JP2002179900A - 電磁波シールド用熱可塑性樹脂組成物及び電磁波シールド性物品 - Google Patents

電磁波シールド用熱可塑性樹脂組成物及び電磁波シールド性物品

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JP2002179900A
JP2002179900A JP2000379220A JP2000379220A JP2002179900A JP 2002179900 A JP2002179900 A JP 2002179900A JP 2000379220 A JP2000379220 A JP 2000379220A JP 2000379220 A JP2000379220 A JP 2000379220A JP 2002179900 A JP2002179900 A JP 2002179900A
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JP
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electromagnetic wave
resin
wave shielding
resin composition
weight
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JP2000379220A
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Junichiro Hayashi
潤一郎 林
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 引張強度、圧縮強度、衝撃強度、耐熱性、耐
寒性、耐磨耗性、耐クリープ性等に優れ、かつ電磁波シ
ールド性、非ハロゲン難燃性、外観等がすぐれた電子機
器のハウジング等の電磁波シールド物品を成形すること
ができ、かつ成形加工時には、流動性が良好な樹脂組成
物及びそれを用いて作った電磁波シールド物品の提供。 【解決手段】 金属長繊維を束ねた表面に合成樹脂層を
被覆形成一体化してペレット状に切断してなるマスター
ペレット(A)と、ポリカ−ボネ−ト系樹脂(a)およ
びゴム変性ポリスチレン系樹脂(b)からなる樹脂成分
に有機燐化合物(c)を加えてなる樹脂ペレット(B)
とからなる熱可塑性樹脂組成物であって、樹脂成分中の
(a)と(b)の混合比(重量%)は、40〜95:6
0〜5であり、かつ(c)の配合割合は、樹脂成分10
0重量部に対して1〜40重量部であることを特徴とす
る電磁波シールド用熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁波シールド用
熱可塑性樹脂組成物及び電磁波シールド性物品に関し、
さらに詳しくは、電磁波シールド性、流動性、外観およ
び難燃性に優れた電磁波シールド用熱可塑性樹脂組成物
及びそれを成形してなる電磁波シールド性物品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高度情報化社会を支える電気通信機器の
発展は、目覚しく、多機能化やデジタル化が急速に進
み、通信や電子機器の制御に電磁波を利用する電子機器
が急増している。また、情報端末や携帯電話の普及によ
り、日常生活においても電磁波と接する頻度が著しく多
くなり、電磁波障害による機器の誤動作や人体への悪影
響等の問題が懸念されている。金属は電磁波が入り込ま
ないため、電磁波をシールドすることのできる材料とし
てよく知られている。一方、絶縁体であるプラスチック
は電磁波に対して“透明”であり、このためにEMI
(Electro Magnetic Interfe
rence,電磁波障害)が問題視されている。この問
題点を解決するには、絶縁性のプラスチックに導電性を
持たせることである。従来、電磁波遮蔽用樹脂として、
熱可塑性樹脂に炭素繊維あるいは金属繊維等いわゆる導
電性フィラーを単独または併用して配合したものが提
案、或いは使用されている。
【0003】しかし、一般に満足いくシールド効果を得
るためには、これらフィラーを大量に配合する必要があ
り、その結果、樹脂の流動性は著しく低下し、またフィ
ラーが分散不良を起こしたり、表面上に析出して外観が
悪化するという問題がある。言い換えれば、導電性フィ
ラーの配合が少なく、樹脂との混合が均一であり、流動
性を低下させることのない樹脂組成物が得られていない
のが現状である。一方、OA機器や家電製品等の用途を
中心に、使用する合成樹脂材料には難燃性が必要であ
り、外添難燃剤としては、臭素または塩素系のハロゲン
系難燃剤が汎用されている。このような難燃剤は、難燃
化の効果は比較的大きいが、加工時あるいは燃焼時に腐
食性または有毒性のガスが発生するという欠点を有す
る。近年、環境問題に対する関心が高まるなか、これら
の欠点を解決する方法として、臭素や塩素系のハロゲン
化合物を使用しない難燃性樹脂の開発が望まれている。
【0004】また、電子機器のハウジングを形成する樹
脂としては、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合
体、超低密度エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体、ポリアミド、ポリアセター
ル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテ
ル、ポリメチルメタアクリレート、ポリエーテルイミド
等が提案されるが、これらの樹脂に、導電性フィラーと
難燃剤を配合すれば、上記の問題が解決された導電性シ
ールド用樹脂組成物が得られるものではない。例えば、
高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖
状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体、超低密度
エチレン−α−オレフィン共重合体等では、耐熱性に劣
り、また非常に燃焼し易いポリマーであるので大量に難
燃剤を配合する必要があり、その場合には機械的強度、
低温特性が悪くなり望ましくない。ポリプロピレンは、
軽量で耐熱性はあるものの、熱変形が大きく導電性フィ
ラー同志の接触が弱まって導電性が低下し、電磁波遮蔽
効果も低下しやすくなり、またポリエチレンと同様に非
常に燃焼し易いポリマーであるので難燃剤の配合につい
ては同様な問題点がある。
【0005】ポリ塩化ビニルは、難燃性については、問
題ないが、燃焼させるとき、腐食性または有毒性のガス
を発生させるので環境問題があり、また低温特性も劣
る。ポリスチレンは、耐衝撃性、低温脆化性等に問題が
ある。アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミ
ド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフ
ェニレンエーテル、ポリメチルメタアクリレート、ポリ
エーテルイミド等のエンジニアリングプラスチックは、
機械的特性、耐熱性、寸法安定性、電気的特性において
優れているが、難燃性、成形加工性等において劣り、難
燃性を良くするために難燃剤を配合すると、さらに成形
加工性、機械的特性、耐低温脆化性等が悪化するという
問題があった。
【0006】また、電子機器の電磁波シールド物品とし
ては、具体的に例を挙げれば、パソコン、プリンター、
スキャナー、スイッチ、テレビ、プラズマディスプレ
ー、PHS、PDA、携帯電話、洗濯機、冷蔵庫、皿洗
い機、複写機、電子レンジ、自動車部材(ガソリン自動
車、デイーゼルエンジン車、ハイブリット車、電気自動
車、水素自動車、天然ガス自動車等)、電車部材、医療
機器等のハウジング、内部・外部部品等であるから、引
張強度、圧縮強度、衝撃強度、耐熱性、耐寒性、耐磨耗
性、耐クリープ性等に優れた性質を持つことが必要条件
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような現状に鑑み、引張強度、圧縮強度、衝撃強度、耐
熱性、耐寒性、耐磨耗性、耐クリープ性等に優れ、かつ
電磁波シールド性、非ハロゲン難燃性、外観等がすぐれ
た電子機器のハウジング等の電磁波シールド物品を成形
することができ、かつ成形加工時には、流動性が良好な
電磁波シールド用熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いて
作った電磁波シールド性物品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネー
ト系樹脂が電子機器のハウジングとしてすぐれた性質を
有することを見いだしこれを採用し、ゴム変性ポリスチ
レン系樹脂、有機燐化合物、及びステンレス長繊維を束
ねた表面に樹脂成分で被覆形成一体化してペレット状に
切断してなるマスターペレットの配合により、機械的強
度、電磁波シールド性、流動性、外観、さらには難燃性
に優れた樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
金属長繊維を束ねた表面に合成樹脂層を被覆形成一体化
してペレット状に切断してなるマスターペレット(A)
と、ポリカ−ボネ−ト系樹脂(a)およびゴム変性ポリ
スチレン系樹脂(b)からなる樹脂成分に有機燐化合物
(c)を加えてなる樹脂ペレット(B)とからなる熱可
塑性樹脂組成物であって、樹脂成分中の(a)と(b)
の混合比(重量%)は、40〜95:60〜5であり、
かつ(c)の配合割合は、樹脂成分100重量部に対し
て1〜40重量部であることを特徴とする電磁波シール
ド用熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0010】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、金属長繊維の配合量が、マスターペレ
ット(A)と樹脂ペレット(B)との合計量を100重
量%とするときに、2〜15重量%であることを特徴と
する電磁波シールド用熱可塑性樹脂組成物が提供され
る。
【0011】さらに、本発明の第3の発明によれば、第
1又は第2の発明において、金属長繊維を束ねた表面に
被覆する合成樹脂が、樹脂ペレット(B)に用いられる
樹脂成分と同一であることを特徴とする電磁波シールド
用熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0012】さらに、本発明の第4の発明によれば、第
1〜第3のいずれかの発明において、金属長繊維の金属
が、ステンレス、黄銅、アルミニウムまたはニッケルで
あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
電磁波シールド用熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0013】さらに、本発明の第5の発明によれば、第
1〜第4のいずれかの発明において、有機燐化合物
(c)が、トリフェニルホスフェートあることを特徴と
する電磁波シールド用熱可塑性樹脂組成物が提供され
る。
【0014】さらに、本発明の第6の発明によれば、第
1〜第6のいずれかの発明により得られる電磁波シール
ド用熱可塑性樹脂組成物を成形してなる電磁波シールド
性物品が提供される。
【0015】
【発明の実施の態様】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0016】1.マスターペレット(A) 本発明で用いるマスターペレット(A)は、長繊維状金
属繊維を1000〜15000本程度に束ねた表面を所
定の溶融された合成樹脂層で被覆成形一体化した後、4
〜15mm程度の長さになるよう繊維方向に直角に切断
してペレット化することにより製造される。
【0017】その際、金属繊維の素材としては、ステン
レス繊維、黄銅繊維、アルミニウム繊維、ニッケル繊維
等が用いられるが、これらのうち、ステンレス繊維が電
磁波シールド性の面から特に好ましい。また、金属繊維
のサイズとしては、特に限定されないが、通常は5〜2
0μm、好ましくは5〜15μm、より好ましくは5〜
10μmであることが望ましい。
【0018】さらに、束ねる本数は、好ましくは200
0〜12000本、より好ましくは3000〜1000
0本、束ねた後の繊維径は1〜5mm、繊維長さは、4
〜20mm、好ましくは4〜15mmであることが望ま
しい。
【0019】一方、マスターペレット(A)の樹脂成分
は、特に限定されないが、樹脂ペレット(B)に用いら
れる樹脂成分と同一の成分であることが望ましい。
【0020】2.ポリカーボネート系樹脂(a) 本発明の(a)成分であるポリカーボネート系樹脂と
は、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法ま
たは溶融法で反応させて製造したものである。好ましい
2価フェノ−ルの代表的な例を挙げると、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノ
−ルA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホンなどが挙げられる。特に好まし
い2価フェノ−ルはビス(4−ヒドロキシフェニル)ア
ルカン系、特にビスフェノ−ルAを主原料とするもので
ある。また、好ましいカーボネート前駆体としては、カ
ルボニルハライド、カルボニルエステルまたはハロホル
メートなどが挙げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニ
ルカーボネート、2価フェノールのジハロホルメート及
びそれらの混合物が例示できる。ポリカーボネート樹脂
の製造には、上記2価フェノールの1種以上を使用する
ことができ、このようにして得られたポリカーボネート
樹脂の2種以上を混合して使用してもよい。
【0021】本発明の(a)成分であるポリカーボネー
ト系樹脂は、引張強度、圧縮強度、衝撃強度、耐熱性、
耐寒性、耐磨耗性、耐クリープ性、耐傷付き性、自己消
火性、透明性、着色性、光沢性等において優れており、
電子機器のハウジング用材としては、適性があるが、成
形加工時における流動性が悪いので、電磁波シールド性
で、かつ難燃性のハウジング用としての素材として採用
されたことはなかったが、本発明において初めて用いら
れた。
【0022】3.ゴム変性ポリスチレン系樹脂(b) 本発明の(b)成分であるゴム変性ポリスチレン系樹脂
とは、ビニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中に
ゴム状重合体が粒子状に分散してなる重合体であり、ゴ
ム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体を加えて単量
体混合物を公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、
または乳化重合することにより得られる。ゴム状重合体
の例としては、低シス型のポリブタジエン、高シス型の
ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体が挙げ
られ、これらは市販されているものを使用することがで
き、また、2種以上併用してもよい。芳香族ビニル単量
体としては、スチレンのほか、o−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメ
チルスチレン、p−ターシャリーブチルスチレン等の核
アルキルスチレン、α−メチルスチレン等のα−アルキ
ル置換スチレン等が用いられ、これらの単量体を単独又
は2種以上用いることができる。
【0023】本発明の(b)成分であるゴム変性ポリス
チレン系樹脂は、本発明において樹脂組成物を構成する
成形加工時において流動性の悪い、ポリカーボネート系
樹脂及びステンレス長繊維マスターペレットの流動性を
改良する機能がある。
【0024】4.樹脂成分 本発明において、樹脂成分とは、(a)ポリカ−ボネ−
ト系樹脂30〜95重量%、及び(b)ゴム変性ポリス
チレン系樹脂5〜70重量%からなる樹脂成分100重
量部を意味する。樹脂成分100重量部中で、ポリカ−
ボネ−ト系樹脂(a)が、30重量%未満であると、ポ
リカ−ボネ−ト系樹脂の特徴である引張強度、圧縮強
度、衝撃強度、耐熱性、耐寒性、耐磨耗性、耐クリープ
性、耐傷付き性、自己消火性、透明性、着色性、光沢性
等が発現しなく、特に本発明の樹脂組成物の難燃性が不
十分となり望ましくなく、95重量%を超えると、特に
本発明の樹脂組成物の流動性が悪化し望ましくない。樹
脂成分100重量部中で、ゴム変性ポリスチレン系樹脂
が、5重量%未満であると、本発明の樹脂組成物の流動
性、耐衝撃性が悪化し望ましくなく、70重量%を超え
ると、ポリカ−ボネ−ト系樹脂(a)が、30重量%未
満となるので、上記した問題が生ずる。
【0025】5.有機燐化合物(c) 本発明の(c)成分である有機燐化合物とは、燐原子を
有する有機化合物であれば特に制限はない。好ましくは
燐原子に直接結合するエステル性酸素原子を1つ以上有
する有機燐化合物が用いられる。このものは、本発明の
電磁波シールド性ポリカーボネート系樹脂組成物に添加
して難燃性を付与すると共に耐衝撃性及び流動性を向上
させる効果を有している。有機燐化合物は、ハロゲン系
難燃剤とは異なり、燃焼時に腐食性または有毒性のガス
を発生させることなく、無機水酸化化合物の様に大量に
配合しなくとも少量で難燃性を発現させるので、樹脂組
成物の引張強度、圧縮強度、衝撃強度、耐熱性、耐寒
性、耐磨耗性、耐クリープ性、耐傷付き性、透明性、着
色性、光沢性等を阻害することはない。
【0026】本発明で使用できる有機燐化合物として
は、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシ
ル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、
トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェー
ト、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフ
ェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェー
ト、トリス(o−フェニルフェニル)ホスフェート、ト
リス(p−フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフ
チルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、
キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−
エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェ
ニル)フェニルホスフェート、o−フェニルフェニルジ
クレジルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブ
チルホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェ
ート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイル
オキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイ
ルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2
−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル
−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート等の正
燐酸エステル及びこれらの縮合物が挙げられる。これら
の中で特に好ましくは、トリフェニルホスフェートであ
る。また、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフ
ェニルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、
ジブチルハイドロジエンホスファイト等の亜燐酸エステ
ル及びこれらの縮合物も本発明に使用できる有機燐化合
物として挙げられる。また、これら以外の有機燐化合物
としては、トリフェニルホスフィンオキシド、トリクレ
ジルホスフィンオキシド、メタンホスホン酸ジフェニ
ル、フェニルホスホン酸ジエチル等が例示できる。これ
ら有機燐化合物は1種のみ用いても良いし、2種以上組
み合わせて用いることも可能である。
【0027】6.樹脂ペレット成分(B) 本発明において、樹脂ペレット成分(B)とは、(a)
ポリカ−ボネ−ト系樹脂40〜95重量%、及び(b)
ゴム変性ポリスチレン系樹脂5〜60重量%からなる樹
脂成分100重量部に、(c)有機燐化合物1〜40重
量部を加えてなるものである。(a)、(b)及び
(c)の各成分は、それぞれがペレット及び/又は粉
末、若しくはマスターバッチとして準備され、それらを
単にドライブレンドしたもの、又はそれらをバンバリー
ミキサー、押出機等を使用して、加熱混練してペレット
状にしたものであってもよい。
【0028】本発明において、有機燐化合物(c)の配
合量が、(a)ポリカ−ボネ−ト系樹脂40〜95重量
%、及び(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂5〜60重
量%からなる樹脂成分100重量部に対して、1重量部
未満であると、本発明の電磁波シールド性ポリカーボネ
ート系樹脂組成物の難燃性及び流動性が不十分となり、
40重量部を超えると、本発明の電磁波シールド性ポリ
カーボネート系樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性、電気特
性等を悪化させ望ましくない。
【0029】7.電磁波シールド性ポリカーボネート系
樹脂組成物 本発明の電磁波シールド性ポリカーボネート系樹脂組成
物は、(a)ポリカ−ボネ−ト系樹脂40〜95重量
%、及び(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂5〜60重
量%からなる樹脂成分100重量部に、(c)有機燐化
合物1〜40重量部を加えてなる樹脂ペレット(B)1
00重量部、並びに金属長繊維を束ねた表面に合成樹脂
層を被覆形成一体化してペレット状に切断してなるマス
ターペレット(A)を、樹脂ペレット(B)とマスター
ペレット(A)の合計をもって100重量%とするとき
に、ステンレス長繊維の配合量が2〜15重量%となる
ように混合して作られたものである。ステンレス長繊維
の配合量が2重量%未満では電磁波シールド効果を得ら
れず、また、12重量%を超えると流動性が悪化し好ま
しくない。
【0030】本発明の電磁波シールド性ポリカーボネー
ト系樹脂組成物の製造には、公知の手段を適用すること
ができる。例えば、所定量の各成分を、ヘンシェルミキ
サー、タンブラーブレンダー、ニーダー等の混合機で予
備混合した後、押出機で混練したり、あるいは加熱ロー
ル、バンバリーミキサーで溶融混練した後、ペレット化
または粉砕処理することによって製造することができ
る。尚、その際必要に応じて、ポリカーボネート系樹脂
やゴム変性ポリスチレン系樹脂に各種添加剤、例えば充
填剤、滑剤、補強剤、安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収
剤、可塑剤、帯電防止剤、色相改良剤等を添加してもよ
い。
【0031】本発明の電磁波シールド性ポリカーボネー
ト系樹脂組成物は、電磁波シールド効果、流動性、成形
加工性、さらに非ハロゲンで難燃性に優れ、OA機器、
通信機器、家電製品等の電気製品、自動車部材(ガソリ
ン自動車、デイーゼルエンジン車、ハイブリット車、電
気自動車、水素自動車、天然ガス自動車等)、電車部
材、船舶部材、飛行機部材、ロケット部材、人工衛星部
材、ゲーム機部材、医療機器等に好適に利用できる。具
体的に例を挙げれば、パソコン、プリンター、スキャナ
ー、スイッチ、テレビ、ビデオテープレコーダー、カセ
ットレコーダー、CD、MD、DVD、プラズマディス
プレー、PHS、PDA、携帯電話、洗濯機、冷蔵庫、
皿洗い機、複写機、電子レンジ、家庭用ゲーム機等のハ
ウジング、シャーシ及び内部・外部部品等として好適に
使用できる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例、比較例では、下記の参考例に示す試料を用
いた。 ポリカーボネート系樹脂:帝人化成(株)製:パンラ
イトL−1225WP ゴム変性ポリスチレン樹脂 以下の合成例にしたがって得られたものを使用した。ス
チレンモノマー90重量部、ポリブタジエンゴム(日本
ゼオン(株)製:BR1220SG)10重量部を溶解
した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン10
重量部とジターシャリーブチルパーオキサイド(DTB
PO)0.015重量部を添加して溶解した原料液を完
全攪拌混合槽型予熱器に連続的に供給し100℃まで予
熱した後、引き続き攪拌機付き塔型プラグフロー反応器
である第一反応器に連続的に投入して重合した。第一反
応器内の重合温度は、100〜115℃の範囲で流れ方
向に沿って温度が高くなるような温度勾配が生じるよう
に調節した。 有機燐化合物 トリフェニルホスフェート[大八化学工業(株)製、T
PP] ステンレス長繊維マスターペレット 直径約8μmのステンレス長繊維を6000本束ねて、
成形材料と同成分の樹脂をマスターペレット中のステン
レスの充填量が50重量%となるように薄く被覆形成一
体化して直径約2mmとし、長さ12mmにカッティン
グしたものをマスターペレットとした。 炭素繊維 炭素繊維;ベスファイト HTA-C6-NR 直径7μ
m,繊維長6mm
【0033】実験方法 表1に示したように、各実施例及び各比較例比較におい
て、上記したポリカーボネート系樹脂、ゴム変性ポリス
チレン樹脂及び有機燐化合物を所定量を計量しタンブラ
ーブレンダーで混合後、押出機にて溶融混練しペレット
状の樹脂組成物を得た。次に表1に示す配合割合となる
ようにステンレス長繊維のマスターペレットと機械的に
混合し、射出成形機(シリンダー温度240℃、金型温
度60℃)にて電磁波シールド特性評価用に120mm
×120mm×2mmtの板状成形品を得た。電磁波シ
ールド測定については、ELECTRO−MAGNET
IC SHIELDING CHARACTERIST
IC TESTER MA8602B(KEC法)を使
用して測定した。なお、比較例4では、ステンレス長繊
維のマスターペレットに代えて、炭素繊維を所定量用い
た。上記樹脂組成物に炭素繊維を表1に示した配合組成
および配合割合(重量部)で機械的に混合し、押出機に
て溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物を得た。射出成
形機(シリンダー温度240℃、金型温度60℃)にて
電磁波シールド特性評価用に120mm×120mm×
2mmtの板状成形品を得た。以下に、各実施例及び各
比較例について、その組成及び効果について、さらに詳
細に説明する。
【0034】実施例1 実施例1では、各成分の配合量は、請求項の数値範囲内
であるので、ポリカーボネート樹脂の優れた特性である
引張強度、圧縮強度、衝撃強度、耐熱性、耐寒性、耐磨
耗性、耐クリープ性、耐傷付き性、自己消火性、透明
性、着色性、光沢性等を維持しており、その欠点である
成形加工時における流動性の悪さを、ゴム変性ポリスチ
レン樹脂、有機燐化合物の配合により、またステンレス
長繊維の量を少なくしかつマスターペレット化すること
により解決をはかっている。ゴム変性ポリスチレン樹脂
の配合は、また本発明の電磁波シールド物品の耐衝撃性
を改良する効果がある。トリフェニルホスフェートの配
合は、本発明の電磁波シールド物品に難燃性を付与し、
かつ成形加工時における流動性を良くしている。ステン
レス長繊維マスターペレットは少量配合であるので、本
発明の電磁波シールド物品の成形加工時における流動性
を悪化させることがなく、また少量配合にも拘わらず電
磁波シールド物品に十分な電磁波シールドと機械的特性
を付与する効果がある。
【0035】実施例2 実施例2は、実施例1においてステンレス長繊維マスタ
ーペレットの配合量をさらに少量にした以外は実施例1
と同様な実験を行ったものであるが、ステンレス長繊維
の配合量が非常に少ないにも拘わらず、本発明の電磁波
シールド物品は、電磁波シールド性が十分あることを示
している。
【0036】比較例1 比較例1は、実施例2においてステンレス長繊維マスタ
ーペレットの配合量をさらに少量にし、樹脂ペレット
(B)とマスターペレット(A)の合計をもって100
重量%とするときに、ステンレス長繊維の配合量が1重
量%となるように混合した以外は実施例2と同様な実験
を行ったものであるが、ステンレス長繊維の配合量が請
求項1に示す下限数値である2重量%未満であるので、
電磁波シールド性は不十分であることを示している。
【0037】比較例2 比較例2は、実施例1においてステンレス長繊維マスタ
ーペレットの配合量をさらに大量にし、樹脂ペレット
(B)とマスターペレット(A)の合計をもって100
重量%とするときに、ステンレス長繊維の配合量が16
重量%となるように混合した以外は実施例1と同様な実
験を行ったものであるが、ステンレス長繊維の配合量が
請求項1に示す上限数値である15重量%を超えている
ので、樹脂組成物の流動性がわるく、電磁波シールド性
物品を成形加工ができなかった。
【0038】比較例3 比較例3は、実施例1においてトリフェニルホスフェー
トの配合量を0とした以外は実施例1とほぼ同様な実験
を行ったものであるが、トリフェニルホスフェートの配
合量が0であるので、樹脂組成物の流動性がわるく、電
磁波シールド性物品の成形加工性が悪く、本発明の電磁
波シールド物品の難燃性も不十分であることを示してい
る。
【0039】比較例4 比較例4は、実施例1においてステンレス長繊維マスタ
ーペレットに代えて、炭素繊維を28重量部配合した以
外は実施例1と同様な実験を行ったものであるが、得ら
れた電磁波シールド性物品の電界シールド性は、十分で
あったが、磁界シールド性は不十分であり、外観が黒く
なり、成形加工時における流動性も悪かった。
【0040】比較例5 比較例5は、実施例1においてポリカーボネート系樹脂
の配合量を30重量部に、ゴム変性ポリスチレン樹脂ス
テンレスの配合量を70重量部に代えた以外は実施例1
と同様な実験を行ったものであるが、得られた電磁波シ
ールド性物品の難燃性は不十分であった。
【0041】比較例6 比較例6は、比較例5においてトリフェニルホスフェー
トの配合量を20重量部に代えた以外は比較例5とほぼ
同様な実験を行ったものであるが、得られた電磁波シー
ルド性物品の難燃性は、難燃剤が10重量部増加された
にも拘わらず不十分であった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明の電磁波シールド性ポリカーボネ
ート系樹脂組成物は、成形加工時における流動性にすぐ
れ、それより得られた電磁波シールド性物品は、電磁波
シールド性、難燃性、引張強度、圧縮強度、衝撃強度、
耐熱性、耐寒性、耐磨耗性、耐クリープ性、耐傷付き
性、自己消火性、透明性、着色性、光沢性、外観等にお
いてすぐれ、それを焼却炉で燃焼させた場合でも腐食性
で有毒性のガスを発生させることがなく、環境問題の解
決に役立つことができる効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/04 C08L 51/04 H05K 9/00 H05K 9/00 X Fターム(参考) 4F070 AA18 AA50 AB08 AB11 AC06 AD02 AE05 AE06 AE21 FA14 FA15 FB03 4F072 AA02 AB11 AC08 AD05 AD41 AD52 AE10 AG04 AK04 AL11 4J002 BN14X CG01W CG02W CG03W EW047 EW067 FA046 FB266 GQ00 5E321 BB33 BB34 GG05 GH10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属長繊維を束ねた表面に合成樹脂層を
    被覆形成一体化してペレット状に切断してなるマスター
    ペレット(A)と、ポリカ−ボネ−ト系樹脂(a)およ
    びゴム変性ポリスチレン系樹脂(b)からなる樹脂成分
    に有機燐化合物(c)を加えてなる樹脂ペレット(B)
    とからなる熱可塑性樹脂組成物であって、樹脂成分中の
    (a)と(b)の混合比(重量%)は、40〜95:6
    0〜5であり、かつ(c)の配合割合は、樹脂成分10
    0重量部に対して1〜40重量部であることを特徴とす
    る電磁波シールド用熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 金属長繊維の配合量が、マスターペレッ
    ト(A)と樹脂ペレット(B)との合計量を100重量
    %とするときに、2〜15重量%であることを特徴とす
    る請求項1に記載の電磁波シールド用熱可塑性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 金属長繊維を束ねた表面に被覆する合成
    樹脂が、樹脂ペレット(B)に用いられる樹脂成分と同
    一であることを特徴とする請求項1記載の電磁波シール
    ド用熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 金属長繊維の金属が、ステンレス、黄
    銅、アルミニウムまたはニッケルであることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波シールド用熱
    可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 有機燐化合物(c)が、トリフェニルホ
    スフェートあることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の電磁波シールド用熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の電磁波
    シールド用熱可塑性樹脂組成物を成形してなる電磁波シ
    ールド性物品。
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