JP2002180334A - 熱接着性繊維の製造方法 - Google Patents
熱接着性繊維の製造方法Info
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Abstract
縮性の熱接着性繊維を、延伸性よく得ることができる熱
接着性繊維の製造方法を提供する。 【解決手段】 溶融複合紡糸装置に複合紡糸口金を装着
し、吐出繊維を冷却した後、油剤を付与して引き取り、
一旦巻き取ることなく連続して延伸を行い、弛緩熱処理
を行いながら巻き取って、鞘成分の融点が芯成分の融点
より50℃以上低い芯鞘型熱接着性複合繊維を製造す
る。その際、2段目の延伸を加熱ローラ延伸を行いなが
ら、同時に繊維にスチームを吹き付けながら1500m
/分以上の速度で巻き取る。
Description
の小さい熱接着性繊維を、延伸性よく得ることができる
熱接着性繊維の製造方法に関するものである。
する場合が多く、このため、衣料用繊維より高い粘度の
ポリマーが使用される。このような繊維の熱収縮率を低
くする方法としては、弛緩処理の前にローラ等で高温の
熱処理を施し、高い弛緩率を繊維に付与して巻き取る方
法が一般的である。そして、例えば特開2000−27
029号公報には、ポリエステル繊維を弛緩ゾーンでス
チーム処理を行う方法が記載されているが、この方法も
弛緩処理の前に220〜240℃と高い温度のローラ熱
処理を行っている。
分より融点が50℃以上低いポリマーの組み合わせの熱
接着性繊維に採用することが難しく、上記のポリマーの
組み合わせの場合、低温のローラ温度で熱処理を行って
いるため、熱収縮率の高い繊維となり、メッシユシート
等に加工した後、加熱接着処理を行うと、熱収縮による
寸法変化が大きく、加工性不良や製品の品位が劣ったも
のになる。
熱収縮率を下げる方法や、未延伸糸を一旦巻き取った
後、巻き取り速度が500m/分程度の低速で延伸を行
うことで高い弛緩率を付与して巻き取る方法が行われて
いるが、前者は強度が低くなり、後者はコスト的に不利
になるという問題があった。
を解決し、高強度で熱接着時の寸法変化が小さい熱接着
性繊維を、延伸性よく製造できる熱接着性繊維の製造方
法を提供することを技術的な課題とするものである。
題を解決するために鋭意検討した結果、加熱ローラ延伸
法で延伸される繊維に、最終延伸ローラの前でスチーム
を吹き付け、好ましくはこのスチームをローラボックス
内に導いて高い雰囲気温度にすると、高い弛緩率を付与
して巻き取ることができることを見出して本発明に到達
した。すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするもの
である。 (1) 溶融複合紡糸装置に複合紡糸口金を装着し、吐出繊
維を冷却した後、油剤を付与して引き取り、一旦巻き取
ることなく連続して延伸を行い、弛緩熱処理を行いなが
ら巻き取って、鞘成分の融点が芯成分の融点より50℃
以上低い芯鞘型熱接着性複合繊維を製造するに際し、2
段目の延伸を加熱ローラ延伸を行いながら、同時に繊維
にスチームを吹き付けながら1500m/分以上の速度
で巻き取ることを特徴とする熱接着性繊維の製造方法。 (2) 繊維に吹き付けたスチームの少なくとも一部を、内
部に前記加熱ローラを配置したローラボックス内に導く
上記(1) 記載の熱接着性繊維の製造方法。 (3) 鞘成分がテレフタル酸成分、脂肪族ラクトン成分、
エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成
分からなる共重合ポリエステル、芯成分がポリエステル
である上記(1) 又は(2) 記載の熱接着性繊維の製造方
法。 (4) 芯成分の主成分がポリエチレンテレフタレートであ
る上記(3) 記載の熱接着性繊維の製造方法。
する。まず、本発明で製造される熱接着繊維は芯鞘型の
複合繊維であり、その芯成分は、ポリエステルの中でも
寸法安定性に優れ、安価なポリエチレンテレフタレート
(以下、PETと称す。)が好ましく、また、強度が低
いと使用範囲が限られるため、極限粘度〔η〕は0.7
〜1.2程度が好ましい。
以上低いことが必要であるが、好ましい芯成分であるP
ETの寸法安定性や広範囲の用途を考慮にいれると、融
点が150〜180℃の範囲である共重合ポリエステル
が好ましく、中でもテレフタル酸成分、脂肪族ラクトン
成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオ
ール成分からなる熱安定性のよい共重合ポリエステルを
用いるのが好ましい。融点がこの範囲より低いと、芯成
分がPETの場合、芯成分であるPETに、延伸時に十
分な熱処理ができなくなるばかりでなく、熱接着した製
品の温度使用範囲が狭くなり、また、上記範囲より高い
と熱接着温度も高くなり、コスト面で不利益となるので
好ましくない。
50程度が好ましく、これよりも鞘成分が多くなると、
高価なポリマーである鞘成分が多くなるためコスト面で
不利益になるばかりでなく、繊維の強度が小さくなるの
で好ましくなく、また、鞘成分が少なくなると、接着力
が低下するため好ましくない。次に、繊維の乾熱収縮率
は、熱接着時の収縮を低くするには15%以下であるこ
とが好ましい。
融複合紡糸装置に複合紡糸口金を装着し、吐出繊維を冷
却した後、油剤を付与して引き取り、一旦巻き取ること
なく連続して延伸を行い、弛緩熱処理を行いながら巻き
取るに際し、2段目の延伸を加熱ローラ延伸を行いなが
ら、同時に繊維にスチームを吹き付けながら1500m
/分以上の速度で巻き取り、鞘成分の融点が芯成分の融
点より50℃以上低い芯鞘型熱接着性複合繊維を得るも
のである。
き付けることが好ましく、また、吹き付けられたスチー
ムの少なくとも一部、好ましくは大半がローラボックス
内に吹き込まれると、さらに効果的である。したがっ
て、スチーム処理機からローラボックスまでにスチーム
飛散防止カバー等を設置することが好ましい。
ス内の雰囲気温度を高くして高い弛緩率を得るために用
いるスチーム処理機は何ら限定されるものではないが、
繊維の進行方向に向かって角度30〜70度、2〜4個
程度のオリフィスを有するスチーム処理機を用いるのが
好ましい。
圧力等は、繊維の繊度や鞘成分の融点温度に応じて、温
度200〜300℃、圧力0.3〜0.8MPa程度で
任意に設定すればよい。
とすることが必要であるが、好ましくは2000〜30
00m/分であり、この範囲より小さいと生産性が悪く
なり、大きいと十分な弛緩率を得ることが難しくなり好
ましくない。
状は、丸断面及び異型断面のいずれでもよく、また、芯
成分あるいは鞘成分に、艶消し剤、原着剤、難燃剤等を
添加してもよい。単糸繊度は、産業資材用途に用いるた
め5〜20dtex程度が好ましい。
することができ、図1は、本発明に用いる延伸巻取り装
置の一実施態様を示す概略工程図である。図1におい
て、紡出した未延伸糸は、非加熱の第1ローラ1に複数
回掛けて引き取られ、引き続いて加熱された第2ローラ
2に複数回掛けて引き揃えられ、スチーム処理機6内を
通過してスチームを吹き付けられながら、加熱された第
3ローラ3に複数回掛けて延伸された後、加熱された第
4ローラ4に複数回掛けて弛緩熱処理が施され、目的と
する熱接着性繊維としてワインダー5で巻取られる。な
お、図中、7はローラボックス、8は雰囲気温度センサ
ー、9はスチーム飛散防止カバーである。
する。なお、実施例における各物性値は、次の方法で測
定した。 (a)PET、共重合ポリエステルの極限粘度 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒と
し、濃度0.5g/dl、温度20℃で測定した。 (b)強伸度 JISL−1013に従い、島津製作所製オートグラフ
DSSー500を用い、試料長25cm、引っ張り速度
30cm/分で測定した。 (C)乾熱収縮率 JISL−1017に従い、温度150℃、時間15分
で測定した。 (d)操業性 第4ローラ4の糸揺れの判定:操業可能は○、操業不可
能は×で評価した。融着:全単糸の分繊が可能は○、不
可能は×で評価した。 (e)ローラボックス内の雰囲気温度 排気温度をCA熱伝対で測定した。
装着し、芯成分に極限粘度〔η〕0.85のPET、鞘
成分にテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル
化反応で得られたテレフタル酸成分とエチレングリコー
ル成分とのモル比が1:1.13のPETオリゴマー
に、ε−カプロラクトンを酸成分に対して15モル%、
及び1,4−ブタンジオールをジオール成分に対して5
0モル%の割合で添加して重合された極限粘度〔η〕
0.64、Tmが160℃の共重合ポリエステルを用い
た。
比を3:1で紡出し、長さ20cm、温度300℃に加
熱された常設の加熱筒を通過させた後、長さ150c
m、温度15℃の冷却風を0.6m/秒で吹き付けて冷
却し、油剤を付与して速度421m/分の非加熱の第1
ローラに4回掛けて引き取り、引き続きDR1が1.0
2倍の速度429m/分、温度100℃の第2ローラに
5回掛けて引き揃えを行い、直径が2mmで糸道に対称
に2個配置されたオリフィスから、繊維の進行方向に向
かって45度の角度で温度210℃、圧力0.5Mpa
のスチームを吹き出すスチーム処理機内を通過させてD
R2が4.8倍の速度2061m/分、温度140℃の
第3ローラに6回掛けて延伸熱処理を行い、その後、D
R3が0.98倍の速度2020m/分、温度120℃
の第4ローラに6回掛けて弛緩熱処理を行い、DR4が
0.99倍の速度2000m/分のワインダーで巻き取
り、550dtex/48フィラメントの熱接着性繊維
を得た。
DR1、DR2、DR4は実施例1と同様の延伸倍率に
して2000m/分のワインダーに巻き取った。なお、
実施例1、2において、延伸以降の工程は、スチーム飛
散防止カバー9を設けない以外は図1に示す装置を用い
て実施した。
にした以外は実施例1と同様にして行った。
にした以外は実施例2と同様にして行った。
た以外は、実施例1と同様に行った。
て行った。
様に行った。
様に行った。
同様に行った。実施例1〜4、比較例1〜5で得られた
繊維の強度、切断伸度と乾熱収縮率及び操業性の評価結
果を表1に示す。
は、第3ローラボックスの雰囲気温度が高くなり、弛緩
率を高くして巻き取ることが可能で、得られた繊維は強
度、切断伸度及び乾熱収縮率も満足する値を有してい
た。
弛緩率を高くすることができないため、繊維の乾熱収縮
率が高くなった。また、比較例3〜4は第3ローラの温
度を高くしたが、雰囲気温度が低く、弛緩率の向上及び
乾熱収縮率の低下には殆ど効果がなかった。次に、比較
例5は、第3ローラ温度を155℃と高温にし過ぎたた
め繊維が融着を起こし、繊維の強度も劣っていた。
ーラ延伸を行いながら、同時に繊維にスチームを吹き付
けながら、好ましくはこのスチームをローラボックス内
に導いて高い雰囲気温度にするので、高い弛緩率を付与
して巻き取ることが可能となり、このため、高強度で、
熱接着時の寸法変化の小さい低収縮性の熱接着性繊維
を、延伸性よく得ることができる。
巻き取り装置の一実施態様を示す概略工程図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 溶融複合紡糸装置に複合紡糸口金を装着
し、吐出繊維を冷却した後、油剤を付与して引き取り、
一旦巻き取ることなく連続して延伸を行い、弛緩熱処理
を行いながら巻き取って、鞘成分の融点が芯成分の融点
より50℃以上低い芯鞘型熱接着性複合繊維を製造する
に際し、2段目の延伸を加熱ローラ延伸を行いながら、
同時に繊維にスチームを吹き付けながら1500m/分
以上の速度で巻き取ることを特徴とする熱接着性繊維の
製造方法。 - 【請求項2】 繊維に吹き付けたスチームの少なくとも
一部を、内部に前記加熱ローラを配置したローラボック
ス内に導く請求項1記載の熱接着性繊維の製造方法。 - 【請求項3】 鞘成分がテレフタル酸成分、脂肪族ラク
トン成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタン
ジオール成分からなる共重合ポリエステル、芯成分がポ
リエステルである請求項1又は2記載の熱接着性繊維の
製造方法。 - 【請求項4】 芯成分の主成分がポリエチレンテレフタ
レートである請求項3記載の熱接着性繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2000383753A JP4596636B2 (ja) | 2000-12-18 | 2000-12-18 | 熱接着性繊維の製造方法 |
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JP4596636B2 JP4596636B2 (ja) | 2010-12-08 |
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JP (1) | JP4596636B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109837633A (zh) * | 2019-03-18 | 2019-06-04 | 张家港欣欣高纤股份有限公司 | 一种聚酯纤维的热定型装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH06207312A (ja) * | 1993-01-08 | 1994-07-26 | Unitika Ltd | 高強度ポリエステル繊維の製造法 |
JPH11217731A (ja) * | 1998-01-27 | 1999-08-10 | Nippon Ester Co Ltd | 熱接着性複合繊維とその製造方法 |
JPH11302934A (ja) * | 1998-04-20 | 1999-11-02 | Unitika Ltd | 糸条熱処理装置 |
-
2000
- 2000-12-18 JP JP2000383753A patent/JP4596636B2/ja not_active Expired - Lifetime
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CN109837633B (zh) * | 2019-03-18 | 2021-07-20 | 张家港欣欣高纤股份有限公司 | 一种聚酯纤维的热定型装置 |
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