JP2002176979A - セルロース結合ドメインを細胞表層に提示する形質転換酵母 - Google Patents

セルロース結合ドメインを細胞表層に提示する形質転換酵母

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JP2002176979A JP2000377562A JP2000377562A JP2002176979A JP 2002176979 A JP2002176979 A JP 2002176979A JP 2000377562 A JP2000377562 A JP 2000377562A JP 2000377562 A JP2000377562 A JP 2000377562A JP 2002176979 A JP2002176979 A JP 2002176979A
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渥夫 田中
Atsumi Ueda
充美 植田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロース結合ドメインを利用した新規な酵
母の固定化法、即ち、遺伝子工学によってセルロース結
合ドメインを細胞表層に提示し、セルロースとセルロー
ス結合ドメインとの親和性によって細胞をセルロース性
担体に固定化する方法を提供すること。 【解決手段】 セルラーゼのセルロース結合ドメインを
細胞表層に提示する形質転換酵母。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース結合ド
メインを細胞表層に提示する形質転換酵母、並びにセル
ロース性担体に固定化された該形質転換酵母に関する。
より詳細には、本発明は、セルラーゼのセルロース結合
ドメインを含む酵母用発現ベクターを酵母に導入するこ
とにより得られる、該セルロース結合ドメインを細胞表
層に発現する形質転換酵母、並びにセルロース性担体に
固定化された該形質転換酵母に関する。
【0002】
【従来の技術】生物学的活性を有するタンパク質を含む
種々の化学物質の固定化は、産業にとって重要であり、
近年種々の固定化方法が開発されてきた。しかし、これ
らの固定化方法のほとんどは固相マトリックスの化学修
飾を必要とするものである。即ち、これらの化学修飾は
マトリックスにリガンドを共有結合させることが必要で
あり、多くの場合、リガンドの活性の喪失といった問題
や、固相マトリックスを薬剤等として使用する前に、有
毒な有機化合物を除去しなければならないという問題が
あった。今日広く使用されている製品の一例としてプロ
テインA−セファロース(Sepharose)が挙げられ、例
えば、アフィニティークロマトグラフィーによるIgGの
精製、および多くの診断用途において使用されている。
【0003】また、キメラタンパク質、すなわち結合ド
メインと共に機能性ドメイン(例えば、触媒タンパク質
など)を有するタンパク質を使用する方法も知られてお
り、これはタンパク質精製法において非常に有用であ
る。例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ遺伝
子融合系は、グルタチオンS-トランスフェラーゼのC末
端に融合した興味のある遺伝子を発現するように設計さ
れている。この遺伝子を発現することによって得られる
組換えタンパク質はグルタチオン-セファロースカラム
を用いるアフィニティークロマトグラフィーによって精
製することができる。さらに、プロテインA遺伝子融合
ベクターとIgG-セファロースカラムとを組み合わせて用
いる系、β-ガラクトシダーゼ遺伝子融合ベクターとIPT
G-セファロースまたは金属キレートクロマトグラフィー
とを組み合わせて用いる系、またはヒスチジン六量体融
合ベクターとNi樹脂カラムとを組み合わせて用いる系
などが開発されている。これらの方法はすべてコストの
高い化学修飾、そして多くの場合、高毒性化合物の使用
を要する高価なマトリックス(例えば、セファロース、
アクリルビーズまたはガラスビーズ等)を使用するもの
である。上記のような高価なマトリクッスとは対照的
に、セルロースは優れた物理的特性を有し、かつ安価で
あり、したがってタンパク質の固定化のための担体とし
ては非常に魅力的である,
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、セルロース結合ドメインを利用した新規な
酵母の固定化法、即ち、遺伝子工学によってセルロース
結合ドメインを細胞表層に提示し、セルロースとセルロ
ース結合ドメインとの親和性によって細胞をセルロース
性担体に固定化する方法を提供することである。
【0005】本発明が解決しようとする別の課題は、セ
ルロース結合ドメインを細胞表層に発現及び提示させる
ことができる酵母を提供することである。本発明が解決
しようとするさらに別の課題は、セルロース結合ドメイ
ンを細胞表層に発現及び提示させることができる酵母を
セルロース性担体に固定化した固定化酵母を提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、ある一定の酵母用発
現ベクターを用いてセルロース結合ドメインをコードす
る遺伝子を酵母に形質転換することにより、該セルロー
ス結合ドメインを酵母の細胞表層に発現及び提示できる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発
明によれば以下の発明が提供される。
【0007】(1) セルラーゼのセルロース結合ドメ
インを細胞表層に提示する形質転換酵母。 (2) セルロース結合ドメインがTricoderma reesei
由来のセルラーゼのセルロース結合ドメインである、
(1)に記載の形質転換酵母。 (3) セルロース結合ドメインが下記の何れかのアミ
ノ酸配列を有する、(1)又は(2)に記載の形質転換
酵母。 (A)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列; (B)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列において
1から数個のアミノ酸が欠失、置換、付加及び/または
挿入されているアミノ酸配列であって、セルロース結合
活性を有するアミノ酸配列;又は (C)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列と60%
以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、セルロー
ス結合活性を有するアミノ酸配列。
【0008】(4) セルラーゼのセルロース結合ドメ
インをコードするDNAを有する酵母用発現ベクターを
酵母に形質転換することにより得られる、(1)から
(3)の何れかに記載の形質転換酵母。 (5) 酵母用発現ベクターが、プロモーター、分泌シ
グナル配列、セルロース結合ドメインをコードするDN
A、酵母由来のアグルチニン遺伝子又はその断片をこの
順序で5’から3’方向に含むことを特徴とする、
(4)に記載の形質転換酵母。
【0009】(6) プロモーター、分泌シグナル配
列、セルロース結合ドメインをコードするDNA、酵母
由来のアグルチニン遺伝子又はその断片をこの順序で
5’から3’方向に含む酵母用発現ベクター。 (7) セルロース結合ドメインがTricoderma reesei
由来のセルラーゼのセルロース結合ドメインである、
(6)に記載の酵母用発現ベクター。 (8) セルロース結合ドメインが下記の何れかのアミ
ノ酸配列を有する、(6)又は(7)に記載の酵母用発
現ベクター。 (A)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列; (B)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列において
1から数個のアミノ酸が欠失、置換、付加及び/または
挿入されているアミノ酸配列であって、セルロース結合
活性を有するアミノ酸配列;又は (C)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列と60%
以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、セルロー
ス結合活性を有するアミノ酸配列。
【0010】(9) (1)から(5)の何れかに記載
の形質転換酵母の作製における、(6)から(8)の何
れかに記載の酵母用発現ベクターの使用。 (10) (1)から(5)の何れかに記載の形質転換
酵母とセルロース性担体とを接触させることを含む、
(1)から(5)の何れかに記載の形質転換酵母のセル
ロース性担体への固定化方法。 (11) セルロース性担体に固定化された(1)から
(5)の何れかに記載の形質転換酵母。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施方法及び実施
態様について詳細に説明する。セルラーゼのセルロース
結合ドメインは、セルロースに対して親和性を有する。
本発明者が開発した酵母表層発現ベクターを用いること
により、セルロース結合ドメインを、酵母の細胞表層に
提示させることに今回初めて成功した。このセルロース
結合ドメインを酵母細胞の表層に提示することにより、
セルロース性担体に該酵母を固定化することが可能にな
り、セルロースに特異的に吸着する酵母細胞を提供でき
るようになる。本発明の酵母細胞は、ライブラリーの固
定や自己増殖型固定化バイオリアクター、バイオセンサ
ーなどへの応用が可能である。
【0012】上記の通り、本発明の酵母は、セルロース
結合ドメインをコードするDNAを有する酵母用発現ベ
クターを酵母に形質転換することにより得られる形質転
換酵母である。本発明の酵母は、セルロース結合ドメイ
ンを細胞表層に提示することができる。
【0013】本発明で用いる発現ベクターは、酵母由来
のアグルチニン遺伝子又はその断片を含む。アグルチニ
ン遺伝子を取得するための酵母としては、例えば、長谷
川武治編著「微生物の分類と同定」(学会出版センタ
ー、1975年)に酵母として記載されている微生物群が挙
げられる。なかでも、好適な酵母はサッカロミセス属に
属する酵母であり、例として、サッカロミセス セレビ
シエ(Saccharomyces cerevisiae)MT8−1などを挙
げることができる。酵母の詳細な性質については、Taji
ma, M. et al., Yeast 1, 67-77(1985)に記載されてい
る。
【0014】前記アグルチニンはa−アグルチニン及び
α−アグルチニンの何れであってもよい。なお、α−ア
グルチニンの分子構造は、N末端から順に、分泌シグナ
ル配列、アグルチニン活性領域、細胞表層内在領域及び
GPIアンカー(グリコシルホスファチジルイノシトー
ル)付着シグナル領域という構成を有する。
【0015】アグルチニン遺伝子領域断片は、酵母の細
胞表層に異種蛋白を発現できる部分(細胞表層内在領域
を含む部分)であればよいが、特に好ましい例として、
サッカロミセス属由来のα−アグルチニンのC末端から
320アミノ酸をコードする遺伝子配列と446塩基か
らなる3’−非翻訳領域とを含むDNA断片を挙げるこ
とができる。このDNA断片にはGPIアンカー付着シ
グナル領域が含まれている。このDNA断片は、Murai,
T. et al. Applied and Environmental Microbiology,
63, 1362-1366(1997)に記載されている該断片を含むプ
ラスミドpGA11を制限酵素により切り出すことによ
って得ることもできる。
【0016】アグルチニン遺伝子又はその断片およびセ
ルロース結合ドメインをコードするDNAを含む本発明
の発現ベクターは、通常酵母で利用する発現ベクターに
前記遺伝子を導入することにより得ることができる。上
記発現ベクターの好適な例として、例えば、pICAS
1(Murai et al., Appl.Environ. Microbiol., 64,4
857-4861(1998))、pCAS1(Murai et al., Appl.E
nviron. Microbiol.,64,4857-4861(1998))等を挙げ
ることができる。
【0017】本発明で用いる発現ベクターは通常、プロ
モーターおよび分泌シグナル配列(例えば、カビ由来の
分泌シグナル配列)を含んでいる。前記プロモーターと
しては、通常酵母での発現に利用されるプロモーターで
あれば特に限定されないが、好適な例として、サッカロ
ミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のグ
リセロアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPD
H)のプロモーター(Sawani-Hatanaka, H., T. et a
l., Biosci. Biotechnol. Biochem., 59, 1221-1228(19
95))、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropica
lis)のイソクエン酸リアーゼ(ICL)のプロモータ
ー(UPR−ICL)(Kanai et al., Appl.Microbio
l.Biotechnology, 44, 759-765 (1996))などを挙げる
ことができる。
【0018】また、前記分泌シグナル配列としては、通
常酵母での発現、分泌に利用されるシグナル領域、例え
ば、リゾプス オリザエ(Rhizopus oryzae)由来のグル
コアミラーゼ遺伝子の分泌シグナル領域を使用できる。
上記プロモーターおよび分泌シグナル配列は、既知の方
法により、例えば、既知配列を基にして作製したプライ
マーを用いて、上記微生物のゲノムDNAを鋳型にして
PCR法を行うことなどから得ることができる。
【0019】本発明においては、セルロース結合ドメイ
ンをコードするDNAを細胞表層に発現及び提示すべき
蛋白質をコードするDNAとして使用する。本明細書で
言うセルロース結合ドメインは、一般的にはセルラーゼ
のセルロース結合ドメインを意味する。セルロース結合
ドメイン(以下CBD とも称す)は、セルロース基質に対
して結合することができるアミノ酸配列を意味する。
【0020】大部分のセルラーゼは、セルロース分解活
性を有するドメインとセルロースに結合するドメイン
(即ち、セルロース結合ドメイン)を有している。これ
らのセルロース結合ドメインは、そのアミノ酸配列の相
同性より、9つのファミリー(ファミリーI 〜IX)に分
類されている(Tomme, P. et al., Adv.Microbiol. Phy
siol., 37, 1-81 (1995) )。本発明では、これらのセ
ルロース結合ドメインの中から、セルロースとの結合の
親和性や選択性などを考慮して、使用目的に応じて適当
なものを選択して使用することができる。
【0021】本発明で使用できるセルロース結合ドメイ
ンの具体例としては、Tricoderma reesei由来のセルラ
ーゼのセルロース結合ドメインが挙げられ、より具体的
にはTricoderma reesei由来のセロビオヒドロラーゼ
(CBH)I及びセロビオヒドロラーゼ(CBH)II
のセルロース結合ドメインなどが挙げられる。なお、Tr
icoderma reesei由来のセロビオヒドロラーゼ(CB
H)Iについては、M.Medre他、Biotechnol.Bioeng. (1
998) 59, 621、セロビオヒドロラーゼ(CBH)IIに
ついては、H.Okada他、Appl.Microbiol.Biotechnol. (1
998) 49, 301に記載されている。また、CBHI及びI
IのCBDについては、M.Linder他、Eur.J.Biochem.
(1999) 262, 637及びM.Linder他、J.Biol.Chem. (1996)
271, 21268に記載されている。Tricoderma reesei由来
のセロビオヒドロラーゼ(CBH)I及びセロビオヒド
ロラーゼ(CBH)IIのセルロース結合ドメインのア
ミノ酸配列を配列番号1及び配列番号2にそれぞれ記載
する。
【0022】本発明の一実施態様では、配列番号1又は
2に記載のアミノ酸配列を有するセルロース結合ドメイ
ンを使用できるが、その変異体又は相同体、即ち、配列
番号1又は2に記載のアミノ酸配列において1から数個
のアミノ酸が欠失、置換、付加及び/または挿入されて
いるアミノ酸配列であって、セルロース結合活性を有す
るアミノ酸配列;又は配列番号1又は2に記載のアミノ
酸配列と60%以上の相同性を有するアミノ酸配列であ
って、セルロース結合活性を有するアミノ酸配列を使用
することもできる。
【0023】本明細書において「1から数個のアミノ酸
が欠失、置換、付加及び/または挿入されている」と
は、例えば1〜20個、好ましくは1〜15個、より好
ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個の任意
の数のアミノ酸が欠失、置換、付加及び/または挿入さ
れていることを意味する。
【0024】本明細書において「配列番号1又は2に記
載のアミノ酸配列と60%以上の相同性を有するアミノ
酸配列」とは、配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列
と60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは
80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好まし
くは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を
有するアミノ酸配列を意味する。
【0025】本発明において上記したような配列番号1
又は2に記載のアミノ酸配列を有するセルロース結合ド
メインの変異体や相同体を使用する場合には、配列番号
1又は2に記載のアミノ酸配列をコードするDNAを用
いる代わりに、上記変異体や相同体をコードするDNA
を用いればよい。このような変異体や相同体をコードす
るDNAは、化学合成、遺伝子工学的手法、突然変異誘
発などの当業者に既知の任意の方法で作製することもで
きる。具体的には、配列番号1又は配列番号2に記載の
塩基配列を有するDNAを利用し、これらDNAに変異
を導入することにより所望のDNAを取得することがで
きる。例えば、配列番号1又は配列番号2に記載の塩基
配列を有するDNAに対し、変異原となる薬剤と接触作
用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的手
法等を用いて行うことができる。遺伝子工学的手法の一
つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変
異を導入できる手法であることから有用であり、モレキ
ュラークローニング第2版、カレント・プロトコールズ
・イン・モレキュラー・バイオロジー、Nucleic Acids
Research, 10, 6487, 1982、Nucleic Acids Research,
12, 9441, 1984、Nucleic Acids Research, 13, 4431,
1985、Nucleic Acids Research, 13, 8749,1985、Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409, 1982、Proc. Natl.
Acad. Sci.USA, 82, 488, 1985、Gene, 34, 315, 198
5、Gene, 102, 67, 1991等に記載の方法に準じて行うこ
とができる。
【0026】本発明で用いる発現ベクターの好ましい態
様では、プロモーター、分泌シグナル配列、セルロース
結合ドメインをコードするDNA、酵母由来のアグルチ
ニン遺伝子又はその断片(例えば、α−アグルチニンの
C末端断片をコードするDNA断片)をこの順序で5’
から3’方向に有している。
【0027】このような発現ベクターは、例えば、前記
したプラスミドベクターに、前記プロモーター、分泌シ
グナル配列、マルチクローニングサイト及びアグルチニ
ン遺伝子又はその断片を、この順に配列するように導入
した後、前記マルチクローニングサイトにセルロース結
合ドメインをコードするDNAを導入することにより構
築できる。このような組換え発現ベクターの構築には慣
用の組換えDNA技術を利用できる。また、本発明で用
いる発現ベクターには抗生物質耐性遺伝子などの選択マ
ーカー遺伝子が含まれていてもよい。
【0028】本発明において、上記した組換えベクター
による形質転換の対象とされる酵母としては、例えば、
長谷川武治編著「微生物の分類と同定」(学会出版セン
ター、1975年)に酵母として記載されている微生物群が
挙げられる。酵母の種類は特には限定されず、例えば、
サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属、キャンディ
ダ属、ピキア属、ハンセヌラ属などが挙げられる。本発
明では、サッカロミセス属に属する酵母を使用すること
が好ましく、好ましい具体例としては、サッカロミセス
・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などを挙げ
ることができる。酵母の詳細な性質については、Tajim
a, M. et al., Yeast 1, 67-77(1985)に記載されてい
る。
【0029】発現ベクターによる酵母の形質転換は、慣
用の手法により行うことができ、例えば、酢酸リチウム
法、電気パルス法又はプロトプラスト法等によって形質
転換体を得ることができる。形質転換体の培養方法もま
た公知であり、例えば、「M.D. Rose et al.,"Methods
In Yeast Genetics",Cold SpringHarbor LaboratoryPre
ss (1990)」等に記載されている。
【0030】本発明によれば、上記した方法で作製され
る形質転換酵母とセルロース性担体とを接触させること
を含む、形質転換酵母のセルロース性担体への固定化方
法が提供される。本発明で用いるセルロース性担体の種
類、形態等は特に限定されず、本発明の形質転換酵母を
吸着、固定化できるものであれば任意のものを使用する
ことができる。セルロース性担体は好ましくは、多孔質
材である。好ましい多孔質材としては、セルロース多孔
質材、セルロース・キチン質複合多孔質材、あるいはこ
れらに各種官能基を付与したもの(例えば、ジエチルア
ミノエステル化セルロース多孔質材、カルボキシメチル
化セルロース多孔質材、ジエチルアミノエステル化セル
ロース・キチン複合多孔質材、カルボキシメチル化セル
ロース・キチン複合多孔質材など)などを挙げることが
できる。
【0031】このような多孔質は、公知の方法により容
易に製造することができる。例えば、セルロース多孔質
材を得る場合は、ビスコースと炭酸カルシウム等の発泡
剤を混合し、ノズルより押し出し、液滴状に酸浴に落下
させて、セルロースの再生と発泡とを同時に行うことに
よって製造される。この際、ビスコースの熟成条件と酸
浴の条件を変化させることで、空孔および小孔構造の異
なる数種類の多孔質材をが得られる。通常、この空孔は
放射状になるが、発泡の状態によっては、連泡状になる
場合もある。このようにノズルより噴出して製造される
スキン層を有する多孔質材の形状は一般的に球形あるい
は偏平した球形となる。このように球形に近い形状は、
培養する際、培養槽内での多孔質材の充填率を上げるう
えで非常に好都合となる。多孔質材の粒子の径は、いか
なる径のものでも利用可能ではあるが、通常1〜10m
mである。
【0032】また、セルロース性担体としては市販品を
使用することもでき、例えば、CellSnowTM(キリン社製
の1mmのキュービック)やAvicel(フルカ社製)など
が挙げられる。CellSnowTMには細胞の付着性を向上させ
るために、細胞種や使用目的に応じた3種類(ポリエチ
レンイミンをセルロースに結合したもの;コラーゲンを
セルロースに結合したもの;細胞接着活性ペプチドであ
るRGDSをセルロースに結合したもの)の表面処理を
施したものがある。
【0033】本発明の形質転換酵母をセルロース性担体
に固定化する方法を説明する。本発明の固定化方法にお
いて、酵母の培養方法、および培養槽形式は、使用され
る酵母の種類、多孔質材の種類などを考慮して適宜選択
されるが、培養方法としては、回分式、半回分式、連続
培養式の何れでもよく任意の方法を採用できる。また、
培養槽形式としては、塔式醗酵槽(気泡塔型、噴流槽
型、ドラフトチューブ型等)、攪拌槽等の何れでもよく
任意のものを使用できる。培養条件は特に限定されるも
のではないが、一般的には温度25〜45℃、pH4〜
9、培養時間1〜14日程度で行う。また、培養は好気
的条件であっても嫌気的条件であってもよい。
【0034】酵母によって工業的に生産される有用物質
には、(1)有機酸、(2)ビタミン、(3)酵素など
の蛋白質、(4)ヒドロキシ脂肪酸など、酵母の好気的
代謝系を利用するものが数多く存在している。本発明の
形質転換酵母と固定化方法を利用して上記のような有用
物質を生産させることも可能である。以下の実施例によ
り本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によっ
て限定されることはない。
【0035】
【実施例】実施例1:真核糸状菌Tricoderma reesei由
来のセロビオヒドロラーゼ(CBH)I、又はセロビオ
ヒドロラーゼ(CBH)II、又はその両方のセルロー
ス結合ドメインを発現するプラスミドの構築 (1−1)CBHIのセルロース結合ドメイン(CBD1)発現
染色体組み込み型プラスミドpICBD1(図1)の構築 細胞表層発現用プラスミドpICAS1をSacII、XhoIで消化
する。CBHIの遺伝子を含むプラスミドpT7Blueを鋳型に
して、CBHI−CBDの部分を下記のプライマー1と2を用
いて、PCRで増幅する。 1:CBHI 5' CBD SacII : aataattccccgcgggaacccagtct
cactacggccagtgcgg(配列番号3) 2:CBHI 3' CBD XhoI : attattccgctcgagcccaggcactga
gagtagtaagggttca(配列番号4)
【0036】このPCR産物をSacII、XhoIで消化する。Sa
cII、XhoIで消化したpICAS1とSacII、XhoIで消化したC
BHI−CBDフラグメントをライゲーションする。ここでで
きたプラスミドをXhoIで消化する。次に、下記のリンカ
ー配列9と10をもつDNAをアニーリングし、できたリ
ンカーフラグメントとXhoIで消化してできたプラスミド
断片をライゲーションする。 9:Linker 5': tcgaacggtggaggttctggtggaggctctggaggtggct caggtggcggttctggcggaggttctggtggaggc(配列番号11) 10:Linker 3': tcgagcctccaccagaacctccgccagaaccgccacctga gccacctccagagcctccaccagaacctccaccgt(配列番号12)
【0037】このライゲーションでできたプラスミドを
SacIIで消化する。さらに、下記のRGS His配列の7と8
をアニーリングし、これをSacIIで消化したさきほどの
プラスミド断片にライゲーションし、CBHIのセルロース
結合ドメイン(CBD1)発現染色体組み込み型プラスミド
pICBD1を構築した(図3)。 7:RGS His 5' : gggaagaggatcccatcaccatcaccatcacgg
ttctggctcaggaggtgc(配列番号9) 8:RGS His 3' : acctcctgagccagaaccgtgatggtgatggtg
atgggatcctcttcccgc(配列番号10)
【0038】(1−2)CBHIIのセルロース結合ドメイ
ン(CBD2)発現染色体組み込み型プラスミドpICBD2細
胞表層発現用プラスミドpICAS1をSacII、XhoIで消化す
る。CBHIIの遺伝子を含むプラスミドpKFを鋳型にして、
CBHII−CBDの部分を下記プライマー4と5を用いて、PC
Rで増幅する。以下は上述と同じように操作して、最終
的に、CBHIIのセルロース結合ドメイン(CBD2)発現染
色体組み込み型プラスミドpICBD2を構築した(図
4)。 4:CBHII 5' CBD SacII : aataattccccgcgggacaagcttg
ctcaagcgtctggggccaa(配列番号6) 5:CBHII 3' CBD XhoI : attattccgctcgagccaagacactg
ggagtaatagtcgttgga(配列番号7)
【0039】(1−3)CBHIのセルロース結合ドメイン
(CBD1)発現マルチコピー型プラスミドpMCBD1の構築
(図2) マルチコピー型細胞表層発現用プラスミドpCAS1をSacI
I、XhoIで消化する。上で得たpICBD1をSacII、XhoIで
消化して、電気泳動で230bpと6300bpの断片に分
離し、230bpの方の断片を溶出し、SacII、XhoIで
消化してあったpCAS1とライゲーションして、CBHIのセ
ルロース結合ドメイン(CBD1)発現マルチコピー型プラ
スミドpMCBD1を構築した(図5)。
【0040】(1−4)CBHIIのセルロース結合ドメイ
ン(CBD2)発現マルチコピー型プラスミドpMCBD2の構築 マルチコピー型細胞表層発現用プラスミドpCAS1をSacI
I、XhoIで消化する。上で得たpICBD2をSacII、XhoIで
消化して、以下、pMCBD1の構築と同じようにして操作
し、最終的にCBHIIのセルロース結合ドメイン(CBD)発
現マルチコピー型プラスミドpMCBD2を構築した(図
6)。
【0041】(1−5)CBHIのセルロース結合ドメイン
(CBD1)とCBHIIのセルロース結合ドメイン(CBD2)の
両方同時発現マルチコピー型プラスミドpMCBD3の構築マ
ルチコピー型細胞表層発現用プラスミドpCAS1をBglI
I、XhoIで消化する。次に、CBHIの遺伝子を含むプラス
ミドpT7Blueを鋳型にして、下記のプライマー2と3を
用いて、PCRで増幅したDNA断片をBglII、XhoIで消化す
る。 2:CBHI 3' CBD XhoI : attattccgctcgagcccaggcactga
gagtagtaagggttca(配列番号4) 3:CBHI 5' CBD BglII : ggcggaagatctcctggcaccaccac
cacccgccgcccagcc(配列番号5)
【0042】pCAS1のBglII、XhoI消化断片とこの断片
をライゲーションする。この操作で得たプラスミドをSa
cII、BglIIで消化する。さらに、CBHIIの遺伝子を含む
プラスミドpKFを鋳型にして、下記のプライマ4と6を
用いて、PCRで増幅したDNA断片をSacII、BglIIで消化す
る。 4:CBHII 5' CBD SacII : aataattccccgcgggacaagcttg
ctcaagcgtctggggccaa(配列番号6) 6:CBHII 3' CBD BglII : gcttgaagatctagcgccgggaaga
cactgggagtaatag(配列番号8)
【0043】この断片を先ほどSacII、BglIIで消化して
得たプラスミド断片とライゲーションする。このプラス
ミドをXhoIで消化する。上記リンカー配列9と10(配
列番号11及び12)をもつDNAをアニーリングし、で
きたリンカーフラグメントとXhoIで消化してできたプラ
スミド断片をライゲーションする。このライゲーション
でできたプラスミドをSacIIで消化する。さらに、下記
のRGS His配列の7と8をアニーリングし、これをSacII
で消化した上記プラスミド断片にライゲーションし、CB
HIとCBHIIのセルロース結合ドメイン発現マルチコピー
型プラスミドpICBD3を構築した(図7)。 7:RGS His 5' : gggaagaggatcccatcaccatcaccatcacgg
ttctggctcaggaggtgc(配列番号9) 8:RGS His 3' : acctcctgagccagaaccgtgatggtgatggtg
atgggatcctcttcccgc(配列番号10)
【0044】実施例2:酵母Saccharomyces cerevisiae
の形質転換 (2−1)CBHIとIIのセルロース結合ドメイン発現染色
体組み込み型プラスミドpICBD1、pICBD2の場合 pICBD1、pICBD2をそれぞれXbaIでリニア−にして、金
属リチウム法で酵母Saccharomyces cerevisiaeに形質転
換した。ゲノムへの組み込みは、各ゲノムDNAを単離
後、PCRで確認した。
【0045】(2−2)CBHIのセルロース結合ドメイン
(CBD1)発現マルチコピー型プラスミドpMCBD1とCBHII
のセルロース結合ドメイン(CBD2)発現マルチコピー型
プラスミドpMCBD2、ならびに、その両方同時発現マル
チコピー型プラスミドpMCBD3の場合 pMCBD1、pMCBD2、pMCBD3をそのまま金属リチウム法
で酵母Saccharomyces cerevisiaeに形質転換した。
【0046】実施例3:抗体染色による細胞表層提示の
確認 pICBD1、pICBD2、pMCBD1、pMCBD2、pMCBD3、pICAS
1(control)、pCAS1をそれぞれ持つ株をICBD1、ICBD
2、MCBD1、MCBD2、MCBD3、ICAS1、CAS1株と命名する。
一次抗体として、RGS(His)4抗体、2次抗体として、Ale
xa FluorTM488 goat anti-mouse IgG(H+L)conjugate抗
体を使用したところ、ICBD1、ICBD2、MCBD1、MCBD2、MC
BD3株では、細胞表層に蛍光が見られたが、ICAS1、CAS1
株では見られなかった。このことから、目的どおり、CB
Dの細胞表層提示が成功した。
【0047】実施例4:CBD細胞表層提示酵母のセルロ
ース基質に対する結合性の評価 CBD細胞表層提示が確認された株MCBD1、MCBD2、MCBD3と
コントロール株CAS1を用いてセルロース基質に対する結
合性を調べた。セルロース基質としてはAvicel(PH-10
1、Fluka)を用いた。Avicelは実験に使用するための前
処理としてMilli−Q水で5回洗浄し、小さな粒子を除去
した後、乾燥機で12時間乾燥させた。実験の手順を以
下に記載する。
【0048】MCBD1、MCBD2、MCBD3、CAS1をSD−W+2%
Casamino acid 10mlで24時間培養し、A600を0.05
に合わせてSD−W+2%Casamino acid 100mlで本培養し
た。A600測定後、同じ量の酵母を集菌した。0.05M
のKPB(pH7.4)+0.05MのNaCl Bufferで酵母を
2回洗浄し、0.2gのAvicelと洗浄した酵母をスピッ
ツ管に入れ10mlにメスアップした。酵母とAvicelをRota
torで一定速度で混合させながら反応させ、反応後、ス
ピッツ管を立てて5分間静置した。5分後上清3mlをメ
ニスカスすぐ下でサンプリングし、サンプリングした3m
l(Avicelと結合していない酵母)のA600測定した。上
述操作を基本として反応条件を加えながら、それぞれの
条件による結合の変化を測定した。以下の表で括弧内の
%はAvicelに結合した酵母の割合を示す。反応させる酵
母の量による変化、培養時間による変化、反応時間によ
る変化、及び温度による変化を測定した結果をそれぞれ
以下の表1から表4に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】以上の結果より、Avicelを使った場合に
は、温度による結合への影響は少なく、培養時間、すな
わち、酵母の生育度(対数期より定常期には2倍の結合
性を示す。)による影響が大きいことが分かる。また、
Avicelの化学処理(燐酸)や酵素処理(セルラーゼ)に
より、CBDの作用点の増大化が必要である。ちなみに、A
vicelを使った場合の結合度は、ICBD1、ICBD2で約5
%、MCBD1、MCBD2で約10%、MCBD3で約25%であっ
た。
【0054】実施例5:顕微鏡観察 CBDを細胞表層に提示した酵母がセルロースに結合して
いるかどうかを調べるために顕微鏡で観察した。前処理
で小さな粒子を除いたAvicel 10mgと30℃で定常期まで
培養した株MCBD3、CAS1を4℃で12時間反応させた。反応
混合液をナイロンネットフィルター(MILLIPORE、41
μm)で3回ろ過し、セルロースに結合していない酵母
だけを除去した。フィルター上に残ったAvicelを回収し
て、顕微鏡で観察した結果、MCBD3株の場合では、Avice
lに結合している酵母を発見することができたが、コン
トロールのCAS1株の場合ではAvicelの周りに酵母はまっ
たく見られなかった。
【0055】
【発明の効果】本発明の酵母はセルラーゼのセルロース
結合ドメインを細胞表層に提示することができ、これを
利用することにより新規な酵母の固定化法を提供するこ
とが可能になった。本発明の酵母は、(1)有機酸、
(2)ビタミン、(3)酵素などの蛋白質、(4)ヒド
ロキシ脂肪酸などの有用物質を工業的に生産する固定化
バイオリアクターのために利用したり、ライブラリーの
固定に利用したり、バイオセンサーに応用することが可
能である。
【0056】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> GenCom <120> A transformed yeast capable of presenting cellulose binding domein on its cell surface <130> A01546MA <160> 12
【0057】 <210> 1 <211> 36 <212> PRT <213> Tricoderma reesei <400> 1 Thr Gln Ser His Tyr Gly Gln Cys Gly Gly Ile Gly Tyr Ser Gly Pro 5 10 15 Thr Val Cys Ala Ser Gly Thr Thr Cys Gln Val Leu Asn Pro Tyr Tyr 20 25 30 Ser Gln Cys Leu 35
【0058】 <210> 2 <211> 38 <212> PRT <213> Tricoderma reesei <400> 2 Gln Ala Cys Ser Ser Val Trp Gly Gln Cys Gly Gly Gln Asn Trp Ser 5 10 15 Gly Pro Thr Cys Cys Ala Ser Gly Ser Thr Cys Val Tyr Ser Asn Asp 20 25 30 Tyr Tyr Ser Gln Cys Leu 35
【0059】 <210> 3 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 3 aataattccc cgcgggaacc cagtctcact acggccagtg cgg 43
【0060】 <210> 4 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 4 attattccgc tcgagcccag gcactgagag tagtaagggt tca 43
【0061】 <210> 5 <211> 42 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 5 ggcggaagat ctcctggcac caccaccacc cgccgcccag cc 42
【0062】 <210> 6 <211> 44 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 6 aataattccc cgcgggacaa gcttgctcaa gcgtctgggg ccaa 44
【0063】 <210> 7 <211> 44 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 7 attattccgc tcgagccaag acactgggag taatagtcgt tgga 44
【0064】 <210> 8 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 8 gcttgaagat ctagcgccgg gaagacactg ggagtaatag 40
【0065】 <210> 9 <211> 51 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 9 gggaagagga tcccatcacc atcaccatca cggttctggc tcaggaggtg c 51
【0066】 <210> 10 <211> 51 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 10 acctcctgag ccagaaccgt gatggtgatg gtgatgggat cctcttcccg c 51
【0067】 <210> 11 <211> 75 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 11 tcgaacggtg gaggttctgg tggaggctct ggaggtggct caggtggcgg ttctggcgga 60 ggttctggtg gaggc 75
【0068】 <210> 12 <211> 75 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 12 tcgagcctcc accagaacct ccgccagaac cgccacctga gccacctcca gagcctccac 60 cagaacctcc accgt 75
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、CBHIのセルロース結合ドメイン(CBD
1)発現染色体組み込み型プラスミドpICBD1の構築を示
す図である。
【図2】図2は、CBHIのセルロース結合ドメイン(CBD
1)発現マルチコピー型プラスミドpMCBD1の構築を示す
図である。
【図3】図3は、CBHIのセルロース結合ドメイン(CBD
1)発現染色体組み込み型プラスミドpICBD1の構造を示
す図である。
【図4】図4は、CBHIIのセルロース結合ドメイン(CBD
2)発現染色体組み込み型プラスミドpICBD2の構造を示
す図である。
【図5】図5は、CBHIのセルロース結合ドメイン(CBD
1)発現マルチコピー型プラスミドpMCBD1の構造
を示す図である。
【図6】図6は、CBHIIのセルロース結合ドメイン(CBD
2)発現マルチコピー型プラスミドpMCBD2の構造を示す
図である。
【図7】図7は、CBHIとCBHIIのセルロース結合ドメイ
ン発現マルチコピー型プラスミドpICBD3の構造を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA03 BA12 CA04 DA12 EA04 GA11 4B033 NA01 NA14 NB12 NB45 NC02 ND02 4B065 AA70Y AA80X AB01 BA01 BC42

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルラーゼのセルロース結合ドメインを
    細胞表層に提示する形質転換酵母。
  2. 【請求項2】 セルロース結合ドメインがTricoderma r
    eesei由来のセルラーゼのセルロース結合ドメインであ
    る、請求項1に記載の形質転換酵母。
  3. 【請求項3】 セルロース結合ドメインが下記の何れか
    のアミノ酸配列を有する、請求項1又は2に記載の形質
    転換酵母。 (A)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列; (B)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列において
    1から数個のアミノ酸が欠失、置換、付加及び/または
    挿入されているアミノ酸配列であって、セルロース結合
    活性を有するアミノ酸配列;又は (C)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列と60%
    以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、セルロー
    ス結合活性を有するアミノ酸配列。
  4. 【請求項4】 セルラーゼのセルロース結合ドメインを
    コードするDNAを有する酵母用発現ベクターを酵母に
    形質転換することにより得られる、請求項1から3の何
    れかに記載の形質転換酵母。
  5. 【請求項5】 酵母用発現ベクターが、プロモーター、
    分泌シグナル配列、セルロース結合ドメインをコードす
    るDNA、酵母由来のアグルチニン遺伝子又はその断片
    をこの順序で5’から3’方向に含むことを特徴とす
    る、請求項4に記載の形質転換酵母。
  6. 【請求項6】 プロモーター、分泌シグナル配列、セル
    ロース結合ドメインをコードするDNA、酵母由来のア
    グルチニン遺伝子又はその断片をこの順序で5’から
    3’方向に含む酵母用発現ベクター。
  7. 【請求項7】 セルロース結合ドメインがTricoderma r
    eesei由来のセルラーゼのセルロース結合ドメインであ
    る、請求項6に記載の酵母用発現ベクター。
  8. 【請求項8】 セルロース結合ドメインが下記の何れか
    のアミノ酸配列を有する、請求項6又は7に記載の酵母
    用発現ベクター。 (A)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列; (B)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列において
    1から数個のアミノ酸が欠失、置換、付加及び/または
    挿入されているアミノ酸配列であって、セルロース結合
    活性を有するアミノ酸配列;又は (C)配列番号1又は2に記載のアミノ酸配列と60%
    以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、セルロー
    ス結合活性を有するアミノ酸配列。
  9. 【請求項9】 請求項1から5の何れかに記載の形質転
    換酵母の作製における、請求項6から8の何れかに記載
    の酵母用発現ベクターの使用。
  10. 【請求項10】 請求項1から5の何れかに記載の形質
    転換酵母とセルロース性担体とを接触させることを含
    む、請求項1から5の何れかに記載の形質転換酵母のセ
    ルロース性担体への固定化方法。
  11. 【請求項11】 セルロース性担体に固定化された請求
    項1から5の何れかに記載の形質転換酵母。
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