JP2007305332A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機EL素子の保護膜形成する際に、効果的に成膜速度の低減を防ぎ、かつ、有機EL素子の物理的ダメージを抑えた、スパッタリング法による有機EL素子の製造方法を提供することにある。
【解決手段】基板上に形成した有機エレクトロルミネッセンス素子上に保護膜を形成する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、プラズマ発光強度をモニターして、反応性ガスの導入量を制御するプラズマエミッションモニタリングによるスパッタリング法で、前記保護膜を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子上に、保護膜を形成する、有機EL素子の製造方法に関するものである。
近年、自発光素子として有機EL素子が注目されている。有機EL素子は、ガラス等の基板上に薄膜の有機化合物からなる発光層を電極で挟持した構成で、電極間に電流を供給すると発光する素子である。
しかしながら、有機EL素子は、水分や酸素によって劣化しやすく、これらが製品寿命を縮めるため、信頼性の観点から、有機EL素子を形成した直後に、その上を、安定な保護膜で覆い、外気と完全に遮断することが好ましい態様となっている。
保護膜としては、水分や酸素に対するバリア性の観点から、シリコン系のシリコン窒化膜(SiN)やシリコン窒化酸化膜(SiON)、シリコン炭化膜(SiC)、シリコン窒化炭化膜(SiCN)等が用いられている。また、有機EL素子の発光を保護膜から透過する方向に取り出す所謂トップエミッション構成の場合は透明度の高い保護膜が要求される。
一方、保護膜は、電子ビーム法、スパッタリング法、プラズマCVD法、イオンプレーティング法等の薄膜作製法により形成される。このうち、スパッタリング法は、高融点材料や化合物でも比較的容易に膜形成が可能であり、カソードの形状により大面積の基板にも対応させることも可能である。更に、スパッタリング法は、蒸着法のように熱的過程ではないため、薄膜に形成する材料を溶解する必要がなく、ターゲット材料として窒化物や酸化物等のバリア性能の高い高融点の材料でも容易に成膜可能である。
例えば、特許文献1には、有機EL素子上にこれら保護膜を、スパッタリング法によって形成する技術が開示されている。
スパッタリング法によって、シリコン系の窒化膜や、酸化膜等、保護膜を成膜するには、シリコンのターゲットに、窒素ガスや酸素ガス等の反応性ガスを導入して、例えば、DC放電スパッタによって成膜することができる。しかしながら、シリコンのターゲットを用いる場合、反応性ガスの導入量によりシリコン単独に比べて成膜速度が急激に低下してしまう。また、保護膜は有機EL素子を形成する有機薄膜に比べ膜厚が数倍以上と厚いため、成膜速度が低いと、これが生産工程でのタクトタイムのボトルネックとなりコストアップの要因となる。スパッタ時に、印加する電力を上げ、プラズマ密度を増すことで、成膜速度の低下を補うことが可能であるが、高いエネルギーをもつ電離した電子の、有機EL素子への入射が多くなり、有機EL素子の物理的ダメージが増加する問題が起こる。
特開2002ー332567号公報
従って、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機EL素子の保護膜形成する際に、効果的に成膜速度の低減を防ぎ、かつ、有機EL素子の物理的ダメージを抑えた、スパッタリング法による有機EL素子の製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の手段により達成されるものである。
1.基板上に形成した有機エレクトロルミネッセンス素子上に保護膜を形成する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、プラズマ発光強度をモニターして、反応性ガスの導入量を制御するプラズマエミッションモニタリングによるスパッタリング法で、前記保護膜を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
2.前記スパッタリング法において、シリコンをターゲットとして、かつ、前記反応性ガスとして、窒素または酸素を用いることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
3.前記保護膜は、前記反応性ガスの窒素による、窒化シリコン膜と、前記反応性ガスの窒素と酸素による、窒化酸化シリコン膜の積層構成であることを特徴とする前記2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
4.前記スパッタリング法は、マグネトロンスパッタであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
5.前記スパッタリング法は、対向ターゲットスパッタであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
6.前記スパッタリング法において、ターゲットに印加する電力が、0.1W/cm2〜3.0W/cm2の範囲であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
7.有機エレクトロルミネッセンス素子上に保護膜をロールツウロール方式で形成することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法により、スパッタリング法を用いて、有機EL素子自体に物理的ダメージを与えることなく、効果的、効率的に保護膜の成膜を行える。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明は、有機EL素子の保護膜形成する際に、効果的に成膜速度の低減を防ぎ、かつ、有機EL素子の物理的ダメージを抑え、高効率の有機EL素子を提供することのできる製造方法を提供する。
本発明に係わる実施の態様について、以下その実施の態様を、図面に基づいて説明する。
先ず、有機EL素子の構成について以下に説明する。
図1は、保護膜15で覆った有機EL素子10の模式図である。図1において、有機EL素子10は、基板11上に、陽極12、有機層13、陰極14を積層した素子である。
例えば、陽極12は、インジウムチンオキサイド(ITO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、金、酸化錫、酸化亜鉛等の仕事関数が4eV以上で、透過率が40%以上の導電性材料による透明電極である。
有機層13は、発光する発光層を含む数nm〜数μmの厚みを有する有機化合物又は錯体等からなる単層、或いは複数の層、例えば、陽極と接する正孔輸送層、発光材料を備える発光層、陰極と接する電子輸送層の3層等からなり、また、フッ化リチウム層や無機金属塩の層、またはそれらを含有する層などが任意の位置に配置されていてもよい複数の層からなる。
陰極14は、アルミニウム、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、銀、カルシウム等の仕事関数が4eV未満で、反射率が60%以上の金属材料からなる反射電極である。
基板11は、基材として、ガラス、石英等のソリッド基板用の基材、或いは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等のフレキシブル基板用の基材である。
有機EL素子10は、陽極12、陰極14を介して、外部から供給された電流により、有機層13において電子および正孔が再結合し、結合により生じた励起エネルギーを利用した発光を行う素子で、有機層からの光は陽極12を通して取り出される。励起エネルギーを利用する発光としては、一重項励起エネルギーを発光に利用する蛍光、或いは三重項励起エネルギーを発光に利用するリン光が挙げられる。特にリン光は、三重項励起子が発光に寄与するため、蛍光に比べて高い発光効率が得られるので、光源として望ましい発光である。
有機EL素子10の発光層からの発光は、陽極12、基板11を透過して射出されるが、薄膜の陰極材料と、透過率の高い陽極材料を積層した、実質的に透明な陰極から光を射出するトップエミッション型の構成にしてもよい。
次に、有機EL素子10を覆う保護膜15について、以下に説明する。
本発明において、保護膜15は、スパッタリング法により成膜されるが、スパッタリング法とは、以下の過程で薄膜を形成する成膜法である。
先ず、スパッタ装置内にAr、He、N2、Xe、Kr等の不活性なスパッタガスを導入し、ターゲットに百V〜数kVの電圧を印加して、グロー放電を起こさせ、スパッタガスによるプラズマを発生させる。このプラズマ内の高エネルギーをもった電子、イオンや中性粒子がターゲット表面に衝突して、運動量の交換によりターゲット表面を構成している原子や分子が、外部に放出される。この現象をスパッタと呼び、スパッタにより放出されたターゲット材料の表面原子や分子を、有機EL素子が形成された基板上に堆積させて、外気と遮断する保護膜として、これを有機EL素子上に形成する。
有機EL素子10を覆う保護膜15としては、シリコン系の窒化膜や、酸化膜等であり、保護膜として、これらを有機EL素子上に成膜するには、前記ターゲット材料として、シリコンを用い、シリコンのターゲットに、窒素ガスや酸素ガス等の反応性ガスを導入して、例えば、DC放電スパッタによって窒化膜や、窒化酸化膜、酸化膜等を成膜する。
本発明のスパッタ装置においては、ターゲットから発生するプラズマの発光強度を、センサにより、リアルタイムでモニタして、これにより、反応性ガスの導入量を制御して、スパッタ中のプラズマの発光強度が所定の値となるように、制御しつつ行うものである。
本発明のスパッタリング法に用いられるスパッタ装置としては、シリコンのターゲットに対向して基板を配置して、ターゲットのスパッタを行う近傍にマグネットを配置して磁界を印加し、ターゲット表面のイオンや中性粒子の衝突を増加させて、成膜速度を大きくしたマグネトロン方式と、一対のシリコンターゲット間の側方に基板を配置し、ターゲット面とほぼ垂直方向に磁界を印加して、発生磁界に対して基板を、ほぼ平行に、離してセットする対向ターゲット方式がある。
従来のマグネトロン方式は、基板がターゲットと対向しているため成膜速度の増加が容易であるが、発生したプラズマによる有機EL素子のダメージは比較的大きい。また、対向ターゲット方式は、発生したプラズマはターゲット間に拘束されるため、有機EL素子へのダメージは、低減されるものの、基板がターゲットの側方(側面側)にあるため成膜速度が比較的低いという特徴がある。本発明のスパッタリング法は、上述したどちらの方式にも適用可能である。
図2は、本発明の第一の実施の形態である、マグネトロン方式によるマグネトロンスパッタ装置の模式図である。
マグネトロンスパッタ装置100は、真空槽20、排気口21、ターゲット30、カソード31、マグネット32、成膜を行う基板11、DC電源50などからなる。
真空槽20は、外気と遮断された減圧空間を提供する槽で、排気口21に接続された図示しない真空ポンプにより槽内が減圧に維持される。
ターゲット30は、有機EL素子の保護膜を形成する場合、シリコン材料から構成されるターゲットで、有機EL素子が形成された基板11のサイズよりも大きい。
スパッタガス供給ボード33は、Ar等のスパッタガスの、真空槽20への導入口、反応性ガス供給ポート35は、窒素、酸素等の反応性ガスの真空槽20への導入口で基板11の近傍に配置される。
ターゲット30は、カソード31と接続されており、DC電源50からカソード31を介して電圧が印加されると、所定のガス圧の環境下において、ターゲット30の近傍にプラズマが発生してスパッタリングが行われる。
40は、プラズマエミッションモニター(PEM)であり、プラズマエミッションモニターは、センサ41を介してプラズマの発光スペクトルをリアルタイムでモニタし、取り込んで、これにより、スパッタ中のプラズマの発光強度が所定の値となるように、プラズマエミッションモニター中の、コントロールユニットにより、マスフローコントローラを制御して、反応性ガス導入流量を制御バルブ36によって調整する。
プラズマエミッションモニターには、例えば、アーステック製、スピードフロTMスパッタリング反応ガスコントローラ等を用いることができる。
本発明においては、反応ガスによるプラズマの発光状態に合わせて、成膜を行うことで、成膜速度の劣化なく、高品質のガスバリア膜(保護膜)を、有機EL素子のダメージを低減させて、成膜することが可能である。
図3は、マグネトロンスパッタ装置の、反応性ガスの導入量と成膜速度の関係を示すグラフである。
マグネトロンスパッタ装置は、前記図2に示したものと同様の装置で、8インチ径の円盤状シリコンターゲットを用いて、放電電力3W/cm2、放電電圧550Vのパルス(14.3kHz、On−time 50μsec、Off−time 20μsec)を用い、圧力0.45Pa、Ar流量50sccmで、N2流量(1〜100sccm)のみ条件を変化させたときの、樹脂基板上への、窒化珪素膜を成膜したときの成膜速度と残留内部応力のデータを示す。
図3は、縦軸が成膜速度(nm/min)であり、横軸は反応性ガス流量(sccm)であり、反応性ガス流量を変化させたときの基板上における成膜速度を示すグラフである。
図3において、反応性ガスの導入量が少ない場合、成膜速度は速いが、反応性ガスが少なく、シリコンがメタル状態である領域Aでは、形成される保護膜は導電性が高いため有機EL素子からのリーク電流が発生してしまう。この領域で形成される膜は導電性が高く有機EL素子の保護膜、例えば、電極上に形成される保護膜としては、使用できないものである。さらに、この領域では薄膜の内部応力が非常に高いため有機ELに物理的なダメージを与える。反応性ガス流量を変化させて、反応性ガスの導入量を増加させてゆくと、領域Bに達する。この条件では、反応性ガス(窒素)の流量が大凡30sccm近傍の領域である。この領域Bでは、成膜速度は次第に低下するが形成される反応性ガスによる保護膜の窒化や酸化は進み、導電性が低下し、絶縁性の窒化珪素、酸化珪素の膜が形成されるとともに内部応力の低下により有機ELに与えるダメージが緩和される。大凡、有機ELにダメージを与えない内部応力は大凡100MPa以下が好ましい。更に反応性ガス導入量を増加させると、領域Cに達する。この領域Cでは、反応性ガスの導入量が多少変動しても、成膜速度は低い状態で安定し、窒化膜や酸化膜としてバリア性が高く良好な保護膜が形成される。
このように、従来の、反応性ガスの導入量の制御を行う、即ち、マスフローによる制御(即ち、反応性ガスの導入量のみの制御)では、反応性ガス流量の微量変化でも成膜速度の変化は大きく急激な領域であり、上述したマスフローによる制御では、領域制御が困難であるため、反応性ガスの導入量が多少変動しても、それによる成膜速度の変動が小さい、前記の領域Cで保護膜を形成していた。しかしながら、領域Cでの成膜速度は遅いため、本発明では、発生するプラズマの発光(スペクトル)をリアルタイムで取り込んで制御するプラズマエミッションモニタリングによって、窒素や酸素等の反応性ガス導入量によってプラズマ発光強度が変動することを利用して、領域Cよりも成膜速度が速い、かつ、導電性が低く、有機EL素子にダメージを与えない膜を得ることができ、保護膜としての特性を確保できる、前記領域Bでの成膜を行うものである。これにより、有機EL素子自体に物理的ダメージを与えることなく、効果的、効率的に保護膜の成膜を行うことが可能となった。
即ち、プラズマ発光強度に応じて反応性ガスの導入量を制御するプラズマエミッションモニタリング制御により、領域Cに限らず、ヒステリシス領域である領域Bを含む広い範囲において、有機EL素子がダメージを受けない所定のプラズマ密度以下で、効率よく成膜速度を上げて保護膜の成膜を行うことができるというものである。
これらの有機EL素子に、ダメージを与えず、かつ、成膜速度のそれ程の低下のない条件としては、前記の例では、大凡30sccmの窒素導入速度で、成膜速度としては、40nm/sec(C領域においては、10nm/sec以下である)と比較的早く、かつ、素子にダメージを与えないプラズマ密度となる流量で保護膜形成を行うことができる。
また、本発明のおけるプラズマエミッションモニターによる制御を行った場合において、プラズマ密度=ターゲット投入電力による有機ELの発光ダメージの検討を有機EL素子の発光効率の検証により行った結果、ターゲットに印加する電力は、3.0W/cm2以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.1W/cm2〜3.0W/cm2の範囲である。以下、これについて、好ましい実施の形態により説明する。
《好ましい実施の形態》
先ず、有機EL素子を以下の様に作製した。
有機EL素子の一例として、陽極/正孔輸送層/発光層/陰極からなる有機EL素子を作製した。
(ボトムエミッションの有機EL素子の作製)
洗浄したガラス100mm角の基板を真空度10-5Paの圧力の真空環境下の蒸着真空槽に設置する。蒸着真空槽において、陽極用物質であるITOを1000Åの膜厚になるように電子ビームにより形成して陽極を作製した。
次に、この上に有機EL素子材料であるα−NPDを正孔輸送層として2Å/秒の速度で蒸着して500Åの厚さで形成した。次にAlq3を発光層として2Å/秒の速度で蒸着して600Åの厚さで形成した。これらの層を形成後、その上に陰極用物質であるAlを2000Åの膜厚になるように、3Å/秒の速度で蒸着して陰極を形成した。
Figure 2007305332
作製したボトムエミッションの有機EL素子の基板を真空環境を維持したまま、スパッタリングを行う前記図2で示されるスパッタ装置に移した。
ターゲットとしては、円筒形状のシリコン材料のターゲット(8インチ径、厚み20mm)を用いて、この上端と、有機EL素子の基板との距離を7cmとした。
放電条件は、以下のように設定した。即ち、放電電圧550Vのパルス(14.3kHz、On−time 50μsec、Off−time 20μsec)、放電電力3W/cm2を用い、スパッタガスとしてArを流量50sccm、N2を流量30sccmの条件で、ガス圧力0.45Paで、センサ41を介してプラズマの発光スペクトルをファイバによりプラズマエミッションモニターにリアルタイムで取り込んで、プラズマエミッションモニターのマスフローコントローラを制御して、反応性ガス流量を制御しつつ、樹脂基板上に、窒化珪素膜を成膜した。成膜速度を、水晶振動子によりモニターすると40nm/minであった。
この条件で有機EL素子上に500nmの厚さのバリア膜を形成してサンプル1を作製した。
また、別に、ターゲットへの印加電力を4.0W/cm2、3.0W/cm2、0.2W/cm2、0.1W/cm2、0.09W/cm2、とした以外、同様の条件で、同じく前記で作製した有機EL素子上に500nmの厚さのバリア膜を形成する試験を行った。
印加電力0.09W/cm2ではプラズマが弱く、実質的に膜形成が行えなかったが、4.0W/cm2、3.0W/cm2、0.2W/cm2、0.1W/cm2では、それぞれサンプル1同様に、成膜時間を変えることで、500nm厚のバリア膜(窒化珪素膜)を形成することができた。それぞれサンプル2(4.0W/cm2)、3(3.0W/cm2)、4(0.2W/cm2)、5(0.1W/cm2)とした。
得られたサンプルそれぞれについて、23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cm2の定電流を印加した時の発光の量子効率(η)(%)を測定した。尚、測定には分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)を用いた。尚、量子効率はサンプル1を100としたときの相対値で表した。以下にその結果を示す。また、図4に得られたサンプルのターゲットへの印加電力と量子効率の関係をグラフで示した。
Figure 2007305332
本発明に係わる、プラズマエミッションモニターによる制御を行ったマグネトロンスパッタ装置によって、保護膜を形成した、サンプル1、3,4,5は、量子収率が高く、良好な発光効率を示すことが示されたほか、プラズマエミッションモニタリング制御によりガス流量を制御しつつ、効率的な窒化珪素膜形成を行える本発明のスパッタリング法においても、ターゲットへの印加電力が、3.0W/cm2、を超えると、高エネルギーのプラズマにより、有機EL素子が、ダメージを被ることで、発光の量子効率が明らかに低下するのが認められる。
従って、本発明のプラズマエミッションモニタリング制御を用いた有機EL素子の保護膜形成の好ましい態様においては、プラズマのエネルギー強度が余り強くならないよう、ターゲットへの印加電力を、0.1W/cm2〜3.0W/cm2の範囲に調整すべきである。
また、本発明において、前記保護膜は、前記反応性ガスの窒素による、窒化シリコン膜と、前記反応性ガスの窒素と酸素による、窒化酸化シリコン膜の積層構成であることが好ましく、前記スパッタ装置により、これは、同じシリコンターゲットを用いて、反応ガスを、先ず、窒素として、次いで、窒素及び酸素の両方を用いて、連続的に行うことで、同一装置中で、作製できる。
このとき、本発明のプラズマエミッションモニタリングの制御は、反応性ガスが窒素と酸素の2つのガスとなるため、それぞれの発光スペクトラムに合わせて狭帯域フィルタにより選択した2ch制御となる。
窒化酸化シリコン膜は窒化シリコン膜と比べて、水分等のバリア性は低いものの内部応力が低く、窒化シリコン膜と組み合わせることにより、高バリア性と低応力の薄膜を形成することができる。
窒化酸化シリコン膜の組成は、導入する窒素、酸素の量比によって変えることができるが、トップエミッション型の有機EL素子の場合等、光透過性が要求される場合、稍光吸収性のある窒化シリコン膜単独よりも、窒化酸化シリコン膜を積層して用いることで、光透過性を向上させることができる。また、反応性ガス中の窒素と酸素の比率は、形成される窒化酸化シリコン膜の着色は、装置によっても、変動するので、実験的に決定することが好ましい。
本発明のプラズマエミッションモニタリング制御による、スパッタリング法を用いた有機EL素子の保護膜形成方法においては、スパッタリングを、窒化珪素乃至窒化酸化珪素等バリア膜を効率的に形成できる反応性ガス流量において、安定に、一定の速度で保護膜形成が行えるため、例えば、ロール状に形成された、またはロール上に並置された、有機EL素子上に、連続的に保護膜形成を行っても、同一品質のバリア膜を形成することができる。
図5に第二の実施の形態である、この連続的にロールツウロール方式でスパッタリングを行えるスパッタ装置の概略模式図を示した。
マグネトロンスパッタ装置100は、真空槽20、排気口21、ターゲット30、カソード31、マグネット32、成膜を行う基板11、DC電源50などからなる。このロールツウロール方式でスパッタリングを行う装置には、反応室(リアクションチャンバー)を覆ってプラズマシールド33が、備えられており、供給ロール60から巻き出された有機EL素子が形成されたウエブ、又は有機EL素子がその上に配置されたウエブ101が、バックアップロール34上を搬送され、バックアップロール34とプラズマシールド33間は狭い隙間35を挟んで対向しているため、ロール上の有機EL素子成膜面に、反応室内に閉じ込められたプラズマから効率的に成膜できる構造としている。
真空槽20は、外気と遮断された減圧空間を提供する槽で、排気口21に接続された図示しない真空ポンプにより槽内全体が減圧に維持される。
スパッタガス供給ポート33は、Ar等のスパッタガスの、真空槽中のプラズマシールド内への導入口に連結しており、同じく反応性ガス供給ポート35は、窒素、酸素等の反応性ガスの真空槽中、プラズマシールド内の導入口に連結している。
図2の装置と同様に、ターゲット30は、カソード31と接続されており、DC電源50からカソード31を介してターゲットに百V〜数kVの電圧が印加されると、所定のガス圧の環境下において、グロー放電が起こり、ターゲット30の近傍、反応室内にスパッタガスによるプラズマを発生させる。
ウエブ101は、反応室を通過して有機EL素子上に保護膜が成膜された後、巻き取りロール61に巻き取られる。
40は、本発明の特徴であるプラズマエミッションモニター(PEM)であり、センサ41からプラズマの発光スペクトルをリアルタイムでモニタしつつ、これにより、反応室中のプラズマの発光強度が所定の値となるように、マスフローコントローラが、反応性ガス導入流量を制御バルブ36で調整し、一定のプラズマ状態を維持する。
以上のように、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、プラズマ発光強度をモニターして、反応性ガスの導入量を制御するプラズマエミッションモニタリングによるスパッタリング法で、有機エレクトロルミネッセンス素子上に保護膜を形成することにより、効果的に成膜速度の低減を防ぎ、かつ、有機EL素子の物理的ダメージを抑え、効率的にスパッタリング法によって高効率の有機EL素子を得ることができる。
有機EL素子の構成を説明する図である。 本発明のマグネトロンスパッタ装置の模式図である。 反応性ガスの導入量と成膜速度の関係を示すグラフである。 ターゲットへの印加電力と量子効率の関係を示すグラフである。 ロールツウロール方式のスパッタ装置の概略模式図である。
符号の説明
10 有機EL素子
11 基板
12 陽極
13 有機層
14 陰極
15 保護膜
20 真空槽
30 ターゲット
31 カソード
32 マグネット
33 プラズマシールド
41 センサ
40 プラズマエミッションモニター(PEM)
50 DC電源
100 マグネトロンスパッタ装置

Claims (7)

  1. 基板上に形成した有機エレクトロルミネッセンス素子上に保護膜を形成する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、プラズマ発光強度をモニターして、反応性ガスの導入量を制御するプラズマエミッションモニタリングによるスパッタリング法で、前記保護膜を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記スパッタリング法において、シリコンをターゲットとして、かつ、前記反応性ガスとして、窒素または酸素を用いることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記保護膜は、前記反応性ガスの窒素による、窒化シリコン膜と、前記反応性ガスの窒素と酸素による、窒化酸化シリコン膜の積層構成であることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記スパッタリング法は、マグネトロンスパッタであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記スパッタリング法は、対向ターゲットスパッタであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記スパッタリング法において、ターゲットに印加する電力が、0.1W/cm2〜3.0W/cm2の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 有機エレクトロルミネッセンス素子上に保護膜をロールツウロール方式で形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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