JP2002166244A - 石油系燃焼灰の処理方法 - Google Patents
石油系燃焼灰の処理方法Info
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Abstract
バナジウム、ニッケル、石膏、マグネシウム、アンモニ
アを何れも回収する処理方法を提供する。 【解決手段】 石油系燃焼灰の水浸出工程、この水性ス
ラリーを固液分離し溶液の希釈酸化工程、この溶液から
バナジウムを抽出する工程、上記水性スラリーを固液分
離した固形分にアンモニア水を加えて中性ないし弱アル
カリ性下で酸化浸出する工程、この浸出スラリーを固液
分離した溶液からバナジウムおよび/またはニッケルを
溶媒抽出する工程、溶媒抽出した溶液から石膏と水酸化
マグネシウムを回収する工程、石膏と水酸化マグネシウ
ムを除去した溶液を蒸留塔に導いてアンモニアを回収す
る工程を経てバナジウム、ニッケル、石膏、マグネシウ
ム、アンモニアを何れも回収する。
Description
バナジウムやニッケル、マグネシウムおよび石膏を効率
よく回収し、好ましくは更にこの処理溶液からアンモニ
アを効率よく回収して再利用できる処理方法に関する。
ー等は重油や石油コークス等の重質油系燃料を用いるも
のが多く、現在、多量の燃焼灰が排出されている。これ
らの大部分は埋め立て処分されているが、この燃焼灰に
はバナジウム等の有価金属が含有されており、環境汚染
の防止および再資源化の観点から、その有効利用が求め
られている。
方法として、例えば、石油系燃料の燃焼灰スラリーに硫
酸を加えて灰中の有価金属を浸出させた後に、液性をア
ルカリ性に転化して鉄分を酸化沈殿させて除去し、液性
を再び強酸性として液中のバナジウムを酸化バナジウム
として沈殿させる方法が知られている(特願昭60-46930
号公報)。また、鉄分を除去した濾液を冷却してさらに
バナジウム化合物を分離し、これに硫酸を添加してニッ
ケルを回収する方法も提案されている(特公平04-61709
号公報)。さらに、バナジウムを分離した後に、残渣か
らニッケルスラッジと石膏を分離する方法などが知られ
ている(特公平05-13718号公報)。ところが、これらの処
理方法は何れも硫酸浸出を行う方法であり、強酸性下で
加熱するため浸出槽などの腐蝕が激しい問題がある。ま
た、硫酸浸出を行った後に、液性をアルカリ性に転化し
て酸化剤を添加し、その後に再び酸性にするなど液性の
調整が煩雑である。
て、アンモニア浸出を行う方法が本出願人によって提案
されている(特願平11-207923号公報)。このアンモニア
浸出の方法は装置の腐食などの問題がなく、しかも液性
の煩雑な調整が不要であり、バナジウムやニッケルなど
を効率良く浸出できる利点がある。このバナジウムやニ
ッケルは溶媒抽出によって分離回収することができる。
からバナジウムやニッケル、マグネシウムおよび石膏を
効率よく回収し、好ましくは更にこの処理溶液からアン
モニアを効率よく回収して再利用する処理方法に関す
る。
油系燃焼灰の処理方法に関する。 (1)石油系燃焼灰を水性スラリーにする水浸出工程
(A)、この水性スラリーを固液分離した溶液を希釈し、
アンモニアを添加して中性ないし弱アルカリ性に調整
し、さらに液中のバナジウムを酸化する工程(B)、この
溶液にバナジウム抽出溶媒を加えてバナジウムを抽出す
る工程(C)からなる処理系統(I)と、上記水性スラリー
を固液分離した固形分にアンモニア水を加えて中性ない
し弱アルカリ性に調整すると共に酸化処理して固形分に
含まれるバナジウム、ニッケルおよびマグネシウムを溶
出させる酸化浸出工程(D)、この浸出スラリーを固液分
離した溶液からバナジウムおよび/またはニッケルを溶
媒抽出する工程(E)からなる処理系統(II)とを有するこ
とを特徴とする石油系燃焼灰の処理方法。
(2)上記処理系統(I)が、バナジウム抽出後の溶液か
ら石膏を沈澱分離し、さらにこの溶液を蒸留塔に導いて
アンモニアを蒸発させて水と分離して回収する工程(G)
を有する処理方法。 (3)処理系統(II)が、溶媒抽出後の溶液から石膏と水
酸化マグネシウムを沈澱分離して回収する工程(F)と、
この溶液を蒸留塔に導いてアンモニアを蒸発させて水と
分離して回収する工程(H)とを有する処理方法。 (4)処理系統(II)が、溶媒抽出後の溶液から石膏と水
酸化マグネシウムを沈澱させ、この沈澱を含むスラリー
を蒸留塔に導いてアンモニアを蒸発させて水と分離して
回収し、残留するスラリーから石膏と水酸化マグネシウ
ムを回収する工程を有する処理方法。 (5)処理系統(I)のバナジウム抽出工程(C)と、処理
系統(II)の溶媒抽出工程(E)とを併せて行う処理方法、
(6)処理系統(I)および(II)において、各工程(A)、
(B)、(C)、(D)、(E)、(F)を5〜50℃の液温下で行う
処理方法。
に説明する。なお、特に示さない限り%は重量%であ
り、石膏は二水石膏である。本発明の処理方法の概略を
図1に示す。
系燃焼灰を水性スラリーにする水浸出工程(A)、この水
性スラリーを固液分離した溶液を希釈し、アンモニアを
添加して中性ないし弱アルカリ性に調整し、さらに液中
のバナジウムを酸化する工程(B)、この溶液にバナジウ
ム抽出溶媒を加えてバナジウムを抽出する工程(C)から
なる処理系統(I)と、上記水性スラリーを固液分離した
固形分にアンモニア水を加えて中性ないし弱アルカリ性
に調整すると共に酸化処理して固形分に含まれるバナジ
ウム、ニッケルおよびマグネシウムを溶出させる酸化浸
出工程(D)、この浸出スラリーを固液分離した溶液から
バナジウムおよび/またはニッケルを溶媒抽出する工程
(E)からなる処理系統(II)とを有する。さらに、図示す
る処理方法では、処理系統(I)は石膏を分離した後にア
ンモニアを回収する工程(G)を有し、処理系統(II)は溶
媒抽出後の溶液から石膏と水酸化マグネシウムを沈澱分
離して回収する工程(F)と、さらにこの溶液を蒸留塔に
導いてアンモニアを蒸発させて水と分離して回収する工
程(H)とを有する。以下、これら処理系統の各工程につ
いて説明する。
重油、石油コークス、石油ピッチ、アスファルトなどの
石油系燃料を燃焼した際に生じる塵灰である。水浸出工
程(A)において石油系燃焼灰に水または硫酸を加えて水
性スラリーにする。この水性スラリーには多量の硫黄分
が溶出しており、pH1〜4の酸性を示す。この水性ス
ラリーを固液分離し、次の希釈酸化工程(B)に導く。
は多量の水で浸出し、液中のバナジウム濃度を3000
ppm以下に調整する。バナジウム濃度が3000ppmより
高いと抽出溶媒の種類によってはバナジウムの分離が遅
くなるので好ましくない。さらに、この溶液にアンモニ
ア水を加えて液性を中性ないし弱アルカリ性(pH8〜
10)に調整する。pHが8より低い(酸性側)と酸化剤
の量が多く必要になり、pHが10より高いとバナジウ
ムの抽出量が低下するので好ましくない。この液性下で
酸化剤、例えば空気や過酸化水素などを導入して液中の
バナジウムを4価から5価にする。4価のバナジウムイ
オンは沈澱を生じるので次工程の溶媒抽出による回収に
適さない。なお、この希釈酸化工程では予め水浸出工程
(A)を行われることによってニッケルの溶出は抑えられ
る。この溶液を次のバナジウム抽出工程(C)に導く。
Methyl Ammonium Chloride)をケロシンで5vol%に希
釈したものなどを用いることができる。抽出したバナジ
ウムを含む有機溶媒(キレート溶液)に塩化アンモニウムとア
ンモニア水の混合液(NH4Cl:75%、NH4OH:25%)などを混
合して逆抽出を行う。次いでこの逆抽出液にアンモニア
水を加えてpH9前後に調整してメタバナジン酸アンモ
ニウムを沈澱させ、この沈澱を濾過分離して回収する。
分離した濾液は逆抽出工程に循環して再利用することが
できる。回収したメタバナジン酸アンモニウムは乾燥
し、あるいは加熱分解してバナジン酸アンモニウムの粉
末を得る。
液)に消石灰スラリーなどを添加して石膏を沈澱させ、
これを分離する。この溶液は燃焼灰の硫安分が溶解した
アンモニウムイオンや溶媒抽出工程で加えたアンモニア
水などを含有しているので、この溶液を本発明のアンモ
ニア回収工程に導いてアンモニアを回収する。アンモニ
ア回収工程は蒸留塔11とコンデンサー12を有する。
このアンモニア含有溶液を蒸留塔11で約100℃に加
熱してアンモニアを蒸発させる。水の一部はアンモニア
と共に蒸発するが、大部分の水は蒸発せずに塔内に残
る。蒸発して水と分離したアンモニアガスはコンデンサ
ー12に導かれ、凝縮してアンモニア水になる。このア
ンモニア水と未凝縮のアンモニアガスを回収する。
ンモニア酸化浸出工程(D)に導き、固形分に含まれてい
るバナジウム、ニッケル、マグネシウムを溶出させる。
まずこの固形分にアンモニア水を加えて中性ないし弱ア
ルカリ性(pH7〜10)に調整しながら空気を導入して
スラリーを酸化処理する。このアンモニア水は常温で添
加すればよく加熱する必要はない。酸化処理は二段階に
行うと良い。まず中性ないし弱アルカリ性下で空気を導
入して攪拌し、スラリーに含まれるバナジウム等を酸化
浸出する。この空気酸化の後にスラリーを固液分離し、
その固形分に必要に応じてアンモニアおよび過酸化水素
または硫酸を添加して二段目の酸化浸出を行う。
より、スラリーに含まれるバナジウム、ニッケル、マグ
ネシウムの浸出率が向上する。また、二段目の酸化処理
の後に固液分離を行い、その濾液の全量を一段目の空気
酸化に循環し、中性ないし弱アルカリ性下の酸化浸出を
繰り返すことによりこの浸出工程の液量を増加せずに浸
出効果を高めることができる。なお、酸化処理後の固形
分には未燃カーボン、シリカ、アルミナ等が含まれてい
るのでこれを回収してセメント原料として利用すること
ができる。
よってニッケルを回収する。ニッケル抽出溶媒としては
キレート剤(2-Hydroxy-5-Nonylacetophenone-Oxime)を
ケロシンで10vol%に希釈したものや、リン酸系抽出
剤を用いることができる。また、これらに代えてバーサ
チック酸を用いることにより、アンモニア浸出濾液に含
まれるニッケルをマグネシウムと分離して効率良く抽出
することができる。このバーサチック酸による抽出は、
アンモニア浸出濾液のpHを弱アルカリ性、好ましくは
pH7.5〜8.5に調整して行うのが好ましい。バーサ
チック酸の濃度は5%以上が適当であり10%以上が好
ましい。
ら分離した後に希硫酸と混合して洗浄する。ニッケルに
随伴して抽出されたマグネシウムイオンは希硫酸中に洗
い出される。この洗浄はセトラー部にてpH2〜7の酸
性下で行い、濃度0.1〜100g/lの希硫酸を用いるの
が良い。濃度0.01〜5g/l、好ましくは0.1〜2g/l
の希硫酸を用いることによってニッケルをバーサチック
酸に残してマグネシウムを選択的に希硫酸中に洗い出す
ことができる。このマグネシウムは石膏の回収工程に導
く。なお、ミキサーに投入する洗浄用希硫酸の液量(容
積)は有機相の1/100〜1/5程度で良い。
を混合し、この濃硫酸にバーサチック酸中のニッケル
(イオン)を逆抽出する。この逆抽出はpH1以下の酸性
下で行い、濃度100〜300g/lの濃硫酸を用いるの
が良い。混合後、濃硫酸とバーサチック酸を分離する。
このバーサチック酸はニッケル抽出工程に循環して再度
使用することができる。一方、分離した濃硫酸には逆抽
出したニッケルが硫酸ニッケルの状態で含まれている。
この濃硫酸液を30〜60℃程度に加熱して水分を蒸発
させ、濃縮することにより硫酸ニッケルを回収すること
ができる。あるいは、この濃硫酸液を硫酸ニッケルの溶
解度以下に冷却して析出させても良い。この硫酸ニッケ
ルを濾過して回収し、乾燥すれば硫酸ニッケルの粉粒体
を得ることができる。この濾液(濃硫酸)は逆抽出工程に
循環して再利用することができる。
程の濾液、あるいは上記ニッケル抽出工程で有機溶媒相
と分離した浸出液(水相)にバナジウム抽出溶媒を加えて
混合し、溶媒中にバナジウムを抽出する。抽出手段とし
てはミキサセトラー等を利用すると良い。先の希釈溶液
からバナジウムを溶媒抽出する工程(C)と同様に、バナ
ジウムの抽出溶媒としては、キレート剤(Tricaprylyl M
ethyl Ammonium Chloride)をケロシンで5vol%に希釈
したものなどを用いることができる。抽出操作は、例え
ば、浸出液に対してこの溶媒を1:1の液量で混合し、
液性を中性(pH=7.5程度)に保って行う。なお、バナジウ
ム抽出溶媒として一般に用いられている他の溶液を用い
ても良い。
液と分離し、これに逆抽出液(水相)を加えてバナジウム
を水相に移行させる。逆抽出液としてはアンモニア水、
または塩化アンモニウムとアンモニア水の混合液(NH4C
l:75%、NH4OH:25%)、あるいは硫酸とアンモニア水の
混合液(H2SO4:6%、NH4OH:94%)などを用いることができ
る。逆抽出液と分離した有機溶媒はバナジウム抽出工程
に循環して再利用することができる。この逆抽出液から
バナジウム化合物(メタハ゛ナシ゛ン酸アンモニウム等)を析出させ、こ
れを固液分離して回収する。また、バナジウム化合物を
短時間で析出させるには液温を75℃前後に加熱しても
良い。バナジウムを分離した濾液はマグネシウムを含む
ものはその回収工程に導く。
が先でも良い。また溶液中のバナジウム濃度およびニッ
ケル濃度に応じて何れか一方のみを行っても良い。さら
に、これらの抽出処理は、好ましくは、条件を整えて連
続抽出を行う。なお、バナジウム抽出液として用いられ
るメチルアンモニウム系キレート液は中性(約pH7.5)で
作用し、ニッケル抽出液として用いられるアセトフェノ
ン系キレート液は中性付近(約pH8)で作用するので、こ
れらを用いれば溶液の液性を大幅に調整せずにバナジウ
ムとニッケルの溶媒抽出を連続して行うことができる。
ト溶液)を導入して石膏と水酸化マグネシウムを生成さ
せる晶析槽1、晶析槽1に連通した液体サイクロン2お
よび3、これらを連通する送液管路、液体サイクロン上
部の微粒子を回収する手段、晶析槽の槽底から石膏を抜
き出して回収する手段が設けられている。
石灰スラリーを晶析槽1に導入して均一に攪拌し、オー
バーフローした後に、槽底の沈澱物を抜き出し、固液分
離して石膏を回収する。一方、晶析槽上部の懸濁液を第
一液体サイクロン2に導き、分級した後に、サイクロン
下部の凝集物を晶析槽10に戻す。この凝集物は概ね平
均粒径約20〜80μm、大部分が平均粒径約50μmの
粒子であり、石膏を主体とし一部に水酸化マグネシウム
を含む。さらに、第一液体サイクロン2の上部から懸濁
液を抜き出して第二液体サイクロン3に送る。微分級の
後、サイクロン下部の凝集物の一部を第一液体サイクロ
ン2に戻し、残部を晶析槽1に戻す。この凝集物は平均
粒径約2〜20μm、大部分が平均粒径約15μmの粒子
であり、石膏を主体とし一部に水酸化マグネシウムを含
む。一方、第二液体サイクロン上部の懸濁液を抜き出し
て固液分離することにより、濃度約90%以上および平
均粒径約2μm程度の水酸化マグネシウムを回収するこ
とができる。
安分が分解したアンモニウムイオンが存在し、さらに溶
媒抽出の際にアンモニアを添加してpHを中性ないし弱
アルカリ性に調整されているので、石膏および水酸化マ
グネシウムを固液分離して回収した際に、その濾液をア
ンモニア回収工程(H)に導く。
有する。石膏および水酸化マグネシウムを固液分離して
回収した濾液(アンモニア含有溶液)を蒸留塔11に導
き、約100℃に加熱してアンモニアを蒸発させる。水
の一部はアンモニアと共に蒸発するが、大部分の水は蒸
発せずに塔内に残る。蒸発して水と分離したアンモニア
ガスはコンデンサー12に導かれ、凝縮してアンモニア
水になる。このアンモニア水および未凝縮のアンモニア
ガスを回収する。
ルの濃縮工程およびアンモニアの蒸発工程を除いて全
て、5〜50℃の温度範囲、好ましくは常温で行うこと
ができる。また、石油系燃焼灰の水性スラリーを固液分
離した溶液を希釈してバナジウムの溶媒抽出を行う処理
系統(I)のバナジウム抽出工程(C)と、水性スラリーを
固液分離した固形分を酸化浸出する処理系統(II)のバナ
ジウムおよび/またはニッケルの溶媒抽出工程(E)とは
併合して行っても良い。さらに、処理系統(I)のアンモ
ニア回収工程(G)と処理系統(II)のアンモニア回収工程
(H)とをまとめて行っても良い。
シウム回収工程(F)とアンモニア回収工程(H)は、石膏
・水酸化マグネシウム回収工程(F)の後にアンモニア回
収工程(H)を行う場合に限らない。アンモニア回収工程
(H)の後に石膏・水酸化マグネシウム回収工程(F)を行
っても良い。すなわち、溶媒抽出後の溶液を蒸留塔に導
いてアンモニアを回収した後に、残留する溶液に生石灰
ないし消石灰スラリーを添加して石膏と水酸化マグネシ
ウムを沈澱させて、これを先に述べたようにして分離回
収しても良い。
(F)とアンモニア回収工程(H)は、これを組み合わせて
行っても良い。すなわち、溶媒抽出後の溶液に生石灰な
いし消石灰スラリーを添加して石膏と水酸化マグネシウ
ムを生成させた後、これらを含むスラリーを蒸留塔に導
いてアンモニアを蒸発させて水と分離して回収し、次い
で、蒸留塔の塔底に残留したスラリーをシックナーまた
は液体サイクロンに導いて石膏と水酸化マグネシウムを
分離して回収しても良い。
す。 〔実施例1〕タール質燃料の焼却灰(V:2.0wt%、Ni:0.4
4wt%、Mg:2.3wt%、S:22wt%、NH4:21wt%)を水性スラリ
ーにし、これを固液分離した濾液(pH1.8)に水を加えて
液中のバナジウム濃度を2200ppmに調整した後に、
さらにアンモニア水を加えてpHを8.9に調整し、さ
らに空気を吹き込んで均一に撹拌した。この溶液にバナ
ジウム抽出溶媒としてキレート剤(Tricaprylyl-Methyl-
Ammonium-Chloride)をケロシンで5vol%に希釈したも
のを混合した。バナジウム抽出後、抽出溶媒をスラリー
濾液と分離し、抽出溶媒に塩化アンモニウム(0.8wt%)
と25%濃度アンモニア水(0.6wt%)を水で溶かした混
合液(逆抽出液)を混合し、この水相にバナジウムを逆抽
出させた。このバナジウム抽出溶媒と逆抽出液とを分離
した後に、抽出溶媒は再び抽出工程に循環してバナジウ
ムの抽出を行った。一方、逆抽出液には新しい逆抽出液
を加えた後に再びバナジウム抽出溶媒と混合することに
より逆抽出を繰り返し、逆抽出液中のバナジウムを濃縮
させた。このときのバナジウム抽出溶媒と新しく加える
逆抽出液の比は15:1である。逆抽出を繰り返して濃
縮したバナジウムはメタバナジン酸アンモニウムを析出
し液底に沈降するので、これを分離槽に導いて濾過回収
した。一方、バナジウムを抽出した後の溶液(スラリー
濾液)に、消石灰スラリー(10wt%濃度)を混合し、液の
pHを10.3に調整して石膏を生成させた。この石膏
スラリーを濾過して回収した後に、濾液を蒸留塔に導
き、加熱して蒸発したアンモニアガスをコンデンサーに
導き、アンモニア水を回収した。この回収結果を表1に
示した。
性スラリーにし、これを固液分離した固形分にアンモニ
ア水を加えてpH8にし、これに空気を導入して2時間
撹拌した後に固液分離した。この固形分にアンモニア水
と過酸化水素水(濃度31vol%)を加えて撹拌混合した後
に濾過し、濾液の全量を空気酸化工程に戻して酸化浸出
を繰り返した。この空気酸化後の濾液を抜き出し、この
アンモニア浸出濾液のpHを8に調整した。この浸出濾
液(ニッケル濃度2100ppm)にバーサチック酸(濃度30vol%)を
加えて混合しニッケルを抽出した。このバーサチック酸
を浸出濾液から分離し、希硫酸(濃度5g/l)を加えてバー
サチック酸を洗浄した。次いで、このバーサチック酸に
濃硫酸(濃度200g/l)を加えて混合し、ニッケルを濃硫酸
に逆抽出した。この濃硫酸とバーサチック酸を分離した
後に、バーサチック酸は再びニッケル抽出工程に循環
し、一方、濃硫酸(逆抽出液)はこのニッケル抽出を行っ
たバーサチック酸と再び混合して逆抽出を繰り返してニ
ッケルを濃縮した。この操作を40回繰り返した後に濃
縮したニッケル逆抽出液を加熱して水を蒸発させ、硫酸
ニッケル粉末を回収した。一方、バーサチック酸と分離
した浸出濾液は、実施例1と同様にしてバナジウムの溶
媒抽出を行い、メタバナジン酸アンモニウム粉末を回収
した。このバナジウム抽出後の浸出濾液は混合槽に導
き、消石灰スラリー(10%濃度)を加えて攪拌し、液のp
Hを10.8に調整して石膏と水酸化マグネシウムを生
成させ、粗大化した石膏を沈澱分離し、残ったスラリー
を濾過して水酸化マグネシウムを分離した。また、この
濾液を蒸留塔に導き、加熱して蒸発したアンモニアガス
をコンデンサーに導き、アンモニア水を回収した。この
回収結果を表1に示した。
0wt%、Ni:0.44wt%、Mg:2.3wt%、S:22wt%)を水性スラリ
ーにして固液分離した。この固形分にアンモニア水を加
えてpH8にし、これに空気を導入して2時間撹拌した
後に固液分離し、この固形分に硫酸を加えて固液分離し
た後に、濾液の全量を空気酸化工程に戻して浸出を繰り
返した。この空気酸化後の濾液を抜き出し、このアンモ
ニア浸出濾液(浸出液2)のpHを8に調整した。その後
は実施例2と同様にしてニッケルを硫酸ニッケルとして
回収した。また、最初の水性スラリーの濾液(PH1.8)に
水を加えて液中のバナジウム濃度を2200ppmに調整
した後に、アンモニア水を加えてpH9.1に調整し、
さらに空気を吹き込んで均一に撹拌した後、この溶液を
ニッケル抽出後の浸出液2と混合した。混合した液は実
施例1と同様のバナジウムの溶媒抽出を行い、メタバナ
ジン酸アンモニウムを回収した。さらに、バナジウムを
抽出した後の混合液は実施例2と同様にして石膏、水酸
化マグネシウム、アンモニア水を回収した。この回収結
果を表1に示した。
t%,Ni:1.0wt%.Mg:0.1wt%,S:8.8wt%.NH3:1.2%)を水
性スラリーにして固液分離した。この濾液(pH2.1)にア
ンモニア水を加えてpH8にし、これに空気を導入して
2時間撹拌した後に固液分離した。この固形分に硫酸を
加えて固液分離し、この濾液の全量を空気酸化工程に戻
して浸出を繰り返した。この空気酸化後の濾液を抜き出
し、このアンモニア浸出濾液のpHを8に調整した。そ
の後は実施例2と同様の溶媒抽出を行い、硫酸ニッケル
およびメタバナジン酸アンモニウムを回収した。ニッケ
ルとバナジウムを抽出した後の浸出液は実施例2と同様
にして石膏と水酸化マグネシウムを生成させた。次に、
このスラリーを蒸留塔に導き、加熱して蒸発したアンモ
ニアガスをコンデンサーに導き、アンモニア水を回収し
た。アンモニアを除いたスラリーから石膏を沈殿分離し
て回収し、次いでこのスラリーから水酸化マグネシウム
を回収した。この回収結果を表1に示した。
よって石油系燃焼灰から効率よくバナジウム、ニッケル
およびマグネシウムを回収することができる。従来の湿
式方法は75〜95℃程度の加熱処理を必要とし、加熱
コストが嵩むと共に硫酸溶液を用いるものは溶液の腐蝕
も激しいと云う問題があるが、本発明の処理方法によれ
ばこのような問題を生じない。さらに、従来の方法では
マグネシウムを回収できないが、本発明の処理方法によ
ればバナジウムとニッケルを回収した後に石膏と共にマ
グネシウムを回収することができる。さらに、抽出処理
した後のアンモニア含有溶液から液中のアンモニアを効
率よく回収して再利用することができる。また、本発明
の処理方法は燃焼灰のスラリー化を簡略化することがで
き、低コストでバナジウムやニッケル、石膏およびマグ
ネシウム、アンモニアを何れも回収することができる。
イクロン、11−蒸留塔、12−コンデンサー。
Claims (6)
- 【請求項1】 石油系燃焼灰を水性スラリーにする水浸
出工程(A)、この水性スラリーを固液分離した溶液を希
釈し、アンモニアを添加して中性ないし弱アルカリ性に
調整し、さらに液中のバナジウムを酸化する工程(B)、
この溶液にバナジウム抽出溶媒を加えてバナジウムを抽
出する工程(C)からなる処理系統(I)と、上記水性スラ
リーを固液分離した固形分にアンモニア水を加えて中性
ないし弱アルカリ性に調整すると共に酸化処理して固形
分に含まれるバナジウム、ニッケルおよびマグネシウム
を溶出させる酸化浸出工程(D)、この浸出スラリーを固
液分離した溶液からバナジウムおよび/またはニッケル
を溶媒抽出する工程(E)からなる処理系統(II)とを有す
ることを特徴とする石油系燃焼灰の処理方法。 - 【請求項2】 上記処理系統(I)が、バナジウム抽出後
の溶液から石膏を沈澱分離し、さらにこの溶液を蒸留塔
に導いてアンモニアを蒸発させて水と分離して回収する
工程(G)を有する請求項1の処理方法。 - 【請求項3】 処理系統(II)が、溶媒抽出後の溶液から
石膏と水酸化マグネシウムを沈澱分離して回収する工程
(F)と、この溶液を蒸留塔に導いてアンモニアを蒸発さ
せて水と分離して回収する工程(H)とを有する請求項1
または2の処理方法。 - 【請求項4】 処理系統(II)が、溶媒抽出後の溶液から
石膏と水酸化マグネシウムを沈澱させ、この沈澱を含む
スラリーを蒸留塔に導いてアンモニアを蒸発させて水と
分離して回収し、残留するスラリーから石膏と水酸化マ
グネシウムを回収する工程を有する請求項1または2の
処理方法。 - 【請求項5】 処理系統(I)のバナジウム抽出工程(C)
と、処理系統(II)の溶媒抽出工程(E)とを併せて行う請
求項1〜4の何れかに記載する処理方法。 - 【請求項6】 処理系統(I)および(II)において、各工
程(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)を5〜50℃の液温
下で行う請求項1〜5の何れかに記載する処理方法。
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