JP2002165365A - 電力系統制御方法 - Google Patents

電力系統制御方法

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JP2002165365A JP2000354219A JP2000354219A JP2002165365A JP 2002165365 A JP2002165365 A JP 2002165365A JP 2000354219 A JP2000354219 A JP 2000354219A JP 2000354219 A JP2000354219 A JP 2000354219A JP 2002165365 A JP2002165365 A JP 2002165365A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の発電装置を分散配置してなる電力系統
の全体に対して電力需要を満たしながら電力系統全体の
発電効率を最大化すべく、発電装置数に拘らず各発電装
置において実用的な計算時間で発電出力の制御が行える
電力系統制御方法を提供する。 【解決手段】 複数の発電装置が各別に、電力系統内の
需給バランスと複数の発電装置の発電効率に関する情報
の内、自己の発電装置と他の発電装置の一部から得られ
る局所情報に基づいて、自律的に自己の発電装置の出力
を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統内に分散
配置された複数の発電装置の出力を、その電力系統全体
における電力需要を満たしながらその電力系統全体の発
電効率を最大化すべく制御する電力系統制御方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】このような電力系統制御方法として、電
力系統内の需給バランスと電力系統内に配置された全て
の発電装置の発電効率に関する情報に基づいて、各発電
装置の出力を集中制御する方法がある。かかる集中制御
型の電力系統制御方法として、書籍「電力システム工
学」(著者:小向敏彦、発行者:丸善)の第128頁以
降に記載されている下記の方法が知られている。
【0003】先ず、各発電装置の発電出力の総和と電力
需要量(消費電力)の需給バランスを維持しながら、各
発電装置の発電効率の総和を最大化するために、換言す
れば電力系統全体の運転コストを最小化するために、数
1に示す目的関数と数2に示す制約条件を定義する。
【0004】
【数1】
【0005】
【数2】
【0006】但し、Piはi番目の発電装置の発電出力
(MW)、Bi(Pi)はi番目の発電装置の発電効率関
数(MWh/kcal)、PRは電力需要量(MW)で
ある。尚、発電装置が火力発電機の場合、発電効率関数
は上に凸な2次関数で表されるので、横軸を発電出力P
i、縦軸を発電効率Bi(Pi)とすると、例えば、図1
に示すような特性となる。ところで、各発電装置の定格
出力Popt,iは各発電効率Bi(Pi)が最大値となると
きの各発電出力で表される。
【0007】次に、数2の制約条件に対してλなる未定
乗数を導入し、数3に示すラグランジェ関数Iを最小化
する(ラグランジェの未定乗数法)。
【0008】
【数3】
【0009】上記の最小化において、ラグランジェ関数
Iを各変数Pi及びλについて夫々偏微分したものを0
として、整理すると数4及び数5が得られる。
【0010】
【数4】
【0011】
【数5】
【0012】ここで、発電装置が火力発電機の場合を想
定すると、Bi(Pi)は2次関数なので、その微分は1
次関数であり、数4及び数5で表されるN個のN元連立
1次方程式の解を求めればよい。ここで注目すべきは、
全ての発電装置の発電出力に対する発電効率の勾配(傾
き)が一致するときに、発電装置全体の発電効率が最大
となる点である。後述するように、本願発明においてこ
の注目点が利用される。
【0013】図1に示す発電効率の3台の発電装置G1
〜G3を備えた電力系統の場合について、以上の解法に
より得られた電力需要量に対して最大発電効率を与える
各発電装置の発電出力量を図2に示す。図2より、発電
規模の小さい発電装置G1の方が発電出力の小さいとき
に発電効率が高くなるので、電力需要が低いときは、発
電規模の小さい発電装置のみが運転していることが分か
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
集中制御型の電力系統制御方法では、電力系統内の全て
の発電装置の発電出力と発電効率関数が1カ所において
分かっていないと数4及び数5に示した連立方程式を解
くことができないので、発電装置の台数が増加するに従
って解法に係る変数が増加し、実用的な計算時間での解
法が困難となり、電力需要の変動等に則した電力系統の
的確且つ適時な制御が実現不可能となってしまう。
【0015】本発明は、上述の問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、集中制御型の電力系統制御方
法の問題点を解消し、電力系統内の発電装置数に拘ら
ず、電力需要を満たしながら電力系統全体の発電効率を
最大化すべく各発電装置において実用的な計算時間で自
律的に発電出力の制御が行える電力系統制御方法を提供
する点にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明に係る電力系統制御方法の第一の特徴構成は、
特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した如く、複数の
発電装置を分散配置してなる電力系統の全体に対して電
力需要を満たしながら発電効率を最大化すべく、前記複
数の発電装置の出力を制御する電力系統制御方法であっ
て、前記複数の発電装置の少なくとも一部が各別に、前
記電力系統内の需給バランスと前記複数の発電装置の発
電効率に関する情報の内、自己の発電装置と他の発電装
置の一部から得られる局所情報に基づいて、自律的に自
己の発電装置の出力を制御する点にある。
【0017】同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項2に記載した如く、上記第一の特徴構成に加え
て、前記電力系統内の需給バランスに関する前記局所情
報が、前記電力系統内の電力周波数の基準周波数からの
変動量であって、前記変動量がゼロとなるように自己の
発電装置の出力を制御する点にある。
【0018】同第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項3に記載した如く、上記第一または第二の特徴
構成に加えて、前記複数の発電装置の発電効率に関する
前記局所情報が、前記自己の発電装置と前記他の発電装
置の一部における発電出力に対する発電効率関数の勾配
であって、前記自己の発電装置における前記勾配が、前
記他の発電装置の一部における前記勾配と等しくなるよ
うに自己の発電装置の出力を制御する点にある。
【0019】同第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項4に記載した如く、上記第一、第二または第三
の特徴構成に加えて、前記複数の発電装置の少なくとも
一部が各別に、前記電力系統内の電力周波数の基準周波
数からの変動量の瞬時値と、前記自己の発電装置と前記
他の発電装置の一部における発電出力に対する発電効率
関数の勾配の瞬時値とを入力すると、前記変動量を減少
させ、且つ、前記自己の発電装置の前記勾配と前記他の
発電装置の一部における前記勾配を等しくする方向に、
前記自己の発電装置における発電出力を変化させるため
の前記自己の発電装置における発電出力の時間変化率が
与えられる逐次更新式を用いて、自己の発電装置の出力
を逐次更新しながら制御する点にある。
【0020】以下に上記各特徴構成の作用並びに効果を
説明する。上記の本発明に係る電力系統制御方法の第一
の特徴構成によれば、電力系統を構成する発電装置の少
なくとも一部における各発電出力の制御に対して、最小
化或いは最大化すべき目的関数を自己の発電装置と他の
発電装置の一部から得られる局所情報に基づいて生成で
きるため、電力系統内の発電装置数が増加しても目的関
数の変数を増加させることなく、容易に実時間での的確
な電力系統内の発電出力の制御を実現することができ
る。この結果、発電装置の全てについて、全発電装置の
情報を使用した制御を必要としないことから、電力系統
全体に対する制御にかかる処理時間が、従来の集中制御
型の電力系統制御方法に比べて大幅に低減され、実時間
での的確な電力系統内の全ての発電出力の制御を実現す
ることができる。ここで、局所情報として、電力系統内
の需給バランスと発電効率に関する情報を用いるのは、
電力需要を満足しつつ発電効率を最大化するために必須
の要件となるからである。尚、発電効率を最大化するこ
とと運転コストを最小化することとは等価であるため、
前記複数の発電装置の発電効率に関する情報は、運転コ
ストに関する情報と実質同一である。
【0021】同第二の特徴構成によれば、電力系統全体
の発電効率或いは例えば運転コスト等の発電効率と等価
なものを目的関数として、需給バランスを0とすること
を制約条件とした場合における制約条件を、各発電装置
で独自に得られる需給バランスを反映する電力系統内の
電力周波数の変動量を0にすることで局所的に満たすこ
とができるため、電力系統全体の電力需要を満足しつつ
発電効率を最大化するための電力系統制御を各発電装置
において容易且つ局所的に実現できる。
【0022】同第三の特徴構成によれば、各発電装置に
おいて、自己の発電装置における発電出力に対する発電
効率関数の勾配が、容易且つ局所的に得られる他の発電
装置の一部における前記勾配と等しくなるように自己の
発電装置の出力を制御することにより、電力系統内全体
において全ての発電装置における前記勾配が相互に等し
くなるような制御が結果的に行われることになり、従来
技術の項で集中制御型の電力系統制御方法の説明におい
て指摘したように、全ての発電装置の発電出力に対する
発電効率の勾配が一致するときに、発電装置全体の発電
効率が最大となるので、電力系統全体の電力需要を満足
しつつ発電効率を最大化するための電力系統制御を各発
電装置において容易且つ局所的に実現できる。また、各
発電装置における制御に必要な情報が、複数の発電装置
の発電効率に関する情報については、自己の発電装置と
他の発電装置の一部における前記勾配が分かれば十分で
あるので、つまり局所情報で賄えるので、電力系統内の
発電装置の総数に拘らず制御に必要な情報量を少なく抑
えて、各発電装置における制御に必要な処理時間を実用
的な範囲内に維持することができる。
【0023】同第四の特徴構成によれば、電力系統を構
成する複数の発電装置の少なくとも一部において、局所
的に得られる電力系統内の電力周波数の基準周波数から
の変動量の瞬時値と、自己の発電装置と前記他の発電装
置の一部における発電出力に対する発電効率関数の勾配
の瞬時値とを入力するだけで、前記変動量を減少させ、
且つ、前記自己の発電装置の前記勾配と前記他の発電装
置の一部における前記勾配を等しくするように、発電出
力を自律分散的に制御できるため、電力系統全体の電力
需要を満足しつつ発電効率を最大化するための電力系統
制御を各発電装置において容易且つ局所的に実現でき
る。つまり、前記変動量を減少させることにより需給バ
ランスを維持し、前記勾配を等しくすることで発電効率
の最大化を図ることができるわけであるが、これを逐次
更新式を用いることで、各発電装置における当該制御の
影響が局所情報に関係する他の発電装置の一部から電力
系統内の全ての発電装置に徐々に伝播して均一化されて
いくため、局所的な制御であっても集中制御型と同様の
制御が実質的に可能となるのである。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明に係る電力系統制御方法、
つまり、電力系統全体に対して電力需要を満たしながら
発電効率を最大化すべくその電力系統内に分散配置され
た複数の発電装置の出力を自律分散的に制御する電力系
統制御方法(以下、単に「本発明方法」という。)の実
施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0025】本発明方法では、複数の発電装置の少なく
とも一部が各別に、電力系統内の需給バランスと複数の
発電装置の発電効率に関する情報の内、自己の発電装置
と他の発電装置の一部から得られる局所情報を自律分散
的に入手しながら、それらの局所情報に基づいて、自律
的に自己の発電装置の出力を、発電出力と電力需要との
需給バランスを局所的に満足しながら、発電効率につい
ても局所的に最適化を行いつつ制御する。
【0026】複数の発電装置のその残余については、電
力系統内の需給バランスと複数の発電装置の発電効率に
関する情報の内、自己の発電装置と他の発電装置の全部
から得られる情報を用いる場合も許容される。この点に
ついては、後述する実施例3〜5において比較検討を行
う。
【0027】先ず、需給バランスを局所的に把握するた
めに、電力系統内の需給バランスに関する局所情報とし
て、電力系統内の電力周波数の基準周波数からの変動量
を用いる。かかる基準周波数からの変動量を用いる理由
は、需給バランスと前記基準周波数からの変動量が、数
6で与えられる関係にあって需給バランスを反映してい
ること、及び、かかる変動量が局所的に容易に取得で
き、各発電装置での自律分散的な制御に適しているから
である。
【0028】
【数6】
【0029】ここで、Piはi番目の発電装置iの発電
出力(MW)、PRは電力需要量(MW)、%Kは対象
となる電力系統の電力周波数特性定数(%MW/H
z)、Cは同電力系統の系統容量(MW)、ΔFは基準
周波数からの変動量(Hz)であり、数6における需給
バランスは両辺ともに電力需要量PRで正規化された形
式で表されている。尚、数6は、各発電装置への入力エ
ネルギが一定である場合、電力需要量PRが電力系統全
体の供給量ΣPiより大きいと、その不足分を補うため
に発電装置の回転子の運動エネルギが放出されるため回
転子の加速度が次第に低下し発電電力の周波数が下が
り、逆に、電力需要量PRが電力系統全体の供給量ΣPi
より小さいと、発電装置の回転子の運動エネルギが余剰
となるため回転子の加速度が次第に上昇し発電電力の周
波数が上がるという関係を定式化したものである。
【0030】更に具体的に、数6の%Kの値を10(%
MW/Hz)、系統容量Cを通常の電力需要量PRの5
倍と仮定すると、正規化された需給バランスは、数7に
示すように基準周波数からの変動量ΔFのみで決定され
る。従って、変動量をゼロに調整することで、需給バラ
ンスを満足することができる。
【0031】
【数7】
【0032】次に、発電効率の局所的な最適化を図るた
めに、数8に示す目的関数を定義し、これを最小化す
る。
【0033】
【数8】
【0034】ここで、Popt,kはk番目の発電装置の定
格出力で、発電効率Bk(Pk)が最大値となるときの発
電出力で表される。nは電力系統内の発電装置総数Nよ
り少ない一部の発電装置数である。尚、nは各発電装置
において必ずしも同じ値である必要はない。dBi/d
iは自己の発電装置(i番目の発電装置を便宜的に自
己の発電装置とする)の発電出力Piに対する発電効率
関数Bi(Pi)の勾配であり、dBk/dPkは他の発電
装置の発電出力Pkに対する発電効率関数Bk(P k)の
勾配であり、夫々各発電装置において局所的に取得され
る発電効率に関する局所情報である。他の発電装置の勾
配は、一部の発電装置のもののみを使用するので、数8
における入力変数の数が、発電装置総数Nが増大しても
一定数に限定でき、後述する計算処理時間を大幅に短縮
することができる。
【0035】尚、数8に示す発電効率についての局所的
な目的関数は、従来の集中制御型の電力系統制御方法に
おいて、数4に示すように、全ての発電装置の発電出力
に対する発電効率の勾配が一致するときに、発電装置全
体の発電効率が最大となる(数1に示す目的関数参照)
という関係に着目して導き出されている。従って、各発
電装置において、各別に自律分散的に、自己の発電装置
における前記勾配が、他の発電装置の一部における前記
勾配と等しくなるように自己の発電装置の出力を制御す
ることで、電力系統全体の各発電装置相互間の前記勾配
が等しくなるように、即ち電力系統全体の発電効率が最
大化するように電力系統が制御される。
【0036】次に、各発電装置において、数7及び数8
における上述の局所情報を取得して、具体的にどのよう
にして発電出力の制御を行うかを説明する。数7に示す
需給バランスについて基準周波数からの変動量ΔFをゼ
ロに調整するという制約条件のもとで、数8に示す目的
関数を最小化する逐次更新式が数9で与えられる。
【0037】
【数9】
【0038】但し、自己の発電装置または他の発電装置
の発電出力が最大または最小出力状態にあって所定の条
件を満たす以下の四つの場合には、特定の制約を設け
る。
【0039】(1)Pi=Pmin,i、且つ、右辺<0の
時、左辺(dPi/dt)=0とする。 (2)Pi=Pmax,i、且つ、右辺>0の時、左辺(dP
i/dt)=0とする。 (3)Pk=Pmin,k、且つ、dBi/dPi>dBk/d
kの時、dBi/dPi−dBk/dPk=0とする。 (4)Pk=Pmax,k、且つ、dBi/dPi<dBk/d
kの時、dBi/dPi−dBk/dPk=0とする。
【0040】つまり、上記(1)、(2)では、自己の
発電装置の発電出力が最大または最小の時は、更に発電
出力を大きくまたは小さくするような制御は不可能であ
るので、その出力状態を維持することを意味する。ま
た、上記(3)、(4)では、他の発電装置の発電出力
が最大または最小であって、上記条件下では、その発電
装置に関わる局所情報は斟酌しないことを意味する。
尚、α(>0)及びβ(>0)は各発電装置の時定数等
に依存する定数であり、αの前の負号は、基準周波数か
らの変動量ΔFが上がれば、発電出力を下げるような制
御が働くことを反映している。
【0041】従って、本発明方法では、各発電装置にお
いて、ΔF、dBi/dPi、dBk/dPkの各局所情報
(数9における入力変数)を逐次取得しながら、数9に
基づいて、発電出力の時間変化率を計算し、その算出さ
れた時間変化率により発電出力を制御し、更に、その制
御結果による局所情報を取得して、同様の制御を繰り返
し実行することにより、需給バランスを満足しながら電
力系統全体の発電効率の最大化を図る。このように局所
情報にのみ基づく自律分散的な処理であっても逐次更新
式による更新を繰り返すことで、各発電装置における局
所的な制御が電力系統全体へ波及していき、漸近的に最
適化が図られる。
【0042】尚、逐次更新式による更新の繰り返し時間
間隔は、逐次更新式の計算時間と各局所情報の取得時間
で決定される。他の発電装置に関わる局所情報の取得に
は発電装置間における情報伝送時間が含まれることにな
る。ところで、各発電装置の発電効率が発電出力を変数
とする2次関数で与えられる場合、その勾配は発電出力
を変数とする1次関数で与えられるため、他の発電装置
に関わる局所情報dB k/dPkもその発電出力Pkが取
得できれば瞬時に求めることができる。当然に自己の発
電装置についても同様である。
【0043】次に、数9に示す逐次更新式を用いた制御
の実施例を、以下に5例示す。
【0044】〈実施例1〉図1に示す発電効率の3台の
発電装置G1〜G3を備えた電力系統(N=3)を例
に、数9に示す逐次更新式を用いて制御を行った結果を
図3に示す。ここでは、α=50、β=10、n=2と
し、各発電装置の初期出力が、G1=1.8MW、G2
=3.2MW、G3=4.8MWとして、電力需要量P
Rは10MWを想定した。各発電装置の発電出力が、1
0回の繰り返し計算で漸近的に夫々の適正値に安定して
制御され、発電出力の総和が電力需要量PRの10MW
を満足していることが分かる。同様の制御を種々の電力
需要量PRに対して行い、得られた各電力需要量PRに対
する各発電装置G1〜G3の発電出力量Piを図4に示
す。本発明方法による結果が、従来の集中制御型の電力
系統制御方法で得られた図2に示す結果と全く一致して
いることが分かる。
【0045】尚、本実施例では、計算の簡単のために発
電装置の総数Nを3とし、他の発電装置数nが2である
ことから、複数の発電装置の発電効率に関する情報につ
いては、自己の発電装置と他の発電装置の全部から得ら
れる情報を使用していることになっているが、これは、
数9に示す逐次更新式を用いた制御手法の正当性を簡単
に証することを目的としたもので、需給バランスに関し
ては局所情報である電力系統内の電力周波数の基準周波
数からの変動量を使用している。
【0046】〈実施例2〉α=50、β=10、n=3
の計算条件で、図5に示す発電効率の4台の発電装置G
1〜G4を備えた電力系統(N=4)の各発電装置に対
して、電力需要量PR(=10MW)を満足するように
数9に示す逐次更新式を500回繰り返し計算して、各
発電出力Piが十分安定した状態で、1台の発電装置
(G1)を突然停止させた場合における他の3台の発電
装置(G2〜G4)の制御結果を図6に示す。図6に示
す結果より、ある発電装置が突然機能を停止しても、2
0回の繰り返し計算による制御で、残りの発電装置がそ
の発電出力を新たな状況における最適値へ無事に収束さ
せていることが分かる。
【0047】〈実施例3〉図7に示す発電効率の10台
の発電装置を備えた電力系統(N=10)の各発電装置
G1〜G10が、図8に示すように全結合している場合
に対して、α=5、β=10、n=9(全結合)の計算
条件で、電力需要量PR(=100MW)を満足するよ
うに数9に示す逐次更新式を繰り返し計算して制御した
結果を図9に示す。図9に示す結果より、初期出力が0
MWという状況でも、70回程度の繰り返し計算による
制御で、各発電装置G1〜G10の発電出力Piが適正
値へ無事に収束していることが分かる。
【0048】尚、本実施例では、発電装置の総数Nが1
0であるのに対して、他の発電装置数nが9であること
から、複数の発電装置の発電効率に関する情報について
は、全ての発電装置が、自己の発電装置と他の発電装置
の全部から得られる情報を使用していることになってい
るが、これは、以下の実施例4及び5との比較を目的と
したものである。他方、需給バランスに関しては局所情
報である電力系統内の電力周波数の基準周波数からの変
動量を使用している。
【0049】〈実施例4〉図7に示す発電効率の10台
の発電装置G1〜G10を備えた電力系統(N=10)
の各発電装置が、図10に示すように1台の発電装置を
中心に放射状結合している場合に対して、α=5、β=
10、n=1(放射状結合の末端の9台G1〜G9)及
びn=9(放射状結合の中心の1台G10)の計算条件
で、電力需要量PR(=100MW)を満足するように
数9に示す逐次更新式を繰り返し計算して制御した結果
を図11に示す。図11に示す結果より、初期出力が0
MWという状況でも、80回程度の繰り返し計算による
制御で、各発電装置G1〜G10の発電出力Piが適正
値へ無事に収束していることが分かる。
【0050】〈実施例5〉図7に示す発電効率の10台
の発電装置G1〜G10を備えた電力系統(N=10)
の各発電装置が、図12に示すように1列状に結合して
いる場合に対して、α=5、β=10、n=1(列状結
合の両端の2台G1,G10)及びn=2(列状結合の
中間の8台G2〜G9)の計算条件で、電力需要量PR
(=100MW)を満足するように数9に示す逐次更新
式を繰り返し計算して制御した結果を図13に示す。図
13に示す結果より、初期出力が0MWという状況で
も、80回程度の繰り返し計算による制御で、各発電装
置G1〜G10の発電出力Piが適正値へ無事に収束し
ていることが分かる。
【0051】上記実施例3乃至5を比較すると、電力系
統内における全ての発電装置において、全ての発電装置
の発電出力に対する発電効率関数の勾配を使用しなくて
も、一部の発電装置においてn<9となる実施例4と全
ての発電装置においてn<9となる実施例5のように、
一部または全部の発電装置において、自己の発電装置と
他の一部の発電装置との間で、前記勾配を比較するだけ
で、電力系統全体の発電効率を最大化できることが分か
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】電力系統を構成する各発電装置の発電効率と発
電出力との関係の一例を示す特性図
【図2】従来の集中制御型の電力系統制御方法で得られ
た電力需要量に対する各発電装置の発電出力量を示す説
明図
【図3】本発明に係る電力系統制御方法により各発電装
置を制御した場合の各発電出力の経時変化を示す説明図
【図4】本発明に係る電力系統制御方法により得られた
電力需要量に対する各発電装置の発電出力量を示す説明
【図5】電力系統を構成する各発電装置の発電効率と発
電出力との関係の一例を示す特性図
【図6】本発明に係る電力系統制御方法により各発電装
置を制御した場合の各発電出力の経時変化を示す説明図
【図7】電力系統を構成する各発電装置の発電効率と発
電出力との関係の一例を示す特性図
【図8】電力系統を構成する各発電装置の結合状態の一
例(全結合)を示す説明図
【図9】本発明に係る電力系統制御方法により各発電装
置を制御した場合の各発電出力の経時変化を示す説明図
【図10】電力系統を構成する各発電装置の結合状態の
一例(放射状結合)を示す説明図
【図11】本発明に係る電力系統制御方法により各発電
装置を制御した場合の各発電出力の経時変化を示す説明
【図12】電力系統を構成する各発電装置の結合状態の
一例(列状結合)を示す説明図
【図13】本発明に係る電力系統制御方法により各発電
装置を制御した場合の各発電出力の経時変化を示す説明
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山藤 泰 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 Fターム(参考) 5G066 AA03 AA05 HA15 HB01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の発電装置を分散配置してなる電力
    系統の全体に対して電力需要を満たしながら発電効率を
    最大化すべく、前記複数の発電装置の出力を制御する電
    力系統制御方法であって、 前記複数の発電装置の少なくとも一部が各別に、前記電
    力系統内の需給バランスと前記複数の発電装置の発電効
    率に関する情報の内、自己の発電装置と他の発電装置の
    一部から得られる局所情報に基づいて、自律的に自己の
    発電装置の出力を制御することを特徴とする電力系統制
    御方法。
  2. 【請求項2】 前記電力系統内の需給バランスに関する
    前記局所情報が、前記電力系統内の電力周波数の基準周
    波数からの変動量であって、前記変動量がゼロとなるよ
    うに自己の発電装置の出力を制御することを特徴とする
    請求項1記載の電力系統制御方法。
  3. 【請求項3】 前記複数の発電装置の発電効率に関する
    前記局所情報が、前記自己の発電装置と前記他の発電装
    置の一部における発電出力に対する発電効率関数の勾配
    であって、前記自己の発電装置における前記勾配が、前
    記他の発電装置の一部における前記勾配と等しくなるよ
    うに自己の発電装置の出力を制御することを特徴とする
    請求項1または2記載の電力系統制御方法。
  4. 【請求項4】 前記複数の発電装置の少なくとも一部が
    各別に、前記電力系統内の電力周波数の基準周波数から
    の変動量の瞬時値と、前記自己の発電装置と前記他の発
    電装置の一部における発電出力に対する発電効率関数の
    勾配の瞬時値とを入力すると、前記変動量を減少させ、
    且つ、前記自己の発電装置の前記勾配と前記他の発電装
    置の一部における前記勾配を等しくする方向に、前記自
    己の発電装置における発電出力を変化させるための前記
    自己の発電装置における発電出力の時間変化率が与えら
    れる逐次更新式を用いて、自己の発電装置の出力を逐次
    更新しながら制御することを特徴とする請求項1、2ま
    たは3記載の電力系統制御方法。
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