41によ
って外部に排出する。その結果、ホットウエル42内に
最終的に純度が高く有機物含有量が大幅に低減された水
だけが溜められる。
【0021】発明者等は、以上のような本発明の装置及
び方法を用いて以下のような実験を行い、本発明の作用
効果を確認した。 〔実験条件〕 触媒充填槽: 寸法;直径40mm×長さ500mmの管 充填層の充填物;直径3〜5mmのセラミック球 触媒として白金を担持 原水(廃水):イソプロピルアルコール含有水 含有量;1000ppm(TOC) 処理量(原水流量):1.2kg/h 蒸発温度 :70℃ 酸化剤 :オゾンガス 濃度 ;約200g/Nm3 (電解式オゾン発生装置使
用) 注入量;1g/h 〔実施例1〕 触媒充填層温度:250℃ 凝縮水のTOC:4ppm 〔実施例2〕 触媒充填層温度:450℃ 凝縮水のTOC:0.5ppm 以上の実施例に対して、実験条件を変更し比較例として
触媒を用いない実験を行ったところ、次のような結果に
なった: 〔比較例1〕 充填層の充填物;直径3〜5mmのセラミック球(触媒
なし) 充填層の温度 :250℃ 凝縮水のTOC:1100ppm 〔比較例2〕 充填層の充填物;直径3〜5mmのセラミック球(触媒
なし) 充填層の温度 :450℃ 凝縮水のTOC:80ppm 以上の如く、本発明を適用した低沸点有機物含有廃水の
処理方法及び装置によれば、蒸発法で廃水処理をする場
合に、低沸点有機物の一例であるイソプロピルアルコー
ルが蒸発時に水蒸気中に不可避的に混入しても、これら
の混合気体に酸化剤としてオゾンガスを加えて触媒層を
通過させると共に、そのときの反応温度である触媒層温
度を適当な温度にすることにより、生成水中の有機物含
有量を目的とする値以下に下げることができる。
【0022】即ち、実施例1のように触媒層の温度を2
50℃程度にすれば、凝縮水のTOCが4ppm程度の
十分小さい値になり、通常の排水基準に十分適合させる
ことができる。又、実施例2のように触媒層の温度を4
00℃〜450℃程度にすれば、凝縮水のTOCが0.
5ppmになり、凝縮水を純水として再利用できるレベ
ルにすることができる。
【0023】以上のような装置によれば、廃水の蒸発し
た蒸気そのままの気相状態において、共沸随伴した低沸
点有機物の蒸気を水と炭酸ガスとに分解処理できるの
で、蒸発−中間加熱−凝縮という最も簡潔な操作によっ
てほぼ完全に廃水を処理することができる。従って、従
来技術の蒸発−凝縮−加熱(200℃程度まで)−再冷
却−気液分離という操作から成る方法及び装置であっ
て、処理過程が多いと共に、ヒータや気液分離塔や冷却
用熱交換器が追加され装置が複雑になる方法及び装置に
較べて、本発明の方法及び装置では、大幅な操作の容易
化、処理設備の簡素化及びコスト低減を図ることができ
る。
【0024】又、本発明の方法及び装置では、蒸気を加
熱するために過熱度の上昇に伴って蒸気の比容積が大き
くなるが、これに対しては触媒充填槽3及び凝縮器4の
形状を大きくすることによって容易に対応することがで
きる。そして、蒸気の飽和圧力としては大気圧までの値
を保持することにより、高価な耐圧容器を不要にし、こ
の点でもコスト低減を図ることができる。
【0025】一方、気化した有機物を燃焼させて処理す
るために、上記の如く主として水蒸気を有機物気化ガス
の燃焼可能温度まで昇温させる必要があるが、その温度
を400℃〜450℃程度まで加熱する場合であって
も、比熱の小さくなった水蒸気を加熱するため、それに
必要となる熱量は小さい。従って、従来技術の液体加熱
に較べて、加熱電力を同程度以下にすることができる。
又、冷却のための熱量に相当する冷却水量についても同
様である。更に、触媒充填槽3の出口に蒸気予熱器を配
置し、その内部の加熱管内又は胴体側の何れか一方に触
媒充填槽3を出た高温気体を流して通過させると共に、
触媒充填槽3に入る前の蒸気を他方側に流して高温気体
と熱交換させた後に触媒充填槽3に入れるようにすれ
ば、蒸気加熱用ヒータ32に加える熱量が少なくなり、
一層の省エネ化が図られる。
【0026】なお、本例では酸化剤として空気や酸素よ
りも一段と強力な高濃度オゾンガスを使用するので、触
媒の存在する高温下において確実に有機物ガスを反応さ
せ処理することができる。但し、運転条件が変わったり
効率面である程度の差が生じるが、酸素等の他の酸化剤
を使用することも可能である。
【0027】図3は本発明を適用した低沸点有機物廃水
の処理装置の他の例を示す。本例の装置は、図1の装置
と同様に蒸発缶、酸化剤供給系2、触媒充填槽3及び凝
縮器を有するが、二重効用型装置になっている。即ち、
本例の装置では、図1の蒸発缶1と凝縮器4とを一体形
成して蒸発兼凝縮器5にしていて、これに真空ポンプ5
1を接続していると共に、凝縮温度が蒸発温度よりある
程度高い温度になるように、蒸発兼凝縮器5を出た蒸気
及び酸化剤オゾンガスを触媒充填槽3に入れる前に圧縮
して昇圧された気体にする昇圧手段としての蒸気圧縮機
6を設けて、ベーパーコンプレッション式のヒートポン
プシステムを構成している。
【0028】即ち、蒸気加熱用ヒータ32の排熱を利用
して図1に示す蒸発用ヒータ11を不要にし、加熱管5
2によってヒータ32の熱エネルギーを回収させる省エ
ネ型設備にしている。なお、昇圧手段としては、上記圧
縮機に代えて、ブロワーやエゼクタ等の適当な低昇圧手
段を使用することができることは勿論である。
【0029】本例の装置も基本的には図1の装置と同様
に運転され同様の作用効果を発揮する。蒸発兼凝縮器5
では、真空ポンプ51によって器内が0.03MPa程
度の真空にされ、廃水は触媒充填槽3を出た混合気体に
よって加熱されて約70℃で蒸発する。このとき、イソ
プロピルアルコールのような低沸点有機物も蒸発する。
【0030】これらの蒸気にオゾンガスが添加された混
合気体は、蒸気圧縮機6によって0.04MPa程度の
圧力まで昇圧されて触媒充填槽3に送られ、図1の装置
の場合と同様に処理される。そして、水蒸気を主成分と
して炭酸ガスや酸素を含んだ混合気体はその圧力で20
0〜450℃程度の範囲の温度で蒸発兼凝縮器5の加熱
管52に導入され、過熱度を除去されてほぼ75℃で凝
縮し、過熱分の熱及び主として凝縮熱を廃水に与えてこ
れを蒸発させ、蒸発兼凝縮器5から排出され、処理済水
槽7に溜められた後ポンプ44に吸入され送水される。
この場合でも図1と同様に炭酸ガスや酸素などの非凝縮
気体は真空ポンプ51により系外に排出される。
【0031】なお、以上では蒸発兼凝縮器の凝縮側でも
75℃程度の真空凝縮方式にしているが、圧縮機を設け
る場合には自由に昇圧できるので、蒸発圧力を70℃程
度の真空蒸発にして、凝縮を大気圧下で行い、凝縮器部
分では例えば90℃程度までのドレンクーリングを行う
ようにした装置にすることも可能である。その場合に
は、通常、廃水等の処理をするまでに更に凝縮水を冷却
する必要があるが、圧力系を簡単な大気圧方式にするこ
とができる。
【0032】本例の装置によれば、図1の装置に較べ
て、蒸気圧縮機6が追加になるが、蒸発用ヒータ11が
不要になるので、ヒートポンプ効果によって総合的に省
エネ化が図られる。更に、従来の装置のように凝縮水を
再加熱した熱を回収するための熱交換器が不要になる。
又、蒸気圧縮機6は追加になるが、蒸発兼凝縮器5とい
う兼用器が設けられ、図1の蒸発器1及び凝縮器4の何
れかが不要になるので、この点でも総合的にコスト低減
が図られる。更に、工場用水等の冷却水及びその配管が
不要になり、加熱エネルギーの減少と共に運転コストを
低減させることができる。
【0033】なお以上では、低沸点有機物としてイソプ
ロピルアルコールの例を示したが、本発明の方法及び装
置は、他の種々の低沸点有機物を含む廃水の処理に適用
可能である。例えば、工業用水や井戸水や更に水道水で
あっても微量の有機物が含まれているので、これらの水
を使用した廃水を蒸発処理するときには、雑多な有機物
であって問題となる程度の低沸点有機物を含むことがあ
るが、そのような廃水に対しても本発明が効果的に適用
される。
【0034】又、本発明は低沸点の水に溶解し易い水溶
性の低沸点有機物を含む廃水に対して特に効果的である
が、例えばトリクロロエチレン等のように低沸点である
が水に対して難溶解性の有機物が廃水中に含まれていて
いもよい。即ち、このような有機物は、通常の廃水蒸発
処理においても、凝縮水中に溶解して残留することがな
いため処理可能であるが、本発明の方法及び装置によれ
ば、低沸点難溶解性有機物も蒸発時に蒸発し、触媒接触
槽3で燃焼処理されて炭酸ガスと水にされるので、有機
物ガスとしての大気放出が防止され、より高度な処理が
されることになる。
【0035】
【発明の効果】以上の如く本発明によれば、請求項1の
発明においては、低沸点有機物を含む廃水を蒸発させて
蒸気にし、この蒸気に酸化剤を加えてこれらを加熱され
た触媒層を通過させるので、触媒層において、触媒の存
在と酸化反応可能な温度条件の下で、酸化剤によって水
と共に蒸発した低沸点有機物の気化ガスを酸化燃焼させ
て水と炭酸ガスとに分解処理することができる。
【0036】このときには、低沸点有機物を燃焼させる
だけの温度にする必要があるが、気体である水蒸気を加
熱するためその熱量は少ない。又、蒸気加熱では水蒸気
の圧力を上昇させることなく過熱度を上げるだけでよい
ので、触媒層を有する容器を耐圧容器にする必要がな
い。更に、従来技術で水を飽和温度に従って加熱する場
合のように、加熱後の気液分離操作が不要になる。その
結果、処理操作が容易になると共に処理のための装置が
簡単で低コストのものになる。
【0037】このように処理された処理済み物質は、通
常、大部分を占める水蒸気と少量の炭酸ガス及び酸化時
に余剰になった酸素や残留オゾンで構成させ、これらの
処理済み物質を冷却し、蒸気を凝縮させた凝縮水にする
ので、低沸点有機物をほぼ完全に除去してその含有量を
十分低下させた純水に近い水にすることができる。炭酸
ガスや酸素等の非凝縮性ガスは、通常の凝縮処理の場合
と同様に、蒸気を凝縮させるときに真空ポンプやエゼク
タで排出される。
【0038】このように、請求項1の発明の方法によれ
ば、蒸発と凝縮という蒸発法による廃水処理における必
須の過程に、酸化剤添加と蒸気加熱との操作を追加する
だけであるので、操作過程が最小で容易な操作により少
ない消費エネルギーの下で、低沸点有機物を含む廃水を
有機物の十分除去された蒸留水に変換して処理すること
ができる。
【0039】請求項2の発明においては、低沸点有機物
を含む廃水の処理装置を、上記の操作処理が可能なよう
に蒸発器と酸化剤供給系と触媒充填槽と凝縮器とを設け
るので、簡易で低コストの装置構成により、操作過程が
最小で容易な操作により少ない消費エネルギーで低沸点
有機物を含む廃水を処理することができる。
【0040】請求項3の発明においては、上記に加え
て、蒸気と酸化剤とを触媒充填槽を通過させる前に圧縮
して昇圧させた気体にする昇圧手段を設けるので、蒸気
の圧力を上げてその飽和温度を上げることができる。そ
の結果、飽和温度の高くなった蒸気を凝縮させて水にす
るときに、その潜熱を蒸発器における廃水の加熱エネル
ギーに変換できるので、冷却水中に捨てることなく、省
エネを図ることが可能になる。又、触媒層加熱の熱量も
有効に利用される。
【0041】この場合、触媒充填槽で加熱膨張する前に
昇圧手段で昇圧させるので、圧縮機等の昇圧手段が小形
になると共に、圧縮熱を触媒層に持ち込み、触媒層の加
熱量を少なくすることができる。又、触媒層の加熱のた
めに当然に装備される加熱器を小形化することができ
る。
【0042】そして、蒸発器と凝縮器とを一体形成して
蒸発兼凝縮器とし、これによって昇圧された気体を凝縮
させ、凝縮熱で廃水を蒸発させるように構成するので、
ヒートポンプシステムにより、熱ロスを最小にして蒸発
と凝縮操作を行うことができる。又、蒸発器と凝縮器と
を兼用して何れか一方を省略し、設備の一層の簡素化と
コスト低減を図ることができる。更に、工業用水等の冷
却水及び冷却水供給設備を不要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した低沸点有機物を含む廃水の処
理装置の全体構成の一例を示す説明図である。
【図2】本発明を適用した低沸点有機物を含む廃水の処
理方法の構成例を示す説明図である。
【図3】本発明を適用した低沸点有機物を含む廃水の処
理装置の全体構成の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 蒸発缶(蒸発器) 2 酸化剤供給系 3 触媒充填槽 4 凝縮器 5 蒸発兼圧縮器 6 圧縮機(昇圧手段) 21 オゾン発生装置(酸化剤供給系) 31 触媒層 S−1 蒸発過程 S−2 酸化剤添加過程 S−3 酸化反応処理過程 S−4 液化過程

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低沸点有機物を含む廃水を蒸発させて蒸
    気にし、該蒸気に酸化剤を加え、前記蒸気と前記酸化剤
    とを加熱された触媒層を通過させて処理済み物質とし、
    該処理済み物質を冷却して前記蒸気を凝縮させた凝縮水
    にすることを特徴とする低沸点有機物を含む廃水の処理
    方法。
  2. 【請求項2】 低沸点有機物を含む廃水を蒸発させて蒸
    気にする蒸発器と、該蒸気に酸化剤を加える酸化剤供給
    系と、前記蒸気と前記酸化剤とを加熱された触媒層を通
    過可能にする触媒充填槽と、前記触媒充填槽を通過した
    処理済み物質を冷却して前記蒸気を凝縮させた凝縮水に
    する凝縮器と、を有することを特徴とする低沸点有機物
    を含む廃水の処理装置。
  3. 【請求項3】 前記蒸気と前記酸化剤とを前記触媒充填
    槽を通過させる前に昇圧された気体にする昇圧手段を設
    け、前記蒸発器と前記凝縮器とを蒸発兼凝縮器とし、前
    記昇圧された蒸気を前記蒸発兼凝縮器で凝縮させて凝縮
    熱で前記廃水を蒸発させるように構成したことを特徴と
    する請求項1に記載の低沸点有機物を含む廃水の装置。
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