JP2002181788A - 光イオン化質量分析装置 - Google Patents
光イオン化質量分析装置Info
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- JP2002181788A JP2002181788A JP2000383183A JP2000383183A JP2002181788A JP 2002181788 A JP2002181788 A JP 2002181788A JP 2000383183 A JP2000383183 A JP 2000383183A JP 2000383183 A JP2000383183 A JP 2000383183A JP 2002181788 A JP2002181788 A JP 2002181788A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 排ガス中のダイオキシン類を時間遅れなくリ
アルタイムで直接分析する光イオン化質量分析装置を提
供することを課題とする。 【解決手段】 真空チャンバー11内に煙道12からの
排ガス13を洩れ出し分子線14として連続的に導入す
る試料導入手段15と、該導入された洩れ出し分子線1
4中にスペクトル幅の広い光であるフェムト秒以下のパ
ルスレーザ光16を照射し、分子イオン17を形成する
レーザ照射手段18と、生成した分子イオン17の分析
を行う飛行時間型質量分析装置19とを備えてなる。
アルタイムで直接分析する光イオン化質量分析装置を提
供することを課題とする。 【解決手段】 真空チャンバー11内に煙道12からの
排ガス13を洩れ出し分子線14として連続的に導入す
る試料導入手段15と、該導入された洩れ出し分子線1
4中にスペクトル幅の広い光であるフェムト秒以下のパ
ルスレーザ光16を照射し、分子イオン17を形成する
レーザ照射手段18と、生成した分子イオン17の分析
を行う飛行時間型質量分析装置19とを備えてなる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば都市ゴミ焼
却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼却炉等の各種焼却炉、
熱分解炉、溶融炉等から排出される排ガス中のダイオキ
シン類を時間遅れなくリアルタイムで直接分析する光イ
オン化質量分析装置及び該分析装置の分析結果を基にし
て炉内の燃焼を制御する燃焼制御システムに関する。
却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼却炉等の各種焼却炉、
熱分解炉、溶融炉等から排出される排ガス中のダイオキ
シン類を時間遅れなくリアルタイムで直接分析する光イ
オン化質量分析装置及び該分析装置の分析結果を基にし
て炉内の燃焼を制御する燃焼制御システムに関する。
【0002】
【背景技術】ダイオキシンは微量で高い毒性を有してお
り、高感度の分析法の開発が望まれている。そこで、高
感度分析が可能であるレーザ分析法の適用が考えられ、
近年超音速ジェット法と共鳴増感多光子イオン化法とを
組み合わせることにより、ダイオキシン類の一種である
塩素置換体のスペクトルを測定することが可能であると
の提案がなされている(C.Weickhardt,R.Zimmermann,U.
Bosel,E.W.Schlag,Papid Commun,Mass Spectron,7,198
(1993))。
り、高感度の分析法の開発が望まれている。そこで、高
感度分析が可能であるレーザ分析法の適用が考えられ、
近年超音速ジェット法と共鳴増感多光子イオン化法とを
組み合わせることにより、ダイオキシン類の一種である
塩素置換体のスペクトルを測定することが可能であると
の提案がなされている(C.Weickhardt,R.Zimmermann,U.
Bosel,E.W.Schlag,Papid Commun,Mass Spectron,7,198
(1993))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た提案では、気体試料を真空中にジェット噴出させ、瞬
時に絶対零度近傍まで冷却することで、スペクトルを単
純にする気体の分析方法であるが、ダイオキシン及びそ
の誘導体(以下「ダイオキシン類」という。)の検出限
界はppb程度としており、実際のダイオキシン分析を
行うには5〜6桁の濃縮が必要となり、検出に際し時間
及び手間がかかるという問題がある。
た提案では、気体試料を真空中にジェット噴出させ、瞬
時に絶対零度近傍まで冷却することで、スペクトルを単
純にする気体の分析方法であるが、ダイオキシン及びそ
の誘導体(以下「ダイオキシン類」という。)の検出限
界はppb程度としており、実際のダイオキシン分析を
行うには5〜6桁の濃縮が必要となり、検出に際し時間
及び手間がかかるという問題がある。
【0004】また、旧来の手作業による分析では、分析
結果がでるまでには、1乃至2ヵ月を要し、日々の焼却
炉のダイオキシン類の発生を測定し、随時燃焼制御をす
ることで常に適正な規制値を満たす運転をすることが困
難である。
結果がでるまでには、1乃至2ヵ月を要し、日々の焼却
炉のダイオキシン類の発生を測定し、随時燃焼制御をす
ることで常に適正な規制値を満たす運転をすることが困
難である。
【0005】また、レーザ光をサンプル分子に照射し、
選択的にイオン化させることでサンプル分子を検出する
方法が先に提案されている(特開平8−222181号
公報参照)が、サンプル分子を選択的にイオン化させる
場合には、目的とするサンプル以外は検出することがで
きず、排ガス中の現在のダイオキシン類の同族体のリア
ルタイル分析を行うことはできないという問題がある。
また、選択的イオン化の場合には検出感度良好なナノ秒
のレーザ光を利用しているが、上述したように、ダイオ
キシン類の直接分析は不可能である。すなわち、当該提
案では特定の一の異性体しか測定できないので、他の物
質を測定するときには、波長掃引を行う必要があり、こ
の波長掃引を行って測定する場合には、その度に波長を
可変させる調整が必要となり、この調整に時間を要する
結果、排ガス中のリアルタイムの分析は不可能である。
また、当該提案では選択イオン化は波長が数pm(ピコ
メートル)のズレの変化で検出ピークが発現しないの
で、常に波長の校正が必要となり、実装業している焼却
炉に隣接してダイオキシン類の検出を行う場合には、振
動等を防止するために大がかりな耐震手段が必要となる
と共に、波長校正の度にダイオキシン類の計測が中断さ
れるという問題がある。
選択的にイオン化させることでサンプル分子を検出する
方法が先に提案されている(特開平8−222181号
公報参照)が、サンプル分子を選択的にイオン化させる
場合には、目的とするサンプル以外は検出することがで
きず、排ガス中の現在のダイオキシン類の同族体のリア
ルタイル分析を行うことはできないという問題がある。
また、選択的イオン化の場合には検出感度良好なナノ秒
のレーザ光を利用しているが、上述したように、ダイオ
キシン類の直接分析は不可能である。すなわち、当該提
案では特定の一の異性体しか測定できないので、他の物
質を測定するときには、波長掃引を行う必要があり、こ
の波長掃引を行って測定する場合には、その度に波長を
可変させる調整が必要となり、この調整に時間を要する
結果、排ガス中のリアルタイムの分析は不可能である。
また、当該提案では選択イオン化は波長が数pm(ピコ
メートル)のズレの変化で検出ピークが発現しないの
で、常に波長の校正が必要となり、実装業している焼却
炉に隣接してダイオキシン類の検出を行う場合には、振
動等を防止するために大がかりな耐震手段が必要となる
と共に、波長校正の度にダイオキシン類の計測が中断さ
れるという問題がある。
【0006】このため、ナノ秒以下のパルスレーザを用
いることもできる。この計測装置の一例を図17を用い
て説明する。図17に示すように、例えば焼却炉等の煙
道01内からサンプリングプローブ02を介して排ガス
03を吸引し、該排ガスを試料ガスとして超音速ジェッ
ト流04を形成するパルスバルブを有するノズル05を
用いて真空チャンバ06中に噴出する噴出手段と、該噴
出された超音速ジェット流04中にレーザ光07を照射
し、共鳴増感イオン化過程にてダイオキシン類の同族体
の分子イオン08を形成するレーザ照射手段09と、生
成した分子イオン08のダイオキシン類の分析を行うイ
オン検出器010を備えた飛行時間型質量分析装置01
1とを備えてなるものであり、例えば燃焼ガス中のダイ
オキシン類の同族体を直接分析するようものである。な
お、図17中、符号012パルスドライバ,013はパ
ルス遅延回路,014はデジタルオシロスコープ,01
5はミラー及び016レーザ導入窓を各々図示する。
いることもできる。この計測装置の一例を図17を用い
て説明する。図17に示すように、例えば焼却炉等の煙
道01内からサンプリングプローブ02を介して排ガス
03を吸引し、該排ガスを試料ガスとして超音速ジェッ
ト流04を形成するパルスバルブを有するノズル05を
用いて真空チャンバ06中に噴出する噴出手段と、該噴
出された超音速ジェット流04中にレーザ光07を照射
し、共鳴増感イオン化過程にてダイオキシン類の同族体
の分子イオン08を形成するレーザ照射手段09と、生
成した分子イオン08のダイオキシン類の分析を行うイ
オン検出器010を備えた飛行時間型質量分析装置01
1とを備えてなるものであり、例えば燃焼ガス中のダイ
オキシン類の同族体を直接分析するようものである。な
お、図17中、符号012パルスドライバ,013はパ
ルス遅延回路,014はデジタルオシロスコープ,01
5はミラー及び016レーザ導入窓を各々図示する。
【0007】しかしながら、上記レーザ光をナノ秒(1
0-9秒)パルスレーザとす場合では、スペクトル幅が狭
いので、波長可変レーザを使用する必要があり、装置構
成が大がかりとなると共に、塩素原子の数が多くなるに
ついれて、いわゆる重原子効果により、三重項系へ系間
交差が起こり励起寿命が短くなる結果、イオン信号が観
察されず、十分な感度を得ることができないという問題
がある。
0-9秒)パルスレーザとす場合では、スペクトル幅が狭
いので、波長可変レーザを使用する必要があり、装置構
成が大がかりとなると共に、塩素原子の数が多くなるに
ついれて、いわゆる重原子効果により、三重項系へ系間
交差が起こり励起寿命が短くなる結果、イオン信号が観
察されず、十分な感度を得ることができないという問題
がある。
【0008】また、上記レーザ光をフェムト秒(10
-15 秒)パルスレーザとする場合では、重原子効果の影
響は軽減されるが、スペクトル幅が広いので、非選択的
に検出できるが、光子利用率が悪いという問題がある。
-15 秒)パルスレーザとする場合では、重原子効果の影
響は軽減されるが、スペクトル幅が広いので、非選択的
に検出できるが、光子利用率が悪いという問題がある。
【0009】一方、従来においてCO濃度を測定するこ
とにより、ダイオキシン類の濃度を推定し、焼却炉等の
燃焼制御することが提案されているが、CO濃度が10
0ppmと高い場合には、CO濃度とダイオキシン類濃
度との相関関係があることは確認されている。しかしな
がら、図7に示すように、CO濃度が50ppm以下の
低い濃度の領域になると、ダイオキシン類濃度とCO濃
度とに濃度相関がなくなり、CO濃度の測定のみでは、
ダイオキシン類の発生を防止した有効な燃焼制御ができ
ないという問題がある。特に、近年においては低CO濃
度の燃焼制御が確立した結果、ダイオキシン類を直接測
定した瞬時の計測により、ダイオキシン類の発生を適格
に防止することが要望されている。
とにより、ダイオキシン類の濃度を推定し、焼却炉等の
燃焼制御することが提案されているが、CO濃度が10
0ppmと高い場合には、CO濃度とダイオキシン類濃
度との相関関係があることは確認されている。しかしな
がら、図7に示すように、CO濃度が50ppm以下の
低い濃度の領域になると、ダイオキシン類濃度とCO濃
度とに濃度相関がなくなり、CO濃度の測定のみでは、
ダイオキシン類の発生を防止した有効な燃焼制御ができ
ないという問題がある。特に、近年においては低CO濃
度の燃焼制御が確立した結果、ダイオキシン類を直接測
定した瞬時の計測により、ダイオキシン類の発生を適格
に防止することが要望されている。
【0010】さらに、従来よりダイオキシン類との濃度
相関があるとされているクロロベンゼン(CB)やジク
ロロベンゼン(DCB)等のダイオキシン類の分解生成
物であるダイオキシン類前駆体を測定する場合では、ダ
イオキシン類を直接測定するものではないので、焼却炉
内状態を適格に判定することができず、排ガス中におけ
るリアルタイム分析が要望され、その結果を燃焼制御に
利用することが要望されている。すなわち、ダイオキシ
ン類の分解生成物が減少したことがダイオキシン類の発
生が抑制された結果生じたのか、ダイオキシン類は未だ
発生しているがダイオキシン類の分解が抑制された結果
なのかの判定が不可能であった。
相関があるとされているクロロベンゼン(CB)やジク
ロロベンゼン(DCB)等のダイオキシン類の分解生成
物であるダイオキシン類前駆体を測定する場合では、ダ
イオキシン類を直接測定するものではないので、焼却炉
内状態を適格に判定することができず、排ガス中におけ
るリアルタイム分析が要望され、その結果を燃焼制御に
利用することが要望されている。すなわち、ダイオキシ
ン類の分解生成物が減少したことがダイオキシン類の発
生が抑制された結果生じたのか、ダイオキシン類は未だ
発生しているがダイオキシン類の分解が抑制された結果
なのかの判定が不可能であった。
【0011】また、ダイオキシン類の濃度相関物質を測
定する場合には、上述したように、選択イオン化では特
定の一種類の物質を測定しているので、レーザ光の光軸
のズレやサンプリング配管の目詰まり等の他の要因で実
際にはダイオキシン類が発生しているにもかかわらず検
出できない場合には、適格にダイオキシン類の濃度を測
定することはできないという問題がある。また、これを
解消するためには、測定装置を2台設け参照しつつ分析
することが必要となるが、分析装置が大がかりとなると
いう問題がある。
定する場合には、上述したように、選択イオン化では特
定の一種類の物質を測定しているので、レーザ光の光軸
のズレやサンプリング配管の目詰まり等の他の要因で実
際にはダイオキシン類が発生しているにもかかわらず検
出できない場合には、適格にダイオキシン類の濃度を測
定することはできないという問題がある。また、これを
解消するためには、測定装置を2台設け参照しつつ分析
することが必要となるが、分析装置が大がかりとなると
いう問題がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する第1
の発明は、真空容器内に洩れ出し分子線を連続的に導入
する試料導入手段と、該導入された洩れ出し分子線中に
スペクトル幅の広い光を照射する照射手段と、生成した
分子イオンの分析を行う飛行時間型質量分析装置とを備
えてなることを特徴とする。
の発明は、真空容器内に洩れ出し分子線を連続的に導入
する試料導入手段と、該導入された洩れ出し分子線中に
スペクトル幅の広い光を照射する照射手段と、生成した
分子イオンの分析を行う飛行時間型質量分析装置とを備
えてなることを特徴とする。
【0013】第2の発明は、第1の発明において、上記
スペクトル幅の広い光を照射する照射手段がフェムト秒
以下のパルスレーザ光、真空紫外光、シンクロトロン放
射光のいずれかであることを特徴とする。
スペクトル幅の広い光を照射する照射手段がフェムト秒
以下のパルスレーザ光、真空紫外光、シンクロトロン放
射光のいずれかであることを特徴とする。
【0014】第3の発明は、第1の発明において、上記
試料導入手段がキャピラリカラムであり、その孔径が2
50〜530μmであることを特徴とする。
試料導入手段がキャピラリカラムであり、その孔径が2
50〜530μmであることを特徴とする。
【0015】第4の発明は、第3の発明において、上記
キャピラリカラムから導入される洩れ出し分子線のレー
ザ照射位置と、上記キャピラリカラムの先端との距離が
1mm以下であることを特徴とする。
キャピラリカラムから導入される洩れ出し分子線のレー
ザ照射位置と、上記キャピラリカラムの先端との距離が
1mm以下であることを特徴とする。
【0016】第5の発明は、第1の発明において、上記
レーザパルス波長が240〜270nmであることを特
徴とする。
レーザパルス波長が240〜270nmであることを特
徴とする。
【0017】第6の発明は、第1の発明において、上記
レーザパルスエネルギーが1〜500μJ/パルスであ
ることを特徴とする。
レーザパルスエネルギーが1〜500μJ/パルスであ
ることを特徴とする。
【0018】第7の発明は、第1の発明において、上記
レーザの照射部の温度が100K以上であることを特徴
とする。
レーザの照射部の温度が100K以上であることを特徴
とする。
【0019】第8の発明は、第1の発明において、上記
分子イオンをトラップするイオントラップを設けてなる
ことを特徴とする。
分子イオンをトラップするイオントラップを設けてなる
ことを特徴とする。
【0020】第9の発明は、第1の発明において、上記
試料が焼却炉,熱分解炉,溶融炉等のからの排ガスであ
ることを特徴とする。
試料が焼却炉,熱分解炉,溶融炉等のからの排ガスであ
ることを特徴とする。
【0021】第10の発明は、第1の発明において、上
記飛行時間型質量分析装置がリフレクトロン型の質量分
析装置であることを特徴とする。
記飛行時間型質量分析装置がリフレクトロン型の質量分
析装置であることを特徴とする。
【0022】第11の発明は、焼却炉,熱分解炉,溶融
炉等から排出される排ガス中のダイオキシン類を含む燃
焼ガスを直接採取する採取手段と、該ダイオキシン類を
含む採取ガスをリアルタイムで分析する第1乃至10の
発明の光イオン化質量分析装置とを備えてなり、燃焼ガ
ス中のダイオキシン類の同族体を直接分析することを特
徴とする。
炉等から排出される排ガス中のダイオキシン類を含む燃
焼ガスを直接採取する採取手段と、該ダイオキシン類を
含む採取ガスをリアルタイムで分析する第1乃至10の
発明の光イオン化質量分析装置とを備えてなり、燃焼ガ
ス中のダイオキシン類の同族体を直接分析することを特
徴とする。
【0023】第12の発明は、焼却炉,熱分解炉,溶融
炉等の炉内に燃焼物を投入し、燃焼による発生熱量を一
定に維持するとともに、ダイオキシン類などの有害ガス
の発生を抑制する焼却炉における燃焼制御システムにお
いて、焼却炉,熱分解炉,溶融炉等からの排ガス中のダ
イオキシン類を瞬時に計測可能な第1乃至10のいずれ
か一項の光イオン化質量分析装置と燃焼用空気制御手段
とを具備し、ダイオキシン類濃度を時間遅れなく検出
し、検出したダイオキシン類濃度に応じて燃焼空気量を
変化させることを特徴とする。
炉等の炉内に燃焼物を投入し、燃焼による発生熱量を一
定に維持するとともに、ダイオキシン類などの有害ガス
の発生を抑制する焼却炉における燃焼制御システムにお
いて、焼却炉,熱分解炉,溶融炉等からの排ガス中のダ
イオキシン類を瞬時に計測可能な第1乃至10のいずれ
か一項の光イオン化質量分析装置と燃焼用空気制御手段
とを具備し、ダイオキシン類濃度を時間遅れなく検出
し、検出したダイオキシン類濃度に応じて燃焼空気量を
変化させることを特徴とする。
【0024】第13の発明は、第12の発明において、
燃焼用空気の制御手段が一次燃焼空気又は二次燃焼空気
のいずれか一方又は両方の空気量及び酸素濃度を制御す
ることを特徴とする。
燃焼用空気の制御手段が一次燃焼空気又は二次燃焼空気
のいずれか一方又は両方の空気量及び酸素濃度を制御す
ることを特徴とする。
【0025】第14の発明は、第12の発明において、
上記ダイオキシン類の排出制御が炉内温度、炉内ガス対
流時間、炉内攪拌力のいずれか又はこれらの組合せによ
り制御することを特徴とする。
上記ダイオキシン類の排出制御が炉内温度、炉内ガス対
流時間、炉内攪拌力のいずれか又はこれらの組合せによ
り制御することを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に説明
するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもの
ではない。
するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもの
ではない。
【0027】図1は本実施の形態にかかる光イオン化質
量分析装置の概略図である。図1に示すように、本実施
の形態にかかる光イオン化質量分析装置は、真空チャン
バー11内に煙道12からの排ガス13を洩れ出し分子
線14として連続的に導入する試料導入手段15と、該
導入された洩れ出し分子線14中にスペクトル幅の広い
光であるフェムト秒以下のパルスレーザ光16を照射
し、分子イオン17を形成するレーザ照射手段18と、
生成した分子イオン17の分析を行う飛行時間型質量分
析装置19とを備えてなるものである。また、図1中、
20〜23は電極,24はミラー,25は光検出器、2
6はデジタルオシロスコープ及び27はレーザ導入窓を
各々図示する。なお、本実施の形態ではイオントラップ
を設けていないが、必要に応じてイオントラップを設
け、目的とするもののみを捕捉するようにしてもよい。
また、ベンゼンよりも軽い物質を排除するようなフィル
タ的な用いかたをするようにしてもよい。
量分析装置の概略図である。図1に示すように、本実施
の形態にかかる光イオン化質量分析装置は、真空チャン
バー11内に煙道12からの排ガス13を洩れ出し分子
線14として連続的に導入する試料導入手段15と、該
導入された洩れ出し分子線14中にスペクトル幅の広い
光であるフェムト秒以下のパルスレーザ光16を照射
し、分子イオン17を形成するレーザ照射手段18と、
生成した分子イオン17の分析を行う飛行時間型質量分
析装置19とを備えてなるものである。また、図1中、
20〜23は電極,24はミラー,25は光検出器、2
6はデジタルオシロスコープ及び27はレーザ導入窓を
各々図示する。なお、本実施の形態ではイオントラップ
を設けていないが、必要に応じてイオントラップを設
け、目的とするもののみを捕捉するようにしてもよい。
また、ベンゼンよりも軽い物質を排除するようなフィル
タ的な用いかたをするようにしてもよい。
【0028】ここで、上記試料導入手段15としては、
分子線を連続的に供給するものであればいずれでもよい
が、石英製であるために有機分子の付着が生じにくいと
いう点でキャピラリカラムが好ましい。また、その孔径
は250〜530μm、好適には320μm程度とする
ことが望ましい。これはキャピラリカラムの孔径が上記
範囲外であると、良好な洩れ出し分子線14とならない
からである。上記キャピラリカラムの材質は石英等の非
誘電体であるものが望ましい。
分子線を連続的に供給するものであればいずれでもよい
が、石英製であるために有機分子の付着が生じにくいと
いう点でキャピラリカラムが好ましい。また、その孔径
は250〜530μm、好適には320μm程度とする
ことが望ましい。これはキャピラリカラムの孔径が上記
範囲外であると、良好な洩れ出し分子線14とならない
からである。上記キャピラリカラムの材質は石英等の非
誘電体であるものが望ましい。
【0029】上記キャピラリカラム15から導入される
洩れ出し分子線14のレーザ照射位置と、上記キャピラ
リカラム15の先端との距離Dが1mm以下、好適には
0.3mm程度とするのが望ましい。これは、キャピラリ
カラム先端とレーザとの間がより近接しているのがレー
ザのイオン化効率が高く好ましいが、あまり接近しすぎ
ると、キャピラリカラムの先端で絶縁破壊が生じること
があり、非常に幅の広い質量スペクトルを与える。この
場合には、質量分解能が大幅に低下し、多数の成分が混
在している実ガスの分析に適用することは困難となる。
よって、レーザ照射による影響がない距離でできるだけ
近接しているのが好ましい。
洩れ出し分子線14のレーザ照射位置と、上記キャピラ
リカラム15の先端との距離Dが1mm以下、好適には
0.3mm程度とするのが望ましい。これは、キャピラリ
カラム先端とレーザとの間がより近接しているのがレー
ザのイオン化効率が高く好ましいが、あまり接近しすぎ
ると、キャピラリカラムの先端で絶縁破壊が生じること
があり、非常に幅の広い質量スペクトルを与える。この
場合には、質量分解能が大幅に低下し、多数の成分が混
在している実ガスの分析に適用することは困難となる。
よって、レーザ照射による影響がない距離でできるだけ
近接しているのが好ましい。
【0030】また、上記レーザパルス波長は240〜2
70nmとするのが好ましい。これは、上記波長範囲と
することで、ダイオキシン類及びダイオキシン類前駆体
をイオン化させることができるからである。
70nmとするのが好ましい。これは、上記波長範囲と
することで、ダイオキシン類及びダイオキシン類前駆体
をイオン化させることができるからである。
【0031】本発明で使用可能なパルス幅としては、数
fs〜数ps、より好適には100fs〜500fs程
度のパルス幅とするのが好ましい。これは、モノノクロ
ロベンゼンの励起状態の寿命は500ps程度であり、
塩素数が一増加すると寿命は一桁短くなると、考えられ
ている。よって、100fs程度のパルス幅のレーザで
あれあば、4塩素数までのクロロベンゼンにてイオン化
効率の低下は生じないと考えられる。現在のレーザ技術
では、数fs程度のパルス幅のレーザも存在する。
fs〜数ps、より好適には100fs〜500fs程
度のパルス幅とするのが好ましい。これは、モノノクロ
ロベンゼンの励起状態の寿命は500ps程度であり、
塩素数が一増加すると寿命は一桁短くなると、考えられ
ている。よって、100fs程度のパルス幅のレーザで
あれあば、4塩素数までのクロロベンゼンにてイオン化
効率の低下は生じないと考えられる。現在のレーザ技術
では、数fs程度のパルス幅のレーザも存在する。
【0032】上記レーザパルスエネルギーが1〜500
μJ/パルス、好適には、50〜150μJ/パルスと
するのが望ましい。これは、塩素数が増加すると内部重
原子効果から励起状態の寿命が短くなる。よって、イオ
ン化効率を低下させないためには、励起状態の寿命より
も短いパルス幅のレーザを使用する必要がある。100
fsで10mJのレーザ光を100μmに集光すると、
平均光子場強度として32PW/cm2 (1PW1015
W)となるが、これは水素原子の1s軌道が原子核から
生じる電場に匹敵する。1PW/cm2 程度の強光子場
中では、分子から複数の電子が放出され、クーロン爆発
が生じることが知られている。よって、パルス幅100
fsのパルスを使用す場合、レーザ光を10〜100μ
mの範囲に集光することを考えれば、1mJ程度が上限
となる。なお、レーザによる遷移確率はレーザ強度に比
例するので、可能な限り、強い方が好ましい。
μJ/パルス、好適には、50〜150μJ/パルスと
するのが望ましい。これは、塩素数が増加すると内部重
原子効果から励起状態の寿命が短くなる。よって、イオ
ン化効率を低下させないためには、励起状態の寿命より
も短いパルス幅のレーザを使用する必要がある。100
fsで10mJのレーザ光を100μmに集光すると、
平均光子場強度として32PW/cm2 (1PW1015
W)となるが、これは水素原子の1s軌道が原子核から
生じる電場に匹敵する。1PW/cm2 程度の強光子場
中では、分子から複数の電子が放出され、クーロン爆発
が生じることが知られている。よって、パルス幅100
fsのパルスを使用す場合、レーザ光を10〜100μ
mの範囲に集光することを考えれば、1mJ程度が上限
となる。なお、レーザによる遷移確率はレーザ強度に比
例するので、可能な限り、強い方が好ましい。
【0033】上記レーザの照射部の回転温度について
は、洩れ出し分子線にて冷却されない分子の方が信号強
度が相対的に強くなることは判ったが、信号強度を増す
ために背圧を高くすると、超音速ジェットになってしま
い冷却が生じる。冷却が生じることで感度低下が生じる
ことから、背圧力にはある最適値が存在することが予想
される。検討の結果、ベンゼン誘導体程度の大きさの分
子では回転温度が100K以上であれば信号強度の増大
が認められることが判った。分子の回転温度は吸収スペ
クトルの計測結果と、分子固有の回転定数を使用して理
論的に求めた回転スペクトルを比較することで求めるこ
とができる。
は、洩れ出し分子線にて冷却されない分子の方が信号強
度が相対的に強くなることは判ったが、信号強度を増す
ために背圧を高くすると、超音速ジェットになってしま
い冷却が生じる。冷却が生じることで感度低下が生じる
ことから、背圧力にはある最適値が存在することが予想
される。検討の結果、ベンゼン誘導体程度の大きさの分
子では回転温度が100K以上であれば信号強度の増大
が認められることが判った。分子の回転温度は吸収スペ
クトルの計測結果と、分子固有の回転定数を使用して理
論的に求めた回転スペクトルを比較することで求めるこ
とができる。
【0034】本発明の装置は有機化合物であれば、いず
れの試料でも分析の対象となるが、特に、焼却炉,熱分
解炉,溶融炉等のからの排ガスの計測に用いることが排
ガス中のダイオキシン類のリアルタイム分析の点から好
適である。
れの試料でも分析の対象となるが、特に、焼却炉,熱分
解炉,溶融炉等のからの排ガスの計測に用いることが排
ガス中のダイオキシン類のリアルタイム分析の点から好
適である。
【0035】本発明では質量分析装置19はリフレクト
ロン型のものを使用することが、質量分解能の向上の点
から好ましい。これは、同一質量のイオンのうち、より
大きな(小さな)並進エネルギーをもつものは折り返し
の際に電場により深く(浅く)入り込むことによって実
効的に長い(短い)距離を飛行する。このため、エネル
ギーの異なるイオンを同時刻に検出器に収束させること
ができることによるからである。
ロン型のものを使用することが、質量分解能の向上の点
から好ましい。これは、同一質量のイオンのうち、より
大きな(小さな)並進エネルギーをもつものは折り返し
の際に電場により深く(浅く)入り込むことによって実
効的に長い(短い)距離を飛行する。このため、エネル
ギーの異なるイオンを同時刻に検出器に収束させること
ができることによるからである。
【0036】ここで、本発明による室温での洩れ出し分
子線として分子を冷却しないで、スペクトルを測定する
ことと、従来のような低温によりスペクトルを測定する
ことの相違について説明する。
子線として分子を冷却しないで、スペクトルを測定する
ことと、従来のような低温によりスペクトルを測定する
ことの相違について説明する。
【0037】分子の回転エネルギーは回転量子数Jにて
規定されるが、回転スペクトルの選択則があり、図2に
示すように、ΔJ=0、±1の遷移しか許されない。回
転エネルギーはボルツマン分布をしているので、基底状
態におけるJ’が多く分布している方が多くの回転スペ
クトルが観測されることになる。超音速ジェットで冷却
されている場合、J’は高々一桁程度しか励起されてお
らず、回転スペクトルも数十本しか現れない。これに対
し、室温ではJ’は数百程度まで励起されており、回転
スペクトルも数百本以上観測されることになる。回転ス
ペクトルの間隔は回転定数Bと呼ばれる分子固有の量で
決まるが、分子が大きくなるほど小さくなる。したがっ
て、十分な分解能がない場合には、多くの回転スペクト
ルが分離されないために、室温ではスペクトル幅が広が
ったようになる。この他に、分子の振動エネルギーもボ
ルツマン分布しているが、N原子分子の場合には、非直
線分子の場合、3N−6個の基準振動とその倍音及び結
合音に対応した振動スペクトルが観測される。そのた
め、室温においては、多原子分子の吸収スペクトルは幅
広くなる傾向にあり、原子数が多くなるほどその傾向は
強くなる。
規定されるが、回転スペクトルの選択則があり、図2に
示すように、ΔJ=0、±1の遷移しか許されない。回
転エネルギーはボルツマン分布をしているので、基底状
態におけるJ’が多く分布している方が多くの回転スペ
クトルが観測されることになる。超音速ジェットで冷却
されている場合、J’は高々一桁程度しか励起されてお
らず、回転スペクトルも数十本しか現れない。これに対
し、室温ではJ’は数百程度まで励起されており、回転
スペクトルも数百本以上観測されることになる。回転ス
ペクトルの間隔は回転定数Bと呼ばれる分子固有の量で
決まるが、分子が大きくなるほど小さくなる。したがっ
て、十分な分解能がない場合には、多くの回転スペクト
ルが分離されないために、室温ではスペクトル幅が広が
ったようになる。この他に、分子の振動エネルギーもボ
ルツマン分布しているが、N原子分子の場合には、非直
線分子の場合、3N−6個の基準振動とその倍音及び結
合音に対応した振動スペクトルが観測される。そのた
め、室温においては、多原子分子の吸収スペクトルは幅
広くなる傾向にあり、原子数が多くなるほどその傾向は
強くなる。
【0038】図3及び図4にレーザ光子の有効利用の相
違を示す。図3に示すように、超音速ジェットで冷却さ
れた場合のモノクロロベンゼンの場合、レーザのスペク
トル幅が1nmであるのに対し、分子の吸収線が20p
m程度なのに対して、図4に示すように、洩れ出し分子
線にて冷却されていない分子の吸収線の幅は200pm
程度と向上する。
違を示す。図3に示すように、超音速ジェットで冷却さ
れた場合のモノクロロベンゼンの場合、レーザのスペク
トル幅が1nmであるのに対し、分子の吸収線が20p
m程度なのに対して、図4に示すように、洩れ出し分子
線にて冷却されていない分子の吸収線の幅は200pm
程度と向上する。
【0039】また、図5に示すように、洩れ出し分子線
(図5上段のスペクトル)の場合には、出現しているス
ペクトルの本数が超音速ジェットで冷却された分子線
(図5下段のスペクトル)に較べて増加しているのは、
以上の理由による。なお、図5のスペクトルはアニリン
の吸収スペクトルであり、上段は常温気体の吸収スペク
トルであり、下段は超音速ジェット中の蛍光励起スペク
トルである。
(図5上段のスペクトル)の場合には、出現しているス
ペクトルの本数が超音速ジェットで冷却された分子線
(図5下段のスペクトル)に較べて増加しているのは、
以上の理由による。なお、図5のスペクトルはアニリン
の吸収スペクトルであり、上段は常温気体の吸収スペク
トルであり、下段は超音速ジェット中の蛍光励起スペク
トルである。
【0040】次に、トリクロロベンゼン38ppm(窒
素バランス)を3種類の試料導入方にて質量スペクトル
を計測し、分子線の冷却の相違について説明する。 (1) パルスバルブによる超音速ジェット(背圧(P):
510Torr,オリフィス径(D):800μm) (2) 連続分子線による超音速ジェット(背圧(P):3
0Torr,オリフィス径(D):100μm) (3) キャピラリカラム洩れ出し分子線(背圧(P):1
Torr,オリフィス径(D):250μm) 真空系は、全く同じであり、レーザ出力等の計測条件も
同一になるように調整した。ただし、オリフィス下流の
レーザ照射位置xは最大感度となるように調整した。真
空系が同一であるので、単位時間あたりの試料ガスの導
入量は同じであり、レーザ照射位置における試料密度
と、分子の温度との差が信号強度の差となって現れてい
ると考えられる。この結果を図6〜図11に示す。ここ
で、図6はパルスバルブによる超音速ジェットのレーザ
照射位置と密度との関係図、図7は超音速ジェットのト
リクロロベンゼンのスペクトル図、図8は連続分子線に
よる超音速ジェットのレーザ照射位置と密度との関係
図、図9は連続分子線による超音速ジェットのトリクロ
ロベンゼンのスペクトル図、図10は洩れ出し分子線に
よるレーザ照射位置と密度との関係図、図11は洩れ出
し分子線によるトリクロロベンゼンのスペクトル図であ
る。
素バランス)を3種類の試料導入方にて質量スペクトル
を計測し、分子線の冷却の相違について説明する。 (1) パルスバルブによる超音速ジェット(背圧(P):
510Torr,オリフィス径(D):800μm) (2) 連続分子線による超音速ジェット(背圧(P):3
0Torr,オリフィス径(D):100μm) (3) キャピラリカラム洩れ出し分子線(背圧(P):1
Torr,オリフィス径(D):250μm) 真空系は、全く同じであり、レーザ出力等の計測条件も
同一になるように調整した。ただし、オリフィス下流の
レーザ照射位置xは最大感度となるように調整した。真
空系が同一であるので、単位時間あたりの試料ガスの導
入量は同じであり、レーザ照射位置における試料密度
と、分子の温度との差が信号強度の差となって現れてい
ると考えられる。この結果を図6〜図11に示す。ここ
で、図6はパルスバルブによる超音速ジェットのレーザ
照射位置と密度との関係図、図7は超音速ジェットのト
リクロロベンゼンのスペクトル図、図8は連続分子線に
よる超音速ジェットのレーザ照射位置と密度との関係
図、図9は連続分子線による超音速ジェットのトリクロ
ロベンゼンのスペクトル図、図10は洩れ出し分子線に
よるレーザ照射位置と密度との関係図、図11は洩れ出
し分子線によるトリクロロベンゼンのスペクトル図であ
る。
【0041】(1) の場合、レーザ照射位置x=11mm
としており、レーザ照射位置における分子数密度はキャ
リアガスも含めた全分子数密度として、図6に示すよう
に、8.20×1015個/ccとなる。レーザ照射位置xを小
さくする方が検出感度向上には有利であるが、パルスバ
ルブは金属製であり、高電圧を印加した電子レンズの電
極に近づけ過ぎると。放電が生じることがあり、これ以
上xを小さくすることは困難である。
としており、レーザ照射位置における分子数密度はキャ
リアガスも含めた全分子数密度として、図6に示すよう
に、8.20×1015個/ccとなる。レーザ照射位置xを小
さくする方が検出感度向上には有利であるが、パルスバ
ルブは金属製であり、高電圧を印加した電子レンズの電
極に近づけ過ぎると。放電が生じることがあり、これ以
上xを小さくすることは困難である。
【0042】(2) の場合、ガラス製の管に100 μmのオ
リフィスを開けたものを使用し、超音速ジェットの条件
を満たす範囲で計測を行った。ガラス製であるために、
電子レンズの電極の間に配置することが可能であり、x
=2mmまで近づけることが可能となった。しかし、パ
ルス駆動は不可能であるので、背圧力は30Torrと
低くならざるを得なかった。図8に示すように、レーザ
照射位置での分子数密度は2.23×1014個/ccと小さく
なり、信号強度も分子数密度に比例して小さくなってい
る。
リフィスを開けたものを使用し、超音速ジェットの条件
を満たす範囲で計測を行った。ガラス製であるために、
電子レンズの電極の間に配置することが可能であり、x
=2mmまで近づけることが可能となった。しかし、パ
ルス駆動は不可能であるので、背圧力は30Torrと
低くならざるを得なかった。図8に示すように、レーザ
照射位置での分子数密度は2.23×1014個/ccと小さく
なり、信号強度も分子数密度に比例して小さくなってい
る。
【0043】(3) の場合は、長さ2m、オリフィス径:
250μmのキャピラリカラムを使用しているので、オ
リフィスでの背圧力は1Torr程度となるが、x=1
mmでレーザ照射することが可能であったので、図10
に示すように、レーザ照射位置における分子数密度は2.
28×1014個/ccとなり、分子数密度は(2) の場合とほ
ぼ同じである。しかしながら、信号強度は37倍程度とな
っており、信号強度が強くなっていることが明らかであ
る。また、(1) の場合と比較しても分子数密度は1/36と
なっているものの信号強度の低下は半分程度となってい
ることから、20倍程度信号強度が強くなっている。
250μmのキャピラリカラムを使用しているので、オ
リフィスでの背圧力は1Torr程度となるが、x=1
mmでレーザ照射することが可能であったので、図10
に示すように、レーザ照射位置における分子数密度は2.
28×1014個/ccとなり、分子数密度は(2) の場合とほ
ぼ同じである。しかしながら、信号強度は37倍程度とな
っており、信号強度が強くなっていることが明らかであ
る。また、(1) の場合と比較しても分子数密度は1/36と
なっているものの信号強度の低下は半分程度となってい
ることから、20倍程度信号強度が強くなっている。
【0044】上記装置において、レーザ照射手段18か
らのレーザ光16は反射ミラー24を介して反射され、
図示しない集光レンズレンズにて集光され、レーザ導入
窓27から真空チャンバー11内に導入する。なお、図
1中、符号30は試料採取管であり、31はフィルタで
ある。一方、炉中からの採取ガス13は噴出手段15で
あるキャピラリカラムに送られる。上記キャピラリカラ
ム15からは試料分子が連続的に洩れ出し、洩れ出し分
子線14を形成する。該洩れ出し分子線14は電極20
と電極21との間から発せられおり、その直ぐ近傍を通
過するように導入されたレーザ光16で照射し、分子イ
オン17にイオン化する。
らのレーザ光16は反射ミラー24を介して反射され、
図示しない集光レンズレンズにて集光され、レーザ導入
窓27から真空チャンバー11内に導入する。なお、図
1中、符号30は試料採取管であり、31はフィルタで
ある。一方、炉中からの採取ガス13は噴出手段15で
あるキャピラリカラムに送られる。上記キャピラリカラ
ム15からは試料分子が連続的に洩れ出し、洩れ出し分
子線14を形成する。該洩れ出し分子線14は電極20
と電極21との間から発せられおり、その直ぐ近傍を通
過するように導入されたレーザ光16で照射し、分子イ
オン17にイオン化する。
【0045】生成した分子イオン17は、電極31,3
2,33,34にて形成される電子レンズにて電場を印
加し、イオン検出器19にて検出する。
2,33,34にて形成される電子レンズにて電場を印
加し、イオン検出器19にて検出する。
【0046】本システムでは、飛行時間型質量分析装置
を構成しているので、イオン化ポテンシャルの低い分子
が混在し、非共鳴イオン化過程で仮にイオンを発生して
も、質量数の差から、目的分子と区別することが可能と
なる。上記イオン検出器19においてイオン数に比例し
た電気信号を得ることができるので、図示しないプリア
ンプにて増幅し、デジタルオシロースコープ26にて質
量スペクトルが観測できる。質量スペクトルの処理をお
こなうために、図示しない情報処理装置に送られ、ここ
で信号処理が行われる。
を構成しているので、イオン化ポテンシャルの低い分子
が混在し、非共鳴イオン化過程で仮にイオンを発生して
も、質量数の差から、目的分子と区別することが可能と
なる。上記イオン検出器19においてイオン数に比例し
た電気信号を得ることができるので、図示しないプリア
ンプにて増幅し、デジタルオシロースコープ26にて質
量スペクトルが観測できる。質量スペクトルの処理をお
こなうために、図示しない情報処理装置に送られ、ここ
で信号処理が行われる。
【0047】このように本発明では洩れ出し分子イオン
化法と飛行時間型質量分析装置(Time of Flight Mass S
pectroscopy:TOFMAS) の併用すると共に、レーザ光とし
てスペクトル幅の広いもの( フェムト秒レーザ) を使用
することにより、ダイオキシン類の同族体を同時に測定
することができる。
化法と飛行時間型質量分析装置(Time of Flight Mass S
pectroscopy:TOFMAS) の併用すると共に、レーザ光とし
てスペクトル幅の広いもの( フェムト秒レーザ) を使用
することにより、ダイオキシン類の同族体を同時に測定
することができる。
【0048】ここで、本発明では、上記試料採取管30
の先端近傍に設けられたフィルタ31は高温に耐えられ
る金属製のフィルタが好適であり、採取管30の目詰ま
りを防止するために、フィルタのダスト除去率が99%
以上のものを用いることが好ましい。
の先端近傍に設けられたフィルタ31は高温に耐えられ
る金属製のフィルタが好適であり、採取管30の目詰ま
りを防止するために、フィルタのダスト除去率が99%
以上のものを用いることが好ましい。
【0049】また、上記採取管30のフィルタ31の目
詰まりを防止するために、例えば窒素ガスパージ等によ
る逆洗浄を行う逆洗浄手段を設けるようにしている。こ
の目詰まりの状態はスペクトル幅の広いレーザ光を用い
ており、ダイオキシン類以外の複数の有機分子も同時に
イオン化することとなるので、当該ダイオキシン類以外
の有機分子(例えばベンゼン等)を指標とし、該有機分
子の信号強度変化を監視することにより、目詰まりを監
視することができる。或いは信号強度の変化に関係な
く、一定時間の経過毎に窒素ガスのパージを行って逆洗
浄を行うようにしてもよい。
詰まりを防止するために、例えば窒素ガスパージ等によ
る逆洗浄を行う逆洗浄手段を設けるようにしている。こ
の目詰まりの状態はスペクトル幅の広いレーザ光を用い
ており、ダイオキシン類以外の複数の有機分子も同時に
イオン化することとなるので、当該ダイオキシン類以外
の有機分子(例えばベンゼン等)を指標とし、該有機分
子の信号強度変化を監視することにより、目詰まりを監
視することができる。或いは信号強度の変化に関係な
く、一定時間の経過毎に窒素ガスのパージを行って逆洗
浄を行うようにしてもよい。
【0050】また、採取管30の先端は炉内又は煙道内
の燃焼排ガスの高温に晒されているので、当該部分では
ダイオキシン類の再合成のおそれはない。よって、炉内
又は煙道内のダイオキシン類の同族体の分布そのものを
直接採取できることになる。
の燃焼排ガスの高温に晒されているので、当該部分では
ダイオキシン類の再合成のおそれはない。よって、炉内
又は煙道内のダイオキシン類の同族体の分布そのものを
直接採取できることになる。
【0051】上記採取手管13の周囲には保護手段32
により覆われており、採取管温度が120〜200℃と
なるように保持している。これは120℃未満である
と、燃焼ガス11中には水分が多く含まれているので、
その凝集を防止するためであり、一方200℃以上の高
温となるとダイオキシン類の再合成が開始するのでこれ
を防ぐためである。
により覆われており、採取管温度が120〜200℃と
なるように保持している。これは120℃未満である
と、燃焼ガス11中には水分が多く含まれているので、
その凝集を防止するためであり、一方200℃以上の高
温となるとダイオキシン類の再合成が開始するのでこれ
を防ぐためである。
【0052】また、排気ガスの吸引速度は0.5〜1.0リ
ットル/分程度とするのがよい。これは排気ガス中のサ
ブミクロン単位のダストが配管に付着することがないよ
うにするためである。
ットル/分程度とするのがよい。これは排気ガス中のサ
ブミクロン単位のダストが配管に付着することがないよ
うにするためである。
【0053】また、上記採取管30は、その内部は例え
ばシリカ等のコーティング材料等によりコーティングさ
れた配管(例えばシリコスチール)を用いることが好ま
しい。これは採取管13内にダイオキシン類が付着する
のを防止するためである。
ばシリカ等のコーティング材料等によりコーティングさ
れた配管(例えばシリコスチール)を用いることが好ま
しい。これは採取管13内にダイオキシン類が付着する
のを防止するためである。
【0054】上記フェムト秒のレーザ種類は半導体レー
ザ、エキシマレーザ、チタンサファイヤレーザの3倍波
が使用可能である。
ザ、エキシマレーザ、チタンサファイヤレーザの3倍波
が使用可能である。
【0055】なお、ダイオキシン類の同族体に分析にお
いて、分子量が異なる試料の場合には、質量スペクトル
より直ちに識別が可能であり、同一分子量の場合におい
ても、目的質量数のイオン信号の波長依存性を予め検出
することで、異性体の識別が可能となる。
いて、分子量が異なる試料の場合には、質量スペクトル
より直ちに識別が可能であり、同一分子量の場合におい
ても、目的質量数のイオン信号の波長依存性を予め検出
することで、異性体の識別が可能となる。
【0056】ここで、排ガス中のダイオキシン類の規制
値として0.1ng−TEQ/Nm3(ダイオキシン類の
実濃度では5ng/Nmに相当)に相当するダイオキシ
ン類の特定異性体及び前駆体を検出する場合の検出感度
は、ダイオキシン類の特定異性体とした例えば5塩素の
ジベンゾフランの総濃度は0.5ng/Nm3 (0.03p
ptV),ダイオキシン類の前駆体の一例であるクロロ
ベンゼン総濃度は2000ng/Nm3 (4ppt
V)、モノクロロベンゼンは200ng/Nm3 (20
pptV)が要求されるが、本発明では選択的にイオン
化するものではなく、ダイオキシン類の同族体及び前駆
体をすべてイオン化するので、総量を測定することがで
きる。
値として0.1ng−TEQ/Nm3(ダイオキシン類の
実濃度では5ng/Nmに相当)に相当するダイオキシ
ン類の特定異性体及び前駆体を検出する場合の検出感度
は、ダイオキシン類の特定異性体とした例えば5塩素の
ジベンゾフランの総濃度は0.5ng/Nm3 (0.03p
ptV),ダイオキシン類の前駆体の一例であるクロロ
ベンゼン総濃度は2000ng/Nm3 (4ppt
V)、モノクロロベンゼンは200ng/Nm3 (20
pptV)が要求されるが、本発明では選択的にイオン
化するものではなく、ダイオキシン類の同族体及び前駆
体をすべてイオン化するので、総量を測定することがで
きる。
【0057】このように、本発明のダイオキシン類分析
装置を用いることにより、レーザ波長を掃引することな
くダイオキシン類の同族体を同時にイオン化して計測す
ることが可能となる。よって、従来のような選択的なイ
オン化による単一物質のみの計測では炉内における対象
物質の濃度が低下した場合と、サンプリング時における
以上で計測装置に導入された対象分子の濃度が見掛け上
低下した場合の区別を行うことは困難であるが、本発明
によればダイオキシン類を直接分析することによりその
ようなことが解消される。
装置を用いることにより、レーザ波長を掃引することな
くダイオキシン類の同族体を同時にイオン化して計測す
ることが可能となる。よって、従来のような選択的なイ
オン化による単一物質のみの計測では炉内における対象
物質の濃度が低下した場合と、サンプリング時における
以上で計測装置に導入された対象分子の濃度が見掛け上
低下した場合の区別を行うことは困難であるが、本発明
によればダイオキシン類を直接分析することによりその
ようなことが解消される。
【0058】また、従来の計測法においては、特定の一
の異性体しか測定できないので、他の物質を測定すると
きには、波長掃引を行う必要があり、この波長掃引を行
って測定する場合には、その度に波長を可変させる調整
が必要となり、この調整に時間を要する結果、排ガス中
のリアルタイムのダイオキシン類の同族体の分析ができ
ないが、本発明によればダイオキシン類の同族体の分析
が可能となり、波長掃引及び波長校正が不要となり、連
続的な長期間の計測におけるランニングコストの大幅な
低下を図ることができる。
の異性体しか測定できないので、他の物質を測定すると
きには、波長掃引を行う必要があり、この波長掃引を行
って測定する場合には、その度に波長を可変させる調整
が必要となり、この調整に時間を要する結果、排ガス中
のリアルタイムのダイオキシン類の同族体の分析ができ
ないが、本発明によればダイオキシン類の同族体の分析
が可能となり、波長掃引及び波長校正が不要となり、連
続的な長期間の計測におけるランニングコストの大幅な
低下を図ることができる。
【0059】また、従来ではダイオキシン類の分解生成
物が減少したことがダイオキシン類の発生が抑制された
結果生じたのか、ダイオキシン類は以前発生しているが
ダイオキシン類の分解が抑制されたの結果なのかの判定
が不可能であったが、本発明によれば、ダイオキシン類
の直接計測ができるので、燃焼制御に正確な情報を提供
することができる。
物が減少したことがダイオキシン類の発生が抑制された
結果生じたのか、ダイオキシン類は以前発生しているが
ダイオキシン類の分解が抑制されたの結果なのかの判定
が不可能であったが、本発明によれば、ダイオキシン類
の直接計測ができるので、燃焼制御に正確な情報を提供
することができる。
【0060】また、従来の選択イオン化においてダイオ
キシン類の濃度相関物質を測定する場合には、特定の一
種類の物質を測定しているので、レーザ光の光軸のズレ
やサンプリング配管の目詰まり等の他の要因で実際には
ダイオキシン類が発生しているにもかかわらず検出でき
ない場合には、確実にダイオキシン類の濃度を測定する
ことはできないという問題があったが、ダイオキシン類
以外の有機分子も同時にしかも感度良く計測することが
できるので、当該有機分子の挙動を監視することで、目
詰まり等の不具合が瞬時に判定でき、従来のような測定
装置と参照装置とを2台設けつつ分析することが不要と
なり、測定設備の簡略化を図ることができる。
キシン類の濃度相関物質を測定する場合には、特定の一
種類の物質を測定しているので、レーザ光の光軸のズレ
やサンプリング配管の目詰まり等の他の要因で実際には
ダイオキシン類が発生しているにもかかわらず検出でき
ない場合には、確実にダイオキシン類の濃度を測定する
ことはできないという問題があったが、ダイオキシン類
以外の有機分子も同時にしかも感度良く計測することが
できるので、当該有機分子の挙動を監視することで、目
詰まり等の不具合が瞬時に判定でき、従来のような測定
装置と参照装置とを2台設けつつ分析することが不要と
なり、測定設備の簡略化を図ることができる。
【0061】上述した実施の形態においては、導入され
た洩れ出し分子線中にスペクトル幅の広い光を照射する
照射手段として、フェムト秒以下のパルスレーザ光を例
にして説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、例えば真空紫外光、シンクロトロン放射光等の線
幅の広い光照射手段を用い、洩れ出し分子線をイオン化
させ、同様に高感度にてダイオキシン類等の目的物を検
出することができる。
た洩れ出し分子線中にスペクトル幅の広い光を照射する
照射手段として、フェムト秒以下のパルスレーザ光を例
にして説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、例えば真空紫外光、シンクロトロン放射光等の線
幅の広い光照射手段を用い、洩れ出し分子線をイオン化
させ、同様に高感度にてダイオキシン類等の目的物を検
出することができる。
【0062】
【実施例】以下、本発明の好適な一実施例について説明
する。内径320μm、長さ2mのキャピラリカラムを
使用し、真空チャンバー中に試料ガス(トリクロロベン
ゼン38ppm、窒素バランス)を導入した。イオン化
用のレーザはパルス波長が265nm、パルス幅が13
0fs、パルスエネルギーが50μJ/パルスのフェム
ト秒パルスレーザである。レーザ光は、焦点距離30c
mの石英レンズでキャピラリカラムの下流1mm以内の
地点に照射した。生成したイオンは、飛行時間型質量分
析計にて検出した。従来のパルスバルブを使用した超音
速分子線にて試料導入した結果との比較を行った。
する。内径320μm、長さ2mのキャピラリカラムを
使用し、真空チャンバー中に試料ガス(トリクロロベン
ゼン38ppm、窒素バランス)を導入した。イオン化
用のレーザはパルス波長が265nm、パルス幅が13
0fs、パルスエネルギーが50μJ/パルスのフェム
ト秒パルスレーザである。レーザ光は、焦点距離30c
mの石英レンズでキャピラリカラムの下流1mm以内の
地点に照射した。生成したイオンは、飛行時間型質量分
析計にて検出した。従来のパルスバルブを使用した超音
速分子線にて試料導入した結果との比較を行った。
【0063】パルス分子線の場合、単位時間当たりに導
入される試料ガス量は増えるが、レーザパルスとの同期
ととる必要から同期回路が必須となる。超音速分子線で
は試料分子が冷却されるために、分子のスペクトル幅は
20pmと狭くなる。この結果、フェムト秒パルスレー
ザのようなスペクトル幅の広いレーザ光源では、分子に
吸収されない光子の割合が増大し、イオン化率が0.04
%と十分なイオン化効率を得ることができなかった。よ
って、超音速分子線での検出効率は30ppb程度であ
った。
入される試料ガス量は増えるが、レーザパルスとの同期
ととる必要から同期回路が必須となる。超音速分子線で
は試料分子が冷却されるために、分子のスペクトル幅は
20pmと狭くなる。この結果、フェムト秒パルスレー
ザのようなスペクトル幅の広いレーザ光源では、分子に
吸収されない光子の割合が増大し、イオン化率が0.04
%と十分なイオン化効率を得ることができなかった。よ
って、超音速分子線での検出効率は30ppb程度であ
った。
【0064】これに対し、洩れ出し分子線の場合では、
分子が冷却されないために分子のスペクトル幅は200
pm以上に広がり、レーザ光子の利用効率が一桁以上向
上することが判明した。また、洩れ出し分子線によれ
ば、質量スペクトルから算出したイオン化率は4%程度
となり、従来の超音速分子線に較べて二桁ほどイオン化
率が向上した。よって、洩れ出し分子線での検出効率は
50pptの検出限界を得ることができた。
分子が冷却されないために分子のスペクトル幅は200
pm以上に広がり、レーザ光子の利用効率が一桁以上向
上することが判明した。また、洩れ出し分子線によれ
ば、質量スペクトルから算出したイオン化率は4%程度
となり、従来の超音速分子線に較べて二桁ほどイオン化
率が向上した。よって、洩れ出し分子線での検出効率は
50pptの検出限界を得ることができた。
【0065】図12は洩れ出し分子線でのクロロベンゼ
ンのスペクトルであり、図13は超音速分子線でのクロ
ロベンゼンのスペクトルである。
ンのスペクトルであり、図13は超音速分子線でのクロ
ロベンゼンのスペクトルである。
【0066】このように、洩れ出し分子線では分子が冷
却されないので、スペクトル幅が200pm以上と広く
なり、250nm領域でのスペクトルは構造のはっきり
しない複雑なスペクトルとなる(図12参照)。特定分
子を選択的に検出するためには、分子が冷却されないの
は重大な障害となるが、複数分子を同時に検出する場合
には、問題ではなく、フェムト秒レーザ光子の利用効率
が向上するために、検出感度が大幅に向上し、実用的な
感度でリアルタイム検出が可能となる。
却されないので、スペクトル幅が200pm以上と広く
なり、250nm領域でのスペクトルは構造のはっきり
しない複雑なスペクトルとなる(図12参照)。特定分
子を選択的に検出するためには、分子が冷却されないの
は重大な障害となるが、複数分子を同時に検出する場合
には、問題ではなく、フェムト秒レーザ光子の利用効率
が向上するために、検出感度が大幅に向上し、実用的な
感度でリアルタイム検出が可能となる。
【0067】[第2の実施の形態]次に本発明の測定装
置を用いた炉の制御方法の実施の形態について説明す
る。図14は燃焼制御システムの概略図である。図14
に示すように、本実施の形態の制御システムは、焼却炉
51内に燃焼物52を投入し、燃焼による発生熱量を一
定に維持するとともに、ダイオキシン類などの有害ガス
の発生を抑制する焼却炉における燃焼制御システムにお
いて、焼却炉,熱分解炉,溶融炉等の炉51内のダイオ
キシン類を瞬時に計測可能なダイオキシン類分析装置5
3と燃焼用空気制御手段54とを具備し、ダイオキシン
類濃度を時間遅れなく検出し、検出したダイオキシン類
濃度に応じて燃焼空気量を変化させるシステムである。
ここで、本実施の形態での焼却炉51は流動床炉であ
り、底部に流動層55を有した構成となっている。前記
流動層55の下流側には、燃焼物52を燃焼した後の灰
を所定の位置に搬送する灰シュート56が配置されてい
る。前記流動層55には、一次燃焼空気量制御弁57を
介在させた配管58を介して押込送風機59が接続され
ている。
置を用いた炉の制御方法の実施の形態について説明す
る。図14は燃焼制御システムの概略図である。図14
に示すように、本実施の形態の制御システムは、焼却炉
51内に燃焼物52を投入し、燃焼による発生熱量を一
定に維持するとともに、ダイオキシン類などの有害ガス
の発生を抑制する焼却炉における燃焼制御システムにお
いて、焼却炉,熱分解炉,溶融炉等の炉51内のダイオ
キシン類を瞬時に計測可能なダイオキシン類分析装置5
3と燃焼用空気制御手段54とを具備し、ダイオキシン
類濃度を時間遅れなく検出し、検出したダイオキシン類
濃度に応じて燃焼空気量を変化させるシステムである。
ここで、本実施の形態での焼却炉51は流動床炉であ
り、底部に流動層55を有した構成となっている。前記
流動層55の下流側には、燃焼物52を燃焼した後の灰
を所定の位置に搬送する灰シュート56が配置されてい
る。前記流動層55には、一次燃焼空気量制御弁57を
介在させた配管58を介して押込送風機59が接続され
ている。
【0068】一次燃焼空気は、流動層55の下部から任
意の箇所に供給されるようになっている。また、流動床
炉51の下部側寄りには、二次燃焼空気量制御弁60を
介在させた配管61を介して押込送風機62が接続され
ている。ここで、二次燃焼空気は、一次燃焼にて発生し
た燃焼ガスを流動床炉51の上部にて燃焼させる働きを
する。
意の箇所に供給されるようになっている。また、流動床
炉51の下部側寄りには、二次燃焼空気量制御弁60を
介在させた配管61を介して押込送風機62が接続され
ている。ここで、二次燃焼空気は、一次燃焼にて発生し
た燃焼ガスを流動床炉51の上部にて燃焼させる働きを
する。
【0069】前記流動床炉51の下部側壁には、都市ご
み等の燃焼物を流動層55内に投入する燃焼物供給ホッ
パ63が設けられている。このホッパ63の下部側に
は、モータにより駆動して燃焼物52を流動層55に押
し出すフィーダ64が設けられている。このフィーダ6
4により送られてきた燃焼物52は、流動層55内でガ
ス化され、流動層55の上部の流動床炉51内で燃焼す
る。
み等の燃焼物を流動層55内に投入する燃焼物供給ホッ
パ63が設けられている。このホッパ63の下部側に
は、モータにより駆動して燃焼物52を流動層55に押
し出すフィーダ64が設けられている。このフィーダ6
4により送られてきた燃焼物52は、流動層55内でガ
ス化され、流動層55の上部の流動床炉51内で燃焼す
る。
【0070】前記流動床炉51の上段には、流動床炉5
1で燃焼して得られた高温の燃焼ガスを冷却するボイラ
65、有毒ガス,粒子状物を除去する排ガス処理設備6
6、排ガスを誘引する誘引送風機67、及び排ガスを大
気中に放出する煙突68が順次接続されている。また、
前記排ガス処理設備66の上部付近には、該設備66内
に消石灰,活性炭等を必要に応じて噴霧する噴霧装置6
9が配置されている。
1で燃焼して得られた高温の燃焼ガスを冷却するボイラ
65、有毒ガス,粒子状物を除去する排ガス処理設備6
6、排ガスを誘引する誘引送風機67、及び排ガスを大
気中に放出する煙突68が順次接続されている。また、
前記排ガス処理設備66の上部付近には、該設備66内
に消石灰,活性炭等を必要に応じて噴霧する噴霧装置6
9が配置されている。
【0071】前記流動床炉51の上部には、炉内の燃焼
ガス中のダイオキシン類濃度を瞬時に計測可能な計測手
段としてのダイオキシン類分析装置53が設けられてい
る。この分析装置53は、図1に示す構成からなり、測
定情報はコントローラ71に電気的に接続されている。
前記コントローラ71は、前記一次燃焼空気量制御弁5
7及び二次燃焼空気量制御弁60及び酸素量調整弁73
及び助燃バーナ72にそれぞれ電気的に接続されてい
る。また、コントローラ71には、ボイラ蒸発量の情報
80及び温度計測情報81が送られていると共に、供給
フィーダを制御する制御手段82、ストーカを制御する
制御手段83、酸素供給量手段84に信号を送って制御
している。
ガス中のダイオキシン類濃度を瞬時に計測可能な計測手
段としてのダイオキシン類分析装置53が設けられてい
る。この分析装置53は、図1に示す構成からなり、測
定情報はコントローラ71に電気的に接続されている。
前記コントローラ71は、前記一次燃焼空気量制御弁5
7及び二次燃焼空気量制御弁60及び酸素量調整弁73
及び助燃バーナ72にそれぞれ電気的に接続されてい
る。また、コントローラ71には、ボイラ蒸発量の情報
80及び温度計測情報81が送られていると共に、供給
フィーダを制御する制御手段82、ストーカを制御する
制御手段83、酸素供給量手段84に信号を送って制御
している。
【0072】燃焼制御はダイオキシン類の濃度に応じ
て、前記一次燃焼空気量制御又は二次燃焼空気量制御、
燃焼空気の酸素濃度制御、若しくはこれらの全てを必要
に応じて行うようにすればよい。また、制御を炉内温
度、炉内ガス対流時間、炉内攪拌力のいずれか又はこれ
らの組合せにより制御するようにしてもよい。
て、前記一次燃焼空気量制御又は二次燃焼空気量制御、
燃焼空気の酸素濃度制御、若しくはこれらの全てを必要
に応じて行うようにすればよい。また、制御を炉内温
度、炉内ガス対流時間、炉内攪拌力のいずれか又はこれ
らの組合せにより制御するようにしてもよい。
【0073】また、前記前記コントローラ71には予測
制御手段を内在された場合には、ダイオキシン類分析装
置53による計測結果に基づく時系列データからダイオ
キシン類濃度の変動を予測することができる。予測制御
手段は、例えばベースライン(平均値)の制御を行うフ
ァジー制御器と、ダイオキシン類濃度の発生を抑制する
カオス制御器とを有している。
制御手段を内在された場合には、ダイオキシン類分析装
置53による計測結果に基づく時系列データからダイオ
キシン類濃度の変動を予測することができる。予測制御
手段は、例えばベースライン(平均値)の制御を行うフ
ァジー制御器と、ダイオキシン類濃度の発生を抑制する
カオス制御器とを有している。
【0074】ここで、カオス制御器は、ダイオキシン類
分析装置53による計測結果に基づく時系列データから
ある一定時刻先のダイオキシン類濃度を予測し、ピーク
が発生すると予測した場合に、二次燃焼空気量を増やす
ような操作量を算出する。ファジー制御器は、排ガスに
よる計測結果とダイオキシン類濃度設定値の偏差から、
それを0とするような操作量を算出する。カオス制御器
で求めた操作量と、ファジー制御器29による操作量と
を合わせた操作量により、一次燃焼空気量制御弁57及
び二次空気量制御弁60を操作し、プラントのダイオキ
シン類濃度を制御する。
分析装置53による計測結果に基づく時系列データから
ある一定時刻先のダイオキシン類濃度を予測し、ピーク
が発生すると予測した場合に、二次燃焼空気量を増やす
ような操作量を算出する。ファジー制御器は、排ガスに
よる計測結果とダイオキシン類濃度設定値の偏差から、
それを0とするような操作量を算出する。カオス制御器
で求めた操作量と、ファジー制御器29による操作量と
を合わせた操作量により、一次燃焼空気量制御弁57及
び二次空気量制御弁60を操作し、プラントのダイオキ
シン類濃度を制御する。
【0075】こうした構成の燃焼制御装置のカオス理論
を用いた燃焼制御操作の一例を以下に示すが、本発明の
燃焼制御は以下に限定されるものではない。まず、燃焼
物供給ホッパ63から都市ごみ等の燃焼物52を流動床
炉51の流動層55に投入する。投入された燃焼物は流
動層55内でガス化され、流動床炉51内で燃焼する。
そして、その排ガスは、ボイラ65で冷却され、ろ過式
集塵機等の排ガス処理設備66で有害ガス,粒子状物を
除去され、誘引送風機67により誘引され、煙突68よ
り大気中に放出される。一方、流動床炉51の上部では
ダイオキシン類分析装置53によりダイオキシン類濃度
が瞬時に計測され、その計測結果による信号を予測制御
装置(図示せず)へ送り、この予測制御装置でダイオキ
シン類濃度の変動予測をカオス理論で行った後、予測制
御装置による信号をコントローラ71に送り、一次燃焼
空気量制御弁57,二次燃料空気量制御弁60の夫々の
開度を調節して一次燃焼空気量,二次燃焼空気量の調整
を行う。
を用いた燃焼制御操作の一例を以下に示すが、本発明の
燃焼制御は以下に限定されるものではない。まず、燃焼
物供給ホッパ63から都市ごみ等の燃焼物52を流動床
炉51の流動層55に投入する。投入された燃焼物は流
動層55内でガス化され、流動床炉51内で燃焼する。
そして、その排ガスは、ボイラ65で冷却され、ろ過式
集塵機等の排ガス処理設備66で有害ガス,粒子状物を
除去され、誘引送風機67により誘引され、煙突68よ
り大気中に放出される。一方、流動床炉51の上部では
ダイオキシン類分析装置53によりダイオキシン類濃度
が瞬時に計測され、その計測結果による信号を予測制御
装置(図示せず)へ送り、この予測制御装置でダイオキ
シン類濃度の変動予測をカオス理論で行った後、予測制
御装置による信号をコントローラ71に送り、一次燃焼
空気量制御弁57,二次燃料空気量制御弁60の夫々の
開度を調節して一次燃焼空気量,二次燃焼空気量の調整
を行う。
【0076】このように、流動床炉51の上部にダイオ
キシン類分析装置53を取り付け、炉内の燃焼ガス中の
ダイオキシン類濃度をリアルタイムで計測し、その時系
列データからカオス理論を用いた予測制御装置により一
酸化炭素の濃度の変動を予測し、これに基づいて流動床
炉51の下部側での一次燃焼空気量,二次燃焼空気量を
調整するため、ダイオキシン類濃度のピークを所定値以
下に抑制し、ダイオキシン類の発生量を低減することが
できる。
キシン類分析装置53を取り付け、炉内の燃焼ガス中の
ダイオキシン類濃度をリアルタイムで計測し、その時系
列データからカオス理論を用いた予測制御装置により一
酸化炭素の濃度の変動を予測し、これに基づいて流動床
炉51の下部側での一次燃焼空気量,二次燃焼空気量を
調整するため、ダイオキシン類濃度のピークを所定値以
下に抑制し、ダイオキシン類の発生量を低減することが
できる。
【0077】今後新設する炉の炉出口におけるダイオキ
シン類濃度は0.5ng−TEQ/Nm2 を目標としてお
り、当該濃度を計測することが必要となる。0.1ng−
TEQ/Nm2 に想到するダイオキシン類濃度に相当す
るモノクロロベンゼン(ダイオキシン類の前駆体)及び
5塩素ジベンゾフラン(P5 CDF)の濃度はそれぞれ
20ng/Nm3 と0.5ng/Nm3 であり、本発明の
装置を用いることによりこの濃度の検出が可能となる。
シン類濃度は0.5ng−TEQ/Nm2 を目標としてお
り、当該濃度を計測することが必要となる。0.1ng−
TEQ/Nm2 に想到するダイオキシン類濃度に相当す
るモノクロロベンゼン(ダイオキシン類の前駆体)及び
5塩素ジベンゾフラン(P5 CDF)の濃度はそれぞれ
20ng/Nm3 と0.5ng/Nm3 であり、本発明の
装置を用いることによりこの濃度の検出が可能となる。
【0078】本発明のダイオキシン類分析装置を用いる
ことにより、炉内及び排ガス煙道のダイオキシン類の濃
度を5〜20秒程度の時間的な遅れでリアルタイムの検
出が可能となる。よって、図15に示すように、炉内の
ダイオキシン類(DXN)のピークAに引き続き計測器
で検出される信号Bが追従する形で計測がなされるの
で、ダイオキシン類の濃度が向上したことを計測するこ
とができ、直ちに上述した制御を行うことにより、ダイ
オキシン類の発生が制御されたピークCを検出すること
となる。
ことにより、炉内及び排ガス煙道のダイオキシン類の濃
度を5〜20秒程度の時間的な遅れでリアルタイムの検
出が可能となる。よって、図15に示すように、炉内の
ダイオキシン類(DXN)のピークAに引き続き計測器
で検出される信号Bが追従する形で計測がなされるの
で、ダイオキシン類の濃度が向上したことを計測するこ
とができ、直ちに上述した制御を行うことにより、ダイ
オキシン類の発生が制御されたピークCを検出すること
となる。
【0079】排ガスを採取する場所は上述したように炉
内の限定されるものではなく、炉からボイラ65への煙
道、ボイラ65から排ガス処理設備66の煙道内に必要
に応じて配置することができる。
内の限定されるものではなく、炉からボイラ65への煙
道、ボイラ65から排ガス処理設備66の煙道内に必要
に応じて配置することができる。
【0080】特に、ボイラ65と排ガス処理設備66と
の間にダイオキシン類分析装置53を設置することによ
り、炉内ではダイオキシン類の発生がない場合、炉の後
流でダイオキシン類前駆体の再合成によりダイオキシン
類が発生したことが判定でき、噴霧装置69から吸着剤
である活性炭を噴霧することで排ガス中のダイオキシン
類を吸着することができ、外部へ排出することを防止す
ることができる。
の間にダイオキシン類分析装置53を設置することによ
り、炉内ではダイオキシン類の発生がない場合、炉の後
流でダイオキシン類前駆体の再合成によりダイオキシン
類が発生したことが判定でき、噴霧装置69から吸着剤
である活性炭を噴霧することで排ガス中のダイオキシン
類を吸着することができ、外部へ排出することを防止す
ることができる。
【0081】また、活性炭を噴霧する代わりに副燃焼手
段である助燃バーナ72を煙道に設置し、発生したダイ
オキシン類を燃焼処理することもできる。
段である助燃バーナ72を煙道に設置し、発生したダイ
オキシン類を燃焼処理することもできる。
【0082】
【発明の効果】以上述べたように、第1の発明によれ
ば、真空容器内に洩れ出し分子線を連続的に導入する試
料導入手段と、該導入された洩れ出し分子線中にスペク
トル幅の広い光を照射する照射手段と、生成した分子イ
オンの分析を行う飛行時間型質量分析装置とを備えてな
るので、試料を冷却することがなく、分子のスペクトル
幅は200pm以上に広がり、光子の利用効率が向上す
る。よって、イオン化率は4%程度となり、従来の超音
速分子線の場合に較べて二桁ほどイオン化率が向上す
る。
ば、真空容器内に洩れ出し分子線を連続的に導入する試
料導入手段と、該導入された洩れ出し分子線中にスペク
トル幅の広い光を照射する照射手段と、生成した分子イ
オンの分析を行う飛行時間型質量分析装置とを備えてな
るので、試料を冷却することがなく、分子のスペクトル
幅は200pm以上に広がり、光子の利用効率が向上す
る。よって、イオン化率は4%程度となり、従来の超音
速分子線の場合に較べて二桁ほどイオン化率が向上す
る。
【0083】第2の発明は、第1の発明において、上記
スペクトル幅の広い光を照射する照射手段がフェムト秒
以下のパルスレーザ光、真空紫外光、シンクロトロン放
射光のいずれかであるので、イオン化率が向上する。
スペクトル幅の広い光を照射する照射手段がフェムト秒
以下のパルスレーザ光、真空紫外光、シンクロトロン放
射光のいずれかであるので、イオン化率が向上する。
【0084】第3の発明は、第1の発明において、上記
試料導入手段がキャピラリカラムであり、その孔径が2
50〜530μmであるので、洩れ出し分子線が好適に
なる。
試料導入手段がキャピラリカラムであり、その孔径が2
50〜530μmであるので、洩れ出し分子線が好適に
なる。
【0085】第4の発明は、第3の発明において、上記
キャピラリカラムから導入される洩れ出し分子線のレー
ザ照射位置と、上記キャピラリカラムの先端との距離が
1mm以下であるので、試料のイオン化効率が向上す
る。
キャピラリカラムから導入される洩れ出し分子線のレー
ザ照射位置と、上記キャピラリカラムの先端との距離が
1mm以下であるので、試料のイオン化効率が向上す
る。
【0086】第5の発明は、第1の発明において、上記
レーザパルス波長が240〜270nmであるので、ダ
イオキシン類及びその前駆体を効率良くイオン化させる
ことができる。
レーザパルス波長が240〜270nmであるので、ダ
イオキシン類及びその前駆体を効率良くイオン化させる
ことができる。
【0087】第6の発明は、第1の発明において、上記
レーザパルスエネルギーが1〜500μJ/パルスであ
るので、レーザ光を効率よく集光させることができる。
レーザパルスエネルギーが1〜500μJ/パルスであ
るので、レーザ光を効率よく集光させることができる。
【0088】第7の発明は、第1の発明において、上記
レーザの照射部の温度が100K以上であるので、洩れ
出し分子線を冷却させることなくイオン化させることが
できる。
レーザの照射部の温度が100K以上であるので、洩れ
出し分子線を冷却させることなくイオン化させることが
できる。
【0089】第8の発明は、第1の発明において、上記
分子イオンをトラップするイオントラップを設けてなる
ので、目的とする物質のみを効率よく捕捉することがで
きる。
分子イオンをトラップするイオントラップを設けてなる
ので、目的とする物質のみを効率よく捕捉することがで
きる。
【0090】第9の発明は、第1の発明において、上記
試料が焼却炉,熱分解炉,溶融炉等のからの排ガスであ
るので、排ガス中のダイオキシン類等のリアルタイムの
分析が可能となる。
試料が焼却炉,熱分解炉,溶融炉等のからの排ガスであ
るので、排ガス中のダイオキシン類等のリアルタイムの
分析が可能となる。
【0091】第10の発明は、第1の発明において、上
記飛行時間型質量分析装置がリフレクトロン型の質量分
析装置であるので、検出感度を向上することができる。
記飛行時間型質量分析装置がリフレクトロン型の質量分
析装置であるので、検出感度を向上することができる。
【0092】第11の発明は、焼却炉,熱分解炉,溶融
炉等から排出される排ガス中のダイオキシン類を含む燃
焼ガスを直接採取する採取手段と、該ダイオキシン類を
含む採取ガスをリアルタイムで分析する第1乃至10の
発明の光イオン化質量分析装置とを備えてなるので、燃
焼ガス中のダイオキシン類の同族体をリアルタイムで直
接分析することが可能となる。
炉等から排出される排ガス中のダイオキシン類を含む燃
焼ガスを直接採取する採取手段と、該ダイオキシン類を
含む採取ガスをリアルタイムで分析する第1乃至10の
発明の光イオン化質量分析装置とを備えてなるので、燃
焼ガス中のダイオキシン類の同族体をリアルタイムで直
接分析することが可能となる。
【0093】第12の発明は、焼却炉,熱分解炉,溶融
炉等の炉内に燃焼物を投入し、燃焼による発生熱量を一
定に維持するとともに、ダイオキシン類などの有害ガス
の発生を抑制する焼却炉における燃焼制御システムにお
いて、焼却炉,熱分解炉,溶融炉等からの排ガス中のダ
イオキシン類を瞬時に計測可能な第1乃至10のいずれ
か一項の光イオン化質量分析装置と燃焼用空気制御手段
とを具備し、ダイオキシン類濃度を時間遅れなく検出
し、検出したダイオキシン類濃度に応じて燃焼空気量を
変化させるので、ダイオキシン類の発生を防止した燃焼
を行うことができる。
炉等の炉内に燃焼物を投入し、燃焼による発生熱量を一
定に維持するとともに、ダイオキシン類などの有害ガス
の発生を抑制する焼却炉における燃焼制御システムにお
いて、焼却炉,熱分解炉,溶融炉等からの排ガス中のダ
イオキシン類を瞬時に計測可能な第1乃至10のいずれ
か一項の光イオン化質量分析装置と燃焼用空気制御手段
とを具備し、ダイオキシン類濃度を時間遅れなく検出
し、検出したダイオキシン類濃度に応じて燃焼空気量を
変化させるので、ダイオキシン類の発生を防止した燃焼
を行うことができる。
【0094】第13の発明は、第12の発明において、
燃焼用空気の制御手段が一次燃焼空気又は二次燃焼空気
のいずれか一方又は両方の空気量及び酸素濃度を制御す
るので、燃焼状況に応じたダイオキシン類の発生がない
燃焼を行うことができる。
燃焼用空気の制御手段が一次燃焼空気又は二次燃焼空気
のいずれか一方又は両方の空気量及び酸素濃度を制御す
るので、燃焼状況に応じたダイオキシン類の発生がない
燃焼を行うことができる。
【0095】第14の発明は、第12の発明において、
上記ダイオキシン類の排出制御が炉内温度、炉内ガス対
流時間、炉内攪拌力のいずれか又はこれらの組合せによ
り制御するので、燃焼状況に応じたダイオキシン類の発
生がない燃焼を行うことができる。
上記ダイオキシン類の排出制御が炉内温度、炉内ガス対
流時間、炉内攪拌力のいずれか又はこれらの組合せによ
り制御するので、燃焼状況に応じたダイオキシン類の発
生がない燃焼を行うことができる。
【図1】本実施の形態にかかる光イオン化質量分析装置
の概略図である。
の概略図である。
【図2】分子の回転エネルギーの回転スペクトルの選択
則を示す図である。
則を示す図である。
【図3】洩れ出し分子線のレーザ光子の有効利用の相違
を示す図である。
を示す図である。
【図4】超音速ジェットのレーザ光子の有効利用の相違
を示す図である。
を示す図である。
【図5】アニリンの室温と超音速ジェットのスペクトル
図である。
図である。
【図6】パルスバルブによる超音速ジェットのレーザ照
射位置と密度との関係図である。
射位置と密度との関係図である。
【図7】超音速ジェットのトリクロロベンゼンのスペク
トル図である。
トル図である。
【図8】連続分子線による超音速ジェットのレーザ照射
位置と密度との関係図である。
位置と密度との関係図である。
【図9】連続分子線による超音速ジェットのトリクロロ
ベンゼンのスペクトル図である。
ベンゼンのスペクトル図である。
【図10】洩れ出し分子線によるレーザ照射位置と密度
との関係図である。
との関係図である。
【図11】洩れ出し分子線によるトリクロロベンゼンの
スペクトル図である。
スペクトル図である。
【図12】洩れ出し分子線によるトリクロロベンゼンの
スペクトル図である。
スペクトル図である。
【図13】超音速ジェットのトリクロロベンゼンのスペ
クトル図である。
クトル図である。
【図14】燃焼制御システムの概略図である。
【図15】燃焼制御の前後を示す図である。
【図16】COとダイオキシン類との相関図である。
【図17】従来のレーザイオン化質量分析装置の概略図
である。
である。
11 真空チャンバー 12 煙道 13 排ガス 14 洩れ出し分子線 15 試料導入手段 16 パルスレーザ光 17 分子イオン 18 レーザ照射手段 19 飛行時間型質量分析装置 20〜23 電極 24 ミラー 25 光検出器 26 デジタルオシロスコープ 27 レーザ導入窓 51 炉 52 燃焼物 53 ダイオキシン類分析装置 54 燃焼用空気制御手段 55 流動層 56 灰シュート 57 一次燃焼空気量制御弁 58 配管 59 押込送風機 60 二次燃焼空気量制御弁 61 配管 62 押込送風機 63 燃焼物供給ホッパ 64 押し出すフィーダ 65 ボイラ 66 排ガス処理設備 67 誘引送風機 68 煙突 69 噴霧装置 71 コントローラ 72 助燃バーナ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 49/04 H01J 49/04 49/16 49/16 49/40 49/40
Claims (14)
- 【請求項1】 真空容器内に洩れ出し分子線を連続的に
導入する試料導入手段と、 該導入された洩れ出し分子線中にスペクトル幅の広い光
を照射する照射手段と、 生成した分子イオンの分析を行う飛行時間型質量分析装
置とを備えてなることを特徴とする光イオン化質量分析
装置。 - 【請求項2】 請求項1において、 上記スペクトル幅の広い光を照射する照射手段がフェム
ト秒以下のパルスレーザ光、真空紫外光、シンクロトロ
ン放射光のいずれかであることを特徴とする光イオン化
質量分析装置。 - 【請求項3】 請求項1において、 上記試料導入手段がキャピラリカラムであり、その孔径
が250〜530μmであることを特徴とする光イオン
化質量分析装置。 - 【請求項4】 請求項3において、 上記キャピラリカラムから導入される洩れ出し分子線の
レーザ照射位置と、上記キャピラリカラムの先端との距
離が1mm以下であることを特徴とする光イオン化質量
分析装置。 - 【請求項5】 請求項1において、 上記レーザパルス波長が240〜270nmであること
を特徴とする光イオン化質量分析装置。 - 【請求項6】 請求項1において、 上記レーザパルスエネルギーが1〜500μJ/パルス
であることを特徴とする光イオン化質量分析装置。 - 【請求項7】 請求項1において、 上記レーザの照射部の温度が100K以上であることを
特徴とする光イオン化質量分析装置。 - 【請求項8】 請求項1において、 上記分子イオンをトラップするイオントラップを設けて
なることを特徴とする光イオン化質量分析装置。 - 【請求項9】 請求項1において、 上記試料が焼却炉,熱分解炉,溶融炉等のからの排ガス
であることを特徴とする光イオン化質量分析装置。 - 【請求項10】 請求項1において、 上記飛行時間型質量分析装置がリフレクトロン型の質量
分析装置であることを特徴とする光イオン化質量分析装
置。 - 【請求項11】 焼却炉,熱分解炉,溶融炉等から排出
される排ガス中のダイオキシン類を含む燃焼ガスを直接
採取する採取手段と、 該ダイオキシン類を含む採取ガスをリアルタイムで分析
する請求項1乃至10の光イオン化質量分析装置とを備
えてなり、 燃焼ガス中のダイオキシン類の同族体を直接分析するこ
とを特徴とするダイオキシン類分析装置。 - 【請求項12】 焼却炉,熱分解炉,溶融炉等の炉内に
燃焼物を投入し、燃焼による発生熱量を一定に維持する
とともに、ダイオキシン類などの有害ガスの発生を抑制
する焼却炉における燃焼制御システムにおいて、 焼却炉,熱分解炉,溶融炉等からの排ガス中のダイオキ
シン類を瞬時に計測可能な請求項1乃至10のいずれか
一項の光イオン化質量分析装置と燃焼用空気制御手段と
を具備し、ダイオキシン類濃度を時間遅れなく検出し、
検出したダイオキシン類濃度に応じて燃焼空気量を変化
させることを特徴とする焼却炉における燃焼制御システ
ム。 - 【請求項13】 請求項12において、 燃焼用空気の制御手段が一次燃焼空気又は二次燃焼空気
のいずれか一方又は両方の空気量及び酸素濃度を制御す
ることを特徴とする焼却炉における燃焼制御システム。 - 【請求項14】 請求項12において、 上記ダイオキシン類の排出制御が炉内温度、炉内ガス対
流時間、炉内攪拌力のいずれか又はこれらの組合せによ
り制御することを特徴とする燃焼制御システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000383183A JP2002181788A (ja) | 2000-12-18 | 2000-12-18 | 光イオン化質量分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000383183A JP2002181788A (ja) | 2000-12-18 | 2000-12-18 | 光イオン化質量分析装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002181788A true JP2002181788A (ja) | 2002-06-26 |
Family
ID=18850880
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000383183A Withdrawn JP2002181788A (ja) | 2000-12-18 | 2000-12-18 | 光イオン化質量分析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002181788A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006234609A (ja) * | 2005-02-25 | 2006-09-07 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 分子配向温度計 |
CN101592628A (zh) * | 2009-06-30 | 2009-12-02 | 上海华质生物技术有限公司 | 一种增强光离子化效率的装置及方法 |
CN104241074A (zh) * | 2014-09-23 | 2014-12-24 | 中国科学技术大学 | 一种用于原位探测激光加热反应器产物的光电离质谱装置 |
-
2000
- 2000-12-18 JP JP2000383183A patent/JP2002181788A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006234609A (ja) * | 2005-02-25 | 2006-09-07 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 分子配向温度計 |
JP4543213B2 (ja) * | 2005-02-25 | 2010-09-15 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 分子配向温度計 |
CN101592628A (zh) * | 2009-06-30 | 2009-12-02 | 上海华质生物技术有限公司 | 一种增强光离子化效率的装置及方法 |
CN101592628B (zh) * | 2009-06-30 | 2014-10-15 | 上海华质生物技术有限公司 | 一种增强光离子化效率的装置及方法 |
CN104241074A (zh) * | 2014-09-23 | 2014-12-24 | 中国科学技术大学 | 一种用于原位探测激光加热反应器产物的光电离质谱装置 |
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