JP2002184348A - イオントラップ質量分析方法 - Google Patents

イオントラップ質量分析方法

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JP2002184348A JP34283599A JP34283599A JP2002184348A JP 2002184348 A JP2002184348 A JP 2002184348A JP 34283599 A JP34283599 A JP 34283599A JP 34283599 A JP34283599 A JP 34283599A JP 2002184348 A JP2002184348 A JP 2002184348A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】イオントラップ質量分析計を用いた有機化合物
の分析において、高感度で高信頼性の定量分析を達成す
る。 【解決手段】同位体ピークを含む広質量範囲のイオンを
単離した後、複数のイオンを同時に衝突誘起解離を行
う。娘イオンマススペクトルを得る。得られる娘イオン
の同位元体ピークのイオン電流値を積算する。娘イオン
の同位体パターンと計算値を比較する事により、分析の
良否判定を行う事ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイオントラップ質量
分析計による質量分析方法に係り、特に測定感度を向上
させるとともに測定が正しく行われたか否かを判断でき
る手段を提供する質量分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、多くの化学物質が環境を汚染し大
きな社会問題になってきている。特に、ダイオキシンの
環境中の挙動を知る事は緊急な案件となってきた。ダイ
オキシン類はジオキシン骨格の水素原子が塩素原子に置
換されたもので多くの異性体が存在する。ダイオキシン
類の中で特に2,3,7,8位の水素が塩素に置換され
た四塩化ダイオキシン(2,3,7,8−TCDD)が
発癌性,毒性等の点で最強のもので、環境中への拡散が
懸念されている。ダイオキシン類等の環境汚染物質は非
常に複雑な系の中に極微量しか存在しない。ダイオキシ
ン類の環境への拡散の抑制のためには、ごく微量のダイ
オキシン類の高感度分析が必要である。これら物質の分
析には、非常に複雑で手間と時間を必要とする前処理が
必要である。さらに、これら物質の分析は高感度で、妨
害物質から分析対象物質を識別できる高い選択性が要求
される。そのため、質量分析計の前段に分離手段である
ガスクロマトグラフが配置したガスクロマトグラフ直結
質量分析計(GC/MS)が広く用いられている。
【0003】イオントラップ質量分析計は、米国特許2,
939,952号や日本特許第1,321,036号や公告番号特公平8
−21365号に記載されている。
【0004】質量分析領域から分析対象イオンの損失を
防ぐことを目的とした質量分析計が特開平10−213566号
公報に記載されている。
【0005】本発明で述べるダイオキシン類とはポリ塩
化ジベンゾ−p−ジオキシン(PCDDs)とポリ塩化
ジベンゾフラン(PCDFs)の総称として用いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ダイオキシン類の分析
の際の最大の問題点は、妨害物質(例えば、PCBやD
DTなどの塩素系農薬など)が複雑な前処理によっても
取り除けずに試料中に多数存在する事である。これら妨
害物質は、ガスクロマトグラフのキャピラリカラムでも
分離できず、ダイオキシンと同じ保持時間に試料成分
(ダイオキシン類)に重畳して溶出し質量分析計で検出
される。この妨害物を一般に化学ノイズと呼んでいる。
化学ノイズがマススペクトルの全質量範囲に渡り出現
し、微量のダイオキシンの信号を識別不可能にする。ダ
イオキシンの分子量領域を拡大して観察すると図5の上
段のようなマススペクトルが得られる。ダイオキシンの
信号に化学ノイズが重畳している。イオントラップ質量
分析計の分解能ではこれら化学ノイズとダイオキシンの
信号を識別できない。このマススペクトルにおいて、化
学ノイズは白抜き、ダイオキシンの信号は塗りつぶしの
棒グラフで示す。化学ノイズは試料毎,分析毎に異なる
ため、化学ノイズが存在する限り、ダイオキシンの分析
は不確実なものになる。この化学ノイズとダイオキシン
を識別するために、大型の磁場,電場を用いた高分解能
二重収束質量分析計が使われている。この高分解能二重
収束質量分析計はPCBやDDTとダイオキシンのわず
かな質量差を基に分離検出するものである。高分解能二
重収束質量分析計は非常に高価であり、操作は複雑で多
くの経験を必要とする。
【0007】高分解能二重収束質量分析計による測定の
他、短時間でより多くの試料を測定するため、また簡便
に分析するため小型の質量分析計QMS,イオントラッ
プ質量分析計による分析が試みられてきた。
【0008】試料、例えばダイオキシンは化学的に非常
に安定な化合物であるが、MS/MS手法を用いてダイ
オキシン類のCIDを行うと、非常に特徴的な解裂を与
える。前駆イオンの質量をMとすると、分子イオンM
からCOClが脱離した(M−COCl)のイオン即
ち質量(M−63)の娘イオンが生成する。これはPC
DD,PCDFのダイオキシン類の特徴的な解裂パター
ンである。先ず、前駆イオンとしてのMを特定し単離し
た後、CIDにより(M−63)の娘イオンの生成,検
出を行う事により、ダイオキシンの存在が確実になる。
このMS/MS法を用いるなら、化学ノイズとダイオキ
シンの信号を明確に識別可能になる。イオントラップ質
量分析計の分解能が不十分でも、MS/MS法により選
択性を一挙に高める事ができる。
【0009】このMS/MS法は上述のような高い識別
能力がある反面、以下のような問題がある。MS/MS
の過程には、前駆イオンの単離と衝突誘起解離(CI
D)と、さらに質量分析が必要である。前駆イオンの単
離のステップで、目的の前駆イオンの損失は一切なかっ
たのか、前駆イオンの単離が完全に行われたか(単一の
質量のイオンのみがイオントラップ空間に残ったのか。
他の質量のイオンが一緒に残っていないか。)測定者は
判断しなければならない。しかし、従来のMS/MS手
法では前駆イオンの単離の段階での損失の有無や単離の
程度を判断できる情報を一切提供していない。当然装置
の条件により単離の状況が変化しても、測定者は測定中
も後にも気付くことはできない。そのため、日々同一条
件を作る事すら困難である。
【0010】CIDは励起された前駆イオンがHeガス
原子との衝突により励起され解裂するものである。その
ため、CIDは一種の化学反応である。この化学反応が
どの程度の効率で行われたか否かを常に把握できなけれ
ば、正確な定量分析はできない。しかし、従来のMS/
MS法では、事前に標準物質の測定を行う以外に、CI
Dの効率を把握する事は極めて困難である。
【0011】前駆物質の単離,CIDの効率の問題点を
少しでも改善するために、内部標準物質が用いられる。
一般に、化学構造が大きく異なる化合物を標準物質とし
て使用できないから、安定同位体を含む化合物が用いら
れる。例えばTCDDの場合ダイオキシン骨格の炭素を
全て13Cに置き換えた化合物を用いる。この場合試料
のTCDDと13C−TCDDの質量差は12となる。
先ず試料のTCDDのMS/MSに引き続いて内部標準
物質の13C−TCDDのMS/MSの測定を行う。ダ
イオキシン類の内で毒性の高い化合物は塩素4個以上の
異生体である。そのため、毒性の高いダイオキシンだけ
でも5つの質量の異なる異生体が存在する。これに内部
標準物質の5つを加えて、実際のダイオキシン分析の際
には10個の前駆イオンのMS/MS測定が必要であ
る。一回のMS/MS測定には、0.2秒程度必要であ
る。そのため、10回のMS/MSを直列的に行えば一
周期2秒程度必要である。定量分析には一成分のクロマ
トピークを最低10点以上サンプリングする必要があ
る。一周期2秒では、一成分の10点のサンプリングに
20秒必要である。GCクロマトグラムではダイオキシ
ンピークが5秒程度で溶出することから、これでは正確
な定量分析ができない。逆に一周期0.5秒以内の測定
周期が必要である。さらに、詳細な分析のためには更な
る内部標準物質の測定が必要である。これは測定周期が
延びるのみで、精度ある定量分析はほど遠くなる。図8
にTCDDと内部標準物質の従来のMS/MS法のステ
ップを示す。(1)でイオン化により、TCDD,内部
標準物質は一緒にイオン化される。次の(2)において
内部標準物質の特定イオン(m/z332等)を前駆イ
オンとして単離する。(3)CIDによりm/z332
を解離させ、娘イオン(m/z268)を得る。質量ス
ペクトルから娘イオンの電流値を計測する。次に試料
(TCDD)の測定ステップに移る。(4)にてイオン
化を行い、試料(TCDD)と内部標準物質をイオン化
する。TCDDのイオンの中から前駆イオン(m/z3
20等)を選び単離する(5)。単離されたTCDDの
前駆イオン(m/z320)をCIDで解離する。娘イ
オン(m/z257)を得る(6)。(1)から(6)
を繰り返えす。ダイオキシンの塩素4から8個の異性体
を全て測定する場合はこのステップを更に5回繰り返す
必要がある。
【0012】このように従来のMS/MS法を用いた定
量分析は、測定対象を増やせず、測定時間が延びる。ま
た、MS/MS法が正しく行われたか否かの判定ができ
ないなどの欠点を有していた。
【0013】本発明の目的はかかるMS/MS法の欠点
を克服し、ダイオキシンなどの試料について高感度で信
頼性の高い質量分析を達成しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の問題を
解決するため、以下のステップで測定を行う。
【0015】イオントラップ質量分析計による試料の質
量分析方法であって、前記前駆イオンは2質量以上の質
量範囲のイオンであり、この質量範囲に含まれる前駆イ
オンの衝突誘起解離を行い、生成した娘イオンの電流値
を検出するようにした。
【0016】本発明は、具体的には次に掲げる方法を提
供する。
【0017】本発明は、質量対電荷比が所定の質量範囲
内にあるイオンをトラップするように構成された三次元
四重極電界を有するイオントラップ空間を形成し、前記
トラップ空間の中でイオンを生成するかまたは外部から
イオンを注入して前記質量対電荷比が所定の範囲内にあ
るイオンを前記イオントラップ空間の中にトラップし、
前駆イオンをイオントラップ空間に残しそれ以外のイオ
ンを除去し、トラップした前駆イオンの衝突誘起解離を
行い、娘イオンを生成してイオントラップ空間にトラッ
プし、四重極電界を変化させ娘イオンのイオン電流を検
出する質量分析方法において、2質量以上の質量範囲の
前駆イオンをイオントラップ空間に残し、この質量範囲
に含まれる異なる質量の前駆イオンの衝突誘起解離を行
う質量分析方法を提供する。
【0018】本発明は、更に衝突誘起解離は、イオント
ラップ空間に残した前駆イオンの質量範囲の最小質量と
最大質量のイオンの固有振動数に対応した帯域の周波数
を含む補助交流をエンドキャップ電極間に印加して行う
質量分析方法を提供する。
【0019】本発明は、更にイオントラップ空間に残す
前駆イオンの質量範囲は前駆イオンの同位体パターンで
5%以上の強度を示すイオンを含む質量範囲である質量
分析方法を提供する。
【0020】本発明は、更にイオントラップ空間に残す
前駆イオンの質量範囲は前駆イオンの同位体パターンで
10%以上の強度を示すイオンを含む質量範囲である質
量分析方法を提供する。
【0021】本発明は、更にイオントラップ空間に残す
前駆イオンの質量範囲は測定対象の前駆イオンと内部標
準物質の前駆イオンを含む質量範囲である質量分析方法
を提供する。
【0022】本発明は、更に検出された複数の娘イオン
のイオン電流値を積算して定量分析する質量分析方法を
提供する。
【0023】本発明は、更に検出された複数の娘イオン
のイオン電流値から個別に定量分析を行い、その結果を
比較して測定の判定を行う質量分析方法を提供する。
【0024】本発明は、更に検出された複数の娘イオン
のイオン電流値から同位体比を求め、これがあらかじめ
定めた同位体比と比較する事により測定の良否の判定を
行う質量分析方法を提供する。
【0025】本発明は、質量対電荷比が所定の質量範囲
内にあるイオンをトラップするように構成された三次元
四重極電界を有するイオントラップ空間を形成し、前記
トラップ空間の中でイオンを生成するかまたは外部から
イオンを注入して前記質量対電荷比が所定の範囲内にあ
るイオンを前記イオントラップ空間の中にトラップし、
前駆イオンをイオントラップ空間に残しそれ以外のイオ
ンを除去し、トラップした前駆イオンの衝突誘起解離を
行い、娘イオンを生成してイオントラップ空間にトラッ
プし、その後、四重極電界を変化させ娘イオンのイオン
電流を検出する質量分析方法において、m/z320か
ら324のイオンをイオントラップ内に残し、これらの
イオンを衝突誘起解離を行い、m/z257から261
の娘イオンを生成してダイオキシンの質量分析を行う質
量分析方法を提供する。
【0026】本発明は、更にm/z320から324の
イオンは、m/z320,322および324であり、
それらの娘イオンはm/z257,259および261
である質量分析方法を提供する。
【0027】本発明は、更にダイオキシンの娘イオンm
/z257,259および261のイオン電流値を積算
し、これと内部標準物質の娘イオンのm/z268,2
70および272のイオン電流値積算値の比を求め、ダ
イオキシンの定量を行う質量分析方法を提供する。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる一実施例を
図面に基づいて説明する。
【0029】イオントラップ質量分析計は、図1に示す
ような一つのリング電極7と2つのエンドキャップ電極
6,8で構成される。リング電極7に主高周波電源(主
RF電源)15から主高周波を印加すると、所定の質量
範囲のイオンを捕捉できる三次元四重極電界がイオント
ラップ空間9内に形成される。このイオントラップ空間
9の中にフィラメント電源1を電源として、フィラメン
ト2から放出された電子4を注入して試料分子をイオン
化したり、イオンを外部より注入すると、所定の質量範
囲のイオンはイオントラップ空間9内に安定にトラップ
される。次に主高周波の電圧を掃引するとトラップされ
たイオン10は、質量の順に不安定となり、イオントラ
ップ空間9から順次排出される。排出されたイオン11
は検出器12により検出されマススペクトルを与える。
このイオン化から検出までの手順を繰り返し質量分析を
行う。
【0030】イオントラップ質量分析計は、上記測定手
順にMS/MSのステップを加えると、公告番号特公平
8−21365号に示したようなMS/MSの分析が可能であ
る。
【0031】MS/MS測定は、イオン化によりイオン
トラップ空間9内に所定の質量範囲のイオンを捕捉した
後、分析対象のイオン(前駆イオン)を選びだし(単
離)、次にこのイオンを共鳴励起し、その結果化学結合
が解裂した娘イオンを得る手法である。この手法は前駆
イオンの構造情報を得るための良く用いられる。また、
前駆イオンの単離,励起解裂,娘イオンの選択検出と多
くのステップ、即ち多くの信号フィルタを通した事にな
り、化学ノイズを著しく軽減できる手法でもある。
【0032】試料溶液はガスクロマトグラフ23の注入
口31に注入され、気化の後キャリアガスのHeにより
キャピラリカラム32に送られる。ここで試料ガスは、
カラム内面に塗られた液相と気体(He)との分配の違
いにより、成分毎に分離される。分離された試料成分
は、試料ガスガイドパイプ16を経て真空排気された容
器内に収められたイオントラップ質量分析計33に送ら
れる。イオントラップ質量分析計33は、フィラメント
2や電子ゲート(電極)5,エンドキャップ電極6,リ
ング電極7,エンドキャップ電極8,検出器12,直流
増幅器13,主RF電源15,データ処理装置14等で
構成される。回転放物面を持つリング電極7と、この回
転対称軸の両面から隣接する2つのエンドキャップ電極
6,8はイオントラップ質量分析計の心臓部をなすもの
である。エンドキャップ電極6,8とリング電極7の間
には主高周波が印加される。その結果、3つの電極に囲
われた空間(イオントラップ空間)9には、イオンをこ
の空間9内にトラップする四重極高周波電界が生成す
る。補助高周波電源(補助RF電源)21から電圧0か
ら10V程度の補助高周波がトランス19で経てエンド
キャップ電極6,8に、補助高周波が印加される。
【0033】イオントラップ質量分析計は、時間経過に
従いいくつかの段階(モード)に分割して動作する。一
つのマススペクトルを得る一周期は0.1 秒から数秒程
度である。
【0034】主RF電源15や電子ゲート電源18等は
データ処理装置14より信号ライン22,20を通じて
制御される。
【0035】エンドキャップ電極6の外側に配置された
フィラメント2とその周囲を囲うグリッド電極3は電子
加速電源17から供給される−15Vの電圧が印加され
ている。電子ゲート5はフィラメント2とエンドキャッ
プ電極6の間に置かれ、電子ゲート電源18から供給さ
れた+200V(−200V)程度の電圧が印加される。
フィラメント2から放出された熱電子4は、電子ゲート
電極5とフィラメント2間の電位により加速され、エン
ドキャップの中心に開けられた細孔から、イオントラッ
プ空間9内に導入される。熱電子はここで、ガスクロマ
トグラフ(GC)23などから試料ガスガイドパイプ1
6を経て導入された試料ガスと衝突し、試料ガス分子を
イオン化する。生成したイオンはイオントラップ空間9
内に安定なイオン軌道10を作りトラップされる。イオ
ン化の間(10μ秒から0.1秒程度)電子はイオントラ
ップ空間9に導入されイオン化を継続し、イオンの蓄積
を行う。
【0036】比較のため、図7にダイオキシンのMS/
MSによる従来の分析例を示す。ダイオキシンのマスス
ペクトルは図7の上段に示すように多くの化学ノイズが
重畳したものとなる。TCDDの場合分子イオンがm/
z320から326までに広い質量領域に現れる。これ
は塩素の同位体に由来するパターンである。まず、前駆
イオンをm/z320と定め、単離する。図7の中段の
ようにm/z320以外のイオンが排除される。このm
/z320を励起して解裂させると、図7の下段のよう
な娘イオンマススペクトルが得られる。m/z257に
娘イオンが単独で出現する。この娘イオンの電流値を測
定して、TCDDの定量測定を行う事ができる。
【0037】図1に示すように、イオントラップ質量分
析計33内のイオントラップ空間9にトラップされたイ
オン10はイオンの質量に対応した固有振動数(secula
r motion)ωで振動しながら、安定にトラップされる。
固有振動数ωは(1)式から求めることができる。
【0038】 ω=βΩ/2 (1) ここでΩはリング電極に印加する主高周波の振動数であ
り、βは質量に依存する定数である。イオントラップに
トラップできる最小の質量のイオンの場合、β=1とな
り、最大の質量のイオンの場合、β=0となる。即ちβ
は0から1の値を取る。もし、リング電極7に印加する
主高周波の周波数を1MHzとすると、(1)式からω
は0から500kHzの値を得る。質量の小さいイオン
は高い振動数で振動し、大きな質量のイオンは低い周波
数で(ゆっくりと)振動する。
【0039】いま、補助交流電源21からトランス19
を経て2つのエンドキャップ電極6,8間に、補助交流
を印加すると、イオントラップ空間9内に二重極(ダイ
ポール)電界が発生する。この二重極電界の振動数とイ
オンの固有振動数が一致するとイオンは共鳴状態とな
り、二重極電界からエネルギを吸収しイオンの固有振動
の振幅が急激に大きくなる。イオンはイオントラップ空
間内を満たした0.1Pa程度の圧力のHeガス(バッ
ファガス)原子と衝突し、その運動エネルギーの一部を
失う。繰り返し共鳴,衝突を繰り返す過程で、運動エネ
ルギの一部がイオンの内部エネルギに転換蓄積される。
内部エネルギが上昇して、イオン内の原子間の結合エネ
ルギを上回るようになるとイオンは解裂し、質量の小さ
なフラグメントイオン(娘イオンまたは生成物イオンと
言う)になる。この過程が衝突誘起解離(Collision In
duced Dissociation CID)と呼ばれるものである。
CIDのため、エンドキャップ電極に印加する補助交流
電圧の電圧は0.5Vから1.5V程度である。この補助
交流電圧を3V以上にするとイオンは共鳴励起されてそ
の軌道がイオントラップ空間を超えるものとなり、イオ
ンはエンドキャップ電極6,8の内壁面に衝突したり、
エンドキャップ電極6,8の中央の孔からイオントラッ
プ外に排出される。
【0040】図2に本発明の動作シーケンス図を示す。
図3に本発明の流れ図を示す。これらの図に基づいて本
発明の分析方法を説明する。
【0041】イオントラップの質量分析は、時間経過に
従い測定モードを次々に変えながら進行する。
【0042】(1)イオン化ステップ(tからt
からt…) 電子ゲート5に+200Vが印加され、イオン化が開始
される。この時主高周波電圧は低い電圧が設定されてい
る。これにより、イオントラップ空間9に、広質量範囲
のイオンを蓄積できる。図6に示すように、多くの化学
ノイズの中にダイオキシンの信号は埋れている。
【0043】(2)定められた質量範囲内の前駆イオン
の単離(tからt,tからt…) イオン化時間が終了し(tとなり)電子ゲート5には
−200Vが印加され、電子がイオントラップ空間9に
侵入しないようにする。次に、特公平8−21365号に記載
されたような方法に従って四重極高周波電界を変化させ
て質量範囲のイオンをトラップ内に残留させる。即ち、
測定対象外の低質量,高質量のイオンはイオントラップ
外に排除される。
【0044】イオンの単離には、エンドキャップに印加
する補助交流を用いて行う事もできる。すなわち、図1
0の上段(イ)図に示したようなノッチを持った広帯域
ノイズを補助交流として印加する。ここで、横軸は周波
数、縦軸は交流電圧を示している。広帯域ノイズは1k
Hzからω1まで、またω2から500kHzまで連続
した周波数成分を含んでいる。逆に周波数ω1とω2の
間の交流成分は含まれない。補助交流の電圧は3から1
0V程度で良い。このノッチを含む広帯域ノイズをエン
ドキャップ電極に印加すると、ノッチω1とω2の間の
周波数に対応した固有振動数(secular motion)を持つ
イオン(質量m1とm2との間)がイオントラップ内に
取り残される。それ以外のイオンは補助交流との共鳴に
より励起されイオントラップ外に排除される。
【0045】例えば、ダイオキシンTCDDの場合、分
子量領域のイオンとして図6の上段,中段に示すように
m/z320から324までのイオンをイオントラップ
内に残すようにし、他のイオンは排除する。
【0046】(3)衝突誘起解離(CID)(tから
,tからt…) つぎに、図10の下段(ロ)図のようなノイズ成分の補
助交流を印加する。周波数ω1からω2の間の周波数成
分を有するノイズを印加する。(2)のノイズと逆にイ
オントラップ内に取の残されたイオンの固有振動数に対
応した広範囲補助交流を印加する事になる。トラップし
た最大の質量の固有振動数と最小の固有振動数の範囲の
周波数を含む補助交流を印加する。印加する補助交流電
圧は1.5V 程度で良い。上述のTCDDの場合この補
助交流の照射によりダイオキシンの質量320から32
4の範囲のイオンは一度に励起され娘イオンに解裂す
る。CIDの時間は数m秒から数10m秒である。図6
の中段,下段に示したように、単離された広範囲の質量
のイオン(m/z320から324)は補助交流の照射
により一度に衝突誘起解離をうけ、娘イオンを生成す
る。
【0047】(4)質量分析 CIDの時間が終了すれば補助交流をoffとする。次
に、データ処理装置14からの指示により主高周波電圧
が掃引を開始し、質量順に排出されるイオンを検出器1
2で検出する。イオン電流は直流増幅器13を経てデー
タ処理装置14に送られマススペクトルを収集する。こ
のマススペクトル収集は、日本特許第1,321,036号や特
公平8−21365号に示された方法で行えば良い。
【0048】(5)リセット 所定のマスレンジまたは掃引すれば、主高周波電源はリ
セットされ零となる。これにより、イオントラップ内に
残っていた、イオンは全て排除される。二回目のスキャ
ンとなり、(1)に戻り再びイオン化が開始される。こ
の繰り返しを行いマススペクトルを取得する。
【0049】CIDのステップでホワイトノイズの補助
交流の印加により、図5の上段のように化学ノイズに埋
もれたダイオキシンのマススペクトルは、図5下段のよ
うなノイズの少ない娘イオンマススペクトルになる。こ
こで分子イオンの同位体ピーク全て同時にCIDをおこ
なった場合、生成する娘イオンは同位体に対応した同位
体パターンを示す事である。TCDDは分子内にCl原
子4個を持つことからこの分子イオンは図6の中段のよ
うに2質量毎に3:4:2の強度比を示す。娘イオンは
分子イオンからCOCl脱離したイオンであるから、分
子内の塩素のイオンは3個である。そのため、この娘イ
オンは図6の下段に示したように2質量毎に3:3:1
の同位体比を示す。
【0050】ダイオキシンのように同位体パターンが広
質量範囲に分布する化合物をCIDする場合、図7に示
したように一質量のイオンを文字どおり単離すると、他
の同位体ピークの情報を廃棄する事になる。本発明の場
合、娘イオンはm/z257から261に出現する。m
/z257,259,261は強度が高く、しっかりし
た強度比3:3:1を示している。娘イオンの内、同位
体比が5%以上、または10%以上のマスピークを積算
し、この積算値で定量分析すれば、全体の信号量は増加
し、より微量の測定が可能になる。TCDDの場合、全
娘イオンの総電流値に対するm/z257単独のイオン
電流の比率は約38%である。もし5%以上の娘イオン
の電流値を積算すると、積算値は全娘イオン電流値の9
2%となる。また10%以上の娘イオンの電流値を積算
すると、積算値は全娘イオン電流値の88%となる。こ
のように少なくとも単独のイオンで定量するより同位体
比の強度の大きいイオンを積算した方がイオン強度的に
数倍有利であることがわかる。実際の分析においては、
ノイズの影響を避けるため、5から10%以上の閾値を
定め、これを超え同位体比を示すイオンを定量計算に用
いればよい。
【0051】また、同位体ピークを同時にMS/MSす
る事で、生じた娘イオンも同位体パターンを示す。
【0052】前述のように、娘イオンは分子内に含まれ
る同位元素のパターンを示すから、これ等同位体ピーク
毎に検量線を用意して定量を行う事ができる。一回の測
定で複数の同位体ピークが測定できるから、定量結果も
一回の測定で複数の結果が得られる。得られた複数の定
量結果は理想的には一致することが期待できる。現実に
は、化学ノイズや装置,分析条件の揺らぎ、等で誤差が
でる。この誤差を管理する事で定量の判定ができる。例
えば求められた定量値の偏差が10%以内なら定量測定
が正しく行われたとし、10%以上の差が出たときは測
定をやり直すなどとの判定基準を用意できる。例えば、
TCDDの娘イオンのm/z257のイオンの場合、同
位体比が10%を超えるピークとしてm/z257,2
59,261の3つのイオンがある。図4に示すよう
に、3つの同位体ピークについて、検量線1,2,3を
あらかじめ作成しておく。同位体のマスクロマトグラム
の各成分の面積をS1,S2,S3と求まれれば、検量
線1,2,3から定量値Q1,Q2,Q3が求まる。こ
れから偏差Δを求め、あらかじめ設定した判断基準以内
であれば定量測定は正しく行われたとする事ができる。
測定対象のイオンは同位体を含むイオンであるから、定
量結果は本来一致するはずである。定量値とともに、偏
差値を記録管理する事で、後日でも、また第三者によっ
ても定量の信頼性を検証することができる。
【0053】さらに、化学ノイズが重畳したり、CID
が不十分な場合、娘イオンの同位体パターンも計算値と
大きく狂ってくる。同位体パターンはイオンの組成が求
まれば容易に計算で求める事ができる。例えばTCDD
の娘イオンであるm/z257のイオンはC11
Clの組成を持ち、その1マス毎の同位体パターン
は、計算によりm/z257から、おおよそ27:3:
27:3:9:1:1として求まる。実際の分析で得ら
れた同位体パターンを計算値と比較する事により、化学
ノイズの重畳やCIDの効率等の判断ができる。同位体
比が計算値から大きくずれた場合、測定を否とするか、
同位体比の異なるイオンを定量測定から排除するなど測
定の良否を判断する尺度になる。同位体比を定量結果と
ともに、記録し、結果として表示すれば測定の判定が何
時でも可能である。
【0054】定量測定の場合、より精度の高い測定を行
うために内部標準物質の使用が必要である。試料と同時
に注入された内部標準物質はガスクロマトグラフを経て
質量分析計に導入され、試料と全く同じ条件で分析され
る。ダイオキシン分析の場合ダイオキシン骨格の炭素原
子全てが13Cに置き換わった化合物が内部標準物質と
して使用される。
【0055】TCDDのMS/MSの場合、試料の分子
イオンの組成は1212Cl、内部標準物
質の娘イオンは1312Clであるからそ
れらの質量差は12となる。試料の分子イオンの内で強
度の高いイオンはm/z320,322,324であ
る。内部標準物質の分子イオンの内強度の高いイオンは
m/z332,334,336である。そのため、図9
の中段の様にm/z320からm/z336までのイオ
ンをトラップ空間に残留させた後、これらイオンを広帯
域CIDにより衝突誘起解離させることができる。図9
下段のような娘イオンが得られる。試料の娘イオンm/
z257,259,261のイオン電流値を積算し、こ
れと内部標準物質の娘イオンのm/z268,270,
272のイオン電流値の比を求め、検量線から試料の定
量を行う。本発明によれば、試料と内部標準物質を一回
で測定できる。これにより、図7に示した従来のMS/
MS法に比して測定時間の短縮(1/2)可能になる。
試料と内部標準物質の前駆イオンの単離,CIDを一回
で行う事が可能となり、測定誤差が軽減できる。また、
広質量領域の前駆イオンの単離が一質量の単離に比べ、
条件の変化や外的な影響を受け難い。
【0056】ここで、微量有機化合物の分析の例とし
て、ダイオキシンを示した。ダイオキシンが分子内に塩
素原子を多数有しているため、塩素元素に由来する同位
体パターンが顕著に分子イオンや娘イオン等に現れる。
有機化合物を構成する炭素C,水素H,酸素O,窒素
N,硫黄S,塩素Cl,臭素Br等はいずれも同位体を
有する元素であり、それらの集合体で有するイオンは同
位体に由来する同位体のパターンをマススペクトル上に
示す。そのため、本発明はダイオキシン以外の多くの微
量有機化合物の分析に応用できる。また、ここで示した
ガスクロマトグラフの代わりに、液体クロマトグラフ
(LC),キャピラリ電気泳動(CZE),超臨界流体
クロマトグラフ(SFC)など質量分析計に接続され分
析に供されているクロマトグラフにも応用可能である。
【0057】尚、本発明によれば、臭素イオンあるいは
塩素イオンについてもイオントラップによる質量分析を
行うことができる。
【0058】
【発明の効果】本発明により、イオントラップ質量分析
計を用いて高感度で信頼性の高い定量分析を達成でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明するためのイオントラ
ップ質量分析計の模式図。
【図2】本発明の実施例の動作シーケンス図。
【図3】本発明の一実施例の流れ図。
【図4】本発明の説明図。
【図5】本発明の説明図。
【図6】本発明の説明図。
【図7】従来のMS/MS法の説明図。
【図8】従来のMS/MS法の説明図。
【図9】本発明の説明図。
【図10】ノッチ付き広帯域ノイズの説明図。
【符号の説明】
1…フィラメント電源、2…フィラメント、3…グリッ
ド電極、4…熱電子、5…電子ゲート、6…エンドキャ
ップ電極、7…リング電極、8…エンドキャップ電極、
9…イオントラップ空間、10…トラップされたイオ
ン、11…イオン、12…検出器、13…直流増幅器、
14…データ処理装置、15…主高周波電源、16…試
料ガスガイドパイプ、17…グリッド電源、18…電子
ゲート電源、19…トランス、20…信号線、21…補
助交流電源、22…信号線、23…ガスクロマトグラ
フ、31…注入口、32…キャピラリカラム、33…イ
オントラップ質量分析計。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量対電荷比が所定の質量範囲内にあるイ
    オンをトラップするように構成された三次元四重極電界
    を有するイオントラップ空間を形成し、 前記トラップ空間の中でイオンを生成するかまたは外部
    からイオンを注入して前記質量対電荷比が所定の範囲内
    にあるイオンを前記イオントラップ空間の中にトラップ
    し、 前駆イオンをイオントラップ空間に残しそれ以外のイオ
    ンを除去し、トラップした前駆イオンの衝突誘起解離を
    行い、娘イオンを生成してイオントラップ空間にトラッ
    プし、四重極電界を変化させ娘イオンのイオン電流を検
    出する質量分析方法において、 2質量以上の質量範囲の前駆イオンをイオントラップ空
    間に残し、この質量範囲に含まれる異なる質量の前駆イ
    オンの衝突誘起解離を行う事を特徴とする質量分析方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1の質量分析方法において、衝突誘
    起解離は、イオントラップ空間に残した前駆イオンの質
    量範囲の最小質量と最大質量のイオンの固有振動数に対
    応した帯域の周波数を含む補助交流をエンドキャップ電
    極間に印加して行う事を特徴とする質量分析方法。
  3. 【請求項3】請求項1の質量分析方法において、イオン
    トラップ空間に残す前駆イオンの質量範囲は前駆イオン
    の同位体パターンで5%以上の強度を示すイオンを含む
    質量範囲である事を特徴とする質量分析方法。
  4. 【請求項4】請求項1の質量分析方法において、イオン
    トラップ空間に残す前駆イオンの質量範囲は前駆イオン
    の同位体パターンで10%以上の強度を示すイオンを含
    む質量範囲である事を特徴とする質量分析方法。
  5. 【請求項5】請求項1の質量分析方法において、イオン
    トラップ空間に残す前駆イオンの質量範囲は測定対象の
    前駆イオンと内部標準物質の前駆イオンを含む質量範囲
    である事を特徴とする質量分析方法。
  6. 【請求項6】請求項1の質量分析方法において、検出さ
    れた複数の娘イオンのイオン電流値を積算して定量分析
    する事を特徴とする質量分析方法。
  7. 【請求項7】請求項1の質量分析方法において、検出さ
    れた複数の娘イオンのイオン電流値から個別に定量分析
    を行い、その結果を比較して測定の判定を行う事を特徴
    とする質量分析方法。
  8. 【請求項8】請求項1の質量分析方法において、検出さ
    れた複数の娘イオンのイオン電流値から同位体比を求
    め、これがあらかじめ定めた同位体比と比較する事によ
    り測定の良否の判定を行う事を特徴とする質量分析方
    法。
  9. 【請求項9】質量対電荷比が所定の質量範囲内にあるイ
    オンをトラップするように構成された三次元四重極電界
    を有するイオントラップ空間を形成し、 前記トラップ空間の中でイオンを生成するかまたは外部
    からイオンを注入して前記質量対電荷比が所定の範囲内
    にあるイオンを前記イオントラップ空間の中にトラップ
    し、 前駆イオンをイオントラップ空間に残しそれ以外のイオ
    ンを除去し、トラップした前駆イオンの衝突誘起解離を
    行い、娘イオンを生成してイオントラップ空間にトラッ
    プし、その後、四重極電界を変化させ娘イオンのイオン
    電流を検出する質量分析方法において、 m/z320から324のイオンをイオントラップ内に
    残し、 これらのイオンを衝突誘起解離を行い、m/z257か
    ら261の娘イオンを生成してダイオキシンの質量分析
    を行うことを特徴とする質量分析方法。
  10. 【請求項10】請求項9において、 m/z320から324のイオンは、m/z320,3
    22および324であり、それらの娘イオンはm/z2
    57,259および261であることを特徴とする質量
    分析方法。
  11. 【請求項11】請求項10において、 ダイオキシンの娘イオンm/z257,259および2
    61のイオン電流値を積算し、これと内部標準物質の娘
    イオンのm/z268,270および272のイオン電
    流値積算値の比を求め、ダイオキシンの定量を行うこと
    を特徴とする質量分析方法。
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