JP2002187246A - ポリアミド系積層フィルム - Google Patents

ポリアミド系積層フィルム

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JP2002187246A
JP2002187246A JP2000388063A JP2000388063A JP2002187246A JP 2002187246 A JP2002187246 A JP 2002187246A JP 2000388063 A JP2000388063 A JP 2000388063A JP 2000388063 A JP2000388063 A JP 2000388063A JP 2002187246 A JP2002187246 A JP 2002187246A
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Kazuhisa Miyashita
和久 宮下
Masayoshi Katsura
昌義 桂
Masashi Hasegawa
雅士 長谷川
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア性、耐屈曲ピンホール性等に優れ
たポリアミドフィルムを提供する。 【解決手段】 芳香族ポリアミド(A)よりなる(a)
層、脂肪族ポリアミド(B)よりなる(b)層、及び芳
香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)の混合
物(C)よりなる(c)層の3層のうち少なくとも2層
を含む積層構造を有し、1H−NMRによる成分比率
が、アミド成分10〜55モル%、エーテル成分90〜
45モル%、エステル成分0〜4モル%である組成のポ
リアミドエラストマー(D)を、前記(a)層、(c)
層に0.3〜10重量%、(b)層に0〜10重量%含
有することを特徴とするポリアミド系積層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素ガスバリア
性、耐屈曲性、透明性、耐熱性及び強靱性等に優れ、酸
素による内容物の変質を嫌う食品、医療品、および薬品
等の包装用に適するポリアミド系積層フイルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリアミド系樹脂からなるフ
イルムは、単独で、または、他のフイルムとの積層体と
して、種々の一般的な包装用途に使用されてきた。しか
しながら、脂肪族ポリアミドよりなるフイルムは、引っ
張り強度、耐屈曲ピンホール性等の機械的性質において
は優れているが、酸素ガスバリア性においては充分なも
のとは云えない。そこで、この脂肪族ポリアミドフイル
ムの表面に塩化ビニリデン系重合体ラテックスをコート
して、酸素ガスバリヤ性を付与した塩化ビニリデン系樹
脂コートフイルムが提案され、実用化されている。とこ
ろが、上記の塩化ビニリデン系重合体樹脂コートフイル
ムは、熱水処理を受けると白濁してしまうため用途が極
端に制限されるという欠点を有するうえ、さらに焼却処
分時に、塩素を含んだ化合物が発生するため、環境汚染
等の原因にもなっている。
【0003】他方、酸素ガスバリア性が良好なフイルム
として、キシリレンジアミン構成単位とするものなどに
代表される芳香族ポリアミドからなるフィルムが提案さ
れている。このフイルムは、透明性、耐油性においては
優れているが、耐屈曲性に劣っているために、その用途
には制限がある。
【0004】そこで、上記の脂肪族ポリアミドフイル
ム、芳香族ポリアミドフイルム双方の利点、すなわち引
っ張り強度、耐屈曲性及び酸素ガスバリア性に優れてい
るという性質を併せ持つフイルムを得るために、この2
種類のポリアミドを溶融共押出して、インフレーション
法により積層フイルムを製造する方法(特開昭57ー5
1427号参照)や脂肪族ポリアミドを主成分とする層
の間に、芳香族ポリアミドを主成分とする層を配置する
層構成の積層フイルム(特開昭56ー155762号参
照)が提案されている。更には、耐屈曲性等を改良する
ために、ポリアミドエラストマー成分を添加するという
方法が多数提案されている(特開平6−255054
号、特開平8―224844号、特開平11−2546
15号参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
積層フイルムは、脂肪族ポリアミドよりなる層の寄与に
より耐屈曲性や強靱性が向上し、また、芳香族ポリアミ
ドよりなる層の寄与により酸素ガスバリア性が向上する
傾向にはあるものの、耐屈曲性と酸素ガスバリヤ性との
双方同時に満足なレベルを示すものではない。また、ポ
リアミドエラストマーを添加した場合の改良効果も必ず
しも明確ではなく、包装材料として実用化できるほど十
分なフィルム特性を持つレベルのものには至っていな
い。そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決し
たフィルム、即ち、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミ
ド及びポリアミドエラストマーの各々が有する特性を生
かし、諸物性に優れたポリアミド系積層フィルムを提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的を
達成すべく鋭意検討を行ったところ、ある特定の組成の
ポリアミドエラストマー成分を、脂肪族ポリアミドと芳
香族ポリアミドとの積層フィルムの系に使用した場合
に、耐屈曲性向上、レトルト時のフィルムの白化減少、
更にはフィルム折れ曲げ時の白化がおきにくくなること
など見いだし、本発明に到達した。即ち、本発明は、芳
香族ポリアミド(A)よりなる(a)層、脂肪族ポリア
ミド(B)よりなる(b)層、及び芳香族ポリアミド
(A)と脂肪族ポリアミド(B)の混合物(C)よりな
る(c)層の3層のうち少なくとも2層を含む積層構造
を有し、1H−NMRによる成分比率が、アミド成分1
0〜55モル%、エーテル成分90〜45モル%、エス
テル成分0〜4モル%である組成のポリアミドエラスト
マー(D)を、前記(a)層、(c)層に0.3〜10
重量%、(b)層に0〜10重量%含有することを特徴
とするポリアミド系積層フィルムに存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアミド系積層フイルムの主要な原料は、芳
香族ポリアミド(A)、脂肪族ポリアミド(B)及びポ
リアミドエラストマー(D)である。本発明における芳
香族ポリアミド(A)は特に制限はないが、キシリレン
ジアミンと炭素数が6〜12のα,ω脂肪族ジカルボン
酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に通常70
モル%以上含有するものが代表される。この場合のポリ
アミド構成単位の割合が70モル%未満のものを使用す
ると酸素ガスバリア性が低下するので好ましくない。
【0008】具体的には、ポリメタキシリレンアジパミ
ド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレ
ンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパ
ラキシリレンデカナミドのような単独重合体、メタキシ
リレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシ
リレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシ
リレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシ
リレン/パラキシリレンセパカミド共重合体のような共
重合体が挙げられる。上記以外のポリアミド構成成分と
しては、ジアミン類とジカルボン酸類とのナイロン塩お
よびεーカプロラクタムのようなラクタム類、εーアミ
ノカルボン酸のようなωーアミノカルボン酸類等が挙げ
られる。ナイロン塩の成分としてのジアミン類の具体例
には、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4ートリメチ
ルヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピ
ペラジンビスプロピルアミン、ネオペンチルグリコール
ビスプロピルアミンのような異節環または異原子含有ジ
アミン等があり、また、ジカルボン酸類の具体例には、
アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸のような脂肪族
ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸のような芳
香族ジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジガルボン
酸のような環状脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0009】本発明における脂肪族ポリアミド(B)
は、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重
縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙
げられる。具体的には、ナイロン-6と称されるεーカ
プロラクタムの単独重合体、あるいはナイロンー66と
称されるポリヘキサメチレンアジパミドが、安価に入手
でき、かつ、延伸操作を円滑に遂行し得るので好まし
い。
【0010】また、本発明で用いるポリアミドエラスト
マー(D)は、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエス
テルアミド等のポリアミド系ブロック共重合体に属する
ものであり、アミド成分としてはナイロン6、ナイロン
6・6、ナイロン12等例示され、エーテル成分として
は、ノリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシ
エチレングリコール、ポリオキシー1、2――プロピレ
ングリコール等が例示されるが、好ましくはポリテトラ
メチレングリコールとポリラウリルラクタム(ナイロン
12)を主成分とする共重合体である。また、任意成分
としてドデカンジカルボン酸、アジピン酸、テレフタル
酸等のジカルボン酸を少量を用いたものであってもよ
い。
【0011】ポリアミドエラストマー(D)の成分比率
は、1H−NMRによる吸収ピークの積分比率によりを
容易に求めることができ、本発明で用いるポリアミドエ
ラストマーでは、アミド成分が10〜55モル%、エー
テル成分が90〜45モル%、エステル成分が0〜4モ
ル%であり、好ましくは、アミド成分が20〜50モル
%、エーテル成分が80〜50モル%である。アミド成
分とエーテル成分の成分比率は、本発明の場合に非常に
重要であり、アミド成分はポリアミド(A),(B)へ
の分散性に大きく寄与し、エーテル成分は耐屈曲ピンホ
ール性向上に大きく寄与し、一方、後者はポリアミド
(A),(B)への分散性に寄与し、最終的に得られる
フィルムの透明性を維持するのに有効である。従って、
アミド成分が過剰になると、それを原料として得られる
フィルムの耐屈曲ピンホール性が低下するので好ましく
ない。アミド成分が少なすぎると、ポリアミド(A),
(B)への分散性が悪くなり、また、得られたフィルム
がレトルト処理時に白化したり、折れ曲がった際に白い
筋が出やすく、外観上好ましくない。更に、エステル成
分は少量存在していても特に支障はないが、多くなり過
ぎると、得られたフィルムでレトルト処理時に白化した
り、折れ曲がった際に白い筋が出やすくなるなどの原因
となるので好ましくない
【0012】本発明に係る積層フィルムは、以上のよう
な芳香族ポリアミド(A)、脂肪族ポリアミド(B)、
及び特定のポリアミドエラストマー(D)の各成分より
なり、芳香族ポリアミド(A)よりなる(a)層、脂肪
族ポリアミド(B)よりなる(b)層、及び芳香族ポリ
アミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)の混合物(C)
よりなる(c)層の3層のうち少なくとも2層を含む積
層構造を有する。ポリアミドエラストマー(D)を、前
記(a)層、(c)層に0.3〜10重量%、(b)層
に0〜10重量%含有するものである。
【0013】上記の混合物(C)は、芳香族ポリアミド
(A)と脂肪族ポリアミド(B)との均質な混合組成物
ある。この混合組成物(C)は、原料ポリアミド(A)
と原料ポリアミド(B)とを混合したものであってもよ
いし、また、本発明のポリアミド系積層フイルムを製造
する際に規格外フイルムや切断端材(耳トリム)として
発生する原料ポリアミド混合物もしくは発生する原料ポ
リアミド混合物に原料ポリアミドを加えて調整したもの
であってもよい。その組成(混合割合)には特に制限は
ないが、ポリアミド(A)とポリアミド(B)とを重量
比で7:3〜1:9の範囲で選ぶのが好適である。な
お、(c)層を構成する混合組成物(C)として、積層
フイルムを製造する際に発生した規格外フイルムや切断
端材(耳トリム)をリサイクル使用するときには、
(a)層もしくは(c)層中のポリアミドエラストマー
樹脂混合物が自ずとリサイクルされるので、積極的にポ
リアミドエラストマー樹脂混合物を添加する必要がない
場合もありうる。なお、芳香族ポリアミド(A)と脂肪
族ポリアミド(B)の混合物よりなる(c)層との組成
が明確に異なるものであれば、芳香族ポリアミド
(A)、脂肪族ポリアミド(B)を各々主成分とする
(a)層、(b)層において、各々主成分以外のポリア
ミドを最大5重量%程度まで含有させてもよい。即ち、
(a)層に少量の脂肪族ポリアミドを、(b)層に少量
の芳香族ポリアミドが含まれていてもよい。
【0014】芳香族ポリアミド(A)、脂肪族ポリアミ
ド(B)、混合組成物(C)及びポリアミドエラストマ
ー(D)は、いずれも吸湿性が大きく、吸湿したものを
使用すると原料を熱溶融し押出す際に、水蒸気やオリゴ
マーが発生しフイルム化を阻害するので、事前に乾燥し
て水分含有率を通常0.1重量%以下とするのが好まし
い。なお、これらの原料ポリアミド、ポリアミド混合組
成物には滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング
防止剤、安定剤、染料、顔料、無機質微粒子等の各種添
加剤を、フイルムの性質に影響を与えない範囲で添加す
ることができる。
【0015】以上のような層構成を有する本願発明に係
る積層フィルムは、芳香族ポリアミド(A)よりなる
(a)層、脂肪族ポリアミド(B)よりなる(b)層、
及び芳香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)
の混合物(C)よりなる(c)層の3層のうち少なくと
も2層を含む積層構造を有する。ポリアミドエラストマ
ー(D)を、前記(a)層に0.3〜10重量%、好ま
しくは0、5〜5重量%含有し、(b)層に0〜10重
量%、好ましくは0.1〜3重量%含有し、(c)層に
0.3〜10重量%、(b)層に0.4〜3重量%含有
する。各ポリアミド層に含まれるポリアミドエラストマ
ー(D)の含有率が低すぎるとピンホール曲性の改良効
果が少なくなり、他方、該含有率が多すぎても耐屈曲性
の改良効果が飽和に近づくうえ、フィルムとした際の透
明性が低下する傾向があるので好ましくない。かかる傾
向は(a)層と(b)層において特に顕著である。
【0016】所定量のポリアミドエラストマー樹脂混合
物を含有するポリアミド(A)又は(B)は、ポリアミ
ド(A)又は(B)とポリアミドエラストマー樹脂混合
物とを所定の割合でドライブレンドしたもの、ドライブ
レンド物を押出機で溶融した後ペレット化したもののい
ずれであってもよい。また、所定量のポリアミド系エラ
ストマー樹脂混合物を含有する混合組成物(C)も、同
様にして調整することができる。
【0017】次に、本発明の積層フィルムの代表的な層
構成を以下に例示するが、これら例示されたものに限定
されるものではない。また、各層の間に接着層を設けた
ものであってもよい。 (1)2層構成の例 (a)/(c)、 (b)/(c)、 (a)/(b) (2)3層構成の例 (a)/(b)/(c)、 (b)/(a)/(c)、
(b)/(c)/(a)、 (c)/(a)/
(c)、 (b)/(a)/(b) (3)4層構成の例 (b)/(c)/(a)/(b) (4)5層構成の例 (b)/(c)/(a)/(c)/(b)、 (b)/
(a)/(c)/(a)/(b)、 (c)/(b)/
(a)/(b)/(c)
【0018】本発明に係るポリアミド系積層フイルム
は、従来公知の一般的な方法により製造することができ
る。まず、ポリアミドエラストマー(D)と芳香族ポリ
アミド(A)の混合物、ポリアミドエラストマー(D)
と脂肪族ポリアミド(B)の混合物等を原料として用い
て、実質的に無定型で配向していない積層フイルム(以
下「積層未延伸フイルム」という)を、通常、共押出法
で製造するのがよい。この積層未延伸フイルムの製造
は、例えば、上記原料を2〜3台の押出機により溶融
し、フラットダイ、または環状ダイから押出した後、急
冷することによりフラット状、または環状の積層未延伸
フイルムとする共押出法を採用するのがよい。
【0019】次に、上記の積層未延伸フイルムを、フイ
ルムの流れ方向(縦方向)、およびこれと直角な方向
(横方向)で、少なくとも一方向に通常2〜8倍、好ま
しくは縦横二軸方向に2.5〜5倍の範囲で延伸する。
縦方向および横方向の二軸延伸方向の延伸倍率が、各々
2.5倍より小さい時は、延伸の効果が少なく、フイル
ムの強度が劣り、また二軸延伸方向の延伸倍率が各々5
倍より大きい時は、延伸時に積層フィルムが裂けたり破
断したりしやすいので延伸倍率の上限は上記の範囲内と
するのがよい。
【0020】二軸延伸の方法は、テンター式逐次二軸延
伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸
延伸等、本発明の趣旨を越えない限り従来公知の延伸方
法が採用できる。例えば、テンター式逐次二軸延伸方法
の場合には、積層未延伸フイルムを50〜110℃の温
度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に
2.5〜5倍に延伸し、続いてテンター式横延伸機によ
って60〜120℃の温度範囲内で横方向に2.5〜5
倍に延伸することにより製造することができる。また、
テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸
方法の場合は、例えば、60〜110℃の温度範囲にお
いて、縦横同時に各軸方向に2.5〜5倍に延伸するこ
とにより製造することができる。
【0021】上記方法により延伸された積層二軸延伸フ
イルムは、引き続き熱処理をする。熱処理をすることに
より常温における寸法安定性を付与することができる。
この場合の熱処理温度は、110℃を下限として各ポリ
アミドの融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択
するのがよく、これにより常温寸法安定性のよい、任意
の熱収縮率を持った延伸フイルムを得ることができる。
熱処理操作により、充分に熱固定された積層二軸延伸フ
イルムは、常法により冷却し巻きとる。
【0022】本発明に係るポリアミド系積層二軸延伸フ
イルムは、上記方法によって製造することができるが、
本発明の目的を考慮すると次のような物性、すなわち、
温度25℃、相対湿度65%の条件下における酸素透過
率が15cc/m2・24Hr・atm以下であり、温度2
3℃、相対湿度50%の条件下でのゲルボーフレックス
テスターによる3000サイクル繰返し屈曲後のピンホ
ール数が15個/77inch2以下で、かつヘイズが
8%以下、レトルト後の白化が見られない等のレベルで
あると、酸素ガスバリヤ性、耐屈曲性、および透明性が
優れている。
【0023】本発明に係るポリアミド系積層二軸延伸フ
イルムの全体の厚さは、通常10〜40μmが好まし
い。全体の厚さが、10μm未満のものは、酸素ガスバ
リヤ性と耐屈曲ピンホール性のバランスに乏しく、耐摩
耗性も不充分となり包装用途として満足なフイルムは得
られない。また、40μmを越えるものは、フイルムが
硬くなり、更に、シーラント層を張り合わせる場合に
は、フイルム全体が非常に厚くなり軟包装用途には適さ
なくなる。また、本発明のポリアミド系積層二軸延伸フ
イルムは、シーラント層を張り合わせ、さらなる加工に
供するすることができる。このフィルムに、塩化ビニリ
デン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレンー
酢酸ビニル共重合体鹸化物系樹脂等のコーティング層を
設けることにより、ガスバリヤ性を一層向上させた、耐
屈曲ピンホール性の優れたフィルムが得られる。また、
各種単層若しくは積層フィルムと、ドライラミネート
法、ウェットラミネート法、押出しラミネート法等によ
り積層することにより得られる積層体は耐屈曲ピンホー
ル性の優れたものとなる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の内容および効果を実施例によ
り更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えな
い限り以下の例に限定されるものではない。なお、以下
の例において、得られたフイルムの評価は次の方法によ
って行ったものである。また、ポリアミド系エラストマ
ーの組成、フイルムの層構成及び評価結果を表−1に示
した。 1) 酸素透過率(cc/m2・24Hr・atm) モダンコントロール社製のOXYーTRAN100型酸
素透過率測定装置を使用し、温度25℃、相対湿度65
%の条件下で測定した。
【0025】2) 耐屈曲性(ピンホール数/77in
ch2) 8インチ×11インチの大きさに切断したフイルムを、
温度23℃、相対湿度50%の条件下に、24時間以上
放置してコンディショニングし、ゲルボーフレックステ
スター(理学工業社製、No.901型(MILーBー1
31Cの規格に準拠))を使用して、次のように屈曲テ
ストを繰り返し、ピンポール数を計測した。
【0026】上記長方形テストフイルムを長さ8インチ
の円筒状にし、当該巻架した円筒状フイルムの一端を上
記テスターの円盤状固定ヘッドの外周に、他端を上記テ
スター円盤状可動ヘッドの外周にそれぞれ固定し、上記
可動ヘッドを上記固定ヘッドの方向に、平行に対向した
両ヘッド(固定ヘッドと可動ヘッドとは7インチ隔てて
対向している。)の軸に沿って3.5インチ接近させる
間に440゜回転させ、続いて回転させることなしに
2.5インチ直進させ、その後、これらの動作を逆に行
わせ、上記可動ヘッドを最初の位置に戻すまでの行程を
1サイクルとする屈曲テストを、1分あたり40サイク
ルの速度で、連続して3000サイクル行った後に、テ
ストしたフイルムの固定ヘッド、可動ヘッドの外周に固
定した部分を除いた7インチ×11インチ内の部分に生
じたピンホール数を、ピンホールテスター(サンコー電
子研究所製、TRD型)により1KVの電圧を印加し
て、計測した。
【0027】3) ヘイズ フィルム片をヘイズメーター(日本電色工業社製、ND
H−300A型)の試料台にとりつけ、全光線透過率
(Tt%)と散乱光透過率(Td%)を測定し、散乱光
透過率を全光線透過率で除した値(Td/Tt×10
0)をフイルムのヘイズとした。 4)レトルト評価 フィルム片を、130℃の熱水に10分間浸せきし、1
00℃以下に自然冷却後、表面水分を軽くふき取り、2
3℃50%の環境下2時間放置した。これを観察し、白
化したかどうかを目視で確認し、ほとんど白化していな
いもの○、部分的に白化を始めているものを△、明確な
白化が認められる場合は×とした。 5)NMRによるポリアミドエラストマーの組成測定 NMR(Varian製 INOVA500NMR)を用い、試料約2
0mgをCF3COOD0.7ml(溶解しにくい場合
のみDMSO−d6を0.1ml添加)に溶解後、温度
50℃、積算回数16回、繰り返し時間5.9秒で測定
した。図1はポリアミドエラストマーのNMRチャート
の例で、各ピークが、図2のポリアミドエラストマーの
一般構造式の番号のプロトンに帰属でき、各ピークに対
応する積算値のうち、ピーク15の面積の1/4をポリ
エステル成分の換算値、ピーク29とピーク26の面積
の合計の1/4をポリエーテル成分の換算値、ピーク2
の面積の1/2をポリアミド成分の換算値として、この
3つの換算値合計に対する各換算値の割合を各成分のモ
ル%とした。
【0028】実施例1 相対粘度2.7のポリメタキシリレンアジパミド(三菱
瓦斯化学(株)製、MXーナイロン6007)(ポリア
ミド(A))と表−1に示したポリオキシテトラメチレ
ングリコールとポリラウリルラクタムを主成分とする共
重合体であるポリアミドエラストマー市販品(NMR測
定でエーテル成分が52.3モル%、アミド成分が4
4.1モル%、エステル成分が3.6モル%と測定され
た)とを97:3の割合(重量)で混合した混合組成
物、相対粘度3.7のポリーεーカプロアミド(三菱化
成(株)製、ノバミッド1022)(ポリアミド
(B))、および別のフィルム製造テストから発生した
耳トリム端材物(ポリアミド(A)とポリアミド(B)
との割合(重量)が40:60、全体に占めるポリアミ
ドエラストマー樹脂の含有割合が1.2重量%であるも
の)を、65mmφ押出機3台を使用して別々に溶融さ
せ、共押出Tダイ内で積層させて3層構造の積層フイル
ムとして押出し、30℃のキャストロールに密着急冷
し、外層が約54μmのポリアミド(B)、中間層が約
36μmのポリアミド(A)とポリアミド系エラストマ
ー(D)との混合組成物、そして内層が約45μmの耳
トリム端材組成物の各々よりなる未延伸積層フイルムを
得た。
【0029】得られた未延伸積層フイルムを60℃の条
件下でロール式延伸機にて縦方向に3倍延伸し、次い
で、この縦延伸フイルムの端部をテンタークリップで保
持し、テンターオーブン内で100℃の条件下で横方向
に3倍に延伸した後、205℃で6秒間の熱処理を行っ
た。熱処理を行った後のフイルムは、クリップの把持部
に相当する両端部分はトリミングし、トリミング後の製
品フイルム部分をロール状に巻き取り、外層が約6μ
m、中間層が約4μm、そして内層が約5μmである、
(b)/(a)/(c)なる3層構成で、全体の厚さが
約15μmの積層二軸延伸フイルムを得た。該フイルム
の評価結果を表−1に示す。
【0030】比較例1 実施例1ににおいて、ポリアミドエラストマーを使用し
ないほかは、同例に記載したと同様の方法で積層二軸延
伸フイルムを得た。該フイルムの評価結果を表−1に示
す。 実施例2〜6、比較例2〜5 実施例1において、ポリアミドエラストマーの種類、層
構成、各層の樹脂組成をそれぞれ後記の表−1に記載し
たように変更した以外は、同例に記載したと同様の方法
で積層二軸延伸フイルムを得た。これらフィルムについ
ての評価結果を表−1に示す。
【0031】比較例6 市販の厚さ17μmの塩化ビニリデンコート二軸延伸ナ
イロンフイルム(三菱化学興人パックス(株)製、ボニ
ールK)を用い、酸素透過率を測定し、耐屈曲ピンホー
ル性および透明度を評価した結果を表−1に示す。 比較例7 市販の厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフイルム(三菱
化学興人パックス(株)製、ボニール)を用い、酸素透
過率を測定し、耐屈曲ピンホール性および透明度を評価
した。その結果を、後述の表−1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明に係るポリアミド系積層フィルム
は、優れた酸素ガスバリヤ性に加え、優れた耐屈曲性、
透明性、耐熱性及び強靱性等を兼ね備えているので、酸
素ガスによる内容物の変質を嫌う食品、医薬品、および
化学薬品等の包装資材として好適に用いることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はポリアミドエラストマーのNMRチャ
ートの例である。
【図2】 図2はポリアミドエラストマーの一般構造式
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 9:00 B29L 9:00 (72)発明者 長谷川 雅士 茨城県牛久市東猯穴町1000番地 三菱化学 株式会社筑波事業所内 Fターム(参考) 4F100 AK47A AK47C AK48B AK48C AL05C AL09A AL09B AL09C AL09K BA03 BA07 BA10B EJ37 GB15 JD03 JK01 JN01 YY00A YY00B YY00C 4F210 AA29 AG01 AG03 QA02 QA03 QC06 QG01 QG15 QG18 4J002 CL01W CL01X CL03W CL03X CL073 GF00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミド(A)よりなる(a)
    層、脂肪族ポリアミド(B)よりなる(b)層、及び芳
    香族ポリアミド(A)と脂肪族ポリアミド(B)の混合
    物(C)よりなる(c)層の3層のうち少なくとも2層
    を含む積層構造を有し、1H−NMRによる成分比率
    が、アミド成分10〜55モル%、エーテル成分90〜
    45モル%、エステル成分0〜4モル%である組成のポ
    リアミドエラストマー(D)を、前記(a)層、(c)
    層に0.3〜10重量%、(b)層に0〜10重量%含
    有することを特徴とするポリアミド系積層フィルム。
  2. 【請求項2】 ポリアミドエラストマー(D)がポリオ
    キシテトラメチレングリコールとポリラウリルラクタム
    を主成分とする共重合体である請求項1のポリアミド系
    積層フィルム。
  3. 【請求項3】 (c)層における芳香族ポリアミド
    (A)と脂肪族ポリアミド(B)との重量比で7:3〜
    1:9である請求項1又は2のポリアミド系積層フィル
    ム。
  4. 【請求項4】 少なくとも一軸方向に2〜8倍の延伸倍
    率で延伸されている請求項1〜3のいずれかのポリアミ
    ド系積層フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006516107A (ja) * 2002-11-12 2006-06-22 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 液体吸収性内部層と不浸透性外部層とを含むフィルム
JP2008080686A (ja) * 2006-09-28 2008-04-10 Mitsubishi Gas Chem Co Inc ポリアミド延伸フィルム

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