JP2002170677A - 発光素子及びその製造方法 - Google Patents

発光素子及びその製造方法

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JP2002170677A
JP2002170677A JP2000364649A JP2000364649A JP2002170677A JP 2002170677 A JP2002170677 A JP 2002170677A JP 2000364649 A JP2000364649 A JP 2000364649A JP 2000364649 A JP2000364649 A JP 2000364649A JP 2002170677 A JP2002170677 A JP 2002170677A
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雅之 三島
Hidetoshi Fujimura
秀俊 藤村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光効率、発光輝度及び耐久性に優れ、製造
コストが低く、且つ大面積化が可能であるためにフルカ
ラーディスプレイ、バックライト、照明光源等の面光
源、プリンター等の光源アレイ等に有効に利用できる発
光素子を提供する。 【解決手段】 本発明の発光素子は基材、透明電極、発
光層を含む一層以上の有機化合物層及び背面電極を有
し、該発光層が燐光発光性化合物を含有する素子であっ
て、有機化合物層の少なくとも一層が、脱酸素処理した
塗布液を用いた湿式製膜法により製膜した層であること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光輝度及び発光
効率に優れ、低コストで製造できる発光素子、並びにそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機物質を使用した有機発光素子は、固
体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み
光源アレイとしての用途が有望視されており、近年活発
な研究開発が進められている。一般に有機発光素子は発
光層を含む有機化合物層及び該有機化合物層を挟んだ一
対の対向電極から構成される。このような有機発光素子
に電圧を印加すると、有機化合物層に陰極から電子が注
入され陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発
光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価
電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出することに
より発光が得られる。
【0003】従来の有機発光素子は、駆動電圧が高く発
光輝度及び発光効率が低いという問題を有している。近
年、この問題を解決するための技術が種々報告されてお
り、例えば有機化合物の蒸着により形成した有機薄膜を
有する有機発光素子が知られている(アプライド フィ
ジクス レターズ, 51巻, 913頁, 1987年)。この有機
発光素子は電子輸送材料からなる電子輸送層と正孔輸送
材料からなる正孔輸送層の積層二層構造を有し、単層型
素子に比べて大幅に向上した発光特性を示す。正孔輸送
材料としては低分子アミン化合物、電子輸送材料兼発光
材料としては8-キノリノールのアルミニウム錯体(Al
q)を用いており、発光色は緑色である。蒸着有機薄膜
を有する有機発光素子はその後も数多く報告されている
(マクロモレキュラリー シンポジウム, 125巻, 1頁,
1997年に記載の参考文献参照)が、このような有機発
光素子は無機LED素子や蛍光管に比べると非常に発光効
率が低く、このことが実用化に際し大きな問題となって
いる。
【0004】従来の有機発光素子の殆どは有機発光材料
の一重項励起子から得られる蛍光発光を利用したもので
ある。単純な量子化学のメカニズムにおいては、励起子
状態において蛍光発光が得られる一重項励起子と燐光発
光が得られる三重項励起子の比は1対3である。即ち、
蛍光発光を利用している限りは励起子の25%しか有効活
用できず、蛍光発光素子の発光効率は低い。このような
状況下、最近、イリジウムのフェニルピリジン錯体を用
いた燐光発光素子が報告された(アプライドフィジクス
レター, 75巻, 4頁, 1999年、ジャパニーズ ジャー
ナル オブアプライド フィジクス, 38巻, L1502頁, 1
999年等)。この燐光発光素子は従来の蛍光発光素子に
比べて2〜3倍の発光効率を示すが、その発光効率は理
論的な発光効率限界よりは低く、実用化のためには更な
る発光効率向上が求められている。
【0005】一方、有機発光素子の有機化合物層を形成
する際には、蒸着法、スパッタ法、CVD、PVD、溶剤を用
いた塗布法等の様々な方法が使用できるが、これらの方
法の中で、製造工程の簡略化、製造コストの低減、加工
性の改善、バックライトや照明光源等のフレキシブルな
大面積素子への応用等の観点からは塗布法等の湿式製膜
法が有利である。高分子化合物を湿式製膜法により製膜
した有機発光素子は既に幾つか報告されており、該高分
子化合物としては緑色発光を示すポリパラフェニレンビ
ニレン(ネイチャー, 347巻, 539頁, 1990年)、赤橙色
発光を示すポリ(3-アルキルチオフェン) (ジャパニー
ズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス, 30
巻, L1938頁, 1991年)、青色発光を示すポリアルキル
フルオレン(ジャパニーズ ジャーナル オブ アプラ
イド フィジクス、30巻, L1941頁,1991年)等が提案さ
れている。また、特開平2-223188号は低分子化合物をバ
インダー樹脂に分散させ、湿式塗布により製膜する方法
を報告している。しかしながら、これら湿式製膜型素子
はいずれも一重項励起子を利用したものであり、発光効
率が低いという根本的な問題は残る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、発光
輝度及び発光効率に優れ、製造コストが低く、且つ大面
積化が可能であるためにフルカラーディスプレイ、バッ
クライト、照明光源等の面光源、プリンター等の光源ア
レイ等に有効に利用できる発光素子を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、三重項励起子を利用する燐光発光
素子は、一重項励起子を利用する蛍光発光素子とは異な
り酸素の影響を受けやすく、酸素により消光現象が引き
起こされる事実を見出し、予め脱酸素処理した塗布液を
用いて有機化合物層を製膜することにより、発光特性に
優れた燐光発光素子が得られることを発見し、本発明に
想到した。
【0008】即ち、本発明の発光素子は基材、透明電
極、発光層を含む一層以上の有機化合物層及び背面電極
を有し、該発光層が燐光発光性化合物を含有する素子で
あって、有機化合物層の少なくとも一層が、脱酸素処理
した塗布液を用いた湿式製膜法により製膜した層である
ことを特徴とする。本発明の発光素子は発光輝度及び発
光効率に優れているとともに、低コストで製造でき、ま
た大面積化が可能であるためにフルカラーディスプレ
イ、バックライト、照明光源等の面光源、プリンター等
の光源アレイ等に有効に利用できる。
【0009】また、本発明の製造方法は、上記本発明の
発光素子を製造する方法であって、有機化合物層の少な
くとも一層を、脱酸素処理した塗布液を用いた湿式製膜
法により製膜することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の発光素子は基材上に透明
電極、一層以上の有機化合物層及び背面電極を積層して
なる。有機化合物層は発光層を含み、発光層は燐光発光
性化合物を含有する。必要に応じて発光層以外の有機化
合物層や保護層等を有していてもよい。本発明の発光素
子は湿式製膜法を含む本発明の製造方法によって製造で
きる。本発明の製造方法においては、有機化合物層の少
なくとも一層を脱酸素処理した塗布液を用いた湿式製膜
法により製膜する。
【0011】本発明の発光素子の構成は、基材上に透明
電極/発光層/背面電極、透明電極/発光層/電子輸送
層/背面電極、透明電極/正孔輸送層/発光層/電子輸
送層/背面電極、透明電極/正孔輸送層/発光層/背面
電極、透明電極/発光層/電子輸送層/電子注入層/背
面電極、透明電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/
電子輸送層/電子注入層/背面電極等をこの順に積層し
た構成、これらを逆に積層した構成等であってよい。発
光層は燐光発光性化合物を含有し、通常、透明電極から
発光が取り出される。各層に用いる化合物の具体例につ
いては、例えば「月刊ディスプレイ」1998年10月号別冊
の「有機ELディスプレイ」(テクノタイムズ社)等に記
載されている。
【0012】有機化合物層の形成位置は特に制限され
ず、発光素子の用途及び目的に応じて適宜選択すること
ができるが、透明電極又は背面電極上に形成するのが好
ましい。このとき有機化合物層は透明電極又は背面電極
の全面又は一部に形成してよい。有機化合物層の形状、
大きさ及び厚みも目的に応じて適宜選択することができ
る。
【0013】有機化合物層は乾式製膜法又は湿式製膜法
により製膜してよいが、湿式製膜法を用いると有機化合
物層を容易に大面積化することができ、高輝度で発光効
率に優れた発光素子が低コストで効率よく得られ、好ま
しい。乾式製膜法としては蒸着法、スパッタ法等が使用
でき、湿式製膜法としてはディッピング法、スピンコー
ト法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、
ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等が
使用可能である。これらの製膜法は有機化合物層の材料
に応じて適宜選択できる。湿式製膜法により製膜した場
合は製膜した後に乾燥してよい。乾燥は塗布層が損傷し
ないように温度、圧力等の条件を選択して行う。
【0014】本発明においては、有機化合物層の少なく
とも一層を脱酸素処理した塗布液を用いた湿式製膜法に
より製膜する。塗布液を製膜前に脱酸素処理することに
より、燐光発光素子の発光特性を著しく悪化させる酸素
ガスを取り除くことができる。即ち、本発明では、予め
脱酸素処理した塗布液を用いて有機化合物層を湿式製膜
することによって、有機化合物層に残存する酸素量を大
幅に低減させ、素子の発光輝度、発光効率及び耐久性を
向上させることができる。
【0015】上記塗布液は通常、有機化合物層の材料
と、それを溶解又は分散するための溶剤からなる。溶剤
は特に限定されず、有機化合物層に用いる材料に応じて
選択すればよい。溶剤の具体例としては、ハロゲン系溶
剤(クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2-
ジクロロエタン、クロロベンゼン等)、ケトン系溶剤
(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n-
プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等)、芳香族
系溶剤(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エステル
系溶剤(酢酸エチル、酢酸 n-プロピル、酢酸 n-ブチ
ル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブ
チロラクトン、炭酸ジエチル等)、エーテル系溶剤(テ
トラヒドロフラン、ジオキサン等)、アミド系溶剤(ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ジメ
チルスルホキシド、水等が挙げられる。なお、塗布液中
の溶剤に対する固形分量は特に制限はなく、塗布液の粘
度も製膜方法に応じて任意に選択することができる。
【0016】脱酸素処理の方法は、塗布液の劣化を引き
起こさない方法であれば特に限定されず、加熱による脱
酸素処理法、真空による脱酸素処理法、不活性ガスのバ
ブリングによる脱酸素処理法、分離膜による脱酸素処理
法等が使用できる。中でも、真空ラインを用いた脱酸素
処理が、簡便で短時間にほぼ完全に酸素を除去できる点
から好ましい。脱酸素処理は塗布液中の酸素ガス溶解濃
度が100ppm以下となるように行えばよい。酸素ガス溶解
濃度は50ppm以下とするのが好ましく、30ppm以下とする
のがより好ましい。
【0017】図1は真空ラインを用いた脱酸素処理を行
うための装置の一例を示す概略図である。以下、図1を
用いて真空ラインによる脱酸素処理の一実施形態を説明
する。まず、塗布液2をフラスコ1に入れ、これをコッ
ク4を閉じた状態ですりあわせ部3を介して真空ライン
9に連結させる。次にフラスコ1を液体窒素6の入った
ジュワー瓶5に入れ、塗布液2を凝固させ、コック4及
び7を開き真空ポンプ8により真空ライン9全体を真空
にする。真空度が10-3mmHg程度よりも高真空となった
後、コック4を閉じ、ジュワー瓶5を取り除いてフラス
コ1を室温まで徐々に暖める。このとき塗布液に溶解し
ていた酸素ガスが泡となって塗布液から除かれる。この
操作を酸素ガスの泡が出なくなるまで数回繰り返すこと
により、塗布液の脱酸素処理を行うことができる。脱酸
素処理後は、コック7を窒素ライン10側に開け、窒素ガ
スで真空ライン全体を置換し、フラスコ1を取り外して
栓をして保存すればよい。
【0018】本発明の発光素子は通常、その透明電極と
背面電極との間に2〜40ボルト程度の直流電圧(交流成
分を含んでもよい)又は直流電流を印加すると発光す
る。また、本発明の発光素子を駆動する際には、特開平
2-148687号、同6-301355号、同5-29080号、同7-134558
号、同8-234685号、同8-241047号、米国特許5828429
号、同6023308号、日本特許第2784615号等に記載の駆動
方法を利用することができる。以下、本発明の発光素子
をなす各要素について詳述するが、本発明はそれらによ
り限定されない。
【0019】(A)基材 本発明で使用する基材は、ジルコニア安定化イットリウ
ム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート等のポリエステルやポリスチレン、ポリカ
ーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、
アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシ
クロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリ
フルオロエチレン)、テフロン(登録商標)、ポリテト
ラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等の高分子
材料等からなるものであってよい。基材は単一材料で形
成しても、2種以上の材料で形成してもよい。中でも、
フレキシブルな発光素子を形成するためには高分子材料
が好ましく、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁
性及び加工性に優れ、且つ低通気性及び低吸湿性である
ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホ
ンや、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、テフロン、
ポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等
のフッ素原子を含む高分子材料がより好ましい。
【0020】基材の形状、構造、大きさ等は発光素子の
用途及び目的に応じて適宜選択することができる。形状
は板状とするのが一般的である。構造は単層構造であっ
ても積層構造であってもよい。基材は無色透明であって
も有色透明であってもよいが、発光層から発せられる光
を散乱又は減衰させることがない点で無色透明であるの
が好ましい。
【0021】基材の電極側の面、電極と反対側の面又は
その両方に透湿防止層(ガスバリア層)を設けてもよ
い。透湿防止層を構成する材料としては窒化ケイ素、酸
化ケイ素等の無機物を用いるのが好ましい。透湿防止層
は高周波スパッタリング法等により成膜できる。また、
基材には必要に応じてハードコート層やアンダーコート
層を設けてもよい。
【0022】(B)透明電極 通常、透明電極は有機化合物層に正孔を供給する陽極と
しての機能を有するが、陰極として機能させることもで
き、この場合背面電極を陽極として機能させる。以下、
透明電極を陽極とする場合について説明する。
【0023】透明電極の形状、構造、大きさ等は特に制
限されず、発光素子の用途及び目的に応じて適宜選択す
ることができる。透明電極を形成する材料としては、金
属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混
合物等を用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV
以上の材料を用いる。具体例としては、アンチモンをド
ープした酸化スズ(ATO)、フッ素をドープした酸化ス
ズ(FTO)、半導性金属酸化物(酸化スズ、酸化亜鉛、
酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜
鉛インジウム(IZO)等)、金属(金、銀、クロム、ニ
ッケル等)、これら金属と導電性金属酸化物との混合物
又は積層物、無機導電性物質(ヨウ化銅、硫化銅等)、
有機導電性材料(ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリ
ピロール等)及びこれとITOとの積層物等が挙げられ
る。
【0024】透明電極は印刷法、コーティング法等の湿
式方法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレー
ティング法等の物理的方法、CVD、プラズマCVD法等の化
学的方法等によって基材上に形成することができる。形
成方法は透明電極材料との適性を考慮して適宜選択すれ
ばよい。例えば、透明電極の材料としてITOを用いる場
合には、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオ
ンプレーティング法等を用いればよい。また透明電極の
材料として有機導電性材料を用いる場合には、湿式製膜
法を用いてよい。
【0025】透明電極のパターニングはフォトリソグラ
フィー等による化学的エッチング、レーザー等を用いた
物理的エッチング等により行うことができる。また、マ
スクを用いた真空蒸着やスパッタリング、リフトオフ
法、印刷法等によりパターニングしてもよい。
【0026】透明電極の形成位置は発光素子の用途及び
目的に応じて適宜選択してよいが、基材上に形成するの
が好ましい。このとき透明電極は基材の表面全体に形成
しても一部のみに形成してもよい。
【0027】透明電極の厚みはその材料に応じて適宜選
択すればよいが、通常10nm〜50μmであり、好ましくは5
0nm〜20μmである。透明電極の抵抗値は103Ω/□以下
とするのが好ましく、102Ω/□以下とするのがより好
ましい。透明電極は無色透明であっても有色透明であっ
てもよい。透明電極側から発光を取り出すためには、そ
の透過率は60%以上とするのが好ましく、70%以上とす
るのがより好ましい。透過率は分光光度計を用いた公知
の方法に従って測定することができる。
【0028】また、「透明導電膜の新展開」(沢田豊監
修、シーエムシー刊、1999年)等に詳細に記載されてい
る電極も本発明に適用できる。特に耐熱性の低いプラス
チック基材を用いる場合は、透明電極材料としてITO又
はIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜するのが好まし
い。
【0029】(C)背面電極 通常、背面電極は有機化合物層に電子を注入する陰極と
しての機能を有するが、陽極として機能させることもで
き、この場合上記透明電極を陰極として機能させる。以
下、背面電極を陰極とする場合について説明する。
【0030】背面電極の形状、構造、大きさ等は特に制
限されず、発光素子の用途及び目的に応じて適宜選択す
ることができる。背面電極を形成する材料としては、金
属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混
合物等を用いることができ、好ましくは仕事関数が4.5e
V以下の材料を用いる。具体例としては、アルカリ金属
(Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(Mg、Ca
等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウ
ム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−
銀合金、インジウム、希土類金属(イッテルビウム等)
等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいが、安
定性と電子注入性とを両立させるためには2種以上を併
用するのが好ましい。これら材料の中で、電子注入性の
観点からはアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好まし
く、保存安定性の観点からはアルミニウムを主体とする
材料が好ましい。ここでアルミニウムを主体とする材料
とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量
%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金又は混
合物を指す。背面電極の材料としては、特開平2-15595
号、特開平5-121172号等に詳述されているものも使用で
きる。
【0031】背面電極は印刷法、コーティング法等の湿
式方法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレー
ティング法等の物理的方法、CVD、プラズマCVD法等の化
学的方法等によって形成することができる。形成方法は
背面電極材料との適性を考慮して適宜選択すればよい。
例えば、背面電極の材料として2種以上の金属等を用い
る場合には、その材料を同時又は順次にスパッタして形
成できる。
【0032】背面電極のパターニングはフォトリソグラ
フィー等による化学的エッチング、レーザー等を用いた
物理的エッチング等により行うことができる。また、マ
スクを用いた真空蒸着やスパッタリング、リフトオフ
法、印刷法等によりパターニングしてもよい。
【0033】背面電極の形成位置は発光素子の用途及び
目的に応じて適宜選択してよいが、有機化合物層上に形
成するのが好ましい。このとき背面電極は有機化合物層
の表面全体に形成しても一部のみに形成してもよい。ま
た、背面電極と有機化合物層との間にアルカリ金属又は
アルカリ土類金属のフッ化物等からなる誘電体層を0.1
〜5nmの厚みで設置してもよい。誘電体層は真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によ
り形成することができる。
【0034】背面電極の厚みはその材料に応じて適宜選
択すればよいが、通常10nm〜5μmであり、好ましくは5
0nm〜1μmである。背面電極は透明であっても不透明で
あってもよい。透明背面電極は、上述した材料の層を1
〜10nmの厚みに薄く製膜し、更にITOやIZO等の透明導電
性材料を積層して形成できる。
【0035】(D)発光層 本発明の発光素子において、発光層は燐光発光性化合物
を含有する。本発明で用いる燐光発光性化合物は、三重
項励起子から発光することができる化合物であれば特に
限定されることはない。燐光発光性化合物としては、オ
ルトメタル化錯体又はポルフィリン錯体を用いるのが好
ましく、オルトメタル化錯体を用いるのがより好まし
い。ポルフィリン錯体の中ではポルフィリン白金錯体が
好ましい。燐光発光性化合物は単独で使用しても2種以
上を併用してもよい。
【0036】本発明でいうオルトメタル化錯体とは、山
本明夫著「有機金属化学 基礎と応用」, 150頁及び232
頁, 裳華房社(1982年)、H. Yersin著「Photochemistr
y and Photophysics of Coordination Compounds」, 71
〜77頁及び135〜146頁, Springer-Verlag社(1987年)
等に記載されている化合物群の総称である。オルトメタ
ル化錯体を形成する配位子は特に限定されないが、2-フ
ェニルピリジン誘導体、7,8-ベンゾキノリン誘導体、2-
(2-チエニル)ピリジン誘導体、2-(1-ナフチル)ピリジン
誘導体又は2-フェニルキノリン誘導体であるのが好まし
い。これら誘導体は置換基を有してもよい。また、これ
らのオルトメタル化錯体形成に必須の配位子以外に他の
配位子を有していてもよい。オルトメタル化錯体を形成
する中心金属としては、遷移金属であればいずれも使用
可能であり、本発明ではロジウム、白金、金、イリジウ
ム、ルテニウム、パラジウム等を好ましく用いることが
できる。中でもイリジウムが特に好ましい。このような
オルトメタル化錯体を含む有機化合物層は、発光輝度及
び発光効率に優れている。オルトメタル化錯体について
は、特願2000-254171号の段落番号0152〜0180にもその
具体例が記載されている。
【0037】本発明で用いるオルトメタル化錯体は、In
org. Chem., 30, 1685, 1991、Inorg. Chem., 27, 346
4, 1988、Inorg. Chem., 33, 545, 1994、Inorg. Chim.
Acta, 181, 245, 1991、J. Organomet. Chem., 335, 2
93, 1987、J. Am. Chem. Soc., 107, 1431, 1985 等に
記載の公知の手法で合成することができる。
【0038】発光層中の燐光発光性化合物の含有量は特
に制限されないが、例えば0.1〜70質量%であり、1〜2
0質量%であるのが好ましい。燐光発光性化合物の含有
量が0.1質量%未満であるか、又は70質量%を超える
と、その効果が十分に発揮されない場合がある。
【0039】本発明において、発光層は必要に応じてホ
スト化合物、正孔輸送材料、電子輸送材料、電気的に不
活性なポリマーバインダー等を含有してもよい。
【0040】上記ホスト化合物とは、その励起状態から
燐光発光性化合物へエネルギー移動が起こり、その結
果、該燐光発光性化合物を発光させる化合物である。そ
の具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール
誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導
体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導
体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレン
ジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カ
ルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレ
ノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シ
ラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルア
ミン化合物、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン
化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導
体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘
導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン
誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレ
ン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン
誘導体、8-キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタ
ロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール等
を配位子とする金属錯体、ポリシラン化合物、ポリ(N-
ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン共重合体、チオ
フェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、
ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフ
ェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙
げられる。ホスト化合物は1種単独で使用しても2種以
上を併用してもよい。
【0041】正孔輸送材料は陽極から正孔を注入する機
能、正孔を輸送する機能、及び陰極から注入された電子
を障壁する機能のいずれかを有しているものであれば特
に限定されず、低分子材料であっても高分子材料であっ
てもよい。その具体例としては、カルバゾール誘導体、
トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジア
ゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアル
カン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フ
ェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミ
ノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、
フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘
導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、ス
チリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン化合物、ポル
フィリン化合物、ポリシラン化合物、ポリ(N-ビニルカ
ルバゾール)誘導体、アニリン共重合体、チオフェンオ
リゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオ
フェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレン
ビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられ
る。これらは単独で使用しても2種以上を混合して使用
してもよい。
【0042】電子輸送材料は陰極から電子を注入する機
能、電子を輸送する機能、及び陽極から注入された正孔
を障壁する機能のいずれかを有しているものであれば特
に限定されず、例えばトリアゾール誘導体、オキサゾー
ル誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導
体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、
ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導
体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘
導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン
等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘
導体、8-キノリノール誘導体の金属錯体、メタロフタロ
シアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール等を
配位子とする金属錯体、アニリン共重合体、チオフェン
オリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチ
オフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレ
ンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が使用可能
である。
【0043】ポリマーバインダーとしては、ポリ塩化ビ
ニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメ
タクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステ
ル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタ
ジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、
ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹
脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステ
ル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルアセタール等が使用可能
である。ポリマーバインダーを含有する発光層は、湿式
製膜法によって、容易に且つ大面積に塗布形成すること
ができる。
【0044】発光層の厚みは10〜200nmとするのが好ま
しく、20〜80nmとするのがより好ましい。厚みが200nm
を超えると駆動電圧が上昇する場合があり、10nm未満で
あると発光素子が短絡する場合がある。
【0045】(E)電子輸送層 本発明の発光素子は、必要に応じて上述した電子輸送材
料からなる電子輸送層を有してよい。電子輸送層は上述
のポリマーバインダーを含有してもよい。電子輸送層の
厚みは10〜200nmとするのが好ましく、20〜80nmとする
のがより好ましい。厚みが200nmを越えると駆動電圧が
上昇する場合があり、10nm未満であると発光素子が短絡
する場合がある。
【0046】(F)正孔輸送層 本発明の発光素子は、必要に応じて上述した正孔輸送材
料からなる正孔輸送層を有してよい。正孔輸送層は上述
のポリマーバインダーを含有してもよい。正孔輸送層の
厚みは10〜200nmとするのが好ましく、20〜80nmとする
のがより好ましい。厚みが200nmを越えると駆動電圧が
上昇する場合があり、10nm未満であると発光素子が短絡
する場合がある。
【0047】(G)その他 本発明の発光素子は、特開平7-85974号、同7-192866
号、同8-22891号、同10-275682号、同10-106746号等に
記載の保護層を有していてもよい。保護層は発光素子の
最上面に形成する。ここで最上面とは、基材、透明電
極、有機化合物層及び背面電極をこの順に積層する場合
には背面電極の外側表面を指し、基材、背面電極、有機
化合物層及び透明電極をこの順に積層する場合には透明
電極の外側表面を指す。保護層の形状、大きさ、厚み等
は特に限定されない。保護層をなす材料は、水分や酸素
等の発光素子を劣化させ得るものが素子内に侵入又は透
過するのを抑制する機能を有しているものであれば特に
限定されず、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、酸化ゲルマニ
ウム、二酸化ゲルマニウム等が使用できる。
【0048】保護層の形成方法は特に限定はなく、例え
ば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリン
グ法、分子センエピタキシ法、クラスターイオンビーム
法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、プラズ
マCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等
が適用できる。
【0049】また、発光素子には水分や酸素の侵入を防
止するための封止層を設けるのが好ましい。封止層を形
成する材料としては、テトラフルオロエチレンと少なく
とも1種のコモノマーとの共重合体、共重合主鎖に環状
構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポ
リユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロト
リフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレ
ン、クロロトリフルオロエチレン又はジクロロジフルオ
ロエチレンと他のコモノマーとの共重合体、吸水率1%
以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、金
属(In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Tl、Ni等)、金属酸
化物(MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、F
e2O3、Y2O3、TiO2等)、金属フッ化物(MgF2、LiF、AlF
3、CaF2等)、液状フッ素化炭素(パーフルオロアルカ
ン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等)、
該液状フッ素化炭素に水分や酸素の吸着剤を分散させた
もの等が使用可能である。
【0050】外部からの水分や酸素を遮断する目的で、
発光素子を封止板、封止容器等により、封止剤を用いて
封止するのが好ましい。封止板、封止容器等に用いる材
料としては、ガラス、ステンレス、金属(アルミ等)、
プラスチック(ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポ
リエステル、ポリカーボネート等)、セラミック等が使
用できる。封止剤としては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹
脂、二液型硬化樹脂等が使用可能である。
【0051】さらに本発明においては、封止容器と発光
素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を挿入して
もよい。水分吸収剤は特に限定されず、具体例としては
酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カ
ルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグ
ネシウム、五酸化リン、塩化カルシウム、塩化マグネシ
ウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カ
ルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオ
ライト、酸化マグネシウム等が挙げられる。不活性液体
としてはパラフィン類、流動パラフィン類、フッ素系溶
剤(パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パー
フルオロエーテル等)、塩素系溶剤、シリコーンオイル
類等が使用可能である。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0053】実施例1 厚み0.2mmのガラス板を2.5cm角に切断して基材を作製
し、これを真空チャンバー内に導入した。この基板上
に、SnO2含有率が10質量%であるITOターゲットを用い
て、DCマグネトロンスパッタ(条件:基材温度100℃、
酸素圧1×10-3Pa)により、ITO透明電極を形成した。
透明電極の厚みは0.2μmとし、その表面抵抗は10Ω/□
であった。
【0054】透明電極を形成した基材を洗浄容器に入れ
IPA洗浄した後、UV−オゾン処理を30分間行った。続い
てこの透明電極上にポリ(エチレンジオキシチオフェン)
・ポリスチレンスルホン酸水分散物(BAYER社製、Baytr
on P:固形分1.3%)をスピンコートし、150℃で2時間
真空乾燥して厚み100nmの正孔注入層を形成した。
【0055】次に、ポリビニルカルバゾール(Mw=6300
0、アルドリッチ製、正孔輸送材料兼ホスト材料)、ト
リス(2-フェニルピリジン)イリジウム錯体(燐光発光材
料)、及び2-(4-ビフェニリル)-5-(4-t-ブチルフェニ
ル)-1,3,4-オキサジアゾール(PBD、電子輸送材料)を4
0:1:12の質量比でジクロロエタンに溶解し、塗布液
を調製した。
【0056】得られた塗布液を図1に示す装置を用いて
脱酸素処理した。まず、塗布液2をフラスコ1に入れ、
これをコック4を閉じた状態ですりあわせ部3を介して
真空ライン9につなぎ合わせた。次にフラスコ1を液体
窒素6の入ったジュワー瓶5に入れて塗布液2を凝固さ
せ、コック4及び7を開き真空ポンプ8により真空ライ
ン9全体を真空にした。真空度は10-4mmHgであった。そ
の後、コック4を閉じ、ジュワー瓶5を取り除いてフラ
スコ1を室温まで徐々に暖め、塗布液に溶解していた酸
素ガスを泡として除去した。この操作を5回繰り返し、
酸素ガスの泡が出なくなったことを確認した。このとき
塗布液の酸素ガス溶解濃度は30ppmであった。脱酸素処
理後は、コック7を窒素ライン10側に開け、窒素ガスで
真空ライン全体を置換し、フラスコ1を取り外して栓を
して保存した。
【0057】脱酸素処理した塗布液をスピンコーターを
用いて上記正孔注入層の上に塗布し、室温で乾燥させて
厚み100nmの発光層を形成した。更にこの発光層上にパ
ターニングしたマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマ
スク)を設置し、蒸着装置内でマグネシウム/銀合金
(マグネシウム:銀=10:1(モル比))を0.25μm蒸
着し、銀を0.3μm蒸着して背面電極を形成した。透明電
極及び背面電極からアルミニウムのリード線を結線し、
積層構造体を形成した。この積層構造体を窒素ガスで置
換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止容器
で紫外線硬化型接着剤(長瀬チバ製、XNR5493)を用い
て封止し、実施例1の発光素子を作成した。
【0058】実施例2 発光層上に2,2',2''-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス
[3-(2-メチルフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン]
を1nm/秒の速度で蒸着して厚み0.024μmの電子輸送層
を設け、その上に背面電極を設けたこと以外は実施例1
と同様に、実施例2の発光素子を作成した。
【0059】比較例1 塗布液の脱酸素処理を行わないこと以外は実施例1と同
様に、比較例1の発光素子を作成した。
【0060】発光輝度及び発光効率の評価 東洋テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用い
て、上記のように得られた各発光素子に直流電圧を印加
して発光させ、輝度を測定した。各発光素子の最高輝度
Lmax、最高輝度Lmaxが得られるときの電圧Vmax、輝度20
0cd/m2で発光させたときの発光効率η200、輝度2000cd/
m2で発光させたときの発光効率η2000(外部量子効率)
を併せて表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】表1より、塗布液の脱酸素処理を行ってい
ない比較例1の発光素子と比較して、本発明の実施例1
及び2の発光素子は優れた発光輝度及び発光効率を示す
ことがわかる。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、三重項励起子を有
効に利用した本発明の発光素子は、発光効率、発光輝度
及び耐久性に優れ、製造コストが低く、且つ大面積化が
可能であるためにフルカラーディスプレイ、バックライ
ト、照明光源等の面光源、プリンター等の光源アレイ等
に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いる塗布液の脱酸素処理を行うた
めの装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1・・・フラスコ 2・・・塗布液 3・・・すりあわせ部 4・・・コック 5・・・ジュワー瓶 6・・・液体窒素 7・・・コック 8・・・真空ポンプ 9・・・真空ライン 10・・・窒素ライン

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材、透明電極、発光層を含む一層以上
    の有機化合物層及び背面電極を有する発光素子におい
    て、前記発光層が燐光発光性化合物を含有し、前記有機
    化合物層の少なくとも一層が、脱酸素処理した塗布液を
    用いた湿式製膜法により製膜した層であることを特徴と
    する発光素子。
  2. 【請求項2】 基材、透明電極、発光層を含む一層以上
    の有機化合物層及び背面電極を有する発光素子を製造す
    る方法において、前記発光層が燐光発光性化合物を含有
    し、前記有機化合物層の少なくとも一層を、脱酸素処理
    した塗布液を用いた湿式製膜法により製膜することを特
    徴とする発光素子の製造方法。
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