JP2002187061A - 研磨温度測定方法、研磨方法、ワーク保持機構および研磨装置 - Google Patents

研磨温度測定方法、研磨方法、ワーク保持機構および研磨装置

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JP2002187061A
JP2002187061A JP2000390365A JP2000390365A JP2002187061A JP 2002187061 A JP2002187061 A JP 2002187061A JP 2000390365 A JP2000390365 A JP 2000390365A JP 2000390365 A JP2000390365 A JP 2000390365A JP 2002187061 A JP2002187061 A JP 2002187061A
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polishing
temperature
polishing pad
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JP2000390365A
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English (en)
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Norio Okuya
憲男 奥谷
Katsuki Shingu
克喜 新宮
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工圧力に影響を及ぼすことなく、研磨温度
をより正確に測定する。 【解決手段】 押圧方向に垂直な面内でワーク(3)を保
持するワーク保持機構(10)に、筒状の軸部(12)、赤外線
が透過し得る赤外線透過部(16)を有するプレート部材(1
4)、およびワークの周縁部の裏面に位置するリップシー
ル(18)を設け、プレート部材、リップシールおよびワー
クにより形成された空間部(31)に供給された流体の圧力
によりワーク(3)を研磨パッド(28)に押圧し、ワークを
研磨パッドに押圧した状態でワークを研磨パッドに対し
て相対的に移動させることよってワークを研磨するとと
もに、軸部の上方に配置した赤外放射線温度計(30)を用
いて、ワークの被研磨面および研磨パッドの研磨面から
放射される赤外線のエネルギー量を測定して研磨温度を
求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ、ガ
ラス基板および電子部品等のワークを研磨パッドに対し
て相対的に移動させながら研磨する際に研磨温度を測定
する方法、研磨温度を測定しながらワークを研磨する方
法、ならびに当該研磨温度測定方法および研磨方法を実
施する際に使用するのに適したワーク保持機構および研
磨装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体ウエハの表面に積層配線を行う工
程においては、配線等を含む回路の上に形成された中間
絶縁層の表面を研磨して平坦化させることが一般的に行
われ、また、溝部が形成された基板表面に金属膜を成膜
し、溝部内にある金属以外の金属を除去するために研磨
して平坦化させることも一般的に行われている。これら
の研磨処理に際しては、ワークの研磨される表面(「被
研磨面」もしくは「被加工面」または単に「表面」とも
呼ぶ)を均一に研磨することが要求される。
【0003】一般に、半導体ウエハのようなワークは研
磨パッドに押し付けられた状態にて研磨される。ワーク
が研磨パッドに押し付けられると、ワークおよび研磨パ
ッドには圧力が加わることとなる。本明細書において
は、この圧力を加工圧力と称する。
【0004】上記のようにしてワーク表面を均一に研磨
する際に考慮すべき条件の1つとして、研磨温度が挙げ
られる。研磨温度とは、研磨中、研磨パッドに対してワ
ークが相対的に移動し、ワークの被研磨面が研磨パッド
の研磨面で摺動しているときの、ワークと研磨パッドと
の接触面におけるワークおよび研磨パッドの温度であ
る。ワークと研磨パッドとの接触面におけるワークおよ
び研磨パッドの温度は通常ほぼ同じ温度であるが、いず
れか一方の温度が他方よりも高い場合には、高い方の温
度が研磨温度に相当する。一般に、ワークと研磨パッド
との接触面におけるワークおよび研磨パッドの温度(即
ち、研磨温度)は、研磨中、ワークが接触していない研
磨パッドの部分、研磨パッドを取りつけるための定盤、
およびワークを保持する保持機構の温度のいずれよりも
高い。研磨温度は、研磨時に発生する摩擦熱によって主
に決定される。
【0005】研磨温度は、特に化学的機械研磨(Chemic
al Mechanical Polishing;CMPと略す場合がある)
法において研磨の質を決定する重要なファクターであ
る。CMP法は、研磨液が被加工面でワークと化学反応
することを利用して実施する研磨である。CMP法によ
って均一に研磨を実施するには、研磨液とワークとの化
学反応を安定的に進行させる必要がある。そのために
は、研磨温度を所定範囲内に維持することが好ましい。
【0006】研磨温度を所定範囲内に維持するには、ま
ず研磨中の研磨温度を正しく測定することが肝要であ
る。そこで、予てより、研磨時のワークまたは研磨パッ
ドの温度を測定する方法が提案されている。例えば、特
開平8−78369号公報においては、熱電対または赤
外温度検出器のような温度検出手段を被研磨材の一部ま
たはその近傍に設けて研磨温度変化を検出することが開
示されている。特開平9−123057号公報において
は、研磨パッドの複数箇所の表面温度を測定する温度測
定器を設けることが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の方法による研磨温度の測定方法は、次に述べる理
由により、研磨温度を正確に測定する方法といえるもの
ではない。
【0008】例えば、熱電対を用いて温度を測定する場
合、熱電対の温度測定対象物への接触状態および熱電対
の熱容量により測定誤差が生じるため、研磨温度を正確
に測定することが困難である。さらに、特開平8−78
369号公報に記載された方法において、熱電対により
測定されるのはワークの「裏面」の温度であって、ワー
クの表面の温度、即ち「研磨温度」ではない。
【0009】また、特開平8−78369号公報に記載
された方法のように、温度検出手段をワークの一部また
は近傍に設けると、温度検出手段とワークとが接する部
分において加工圧力が他の部分と異なって、均一な加工
圧力分布が得られない場合がある。加工圧力分布が均一
でないと、ワーク表面を全体にわたって均一に加工する
ことができない。その結果、例えば、ワークの歩留まり
が低下する。かかる不都合を回避するには、温度検出部
の面積を小さくすることが有効である。しかし、温度検
出部の面積が小さいほど測定精度が低下して温度を正確
に検出することが困難となるため、温度検出部の面積を
小さくするのには限界がある。
【0010】特開平8−78369号公報は、赤外線温
度検出器を用いて研磨布の表面温度を検出することに言
及している。しかし、同公報は、赤外線温度検出器を使
用して実施する温度検出方法を具体的に開示していな
い。
【0011】一方、特開平9−123057号公報に記
載された方法によれば、研磨パッドの表面に温度検出手
段を直接接触させることなく、研磨パッドの表面の温度
を測定することができる。しかし、特開平9−1230
57号公報に記載された方法に従って測定される部分
は、研磨パッドが露出している部分であり、ワークと接
触している研磨パッドの研磨面ではない。研磨パッドが
露出している部分で測定される温度は、当該部分にてワ
ークが研磨された(摺動した)後に測定される温度であ
る。即ち、その部分で測定される温度は、ワークが研磨
パッドから離れた後の多少「冷めた」状態にある研磨パ
ッドの研磨面にて測定される温度となり、先に定義した
研磨温度を正確に示すものではない。
【0012】このように、従来のいずれの研磨温度測定
方法を採用しても、正確に研磨温度を測定することは極
めて困難であった。また、従来の研磨温度測定方法にお
いてはワークの被研磨面および研磨パッドの研磨面の温
度を1つの温度検出器で測定することができず、両者の
温度を同時に測定しようとする場合、例えば、2つの熱
電対を用意し、一方をワークの被研磨面に接触させ、他
方を研磨パッドの研磨面に接触させる必要があった。そ
のように温度検出器を配置させようとすると、例えばワ
ークの被研磨面に接触させる熱電対が定盤および研磨パ
ッドを貫通する必要が生じ、その結果、システムの構造
が複雑となり、コストが高くなるという問題があった。
【0013】これらの問題点を解決するべく、例えば、
上記の方法に従って測定される研磨温度とワークの研磨
量との相関関係を求め、これに基づいて研磨レート(単
位時間あたりの研磨量)を補正することも行われてい
る。そのような相関関係は、特定の加工ロット(特定の
研磨パッドおよびワーク等の組合せ)にのみ適用し得る
ものであり、加工ロットが変わるごとに求める必要があ
る。この相関関係の決定に要する作業は研磨工程の効率
を低下させる一因となっており、この作業を無くす又は
この作業に要する時間を減らすことが予てより望まれて
いた。
【0014】本発明は、かかる実情に鑑みてなされたも
のであり、加工圧力に影響を及ぼすことなく、研磨中の
研磨温度をより正確に測定する研磨温度測定方法、およ
び当該研磨温度測定方法を実施する際に好ましく使用さ
れるワーク保持機構、ならびに研磨中の研磨温度を正確
に測定し、更にはプロセスパラメータを変化させること
により研磨温度を所定値に制御しながらワークを研磨し
得る研磨方法を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、第1の要旨において、本発明はワークを研磨パッド
に対して相対的に移動させてワーク表面を研磨するに際
し、ワークおよび研磨パッドからの赤外放射線をワーク
の中央部の裏面側にて非接触で検出することにより、研
磨温度を測定することを特徴とする研磨温度測定方法を
提供する。
【0016】また、第2の要旨において、本発明は、ワ
ークを研磨パッドに押圧しながら研磨パッドに対して相
対的に移動させてワーク表面を研磨する研磨方法であっ
て、ワークおよび研磨パッドからの赤外放射線をワーク
の中央部の裏面側にて非接触で検出することにより研磨
温度を測定しながら、ワークを研磨することを特徴とす
る研磨方法を提供する。この研磨方法は、第1の要旨に
おいて提供される本発明の研磨温度測定方法を利用した
研磨方法である。
【0017】第3の要旨において、本発明は、ワークを
研磨パッドに押圧するとともに、押圧方向に垂直な面内
でワークを保持するワーク保持機構であって、筒状の軸
部、赤外線透過部を有するプレート部材、およびワーク
の周縁部の裏面に位置するようにプレート部材に取り付
けられたリップシールを含み、ワークを保持したとき
に、プレート部材、リップシールおよびワークにより空
間部が形成され、当該空間部に供給された流体の圧力に
よりワークが研磨パッドに押圧されることを特徴とする
ワーク保持機構を提供する。このワーク保持機構は、上
記本発明の研磨温度測定方法および研磨方法を実施する
のに好適である。
【0018】第4の要旨において、本発明は、ワークの
被研磨面を研磨パッドにより研磨する装置であって: a)上記第3の要旨のワーク保持機構; b)ワークの裏面側にワークの中心を通るワークの表面
に垂直な軸上に配置された赤外放射線温度計; c)研磨パッドを支持する定盤;および d)ワークを研磨パッドに対して相対的に移動させる手
段を有して成る研磨装置を提供する。この研磨装置は、
上記本発明の研磨方法を実施するのに好適である。
【0019】以下、第1〜第4の要旨において提供され
る各発明について説明する。第1の要旨において提供さ
れる研磨温度測定方法は、ワークを研磨パッドに対して
相対的に移動させてワーク表面を研磨するに際し、ワー
クおよび研磨パッドからの赤外放射線をワークの中央部
の裏面側にて非接触で検出することにより、研磨温度を
測定することを特徴とする。
【0020】「ワーク」は一般には2つの面のうち少な
くとも一方の面が研磨により平坦化される板状体であ
る。ワークは、具体的には、半導体ウエハ、ガラス基板
および電子部品等である。ワークの「裏面」とは、ワー
クの被研磨面を表面としたときに表面と対向する面をい
い、「背面」とも呼ぶ。
【0021】「赤外放射線をワークの中央部の裏面側に
て非接触で検出する」とは、赤外放射線を検出する手段
を、ワークおよび研磨パッドと接触させることなく、ワ
ークの裏面側にてワークの中央部に位置させて赤外線を
検出することをいう。赤外線を検出する手段は、ワーク
が円盤形態である場合には、ワークの中心と同心のサー
クルであって、直径20〜40mmのサークル内に位置さ
せることが好ましい。より好ましくは、赤外放射線を検
出する手段は、ワークの中心を通るワークの表面に垂直
な軸上に配置される。
【0022】本発明の研磨温度測定方法において、検出
される赤外線は、ワークおよび研磨パッドからの赤外放
射線(即ち、ワークおよび研磨パッドから放射される赤
外線)である。赤外放射線を検出して温度を測定する方
法は、非接触式の温度測定方法として一般に知られてい
る。かかる方法によれば、温度検出手段がワークおよび
研磨パッドに接触しないため、加工圧力に影響を及ぼす
ことなく研磨温度を測定できる。非接触式で温度を測定
する場合、測定器の熱容量による測定誤差が生じないと
いう利点もある。さらに、赤外放射線を検出して温度を
測定する場合には、所定面積の測定領域から所定時間中
に放射される赤外線のエネルギー量から温度が求められ
るため、例えば熱電対を用いてある瞬間の局部の温度を
測定する場合と比較して、より正確に研磨温度を測定す
ることができる。
【0023】本発明の研磨温度測定方法において、研磨
温度は、ワークおよび研磨パッドからの赤外放射線をワ
ークの中央部の裏面側にて非接触で検出することにより
測定される。ワークの中央部にて赤外線を検出すること
により、研磨中、ワークの同じ位置(本発明においては
中央部)の研磨温度を連続的に中断することなく測定す
ることが可能である。特にワークを回転して研磨を実施
する場合に、ワークの中央部にて赤外線を検出すれば、
赤外線を検出する装置を回転させる必要、または赤外線
を検出する装置を回転接触端子に接続する必要がなく、
研磨装置全体の構造が複雑とならない。ワークの裏面側
にて赤外線を検出することにより、研磨液(スラリー)
を用いて研磨する場合に、温度測定がパッドとワークと
の間に介在するスラリーの影響を受けにくい。
【0024】上記本発明の研磨温度測定方法は、研磨中
のワークと研磨パッドとの接触面におけるワークおよび
研磨パッドの温度である研磨温度を測定する方法であ
る。一般に、研磨を実施している間、ワークと研磨パッ
ドとの接触面におけるワークの温度と研磨パッドの温度
とを区別することは困難である。本発明においては、両
者の温度に差があるとしても、ワークおよび研磨パッド
のいずれの温度であるかを問わずに、高い方の温度が研
磨温度として測定されることとなる。
【0025】本発明の研磨温度測定方法によれば、ワー
クが現に研磨されているときのワークと研磨パッドとの
接触面におけるワークおよび研磨パッドの温度を測定で
きる。したがって、ワークの研磨量と研磨温度の相関関
係が判っている場合には、それを適用して研磨レートを
制御することができる。
【0026】本発明の研磨温度測定方法においては非接
触で広い範囲(例えば直径20〜40mmの領域)の研磨
温度が測定されるので、本発明の方法によって研磨温度
を測定しながらワークを研磨している間、熱電対を用い
る場合のように温度測定手段が局部的に加工圧力に影響
を及ぼすことがない。したがって、本発明の研磨温度測
定方法によれば、ワークの研磨量と研磨温度の相関関係
を、温度測定手段が加工圧力に及ぼさない状態にて求め
ることができる。求められた相関関係は、研磨条件が多
少異なる場合(例えば、ワークのうねりの形態、パッド
のうねり等により加工圧力が局部的に異なる場合)にも
適用できる。
【0027】このように、本発明によれば、研磨量と研
磨温度の相関関係を決定する作業を無くすことが可能と
なる。本発明の研磨温度測定方法を利用して研磨量と研
磨温度の相関関係を求める場合には、求めた相関関係を
広い範囲で適用できるので、当該相関関係を決定する作
業に要する時間を全体として減らすことが可能となる。
【0028】赤外線検出による温度測定は、適当な波長
を選択し、その波長の赤外線を検出してエネルギー量を
測定し、エネルギー量から温度を求めることにより実施
する。選択される波長を測定波長という。測定波長の赤
外線は、ワークおよび研磨パッドならびにそれら以外の
部材(例えば、研磨パッドを支持する定盤)から、研磨
されていないときにも放射される場合がある。そのよう
な場合には、研磨されていないときに放射される赤外線
のエネルギー量をバックグラウンドとして予め求めてお
き、研磨温度を測定している間に測定したエネルギー量
からバックグラウンドのエネルギー量を差し引いたエネ
ルギー量に基づいて温度を求めることが好ましい。
【0029】ワークおよび研磨パッドからの赤外放射線
を検出して研磨温度を測定する手段は、具体的には赤外
放射線温度計である。一般に、赤外放射線温度計は、一
定の(測定距離):(測定領域の直径)の比にて測定さ
れるように設計され、測定距離が長いほど、測定領域の
直径は大きくなる。
【0030】本発明の研磨温度測定方法は、赤外放射線
の測定波長を、ワークを透過する赤外線の波長に設定し
て実施することが好ましい。測定波長をワークを透過す
る赤外線の波長に設定すれば、研磨温度をより正確に測
定できる。ワークを透過できない赤外線の波長に測定波
長を設定すると、ワーク表面からの赤外放射線および研
磨パッドの研磨面からの赤外放射線が検出されないこと
となり、その結果、測定誤差が大きくなり、研磨温度が
正確に測定されないこともあり得る。
【0031】ワークを透過する赤外線の波長はワークの
種類に応じて異なる。例えば、ワークがSiから成る半
導体ウエハであって、その表面に形成されたSiO2
を研磨する場合、測定波長は3〜7μmに設定すること
が好ましい。
【0032】第2の要旨において提供される本発明の研
磨方法は、上記第1の要旨において提供される研磨温度
測定方法を利用して実施する研磨方法である。
【0033】上記の測定方法により研磨温度を測定すれ
ば、ワークが現に研磨されているときのワークと研磨パ
ッドとの接触面におけるワークおよび研磨パッドの温度
を測定できる。したがって、ワークの研磨量と研磨温度
の相関関係が判っている場合には、それを適用して研磨
レートを制御することができる。
【0034】本発明の研磨方法においては、研磨温度が
所定温度となるようにプロセスパラメータを変化させる
ことにより研磨温度を制御しながら、ワークを研磨する
ことが好ましい。最適な研磨温度は、ワーク、研磨パッ
ドおよび研磨液の種類等に応じて決定される。研磨温度
を制御することによりワークの研磨レートを一定にし得
るので、ワークを均一に研磨することが可能となる。
【0035】変化させるプロセスパラメータは、加工圧
力、研磨速度、ワークに近接する部材の温度、ワークを
研磨パッドに押圧するために用いられる流体の温度、定
盤の温度、および研磨液の温度から選択される。変化さ
せるプロセスパラメータは1または複数であってよい。
研磨速度はワークの研磨パッドに対する相対速度に相当
し、本明細書において単に「相対速度」と呼ぶ場合があ
る。
【0036】研磨温度は、ワークと研磨パッドとの間で
生じる摩擦熱によって主に決定され、この摩擦熱量はワ
ークに対する研磨パッドの摺動の態様に応じて変化す
る。したがって、摺動の態様を決定する加工圧力および
研磨速度を変化させれば、研磨温度も変化することとな
る。
【0037】研磨温度は、ワークに近接する部材の温
度、ワークを研磨パッドに押圧するために用いられる流
体の温度、および定盤の温度から選択されるプロセスパ
ラメータを変化させることによっても制御できる。ワー
クに近接する部材とは、ワーク保持機構を構成する部材
またはワーク保持機構に取り付けられた部材であって、
ワークを加熱または冷却できるほど十分にワークに近い
部材をいう。そのような部材は、例えばワーク保持ヘッ
ドのワーク近傍に配置されたヒータである。あるいは、
ワークを流体の圧力で研磨パッドに押圧する場合には当
該流体を加熱または冷却することによって、ワークの温
度、ひいては研磨温度を変化させることができる。ある
いは、研磨パッドを配置する定盤を加熱または冷却する
ことによって、研磨パッドの温度、ひいては研磨温度を
変化させることができる。
【0038】ワークと研磨パッドとの間に間に供給され
る研磨液の温度もまた研磨温度に影響を及ぼすので、こ
れを変化させることによっても研磨温度を制御し得る。
【0039】ワークを研磨するに際しては、ワークの研
磨終了点を正確に検出することが好ましい。ワークの研
磨終了点の検出を誤ると、研磨不足または研磨過剰を招
き、研磨後のワークの品質を低下させる。
【0040】本発明の研磨方法において、研磨終了点は
研磨温度の変化量(研磨温度がある値から別の値に変化
したときの2つの値の差)に基づいて検出することが好
ましい。これは、研磨される物質が変わると摩擦係数が
変化し、それにより研磨温度が急激に上昇または下降す
る現象を利用した研磨終了点の検出方法である。具体的
には、溝部を形成した半導体ウエハの表面に金属膜を成
膜し、溝部以外の部分の金属をCMP法で除去する場合
に、被研磨面の全面が金属から一部半導体に変わるとき
の研磨温度の変化量に基づいて研磨終了点を決定するこ
とが可能である。あるいは、半導体ウエハ上に金属配線
を形成し、さらにその上に絶縁膜を形成し、絶縁膜をC
MP法で研磨して金属配線を表面に露出させる場合に、
被研磨面の全面が絶縁材料から一部金属に変わるときの
研磨温度の変化を利用して研磨終了点を決定することも
可能である。
【0041】プロセスパラメータを変化させることによ
り研磨温度を制御する場合には、プロセスパラメータの
変化量(プロセスパラメータがある値から別の値に変化
したときの2つの値の差)に基づいて研磨終了点を検出
することができる。研磨温度が急激に高くなる又は低く
なると、それに対応してプロセスパラメータの変化量も
大きくなるためである。
【0042】研磨温度を閉ループで制御する場合、プロ
セスパラメータを変化させる制御要素に送信される信号
に基づいて研磨終了点を検出することが可能である。閉
ループにおいては、測定された研磨温度に基づいてプロ
セスパラメータを変化させるため、プロセスパラメータ
を変化させる信号が制御要素に送信される。この信号が
プロセスパラメータを大きく変化させるように指示する
信号であれば、研磨温度が急激に変化していることにな
る。したがって、この信号を連続的にモニターすれば、
プロセスパラメータを大きく変化させる前に研磨終了点
を検出することが可能である。
【0043】本発明の研磨方法は、ワークの研磨を開始
する前および/またはワークの研磨を終了した後に研磨
パッドの研磨面を冷却する工程を含んでよい。ワークの
研磨を開始する前および/またはワークの研磨を終了し
た後とは、例えばワークの搬入搬出時である。研磨終了
後の研磨パッドの研磨面は一般に温度が上昇した状態に
あるので、そのまま次のワークを研磨すると、ワークの
種類等によっては所望の研磨レートが得られないことが
ある。そこで、必要に応じて、ワークを研磨した後、次
のワークを研磨する前に研磨パッドの研磨面を冷却し、
次のワークを研磨するのに適した温度(例えば、常温)
とする。冷却はまた、研磨開始時の研磨温度を常に所定
温度とするために実施してよい。冷却は任意の方法で実
施される。例えば、研磨パッドの表面に所定温度の気体
または液体を吹き付けて冷却してよい。研磨パッドの表
面は、必要に応じて、ワークの研磨を開始する前および
/またはワークの研磨を終了した後に加熱してもよい。
【0044】第3の要旨において提供される本発明のワ
ーク保持機構は、ワークを研磨パッドに押圧するととも
に、押圧方向に垂直な面内でワークを保持するワーク保
持機構であって、筒状の軸部、赤外線透過部を有するプ
レート部材、およびワークの周縁部の裏面に位置するよ
うにプレート部材に取り付けられたリップシールを含
み、ワークを保持したときに、プレート部材、リップシ
ールおよびワークにより空間部が形成され、当該空間部
に供給された流体の圧力によりワークが研磨パッドに押
圧されることを特徴とする。このワーク保持機構は、本
発明の研磨温度測定方法および研磨方法を実施するのに
特に適したものである。
【0045】本発明のワーク保持機構に関して、ワーク
保持機構を構成する部材の「表面」とは、ワーク保持機
構に組み込まれたときに、研磨パッドの研磨面と平行と
なる2つの表面のうち研磨パッドに近い側に位置する面
をいう。一方、ワーク保持機構を構成する部材の「裏
面」または「背面」とは、ワーク保持機構に組み込まれ
たときに、研磨パッドの研磨面と平行となる2つの表面
のうち研磨パッドから遠い側に位置する面をいう。
【0046】このワーク保持機構の内部には、筒状の軸
部、および赤外線透過部を有するプレート部材によっ
て、赤外線が通過し得る通路が形成されている。このワ
ーク保持機構を使用してワークを研磨しながら研磨温度
を測定する場合、保持機構内部を通過した赤外線を検出
する手段は、好ましくはワーク保持機構の筒状の軸部の
上方に配置される。
【0047】筒状の軸部とは、中空部を有する軸部であ
る。軸部は必要に応じて回転軸であってもよい。
【0048】プレート部材に形成される赤外線透過部は
赤外線が透過し得る材料で形成される。赤外線が透過し
得る材料は、赤外線の波長に応じて異なり、波長8〜1
0μmの赤外線を透過させる材料としては、例えば、蛍
石、BaF2およびSi等がある。赤外線透過部は、好
ましくはその中心がワークの中心と重なるように配置さ
れる。
【0049】軸部の形状寸法(長さおよび断面形状)な
らびに赤外線透過部の形状寸法は、赤外放射線温度計の
(測定距離):(測定領域の直径)の比に応じて決定さ
れる。本発明においては、(測定距離):(測定領域の
直径)の比が300:1〜500:1程度の赤外放射線
温度計が好ましく用いられる。赤外放射線温度計と研磨
パッドの研磨面との距離は500〜1000mmであるこ
とが好ましく、測定領域は直径20〜40mmの円に相当
する面積を有することが好ましい。軸部および赤外線透
過部の形状寸法は、これらの好ましい数値範囲に基づ
き、他の部材の寸法等を考慮して適宜選択される。
【0050】プレート部材は、ワークを研磨パッドに押
圧するための流体を収容する空間部(または圧力室)を
形成するとともに、ワークおよび研磨パッドから放射さ
れる赤外線を透過させる赤外線透過部を配置させる部材
である。ここで、流体とは気体または液体を意味する。
気体は例えば空気であり、液体は例えば水である。プレ
ート部材は、このように作用する限りにおいて、その形
状および寸法は制限されない。
【0051】プレート部材は、高い剛性を有する軽量の
材料であって、ワーク(例えば半導体ウエハ)に対して
ケミカル汚染源および有機汚染源とならない材料で形成
されたものであることが好ましい。ここで「ケミカル汚
染」とは、Cu、Fe、Cr等の重金属イオンがワーク
に付着することをいい、「有機汚染」とは有機物がワー
クに付着することをいう。プレート部材は、具体的には
アルミナのようなセラミックまたはステンレスから成る
ことが好ましい。
【0052】プレート部材は、その外縁がワークの外縁
と重なるものであることが好ましい。したがって、ワー
クが円盤形態である場合、プレート部材はワークの直径
と同じ直径を有する円盤形態であることが好ましい。プ
レート部材は2以上の部分から形成されていてよい。プ
レート部材は平板である必要は必ずしもなく、厚さが部
分的に異なって凹凸を有するものもプレート部材に含ま
れる。
【0053】「ワークの周縁部」とはワークの外縁を含
む部分をいい、本発明のワーク保持機構がワークを保持
したときにリップシールが位置する(即ち、接する)部
分をいう。ワークの外縁とはワークの輪郭を規定する最
外部であるが、後述のように「ワークの外縁において縁
だれが防止される」という場合のように、ワークの外縁
を含む極めて狭い幅を有する部分を指す場合もある。ワ
ークが円盤形態であって、リップシールがワークの直径
の1/40程度またはそれ以下の幅(外周と内周との間
の距離)を有するリング状物である場合のように、リッ
プシールの幅が極めて狭い場合には、ワークの周縁部は
ワークの外縁と等しくなることがある。例えば、ワーク
が直径200mmの円盤形態であり、ワークの周縁部の裏
面に幅が5mm程度またはそれ以下の環状のリップシール
が位置する場合、ワークの周縁部はワークの外縁に等し
いといえることもある。
【0054】リップシールは、ワーク保持機構がワーク
を保持したときに気密または液密な封止部を形成して、
プレート部材、リップシールおよびワークにより形成さ
れる空間部から流体が漏れるのを防止する。リップシー
ルは、例えば弾性材料から成るO−リングである。リッ
プシールは、ワークが円盤形態である場合には、ワーク
の直径の1/40程度(ワークが直径200mmの円盤形
態である場合には5mm程度)の幅を有する環状体である
ことが好ましい。
【0055】このワーク保持機構を用いれば、ワークと
研磨パッドとの接触面においてワークおよび研磨パッド
から放射され、ワークを透過した後、ワーク保持機構の
赤外線透過部および軸部を通過する赤外線を検出して研
磨温度を測定することができる。このワーク保持機構を
用いて研磨温度を測定すれば、ワークの中央部にて常
に研磨温度を測定できる、回転端子等を用いずにワー
ク保持機構の上方に赤外放射線の検出手段を配置でき、
研磨装置の構造を複雑にすることなく研磨温度を測定す
ることが可能となる、赤外放射線の検出器とワークと
の間に位置する部材の数が少なく、ワークおよび研磨パ
ッドからの赤外放射線の吸収が小さい、直径20〜4
0mm程度の広い範囲の平均温度が測定でき、局部の温度
を測定する場合と比較して、局所的な温度のばらつきが
測定温度に及ぼす影響が小さいという利点がもたらされ
る。
【0056】このワーク保持機構にワークを保持させる
と、プレート部材、リップシールおよびワークにより形
成された密閉空間部が形成される。この空間部には流体
が供給され得、空間部に供給された流体の圧力によって
ワークが研磨パッドに押圧される。一方、この空間部を
真空にすればワークをリップシールに吸着させることが
でき、ワークの研磨前後でワークを搬送するのに好都合
である。赤外線透過部を有するプレート部材が流体を収
容する空間部を規定しているため、このワーク保持機構
を用いれば、流体によるワークの押圧と赤外線検出によ
る研磨温度測定を同時に実施でき、したがって、研磨温
度がより正確に測定される。
【0057】本発明のワーク保持機構は、プレート部材
の周縁部を押圧方向に移動可能に保持するダイヤフラ
ム、およびプレート部材の周縁部の裏面に接し得るバル
ーン状弾性体を更に含み、バルーン状弾性体内に供給さ
れた流体の圧力によってバルーン状弾性体が膨張するこ
とにより、プレート部材およびリップシールを介してワ
ークの周縁部を研磨パッドに押圧し得るものであること
が好ましい。
【0058】「プレート部材の周縁部」とは、プレート
部材の外縁を含む部分をいう。プレート部材の周縁部
は、プレート部材が円盤形態である場合には、プレート
部材の外縁を含む環状部である。プレート部材が円盤形
態であって、プレート部材の直径がワークの直径と同じ
である場合、ダイヤフラムによって保持されるプレート
部材の周縁部はワークの直径の1/4〜1/8に相当す
る幅(環状部の外周と内周との間の距離)を有する環状
部である。この環状部は、好ましくはワークと同心であ
る。したがって、例えば、プレート部材およびワークが
ともに直径200mmの円盤形態である場合、プレート部
材の周縁部はプレート部材の外縁を含む幅50〜25mm
の環状部である。
【0059】「バルーン状弾性体」とは、少なくとも一
部が弾性材料から成り、流体が流出入し得る閉鎖された
空間部を有し、空間部に流入した流体の圧力に応じて少
なくとも一部が弾性変形(例えば膨張および収縮)でき
るものをいう。ここで、流体とは気体または液体を意味
する。気体は例えば空気であり、液体は例えば水であ
る。
【0060】バルーン状弾性体には、弾性材料から成る
薄肉部材(例えばシート)で形成されたバルーン状の形
状を有するものが含まれる。また、バルーン状弾性体に
は、弾性材料から成る薄肉部材(例えばシート)がワー
ク保持機構を構成する他の部材とともに空間部を形成す
ることにより構成されるものも含まれ、その場合、弾性
材料から成る薄肉部材だけが弾性変形することとなる。
バルーン状弾性体を構成する弾性材料から成る薄肉部材
は、具体的には、ネオプレンゴムまたはシリコンゴム等
から成る、厚さ0.1〜0.5mmのシート状物であるこ
とが好ましい。
【0061】バルーン状弾性体は、その空間部に流入し
た流体が外部に実質的に漏出しないような構造を有する
ことが好ましい。したがって、例えば、バルーン状弾性
体を弾性材料から成るシートとワーク保持機構を構成す
る他の部材とで構成する場合、弾性材料から成るシート
をワーク保持機構に気密または液密に取り付けることが
好ましい。
【0062】上記ワーク保持機構を構成するダイヤフラ
ムは、バルーン状弾性体の膨張により生じる押圧力によ
って、弾性変形し得る薄い板状部材である。ダイヤフラ
ムは、好ましくは繰り返し弾性変形しても破損しない十
分な強度および耐食性を有し、ワーク(例えば半導体ウ
エハ)に対してケミカル汚染源および有機汚染源となら
ない材料から成る。ダイヤフラムは、具体的には、ハス
テロイもしくはステンレス等から成る厚さ0.05〜
0.2mmの板状物、またはネオプレンゴムから成る厚さ
0.1〜0.5mmの板状物(もしくはシート状物)であ
ることが好ましい。
【0063】上記ダイヤフラムはプレート部材の周縁部
を押圧方向に移動可能に保持する。ダイヤフラムは、具
体的には、その一部がプレート部材に取り付けられ、他
の一部がワーク保持機構のプレート部材以外の部材に取
り付けられ、プレート部材に取り付けられた部分とその
他の部材に取り付けられた部分との間がフリーな状態に
なっていて、このフリーな部分が撓み部として自由に弾
性変形し(例えば、撓む)、その結果、プレート部材の
周縁部がその他の部材に対して変位するように配置され
る。
【0064】プレート部材へのダイヤフラムの取り付け
は、例えば、プレート部材の周縁部を2つの部材に分
け、2つの部材の間にダイヤフラムを挟み込み、ボルト
締め又は接着剤等で固定することによって実施できる。
プレート部材以外の部材へのダイヤフラムの取り付けも
同様に実施できる。プレート部材以外の部材としては、
例えば保持ベースがある。「保持ベース」とは、ワーク
保持機構を備えたワーク保持ヘッド全体を構成する基礎
構造部材であって、プレート部材等を組み込む部材をい
う。保持ベースはワーク保持ヘッドの本体ともいえる。
ダイヤフラムを取り付けるプレート部材以外の部材は、
後述するリテーナリングであってもよい。
【0065】上記ワーク保持機構において、ダイヤフラ
ムは、プレート部材の周縁部が環状である場合には、環
状の薄板状部材である。
【0066】ダイヤフラムが環状である場合、その内周
部がプレート部材の周縁部に取り付けられれば、外周部
がプレート部材以外の部材に取り付けられる。ダイヤフ
ラムの外周部がプレート部材の周縁部に取り付けられれ
ば、内周部がプレート部材以外の部材に取り付けられ
る。いずれの場合も、外周部と内周部との間の部分が、
撓み部として弾性変形する(例えば、撓む)こととな
る。ここで、「外周部」および「内周部」とはそれぞ
れ、中央に開口部を有するもの(例えば環状形態のも
の)の外縁を含む部分および内縁を含む部分をいう。
【0067】バルーン状弾性体はプレート部材の周縁部
の裏面に接し得るように設けられる。即ち、バルーン状
弾性体は膨張したときにプレート部材の周縁部を変位
(または移動)させ得るよう、膨張したときにプレート
部材の周縁部の裏面に接するように配置される。したが
って、「プレート部材の周縁部の裏面に接し得るバルー
ン状弾性体」には、膨張していないときにプレート部材
の周縁部の裏面に接しているバルーン状弾性体も当然に
含まれる。バルーン状弾性体はプレート部材の周縁部の
裏面に接触するように配置し、必要に応じて接着剤等で
プレート部材の周縁部の裏面に固定してもよい。あるい
は、バルーン状弾性体が膨張したときにプレート部材が
ワークを研磨パッドに押圧する限りにおいて、バルーン
状弾性体は膨張していないときにプレート部材の周縁部
と接しないように配置してよい。
【0068】上記のようにダイヤフラムおよびバルーン
状弾性体を配置したワーク保持機構においては、プレー
ト部材の周縁部の裏面に接し得るバルーン状弾性体が膨
張してプレート部材の周縁部をパッドに押し付ける方向
にプレート部材の周縁部に力が加えられると、プレート
部材の周縁部が研磨パッドに向かう方向に変位(または
移動)するとともにダイヤフラムの撓み部が弾性変形す
る。そして、バルーン状弾性体が膨張後、流体の圧力が
低下して収縮すると、ダイヤフラムの撓み部が元の状態
に戻るように弾性変形するため、プレート部材の周縁部
は研磨パッドから遠ざかる方向に移動する。したがっ
て、ダイヤフラムとバルーン状弾性体を有するワーク保
持機構において、プレート部材の周縁部の押圧方向の変
位はダイヤフラムの撓み部が弾性変形する範囲内でコン
トロールされることとなり、その意味においてダイヤフ
ラムはプレート部材の周縁部を押圧方向およびこれと反
対の方向に移動可能に保持している。プレート部材の周
縁部の最大変位量はダイヤフラムの材料および厚さなら
びに撓み部の長さ等に応じて決定される。プレート部材
の周縁部の変位量が予め設定されている場合には、ダイ
ヤフラムの材料および厚さならびに撓み部の長さ等を、
その変位量を実現するために選択する必要がある。
【0069】プレート部材の周縁部はダイヤフラムによ
って融通性良く保持される。具体的には、例えば、ワー
ク表面と研磨パッドの研磨面とが平行とならず、2つの
面の間に傾きが生じたとしても、ダイヤフラムの撓み部
が十分に長い場合には、ダイヤフラムの一部が他の部分
と異なるように弾性変形して傾きを補正することにより
2つの面を平行にする。
【0070】このワーク保持機構を使用した場合、バル
ーン状弾性体の空間部に流体が供給されてバルーン状弾
性体が膨張することによりプレート部材の周縁部が押さ
れ、さらにワークの周縁部がプレート部材に押されるこ
とによって、ワークの周縁部がプレート部材の周縁部お
よびリップシールを介して研磨パッドに押圧される。プ
レート部材の周縁部により押圧されるワークの周縁部
は、ワークの裏面においてリップシールと接している部
分の表面のみであり、その面積はワークの裏面に接して
いるリップシールの幅に応じて決定される。
【0071】このワーク保持機構によれば、バルーン状
弾性体およびダイヤフラムを利用して、ワークの周縁部
とそれ以外の部分(即ちワークの中央部)をそれぞれ独
立して研磨パッドに押圧し得る。したがって、ワークの
中央部をその裏面に接して形成された空間部に供給され
る流体の圧力で、周縁部をバルーン状弾性体内に供給さ
れる流体の圧力で、それぞれ独立して押圧することによ
り、中央部および周縁部の加工圧力をそれぞれ異なるよ
うにし得る。
【0072】本発明のワーク保持機構は、ワークの外縁
(または側面)を囲むリテーナリングを更に含むもので
あることがより好ましい。リテーナリングは、研磨中に
ワークがワーク保持ヘッドから外れることを防止するた
めに設けられる。
【0073】本発明のワーク保持機構にリテーナリング
を設ける場合、リテーナリングは、好ましくは、保持機
構の中心を通る軸を対称軸とする軸対称構造を有するダ
イヤフラムで保持される。そのようなダイヤフラムは、
具体的には、中心が対称軸上にあり、半径方向が対称軸
に対して垂直である環状の板状物であり、外周部と内周
部との間の部分が撓み部として弾性変形する(例えば、
撓む)ものである。
【0074】この環状のダイヤフラムでリテーナリング
を保持すれば、リテーナリングが押圧方向に移動してダ
イヤフラムに応力が生じても、ダイヤフラムが対称構造
を有するために、ダイヤフラムは半径方向に作用する力
が対称軸を中心として釣り合うように弾性変形する。即
ち、ダイヤフラムはリテーナリングが押圧方向に移動し
てもその中心が大きくずれず、かかるダイヤフラムで保
持されたリテーナリングの中心もまた大きくずれない。
したがって、このように弾性変形し得るダイヤフラムで
リテーナリングを保持すれば、リテーナリングの水平方
向における変位を有効に防止できる。一方、ダイヤフラ
ムは押圧方向で容易に弾性変形する(例えば、撓む)の
で、小さな力によってもリテーナリングを押圧方向に移
動できる。
【0075】リテーナリングを押圧方向に移動可能に保
持するダイヤフラムは、プレート部材の周縁部を押圧方
向に移動可能に保持するダイヤフラムと同様に、リテー
ナリングおよびリテーナリング以外の部材(例えば保持
ベース)に取り付けられる。
【0076】好ましくは、リテーナリングもまたプレー
ト部材と同様の方法で研磨パッドに押し付けられる。具
体的には、リテーナリングを押圧方向に移動可能に保持
する上述のダイヤフラムおよびリテーナリングの裏面に
接し得るバルーン状弾性体を設け、バルーン状弾性体内
に供給された流体の圧力によってバルーン状弾性体が膨
張することにより、リテーナリングが研磨パッドに押圧
されることが好ましい。
【0077】リテーナリングの裏面に接し得るバルーン
状弾性体は、先に説明したプレート部材の周縁部の裏面
に接し得るバルーン状弾性体と同様のものである。した
がって、ここではその詳細な説明を省略する。但し、リ
テーナリングの裏面に接し得るバルーン状弾性体におい
て、リテーナリングの裏面に接する部分の形状は、それ
が接するリテーナリングの形状に応じて異なる。例え
ば、リテーナリングが環状である場合、バルーン状弾性
体においてリテーナリングの裏面に接する部分の形状も
また環状となる。
【0078】リテーナリングを研磨パッドに押圧するこ
とにより、研磨中にワークが保持ヘッドからより外れに
くくなるので、ワークの飛び出し、およびそれによるワ
ークの破損が防止される。また、ワークの外縁付近で研
磨パッドが押圧されて研磨パッドの圧縮変形状態が変化
することにより、ワークの外縁において縁だれが防止さ
れる。即ち、リテーナリングを押圧することにより、ワ
ークの中央部、周縁部および外縁の加工圧力のバランス
を高い精度で制御できる。
【0079】第4の要旨において提供される本発明のワ
ーク保持機構は、ワークの被研磨面を研磨パッドにより
研磨する装置であって: a)本発明のワーク保持機構; b)ワークの裏面側にワークの中心を通るワークの表面
に垂直な軸上に配置された赤外放射線温度計; c)研磨パッドを支持する定盤;および d)ワークを研磨パッドに対して相対的に移動させる手
段を有して成る。この研磨装置において、赤外放射線温
度計は一般に軸部の上方に配置される。この研磨装置に
よれば、本発明の研磨温度測定方法を実施しながら、ワ
ークを研磨することが可能である。
【0080】本発明はいずれも、CMP法による研磨に
特に好ましく適用される。本発明はまた、CMP法以外
の研磨方法、例えば、機械的研磨(MP;Mechanical P
olishing)法やメカノケミカルポリッシング(MCP;
Mechano Chemical Polishing)法にも適用できる。
【0081】
【発明の実施の形態】以下、本発明の研磨温度測定方法
および研磨方法を図面を参照しながら説明する。図1〜
図5は、それぞれ本発明のワーク保持機構を用いた本発
明の研磨温度測定方法および研磨方法の実施形態を示
す。各図において、ワークはいずれも半導体ウエハであ
る。図示していないが、この実施形態において、ワーク
は研磨砥粒を含む研磨液を供給しながらCMP法によっ
て研磨される。
【0082】図1は、ワークがワーク保持機構に保持さ
れて研磨パッドで研磨されている状態を示している。ワ
ーク保持機構(10)は、保持ベース(11)、中空部(1
3)を有する筒状の回転軸部(12)、中央部(14a)と
周縁部(14b)とから成るプレート部材(14)、リップ
シール(18)、およびリテーナリング(21)を有し、円
盤形態のワーク(3)を保持している。ワーク(3)を
研磨する研磨パッド(28)は定盤(29)に取り付けられ
ている。研磨温度は、ワーク保持機構の中心線k(回転
軸)上に設置された赤外放射線温度計(30)で測定され
る。図1において、ワーク(3)は直径200mmの円盤
形態である。プレート部材(14)も全体として直径20
0mmの円盤形態を有している。リップシール(18)は5
mmの幅を有する。
【0083】保持べース(11)は、ワーク保持機構のワ
ーク保持ヘッド全体を構成する基礎構造部材であって、
プレート部材等の部材を取り付ける部材に相当する。保
持ベース(11)はワーク保持ヘッドの本体ともいえる。
【0084】回転軸部(12)は、ワークおよび研磨パッ
ドから放射される赤外線を通過させるための中空部(1
3)を有する円筒形状部である。中空部(13)の断面
(水平方向の断面)は、プレート部材(14)に設けられ
た赤外線透過部(16)と同じ断面形状を有している。回
転軸部(12)は駆動手段(図示せず)に連結されて回転
できるようになっている。図示した態様において、中空
部(13)の断面は直径30mmの円である。
【0085】プレート部材(14)の中央部には、環状の
ステップ(15a)を有する開口部(15)が形成されてい
る。開口部(15)はプレート部材(14)の厚さ全体を貫
通している。ステップ(15a)は赤外線透過部(16)を
載置するためのものであり、赤外透過部(16)はステッ
プ(15a)において押え板(26)でプレート部材(14)
に固定されている。赤外線透過部(16)は、プレート部
材(14)、ワーク(3)およびリップシール(18)で形
成された空間部(31)に流体を供給したときに、漏れが
生じないように固定する必要がある。
【0086】赤外線透過部(16)は、ワークおよび研磨
パッドから放射されワークを透過した赤外線を透過させ
る材料(例えば蛍石)で形成されている。図示した態様
において、赤外線透過部(16)は直径30mmの円形の板
であり、その中心はワーク保持機構の中心線k上に位置
する。
【0087】リップシール(18)は、ワークの周縁部の
裏面に位置するように配置され、空間部(31)を外部に
対してシールする役割をしている。リップシール(18)
は、例えば、弾性材料から成るO−リングであってよ
く、あるいは弾性材料から成る幅の狭い環状シート(例
えばロデールニッタ社製のスバ400(商品名))であ
ってよい。
【0088】空間部(31)は、プレート部材(14)、ワ
ーク(3)およびリップシール(18)で規定されてい
る。空間部(31)には、保持ベース(11)に設けられた
流体用管路(37)およびプレート部材(14)に設けられ
た流体用管路(14e)を介して流体が供給されるように
なっている。空間部(31)に流体が供給されると、流体
によってワークの中央部(図1において、リップシール
(18)が接していない部分)が研磨パッド(28)に押圧
される。
【0089】図示した態様において、プレート部材(1
4)は中央部(14a)と周縁部(14b)の2つの部分か
ら成る。周縁プレート部材(14b)はダイヤフラム(2
0)によって押圧方向に移動可能に保持されている。周
縁プレート部材(14b)の背面側にはバルーン状弾性体
が設けられている。図示した態様においては、弾性シー
ト(19)と保持ベース(11)とが空間部(102)を形成
して、バルーン状弾性体を構成している。この空間部
(102)に流体として圧縮空気が流体用管路(27)を介
して供給されると、バルーン状弾性体を構成する弾性シ
ート(19)が下向きに膨張する。図示した態様におい
て、周縁プレート部材(14b)は幅25mmの環状部材で
ある。
【0090】バルーン状弾性体を構成する弾性シート
(19)が圧縮空気によって膨張すると、周縁プレート部
材(14b)およびリップシール(18)が変位させられて
ワーク(3)の周縁部が研磨パッド(28)に押圧され
る。即ち、バルーン状弾性体の空間部(102)の圧縮空
気の圧力が周縁プレート部材(14b)およびリップシー
ル(18)を介してワーク(3)に伝えられ、それにより
ワーク(3)の周縁部が研磨パッド(28)に押圧され
る。
【0091】リップシール(18)は、空間部(31)に流
体が供給されたときに流体の漏出を専ら防止するための
ものであるから、リップシール(18)とワーク(3)と
の接触面積は小さく、リップシール(18)を介して押圧
されるワークの面積は極めて小さい。周縁プレート部材
によって押圧されるワークの面積を大きくしたい場合に
は、より広い面積にわたってワークと接するシート状部
材をリップシールとして用いるとよい。
【0092】図示した態様において、バルーン状弾性体
を構成する弾性シート(19)は環状のシート(例えば厚
さ0.1mmのネオプレンゴム製シート)である。弾性シ
ート(19)は、その内周部および外周部がそれぞれ環状
の押え板(24b,24c)と保持ベース(11)との間で、
流体(空気)が漏出しないようにボルト締めにより固定
されている。バルーン状弾性体の空間部(102)に供給
される圧縮空気の圧力が周縁プレート部材に伝達される
限りにおいて、バルーン状弾性体(図示した態様におい
て弾性シート(19))は膨張していないときに周縁プレ
ート部材と接していなくてもよい。
【0093】周縁プレート部材(14b)が変位すると同
時にダイヤフラム(20)のフリーな部分が撓む。図示し
た態様において、ダイヤフラム(20)は環状の弾性シー
ト(例えば、厚さ0.1mmのネオプレンゴム製シート)
である。ダイヤフラム(20)は、その内周部が板状部材
(25c)と保持ベース(11)との間でボルト締めにより
固定され、その外周部が周縁プレート部材(14b)に固
定されて、周縁プレート部材(14b)を保持している。
ダイヤフラム(20)の外周部は、具体的には、周縁プレ
ート部材(14b)を上側部分(14c)と下側部分(14
d)の2つに分け、2つの部分の間にダイヤフラム(2
0)を挟み、上側部分(14c)の方からボルト締めする
ことによって固定される。したがって、ダイヤフラム
(20)の撓み部は、保持ベース(11)と周縁プレート部
材(14b)との間に位置する部分である。
【0094】リテーナリング(21)は、周縁プレート部
材(14b)と同様にダイヤフラム(22)によって押圧方
向に移動可能に保持されている。ダイヤフラム(22)は
環状の金属板(例えば、厚さ0.1mmのステンレス板ま
たはハステロイ板)である。リテーナリング(21)の背
面側には、バルーン状弾性体が設けられている。図示し
た態様においては、保持ベース(11)と弾性シート(2
3)とが空間部(104)を形成して、バルーン状弾性体を
構成している。この空間部(104)に流体として圧縮空
気が流体用管路(36)を介して供給されると、バルーン
状弾性体を構成する弾性シート(23)が下向きに膨張す
る。
【0095】バルーン状弾性体を構成する弾性シート
(23)が圧縮空気によって膨張すると、リテーナリング
(21)が変位させられて研磨パッド(28)に押圧され
る。即ち、バルーン状弾性体の空間部(104)の圧縮空
気の圧力がリテーナリング(21)に伝えられ、それによ
りリテーナリング(21)が研磨パッド(28)に押圧され
る。
【0096】図示した態様において、バルーン状弾性体
を構成する弾性シート(23)は環状のシート(例えば、
厚さ0.1mmのネオプレンゴム製シート)である。弾性
シート(23)の内周部および外周部は、それぞれ環状の
押え板(24d,24e)と保持ベース(11)との間で、流
体(空気)が漏出しないようにボルト締めにより固定さ
れている。バルーン状弾性体の空間部(104)に供給さ
れる圧縮空気の圧力がリテーナリングに伝達される限り
において、バルーン状弾性体(図示した態様において弾
性シート(23))は膨張していないときにリテーナリン
グと接していなくてもよい。
【0097】リテーナリング(21)が押圧されると、ダ
イヤフラム(22)のフリーな部分が同時に撓む。ダイヤ
フラム(22)は、その外周部が板状部材(25e)と保持
ベース(11)との間でボルト締めにより固定され、内周
部がリテーナリング(21)の上側部分(21a)と下側部
分(21b)との間で固定されてリテーナリング(21)を
保持している。したがって、ダイヤフラム(22)の撓み
部は、保持ベース(11)とリテーナリング(21)との間
に位置する部分である。
【0098】赤外放射線温度計(30)は、回転軸部(1
2)の上方にワーク保持機構の中心線k(回転軸)上に
赤外線検出部が常に位置するように配置されて、ワーク
の中央部における研磨温度を常に測定する。そのような
配置を確保するために、赤外放射線温度計(30)は中心
線kが例えばワーク保持機構の揺動等により移動する場
合には、中心線kとともに移動する。図示した態様にお
いて、赤外放射線温度計(30)は、その赤外線検出部が
研磨パッドの表面から80cm上方に位置するように配置
されている。
【0099】赤外放射線温度計(30)は、摩擦熱により
温度上昇したワークおよび研磨パッドから放射された赤
外線であって、ワーク(3)を透過し、更に赤外線透過
部(16)を透過した赤外線(図中、破線の白抜き矢印で
示す)のエネルギー量を測定する。赤外放射線温度計
(30)の測定波長は、ワークを透過した赤外線を検出で
きるように設定されている。
【0100】研磨はワーク(3)を研磨パッド(28)に
対して相対的に移動させることにより実施する。このと
き、ワーク(3)ががたついたりワーク保持ヘッドから
飛び出さないように、相対移動を開始する前にリテーナ
リング(21)を研磨パッド(28)に押し付ける。ワーク
(3)を研磨パッド(28)に対して相対的に移動させる
方法としては、定盤(29)を偏心小円運動(またはオー
ビタル運動)させる方法がある。偏心小円運動の公転直
径および速度等はワークおよび研磨パッドの種類等に応
じて決定される。例えば、公転直径は5mm、相対速度は
1000mm/秒としてよい。
【0101】次に図2を参照して、バルーン状弾性体の
空間部(102,104)および空間部(31)への流体(圧縮
空気)の供給および加工圧力の制御に関して説明する。
図2に示すワーク保持機構および研磨パッド等は図1を
参照して説明したものと同一である。図2に示すよう
に、ワーク保持機構の各バルーン状弾性体の空間部(10
2,104)および空間部(31)に圧縮空気を供給するため
の流体用管路(27,36,37)はそれぞれ精密電子レギュ
レータ(32,33,34)に接続されている。
【0102】精密電子レギュレータ(32,33)は、各バ
ルーン状弾性体の空間部(102,104)に供給される圧縮
空気の圧力を制御する。精密電子レギュレータ(34)
は、空間部(31)に供給される圧縮空気の圧力を制御す
る。各精密電子レギュレータは独立しており、したがっ
て、ワークの中央部および周縁部ならびにリテーナリン
グにおける加工圧力をそれぞれ異なるように調節し得
る。精密電子レギュレータ(32,33)はそれぞれ、ワー
ク(3)の周縁部およびリテーナリング(21)が研磨パ
ッド(28)に押し付けられて生じる加工圧力を測定する
圧力センサー(図示せず)と接続されている。精密電子
レギュレータ(34)は、ワーク(3)の中央部が押し付
けられて生じる加工圧力を測定する圧力センサー(図示
せず)と接続されている。各圧力センサーは、各精密電
子レギュレータとバルーン状弾性体との間に配置され、
バルーン状弾性体内の流体の圧力を測定し、予め実験的
に求めておいたバルーン状弾性体内の流体の圧力と加工
圧力との関係式から加工圧力を算出する。
【0103】精密電子レギュレータ(32,33,34)はバ
ランスコントローラ(35)に接続することが好ましい。
バランスコントローラ(35)は、ワークの各部分におけ
る加工圧力のバランスを制御するものである。具体的に
は、コントローラ(35)は、圧力センサから精密電子レ
ギュレータ(32,33,34)を経由して伝達された加工圧
力情報に基づいて、所定の加工圧力バランスが得られる
よう各精密電子レギュレータに指示を与える。精密電子
レギュレータ(32,33,34)はバランスコントローラ
(35)からの指示に基づいて、適当な圧力に調節した圧
縮空気を供給する。
【0104】次に、図1および図2を参照して説明した
本発明のワーク保持機構の動作および本発明の研磨温度
測定方法を以下に説明する。まず、精密電子レギュレー
タ(33)を用いて低圧(例えば4.9kPa−Gauge
(0.05kgf/cm2-Gauge))の圧縮空気でバルーン状
弾性体を構成する弾性シート(23)を膨張させることに
よりリテーナリング(21)を押圧方向で移動させて、リ
テーナリング(21)の表面をリップシール(18)の表面
よりも下方に突出させ、ワークを保持したときにリテー
ナリング(21)の表面がワーク表面よりも下方に位置す
るようにする。それから、搬入搬出装置(例えばロボッ
ト:図示せず)によりワーク(3)をワーク保持機構の
ウエハ保持部に搬入して、ワーク保持機構の作動を開始
し、空間部(31)を真空引きする。その結果、ワーク
(3)はリップシール(18)に吸着される。
【0105】搬入搬出装置が退避した後、ワーク(3)
は研磨パッド(28)の上方に配置される。それから、精
密電子レギュレータ(33)を用いて低圧(例えば9.8
kPa−Gauge(0.1kgf/cm2-Gauge))の圧縮空気で
バルーン状弾性体の弾性シート(23)を膨張させて、リ
テーナリング(21)をその表面が研磨パッド(28)に接
触するまで移動させる。このとき、研磨パッド(28)上
には研磨液(図示せず)が予め供給されている。リテー
ナリング(21)が研磨パッド(28)に接触すると、リテ
ーナリング(21)は研磨パッド(28)によって上向きに
押されて僅かに(例えば0.01mm)上昇する。
【0106】次に、空間部(31)が精密電子レギュレー
タ(34)によって正圧(例えば9.8kPa−Gauge
(0.1kgf/cm2-Gauge))に制御されるとともに、精
密電子レギュレータ(32)で圧力制御された圧縮空気
(例えば9.8kPa−Gauge(0.1kgf/cm2-Gaug
e))がバルーン状弾性体の空間部(102)に供給され
て、ワーク(3)が研磨パッド(28)に押圧される。こ
の操作により、ワーク(3)およびリテーナリング(2
1)がともに研磨パッド(28)に押圧されることとなっ
て、押圧のバランスがとられる。
【0107】続いて、ワーク(3)を研磨パッド(2)
に対して相対的に移動させる。ワーク(3)を研磨パッ
ド(28)に対して相対的に移動させる方法としては、研
磨パッドが取り付けられた定盤(29)を偏心小円運動
(またはオービタル運動)させる方法がある。偏心小円
運動の公転直径および速度等はワークおよび研磨パッド
の種類等に応じて決定される。例えば、公転直径を5m
m、相対速度を1000mm/秒として、定盤(29)を駆
動装置(図示せず)を用いて駆動させることができる。
【0108】ワーク(3)の相対速度は移動開始から徐
々に(例えば10秒間で)高くして所定の値とする。速
度を高くしている間に、バランスコントローラ(35)が
圧力バランスを予め設定された値にコントロールして、
精密電子レギュレータ(32,33,34)により圧縮空気の
圧力を所定の圧力(例えば約39.2kPa−Gauge
(0.4kgf/cm2-Gauge))まで高める。それにより、
ワーク(3)の表面(被研磨面)とリテーナリング(2
1)の表面が同一面上に保持された状態で研磨プロセス
が進行する。研磨中、研磨パッド(28)の研磨面には研
磨液が連続的に供給される。
【0109】ワーク(3)の研磨レート(単位時間あた
りの研磨量)は加工圧力と相対速度によって決定され
る。したがって、研磨中、精密電子レギュレータ(32)
はバルーン状弾性体の空間部(102)に供給される圧縮
空気の圧力を調節して、ワーク(3)の周縁部の研磨レ
ートを調節する。精密電子レギュレータ(34)は空間部
(31)に供給される圧力を調節して、ワーク(3)の中
央部の研磨レートを調節する。
【0110】精密電子レギュレータ(33)は、バルーン
状弾性体の空間部(104)に供給される圧縮空気の圧力
を調節して、リテーナリング(21)が研磨パッド(28)
に加える圧力を制御する。リテーナリング(21)が押圧
されることにより、ワーク(3)の外縁付近における研
磨パッド(28)の圧縮変形状態が変化する。したがっ
て、リテーナリング(21)が研磨パッド(28)に加える
圧力を変化させることにより、ワーク(3)の外縁の研
磨レートを変化させて外縁において縁ダレを防止するこ
とができる。
【0111】バランスコントローラ(35)は、精密電子
レギュレータ(32,33,34)を制御して圧力バランスを
変化させる。圧力バランスを変化させることにより、ワ
ーク(3)の中央部、周縁部および外縁の研磨レートを
変化させ得、ひいては研磨プロファイルを変化させ得
る。研磨プロファイルは、ワーク表面が均一に研磨され
るように変化させることが好ましい。
【0112】研磨中、周縁プレート部材(14b)および
リテーナリング(21)はダイヤフラム(20,22)で保持
されているため、保持機構(10)と研磨パッド(28)と
の間で位置間隔が変化し又は傾きが生じても、ダイヤフ
ラムによってそれらは補正され、したがって圧力のバラ
ンスは変化しにくい。また、リテーナリング(21)が研
磨パッド(28)に押し付けられることによって、ワーク
(3)のがたつきが防止される。ワーク(3)がワーク
保持ヘッドから飛び出すこともない。
【0113】図示した態様によれば、ダイヤフラム(2
2)の内周部および外周部が固定されているので、研磨
中、例えば、ワーク(3)が摩擦力により水平方向に変
位してリテーナリング(21)と接触することによって、
また、リテーナリング(21)に加わる摩擦力によって、
リテーナリング(21)の一部を水平方向に変位させよう
とする力が加わっても、リテーナリング(21)は水平方
向で大きく変位しない。これは、リテーナリング(21)
が全周にわたって、ワーク保持機構の回転軸を対称軸と
する軸対称構造を有する環状のダイヤフラム(22)で保
持されているためである。即ち、リテーナリング(21)
にそのような力が加わっても、ダイヤフラム(22)が弾
性変形して、その力と対称軸に関して反対向きの力をリ
テーナリング(21)に加えることができるために、リテ
ーナリング(21)は水平方向で大きく変位せず、また、
リテーナリング(21)のセンターはワーク保持機構(1
0)のセンターと常に一致し得る。
【0114】加工圧力を制御しながらワークを研磨して
いる間、赤外放射線温度計(30)によって研磨温度が測
定される。赤外放射線温度計(30)は、ワークが研磨さ
れているときにワークの被研磨面および研磨パッドの研
磨面から放射された赤外線であって、ワーク(3)およ
び赤外線透過部(16)を透過し、さらに中空部(13)を
通過した赤外線を検出し、この赤外線のエネルギー量か
ら温度を求める。
【0115】研磨中、赤外放射線温度計(30)はワーク
(3)の裏面側に位置してワークおよび研磨パッドに接
触しないので、加工圧力に影響を及ぼさない。したがっ
て、図示した態様によれば、コントローラおよび精密電
子レギュレータで制御された加工圧力にて均一に研磨を
進行させながら、研磨温度をより正確に測定することが
可能である。
【0116】研磨プロセスが終了したとき、ワーク
(3)の研磨パッド(28)に対する相対移動を停止さ
せ、同時にワーク(3)およびリテーナリング(21)が
低圧(例えば4.9kPa−Gauge(0.05kgf/cm2-Ga
uge))で研磨パッド(28)に押圧されるように、バラ
ンスコントローラ(35)および精密電子レギュレータ
(32,33,34)で圧力を制御する。それにより、保持機
構(10)は、ワーク(3)を研磨パッド(28)に軽く押
圧しながら、図3に示すように、ワークの搬入搬出装置
が作動できる位置まで上昇する。それから、搬入搬出装
置を用いて、研磨されたワークを搬出し、研磨されてい
ないワークを搬入する。
【0117】図3に示すように、赤外放射線温度計(3
0)はワーク(3)の裏面側にてワーク保持機構(10)
の上方に位置するので、ワークの搬入搬出を妨げない。
したがって、本発明の研磨温度測定方法によれば、研磨
開始時から終了時に至るまで研磨工程に影響を及ぼすこ
となく、研磨温度を測定することが可能である。
【0118】図3に示すように、赤外放射線温度計(3
0)は、ワークの搬入搬出中も研磨パッド(28)の研磨
面の温度を測定することができる。測定された研磨パッ
ドの研磨面の温度が例えば高すぎる場合には、適当な冷
却手段(例えば、空気吹付け器;図示せず)によって研
磨パッドを冷却し、次のワークが研磨されるまでに研磨
パッドの温度を所望の温度にすることができる。
【0119】研磨中に測定された研磨温度は、ワークの
研磨レートに関する情報を与える。研磨温度が所定の値
を超えた場合には、精密電子レギュレータによって加工
圧力を直ちに調節し、所定の研磨レートを常に得るよう
にすることが好ましい。
【0120】研磨温度は研磨の間、所定温度に維持され
るように制御することが好ましい。研磨温度はプロセス
パラメータを変化させて制御する。以下に、プロセスパ
ラメータとして加工圧力を変化させることにより、研磨
温度を制御する方法を説明する。
【0121】図4は、加工圧力の制御、研磨温度の制御
ならびに研磨終点の検出を実施するための制御システム
を示す。図4に示すワーク保持機構および研磨パッド等
は図1を参照して説明したものと同一である。図4に示
す制御システムは、研磨終点検出器(38)および温度コ
ントローラ(40)を含んでいることを除いては、図2に
示す制御システムと同じである。図4において、図2で
使用された符号と同じ符号は、図2においてそれらが表
す部材と同じ部材を表している。
【0122】各精密電子レギュレータ(32,33)は、各
バルーン状弾性体の空間部(102,104)に供給される圧
縮空気の圧力を制御し、精密電子レギュレータ(34)
は、空間部(31)に供給される圧縮空気の圧力を制御す
る。精密電子レギュレータ(32,33)はそれぞれ、ワー
ク(3)の周縁部およびリテーナリング(21)が研磨パ
ッド(28)に押し付けられて生じる加工圧力を測定する
圧力センサー(図示せず)と接続されている。精密電子
レギュレータ(34)は、ワーク(3)の中央部が押し付
けられて生じる加工圧力を測定する圧力センサー(図示
せず)と接続されている。加工圧力の算出方法は先に図
2を参照して説明したとおりである。
【0123】バランスコントローラ(35)は、ワークの
各部分における加工圧力のバランスを制御する。バラン
スコントローラ(35)は、図2を参照して説明したとお
り、圧力センサから精密電子レギュレータ(32,33,3
4)を経由して伝達された加工圧力情報に基づいて、所
定の加工圧力バランスが得られるよう各精密電子レギュ
レータに指示を与える。精密電子レギュレータ(32,3
3,34)はバランスコントローラ(35)からの指示に基
づいて、適当な圧力に調節した圧縮空気を供給する。
【0124】赤外放射線温度計(30)で測定された温度
は、温度コントローラ(40)に信号として送られる。温
度コントローラ(40)は、測定された研磨温度と目標値
(望ましい研磨温度)との差から、研磨温度が目標値と
なるよう、コントローラ(35)に加工圧力を変化させる
ことを要求する信号を送信する。コントローラ(35)は
当該信号に基づいて加工圧力のバランスを決定し、各精
密電子レギュレータ(32,33,34)に指示を与える。各
精密電子レギュレータ(32,33,34)は、指示に基づい
て圧縮空気の圧力を調節する。
【0125】図示した制御システムにおいて、温度コン
トローラ(40)からコントローラ(35)に送信される信
号は、研磨終点検出器(38)によってモニターされてい
る。研磨終点検出器(38)は、この信号が所定量以上に
加工圧力を変化させることを要求する信号を検出したと
きに、加工圧力をゼロにするように指示する信号をバラ
ンスコントローラ(35)に送る。バランスコントローラ
(35)はこの指示に従って、各精密電子レギュレータ
(32,33,34)に指示を与えて圧縮空気の圧力をゼロに
し、それにより研磨が終了する。
【0126】この制御システムにおいて、加工圧力を変
化させる制御要素は、各精密電子レギュレータ(32,3
3,34)およびバランスコントローラ(35)である。バ
ランスコントローラ(35)は、加工圧力の測定値、
温度コントローラ(40)からの指示、および研磨終点
検出器(38)からの指示に基づいて、圧力バランスを制
御する。
【0127】図5に示すように、この制御システムには
必要に応じて冷却手段(39)が設けられる。冷却手段
(39)は、温度コントローラ(40)と接続され、温度コ
ントローラ(40)からの指示に従って研磨パッド(28)
を冷却する。研磨パッド(28)の冷却は、ワークの研磨
により上昇した研磨パッド(28)の温度を、ワークが研
磨パッドから離れた後、次のワークの研磨を開始する前
に所定温度とするために実施される。
【0128】次に、研磨温度を所定温度に維持しながら
実施する本発明の研磨方法をより詳細に説明する。ワー
ク(3)をワーク保持機構のリップシール(18)に吸着
させる方法、研磨を開始する前にワーク(3)およびリ
テーナリング(21)を研磨パッド(28)に押圧して押圧
のバランスをとる方法、ワーク(3)を研磨パッド(2
8)に対して相対的に移動させる方法は、図2を参照し
て説明したとおりであるから、ここではその詳細な説明
を省略する。
【0129】ワーク(3)の相対速度は移動開始から徐
々に(例えば10秒間で)高くして所定の値とする。速
度を高くしている間に、バランスコントローラ(35)が
圧力バランスを予め設定された値にコントロールして、
精密電子レギュレータ(32,33,34)により圧縮空気の
圧力が所定の圧力(例えば約39.2kPa−Gauge
(0.4kgf/cm2-Gauge))まで高められる。それによ
り、ワーク(3)の表面(被研磨面)とリテーナリング
(21)の表面が同一面上に保持された状態で研磨プロセ
スが進行する。研磨中、研磨パッド(28)の研磨面には
研磨液が連続的に供給される。
【0130】図2を参照して説明したとおり、精密電子
レギュレータ(32)はバルーン状弾性体の空間部(10
2)に供給される圧縮空気の圧力を調節して、ワーク
(3)の周縁部の研磨レートを調節し、精密電子レギュ
レータ(34)は空間部(31)に供給される圧力を調節し
て、ワーク(3)の中央部の研磨レートを調節し、精密
電子レギュレータ(33)は、バルーン状弾性体の空間部
(104)に供給される圧縮空気の圧力を調節して、リテ
ーナリング(21)が研磨パッド(28)に加える圧力を制
御する。
【0131】バランスコントローラ(35)は、精密電子
レギュレータ(32,33,34)を制御して圧力バランスを
変化させる。圧力バランスを変化させることにより、ワ
ーク(3)の中央部、周縁部および外縁の研磨レートを
変化させ得、ひいては研磨プロファイルを変化させ得
る。研磨プロファイルは、ワーク表面が均一に研磨され
るように変化させることが好ましい。
【0132】加工圧力を制御しながらワークを研磨して
いる間、図2を参照して説明したように、赤外放射線温
度計(30)によって研磨温度が測定される。赤外放射線
温度計(30)で測定された温度は、温度コントローラ
(40)に伝達される。温度コントローラ(40)は、予め
設定された最適研磨温度と測定された研磨温度との差な
らびに研磨温度と加工圧力との関係に基づいて加工圧力
の過不足を求め、バランスコントローラ(35)に加工圧
力を大きくする又は小さくするよう指示を与える。バラ
ンスコントローラ(35)はこの指示に従って圧力バラン
スを算出し、精密電子レギュレータ(32,33,34)を制
御して加工圧力を所望のように変化させる。このように
加工圧力を変化させることで、研磨温度が最適研磨温度
に維持される。最適研磨温度は、ワークの種類等に応じ
て異なる。例えば、SiO2から成る層間絶縁膜を研磨
する場合、最適研磨温度は約70℃である。
【0133】図示した態様において、加工圧力を制御す
る制御システムは閉ループを形成しており、研磨終了点
は、温度コントローラ(40)からバランスコントローラ
(35)へ送信される信号に基づいて検出される。研磨終
点検出器(38)は、例えば被研磨面に露出している物質
の変化による研磨温度の急変に起因して、所定量以上の
加工圧力の変化を要求する信号を検出したときに研磨が
終了したと判断する。研磨が終了すると、研磨終点検出
器(38)は研磨を終了させるために必要な指示をバラン
スコントローラ(35)および定盤(29)の駆動装置(な
らびにワーク保持機構が運動しているときはその駆動装
置)に送信する。
【0134】研磨プロセスが終了すると、研磨終点検出
器(38)の指示に従って、ワーク(3)の研磨パッド
(28)に対する相対移動が停止し、同時にワーク(3)
およびリテーナリング(21)が低圧(例えば4.9kPa
−Gauge(0.05kgf/cm2-Gauge))で研磨パッド(2
8)に押圧されるように、バランスコントローラ(35)
および精密電子レギュレータ(32,33,34)で圧力が制
御される。それにより、保持機構(10)は、ワーク
(3)を研磨パッド(28)に軽く押圧しながら、図5に
示すように、ワークの搬入搬出装置が作動できる位置ま
で上昇する。それから、搬入搬出装置を用いて、研磨さ
れたワークを搬出し、研磨されていないワークを搬入す
る。
【0135】図5に示すように、赤外放射線温度計(3
0)はワーク(3)の裏面側にてワーク保持機構(10)
の上方に位置するので、ワークの搬入搬出を妨げない。
したがって、本発明の研磨方法においては、研磨開始時
から終了時に至るまで研磨工程に影響を及ぼすことなく
研磨温度をより正確に測定しながら、ワークを研磨する
ことが可能である。
【0136】図5に示すように、赤外放射線温度計(3
0)は、ワークが研磨される工程を除く他の工程(例え
ば、ワークの搬入搬出工程)においても研磨パッド(2
8)の研磨面の温度を測定することができる。測定され
た研磨パッドの研磨面の温度が例えば高すぎる場合に
は、冷却手段(39)によって研磨パッドを冷却し、次の
ワークの研磨が開始されるまでに研磨パッドの温度を所
望の温度にし得る。冷却手段(39)は、例えば冷却され
た液体または気体を散布するスプレーである。
【0137】図示した研磨方法はいずれも、本発明の実
施形態の一例であり、本発明の範囲はこの実施形態に限
定されるものではない。また、これらの実施形態には必
要に応じて変更を加えてよい。例えば、ワーク保持機構
の動作において、ワークの搬入搬出方法および圧縮空気
の圧力等はワークおよび研磨パッドの種類等に応じて適
宜選択される。ワーク保持機構の構造も必要に応じて変
更できる。
【0138】
【発明の効果】以上において説明したように、本発明の
研磨温度測定方法は、ワークおよび研磨パッドからの赤
外放射線をワークの中央部の裏面側にて、赤外放射線温
度計を用いて非接触で検出することにより研磨温度を測
定することを特徴とする。かかる特徴により、加工圧力
を局所的に変化させることなく、現に研磨されている部
分の温度を、常に同じ位置にて連続的に、従来の研磨温
度測定方法と比較してより正確に測定することが可能と
なる。温度は非接触で測定されるため、測定器の熱容量
による測定誤差もない。
【0139】更に、赤外放射線放射計の測定波長を、ワ
ークを透過する赤外線の波長に設定すれば、ワークの被
研磨面および研磨パッドの研磨面から放射される赤外線
をワークの裏面側でより確実に検出することが可能とな
り、研磨温度をより正確に測定できる。
【0140】したがって、本発明の研磨温度測定方法に
より研磨温度を測定しながら、研磨を実施すれば、従来
の研磨方法と比較してより正確に研磨温度を測定しなが
らワークを研磨し得るので、研磨温度をより適切に制御
して研磨レートを一定にすることができる。即ち、本発
明の研磨方法は、均一に研磨された歩留まりの高い製品
を与える。
【0141】本発明の研磨方法においては、研磨温度が
より正確に測定されるので、その変化量を直接的に検出
し、または間接的に検出する(例えば、研磨温度を制御
するために送信される、プロセスパラメータを変化させ
る信号を検出する)ことによって、研磨終了点をより正
確に検出できる。
【0142】本発明の研磨温度測定方法および研磨方法
は、筒状の軸部、赤外線透過部を有するプレート部材、
およびワークの周縁部の裏面に位置するようにプレート
部材に取り付けられたリップシールを含むワーク保持機
構を有する研磨装置を用い、赤外放射線温度計をワーク
保持機構の軸部の上方に配置させることによって好まし
く実施される。このワーク保持機構にワークを保持させ
ると、プレート部材、リップシールおよびワークにより
空間部が形成されるので、当該空間部に流体を供給すれ
ば流体の圧力によりワークを研磨パッドに押圧できる。
したがって、このワーク保持機構を用いれば、ワークを
研磨パッドに押し付けた状態でワークを研磨しながら、
ワークの被研磨面および研磨パッドの研磨面からの赤外
放射線を検出してより正確な研磨温度を測定することが
できる。
【0143】本発明の研磨方法は、本発明のワーク保持
機構を含む研磨装置によって好ましく実施される。本発
明の研磨装置によれば、ワークを研磨パッドに押し付け
た状態でワークを研磨しながら、ワークの被研磨面およ
び研磨パッドの研磨面からの赤外放射線を検出してより
正確な研磨温度を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のワーク保持機構を用いた本発明の研
磨温度測定方法および研磨方法の実施形態を示す模式図
である。
【図2】 本発明のワーク保持機構における圧縮空気の
制御フローを示す模式図である。
【図3】 ワークの搬入搬出時に本発明の研磨温度測定
方法によって研磨パッドの研磨面の温度を測定している
状態を示す模式図である。
【図4】 本発明の研磨方法に適用可能な研磨温度の制
御システムを示す模式図である。
【図5】 本発明の研磨方法においてワークの搬入搬出
時に研磨パッドの研磨面を冷却している状態を示す模式
図である。
【符号の説明】
3...ワーク(半導体ウエハ)、10...ワーク保持機構、
11...保持ベース、12...回転軸、13...中空部、14...プ
レート部材、15...開口部、16...赤外線透過部、18...
リップシール、19...弾性シート、20...ダイヤフラム、
21...リテーナリング、22...ダイヤフラム、23...弾性
シート、24...押え板、25... 板状部材、26...押え板、
27...流体用管路、28...研磨パッド、29...定盤、30...
赤外放射線温度計、31...空間部、32,33,34...精密電
子レギュレータ、35...バランスコントローラ、36...流
体用管路、37...流体用管路、38...研磨終点検出器、3
9...冷却手段、40... 温度コントローラ、102,104...
空間部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/304 622 H01L 21/304 622R 622S 622G

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークを研磨パッドに押圧しながら研磨
    パッドに対して相対的に移動させてワーク表面を研磨す
    るに際し、ワークおよび研磨パッドからの赤外放射線を
    ワークの中央部の裏面側にて非接触で検出することによ
    り、研磨温度を測定することを特徴とする研磨温度測定
    方法。
  2. 【請求項2】 検出すべき赤外放射線の測定波長を、ワ
    ークを透過する赤外線の波長に設定する請求項1に記載
    の研磨温度測定方法。
  3. 【請求項3】 赤外放射線の検出手段を、ワークの中心
    を通るワークの表面に垂直な軸上に配置させる請求項1
    または請求項2に記載の研磨温度測定方法。
  4. 【請求項4】 ワークを研磨パッドに押圧しながら研磨
    パッドに対して相対的に移動させてワーク表面を研磨す
    る研磨方法であって、ワークおよび研磨パッドからの赤
    外放射線をワークの中央部の裏面側にて非接触で検出す
    ることにより研磨温度を測定しながら、ワークを研磨す
    ることを特徴とする研磨方法。
  5. 【請求項5】 プロセスパラメータを変化させることに
    より研磨温度を制御しながら、ワークを研磨することを
    特徴とする請求項4に記載の研磨方法。
  6. 【請求項6】 変化させるプロセスパラメータが、加工
    圧力、研磨速度、ワークに近接する部材の温度、ワーク
    を研磨パッドに押圧するために用いられる流体の温度、
    定盤の温度、および研磨液の温度から選択される1以上
    のプロセスパラメータである請求項5に記載の研磨方
    法。
  7. 【請求項7】 研磨温度の変化量に基づいて研磨終了点
    を検出する請求項4〜6のいずれか1項に記載の研磨方
    法。
  8. 【請求項8】 プロセスパラメータの変化量に基づいて
    研磨終了点を検出する請求項5または請求項6に記載の
    研磨方法。
  9. 【請求項9】 研磨温度を閉ループで制御し、プロセス
    パラメータを変化させる制御要素に送信される信号に基
    づいて研磨終了点を検出する請求項5または請求項6に
    記載の研磨方法。
  10. 【請求項10】 ワークの研磨を開始する前および/ま
    たはワークの研磨を終了した後に、研磨パッドを冷却す
    る請求項4〜9のいずれか1項に記載の研磨方法。
  11. 【請求項11】 検出すべき赤外放射線の測定波長を、
    ワークを透過する赤外線の波長に設定して研磨温度を測
    定する請求項4〜10のいずれか1項に記載の研磨方
    法。
  12. 【請求項12】 赤外放射線の検出手段を、ワークの中
    心を通るワークの表面に垂直な軸上に配置させて研磨温
    度を測定する請求項4〜11のいずれか1項に記載の研
    磨方法。
  13. 【請求項13】 ワークを研磨パッドに押圧するととも
    に、押圧方向に垂直な面内でワークを保持するワーク保
    持機構であって、 筒状の軸部、 赤外線透過部を有するプレート部材、および ワークの周縁部の裏面に位置するようにプレート部材に
    取り付けられたリップシールを含み、 ワークを保持したときに、プレート部材、リップシール
    およびワークにより空間部が形成され、当該空間部に供
    給された流体の圧力によりワークが研磨パッドに押圧さ
    れることを特徴とするワーク保持機構。
  14. 【請求項14】 プレート部材の周縁部を押圧方向に移
    動可能に保持するダイヤフラム、およびプレート部材の
    周縁部の裏面に接し得るバルーン状弾性体を更に含み、
    バルーン状弾性体内に供給された流体の圧力によってバ
    ルーン状弾性体が膨張することにより、プレート部材の
    周縁部およびリップシールを介してワークの周縁部が研
    磨パッドに押圧される請求項13に記載のワーク保持機
    構。
  15. 【請求項15】 ワークの外縁を囲むリテーナリングが
    更に設けられている請求項13または請求項14に記載
    のワーク保持機構。
  16. 【請求項16】 リテーナリングを押圧方向に移動可能
    に保持するダイヤフラム、およびリテーナリングの裏面
    に接し得るバルーン状弾性体が更に設けられ、バルーン
    状弾性体内に供給された流体の圧力によってバルーン状
    弾性体が膨張することによりリテーナリングが研磨パッ
    ドに押圧される請求項15に記載のワーク保持機構。
  17. 【請求項17】 ワークの被研磨面を研磨パッドにより
    研磨する装置であって: a)請求項13〜16のいずれか1項に記載のワーク保
    持機構; b)ワークの裏面側にワークの中心を通るワークの表面
    に垂直な軸上に配置された赤外放射線温度計; c)研磨パッドを支持する定盤;および d)ワークを研磨パッドに対して相対的に移動させる手
    段を有して成る研磨装置。
  18. 【請求項18】 ワークを研磨パッドに押圧するととも
    に押圧方向に垂直な面内で保持するワーク保持機構とし
    て、 筒状の軸部、 赤外線透過部を有するプレート部材、およびワークの周
    縁部の裏面に位置するようにプレート部材に取り付けら
    れたリップシールを含むものを使用し、 ワーク保持機構に保持されたワーク、プレート部材およ
    びリップシールにより形成された空間部に流体を供給し
    て、流体の圧力によりワークを研磨パッドに押圧する請
    求項4〜12のいずれか1項に記載の研磨方法。
  19. 【請求項19】 プレート部材の周縁部を押圧方向に移
    動可能に保持するダイヤフラム、およびプレート部材の
    周縁部の裏面に接し得るバルーン状弾性体を更に含むワ
    ーク保持機構を使用し、バルーン状弾性体内に流体を供
    給してバルーン状弾性体を膨張させることにより、プレ
    ート部材の周縁部およびリップシールを介してワークの
    周縁部を研磨パッドに押圧する請求項18に記載の研磨
    方法。
  20. 【請求項20】 ワーク保持機構に保持されたワーク、
    プレート部材およリップシールにより形成された空間部
    に供給する流体の圧力と、プレート部材の周縁部の裏面
    に接し得るバルーン状弾性体内に供給する流体の圧力と
    が異なるように、空間部およびバルーン状弾性体内に流
    体を供給する請求項19に記載の研磨方法。
  21. 【請求項21】 ワークの外縁を囲むリテーナリングを
    更に含むワーク保持機構を使用する請求項18〜20の
    いずれか1項に記載の研磨方法。
  22. 【請求項22】 リテーナリングを押圧方向に移動可能
    に保持するダイヤフラム、およびリテーナリングの裏面
    に接し得るバルーン状弾性体を更に含むワーク保持機構
    を使用し、バルーン状弾性体内に流体を供給してバルー
    ン状弾性体を膨張させることにより、リテーナリングを
    研磨パッドに押圧する請求項21に記載の研磨方法。
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