JP2002173436A - 皮膚体温上昇剤 - Google Patents

皮膚体温上昇剤

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JP2002173436A
JP2002173436A JP2001301160A JP2001301160A JP2002173436A JP 2002173436 A JP2002173436 A JP 2002173436A JP 2001301160 A JP2001301160 A JP 2001301160A JP 2001301160 A JP2001301160 A JP 2001301160A JP 2002173436 A JP2002173436 A JP 2002173436A
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Yukitaka Fukaya
幸隆 深谷
Tsutomu Amamiya
勉 雨宮
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MATSURA YAKUGYO KK
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Matsuura Yakugyo Co Ltd
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MATSURA YAKUGYO KK
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Matsuura Yakugyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トウガラシチンキと同等の皮膚体温上昇作用
を有し、かつ局所への疼痛や刺激が軽減されており、発
赤や掻痒などの副作用を引き起こさない皮膚体温上昇剤
を提供する。 【解決手段】 良姜、大風子、胡椒、花椒、きょう活、
松香、陳皮、及びこれらの抽出物からなる群から選ばれ
る1種又は2種以上の有効成分を含み、例えばパップ剤
又はプラスター剤などの剤型の皮膚体温上昇剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚体温上昇剤、
及び皮膚体温上昇剤を配合したパップ剤などの外用剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】トウガラシの主成分であるカプサイシン
は皮膚体温上昇作用を有していることから、トウガラシ
チンキは局所刺激剤(皮膚刺激剤)として温湿布のため
の外用剤(パップ剤など)に配合されており、筋肉痛な
どの疾患に汎用されている。しかしながら、トウガラシ
チンキを配合した外用剤は局所に強い痛みや刺激を与
え、発赤や掻痒などの副作用を引き起こす場合があっ
た。このため、皮膚体温上昇作用を保持しつつ、上記の
副作用を軽減した皮膚体温上昇剤の開発が求められてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、トウ
ガラシチンキと同等の皮膚体温上昇作用を有し、かつ局
所への疼痛や刺激が軽減されており、発赤や掻痒などの
副作用を引き起こさない皮膚体温上昇剤を提供すること
にある。また、本発明の別の課題は、上記の特徴を有す
る皮膚体温上昇剤を含むパップ剤などの外用剤を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、良姜、大風子、胡
椒、花椒、きょう活、松香、陳皮、及びこれらの抽出物
からなる群から選ばれる1種又は2種以上の有効成分が
トウガラシチンキに匹敵する皮膚体温上昇作用を有して
おり、かつ局所への疼痛や刺激が軽減され、発赤や掻痒
などの副作用を引き起こさないことを見出した。本発明
は上記の知見を基にして完成されたものである。
【0005】すなわち、本発明は、良姜、大風子、胡
椒、花椒、きょう活、松香、陳皮、及びこれらの抽出物
からなる群から選ばれる1種又は2種以上の有効成分を
含む皮膚体温上昇剤を提供するものである。この発明の
好ましい態様によれば、良姜、大風子、胡椒、花椒、及
びこれらの抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種
以上の有効成分を含む上記皮膚体温上昇剤が提供され
る。また、本発明により、胡椒及び/又はその抽出物
と、良姜、大風子、花椒、きょう活、松香、陳皮、及び
これらの抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種以
上の成分とを含む上記皮膚体温上昇剤;及び有効成分が
胡椒及び大風子の組み合わせである上記皮膚体温上昇剤
が提供される。別の観点からは、上記の皮膚体温上昇剤
を含む外用剤が本発明により提供され、その好ましい態
様によれば、剤形がパップ剤、プラスター剤、液剤、ク
リーム剤、軟膏剤、またはゲル剤である上記外用剤が提
供される。
【0006】さらに別の観点からは、皮膚体温を上昇さ
せる方法であって、良姜、大風子、胡椒、花椒、きょう
活、松香、陳皮、及びこれらの抽出物からなる群から選
ばれる1種又は2種以上の物質を皮膚に適用する工程を
含む方法;及び上記皮膚体温上昇剤の製造のための良
姜、大風子、胡椒、花椒、きょう活、松香、陳皮、及び
これらの抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種以
上の物質の使用が本発明により提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】「良姜」(りょうきょう)はショ
ウガ科のコウリョウキョウ(Alpinia officinarum Hanc
e)の根茎を乾燥したものであり、「大風子」(だいふう
し)はイイギリ科の植物である大風子(Hydnocarpus anth
elmintica Pierre ex Laness.)の成熟した種子である。
「胡椒」(こしょう)はコショウ科の植物である胡椒(P
iper nigrum L.)の果実であり、「花椒」(かしょう)
はミカン科の植物である花椒(Zanthoxylum bungeanum M
axim.)の果皮である。「きょう活」(きょうかつ)はセ
リ科の植物であるNotopterygium incisum Ting及びN. f
orbesii Boiss.、 N. forbesii Boiss. var. oviforme
(Shan) Changの根茎を乾燥したものであり、韓国産のセ
リ科のチョウセンオニウド(Ostericum koreanum Kitaga
wa)又はニオイウド(Ostericum grosseserratum Kitagaw
a)の根と根茎、あるいは日本産のシシウド(Angelica pu
bescens Maxim.)の根、根茎、ウコギ科のウド(Aralia c
ordata Thunb.)の根の細いものなども含まれる。
【0008】松香(しょうこう)はマツ科のバビショウ
馬尾松(Pinus massoniana Lamb.)、ユショウ油松(Pinus
tabulaeformis Carr.)を主とし、その他、雲南松、樟
子松、白皮松、紅松、五鬚松など多種の松属(Pinus)植
物、あるいはカラマツ属(Larix)植物の樹幹からの分泌
物を蒸留して精油を除いて得た樹脂である。陳皮(ちん
ぴ)はミカン科のオオベニミカン(Citrus tangerina Ho
rt. ex Tanaka)、コベニミカン(Citrus erythrosa Tana
ka)及びウンシュウミカン(Citrus unshiu Marc.)などの
Citrus属の成熟あるいは未成熟果皮を乾燥したものであ
る。上記の生薬については、それぞれ和漢薬百科図鑑
[I]、[II](保育社)に基源及び入手方法などが詳細
に記載されており、生薬として容易に入手可能である。
上掲書の開示を参照として本明細書の開示に含める。
【0009】良姜、大風子、胡椒、花椒、きょう活、松
香、又は陳皮の抽出物の形態及び調製方法は特に限定さ
れないが、例えば、上記の生薬に適当な浸出剤を加えて
浸出した液、または浸出液を濃縮した液などを例示する
ことができる。より具体的には、エキス又はチンキなど
を挙げることができる。浸出液としては、水、アルコー
ル類(メタノール、エタノール、n-ブタノールなど)、
多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレング
リコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンな
ど)、エーテル類(ジエチルエーテルなど)、ケトン類
(アセトン、エチルメチルケトンなど)、ハロゲン化炭
化水素類(ジクロルメタン、クロロホルム)、芳香族炭
化水素(ベンゼン、トルエンなど)、又はこれらの混合
物などを用いることができるが、浸出剤は上記に例示し
たものに限定されることはない。エキスを乾燥して調製
される乾燥エキスを用いることもできる。
【0010】より具体的には、パーコレーション法など
の常法に従ってエタノールなどの有機溶媒やエタノール
及び水の混合物などを用いて抽出を行うことにより、抽
出物を容易に調製することができる。例えば、上記の生
薬をエタノール又はエタノール及び水の混合物で浸出し
て製造されたチンキ剤や、エタノール1 ml中に上記生薬
の1 g中の可溶性成分を含むように製造した流エキス剤
などは抽出物の好適な例である。なお、一般に生薬又は
その抽出物は基源が同一であれば、いずれの形態であっ
ても同様の効果を得ることができるので、本発明におい
て抽出物の形態は特に限定されないことを理解すべきで
ある。
【0011】本発明の皮膚体温上昇剤としては、良姜、
大風子、胡椒、花椒、きょう活、松香、陳皮、及びこれ
らの抽出物からなる群から選ばれる物質を単独で用いて
もよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組み
合わせの例としては、例えば、胡椒に他の成分を加えた
もの、例えば胡椒及び大風子、胡椒及び良姜、又は胡椒
及び花椒などを挙げることができ、これらのうち胡椒及
び大風子の組み合わせが好適である。上記の物質の皮膚
体温上昇作用は、例えば、マウス背部皮膚表面温度の上
昇、ウサギ耳介温の上昇などにより容易に確認でき、皮
膚刺激などの副作用についてはモルモット振り向き試験
などにより容易に確認することができ、その詳細は実施
例に具体的に示されている。本発明の皮膚体温上昇剤
は、例えば、肩こり、関節痛、筋肉痛、筋肉疲労、捻
挫、腰痛などの疾患に対して適用することができる。
【0012】本発明の皮膚体温上昇剤は、それ自体を皮
膚に適用することもできるが、好ましくはパップ剤、プ
ラスター剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤などの
形態の外用剤として調製することができる。外用剤中の
上記皮膚体温上昇剤の配合量は外用剤の種類に応じて適
宜選択可能であり、特に限定されないが、例えばパップ
剤又はプラスター剤を製造する場合には、膏体100 gあ
たり原生薬換算で0.1 mg〜10 g、好ましくは0.2 mg〜5
g程度である。外用剤の製造には、通常用いられる製剤
用添加物の1種又は2種以上を用いることができるが、
それらは外用剤の種類に応じて当業者が適宜選択可能で
ある。外用剤を調製するにあたり、上記の皮膚体温上昇
剤以外の有効成分を1種又は2種以上配合することがで
きる。このような有効成分として、例えば、インドメタ
シン、ケトプロフェン、ピロキシカム、フェルナビク、
サリチル酸、サリチル酸グリコール、グリチルリチン
酸、グリチルレチン酸、ニコチン酸ベンジル、酢酸トコ
フェロール、トコフェロール、アルニカチンキ、セイヨ
ウトキノキ種子エキス、カンフル、メントール、又はノ
ニル酸ワニリルアミドなどを挙げることができる。
【0013】外用剤の適用方法は、外用剤の種類や適用
すべき疾患の種類及び程度などに応じて適宜選択するこ
とができる。一般的に、パップ剤やプラスター剤として
調製された外用剤を適用する場合には、筋肉痛や肩こり
などを生じた患部を覆うように、1日1〜2回患部に貼
付することが望ましい。本発明の外用剤を貼付すること
により皮膚体温が上昇し、患部の血行が改善されるなど
の作用により筋肉痛や肩こりなどの症状が改善又は緩解
される。
【0014】
【実施例】以下、本発明をさらに具体的に説明するが、
本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。 例1:製剤例(パップ剤) ポリアクリル酸部分中和物 6.0 g カルボキシビニルポリマー 1.0 g カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 g ゼラチン 3.0 g グリセリン 30.0 g 乾燥水酸化アルミニウムゲル 0.1 g ソルビタン脂肪酸エステル 0.3 g ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.3 g 軽質流動パラフィン 2.0 g エデト酸ナトリウム 0.1 g 軽質無水ケイ酸 1.0 g 酸化チタン 0.5 g 酒石酸 1.0 g アルニカチンキ(原生薬として 0.2 g) 1.0 ml 良姜チンキ(原生薬として 1.0 g) 1.0 ml dl-カンフル 0.3 g 酢酸トコフェロール 0.3 g 精製水 残余 計 100 g 常法に従い、上記成分からなるパップ剤(1077 cm2)を
製造した。
【0015】例2:マウス背部皮膚表面温度の測定 良姜、大風子、胡椒、花椒、きょう活、松香、陳皮から
抽出物を調製した。また、対照として修治附子、山椒、
呉茱萸、麻黄、檳榔子、山奈の6種類の生薬から抽出物
を調製した。各生薬の抽出操作は80%エタノールを用
い、パーコレーション法で行った。松香エキスの原生薬
対比は1:6で、それ以外は全て1:1であった。また、陽
性対照としてトウガラシチンキ(95 vol% エタノールで
抽出したチンキ)を常法により調製した(原生薬対比=
1:10)。
【0016】実験動物としてddY系雄性マウス10〜11週
齢を使用し、一群10匹として1ケージに5匹ずつ飼育し
た。測定は、市販の耳式体温計(「ミミッピ」テルモ株
式会社)を使用し、室温を24℃とし、マウス固定装置を
用いて無麻酔下で背部皮膚表面温度を測定した。また陽
性対照薬としてトウガラシチンキを使用した。評価前日
にペントバルビタール麻酔下(50 mg/kg)で除毛クリーム
を用いてマウス背部を剥毛処理した。評価当日、被験薬
物を塗布する前に、無麻酔下で背部皮膚表面温度を測定
して試験前測定値とし、直ちに被験薬物約100μlを除毛
部位に塗布した。塗布後、経時的に背部皮膚表面温度を
測定した。この結果、良姜、大風子、胡椒、花椒、きょ
う活、松香、陳皮から得た抽出物はいずれも統計学的に
有意な皮膚表面温度上昇作用を有していた。また、胡椒
及び大風子(それぞれ流エキス)を1:1の割合で組み
合わせて塗布した場合には有意な相乗効果が認められ
た。一方、対照として用いた修治附子、山椒、呉茱萸、
麻黄、檳榔子、山奈の抽出物には皮膚温度上昇作用は認
められなかった。結果を表1に示す。
【0017】
【表1】 カッコ内は同一実験内で行った陽性対照のトウガラシチ
ンキの作用を示す。
【0018】例3:ウサギの耳介内側の皮膚温度に対す
る上昇作用 開放塗布したウサギの耳介内側の皮膚温度を測定するこ
とにより、本発明の皮膚体温上昇剤の作用を検討した。
例2と同様に良姜、大風子、胡椒、及び花椒の流エキス
を調製した。これらの抽出物は使用時まで室温・遮光で
保存した。雄性Kbs:JWウサギ18匹を入手し、11〜12週齢
で試験に供した。試験期間中、動物を温度21〜25℃、湿
度40〜70%、換気回数14〜16回/時間および照明時間12時
間/日(7時〜19時)に設定した飼育室でアルミニウム製ケ
ージ[35W×50D×35H (cm)]に1匹ずつ収容して飼育し
た。その間、固型飼料(LRC-4、オリエンタル酵母工業株
式会社)および上水道水を自由に摂取させた。
【0019】全部で18匹のウサギを用い、1回の試験は
各群1匹ずつとし、9匹単位で行った。1個体の一方の耳
を無処置とし、他方の耳内側に投与物質1 mLを塗布し
た。1個体につき3回供試し、各群6例ずつデータ採取し
た。各群への動物の割り当ては、同一物質が適用されな
いよう配慮し、カードを用いて無作為に決定した。投与
側と無処置側の温度差(=投与側温度−無処置側温度)
を指標にし、皮膚温度上昇効果を評価した。動物は、観
察時間中、保定具にいれたままにし、赤外線式耳式体温
計(テルモ・ミミッピ:測定可能温度範囲32〜42℃)で耳
内側の表面温度を測定した。測定点は耳内側中央部とし
た。
【0020】動物を保定具に入れ20〜30分程度馴化後、
試験前の値を測定した後に被験物質を投与した。エキス
剤(温感塗布液)を片方の耳内側に塗布し、塗布後にもう
一方の無処置との耳内側の皮膚温度差(塗布側温度−無
処置側温度)を、塗布の1時間後まで5分間隔で観測し
た。差が「+」の場合は、塗布側の温度上昇と判断し
た。実験終了後、耳を70%エタノールで洗浄し、次いで
水道水で洗った。皮膚温(左右の耳の温度差)について、
群ごとに平均値と標準誤差を算出し、対照群と各被験物
質群との間で以下の検定を行った。検定は両側検定とし
た。F検定による等分散の検定(有意水準5%)を行い、分
散が等しい場合はStudentのt検定を、分散が等しくない
場合はAspin-Welchのt検定を行った。有意水準5%で媒体
対照群との差が認められた場合に有意な変動とした。
【0021】対照群では、無処置側と比べ溶液塗布側の
温度は、塗布後5分および10分にそれぞれ0.4℃および0.
2℃低値であったが、15〜60分では0.1〜0.9℃の範囲で
高値であった。塗布後5分および10分の低値は、溶媒で
あるエタノールの揮発にともなう気化熱によるものと考
えられた。15分以降みられた最大O.9℃の高値の原因の
ひとつの可能性としては、気化熱によって耳が冷却され
たことにより耳の血管系が一時的に収縮して血流が減少
し、その後、反跳的に血流が増加しことが考えられる。
被験物質群では、良姜、大風子、胡椒、及び花椒投与群
において対照群に比して統計学的に有意な上昇が認めら
れた。
【0022】中でも胡椒投与群における体温上昇が顕著
であり、塗布後5〜20分および40分において3.4℃以上の
高値が示された。胡椒エキスもエタノールを高濃度含ん
でおり気化熱を耳から奪う可能性があるが、それにもか
かわらず塗布後5分および10分に4℃前後の上昇を示した
ことから、胡椒が高い皮膚体温上昇作用を有することが
明らかとなった。良姜、大風子、及び花椒投与群におけ
る皮膚体温上昇はいずれも塗布後10〜30分の間に認めら
れ、上昇した温度は1.6℃以下の値であったが、この値
は統計学的に有意な温度上昇と判定された。
【0023】同様にウサギ12匹(11〜14週齢)を用い、
胡椒、胡椒+大風子(配合比1:1)、胡椒+良姜(配
合比1:1)、胡椒+花椒(配合比1:1)、及びトウガ
ラシチンキの5種類の検体について皮膚体温上昇作用を
調べたところ、5種の検体の全てについて塗布側に温度
上昇を示した。胡椒では塗布後5分に+0.5℃の高値を示
し、胡椒+大風子では塗布後10分まで温度上昇が続いて
+1.2℃となり、15分後に+1.0℃、20分後には1.4℃と
なってその後徐々に減衰し、60分後には+0.5℃となっ
た。胡椒+良姜又は胡椒+花椒では塗布後5分で溶媒投
与群と同様に温度差は一過性に小さくなったが、塗布後
10分ではいずれも+0.7℃の温度差となった。この結果
から、胡椒+大風子の組み合わせにより強い皮膚温度上
昇が達成されたことが分かる。
【0024】例4:モルモットを用いた振り向き試験 本発明の皮膚体温上昇剤をモルモットの腋窩部皮膚に開
放塗布し、振り向き反応の頻度を観測することにより皮
膚刺激作用を検討した(Cagen S.Z. et al., Toxicol. A
ppl. Pharmacol., 76, pp.270-279, 1984)。被験物質と
して良姜、大風子、胡椒、及び松香から80%エタノール
を用いて流エキスを調製し、陽性対照としてトウガラシ
エキス(無水エタノール抽出液:カプサイシン8 mg/0.15
g)を調製した。
【0025】雄性Slc:Hartleyモルモットの合計82匹を
4〜6週齢で入手し、動物入手日を含め7日間の検疫・馴
化終了後、80匹を試験に供した。飼育条件は、温度21〜
25℃、湿度40〜70%、換気回数16回/時間および照明12時
間(7〜19時)/日に設定した飼育室で、動物をステンレス
製ワイヤーゲージ[22W×29D×21H (cm)]に個別に収容し
て飼育した。その間、固型飼料(LRC4、オリエンタル酵
母工業株式会社)と上水道水を自由に摂取させた。
【0026】各群への動物の割り当ては、実験日の前日
に体重を測定しコンピュータを用いて55匹を対象に層別
連続的無作為化法により群分けを行い、1群8匹の6群お
よび1群7匹の1群(対照群)とした。各実験日の前日に腋
窩部の被毛を電気バリカンと電気カミソリを用いて剃毛
し、一方の腋窩部を無処置とし、他方の腋窩部に投与物
質0.1 mLを塗布し、投与直後〜投与後1時間までの左右
それぞれの振り向き回数をカウントした。投与側と無処
置側への振り向き回数を計測し、投与側振り向き回数か
ら無処置側振り向き回数を差し引いた数値を算出した。
算出値が負数となった場合は差を「0」とした。観察時
間中、動物をポリカーボネイト製ケージ[28W×44D×18H
(cm)]に入れ、振り向き反応を観察した。
【0027】振り向き回数差(投与側−無処置側の差)に
ついて、群ごとに平均値と標準誤差を算出し、陽性対照
群とその他の群との間で有意差検定を行った。検定は両
側検定とした。F検定による等分散の検定(有意水準5%)
を行い、分散が等しい場合はStudentのt検定を、分散が
等しくない場合はAspin-Welchのt検定を行った。有意水
準5%で陽性対照群との差が認められた場合に有意な変動
とした。陽性対照群(8例中7例で集計)では、投与側34回
に対し無処置側6回で、振り向き回数差は28回であっ
た。これは陽性対照物質が有する皮膚刺激作用によって
塗布側への振り向きの頻度を高くしたものである。
【0028】良姜、大風子、胡椒、花椒、きょう活、松
香、及び陳皮の抽出物を投与した群では、振り向き回数
差は1〜4回の範囲であり、これら被験物質は皮膚刺激作
用が少なかった。同様に胡椒+大風子、胡椒+良姜、及
び胡椒+花椒の組み合わせ(配合比1:1)について試
験を行ったところ、いずれも振り向き回数差は1回であ
り、これらの皮膚刺激作用は少ないと結論できた。
【0029】
【発明の効果】本発明の皮膚体温上昇剤は、トウガラシ
チンキに匹敵する皮膚体温上昇作用を有しており、かつ
局所への疼痛や刺激が軽減されているので、発赤や掻痒
などの副作用を引き起こさない効果的な皮膚体温上昇剤
として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 21/00 A61P 21/00 29/00 29/00 (72)発明者 雨宮 勉 東京都中央区日本橋3丁目14番10号 第一 製薬株式会社内 Fターム(参考) 4C088 AB03 AB12 AB16 AB36 AB40 AB62 AB81 AC04 AC08 AC12 AC13 BA08 MA07 MA16 MA27 MA28 MA32 MA63 NA08 NA14 ZA08 ZA89 ZA94 ZA96

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 良姜、大風子、胡椒、花椒、きょう活、
    松香、陳皮、及びこれらの抽出物からなる群から選ばれ
    る1種又は2種以上の有効成分を含む皮膚体温上昇剤。
  2. 【請求項2】 良姜、大風子、胡椒、花椒、及びこれら
    の抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の有
    効成分を含む請求項1に記載の皮膚体温上昇剤。
  3. 【請求項3】 胡椒及び/又はその抽出物と、良姜、大
    風子、花椒、きょう活、松香、陳皮、及びこれらの抽出
    物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の成分とを
    含む請求項1に記載の皮膚体温上昇剤。
  4. 【請求項4】 有効成分が胡椒及び大風子の組み合わせ
    である請求項3に記載の皮膚体温上昇剤。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    の皮膚体温上昇剤を含む外用剤。
  6. 【請求項6】 剤形がパップ剤、プラスター剤、液剤、
    クリーム剤、軟膏剤またはゲル剤である請求項5に記載
    の外用剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100966155B1 (ko) 2008-05-16 2010-06-25 주식회사 의명라이프팜 대풍자 추출물을 함유하는 허혈성 질환 예방 및 치료용조성물
KR100966154B1 (ko) 2007-11-01 2010-06-25 주식회사 의명라이프팜 대풍자 추출물을 함유하는 당뇨병성 궤양 예방 및 치료용조성물
JP2012167060A (ja) * 2011-02-15 2012-09-06 Asahi Group Holdings Ltd 経口用組成物

Cited By (3)

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KR100966154B1 (ko) 2007-11-01 2010-06-25 주식회사 의명라이프팜 대풍자 추출물을 함유하는 당뇨병성 궤양 예방 및 치료용조성물
KR100966155B1 (ko) 2008-05-16 2010-06-25 주식회사 의명라이프팜 대풍자 추출물을 함유하는 허혈성 질환 예방 및 치료용조성물
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