JP2002188680A - 振り子式動吸振器 - Google Patents

振り子式動吸振器

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JP2002188680A
JP2002188680A JP2000391705A JP2000391705A JP2002188680A JP 2002188680 A JP2002188680 A JP 2002188680A JP 2000391705 A JP2000391705 A JP 2000391705A JP 2000391705 A JP2000391705 A JP 2000391705A JP 2002188680 A JP2002188680 A JP 2002188680A
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weight
dynamic vibration
vibration absorber
shaft
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JP2000391705A
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Kazumichi Kato
一路 加藤
Takeshi Sato
雄志 佐藤
Nobuhiro Saito
伸浩 斎藤
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Shinko Electric Co Ltd
Original Assignee
Shinko Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固有振動数の調整を容易に行うことができ、
また、錘が重心回りに回転できる場合には、固有振動数
の最大値をできるだけ大きく取る。 【解決手段】 錘9側の振り子腕7,7の一端は、外側
に向けて屈曲しており、該屈曲部分に、負荷用錘20,
20が取り付けられている。負荷用錘20,20は、大
きさ(質量)の異なる複数個の錘からなり、振り子腕
7,7にネジなどの固定部材21,21で着脱可能に固
定されている。負荷用錘20,20の数や、質量などを
変えることで、振り子式動吸振器の固有振動数を調整す
ることが可能となっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振り子の振動数を
動吸振器の設計法に基づいて調整し、動吸振作用により
制振対象体を制振させる振り子式動吸振器に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は、従来技術の一例に係る振り子式
動吸振器の原理構成を示す概念図である。図において、
制振対象体(質量MS,ばね定数KS)2は、固有振動数
ωSで振動している。該制振対象体2には、振動方向と
鉛直方向とを含む平面内において固有振動数ωpで振れ
るように設定された、ベース板4、ダンパ5、錘9、振
り子腕7からなる振り子式動吸振器1(錘質量MP,腕
の長さLP,慣性モーメントJP)が取り付けられてい
る。なお、ダンパ5は、減衰定数CPを有し、振り子の
回転方向または振動の方向に作用し、振り子腕7の振り
子振動に対して減衰作用を働かせる。
【0003】次に、上述した振り子式動吸振器の原理を
具体的に実現した、従来技術による振り子式動吸振器に
ついて説明する。ここで、図7は、図6に示す原理に基
づいて構成された、従来技術による第1の振り子式動吸
振器の一構成例を示す側面図および正面図である。
【0004】図7に示す第1の振り子式動吸振器1は、
図6に示す制振対象体2に接続されたベース板4と、該
ベース板4に取り付けられたダンパ5と、該ダンパ5を
介して回転可能に装着されたシャフト(回転中心軸)6
と、該シャフト6に接続された2本の振り子腕7,7
と、2本の振り子腕7,7によって両側から挟み込まれ
て、各固定部材8,8によって振り子腕7,7に固定さ
れた錘9とを備えている。
【0005】ダンパ5は、例えば回転式の油圧ダンパま
たはオイルダンパまたはオイルフィルムダンパなどによ
り実現されており、鉛直方向と制振対象体2の振動方向
とを含む平面に直交する方向に伸びるシャフト6の回転
運動、つまり振り子腕7の振り子振動に対して減衰作用
を働かせる。なお、動吸振器としてのばねは、重力ばね
により実現されている。
【0006】振り子腕7は、シャフト6の延在方向と直
交する方向に伸びるようにして配置され、振り子腕7の
一方の端部はシャフト6に接続され、他方の端部には錘
9が固定されている。また、振り子腕7,7には、等価
的な振り子腕長さLPを変えるための複数の孔10,1
0,…が設けられており、錘9は、所望の振り子腕長さ
の位置に固定部材8,8によって固定される。
【0007】錘9は、振り子腕7,7を介してシャフト
6に固定されており、剛体振り子を構成している。な
お、図示していないが、シャフト6は、ベース板4に取
り付けられたベアリングにより滑らかに回転することが
でき、回転中心軸を中心とする振り子となっている。な
お、錘9は、振り子腕7,7にネジなどの固定部材8,
8で固定されているので、重心回りの回転を拘束されて
いる。
【0008】次に、図8は、従来技術による第2の振り
子式動吸振器の一構成例を示す側面図および正面図であ
る。なお、図6または図7に対応する部分には同一の符
号を付ける。図8において、第2の振り子式動吸振器
は、錘9が重心回りに回転可能な構造を有している。錘
9は、ベアリングなどを介して固定部材8,8により錘
用軸10に接続され、該錘用軸11を回転中心軸として
滑らかに回転できるようになっている。振り子腕7,7
には、腕に沿って長孔12,12が設けられており、錘
9は、該長孔12,12に固定部材8,8で固定されて
いる。固定部材8,8を緩めることにより、錘9(およ
び錘用軸10)を上下に動かして振り子腕長さLPを調
節することが可能となっている。
【0009】上述した従来技術による第1および第2の
振り子式動吸振器は、一般の直線式の動吸振器と比べる
と、軽量、コンパクトな構成が可能であり、固有振動の
調整も等価振り子腕長さを変えることにより容易に実現
できる。
【0010】A)通常の動吸振器の設定通常の直線式の
動吸振器(質量MT[kg],ばね定数KT[N/m],
減衰定数CT[Nsec/m],固有振動数ωT[rad
/sec])では、通常の動吸振器の設計方法によれ
ば、次の条件を満たすように動吸振器のパラメータを設
定すると、制振対象の振動を有効に抑えることができ
る。
【0011】1)質量比μ(=MT/MS)を大きく設定
する。(質量比μを大きくとる方が制振性能は向上す
る)
【0012】2)同調比γ(=ωT/ωS)を数式(1)
に示すように設定する。
【0013】
【数1】
【0014】3)動吸振器の減衰比ζTを数式(2)に
示すように設定する。
【0015】
【数2】
【0016】B)振り子式動吸振器の作用 図6に示す振り子動吸振器1は、次の数式(3)で表わ
される。ここで、TP[Nm]は振り子動吸振器に作用
する外部からのトルクである。
【0017】
【数3】
【0018】振り子の振れ角度θが小さい場合で、si
nθ=θと近似すると、
【0019】
【数4】
【0020】さらに、X2=LPθと近似すると、直線式
の動吸振器に等価な式が得られる。
【0021】
【数5】
【0022】したがって、振り子式動吸振器1では、振
り子の振れ角度θが小さい範囲では、下記数式(6)〜
(9)に示すように換算することで、直線式の動吸振器
とみなすことができる。
【0023】
【数6】
【0024】
【数7】
【0025】
【数8】
【0026】
【数9】
【0027】換算値に直線式動吸振器の設計法を適用し
て、振り子式動吸振器のパラメータを設定することによ
り、制振対象の振動を有効に抑えることができる。
【0028】C)振り子動吸振器のタイプと固有振動数 図7に示す第1の振り子式動吸振器、図8に示す第2の
振り子式動吸振器について、取りうる最大の固有振動数
について述べる。
【0029】剛体振り子のモデルを図9に示す。ここ
で、J1は、回転中心軸(重心回りの慣性モーメン
ト)、J2は、振り子腕(重心回り+回転中心回りの慣
性モーメント)、J3は、錘用軸(重心回り+回転中心
回りの慣性モーメント)、J4は、錘(重心回り+回転
中心回りの慣性モーメント)、rPは、錘の半径であ
る。上述した数式(9)において、JPは、J1〜J4
和であるが、J4に比べ、J1〜J3は十分小さい。そこ
で、簡単のため、JP≒J4とすると、固有振動数ωP
次の数式(10)に書き改められる。
【0030】
【数10】
【0031】数式(10)において、MPP 2は、回転
中心回りの慣性モーメント、MPP 2/2は、錘9の重
心回りの慣性モーメントである。
【0032】第1の振り子式動吸振器:錘9が重心回
りに回転しない場合 振り子腕長さが最小となるのは、回転中心軸と錘の外周
が接触する時である。したがって、LP≒rPとすれば、
数式(10)より取りうる固有振動数は、次の数式(1
1)と置きかえられ、錘9の半径が小さいほど最大固有
振動数は大きくなる。
【数11】
【0033】第2の振り子式動吸振器:錘が重心回り
に回転できる場合 錘9と錘用軸10とをベアリング等でつなぎ、錘9が錘
用軸10に対して滑らかに回転できる場合、錘9の重心
回りの慣性モーメントは、MPP 2/2≒0と見なせる
ため、第2の振り子式動吸振器の固有振動数は、次の数
式(12)で表わすようになる。
【0034】
【数12】
【0035】数式(12)は、単振り子の固有振動数を
表す式であり、錘9の質量や半径に関係なく振り子腕長
さLPによってωPが決まる。また、固有振動数の最大値
は、LP≒rPとした場合となる。
【0036】以上の結果より、錘9が重心回りに回転で
きる第2の振り子式動吸振器の方が振り子の最大固有振
動数は大きくなる。しかし、部品数や加工数が増えるた
め、コスト高となる。どちらのタイプの動吸振器を選択
するかは、必要な動吸振器の固有振動敵(制振対象の固
有振動数)やコストに応じて行う必要がある。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、第1
および第2の振り子動吸振器においては、振り子腕長さ
Pを変えることにより固有振動数ωPを調整することが
できる。これは、様々な制振対象に対応できるようにす
るためと、個体差を持つ複数の同一制振対象にも対応で
きるようにするためである。
【0038】しかしながら、上述した従来技術では、大
型構造物(例えば液晶・半導体搬送用高層スタッカ)等
の揺れ制振に用いる場合、制振対象の質量MSが大きい
ため、振り子動吸振器1の錘9の質量MPも大きくする
必要がある。その際、以下のような問題が発生する。
【0039】固有振動数の調整が困難になる。つまり、
錘9毎の錘用軸を振り子腕7,7の長孔11内で動か
し、固定部材8,8で振り子腕7,7に固定する必要が
ある。錘9の質量MPが大きい場合(50〜60kg以
上)、固有振動数の調整のためにクレーン等の機械が必
要になってしまう。また、動吸振器が高所に設置される
場合、固有振動数の調整作業に危険を生じる恐れがあ
る。
【0040】また、錘9が重心回りに回転可能な、第2
の振り子式動吸振器のような場合、固有振動数の調整に
関して剛体振り子の構造的な問題も起こる。振り子腕長
さL Pは、以下の理由で最小値が決まり、結果として固
有振動数の取りうる上限値が決まってしまう。すなわ
ち、図10に示すように、錘9の半径によって振り子腕
長さの最小値LP(min)が決まる。つまり、シャフト
6と錘9が接触する直前の位置が振り子腕長さの最小値
となる。仮に、錘9が長く半径が小さく場合において
も、図11に示すように、ベース板4と固定部材8,8
とが接触する直前の位置が振り子腕長さの最小値LP(m
in)となる(固定部材8,8は、ナットなどであるた
め、突出部13と接触していてはならない)。また、錘
9の質量MPが大きいほど、錘9を支えるシャフト6や
振り子腕7,7が強度を持たせるため大きくなり、最小
振り子腕長さLP(min)が大きくなってしまう。
【0041】この発明は上述した事情に鑑みてなされた
もので、固有振動数の調整を容易に行うことができ、ま
た、錘が重心回りに回転できる場合には、固有振動数の
最大値をできるだけ大きく取ることができる振り子動吸
振器を提供することを目的とする。
【0042】
【課題を解決するための手段】上述した問題点を解決す
るために、請求項1記載の発明では、制振対象体に固定
された固定部材と、鉛直方向と前記制振対象体の振動方
向とを含む平面に直交する方向に伸びた回転運動可能な
シャフトと、前記シャフトの回転に伴って揺動可能とな
るように設けられた錘とを備える振り子の振動数を、前
記制振対象体の質量ならびに前記錘の質量の比に応じて
設定し、動吸振作用により前記制振対象体の振動を抑制
する振り子式動吸振器であって、前記振り子に着脱可能
に装着された負荷用錘を具備することを特徴とする。
【0043】また、請求項2記載の発明では、請求項1
に記載の振り子式動吸振器において、前記シャフトの回
転に伴って揺動可能となるように、前記シャフトに一方
の端部が固定され、他方の端部に前記錘が装着された振
り子腕部を具備することを特徴とする。
【0044】また、請求項3記載の発明では、請求項2
記載の振り子式動吸振器において、前記負荷用錘は、前
記振り子腕部の他方の端部に装着されることを特徴とす
る。
【0045】また、請求項4記載の発明では、請求項1
に記載の振り子式動吸振器において、前記錘は、前記シ
ャフトの回転中心に対してずれた回転中心を有する状態
で、前記シャフトに装着されることを特徴とする。
【0046】また、請求項5記載の発明では、請求項4
記載の振り子式動吸振器において、前記負荷用錘は、前
記錘に装着されることを特徴とする。
【0047】この発明では、制振対象体に固定された固
定部材と、鉛直方向と前記制振対象体の振動方向とを含
む平面に直交する方向に伸びた回転運動可能なシャフト
と、前記シャフトの回転に伴って揺動可能となるように
設けられた錘とを備える振り子に負荷用錘を着脱可能に
装着する。従って、振り子の腕長さではなく錘より質量
の小さい負荷用錘を取り扱うことで、現場において、振
り子式動吸振器の固有振動数を容易に調整することが可
能となる。また、無負荷状態であれば取りうる最大の固
有振動数を持つことができる。また、固有振動数の調整
が不可能な剛体振り子に負荷用錘を取り付けることによ
って剛体振り子の固有振動数を調整可能とすることが可
能となる。また、シャフトに直付けすることにより、構
造がより単純になり、かつ部品数が少ないため、コスト
を安くすることが可能となる。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係る
振り子式動吸振器ついて図面を参照しながら説明する。
【0049】A.発明の原理 本発明による振り子式動吸振器では、振り子腕長さLP
は、固有振動数の可変範囲の上限になるように可変では
なく一定となるように設定されている。錘は、ネジ止め
・溶接・嵌め合いなどの固定方法により、振り子腕に固
定される。
【0050】錘側の振り子腕の一端には、負荷用の錘
(以下、負荷用錘)が取り付けられている。これによ
り、振り子の慣性モーメントに負荷用錘の重心回りの慣
性モーメントと振り子回転中心回りの慣性モーメントと
が付加されることにより振り子の固有振動数を調節す
る。この振り子の振動数は、制振対象体の質量ならびに
錘の質量の比に応じて設定される。
【0051】なお、負荷用錘の取り付け場所は、振り子
腕、錘、錘用軸などが考えられ、取付け位置そのものは
本発明の適用範囲を狭めるものではない。また、負荷用
錘の質量(材質)、形状は、必要な慣性モーメントによ
り決まるものであり、質量と形状そのものは本発明の適
用範囲を狭めるものではない。また、取り付ける負荷用
錘は、慣性モーメントが所望の値になるのであれば、1
個でもよいし、形状の異なるものが複数個取り付けられ
てもよい。
【0052】本発明は、錘が重心回りに回転しない(錘
の重心回りの慣性モーメントあり)場合にも、重心回り
に回転できる(重心周りの慣性モーメントを無視でき
る)場合にも適用できる。
【0053】B.第1の実施形態(錘が重心回りに回転
しない場合) 図1は、本発明の第1の実施形態による振り子式動吸振
器の側面図および正面図である。なお、図7に対応する
部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図1にお
いて、錘9側の振り子腕7,7の一端は、外側に向けて
屈曲しており、該屈曲部分に、負荷用錘20,20が取
り付けられている。負荷用錘20,20は、長方形型で
あり、大きさの異なる複数個が振り子腕7,7にネジな
どの固定部材21,21で固定されている。振り子腕長
さは、錘9がシャフト(回転中心軸)6に接触しない最
小振り子腕長さLP(min)とする。なお、錘9がシ
ャフト6に接触していても問題はない。
【0054】C.第2の実施形態(錘が重心回りに回転
する場合) 図2は、本発明の第2の実施形態による振り子式動吸振
器の側面図および正面図である。なお、図8に対応する
部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図2にお
いて、負荷用錘20,20に関しては、上述した第1の
実施形態と同様である。振り子腕長さは、錘9がシャフ
ト(回転中心軸)6に接触しない最小振り子腕長さLP
(min)とした。
【0055】D.第3の実施形態(錘が重心回りに回転
する/回転しない場合) 図3は、本発明の第3の実施形態による振り子式動吸振
器の側面図および正面図である。図3において、負荷用
錘20,20に関しては、上述した第1の実施形態と同
様である。本第3の実施形態は、(最小振り子腕長さL
P)<(錘半径rP)の場合に適用できる。なお、図中で
は、錘9は重心回りに回転自由としたが、回転が拘束さ
れていても構わない。
【0056】E.第4の実施形態(錘が重心回りに回転
しない場合) 図4は、本発明の第4の実施形態による振り子式動吸振
器の側面図および正面図である。本第4の実施形態は、
剛体振り子(錘9が重心回りに回転しない場合)に適用
される。図1などに示す振り子腕7,7、図2や図3に
示す錘用軸11を廃し、錘9は、シャフト(回転中心
軸)6に直接取り付けられている。なお、負荷用錘20
は、図示の例では、錘9に取り付けられているが、シャ
フト(回転中心軸)6に取り付けられていても構わな
い。
【0057】F.第5の実施形態(錘が重心回りに回転
する場合) 図5は、本発明の第5の実施形態による振り子式動吸振
器の側面図および正面図である。本第5の実施形態は、
錘9の重心回り慣性モーメントを無視できる剛体振り子
に適用される。すなわち、図1などに示す振り子腕7,
7、図2や図3に示す錘用軸11を廃し、錘9は、図示
しないベアリング等を介して、シャフト(回転中心軸)
6に直接取り付けられており、軸に対して滑らかに回転
することができる。錘9の中心軸は、シャフト(回転中
心軸)6に対してずれた偏芯軸になっている(図5
(b)参照)。錘9の中心軸とシャフト6とは、一体物
でもよいし、径の異なる2種類の軸が何らかの方法で接
合された物でもよい。なお、負荷用錘20は、図示の例
では、錘9に取り付けられているが、シャフト6に取り
付けられていても構わない。
【0058】G.第1ないし第5の実施形態による作用 G−1.主な作用 所望の固有振動数の可変範囲において、負荷用錘20が
取り付けられていない場合には、振り子動吸振器の固有
振動数は最大値を取り、可変範囲の上限に一致する。こ
れに対して、負荷用錘20を振り子各部に取り付けた場
合には、負荷用錘20の個数、質量(材質)、形状、取
り付け位置に応じて、振り子全体の慣性モーメントが大
きくなり(詳細については後述)、固有振動数を下げる
ことができる。また、負荷用錘20の個数、質量(材
質)、形状、取り付け位置を調整することにより、可変
範囲の下限まで固有振動数を調整することができる。
【0059】G−2.錘が重心回りに回転しない場合 第1の実施形態、(第3の実施形態)、第4の実施形態
による作用は次の通りである。振り子動吸振器の固有振
動数は、負荷用錘20の質量をMf、回転中心(シャフ
ト6の中心)から負荷重心までの距離をLf、負荷の慣
性モーメントをJfとすれば、数式(13)で表わすよ
うになる。
【0060】
【数13】
【0061】上記数式(13)の場合、調整範囲は狭い
が、負荷用錘20を取り付けることによって高い精度で
固有振動数を調整することができる。
【0062】G−3.錘が重心回りに回転できる場合 第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態にお
ける作用は次の通りである。振り子動吸振器の固有振動
数は、数式(13)においてMPP 2/2≒0とすれば
よいので、次に示す数式(14)となる。
【0063】
【数14】
【0064】上記数式(14)の場合、負荷用錘20な
しでの固有振動数の最大値を大きく取れ、かつ広い範囲
で固有振動数を調整することができる。
【0065】H.第1ないし第5の実施形態の効果 上述した第1ないし第5の実施形態によれば、振り子の
腕長さではなく、負荷用錘20の慣性モーメントを操作
して、振り子の固有振動数ωPを小さくすることができ
る。これにより、得られる効果は次の通りである。
【0066】1)固有振動数の調整作業を容易にするこ
とができる。すなわち、負荷用錘20の慣性モーメント
は、質量よりも回転中心(シャフト6の中心)から負荷
重心までの距離による影響が大きい。その距離を大きく
取れれば、負荷用錘20の質量は小さくて済み、調整作
業が容易になる。
【0067】2)余分な振り子腕7,7をなくすことに
より(余分な慣性モーメントが働かない)、負荷がない
場合、振り子動吸振器は、構造上取りうる最も大きい固
有振動数を取ることができる。
【0068】3)錘9の重心回り慣性モーメントが働か
ない場合、より大きな固有振動数の最大値を取れる。
【0069】4)負荷用錘20を増やすことにより、動
吸振器としての質量も若干増大する。つまり質量比μ
は、増える傾向になるため、負荷用錘20を取り付けた
ことによる動吸振器の制振性能劣化はない。
【0070】5)固有振動数の調整が不可能な剛体振り
子であっても、負荷用錘を取り付けることによって固有
振動数を調整可能とすることができる。特に、第4の実
施形態、第5の実施形態では、構造がより単純になり、
かつ部品数が少ないため、コストを安くすることができ
る。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
制振対象体に固定された固定部材と、鉛直方向と前記制
振対象体の振動方向とを含む平面に直交する方向に伸び
た回転運動可能なシャフトと、前記シャフトの回転に伴
って揺動可能となるように設けられた錘とを備える振り
子に負荷用錘を着脱可能に装着するようにしたので、固
有振動数の調整を容易に行うことができ、また、錘が重
心回りに回転できる場合には、固有振動数の最大値をで
きるだけ大きく取ることができるという利点が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態による振り子式動吸
振器の側面図および正面図である。
【図2】 本発明の第2の実施形態による振り子式動吸
振器の側面図および正面図である。
【図3】 本発明の第3の実施形態による振り子式動吸
振器の側面図および正面図である。
【図4】 本発明の第4の実施形態による振り子式動吸
振器の側面図および正面図である。
【図5】 本発明の第5の実施形態による振り子式動吸
振器の側面図および正面図である。
【図6】 従来技術の一例に係る振り子式動吸振器の原
理構成を示す概念図である。
【図7】 図6に示す原理に基づいて構成された、従来
技術による第1の振り子式動吸振器の一構成例を示す側
面図および正面図である。
【図8】 従来技術による第2の振り子式動吸振器の一
構成例を示す側面図および正面図である。
【図9】 従来技術による剛体振り子のモデルを示す側
面図および正面図である。
【図10】 従来技術による振り子式動吸振器における
最小振り子腕長さを説明するための正面図である。
【図11】 従来技術による振り子式動吸振器における
シャフト(回転中心軸)周辺の略構成を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
4 ベース板(固定部材) 5 ダンパ 6 シャフト 7 振り子腕 9 錘 20 負荷用錘
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 伸浩 三重県伊勢市竹ヶ鼻町100番地 神鋼電機 株式会社伊勢事業所内 Fターム(参考) 3J048 AD07 BF10 CB22 EA07 EA38

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制振対象体に固定された固定部材と、鉛
    直方向と前記制振対象体の振動方向とを含む平面に直交
    する方向に伸びた回転運動可能なシャフトと、前記シャ
    フトの回転に伴って揺動可能となるように設けられた錘
    とを備える振り子の振動数を、前記制振対象体の質量な
    らびに前記錘の質量の比に応じて設定し、動吸振作用に
    より前記制振対象体の振動を抑制する振り子式動吸振器
    であって、 前記振り子に着脱可能に装着された負荷用錘を具備する
    ことを特徴とする振り子式動吸振器。
  2. 【請求項2】 前記シャフトの回転に伴って揺動可能と
    なるように、前記シャフトに一方の端部が固定され、他
    方の端部に前記錘が装着された振り子腕部を具備するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の振り子式動吸振器。
  3. 【請求項3】 前記負荷用錘は、前記振り子腕部の他方
    の端部に装着されることを特徴とする請求項2記載の振
    り子式動吸振器。
  4. 【請求項4】 前記錘は、前記シャフトの回転中心に対
    してずれた回転中心を有する状態で、前記シャフトに装
    着されることを特徴とする請求項1に記載の振り子式動
    吸振器。
  5. 【請求項5】 前記負荷用錘は、前記錘に装着されるこ
    とを特徴とする請求項4記載の振り子式動吸振器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114876996A (zh) * 2022-04-14 2022-08-09 浙江飞碟汽车制造有限公司 用于商用车减振的钟摆式动力吸振器及其设计方法
CN114876996B (zh) * 2022-04-14 2024-03-26 浙江飞碟汽车制造有限公司 用于商用车减振的钟摆式动力吸振器及其设计方法

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