JP2002170666A - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法

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JP2002170666A
JP2002170666A JP2000363771A JP2000363771A JP2002170666A JP 2002170666 A JP2002170666 A JP 2002170666A JP 2000363771 A JP2000363771 A JP 2000363771A JP 2000363771 A JP2000363771 A JP 2000363771A JP 2002170666 A JP2002170666 A JP 2002170666A
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Hiroshi Shoji
弘 東海林
Yoshikazu Nagasaki
義和 長崎
Tadao Shibuya
忠夫 渋谷
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 定電流駆動による電圧上昇が極めて小さいと
ともに、耐熱性に優れた長寿命の有機EL素子およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 陽極層と陰極層との両電極層間に、少な
くとも発光層を含む有機層を挟持した有機エレクトロル
ミネッセンス素子において、陽極層の表面を誘導結合型
RFプラズマ支援マグネトロンスパッタ装置により逆ス
パッタ処理して、XPSによって測定される陽極層の表
面におけるIn原子の3d5/2軌道に由来するスペクト
ルピークの半値幅〔In3d5/2と、陽極層の内部
におけるIn原子の3d5/2軌道に由来するスペクトル
ピークの半値幅〔In3d5/2との比率(〔In3
5/2/〔In3d5/2)を0.9〜1.2の範
囲内の値とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機エレクトロル
ミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と称する場
合がある。)およびその製造方法に関し、特に、定電流
駆動による電圧上昇が極めて小さいとともに、長寿命の
有機EL素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は、透明電極であるITO
等を陽極層、対向電極としてAl等を陰極層とし、その
両電極間に有機発光層を挟持した構成である。そして、
両電極層から電子とホールとをそれぞれ有機発光層に注
入させて、再結合させることにより、有機発光分子を励
起状態とするとともに、この励起状態から基底状態に戻
る際のエネルギーを発光として取出す機構である。この
ような有機EL素子において、陽極層と、その上に積層
する有機発光層との密着性が不十分であり、それが原因
で、ダークスポットが発生して、発光効率が低下すると
いう問題が見られた。例えば、有機EL素子を定電流駆
動させた場合、時間とともに駆動電圧が大きく上昇する
ために、有機EL素子の寿命が短くなるという問題が見
られた。また、有機EL素子を高温条件下で駆動させた
場合に、発光が不均一化し、発光効率がさらに低下する
という問題も見られた。
【0003】そこで、陽極層と有機物層との間の密着性
を改善することを目的として、陽極層と有機物層との間
に、有機化合物や無機化合物からなるバッファー層を挿
入する構成が提案されている。例えば、特開平10−2
14683号公報には、陽極層と有機物層との間の接合
不良改善を目的として、Au、Pt等の金属や、MoO
x、VOx、SnOx、InOx、BaOx等の金属酸化
物、共役性ポリマー等からなる膜厚1〜500μmのア
モルファス膜を設けた有機EL素子が開示されている。
また、特開平3−105898号公報には、発光性能を
向上させることを目的として、通常有機物からなる正孔
輸送層や電子輸送層を、成膜状態に優れた膜厚500Å
程度のアモルファス半導体(p型またはn型)から構成
した有機EL素子が開示されている。さらに、特開平9
−63771号公報には、陽極であるITOと、正孔輸
送層との間に、仕事関数がITOよりも大きい金属酸化
物、例えばRuO、MoO、VOからなる膜厚5〜30
μmのエネルギー障壁層を形成した有機EL素子が開示
されている。しかしながら、いずれの有機EL素子も、
陽極層の表面状態については何ら考慮しておらず、陽極
層と有機物層との間の密着性の改良としては未だ不十分
であった。そのため、有機EL素子を定電流駆動させた
場合に、駆動電圧が上昇したり、ダークスポットが発生
するなどの問題が見られた。また、バッファー層の厚さ
が少なくとも1μm以上と厚いために、有機EL素子の
薄膜化が困難となったり、あるいは、製造時間が長くな
るという製造上の問題も見られた。
【0004】また、特開平9−324176号公報や、
特開平9−204985号公報では、陽極層と有機物層
との間の密着性を向上させるために、シランカップリン
グ剤で末端処理した正孔注入輸送材料を使用したり、チ
タネート系カップリングを用いて陽極層を表面処理した
有機EL素子が開示されている。しかしながら、いずれ
の有機EL素子も、陽極層と有機物層との間の密着性の
改良としては未だ不十分であり、むしろ発光特性がばら
つくという問題が見られた。
【0005】そこで、特開平9−260062号公報に
は、陽極であるITOと、有機物層とが直接的に接合す
ることを回避するために、正孔注入輸送材料を用いるか
わりに、ITOと無機半導体との混合物からなり、抵抗
率が20Ω・cm以下であって、膜厚が50〜1,00
0Å程度の混合層を形成した有機EL素子が開示されて
いる。しかしながら、かかる有機EL素子においても、
陽極層自体の表面状態については何ら考慮しておらず、
新たに陽極層と混合層との間の密着性が不十分となると
いう問題が見られた。
【0006】一方、特開平11−126689号公報に
は、有機EL素子を作製するにあたり、透明電極膜を形
成する前に基板に対して、RFスパッタにより逆スパッ
タ処理を行い、基板表面の最大表面粗さを15nm未満
とするとともに、平均粗さを10nm以下にした有機E
L素子の製造方法が開示されている。また、開示された
有機EL素子の製造方法では、通常のRFスパッタ装置
を用いているため、基板と、ターゲットの間の距離を4
〜15cm程度が好ましいとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
11−126689号公報に開示された製造方法では、
基板表面の凹凸を問題としているものの、陽極層の表面
組成については何ら考慮しておらず、陽極層と、有機物
層との間の密着性の改善としてはいまだ不十分であっ
た。また、通常のRFスパッタ装置を用いているため、
基板と、ターゲットの間の距離が狭く、逆スパッタ処理
の条件変更が困難であるという問題も見られた。したが
って、特開平11−126689号公報に開示された製
造方法によって得られる有機EL素子では、定電流駆動
させた場合の駆動電圧の上昇を抑制することが困難であ
り、情報表示機器や車載表示機器における実用上の性能
を満足できるものではなかった。この点、駆動電圧の上
昇の理由として、陽極層の表面に電荷注入性を低下させ
る表面欠陥が存在し、駆動電圧の上昇が生じることが見
出されている。すなわち、かかる表面欠陥部分は、陽極
層の表層部に存在する10Å程度の薄層であって、陽極
層内部(バルク)とは異なる組成を有している。この表
面欠陥は、有機EL素子の製造過程で不可避的に形成さ
れるものであり、例えば、陽極層表面の洗浄工程、ある
いはパターニング工程のエッチング残さ等に起因し、ま
たは、陽極層表面への水分吸着や、陽極層のバルクに含
まれる微量不純物原子、例えばSn原子の析出等により
形成されるものと推定されている。
【0008】そこで、本発明者らは、上記目的を達成す
るために鋭意研究を重ねた結果、陽極層そのものを改質
して表面欠陥を減少させること、より具体的には、陽極
層表面における表面欠陥を減少させて、陽極層内部と、
陽極層表面との組成関係を関係付けることにより、有機
物層との間の密着性を効果的に改良することができるこ
とを見出し、本発明を完成するに至ったものである。す
なわち、本発明は、定電流駆動時の電圧上昇が小さく、
かつ長寿命の有機EL素子を提供することを目的とす
る。また、本発明は、そのような長寿命の有機EL素子
が効率よく得られる製造方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、陽極層
と陰極層との両電極層間に、少なくとも発光層を含む有
機層を挟持した有機EL素子において、陽極層の表面に
おけるX線光電子分光法(XPS)によって測定される
In原子の3d5/2軌道に由来するスペクトルピーク
(以下、In3d5/2スペクトルピークと称する場合が
ある。)の半値幅(以下、FWHM(Full Width at
Half Maximum)と称する場合がある。)を〔In3
5/2とし、陽極層の内部におけるIn3d5/2スペ
クトルピークの半値幅を〔In3d5/2としたとき
に、当該半値幅の比率(〔In3d5/2/〔In3
5/2)を0.9〜1.2の範囲内の値とした有機
EL素子が提供され、上述した問題を解決することがで
きる。このように陽極層の表面と、陽極層の内部とのI
n3d5/2スペクトルピークにおける半値幅〔In3d
5/2〕の比率を所定範囲内の値に制限することにより、
表面欠陥の存在割合を少なくすることができる。したが
って、定電流駆動時の電圧上昇が小さく、かつ長寿命の
有機EL素子を提供することができる。
【0010】また、本発明の有機EL素子を構成するに
あたり、X線光電子分光法によって測定される陽極層の
表面の酸素1s軌道に由来するスペクトルピーク(以
下、酸素1sスペクトルピークと称する場合がある。)
において、結合エネルギーが530±0.5eVである
ピークをピークAとし、結合エネルギーが532±1.
0eVであるピークをピークBとするとともに、当該ピ
ークAの面積をSとし、当該ピークBの面積をS
した場合に、面積比S/Sが下記の関係式を満足す
ることが好ましい。 S/S<0.3 このように陽極層の表面と、陽極層の内部との酸素1s
スペクトルピークに着目することにより、さらに表面欠
陥の存在割合を正確に推定することができる。そのた
め、定電流駆動時の電圧上昇が小さく、かつ長寿命の有
機EL素子を提供することができる。
【0011】また、本発明の有機EL素子を構成するに
あたり、陽極層の表面に、逆スパッタ処理を施してある
ことが好ましい。このように構成することにより、陽極
層の表面における表面欠陥を効果的に減少させることが
できる。
【0012】また、本発明の有機EL素子を構成するに
あたり、逆スパッタ処理が、誘導結合型RFプラズマ支
援マグネトロンスパッタ(ICMS)による逆スパッタ
処理であることが好ましい。このように構成することに
より、陽極層の表面における表面欠陥を効果的に減少さ
せることができ、陽極層内部の組成と、陽極層表面との
組成を実質的に同一とすることができる。
【0013】また、本発明の有機EL素子を構成するに
あたり、陽極層と、発光層との間に、無機化合物または
カーボンからなる表面保護層が形成してあることが好ま
しい。このように構成することにより、陽極層の表面に
再び表面欠陥が生じることを有効に防止することがで
き、結果として、定電流駆動時の電圧上昇を効果的に抑
制することができる。また、このように構成することに
より、所定の耐熱性を得ることができる。
【0014】また、本発明の有機EL素子を構成するに
あたり、表面保護層を形成する無機化合物が、Ca、A
l、Si、Ge、およびCeからなる群から選択される
少なくとも一種の原子を含む酸化物、窒化物、酸窒化
物、硫化物、炭化物若しくは弗化物であることが好まし
い。このように構成することにより、比較的緻密な表面
保護層を形成することができ、例えば50Å以下の薄膜
であっても、定電流駆動時の電圧上昇を効果的に抑制す
ることができ、しかも、所定の耐熱性を得ることができ
る。
【0015】また、本発明の有機EL素子を構成するに
あたり、表面保護層を形成する有機化合物が、カーボン
であることが好ましい。このように構成することによ
り、その上に形成される有機物層との接合特性も向上さ
せることができ、しかも耐熱性についても向上させるこ
とができる。
【0016】また、本発明の有機EL素子を構成するに
あたり、表面保護層の膜厚を5〜100Åの範囲内の値
とすることが好ましい。このように構成することによ
り、表面保護層の電気絶縁性に起因した有機EL素子の
駆動電圧の上昇を防止することができ、一方、定電流駆
動時の電圧上昇を抑制することができるとともに、所定
の耐熱性を得ることができる。
【0017】また、本発明の有機EL素子を構成するに
あたり、陽極層が、酸化錫インジウム(ITO)または
酸化亜鉛インジウム(IZO)であることが好ましい。
このように従来透明電極として実績がある材料を使用す
ることにより、コストを低下したり、優れた耐熱性を得
ることができ、しかも、EL発光を外部に効果的に取り
出すことができる。
【0018】また、本発明の有機EL素子を構成するに
あたり、陽極層が、非晶質透明導電性酸化物であること
が好ましい。このように構成することにより、エッチン
グ特性にすぐれた有機EL素子を提供することができ
る。
【0019】また、本発明の有機EL素子を構成するに
あたり、半減期まで直流定電流の連続駆動を行った場合
の電圧上昇が、1V以下の値であることが好ましい。こ
のように半減期までの電圧上昇値を制限することによ
り、携帯用情報表示機器や車載用表示機器により適した
有機EL素子を提供することができる。
【0020】また、本発明の別の態様は、陽極層と陰極
層との両電極層間に、少なくとも発光層を含む有機層を
挟持した有機EL素子の製造方法において、基板上に陽
極層を形成する工程と、陽極層の表面に逆スパッタ処理
する工程と、発光層を含む有機層を形成する工程と、陰
極層を形成する工程と、を含むことを特徴とする有機E
L素子の製造方法である。このように実施することによ
り、陽極層の表面における表面欠陥の存在割合を少なく
することができ、結果として、定電流駆動時の電圧上昇
が小さく、かつ長寿命の有機EL素子を効果的に提供す
ることができる。なお、逆スパッタ処理とは、プラズマ
で生じるイオンとしてのスパッタガスを用いて、基板の
陽極層の表面に衝撃を与える表面処理と定義される。こ
の逆スパッタ処理は、スパッタ装置を用いて、ターゲッ
トの代わりに陽極層が形成された基板に対して、スパッ
タガスを照射することによって実施できる。
【0021】また、本発明の有機EL素子の製造方法を
実施するにあたり、陽極層の表面に逆スパッタ処理する
工程において、逆スパッタ処理すると同時に、無機化合
物またはカーボンからなる表面保護層を形成することが
好ましい。このように実施することにより、陽極層の表
面に、再び表面欠陥が生じることを有効に防止すること
ができる。
【0022】また、本発明の有機EL素子の製造方法を
実施するにあたり、逆スパッタ処理に、誘導結合型RF
プラズマ支援マグネトロンスパッタ(ICMS)を使用
することが好ましい。このように実施することにより、
陽極層の表面における表面欠陥の存在割合を効果的に少
なくすることができる。なお、逆スパッタ処理と実質的
に同じ効果を与えるものとして、プラズマ洗浄機構をあ
げることができる。
【0023】また、本発明の有機EL素子の製造方法を
実施するにあたり、逆スパッタ処理において、ヘリカル
コイルに対して、出力50〜200W、周波数が13.
56〜100MHzの高周波を印加し、カソードに対し
て、出力200〜500W、周波数が13.56〜10
0MHzの高周波を印加してプラズマ放電させるととも
に、マグネトロン磁界の強さを200〜300ガウスと
することが好ましい。このように実施することにより、
陽極層の表面における表面欠陥の存在割合をより効果的
に少なくすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】[第1の実施形態]第1の実施形
態は、陽極層と陰極層との両電極層間に、陽極層の表面
におけるX線光電子分光法(XPS)によって測定され
るIn3d5/2スペクトルピークの半値幅〔In3
5/2と、陽極層の内部におけるIn3d5/2スペク
トルピークの半値幅〔In3d5/2との比率(〔I
n3d5/2/〔In3d5/2)を0.9〜1.2
の範囲内の値とした有機EL素子である。以下、陽極層
が透明電極であると想定し、図1および図2等を適宜参
照しながら、第1の実施形態の有機EL素子を説明す
る。
【0025】(1)基板 図2に示す有機EL素子50における基板40として
は、透明性があって、十分な剛直を有する材料であるこ
とが好ましい。このような基板を配置することにより、
耐衝撃性等の機械的強度を高めるとともに、EL発光を
外部に効果的に取り出すことができる。また、このよう
な基板の構成材料としては、例えば、ガラス板、セラミ
ック板、プラスチック板(ポリカーボネート、アクリ
ル、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリイ
ミド、ポリエステル樹脂等)等を挙げることができる。
【0026】(2)陽極層1 図2に示す有機EL素子50における陽極層38の構成
材料としては、仕事関数が大きい材料(例えば、4eV
以上)を使用することが好ましく、例えば、ITOやI
ZO等が挙げられる。また、その他のアモルファス性透
明導電酸化物や、あるいはAg等の導電性が高い金属を
薄膜で積層したものや、サンドイッチ型としたものも好
ましい。また、陽極層から発光を外部に取り出す場合、
陽極層の透過率を10%以上の値とすることが好まし
く、50%以上の値とすることがより好ましい。また、
駆動電圧を低下できることから、陽極層のシート抵抗
を、1,000Ω/□以下の値とすることが好ましく、
500Ω/□以下の値とすることがより好ましい。さら
に、陽極層の膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1
μmの範囲内の値とすることが好ましく、10〜200
nmの範囲内の値とすることがより好ましい。なお、陽
極層は、構成材料を蒸着法やスパッタリング法等の方法
により、容易に形成することができる。
【0027】(3)陽極層2 図2に示す有機EL素子50における陽極層38は、例
えばITOやIZOから構成されており、これらの陽極
層38に表面欠陥が存在する場合、通常次のような特徴
が認められる。 Snの陽極層表面における析出、Znの陽極層表面で
の欠損により、相対的に陽極層内部ではSn濃度が低下
したり、Zn濃度が増加したりしている。 酸素空孔が陽極層表面で減少し、陽極層表面における
酸素原子の量が、陽極層内部の酸素原子量に比べて大き
い。 表面に水分等の不純物が吸着している。 バルク中に含まれる微量不純物が陽極層表面へ析出す
る。また例えば、窒素、フッ素、Na等の金属イオン等
が存在している。
【0028】そこで、表面欠陥が存在すると、その欠陥
の状況によりIn原子の(結合)価数が変化し、結果的
にInの内殻電子のエネルギー状態が変化することを利
用して、X線光電子分光法により、スペクトルピークの
半値幅を測定して、特定することができる。すなわち、
図3および図13に示すように、陽極層の表面および陽
極層の内部におけるIn3d5/2スペクトルピーク(横
軸に結合エネルギー(eV)を採り、縦軸にピーク強度
を採ったスペクトルピーク)をそれぞれ測定し、当該ス
ペクトルピークから、陽極層の表面におけるIn3d
5/2スペクトルピークの半値幅〔In3d5/2と、陽
極層内部におけるIn3d5/2スペクトルピークの半値
幅〔In3d5/2とを算出することができる。
【0029】次いで、これら半値幅の比率(〔In3d
5/2/〔In3d5/2)を算出し、その比率を
0.9〜1.2の範囲内の値に制御することにより、表
面欠陥の問題を回避することができる。この理由は、か
かる半値幅の比率が0.9未満の値となると、陽極層の
表面および陽極層の内部における組成が異なることにな
り、逆に定電流駆動時の電圧上昇が大きくなる場合があ
るためであり、一方、かかる半値幅の比率が1.2を超
えると、表面欠陥が多くなり、定電流駆動時の電圧上昇
が大きくなる場合があるためである。したがって、かか
る半値幅の比率を0.95〜1.15の範囲内の値とす
ることがより好ましく、1〜1.1の範囲内の値とする
ことがさらに好ましい。
【0030】また、かかる半値幅の比率は、後述するよ
うにスパッタガス流量を調節したり、あるいは、基板と
の距離、スパッタ時間、スパッタガスの種類、スパッタ
ガス圧、真空度等を適宜変更することにより、調節する
ことができる。なお、図3に、RFスパッタのAr
よって、ITO表面を1分間の条件で逆スパッタ処理し
た後の、XPSによるInの3d5/2軌道に由来するチ
ャート(以下、In3d5/2チャートと称する場合があ
る。)を記号Aで示す。また、比較のため、図3中、記
号Bで、逆スパッタ処理前のITO表面におけるXPS
によるIn3d5/2チャートを示し、記号Cで、逆スパ
ッタ処理後、5時間大気に暴露したITO表面における
XPSによるIn3d5/2チャートを示す。
【0031】さらに、図5において、記号Aは、RFス
パッタのArによって、ITO表面を1分間の条件で
逆スパッタ処理した後、さらに、20ÅのSiO2
(表面保護層)を設けた場合のITO表面におけるXP
Sによって測定されるIn3d 5/2スペクトルピークを
示す。したがって、記号Aで表わされるIn3d5/2
ペクトルピークは、SiO2膜をITO表面に設けてあ
って、ITO表面を大気と直接接触れさせていないの
で、表面欠陥が増加していない状態を示していると理解
される。また、ITO表面に20Å程度のSiO2
(表面保護層)を設けた状態であれば、XPSの測定原
理上、SiO2膜を排除しなくとも、そのままの状態
で、ITO表面のIn3d5/2スペクトルピークを測定
することができる。
【0032】一方、記号Bは、記号AにおけるSiO2
膜(表面保護層)を設けたITOを、XPSデプスプロ
ファイル検出用のArによってエッチングして、内部
のITOを露出させた状態、すなわちITO内部(50
Å)におけるIn3d5/2スペクトルピークを示してい
る。これらのIn3d5/2スペクトルピーク形状から、
ITO表面に逆スパッタ処理を施すことにより、陽極層
が改質され、より具体的には、陽極層表面の状態(記号
A)と、陽極層内部の状態(記号B)とが同質の構造と
なるとともに、陽極層表面における表面欠陥が少ないこ
とが理解される。ここで、ピークAの形状は、常温常湿
の大気に5時間暴露しても顕著な変化がない。このこと
から、表面保護層を設けることにより、一定時間の範囲
であれば、逆スパッタ後に表面欠陥が再び発生すること
を有効に防止できることが理解される。
【0033】なお、図9において、記号Aは、RFスパ
ッタのArによって、ITO表面を1分間の条件で逆
スパッタ処理した後、さらに、20ÅのSiO2膜(表
面保護層)を設けた場合のITO表面におけるXPSに
よって測定されるSn原子の3d5/2のスペクトルピー
ク(以下、Sn3d5/2スペクトルピークと称する場合
がある。)を示す。また、記号Bは、記号AにおけるS
iO2膜(表面保護層)を設けたITOを、XPSデプ
スプロファイル検出用のArによってエッチングし
て、内部のITOを露出させた状態、すなわちITO内
部(50Å)のSn3d5/2のスペクトルピークを示
す。この図9から、ITO表面に対して、逆スパッタ処
理を施すことにより、ITO表面から表面不良層、すな
わち、Sn原子の構成比率が変化した箇所を有効に除去
できることが理解される。
【0034】(4)陽極層3 また、表面保護層が酸化物あるいは複合酸化物でない場
合、陽極層における表面欠陥の存在を、X線光電子分光
法により測定される酸素1sスペクトルピークに着目し
て、推定することができる。すなわち、結合エネルギー
が530±0.5eVである酸素1sスペクトルピーク
をピークAとし、結合エネルギーが532±1.0eV
である酸素1sスペクトルピークをピークBとするとと
もに、当該ピークAの面積をSとし、当該ピークBの
面積をSとした場合に、面積比S/Sが下記の関
係式を満足することが好ましい。 S/S<0.3 この理由は、かかる面積比S/Sが0.3以上の値
となると、本来Inの酸化物起源の酸素に比して、不純
物起源である吸着酸素の割合が、許容範囲以上に増加す
ることを意味する場合があるためである。したがって、
かかる面積比S/Sを0.2以下の値とすることが
より好ましく、かかる面積比S/Sを0.1以下の
値とすることがさらに好ましい。また、かかる面積比
は、後述するようにスパッタガス流量を調節したり、あ
るいは、基板との距離、スパッタ時間、スパッタガスの
種類、スパッタガス圧、真空度等を適宜変更することに
より、調節することができる。
【0035】なお、図4に、RFスパッタのArによ
って、ITO表面を1分間の条件で逆スパッタ処理した
後の、XPSによる酸素1s軌道に由来するスペクトル
ピークのチャート(以下、酸素1sチャートと称する場
合がある。)を記号Aで示す。また、比較のため、図4
中、記号Bで、逆スパッタ処理前のITO表面における
XPSによる酸素1sチャートを示し、記号Cで、逆ス
パッタ処理後、5時間大気に暴露したITO表面におけ
るXPSによる酸素1sチャートを示す。さらに、図6
に20Åのカーボン膜を設けたITO表面のXPSによ
る酸素1sチャートを記号Aで示し、そのカーボン膜を
設けたITOを24時間大気に暴露したITO表面のX
PSによる酸素1sチャートを記号Bで示す。なお、大
気暴露10時間までは、酸素1sチャートは記号Aと比
べて、顕著に変化しないことを別途確認している。
【0036】この図6に示される、記号Aで示されるチ
ャートを波形分離して得られるチャートをA1、A2と
して図7に示す。同様に、図6に示されるチャートBを
波形分離して得られるチャートをB1、B2およびB3
として図8に示す。これらの波形分離チャートから、大
気圧下にカーボン付のITOを長時間放置した場合、I
TO表面の組成が変化し、表面不良層が生成することが
わかる。また、大気暴露10時間までは、酸素1sチャ
ートは記号Aと比べて、顕著に変化しないことから、カ
ーボン保護膜を成膜後しばらくは(5〜10時間)、表
面不良層が除去された状態を維持していることも理解さ
れる。一方、陽極層における表面欠陥の存在を推定する
にあたり、X線光電子分光法(XPS)により、In3
5/2スペクトルピークにおける半値幅や、酸素1sス
ペクトルピークを測定するかわりに、陽極層の表面にお
ける原子濃度比〔Sn/In〕と、陽極層の内部にお
ける原子濃度比〔Sn/In〕とを測定し、その比率
(〔Sn/In〕/〔Sn/In〕)を比較するこ
とも考えられる。しかしながら、XPSを用いたとして
も、測定されるSnおよびInの濃度がばらつき、陽極
層の表面および内部での原子濃度比〔Sn/In〕を正
しく測定することができないことが判明している。
【0037】(5)陰極層 図2に示す有機EL素子50における陰極層32の構成
材料としては、仕事関数が小さい材料(例えば、4eV
未満)を使用することが好ましく、例えば、金属、合
金、電気伝導性化合物等が挙げられる。このような構成
材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム・カリ
ウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀
合金、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)、
アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属
などが挙げられる。
【0038】また、陰極層のシート抵抗についても、
1,000Ω/□以下の値とすることが好ましく、50
0Ω/□以下の値とすることがより好ましい。また、陰
極層の膜厚については、10nm〜1μmの範囲内の値
とすることが好ましく、50〜200nmの範囲内の値
とすることがさらに好ましい。なお、陰極層について
も、構成材料を蒸着法やスパッタリング法等の方法で、
薄膜として形成させることができる。
【0039】(6)有機層 図2に示す有機EL素子50における有機層34として
は、再結合領域および発光領域を有するものが用いられ
る。この再結合領域および発光領域は、通常発光層に存
在するため、本発明においては、有機層として発光層の
みを用いてもよいが、必要に応じて、発光層以外に、た
とえば正孔注入層、電子注入層、有機半導体層、電子障
壁層、付着改善層などを形成することも好ましい。
【0040】発光層 本発明における好ましい発光層については、発光材料
(ホスト材料)として、例えば、ジスチリルアリレーン
系化合物が挙げられる。また、この発光層は、樹脂など
の結着材と共に溶剤に溶かして溶液とした後、これをス
ピンコート法などにより薄膜化して形成することができ
る。なお、このようにして形成された発光層の膜厚につ
いては、特に制限はなく、適宜状況に応じて選ぶことが
できるが、好ましくは1nm〜10μm、特に好ましく
は5nm〜5μmの範囲の値とすることがよい。
【0041】電子注入層(付着改善層を含む。) 電子注入層は、発光層への電子の注入性を向上させるた
めの有機層であって、電子移動度が大きいことが好まし
い。また付着改善層は、電子注入層の中の一種である
が、電子移動度が大きいのみならず、陰極との付着性が
良い材料からなる層である。したがって、電子注入層に
用いられる材料としては、たとえば8−ヒドロキシキノ
リン、8−ヒドロキシキノリン誘導体等の金属錯体、あ
るいはオキサジアゾール誘導体が好ましく挙げられる。
また、付着改善層に用いられる材料としては、8−ヒド
ロキシキノリンや、または8−ヒドロキシキノリン誘導
体等の金属錯体であることが好適である。
【0042】正孔注入層 正孔注入層は、発光層への正孔注入を容易にするために
設けられる有機層である。そのため、正孔移動度が大き
く、イオン化エネルギーが、通常5.5eV以下と小さ
い有機材料から構成することが好ましい。また、正孔注
入層としては、低い電界で正孔を発光層に輸送可能な材
料から構成することが好ましく、たとえば1×104
1×106V/cmの電界印加時に、正孔の移動度が、
少なくとも1×10-6cm2/V・秒以上の値であるこ
とが好ましい。なお、このような正孔注入材料として
は、例えば、ポルフィリン化合物が挙げられる。
【0043】(7)表面保護層 図2に示す有機EL素子50のように、陽極層38の表
面に、表面保護層36を設けることが好ましい。このよ
うな表面保護層を形成することによって、その後に表面
欠陥が発生することを有効に防止することができる。ま
た、このような表面保護層を設けることにより、陽極と
有機物層との密着性をさらに高めることができ、しかも
有機EL素子の耐熱性をより向上させることもできる。
【0044】構成材料 表面保護層の構成材料としては、例えばLi、Na、
K、Rb、Cs、Cu、Mg、Ba、Ca、Sr、Z
n、Cd、Al、Ga、In、Sc、Y、Si、Ge、
Ti、Zr、Hf、Sb、Nb、Ta、Se、Cr、
W、Fe、Co、Yb、Eu、Ce、La、Rb、L
u、Ho、Er、SmまたはTmから選ばれた一種単独
または二種以上の原子を含む酸化物、窒化物、酸窒化
物、硫化物、炭化物、または弗化物等の無機化合物が挙
げられる。さらに有機化合物であるが、表面保護層の構
成材料として、カーボンを用いることも好ましい。
【0045】具体的には、表面保護層を形成する無機化
合物として、LiOx、LiNx、NaOx、KOx、
RbOx、CsOx、BeOx、MgOx、MgNx、
CaOx、CaNx、SrOx、BaOx、ScOx、
YOx、YNx、LaOx、LaNx、CeOx、Pr
Ox、NdOx、SmOx、EuOx、GdOx、Tb
Ox、DyOx、HoOx、ErOx、TmOx、Yb
Ox、LuOx、TiOx、TiNx、ZrOx、Zr
Nx、HfOx、HfNx、ThOx、VOx、VN
x、NbOx、NbNx、TaOx、TaNx、CrO
x、CrNx、MoOx、MoNx、WOx、WNx、
MnOx、ReOx、FeOx、FeNx、RuOx、
OsOx、CoOx、RhOx、IrOx、NiOx、
PdOx、PtOx、CuOx、CuNx、AgOx、
AuOx、ZnOx、CdOx、HgOx、BOx、B
Nx、AlOx、AlNx、GaOx、GaNx、In
Ox、SiNx、GeOx、SnOx、PbOx、PO
x、PNx、AsOx、SbOx、SeOx、TeOx
などの金属酸化物や金属窒化物(各組成式中xは 1/
2 〜 2 である。)が挙げられる。また、LiAl
2、Li2SiO3、Li2TiO3、Na2Al23、N
aFeO2、Na4SiO4、K2SiO3、K2TiO3
2WO4、Rb2CrO4、Cs2CrO4、MgAl
24、gFe24、MgTiO3、CaTiO3、CaW
4、CaZrO3、SrFe1219、SrTiO3、S
rZrO3、BaAl24、BaFe1219、BaTi
3、Y3Al512、Y3Fe512、LaFeO3、La
3Fe512、La2Ti27、CeSnO4、CeTiO
4、Sm3Fe512、EuFeO3、Eu3Fe512、G
dFeO3、Gd3Fe512、DyFeO3、Dy3Fe5
12、HoFeO3、Ho3Fe512、ErFeO3、E
3Fe512、Tm3Fe512、LuFeO3、Lu3
512、NiTiO3、Al2TiO3、FeTiO3
BaZrO3、LiZrO3、MgZrO3、HfTi
4、NH4VO3、AgVO3、LiVO3、BaNb2
6、NaNbO3、SrNb26、KTaO3、NaTa
3、SrTa26、CuCr24、Ag2CrO4、B
aCrO 4、K2MoO4、Na2MoO4、NiMoO4
BaWO4、Na2WO4、SrWO4、MnCr24、M
nFe24、MnTiO3、MnWO4、CoFe24
ZnFe24、FeWO4、CoMoO4、CoTi
3、CoWO4、NiFe24、NiWO4、CuFe2
4、CuMoO4、CuTiO3、CuWO4、Ag2
oO4、Ag2WO4、ZnAl24、ZnMoO4、Zn
WO4、CdSnO3、CdTiO3、CdMoO4、Cd
WO4、NaAlO2、MgAl24、SrAl 24、G
3Ga512、InFeO3、MgIn24、Al2Ti
5、FeTiO3、MgTiO3、Na2SiO3、Ca
SiO3、ZrSiO4、K2GeO3、Li2GeO3、N
2GeO3、Bi2Sn39、MgSnO3、SrSnO
3、PbSiO3、PbMoO4、PbTiO3、SnO2
−Sb23、CuSeO4、Na2SeO3、ZnSe
3、K2TeO3、K2TeO4、Na2TeO3、Na2
eO4などの金属複合酸化物、FeS、Al23、Mg
S、ZnSなどの硫化物、LiF、MgF2、SmF3
どのフッ化物、HgCl、FeCl2、CrCl3などの
塩化物、AgBr、CuBr、MnBr2などの臭化
物、PbI2、CuI、FeI2などのヨウ化物、また
は、SiAlONなどの金属酸化物等が挙げられる。
【0046】これらの無機化合物中、より緻密な表面保
護層が得られることから、Ca、Al、Si、Ge、C
eから選ばれた一種または二種以上の金属原子を含む酸
化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、炭化物若しくは弗化
物が好ましい。また、駆動電圧が過度に上昇しないこと
から、CaS、Al23、AlN、SiO2、SiC、
GeO2、CeO2がより好ましく、性能上および取扱い
がさらに容易なことから、SiOが最も好適な材料で
ある。ただし、表面保護層の構成材料として、Siの酸
化物を使用する場合、SiO 2に限定するものではな
く、SiO(xは、1<x≦2)であれば良い。xが
2以外のSiOであっても、SiO2と同様の性能が
得られることが判明しているためである。
【0047】膜厚 表面保護層の膜厚を1〜100Åの範囲内の値とするこ
とが好ましい。この理由は、かかる表面保護層の膜厚が
1Å未満となると、均一な膜が形成されない場合がある
ためであり、一方、表面保護層の膜厚が100Åを超え
ると導電性が低下し、高電圧化する場合があるためであ
る。したがって、表面保護層の膜厚を5〜75Åの範囲
内の値とすることがより好ましく、10〜45Åの範囲
内の値とすることがさらに好ましい。
【0048】(8)構成例 以下に、有機EL素子の好ましい代表的な構成例を示
す。 透明電極(陽極)/表面保護層/発光層/陰極 透明電極(陽極)/表面保護層/正孔注入層/発光層
/陰極 透明電極(陽極)/表面保護層/発光層/電子注入層
/陰極 透明電極(陽極)/表面保護層/正孔注入層/発光層
/電子注入層/陰極 陽極/表面保護層/有機半導体層/発光層/表面保護
層/透明電極(陰極) 陽極/表面保護層/有機半導体層/電子障壁層/発光
層/表面保護層/透明電極(陰極) 陽極/表面保護層/正孔注入層/発光層/付着改善層
/表面保護層/透明電極(陰極) これらの構成例中、通常の構成が好ましく用いられ
る。
【0049】[第2の実施形態]第2の実施形態は、有
機EL素子の製造方法であり、以下の第1〜第4の工程
とを含むことを特徴としている。 第1の工程:基板上に陽極層を形成する工程 第2の工程:陽極層の表面に逆スパッタ処理する工程 第3の工程:発光層を含む有機層を形成する工程 第4の工程:陰極層を形成する工程
【0050】(1)第1の工程 陽極層の形成方法については、特に制限はないが、水分
吸着の影響を避けるために、蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法、CV
D法(chemical vapor deposition)、MOCVD法(m
etal-organic chemical vapor deposition)、プラズマ
CVD法(plasma chemical vapor deposition)などの
ドライ成膜法を採ることが好ましい。
【0051】(2)第2の工程 第2の工程は、陽極層の表面に逆スパッタ処理する工程
であるが、表面欠陥を効果的に除去することができるた
め、スパッタリング法を用いて、逆スパッタ処理を施す
のが好適である。すなわち、カソード(ターゲット)に
かかるパワーを下げて、プラズマのみが陽極層の表面に
到達し、スパッタリング粒子(表面保護層材料)につい
ては、陽極層の表面に到達しないような条件で実施すれ
ばよい。以下、第2の工程における逆スパッタ処理条件
について、説明する。
【0052】RFスパッタ装置 ここで、逆スパッタリング処理を実施するにあたり、陽
極層の表面において、効果的に表面欠陥を少なくするこ
とができることから、通常のRFスパッタ装置を使用す
ることが好ましいが、RFスパッタ装置のうち、特に図
1に示すような誘導結合型RFプラズマ支援マグネトロ
ンスパッタリング装置(ICMS)10を用いたヘリカ
ルスパッタ法とすることがより好ましい。かかるICM
S10は、図1に示すように、RF帯域に高周波を供給
し得る電源30と、ヘリカルコイル(誘導結合用コイ
ル)18とが、ターゲット20付近に設けてある一方、
ターゲット20の背面にマグネトロン磁界発生装置28
が設けられた構成としてある。また、かかるICMS1
0では、図1に示すように、ターゲット20と対向し
て、基板14が設けてあり、スパッタガス17によっ
て、基板14の表面を逆スパッタすることが可能な構成
としてある。
【0053】ターゲットと基板との距離 また、ICMSでは、通常のRFスパッタ装置等と比較
して、ターゲットと基板との距離を比較的長くすること
ができるという特徴がある。したがって、かかるICM
Sによれば、ターゲットと基板との距離を広範囲に変え
て調節することにより、表面欠陥を効果的に少なくする
ことができるとともに、基板(ITO基板)に与えるス
パッタダメージを抑制することもできる。また、具体的
に、ターゲットと基板との距離を15〜50cmの範囲
内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる距離
が15cm未満の値となると、逆スパッタ処理の制御
や、スパッタダメージを抑制することが困難となる場合
があるためであり、一方、かかる距離が50cmを超え
ると、表面欠陥を効果的に少なくすることが困難となる
場合があるためである。したがって、かかる距離を、2
0〜40cmの範囲内の値とすることがより好ましく、
25〜35cmの範囲内の値とすることがさらに好まし
い。
【0054】電気出力および周波数 ICMSを用いて、ヘリカルスパッタ法を実施するにあ
たり、ヘリカルコイルに対して、電気出力50〜200
W、周波数が13.56〜100MHzの高周波を印加
するとともに、カソードに対しては、電気出力200〜
500W、周波数が13.56〜100MHzの高周波
を印加してプラズマ放電させることが好ましい。この理
由は、金属酸化物等からなる陽極保護層を形成する場
合、あるいは逆スパッタを行う場合、基板へスパッタダ
メージを与えないためである。したがって、ヘリカルコ
イルに対して、電気出力50〜200W、周波数が1
3.56〜100MHzの高周波を印加するとともに、
カソードに対しては、電気出力200〜500W、周波
数が13.56〜100MHzの高周波を印加してプラ
ズマ放電させることがより好ましい。
【0055】マグネトロン磁界 また、マグネトロン磁界の強さを200〜300ガウス
の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かか
るマグネトロン磁界の強さが200ガウス未満の値とな
ると、プラズマ放電を持続するために必要な磁界が維持
できなくなる場合があるためであり、一方、かかるマグ
ネトロン磁界の強さが300ガウスを超えると、装置に
もよるがプラズマの閉じ込め状態が変化し、均一な放電
を維持するのが困難となる場合があるためである。した
がって、マグネトロン磁界の強さを200〜300ガウ
スの範囲内の値とすることがより好ましく、230〜2
70ガウスの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0056】スパッタ時間 また、ICMSを用いて、ヘリカルスパッタ法を実施す
るにあたり、スパッタ時間を0.1〜60分の範囲内の
値とすることが好ましい。この理由は、かかるスパッタ
時間が0.1分未満の値となると、逆スパッタ処理の制
御や、スパッタダメージを抑制することが困難となる場
合があるためであり、一方、スパッタ時間が60分を超
えると、処理時間が過度に長くなる場合があるためであ
る。したがって、かかるスパッタ時間を、1〜30分の
範囲内の値とすることがより好ましく、2〜15分の範
囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0057】スパッタガス また、スパッタガスとしては、通常使用される不活性ガ
スを使用することが好ましいが、例えば、Ar、Xe、
Kr等の希ガスが挙げられる。そして、このようなスパ
ッタガスの圧力を、0.01〜3Paの範囲内の値とす
ることが好ましい。この理由は、かかるスパッタガス圧
力が0.01Pa未満の値となると、表面欠陥を効果的
に少なくすることが困難となる場合があるためであり、
一方、スパッタガス圧力が3Paを超えると、スパッタ
されたターゲット粒子が、(スパッタ用)ガス分子によ
り障害を受け、スパッタによる成膜速度が著しく低下す
る場合があるためである。したがって、かかるスパッタ
ガス圧力を、0.05〜1Paの範囲内の値とすること
がより好ましく、0.1〜0.25Paの範囲内の値と
することがさらに好ましい。
【0058】また、スパッタガス流量を50〜500s
ccm(standard cubic centimeter per minute)
の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かか
るスパッタガス流量が50sccm未満の値となると、
効果的に表面欠陥を除去することが困難となる場合があ
るためであり、一方、かかるスパッタガス流量が500
sccmを超えると、半値幅の制御が困難となる場合が
あるためである。したがって、かかるスパッタガス流量
を、70〜300sccmの範囲内の値とすることがよ
り好ましく、80〜250sccmの範囲内の値とする
ことがさらに好ましい。
【0059】なお、図10に、実施例1において、逆ス
パッタ処理時のスパッタガス流量を、80sccm、1
40sccm、および200sccmに変えた場合にお
ける、XPSによるIn3d5/2スペクトルピークへの
影響を示す。また、図11に、逆スパッタ処理時のスパ
ッタガス流量を同様に変えた場合における、Sn3d
5/2スペクトルピークへの影響を示す。さらに、図12
に、逆スパッタ処理時のスパッタガス流量を同様に変え
た場合における、酸素1sスペクトルピークへの影響を
示す。それぞれ試験したスパッタガス流量においては、
スパッタガス流量が多いものほど、各スペクトルピーク
の半値幅が小さい傾向が見られた。
【0060】真空度 また、ICMSを用いて、ヘリカルスパッタ法を実施す
るにあたり、真空度を0.01〜3Paの範囲内の値と
することが好ましい。この理由は、かかる真空度が0.
01Pa未満の値となると、放電持続の下限以下とな
り、放電が停止する場合があるためであり、一方、かか
る真空度が3Paを超えると、希ガスなどの放電用ガス
が、スパッタ粒子が基板に到達するのを妨害し、スパッ
タ(成膜)速度が低下する場合があるためである。した
がって、かかる真空度を0.1〜3Paの範囲内の値と
することがより好ましく、0.5〜1.5Paの範囲内
の値とすることがさらに好ましい。
【0061】(3)第3の工程 第3の工程は、発光層を含む有機層を形成する工程であ
る。かかる有機層の形成方法については、特に制限はな
いが、水分吸着の影響を避けるために、蒸着法、スパッ
タリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着
法、CVD法、MOCVD法、プラズマCVD法などの
ドライ成膜法を採ることが好ましい。なお、有機層の構
成については、第1の実施形態と同様の内容とすること
が好ましい。
【0062】(4)第4の工程 第4の工程は、陰極層を形成する工程であって、水分吸
着の影響を避けるために、有機層の形成と同様に、蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子
ビーム蒸着法、CVD法、MOCVD法、プラズマCV
D法などのドライ成膜法を採ることが好ましい。なお、
陰極層の構成については、第1の実施形態と同様の内容
とすることが好ましい。
【0063】[第3の実施形態]第3の実施形態は、有
機EL素子の製造方法であり、第2′の工程を含む第1
〜第4の工程とからなることを特徴としている。 第1の工程:基板上に陽極層を形成する工程 第2の工程:陽極層の表面に逆スパッタ処理する工程 第2′の工程:陽極層の表面に表面保護層を形成する工
程 第3の工程:発光層を含む有機層を形成する工程 第4の工程:陰極層を形成する工程 以下、第3の実施形態における特徴である第2′の工程
について説明する。
【0064】第2′の工程においては、陽極層の表面欠
陥を除去した後、あるいは表面欠陥を除去するのと同時
に、無機化合物あるいはカーボンからなる表面保護層を
形成することが好ましい。このように表面保護層を形成
することにより、陽極層の表面に、再び表面欠陥が生じ
ることを有効に防止することができる。なお、表面保護
層の構成材料や、厚さ等については、第1の実施形態と
同様の内容とすることができる。
【0065】(1)形成方法1 ここで、表面保護層を形成する具体的な形成方法として
は、スパッタリング法を用い、次のような手順によるこ
とが好ましい。 ガス導入前の真空度を5×10-3Pa以下の値、より
好ましくは1×10-4Pa以下の値とする。 Ar等の放電ガスを真空チャンバーへ導入する。この
ときの真空度を1×10 0〜1×10-2Paの範囲内の
値とすることが好ましく、0.3〜1.0Paの範囲内
の値とすることがより好ましい。 ヘリカルコイル(誘導結合用コイル)へ50〜200
W、カソードへ200〜500W、周波数が各々13.
56〜100MHzの高周波を印加し、プラズマ放電を
おこさせる。このときのマグネトロン磁界の強さを20
0〜300ガウスとすることが好ましい。 十分な逆スパッタ処理により、ITO表面およびター
ゲット表面のクリーニングを行なう。この際、少なくと
も5分以上、とくにターゲット交換後の初回は30分以
上行なうことが好ましい。 次に、メインシャッターを開けて、所定膜厚(5〜1
00Å)になるまで表面保護層を成膜する。 このような方法を採ることにより、陽極層の表面に対し
て、表面欠陥を除去するのに適度の運動エネルギーを与
えることができ、その結果、表面欠陥を効果的に除去
し、さらには表面欠陥を除去した表面上に無機化合物か
らなる表面保護層を容易に形成することもできる。
【0066】(2)形成方法2 また、第2′の工程を実施するにあたり、図1に示すよ
うな誘導結合型RFプラズマ支援マグネトロンスパッタ
リング装置を用いて、ヘリカルスパッタ法を採ることが
好ましい。この理由は、表面欠陥を除去するのと同時
に、さらに表面欠陥を除去した表面上に無機化合物から
なる表面保護層を容易に形成することができるためであ
る。なお、表面保護層を形成する場合は、ターゲットと
して、表面保護層用の無機化合物を用いれば良い。
【0067】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。ただし、本発明はこれらの実施例の記載によ
り、何ら限定されるものではない。
【0068】[実施例1] (1)陽極層付き基板の準備 縦25mm、横75mm、厚さ1.1mmのガラス基板
上に、膜厚120nmのITO(陽極)が形成された基
板を用意した。この基板を、イソプロピルアルコール、
純水、イソプロピルアルコールの各溶媒中に順次に浸漬
した状態で、超音波洗浄をそれぞれ3分間行った。次い
で、クラス1,000のクリーンルーム内にて、ガラス
基板に対して、乾燥窒素を吹き付けて有機溶媒等を除去
し、その後、UV/オゾン洗浄機を用いて、さらにIT
O表面を洗浄した。
【0069】次いで、図1に示す誘導結合型RFプラズ
マ支援マグネトロンスパッタ装置10を用いて、基板の
ITO表面に対して逆スパッタ処理を施すとともに、表
面保護層として、SiO2を20Å成膜した(以下ヘリ
カルスパッタ法)。具体的には以下の手順で成膜した。 ターゲットとしてSiO2をセットし、また洗浄済の
基板をスパッタチャンバーへセットした。ターゲットか
ら基板までの距離を30cmとした。 次いで、真空排気を行い、真空度が2×10-4Pa以
下となったことを確認後、放電ガスとしてArガスをマ
スフローコントローラーにて80sccm導入した。こ
のときの真空度は0.38Paであった。 次いで、ターゲット直上のメインシャッターを閉じた
状態で、周波数13.56MHzの誘導結合用コイルに
50W、SiO2ターゲット(カソード)に、同じく周
波数13.56MHz、500Wの高周波を印加し、プ
ラズマ放電を起こした。このとき各コイルの反射はいず
れも5W以下であった。そして、メインシャッターを閉
じた状態で、5分間、プラズマ放電を継続させ、ITO
表面およびSiO2のターゲット表面に対して、逆スパ
ッタ処理を行った。
【0070】次いで、メインシャッターを開けて、6
分20秒間、ITO表面上にSiO2膜の形成を行っ
た。これにより膜厚20ÅのSiO2が、ITO上に形
成された。 次いで、SiO2が積層したITO基板をスパッタチ
ャンバーから取りだし、X線光電子分光装置の真空槽へ
投入した。 ITO表面、およびAr+イオンによるスパッタ後の
深さ50Åに相当するITO内部(バルク)における、
In原子についての3d5/2の半値幅の分析を行った。
【0071】その結果、In原子についての3d5/2
半値幅は、SiO2/ITOの構成をもつ表面における
値(SiO2を介して測定したIn3d5/2の半値幅)は
1.85eVであり、ITO内部(深さ50Å)では、
1.71eVであった。すなわち、ITO組成に関し
て、表面と、深さ50Åの内部とでは、顕著な差がない
ことがわかった。
【0072】(2)有機EL素子の作製 (1)で得られた厚さ20ÅのSiO2を積層した基板
上に、青色の有機EL素子を、真空状態を保持したま
ま、一連の工程で形成した。すなわち、陽極上の表面保
護層としてSiO2が積層された基板を真空蒸着装置に
収容した後、真空排気を行い(真空度2×10-4Pa以
下)、次いで、以下の条件で有機EL素子を作製した。
【0073】第1の正孔注入層 4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル) -N-フェニ
ルアミノ] -トリフェニルアミン(以下MTDATAと略す。) 蒸着速度:0.1〜0.3nm/s 膜厚:60nm
【0074】第2の正孔注入層 4,4’-トリス[N-(3-ナフチル) -N-フェニルアミノ]ビフ
ェニル (以下、NPDと略す。) 蒸着速度:0.1〜0.3nm/s 膜厚:20nm
【0075】発光層(発光材料ホスト/ドーパント) 膜厚:40nm 発光材料ホスト 4,4’ -ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル(以下DP
VBiと略す。) 蒸着速度:0.4nm/s ドーパント 4,4’-ビス(2-(4-(N、N-ジ-p-トリル)フェニル)ビニル)
ビフェニル(以下、DTAVBiと略す。) 蒸着速度:0.01nm/s ドーパント濃度:2.5重量%
【0076】電子輸送層 トリス(8-キノリノール)アルミニウム(以下Alqと略
す。) 蒸着速度:0.1〜0.3nm/s 膜厚:20nm
【0077】陰極 Al/Liの合金材料(Li濃度10at.%) 蒸着速度:0.5〜1.0nm/s 膜厚:150nm
【0078】(3)有機EL素子の評価 このようにして作成した有機EL素子に、直流6Vを印
加すると、電流値が4.16mA/cm2、発光輝度が
378nitの青色発光が観察された。また、電力変換
効率は、4.75lm/Wであった。さらに、4×8m
mの発光領域において、目視による無発光点は観測され
ず、発光も均一であった。また、この作製した有機EL
素子を初期1,000nitで直流定電流駆動した場合
に、輝度が半減するまでの時間、すなわち、半減時間を
測定したところ、2,250時間であり、この間の電圧
上昇値は0.32Vであった。これらの結果を表1およ
び2に示す。
【0079】[比較例1] (1)陽極層付き基板(ITO基板)の準備 実施例1で準備したITO基板において、表面保護層と
してのSiO2を形成しなかったほかは、同様のITO
基板を準備した。すなわち、実施例1において有機溶媒
による湿式洗浄、その後のUV/O洗浄が終わった時
点でSiO2を形成することなく、素早くX線光電子分
光装置(XPS)の真空槽へ投入し、ITO表面および
ITO内部(深さ50Å)の3d 5/2の半値幅を測定し
た。その結果、In原子における3d5/2の半値幅につ
いては、該基板表面が2.32eV、ITO内部(深さ
50Å)では1.71eVであった。したがって、IT
O組成に関して、ITO表面と、ITO内部とでは、著
しく異なることがわかった。したがって、通常の洗浄を
施しただけのITO基板ではITO表面に表面欠陥が多
数存在していることが推定される。
【0080】(2)有機EL素子の作製 (1)で得られたITO基板につき、実施例1と同様の
方法で有機EL素子を作製した。
【0081】(3)有機EL素子の評価 (2)で得られた有機EL素子に対して、直流6Vを印
加したところ、電流値が4.20mA/cm2であり、
発光輝度が380nitの青色発光が観察された。ま
た、電力変換効率は、4.74lm/Wであった。さら
に、4×8mmの大きさの発光領域において、目視によ
って無発光点の存在は観察されなかった。しかしなが
ら、有機EL素子を初期発光輝度1,000nitの条
件で直流定電流駆動したところ、半減時間は1,350
時間となり、この間の電圧上昇値は3.35Vであっ
た。したがって、ITO表面に存在する表面欠陥に起因
していると思われるが、直流定電流駆動による半減時間
は短く、電圧上昇値も大きいことが確認された。
【0082】[比較例2] (1)陽極層付き基板(ITO基板)の準備 実施例1において、ヘリカルスパッタ法によるSiO2
膜を形成した代わりに、電子ビーム蒸着法によりSiO
2膜を形成した。具体的には、以下の手順で行った。 蒸着チャンバー内に、ITO基板を載置し、また、日
本真空技術社製電子ビーム蒸着源EGK−3Mを取付け
た後、2cmφのSiO2ペレットを載置した。 真空排気を行い、真空度を2×10-4Pa以下の値と
して、SiO2ペレットに対して、徐々にフィラメント
への通電電流を増やし、脱ガスを行なった。この間、基
板付近のシャッター(メインシャッター)は閉じた状態
とし、真空度を1×10-4Pa程度の値に保持した。 次いで、電子ビームの加速電圧を5kVとし、SiO
2膜の成膜速度を調整した。すなわち、水晶振動子式の
膜厚計により成膜速度が0.1Å/sとなることを確認
するまで、通電電流を増加させ、この状態で3分保持し
て、成膜速度を安定させた。 次いで、メインシャッターを開け、ITO基板上にS
iO2膜を20Åの厚さとなるまで電子ビーム蒸着し
た。
【0083】得られた基板について、実施例1と同様
に、ITO表面、およびITO内部(深さ50Å)にお
けるIn3d3/2スペクトルピークの半値幅を測定し
た。その結果、In3d3/2スペクトルピークの半値幅
について、該基板表面では2.13eV、ITO内部
(深さ50Å)では、1.72eVであった。したがっ
て、基板上に電子ビーム蒸着法でSiO2を20Å成膜
したITO基板では、ITO表面に表面欠陥が生じてい
ることが判明した。
【0084】(2)有機EL素子の作製 (1)で得られたITO基板につき、実施例1と同様の
方法で有機EL素子を作製した。
【0085】(3)有機EL素子の評価 (2)で得られた有機EL素子に対して、実施例1と同
様に、初期発光輝度1,000nitの条件で直流定電
流駆動し、半減時間およびその間の電圧上昇を測定し
た。その結果、電子ビーム蒸着法によりSiO2を20
Å成膜した有機EL素子に対し、直流6Vを印加した場
合、電流が4.18mA/cm2流れ、輝度380ni
tの青色の発光がみられた。したがって、初期性能とし
ては、実施例1と、比較例1とはほぼ同様の特性であっ
た。また、発光領域において、目視による無発光点(D
S)は観測されず、発光均一性も良好であった。これら
の結果を表1に示した。結果から明らかなように、有機
EL素子の半減時間は1,800時間となり、この間の
電圧上昇値は1.52Vであった。したがって、電子ビ
ーム蒸着では表面欠陥の除去が効果的に出来ていないた
めと思われるが、直流定電流駆動による半減時間が短
く、電圧上昇値も大きいことが確認された。
【0086】[実施例2] (1)ITO基板の準備および有機EL素子の作製 実施例1の有機EL素子の作製において、MTDATA
の替わりに、NPDを上記実施例1と同一条件で蒸着
し、第1の正孔注入層を60nmの厚さで形成した以外
は、実施例1と同一条件にして有機EL素子を作製し
た。
【0087】(2)有機EL素子の評価 得られた有機EL素子に対して、直流6Vを印加したと
ころ、電流が3.72mA/cm2流れ、電力変換効率
が4.46lm/Wであり、発光輝度317nitの青
色発光が観察された。また、発光領域において、目視に
よる無発光点についても観測されなかった。次いで、有
機EL素子について、初期1,000nitの条件で直
流定電流駆動し、半減時間の測定およびその間の電圧上
昇を測定した。その結果、半減時間は1,700時間で
あり、この間の電圧上昇値は0.68Vであった。結果
から明らかなように、表面欠陥の除去が効果的に出来て
いるためと思われるが、直流定電流駆動による半減時間
が1,700時間以上と長く、また、電圧上昇値も0.
7V以下と小さいことが確認された。
【0088】[比較例3] (1)ITO基板の準備および有機EL素子の作製 市販のITO基板を用意し、比較例2で示した洗浄のみ
を行なったのち、実施例2と同様に有機EL素子の作製
を行なった。
【0089】(2)有機EL素子の評価 得られた有機EL素子に対して、直流6Vを印加したと
ころ、電流が3.20mA/cm2流れ、電力変換効率
が4.35lm/Wであり、発光輝度266nitの青
色発光が観察された。また、発光領域において、目視に
よる無発光点についても観測されなかった。次いで、有
機EL素子について、初期1,000nitの条件で直
流定電流駆動し、半減時間の測定およびその間の電圧上
昇を測定した。その結果、半減時間は800時間であ
り、この間の電圧上昇値は3.50Vであった。結果か
ら明らかなように、表面欠陥の除去がなされていないた
めと思われるが、直流定電流駆動による半減時間が1,
000時間以下と短く、電圧上昇値も3Vを超えること
が確認された。
【0090】[実施例3] (1)有機EL素子の作製 実験1においてヘリカルスパッタのターゲットをAl2
3に変えた以外は同様にして、ITO上に20ÅのA
23膜を成膜し、表面保護層を有するITO基板とし
て、実施例1と同一条件にて有機EL素子を作製した。
【0091】(2)有機EL素子の評価 得られた有機EL素子について、発光試験を行なうとと
もに、初期1,000nitから直流定電流連続駆動時
の半減時間および電圧上昇を測定した。その結果、半減
時間は2,150時間であり、その間の電圧上昇は0.
52Vであった。したがって、表面保護層の種類をAl
23に変えても、2,000時間以上の長い半減時間が
得られ、しかも電圧上昇も0.6V以下の小さい値であ
ることが確認された。
【0092】[実施例4〜8] (1)陽極層付き基板(ITO基板)の準備および有機
EL素子の作製 実施例3と同様、ターゲットをGeO(実施例4)、
CeO(実施例5)、AlN(実施例6)、CaS
(実施例7)、SiC(実施例8)に変えて、各々の表
面保護層を20Å成膜したITO基板とした。これらの
ITO基板に対し、実施例3と同様に、有機EL素子の
作製を行なった。
【0093】(2)有機EL素子の評価 得られた有機EL素子について、発光試験(DC6V印
加)を行なうとともに、初期1,000nitから直流
定電流連続駆動時の半減時間および電圧上昇を測定し
た。これらの結果を表1に示す。結果から明らかなよう
に、表面保護層の種類をそれぞれ変えても、著しく長い
半減時間が得られ、しかも電圧上昇も小さいことが確認
された。
【0094】[実施例9〜12] (1)陽極層付き基板(ITO基板)の準備および有機
EL素子の作製 実施例1における保護電極層としてのSiO2の膜厚を
20Åから、5Å(実施例9)、10Å(実施例1
0)、50Å(実施例11)、100Å(実施例12)
と変えた以外は、同様に成膜を行ない、それぞれSiO
2つきのITO基板とした。これらのITO基板に対
し、実施例1と同様に、有機EL素子の作製を行なっ
た。
【0095】(2)有機EL素子の評価 (1)で得られた有機EL素子について、発光試験(D
C6V印加)を行なうとともに、初期1,000nit
から直流定電流連続駆動時の半減時間および電圧上昇を
測定した。これらの結果を表1に示す。結果から明らか
なように、表面保護層の厚さを5〜100Åの範囲でそ
れぞれ変えても、2,000時間以上の長い半減時間が
得られ、しかも電圧上昇も0.7V以下と小さいことが
確認された。
【0096】[実施例13]実施例1と同サイズの基板
上にIZOを200nm形成した基板を用いること以外
は、実施例1と同様にしてIZO基板を準備した。この
IZO基板に対し、実施例1と同様に、有機EL素子の
作製を行なうとともに評価した。その結果を表3および
表4に示す。
【0097】[比較例4]実施例13で準備したIZO
基板において、表面保護層としてSiO2を形成しなか
ったほかは、実施例13と同様のIZO基板を準備し
た。このIZO基板に対し、実施例1と同様に、有機E
L素子の作製を行なうとともに評価した。その結果を表
3および表4に示す。
【0098】[比較例5]比較例2とまったく同様に、
電子ビーム蒸着法によりSiO2膜をIZO上に20Å
形成してIZO基板を準備した。このIZO基板に対
し、実施例1と同様に、有機EL素子の作製を行なうと
ともに評価した。その結果を表3および表4に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【発明の効果】本発明の有機EL素子によれば、定電流
駆動時の電圧上昇が小さく、かつ長寿命の有機EL素子
を提供できるようになった。また、本発明の有機EL素
子の製造方法によれば、このような有機EL素子を効率
よく製造することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘導結合型RFプラズマ支援マグネトロンスパ
ッタ装置の概略図である。
【図2】第1の実施形態における有機EL素子の断面図
である。
【図3】逆スパッタ処理等を施したITO表面における
XPSのIn3d5/2スペクトルピークを示す図であ
る。
【図4】逆スパッタ処理等を施したITO表面における
XPSの酸素1sスペクトルピークを示す図である。
【図5】SiO2膜(表面保護層)を設けた場合の、逆
スパッタ処理等を施したITO表面におけるXPSのI
n3d5/2スペクトルピークを示す図である。
【図6】逆スパッタ処理等を施したカーボン付のITO
表面におけるXPSの酸素1sスペクトルピークを示す
図である。
【図7】図6に示された酸素1sスペクトルピークの記
号Aで示されるチャートを波形分離して得られるチャー
トを示す図である。
【図8】図6に示された酸素1sスペクトルピークの記
号Bで示されるチャートを波形分離して得られるチャー
トを示す図である。
【図9】逆スパッタ処理等を施したITO表面における
XPSのSn3d5/2スペクトルピークを示す図であ
る。
【図10】スパッタガス流量(酸素分圧)を変えて逆ス
パッタ処理を施したITO表面におけるXPSのIn3
5/2スペクトルピークを示す図である。
【図11】スパッタガス流量(酸素分圧)を変えて逆ス
パッタ処理を施したITO表面におけるXPSのSn3
5/2スペクトルピークを示す図である。
【図12】スパッタガス流量(酸素分圧)を変えて逆ス
パッタ処理を施したITO表面におけるXPSの酸素1
sスペクトルピークを示す図である。
【図13】In3d5/2スペクトルピークにおける半値
幅を示す図である。
【図14】陽極層上の表面保護層の説明に供する図であ
る。
【符号の説明】
10 誘導結合型RFプラズマ支援マグネトロンスパッ
タ装置 12 基板ホルダー 14 基板 15 スパッタ粒子 16 磁界 17 スパッタガス 18 ヘリカルコイル 20 ターゲット 22 高周波回路 24、26 アース 28 マグネトロン発生装置 30 RF電源(高周波回路) 32 陰極層 34 有機層 36 表面保護層 38 陽極層 40 基板 50 有機EL素子

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極層と陰極層との両電極層間に、少な
    くとも発光層を含む有機層を挟持した有機エレクトロル
    ミネッセンス素子において、 前記陽極層の表面におけるX線光電子分光法によって測
    定されるIn原子の3d5/2軌道に由来するスペクトル
    ピークの半値幅を〔In3d5/2とし、陽極層の内
    部におけるIn原子の3d5/2軌道に由来するスペクト
    ルピークの半値幅を〔In3d5/2としたときに、 当該半値幅の比率(〔In3d5/2/〔In3
    5/2)を0.9〜1.2の範囲内の値とすること
    を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】 X線光電子分光法によって測定される前
    記陽極層の表面の酸素1s軌道に由来するピークにおい
    て、結合エネルギーが530±0.5eVであるピーク
    をピークAとし、結合エネルギーが532±1.0eV
    であるピークをピークBとするとともに、当該ピークA
    の面積をSとし、当該ピークBの面積をSとした場
    合に、面積比S/Sが下記の関係式を満足すること
    を特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッ
    センス素子。S/S<0.3
  3. 【請求項3】 前記陽極層の表面に、逆スパッタ処理を
    施してあることを特徴とする請求項1または2に記載の
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】 前記逆スパッタ処理が、誘導結合型RF
    プラズマ支援マグネトロンスパッタによる逆スパッタ処
    理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項
    に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 【請求項5】 前記陽極層と、前記発光層との間に、無
    機化合物または有機化合物からなる表面保護層が形成し
    てあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に
    記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 【請求項6】 前記表面保護層を形成する無機化合物
    が、Ca、Al、Si、Ge、およびCeからなる群か
    ら選択される少なくとも一種の原子を含む酸化物、窒化
    物、酸窒化物、硫化物、炭化物若しくは弗化物であるこ
    とを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネ
    ッセンス素子。
  7. 【請求項7】 前記表面保護層を形成する有機化合物
    が、カーボンであることを特徴とする請求項5に記載の
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 【請求項8】 前記表面保護層の膜厚を5〜100Åの
    範囲内の値とすることを特徴とする請求項5〜7のいず
    れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 【請求項9】 前記陽極層が、酸化錫インジウム(IT
    O)または酸化亜鉛インジウム(IZO)であることを
    特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機エ
    レクトロルミネッセンス素子。
  10. 【請求項10】 前記陽極層が、非晶質透明導電性酸化
    物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項
    に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  11. 【請求項11】 半減期まで直流定電流駆動を行った場
    合の電圧上昇が、1V以下の値であることを特徴とする
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機エレクトロ
    ルミネッセンス素子。
  12. 【請求項12】 陽極層と陰極層との両電極層間に、少
    なくとも発光層を含む有機層を挟持した有機エレクトロ
    ルミネッセンス素子の製造方法において、 基板上に陽極層を形成する工程と、 陽極層の表面に逆スパッタ処理を施す工程と、 発光層を含む有機層を形成する工程と、 陰極層を形成する工程と、 を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス
    素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記陽極層の表面に逆スパッタ処理を
    施す工程において、逆スパッタ処理を実施した後、ある
    いは逆スパッタ処理を実施するのと同時に、無機化合物
    またはカーボンからなる表面保護層を形成することを特
    徴とする請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記逆スパッタ処理に、誘導結合型R
    Fプラズマ支援マグネトロンスパッタ(ICMS)を使
    用することを特徴とする請求項12または13の有機エ
    レクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記逆スパッタ処理において、ヘリカ
    ルコイルに対して、電気出力50〜200W、周波数が
    13.56〜100MHzの高周波を印加し、カソード
    に対しては、電気出力200〜500W、周波数が1
    3.56〜100MHzの高周波を印加してプラズマ放
    電させるとともに、マグネトロン磁界の強さを200〜
    300ガウスの範囲内の値とすることを特徴とする請求
    項14に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製
    造方法。
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