JP2002191366A - 新規チロシナーゼ遺伝子melB - Google Patents
新規チロシナーゼ遺伝子melBInfo
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Abstract
クローニングが行われ、その塩基配列も決定された。ま
た、このクローニングされた上記の新規遺伝子をベクタ
ーに挿入することにより宿主(麹菌)を形質転換した。 【効果】 本遺伝子は固体培養で発現するという特徴を
有するものであり、清酒麹の褐変防止、醸造食品の着色
防止に利用することができる。また、この形質転換体を
培養して本チロシナーゼを生産し、これを試薬として利
用できるだけでなく、そのインヒビターのスクリーニン
グにも利用することができ、着色防止物質の開発も期待
することができる。
Description
遺伝子に関するものであり、詳細には、特に固体培養に
おいて高発現する麹菌由来の新規チロシナーゼ遺伝子に
関するものである。本発明によれば、Aspergil
lus oryzaeより新規に単離したチロシナーゼ
遺伝子を利用することにより、チロシナーゼを効率的に
生産できるだけでなく、清酒麹の褐変防止、醸造食品そ
の他の飲食品の着色防止、着色防止物質の開発など、様
々な産業分野での利用を可能にするものである。
ゼによる、メラニン物質の生産があげられる。これは食
品中のチロシンがチロシナーゼにより酸化されドーパ
(DOPA)と呼ばれる物質に変化し、これが前駆体と
なってメラニンが合成されることによる。この反応には
酸素が必要となるため、多くの場合食品が酸素にふれる
ことにより、急速に褐変化が起こる。チロシナーゼによ
る食品の褐変化は、椎茸などのキノコ類からリンゴ、ナ
シなどの果実類まで多くの食品で見られる現象である。
食品が褐変することは外観品質を著しく低下させること
であり、褐変防止には多くの努力が払われてきている。
的に酒粕中に黒い米粒として存在する「黒粕」現象が大
きな問題となっている。清酒発酵中は米麹は清酒もろみ
中に存在するため、酸素が必要なチロシナーゼによる酸
化反応は起こらない。しかしもろみを圧搾し、酒粕を分
離した時点で酸素に接触することになり、チロシナーゼ
による酸化反応が進行し、麹部分のみが黒く褐変する。
現在ではこのような褐変反応を生じない、非褐変性の麹
菌株を使用することにより黒粕を防止している。
するため麹菌のチロシナーゼ遺伝子(melO)が取得
されている(Biochim.Biophys.Acta.,1261(1)、p.151、
1995)。このmelO遺伝子には、チロシナーゼ活性を
持つ蛋白がコードされており、確かにチロシナーゼ遺伝
子であることが確認されている。しかしながら、本発明
者らはこのmelO遺伝子の発現条件を検討した結果、
本遺伝子は液体培養で強力に発現する遺伝子であり、固
体培養(麹培養)ではほとんど発現していないことを明
らかにした。これは米麹の褐変に関与するチロシナーゼ
はme1O遺伝子とは異なる新規なチロシナーゼ遺伝子
にコードされていることを強く示唆するものである。ま
たこの新規チロシナーゼこそが、米麹の褐変現象はもと
より味噌、醤油など麹を用いる食品の着色に大きく関与
していると考えられる。従ってこれら醸造食品の褐変を
防止するためには、melOとは異なる新規なチロシナ
ーゼを単離して解析する必要がある。
する課題は、製麹等の固体培養でも褐変が依然として生
じている現状に鑑み、melOとは異なる固体培養で大
量に発現するチロシナーゼ遺伝子を単離することであ
る。そしてこの新規チロシナーゼ遺伝子を用いて、米麹
の褐変防止など食品の褐変防止に広く利用することであ
る。
を達成するためになされたものであって、先ず、既に単
離されているチロシナーゼ遺伝子(melO)の発現条
件についての検討を行い、その結果、melO遺伝子は
液体培養では大量に発現しているものの、固体培養(麹
培養)ではほとんど発現していないことを確認した。
レポーター遺伝子として大腸菌のβ−グルクロニダーゼ
(GUS)遺伝子を連結したプロモーター解析用プラス
ミドを構築し、これを麹菌に導入して行った。すなわ
ち、この遺伝子導入株を、様々な培養条件で培養し、菌
体内のGUS活性を測定することにより、melOプロ
モーター発現を定量化する。その結果、液体培養では4
040U/mgと非常に高いGUS活性が得られたが、
固体培養では1/100程度の活性しか認められなかっ
た。固体培養(麹培養)ではチロシナーゼ活性が認めら
れ、褐変化現象も起こる。これらの結果は、固体培養で
はmelOとは異なる新規チロシナーゼ遺伝子が発現し
ていることを示唆するものであった。
なる現象は、既にグルコアミラーゼ遺伝子で証明されて
いる。すなわち、麹菌(A.oryzae)には2種類
のグルコアミラーゼ遺伝子が存在する。1種類はグルコ
アミラーゼA遺伝子(glaA)であり、液体培養にお
いて発現し、固体培養ではほとんど発現しない。一方も
う1種類のグルコアミラーゼ遺伝子B(glaB)は固
体培養でのみ大量に発現する。そしてこのglaB遺伝
子にコードされるグルコアミラーゼ蛋白は、糖含量が非
常に高いなど固体培養での活性維持に非常に有用な性質
を持っている。このように麹菌は、同じ活性を持つ酵素
であっても、培養条件によって異なる遺伝子を発現させ
ていることが明らかとなっている。チロシナーゼにおい
ても液体培養と固体培養では異なる遺伝子が発現されて
いる可能性は非常に高い。
ーゼ遺伝子の単離を試みた。具体的には、フスマ培養を
行ったA.oryzaeの菌体よりmRNAを調製し、
このmRNAから合成したcDNAライブラリーを構築
する。このライブライリーの塩基配列を網羅的に決定
し、各配列と既知遺伝子データーベースとのホモロジー
を検索する。これらのcDNAクローンからの糸状菌チ
ロシナーゼ遺伝子と高いホモロジーを示すクローンを検
索し、本クローンからA.oryzaeの新規チロシナ
ーゼ遺伝子を単離する。単離したチロシナーゼ遺伝子の
ノザン解析を行うことにより、本遺伝子が固体培養で特
異的に発現している遺伝子であることを確認する。
を行うことにより、本遺伝子がチロシナーゼ活性を持つ
蛋白をコードしかつ、米麹の褐変現象に関与しているこ
とを証明する。以下に、本発明の詳細について述べる。
するため、melOプロモーターの発現解析を行った。
まずGUS遺伝子を含むプラスミド(pNGS1)
(H. Ishidaら、J. Ferment. Bioeng.86、 301-30
7、1998 )のPstI、SalIギャップに、melO遺伝子の開
始コドンATG上流1100bpを挿入し、図9に示すよ
うなプロモーター解析用プラスミドを構築する。このプ
ラスミドを麹菌に導入すると、melOプロモーターの
支配下でレポーター遺伝子(GUS)が発現することに
なり、GUS活性を測定すればプロモーターの発現量が
定量化できる。作成したプラスミドを麹菌A.oryz
ae 1013−niaD株に導入し、マーカー遺伝子
であるniaD遺伝子が導入されて、硝酸資化能が回復
した株を形質乾換体として選択した。さらに得られた形
質転換体をサザン解析を行い、導入したプラスミドが染
色体のniaD locusに1コピーだけ組み込まれ
た株をmelOプロモーター解析株として以下の検討を
行った。このmelO解析株を液体培養と固体培養(米
麹培養)を行い、菌体内のGUS活性を測定した。その
結果、液体培養では4040U/mgと非常に高い活性
が認められたのに対して、固体培養では48U/mgと
非常に低い活性しか得られなかった。
討した。固体培養で特異的に発現する遺伝子glaB
は、培養温度を40℃以上の高温で培養すると発現誘導
が認められ、実際の米麹培養においても培養後期に品温
が40℃以上にまで上昇する。しかしmelO遺伝子
は、高温では発現が抑制され、逆に20℃などの低温で
発現誘導が認められた。これらの結果は、melO遺伝
子は固体培養、特に麹培養においてほとんど発現してい
ないことを示している。しかしながら、固体培養におい
てもチロシナーゼ活性は認められ、褐変現象も起こって
いる。これは固体培養で生産されるチロシナーゼはme
lOとは異なる新規なチロシナーゼ遺伝子にコードされ
ていることを強く示唆するものである。
法に従いmRNAを調製し、これよりcDNAライブラ
リーを作成した。このcDNAを網羅的に配列を決定
し、EST情報を収集した。この中から、マッシュルー
ムのチロシナーゼ遺伝子に対してホモロジーを示すクロ
ーンを抽出することができた。このESTクローンの配
列を用いて、A.oryzaeゲノムライブラリーから
チロシナーゼ遺伝子の単離を試みた。具体的には、ES
T配列情報から2種類のプローブを作成し、A.ory
zaeゲノムDNAをテンペレートとしてPCR反応を
行う。増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、抽出
したESTクローンに対応したゲノムDNAであること
を確認する。
A.oryzaeのEMBL3ファージライブラリーか
ら、プラークハイブリダイゼーションにより目的(ポジ
ティブ)クローンを抽出する。得られたポジティブクロ
ーンをテンペレートとして塩基配列を決定する。シーケ
ンス解析用のプローブをいくつか作成することにより、
プロモーター、ターミネーター領域を含むチロシナーゼ
遺伝子の全塩基配列の決定に成功した。
に分断された7つのエキソンとして存在し、そのコーデ
ィング領域には616アミノ酸がコードされていた。m
elO遺伝子とのアミノ酸レベルでのホモロジーは24
%であったが、マッシュルームのチロシナーゼなどで保
存性の高い領域については、さらに高いホモロジーを示
した。以上の結果より、この遺伝子はチロシナーゼ遺伝
子である可能性が高く、melB遺伝子と命名した。
ためノザン解祈を行った。DPY培地を用いた液体培養
と白米を用いた麹培養を行い、それぞれの培養物から常
法に従いRNAを抽出した。先のmelB遺伝子の一部
をプローブとして、両方のRNAに対してノザンハイブ
リダイゼーションを行った。その結果液体培養から得ら
れたRNAには全くシグナルが認められないのに対し
て、固体培養から得られたRNAには非常に強いハイブ
リダイズシグナルが検出された。これはmelB遺伝子
が液体培養ではほとんど発現せず、固体培養(麹培養)
で非常に強く発現していることを示すものである。
め、本遺伝子の麹菌への導入を試みた。プロモーター、
ターミネーターを含むme1B遺伝子(4.2kb)を
麹菌の形質転換用ベクターpIN93に挿入し、麹菌宿
主niaD変異株(工業技術院生命工学工業技術研究所
寄託FERM P−17707)株に導入した。mel
B遺伝子を単コピーで導入した形質転換体(TmelB
株:工業技術院生命工学工業技術研究所寄託FERM
P−18134)を用いて麹を作成した所、宿主株に較
べて高い褐変性を示した。次にこれらの麹の抽出液のチ
ロシナーゼを比較した結果、TmelB株の活性は宿主
株に比べて2倍に上昇していることが明らかとなった。
は、チロシナーゼ活性を有する蛋白がコードされてお
り、このチロシナーゼが麹菌の固体培養における褐変現
象に強く関与していることが示された。このように本発
明に係るmelB遺伝子は新規なものであって、従来既
知のチロシナーゼとは異なる新規チロシナーゼをコード
する遺伝子、該新規チロシナーゼ活性を有するタンパク
質をコードする遺伝子、これらの遺伝子の少なくともひ
とつを含有する遺伝子、から選ばれる少なくともひとつ
を指示するものである(以下、単にmelB遺伝子とい
うこともあり、その塩基配列を配列表の配列番号2、及
び、図面の図4、図5、図6に示す。)
melB遺伝子は、これを宿主に導入して発現せしめ、
チロシナーゼ又はチロシナーゼ酵素活性を有するタンパ
ク質を製造するものである。なお、本発明において、チ
ロシナーゼ酵素活性を有するタンパク質にはチロシナー
ゼも包含されるものであって、そのアミノ酸配列は配列
番号1(図1、図2、図3)に示される。
新規チロシナーゼ(又はその酵素活性を有するタンパク
質)は、試薬として各方面で有効に利用することがで
き、他方、このようにして単離したmelB遺伝子につ
いては、これを遺伝子破壊、遺伝子発現抑制等を行うこ
とによって、麹や各種飲食品の褐変を防止することがで
きるし、また、このmelB遺伝子にコードされるチロ
シナーゼは上記のように試薬として利用するほか、その
インヒビターをスクリーニングすることにより、麹や各
種飲食品の褐変防止剤を新たに開発することも期待され
る。以下、本発明の実施例について述べる。
発現強度 先ず、melO遺伝子の固体培養と液体培養での発現強
度について、図9に示すプロモーター解析用プラスミド
pmelO−GUSを構築し、これを用いて発現強度を
測定した。
1)は、形質転換用マーカーであるA.oryzaeの
niaD遺伝子(S.Unklesら、Mol. Gen. Genet., 21
8、p.99-104、1989)と、レポーター遺伝子である大腸
菌のβグルクロニダーゼ(GUS)をコードするuid
A遺伝子(R. A. Jeffersonら、Proc. Natl. Acad. Sc
i., p.8447-8451、1986)を含む。このプラスミドのu
idA遺伝子の上流域(例えばSalI、PstIサイ
ト)に、melOプロモーターを挿入し、得られたこの
プラスミドを麹菌に導入すると、melOプロモーター
の支配下でレポーター遺伝子(GUS)が発現すること
になり、GUS活性を測定すれば、プロモーターの発現
量が定量化できるのである。
のPst1/SalIギャップに、melO遺伝子の開
始コドンATGの上流1100bpを挿入し、構築され
たプロモーター解析用プラスミドをA.oryzae
(Aspergillus oryzae O−101
3:本菌株は、工業技術院生命工学工業技術研究所にF
ERM P−16528として既に寄託されている)の
niaD変異株(硝酸資化能欠損株、Nitrate
Reductase欠損株;Aspergillus
oryzae 1013−niaD:本菌株は、工業技
術院生命工学工業技術研究所にFERM P−1770
7として既に寄託されている)に導入し、マーカー遺伝
子であるniaD遺伝子が導入されて、硝酸資化能が回
復した株を形質転換体として選択した。さらに得られた
形質転換体をサザン解析を行い、導入したプラスミドが
染色体のniaD locusに1コピーだけ組み込ま
れた株をmelOプロモーター解析株として、以下の検
討を行った。
固体培養(米麹培養)を行い、菌体内のGUS活性を測
定した。その結果、液体培養では4040U/mgと非
常に高い活性が認められたのに対して、固体培養では4
8U/mgと非常に低い活性しか得られなかった。この
ことから、麹の褐変にはmelO遺伝子は関与していな
いと考えられ、麹には他のチロシナーゼ遺伝子が存在す
ることが示唆された。
ラリー(ESTライブラリー)の中より、A.oryz
aeのmelO遺伝子に相同性の高いクローンJZ44
95を選択した。次にこのクローンをプローブとしてE
MBL3ファージを用いたアスペルギルス・オリゼーO
−1013株(工業技術院生命工学工業技術研究所寄託
FERM P−16528)の染色体ジーンライブラリ
ーより、プラークハイブリダイゼーション法によりme
lB遺伝子をクローニングした。プローブとしては、2
種類のオリゴDNAを用いて染色体DNAをPCR法に
より増幅したDNAを用いた。
オリゴDNA#1であって、その塩基配列は配列番号3
(図7)に示され、他方は、オリゴDNA#2であっ
て、その塩基配列は配列番号4(図8)に示される。
クローンの中から、上記のプローブとハイブリダイズす
るクローンλTR99を単離した。上記のオリゴDNA
をプライマーとしてジデオキシ法によりDNA塩基配列
を決定し、本クローンが確かに目的のmelB遺伝子で
あることを確認した。
melB遺伝子の全塩基配列の決定を行った。プロモー
ター部分、コーディング領域、ターミネーター部分をあ
わせて4.2kbの配列を決定した(配列番号2:図
4、図5、図6)。上記配列の内、1位置から1436
位置までがプロモーター部分であり、1437位置から
3635位置までがコーディング領域であり、3636
位置から4174位置までがターミネーター部分であ
る。
から、melB遺伝子には6つのイントロンが存在し、
そのコーディング領域は、2.2kbpであって(更に
詳細には、1437位置のATGから3635位置のG
CCまでの2199bp)、塩基配列から推定されるタ
ンパク質は616残基であることが明らかとなった(配
列番号1:図1、図2、図3)。なお、melO遺伝子
とmelB遺伝子の構造の比較を下記表1に示す。
いて、実施例1と同様にして、図10に示すプロモータ
ー解析用プラスミドpmelB−GUSを構築し、これ
を用いて発現強度を測定した。
に、melB遺伝子の開始コドンATG上流1.4kb
pを挿入し、プロモーター解析用プラスミドpmelB
−GUSを構築した。(図10)このプラスミドを麹菌
に導入すると、melBプロモーターの支配下でレポー
ター遺伝子(GUS)が発現することになり、GUS活
性を測定すればプロモーターの発現量が定量化できる。
作成したプラスミドを麹菌A.oryzae 1013
−niaD株に導入し、マーカー遺伝子であるniaD
遺伝子が導入されて、硝酸資化能が回復した株を形質転
換体として選択した。さらに得られた形質転換体をサザ
ン解析を行い、導入したプラスミドが染色体のniaD
locusに1コピーだけ組み込まれた株をmelB
プロモーター解析株として以下の検討を行った。
固体培養(米麹培養)を行い、菌体内のGUS活性を測
定した。その結果、液体培養では45U/mgと低い活
性しか得られなかったのに対して、固体培養では285
0U/mgと非常に高い活性が得られた。また、液体培
養では褐変が認められなかったのに対し、固体培養では
褐変が認められた。このことから、麹の褐変にはmel
B遺伝子が関与しているものと考えられた。
体培養と固体培養(麹培養)を行い、それぞれの培養物
から常法に従いRNAを抽出した。melB遺伝子の一
部をプローブとして、両方のRNAに対してノザンハイ
ブリダイゼーションを行った。その結果液体培養から得
られたRNAには全くシグナルが認められなかったのに
対して、固体培養から得られたRNAには非常に強いハ
イブリダイズシグナルが検出された。
遺伝子(4.2kb)を麹菌の形質転換用ベクターpI
N93に挿入した、melB発現プラスミドpmelB
−niaを構築した(図11)。このpmelB−ni
aを麹菌宿主niaD変異株(工業技術院生命工学工業
技術研究所寄託FERM P−17707)株に常法に
従い導入した。このようにして得た、melB遺伝子を
単コピーで導入した形質転換体(TmelB−11株)
をアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus
oryzae)TmelB−11と命名し、工業技術
院生命工学工業技術研究所にFERM P−18134
として寄託した。そして、この形質転換体(TmelB
−11株)を用いて麹を作成した。
て高い褐変性が観察された。このことから遺伝子導入株
ではmelBが強く発現していることが示唆された。
チセンス遺伝子を作成した。これをアスペルギルス・オ
リゼーM−NS4(国税庁醸造研究所より分与)に導入
し、固体培養(麹培養)を行った。これにより通常のm
elBのmRNAがアンチセンス遺伝子のmRNAと結
合し、蛋白を作れなくなる。その結果、アンチセンス遺
伝子を導入した株の麹の褐変が抑制された。
ル遺伝子を多コピー導入し、固体培養(麹培養)を行っ
た。これによりタイトレーションが起こり、本来のme
lBの働きが弱くなる。その結果、やはり麹の褐変が抑
制された。これらのことから、melBを抑制すること
により、麹の褐変が抑制されることが分かった。
シナーゼ(melB)を大量に生産することが可能とな
り、清酒麹の褐変防止、醸造食品の着色防止、着色防止
物質の開発など様々な産業分野に利用することを可能に
するものである。また本発明は麹菌の酵素を麹菌で生産
させるため、生産される酵素蛋白は非常に安全性が高
く、食品、医薬品、化粧品産業などへも応用が可能な画
期的な技術である。
を示す。
示す。
す。
aを示す。
Claims (7)
- 【請求項1】 配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列
を有するチロシナーゼ酵素活性を有するタンパク質。 - 【請求項2】 配列番号2の塩基配列で示される、請求
項1に記載のタンパク質をコードする遺伝子のDNA。 - 【請求項3】 請求項2に記載のDNAの内、少なくと
もコーディング領域を含んでなる組換えベクター。 - 【請求項4】 組換えベクターpmelB−nia。
- 【請求項5】 請求項3又は4に記載の組換えベクター
を麹菌に導入してなる形質転換体。 - 【請求項6】 Aspergillus oryzae
TmelB−11(FERM P−18134)。 - 【請求項7】 請求項5又は6に記載の形質転換体を利
用すること、を特徴とするチロシナーゼ酵素活性を有す
るタンパク質を生産する方法。
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