JP2004005250A - プロセス最適化制御システム - Google Patents

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Akimoto Kamiya
神谷 昭基
Kensuke Kawai
河井 研介
Masashi Nakamoto
中本 政志
Shinji Kawamoto
河本 新二
Hitoshi Kichise
吉瀬 仁志
Yoshiko Shimizu
清水 佳子
Hiroshi Fukuda
福田 浩
Kazutaro Shinohara
篠原 和太郎
Minoru Iino
飯野 穣
Toshihiro Yamada
山田 利広
Akitomo Ueto
上都 礼智
Mikio Takayanagi
高柳 幹男
Tatsuya Otsuka
大塚 達也
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Abstract

【課題】ボイラータービン一発電機群で構成されるプロセス系において、最適な方法で最適燃料流量を計算し、より低い1次エネルギ消費コストで安定に最適制御するプロセス最適化制御システムである。
【解決手段】プロセス最適化制御システム1は、1次エネルギから需要を満たす2次エネルギを生成するエネルギ生成機器と2次エネルギが供給されるエネルギ消費負荷とから構成されるプロセス系6と、主制御量に分配ゲインを与え各エネルギ生成機器に分配する比例分配量を計算する機能を有する分配ゲイン設定手段と比例分配量にバイアスを与えるバイアス設定手段を具備した統括制御手段3と、最適化計算手段2とを備える。最適化計算手段2は、プロセス系6のエネルギ生成機器の運転制約条件のもとに、1次エネルギ消費コストを最小とする最適化問題を解くことにより最適条件を計算し、この最適条件から分配ゲインおよびバイアスを決定し、統括制御手段3に与える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエネルギ生成プロセス系において消費エネルギコストを低減し、安定した制御をするプロセス最適化制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のプロセス最適化制御システムとして、図5に示す特公平7−81684号公報に記載されたものがある。
【0003】
図5において、従来のプロセス最適化制御システムAは、プロセス量の最適化計算を行なう最適化計算手段Bと統括制御手段Cで構成される。統括制御手段Cは、蒸気圧力設定部D、加減算部E、比例積算部Fとn個のゲイン部Gを具備する。
【0004】
一方、プロセス系Hは、n台のボイラIと蒸気負荷施設Jで構成される。
【0005】
最適化制御の目的は蒸気負荷施設Jに必要な蒸気負荷Kを満足するように蒸気を供給する際、各ボイラIの合計消費燃料が最小となるように、各ボイラIの燃料流量を決定することである。そのためには、蒸気ヘッダLの蒸気圧力Mを蒸気負荷Kに一致させ安定に保つことが必要である。蒸気ヘッダLの蒸気圧力Mは各ボイラIで生成され供給された各ボイラIの出口の蒸気流量Nの総和で決定される。
【0006】
統括制御手段Cは、蒸気ヘッダLの蒸気圧力Mが蒸気圧力設定部Dに設定される蒸気圧力設定値Oと等しくなるように、各ボイラIの燃料流量を制御する。
【0007】
統括制御手段Cによる各ボイラIの燃料流量制御方法の詳細について説明する。
【0008】
統括制御手段Cの加減算部Eは蒸気ヘッダLの蒸気圧力Mの値と蒸気圧力設定部Dに設定された蒸気圧力設定値Oとを読み込み計算することにより、蒸気圧力偏差Pを比例積算部Fに与える。比例積分部Fは与えられた蒸気圧力偏差Pを用いて燃料流量マスタQを計算し、各ゲイン部Gに与える。さらに各ゲイン部Gは与えられた燃料流量マスタQと設定された燃料制御最適ゲインRとにより燃料流量制御出力Sを各ボイラIに与え燃料流量を制御する。
【0009】
プロセス系Hの系が平衡状態から、蒸気負荷施設Jに必要な蒸気負荷Kが増える(減る)と、蒸気ヘッダLの蒸気圧力Mは低下(上昇)する。蒸気ヘッダLの蒸気圧力Mの値が低下(上昇)すると、加減算部Eで計算される蒸気圧力偏差Pは正(負)の偏差となり、比例積分部Fで計算される燃料流量マスタQは増加(減少)する。
【0010】
さらに統括制御手段Cの各ゲイン部Gは燃料流量制御出力Sを増加(減少)させることにより、各ボイラIの燃料流量を増加(減少)させる。そして、各ボイラIの出口の蒸気流量Nを増加させ(減少させ)、蒸気ヘッダLの蒸気圧力Mが蒸気圧力設定部Dに設定される蒸気圧力設定値Oと等しくなるように燃料流量が制御される。
【0011】
次に最適化計算手段Bの作用について説明する。
【0012】
統括制御手段Cの各ゲイン部Gのゲイン同士をそれぞれ同値に設定すると、プロセス系Hの各ボイラIに出力される燃料流量制御出力Sはそれぞれ同値となり、各ボイラIには負荷が等配分される。そこで最適化計算手段Bは、各ボイラIの最適燃料流量を計算し、さらに数1に示す式で計算して得た最適燃料流量に対応する燃料制御最適ゲインRを各ゲイン部Gに与える。
【0013】
数1でY は第iボイラI(i=1…n)の最適燃料流量、α は第iゲイン部(i=1…n)に設定する燃料制御最適ゲインRである。すなわち最適化計算手段Bは、各ゲイン部Gに燃料制御最適ゲインRを設定し、各ボイラIに最適な負荷が配分されることを可能にする。
【0014】
【数1】
Figure 2004005250
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示す従来のプロセス最適化制御システムAでは、一般に、最適化計算手段Bの計算時間が統括制御手段Cの計算時間よりも長い。このため、統括制御手段Cの制御周期より最適化計算手段Bの計算周期のほうが長い。
【0016】
したがって、最適化計算手段Bの計算実行後から次の計算実行までの間に、蒸気負荷施設Jに必要な蒸気負荷Kの変動がなければ各ボイラIは最適制御されるが、蒸気負荷Kに変動がある場合は、最適化計算手段Bで式(1)により計算された最適燃料流量Y および燃料制御最適ゲインRα はもはや最適ではない。このため、例えば燃料流量の不足が発生するようなことも起こり、各ボイラIは最適制御されない。
【0017】
また、最適化計算手段Bによる計算実行時に、エネルギ消費負荷の量がエネルギ生成機器の運転制約を超える場合等の運転制約条件を満たす最適解が存在しない場合もあり、この場合も安定した最適制御がされず、1次エネルギ消費コストの増加につながる。
【0018】
したがって、より低い1次エネルギ消費コストで安定に最適制御するためには、より最適な別の方法で最適燃料流量を計算し、各ボイラIを最適制御することが重要である。
【0019】
本発明は従来の事情に対処するためになされたものであり、1次エネルギから2次エネルギを生成するエネルギ生成機器とエネルギ消費負荷で構成されるプロセス系において、最適な方法で最適燃料流量を計算し、より低い1次エネルギ消費コストで安定に最適制御するプロセス最適化制御システムを提供することを目的とする。
【0020】
また、1次エネルギが不足しても、不足する1次エネルギの消費量が減少するようにエネルギ生成機器を制御することが可能なプロセス最適化制御システムを提供することを目的とする。
【0021】
また、プロセス系に必要なエネルギあるいは燃料流量の最適値に実行可能な解が存在しない場合でも柔軟に安定した制御が可能であるプロセス最適化制御システムを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るプロセス最適化制御システムは、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、1次エネルギから需要を満たす2次エネルギを生成するエネルギ生成機器と2次エネルギが供給されるエネルギ消費負荷とから構成されるプロセス系と、主制御量に分配ゲインを与え各エネルギ生成機器に分配する比例分配量を計算する機能を有する分配ゲイン設定手段と前記比例分配量にバイアスを与えるバイアス設定手段を具備した統括制御手段と、最適化計算手段とを備え、この最適化計算手段は、前記プロセス系からプロセスデータを入力し、前記プロセス系のエネルギ生成機器の運転制約条件のもとに、1次エネルギ消費コストを最小とする最適化問題を解くことにより最適化計算結果および最適条件を計算し、この最適条件から分配ゲインおよびバイアスを決定し前記最適化計算結果とともに前記統括制御手段に与える一方、前記統括制御手段は最適化計算結果と分配ゲインおよびバイアスとプロセス制御入力に基づき各エネルギ生成機器が生成する2次エネルギの最適目標値を設定し、前記プロセス系にプロセス制御出力を行うことにより、プロセス系を最適に制御するようにしたことを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明に係るプロセス最適化制御システムは、上述の目的を達成するために、請求項2に記載したように、前記最適化計算手段が最適化問題を解くことにより得た最適条件が各エネルギ生成機器の1次エネルギ消費の増加に対する2次エネルギ生成のそれぞれの勾配が等しくなるという条件であり、前記最適化計算手段が、前記1次エネルギ消費と2次エネルギ生成それぞれの勾配が等しくなるように分配ゲインとバイアスを決定するようにしたことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明に係るプロセス最適化制御システムは、上述の目的を達成するために、請求項3に記載したように、前記最適化計算手段に複数運転制約セット記憶手段を設け、この複数運転制約セット記憶手段は、前記プロセス系の多種多様な運転制約条件を複数の運転制約セットとして記憶し、記憶した複数の運転制約セットの中から、ある運転制約セットを選択して前記最適化計算手段に与え、この最適化計算手段に与えられた運転制約セットの条件で前記最適化計算結果が存在しなければ、前記最適化計算結果が存在する運転制約セットが前記最適化計算手段に与えられるまで、残りの運転制約セットを順次選択し前記最適化計算手段に繰り返し与えることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明に係るプロセス最適化制御システムは、上述の目的を達成するために、請求項4に記載したように、前記統括制御手段に最適目標値修正手段を設け、この最適目標値修正手段は、前記1次エネルギが不足状態の場合、前記エネルギ消費負荷に必要な2次エネルギの生成量を維持しつつ、前記最適化計算手段が計算する前記不足状態の1次エネルギを消費するエネルギ生成機器の最適目標値を前記不足状態の1次エネルギの消費が減少する方向に修正し、1次エネルギの不足状態を解消させるようにしたことを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明に係るプロセス最適化制御システムは、上述の目的を達成するために、請求項5に記載したように、前記最適化計算手段が、前記最適条件の時間的変動により発生する分配ゲインのバラツキを表す量を用いて分配ゲインを統計学に基づいて計算し、前記バラツキの影響を低減させるようにしたことを特徴とするものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に係るプロセス最適化制御システムの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0028】
図1は本発明に係るプロセス最適化制御システムの実施の形態を示す構成図である。
【0029】
図1でプロセス最適化制御システム1は、最適化計算手段2、統括制御手段3、複数運転制約セット記憶手段4と最適目標値修正手段5で構成され、プロセス系6を制御する。
【0030】
複数運転制約セット記憶手段4は予め設定されたプロセス系6の運転制約条件である運転制約セット7を最適化計算手段2に与える。最適化計算手段2はプロセス系6からプロセス量などのプロセスデータ8を入力し、複数運転制約セット記憶手段4から入力された運転制約セット7を制約条件とし、最適化計算結果9を決定し、統括制御手段3に与える。
【0031】
一方、最適目標値修正手段5は、プロセス系6から目標値修正用プロセスデータ10を入力し、最適目標値修正量11を統括制御手段3に与える。
【0032】
統括制御手段3は、最適化計算結果9、最適目標値修正量11およびプロセス系6から入力されるプロセス制御入力12を基に、プロセス制御出力13を発生し、プロセス系6に入力することによりプロセス系6を制御する。
【0033】
図2は、図1に示すプロセス系6の例を示す構成図である。
【0034】
プロセス系6はエネルギ生成機器20とエネルギ消費負荷21で構成される。エネルギ生成機器20は、ボイラ22、1号タービン発電機23と2号タービン発電機24より構成される。
【0035】
ボイラ22は、1次エネルギとしてのボイラ燃料25からボイラ主蒸気26を生成する。生成されたボイラ主蒸気26は高圧蒸気ヘッダ27へ流れて分配され、1号タービン発電機23と2号タービン発電機24の入力エネルギであるタービン主蒸気28として利用される。
【0036】
1号タービン発電機23と2号タービン発電機24は、それぞれ、タービン29、復水器30、発電機31、抽気制御弁32と主蒸気加減弁33により構成される。1号タービン発電機23と2号タービン発電機24は流入されるタービン主蒸気28を入力エネルギとして、2次エネルギである発電機出力34と抽気35とを生成する。
【0037】
1号タービン発電機23と2号タービン発電機24で生成された抽気35は低圧蒸気ヘッダ36へ流れる。低圧蒸気ヘッダ36の低圧蒸気ヘッダ圧力37は、蒸気負荷としてエネルギ消費負荷21に供給される。
【0038】
一方、発電機出力34は電力系統38から購入される買電力39と共に電力負荷に必要な発電出力40として、エネルギ消費負荷21に供給される。
【0039】
次に、1号タービン発電機23と2号タービン発電機24におけるタービン主蒸気28の量および発電機出力34と抽気35生成量の制御について説明する。
【0040】
抽気制御弁32と主蒸気加減弁33の操作により、抽気35の量と発電機出力34の量が制御される。抽気制御弁32の開度を一定にして、主蒸気加減弁33の開度を増加(減少)させると、供給されるタービン主蒸気28、抽気35、低圧蒸気ヘッダ36の流量と発電機出力34の量は共に増加(減少)する。
【0041】
一方、主蒸気加減弁33の開度を一定にして、抽気制御弁32の開度を増加(減少)させると、供給されるタービン主蒸気量28と発電機出力量34は共に増加(減少)するが、抽気35と低圧蒸気ヘッダ36の流量は減少(増加)する。
【0042】
プロセス系6において低減すなわち最適化すべき対象は、1次エネルギ消費コストであるボイラ燃料25と電力系統38から購入される買電力39のコストである。したがって、プロセス系6の1次エネルギ消費コストを最小とする最適化問題は数2に示す式で表すことができる。
【0043】
【数2】
Figure 2004005250
【0044】
数2の式において、式(2−1)は目的関数、式(2−2)から式(2−10)までは制約条件である。ここで、fはボイラ燃料25流量、wは電力系統38から購入される買電力39、fはボイラ主蒸気26流量、fHiはi号タービン主蒸気28流量、fMiはi号タービン発電機23、24で生成される抽気35流量、wはi号タービン発電機出力34、fMDは低圧蒸気ヘッダ36の流量、wは発電出力40である。kは係数であり、kはボイラのコスト変換係数、kは電力系統のコスト変換係数、kBa、kBb、kBcはボイラモデルの係数、kai、kbi、kci、kdi、kei、kfiはi号タービン発電機モデルの係数である。上付添字の+は各変数の上限値、上付添字の−は各変数の下限値を表す。また、iの値はタービンの号機を表すため、1または2である。
【0045】
式(2−1)は目的関数であり、プロセス系6において、1次エネルギであるボイラ燃料25流量fと電力系統38から購入される買電力39wとを、それぞれボイラのコスト変換係数kと電力系統のコスト変換係数kとにより変換したコストの和、すなわち総コストが最適化すべき対象であることを表す。
【0046】
式(2−1)でコスト変換係数kと電力系統のコスト変換係数kの設定方法を変えることにより、総コストを1次エネルギの金額、消費量あるいは排出CO量に設定することができる。総コストを1次エネルギの金額に設定する場合には、コスト変換係数kと電力系統のコスト変換係数kは金額に換算する係数に、1次エネルギの消費量あるいは排出CO量に設定する場合には、コスト変換係数kと電力系統のコスト変換係数kは消費原油量に換算する係数に設定される。
【0047】
式(2−2)はボイラモデルで与えられるボイラ主蒸気26流量f生成に必要なボイラ燃料25流量fを表す式である。
【0048】
式(2−3)はボイラ主蒸気26流量fが1号タービン主蒸気28流量fH1と2号タービン主蒸気28流量fH2の和であることを表す式である。
【0049】
式(2−4)はタービン発電機モデルで与えられるi号タービンで生成される抽気35流量fMiとi号タービン発電機出力34wに必要なi号タービン主蒸気28流量fHiを表す式である。
【0050】
式(2−5)は1号タービン発電機23で生成される抽気35流量fM1と2号タービン24で生成される抽気35流量fM2の和が低圧蒸気ヘッダ36の流量fMDに等しくなることを、式(2−6)は1号タービン発電機出力34w、2号タービン発電機出力34wおよび電力系統38から購入される買電力39wの総和が発電出力40wに等しくなることをそれぞれ表す。
【0051】
式(2−7)から式(2−10)までは各変数の上下限制約条件式である。ボイラ主蒸気26流量f、i号タービン発電機23、24で生成される抽気35流量fMi、i号タービン発電機出力34wおよび電力系統38から購入される買電力39wが上限値と下限値の間にあることを表す。すなわち、ボイラ主蒸気26流量fはボイラ22の運転制約条件により、i号タービン発電機23、24で生成される抽気35流量fMiとi号タービン発電機出力34wはタービン発電機23、24の運転制約条件により、また、電力系統38から購入される買電力39wには制約があることにより上下限値があることを表す。
【0052】
図1に示す最適化計算手段2は数2に示す最適化問題を計算するためにプロセス系6からプロセスデータ8を入力し、ボイラ主蒸気26流量f、ボイラ燃料25流量f、i号タービン主蒸気28流量fHi、i号タービンで生成される抽気35流量fMiおよびi号タービン発電機出力34wの最適値を計算し最適化計算結果9を求め、プロセス系6におけるi号タービン発電機23、24の制御に必要なデータである最適化計算結果9を統括制御手段3に与える。
【0053】
次に統括制御手段3の構成について説明する。
【0054】
図3は統括制御手段3の例を示す構成図である。
【0055】
統括制御手段3は蒸気圧力を制御する低圧蒸気圧力設定部50、加減算部51、比例積分部52、1号タービン抽気制御部53、2号タービン抽気制御部54と、発電力を制御する発電出力設定部55、加減算部51、比例積分部52、1号タービン発電制御部56、2号タービン発電制御部57および1号タービン発電機23と2号タービン発電機24をそれぞれ制御する1号タービン制御部58、2号タービン制御部59で構成される。
【0056】
統括制御手段3の蒸気圧力制御信号の流れについて説明する。
【0057】
低圧蒸気圧力設定部50には、最適化計算手段2で計算された最適化計算結果9を基に、要求される蒸気負荷に対応する低圧蒸気圧力設定値61が設定される。プロセス系6からのプロセス制御入力12である、低圧蒸気ヘッダ36の低圧蒸気ヘッダ圧力37が統括制御手段3の蒸気圧力を制御する加減算部51に入力されると、加減算部51は低圧蒸気圧力設定部50から入力される低圧蒸気圧力設定値61と低圧蒸気ヘッダ圧力37の偏差を計算し、偏差信号62を比例積分部52に与える。
【0058】
次に、統括制御手段3の加減算部51から与えられた偏差信号62を基に、比例積分部52は低圧蒸気主制御量63を1号タービン抽気制御部53および2号タービン抽気制御部54に与える。比例積分部52の比例積分制御定数は、一般的な制御理論に基づいて、制御系が安定であるように、すなわち偏差信号62が0に近づくように設定されるが、ここでは詳細の説明を省略する。
【0059】
また、1号タービン抽気制御部53および2号タービン抽気制御部54は分配ゲイン設定部およびバイアス設定部を具備し、比例積分部52から与えられた低圧蒸気主制御量63に分配ゲインおよびバイアスを設定し、最適目標値としての1号タービン抽気目標値64および2号タービン抽気目標値65を計算する。さらに、1号タービン抽気制御部53は、1号タービン抽気目標値64を1号タービン制御部58に、2号タービン抽気制御部54は、2号タービン抽気目標値65を2号タービン制御部59にそれぞれ出力する。
【0060】
次に、統括制御手段3の発電力制御信号の流れについて説明する。
【0061】
プロセス最適化制御システム1の最適目標値修正手段5は高圧蒸気ヘッダ27から得られる高圧蒸気ヘッダ圧力66を入力し、最適目標値修正量11を統括制御手段3の発電力を制御する加減算部51に出力する。
【0062】
一方、プロセス系6からのプロセス制御入力12である、電力負荷60に必要な発電出力40が統括制御手段3の発電力を制御する加減算部51に入力される。
【0063】
さらに、発電出力設定部55には、最適化計算手段2で計算された最適化計算結果9を基に、必要な電力負荷60に対応して設定された発電出力設定値67が発電力を制御する加減算部51に入力される。
【0064】
発電力を制御する加減算部51は、入力された最適目標値修正量11、発電出力40および発電出力設定値67により、偏差信号62を計算し比例積分部52に与える。加減算部51から与えられた偏差信号62を基に、比例積分部52は発電主制御量68を1号タービン発電制御部56および2号タービン発電制御部57に与える。
【0065】
また、1号タービン発電制御部56および2号タービン発電制御部57は分配ゲイン設定部とバイアス設定部を具備し、発電主制御量68に分配ゲインおよびバイアスを設定する機能を有する。比例積分部52から与えられた発電主制御量68に分配ゲインおよびバイアスを設定することにより、1号タービン発電制御部56は、最適目標値としての1号タービン発電目標値69を1号タービン制御部58に、2号タービン発電制御部57は2号タービン発電目標値70を2号タービン制御部59にそれぞれ計算し出力する。
【0066】
次に統括制御手段3の、1号タービン制御部58および2号タービン制御部59の作用について説明する。
【0067】
1号タービン制御部58は1号タービン抽気制御部53から入力された1号タービン抽気目標値64と1号タービンが生成する抽気35の差および、1号タービン発電制御部56から入力された1号タービン発電目標値69と1号タービンが生成する発電機出力34の差が共に0に近づくように、一般的な多変数制御理論に基づいて、1号タービン加減弁制御量71と1号タービン抽気弁制御量72を計算する。
【0068】
さらに、1号タービン制御部58は、計算した1号タービン加減弁制御量71と1号タービン抽気弁制御量72をプロセス制御出力13として1号タービン発電機23に与え、図2に示す1号タービン発電機23の抽気制御弁32と主蒸気加減弁33の制御を行う。
【0069】
1号タービン制御部58と同様な手段で、2号タービン制御部59はプロセス制御出力13である2号タービン加減弁制御量73と2号タービン抽気弁制御量74を計算し、2号タービン発電機24に与えることにより、図2に示す2号タービン発電機24の抽気制御弁32と主蒸気加減弁33の制御を行う。
【0070】
また、図2に示したように、1号タービン発電機23および2号タービン発電機24で生成された抽気35は低圧蒸気ヘッダ36へ、発電機出力34は電力系統38からの買電力39と共に電力負荷60に供給される。
【0071】
統括制御手段3の蒸気圧力および発電力の制御方法について説明する。
【0072】
図2および図3において消費されるエネルギ消費負荷21の蒸気負荷が増加し(減少し)、低圧蒸気ヘッダ圧力37が減少(増加)すると、低圧蒸気圧力設定値61との偏差が正(負)となり正(負)の偏差信号62が比例積分部52に出力される。これに伴い比例積分部52から1号タービン抽気制御部53と2号タービン抽気制御部54への出力である低圧蒸気主制御量63が増加(減少)する。
【0073】
低圧蒸気主制御量63が増加(減少)すると、1号タービン抽気制御部53により設定される1号タービン抽気目標値64および2号タービン抽気制御部54により設定される2号タービン抽気目標値65が増加(減少)する。さらに、1号タービン制御部58および2号タービン制御部59はそれぞれ、1号タービン加減弁制御量71、1号タービン抽気弁制御量72および2号タービン加減弁制御量73と2号タービン抽気弁制御量74を計算し、1号タービン発電機23および2号タービン発電機24の抽気35量を増加(減少)させる。
【0074】
また、蒸気負荷が増減した場合と同様な手段で、電力負荷60が増加(減少)すると、発電機出力34が増加(減少)する。
【0075】
次に、1号タービン抽気制御部53、2号タービン抽気制御部55、1号タービン発電制御部58および2号タービン発電制御部59の構成について説明する。
【0076】
1号タービン抽気制御部53、2号タービン抽気制御部55、1号タービン発電制御部58および2号タービン発電制御部59は同じ構成である。
【0077】
図4は1号タービン抽気制御部53、2号タービン抽気制御部55、1号タービン発電制御部58および2号タービン発電制御部の構成例を示す図である。
【0078】
1号タービン抽気制御部53、2号タービン抽気制御部55、1号タービン発電制御部58および2号タービン発電制御部59は、それぞれ主制御入力手段80、分配ゲイン設定手段81、バイアス設定手段82、加減算部83および制御目標値出力手段84により構成される。
【0079】
分配ゲイン設定手段81は主制御入力手段80から入力される主制御量85に分配ゲインを設定し比例分配量86を計算する。さらに比例分配量86は加減算部83でバイアス設定手段82に設定されたバイアス量87と加減算され制御目標値88を計算する。
【0080】
分配ゲイン設定手段81に設定される分配ゲインをαMi、バイアス設定手段82に設定されるバイアス量87をβMi,主制御量85をm、制御目標値88をrMiとすると、分配ゲインおよびバイアスの設定は数3に示す式で表すことができる。
【0081】
【数3】
Mi=αMi+βMi     (3)
但し、i=1は1号タービン抽気制御部53、i=2は2号タービン抽気制御部55を表す。
【0082】
図3および図4において、i号タービン抽気制御部53、55では、主制御量85mは低圧蒸気主制御量63に、制御目標値88rMiはi号タービン抽気目標値64、65である。また、i号タービン抽気制御部53,55の分配ゲイン設定手段81に設定される分配ゲインαMi、とバイアス設定手段82に設定されるバイアス量87βMiは、図1に示す最適化計算手段2により数2に示す最適化問題から計算される。
【0083】
次に、最適化計算手段2によるi号タービン抽気制御部53,55の分配ゲインαMiとバイアス量87βMiの計算方法について説明する。
【0084】
1号タービン抽気制御部53の制御目標値88rM1は1号タービン抽気目標値64、すなわち1号タービン発電機23において生成すべき抽気35流量fM1に、2号タービン抽気制御部55の制御目標値88rM2は同様に2号タービン発電機24において生成すべき抽気35流量fM2に、また、主制御量85mは低圧蒸気主制御量63である生成すべき抽気35流量fMiの和、すなわち低圧蒸気ヘッダ36の流量fMDに対応する。
【0085】
分配ゲインαMiは、生成すべき低圧蒸気ヘッダ36の流量fMDを1号タービン発電機23において生成すべき抽気35流量fM1と2号タービン発電機24において生成すべき抽気35流量fM2に分配する際の比を意味する。また、バイアス量87βMiは、生成すべき抽気35流量fMiの理想値と分配比のみにより分配された抽気35流量fMiとの差分を意味する。
【0086】
抽気35を生成する際に、最適化すべき対象は、ボイラ主蒸気26流量fであり、ボイラ主蒸気26流量fは式(2−3)で表すように1号タービン主蒸気28流量fH1と2号タービン主蒸気28流量fH2との和であり、これらi号タービン主蒸気28流量fHiは式(2−4)で決定される。
【0087】
すなわち、蒸気圧力の制御についての最適化問題は、式(2−3)で表すボイラ主蒸気26流量fが最小となるように、式(2−5)で示す生成すべき低圧蒸気ヘッダ36の流量fMDを、1号タービン発電機23において生成すべき抽気35流量fM1と2号タービン発電機24において生成すべき抽気35流量fM2に分配することである。
【0088】
式(2−3)、式(2−4)および式(2−5)から数理計画法により、ボイラ主蒸気26流量fが最小となる条件を求めると、数4に示す式が導かれる。
【0089】
【数4】
Figure 2004005250
【0090】
式(4−1)は、1号タービン発電機23において生成される抽気35流量と必要なタービン主蒸気28流量fH1の単位変化に対する勾配が、2号タービン発電機24において生成される抽気35流量と必要なタービン主蒸気28流量fH1の単位変化に対する勾配と等しくなることを表す。
【0091】
したがって、1号タービン主蒸気流量対抽気傾斜特性が2号タービン主蒸気流量対抽気傾斜特性に等しくなるように、低圧蒸気ヘッダ36の流量fMDを、1号タービン発電機23において生成すべき抽気35流量fM1と2号タービン発電機24において生成すべき抽気35流量fM2に分配すれば、ボイラ主蒸気26流量fが最小となることがわかる。
【0092】
また、式(4−2)および式(4−3)は式(2−4)から式(4−1)の両辺を計算したものである。式(4−2)および式(4−3)は1次式で、式の勾配の逆数は最適な分配比となるため、この勾配の逆数を分配ゲインαMiに設定し、さらに、式(4−1)の等式が成立するように、バイアス量87βMiを設定すれば、ボイラ主蒸気26流量fが最小となるように、低圧蒸気ヘッダ36の流量fMDを、1号タービン発電機23において生成すべき抽気35流量fM1と2号タービン発電機24において生成すべき抽気35流量fM2に分配することができる。
【0093】
したがって、AMiを分配逆ゲインとすると、式(4−2)および式(4−3)より数5の式(5−1)に示すように、分配逆ゲインAMiを設定できる。
【0094】
【数5】
Figure 2004005250
【0095】
さらに、式(4−1)の等式が成立するように、式(4−2)と式(4−3)の右辺のそれぞれの変数部の平均値からの差分をバイアス量87βMiとして設定することができる。
【0096】
したがって、分配ゲインαMiとバイアス量87βMiは、数6に示す式(6−1)および式(6−2)で設定することができる。ただし、BMiは、式(6−3)で求められる値であり、f Mi(i=1,2)は最適化計算手段2により数2に示す最適化問題を解くことにより得られる最適化計算結果9のうちのi号タービン発電機抽気35である。
【0097】
【数6】
Figure 2004005250
【0098】
式(6−1)は分配ゲインαMiと逆ゲインAMiの関係を示す式である。また式(6−3)に示すBMiは、式(4−2)および式(4−3)の右辺の変数部を示す。式(6−2)の右辺は、BMiの平均値からの差分を表し、式(4−1)の等式を成立させるために、この差分をバイアス量87βMiに設定することを表す。
【0099】
最適化計算手段2により数2に示す最適化問題を解く際に必要となる、式(2−4)の各係数kai,kbi,kci,kdi,kei,kfiは一般に最小二乗法により、タービン主蒸気28の流量、抽気35および発電機出力34の実運転データより求められる。しかし、これら実運転データにはプロセス系6の動特性や季節などの影響により変動するため、各係数kai,kbi,kci,kdi,kei,kfiには時間的なバラツキが存在する。
【0100】
逆ゲインAMiは式(5)で表されるように係数kaiで決定されるため、時間的なバラツキをもつ。逆ゲインAMiの平均値をμAMi、標準偏差をσAMiとし、統計学的に分配ゲインαMiを数7に示す式(7−1)で計算すれば、逆ゲインAMiの時間的なバラツキにより発生する、設定された逆ゲインAMiと実際に設定されるべき逆ゲインAMiの誤差の影響を低減することができる。
【0101】
また、逆ゲインAMiの分散をVとすると、分散Vは式(7−2)で表される。
【0102】
【数7】
Figure 2004005250
【0103】
式(7−2)で逆ゲインAMiの分散Vが正規化されるものとすると、分散Vの値が大きくなると、分配ゲインαMiはより小さな値に設定される。すなわち、逆ゲインAMiのバラツキ量を表す分散Vが大きく時間的な変動が大きいほど、i号タービン抽気目標値64,65がより小さく設定され、時間的なバラツキによる理想値との誤差の影響を減少させることができる。この効果は、式(4−1)の条件に、より近い状態で1号タービン発電機23および2号タービン24を制御できることを可能にする。
【0104】
式(4−2)および式(4−3)で求められる式(4−1)の両辺値が近似すればするほど、消費されるタービン主蒸気28の流量fHiの合計であるボイラ主蒸気26流量fは低減される。
【0105】
したがって、式(6−1)の代わりに、偏差の影響を考慮した式(7−1)により分配ゲインαMiを計算すれば、分配ゲインαMiの時間的バラツキで発生する理想値との誤差が大きい場合でも、制御量の幅を小さく設定し安定した制御ができ、かつ、ボイラ主蒸気26流量fを低減させることができる。
【0106】
最適化計算手段2は式(6−1)あるいは式(7−1)により分配ゲインαMiを、式(6−2)によりバイアス量87βMiをそれぞれ計算し、統括制御手段3の1号タービン抽気制御部53および2号タービン抽気制御部54に与える。
【0107】
次に、最適化計算手段2による1号タービン発電制御部56および2号タービン発電制御部57における分配ゲインαMiおよびバイアス量87βMiの計算方法について説明する。
【0108】
1号タービン発電制御部56の制御目標値88rM1は1号タービン発電機23において生成すべき発電機出力34wに、2号タービン発電制御部56の制御目標値88rM2は2号タービン発電機24において生成すべき発電機出力34wに、また、主制御量85mは、これら生成すべき発電機出力34wの和、すなわち発電出力40wから買電力39wを引いた値に対応する。
【0109】
最適化計算手段2による1号タービン発電制御部56および2号タービン発電制御部57における分配ゲインαMiおよびバイアス量87βMiの計算方法についても、1号タービン抽気制御部53および2号タービン抽気制御部54における計算方法と同様に、式(4−1)と同等の条件、すなわち1号タービン主蒸気流量対発電出力傾斜と2号タービン主蒸気流量対発電出力傾斜が等しいという条件から、分配ゲインαMiおよびバイアス量87βMiを設定する。
【0110】
さらに、分配ゲインαMiを式(7−1)と同様な統計学的にバラツキを考慮した計算式で決定することにより、分配ゲインαMiの時間的バラツキで発生する理想値との誤差の影響を低減するように、制御量の幅を小さく設定し安定した制御ができる。
【0111】
最適化計算手段2は統括制御手段3の1号タービン発電制御部56および2号タービン発電制御部57における分配ゲインαMiおよびバイアス量87βMiをそれぞれ計算し、与える。
【0112】
すなわち、統括制御手段3は、1号タービン主蒸気流量対抽気傾斜と2号タービン主蒸気流量対抽気傾斜、及び、1号タービン主蒸気流量対発電出力傾斜と2号タービン主蒸気流量対発電出力傾斜のそれぞれが等しくなるように制御を行うことにより、蒸気負荷としてエネルギ消費負荷21に供給される低圧蒸気ヘッダ圧力37を安定に保ちながら、1号タービン発電機23と2号タービン発電機24に消費されるタービン主蒸気28の合計であるボイラ主蒸気26流量を最小限に抑えることができる。この結果、1次エネルギであるボイラ燃料25を削減することができる。
【0113】
次に最適目標値修正手段5による最適目標値修正量11の計算方法とその作用について説明する。
【0114】
図3において、最適目標値修正手段5は、高圧蒸気ヘッダ27の高圧蒸気ヘッダ圧力66が、最適目標値修正手段5に記憶される高圧蒸気圧力最低設定値pl1より低い場合は、最適目標値修正量11w=w>0を統括制御手段3の発電力を制御する加減算部51に出力する。
【0115】
また、最適目標値修正手段5に記憶される高圧蒸気圧力低設定値pl2(pl1<pl2)より高圧蒸気ヘッダ27の高圧蒸気ヘッダ圧力66が高くなる場合は、最適目標値修正量11w=0を統括制御手段3の発電力を制御する加減算部51に出力する。
【0116】
統括制御手段3の発電力を制御する加減算部51は数8に示す式(8)で偏差eを計算し、偏差信号62として発電力を制御する比例積分部52に出力する。
【0117】
【数8】
Figure 2004005250
【0118】
式(8)でwとwは数2で定義したように、wは1号タービン発電機出力34、wは2号タービン発電機出力34である。また、w とw はそれぞれ最適化計算手段2により数2に示す最適化問題を解くことにより得られる最適化計算結果9である、1号タービン発電機出力34wおよびと2号タービン発電機発電出力34wの最適値である。
【0119】
式(8)において、w +w は最適化計算手段2から発電出力設定部55に設定される発電出力設定値67を表している。すなわち、式(8)は発電力を制御する加減算部51が発電出力設定部55から入力される発電出力設定値67、最適目標値修正手段5から入力される最適目標値修正量11wおよび実際の1号タービン発電機出力34wと2号タービン発電機出力34wで偏差eを計算することを表している。
【0120】
式(8)により最適目標値修正手段5は、高圧蒸気ヘッダ圧力66が高圧蒸気圧力低設定値pl2(pl1<pl2)より高い場合は、最適目標値修正量11w=0として、発電出力設定値67の修正をせず、高圧蒸気ヘッダ圧力66が高圧蒸気圧力最低設定値pl1より低い場合は、発電出力設定値67から最適目標値修正量11w=w>0を引くことにより発電出力設定値67を修正する機能を有する。
【0121】
すなわち、最適目標値修正手段5は、ボイラ主蒸気26流量が不足し、高圧蒸気ヘッダ27の圧力が低くなる場合に、蒸気負荷に要求される低圧蒸気ヘッダ圧力37を満足させ、1号タービン発電機23および2号タービン発電機24に消費されるタービン主蒸気28流量が最小となるように発電機出力34を抑える制御を可能とする。
【0122】
次に、図1に示す複数運転制約セット記憶手段4の作用について説明する。
【0123】
複数運転制約セット記憶手段4は、式(2−7)、式(2−8)、式(2−9)および式(2−10)で示す各変数の上下限制約式である運転制約条件を1つの運転制約セットとすると、この運転制約セットをn個記憶する。
【0124】
すなわち複数運転制約セット記憶手段4は、数9で示す式を記憶する。
【0125】
【数9】
Figure 2004005250
【0126】
数9で上付括弧内の数字は運転制約セットの番数を示す。つまり、式(9−1)から式(9−4)で示す運転制約式の1番目の運転制約セットから式(9−5)から式(9−8)で示すn番目の運転制約セットまでを複数運転制約セット記憶手段4は記憶する。
【0127】
但し、数9でf (n)≦…≦f (1),f +(1)≦…≦f +(n),fMi (n)≦…≦fMi (1),fMi +(1)≦…≦fMi +(n),w (n)≦…≦w (1),w +(1)≦…≦w +(n),w (n)≦…≦w (1),w +(1)≦…≦w +(n)である。
【0128】
すなわち、運転制約式の1番目の運転制約セットは最も制約条件である値のとり得る幅が小さく、運転制約セットの番数の増加に伴って、値のとり得る幅が増加する。
【0129】
最適化計算手段2は複数運転制約セット記憶手段4から式(9−1),式(9−2)、式(9−3)および式(9−4)の1番目の運転制約セット7を入力し、この運転制約セット7により、数2の最適化問題を計算し最適化計算結果9を得る。
【0130】
しかし、実行可能な解がない場合、例えばfM1 +(1)+fM2 +(1)<fMDのような場合、1番目の運転制約セット7より制約条件幅が大きい2番目の運転制約セット7を入力し、2番目の運転制約セット7により、数2の最適化問題を計算し最適値を決定する。
【0131】
さらに2番目の運転制約セット7で実行可能な解がない場合は3番目の運転制約セット7で、というように、実行可能な解が存在するまで、最大n回の繰り返し処理で最適値を決定する。
【0132】
すなわち、複数運転制約セット記憶手段4は、ボイラ22、1号タービン発電機23および2号タービン発電機24に許容される運転制約範囲外の低圧蒸気ヘッダ圧力37や発電出力40が必要とされ、最適化計算結果9を計算できない場合、計算上の運転制約範囲を広げる機能を有する。この計算上の運転制約範囲の拡張により、運転制約範囲外の低圧蒸気ヘッダ圧力37や発電出力40が必要とされる場合でも、最適化計算結果9を求めることができ、より柔軟性の高い最適化制御を実現できる。
【0133】
【発明の効果】
本発明に係るプロセス最適化制御システムにおいては、1次エネルギから2次エネルギを生成するエネルギ生成機器とエネルギ消費負荷で構成されるプロセス系において、プロセス系の最適化問題を解くことで得られた条件を満たすように制御することにより、エネルギ消費負荷に必要とされる2次エネルギを安定に供給し、かつ1次エネルギ消費コストを最小とすることができる。
【0134】
また、プロセス系の最適化問題に実行可能な解が存在しない場合でも、エネルギ生成機器の運転制約条件を段階的に緩和し、制約範囲を拡張することができるため、実行可能な解を求めることが可能となり、より柔軟性の高い最適化制御を実現できる。
【0135】
また、複数種の1次エネルギの中で、ある1次エネルギが不足する場合、エネルギ消費負荷に必要なエネルギを供給しつつ、不足する1次エネルギの消費量が減少するようにエネルギ生成機器の最適目標値を修正することが可能であるため、全体としての1次エネルギ消費コストの削減を図り、また、プロセス系を安定させることができる。
【0136】
バラツキの量を表す偏差量を制御目標値の計算に導入することにより、バラツキによる出力の変動を抑制し、より安定な制御を可能とし、かつ、1次エネルギ消費コストを低減させる効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプロセス最適化制御システムの実施の形態を示す構成図。
【図2】図1に示すプロセス系の例を示す構成図。
【図3】統括制御手段の例を示す構成図。
【図4】図3に示す分配ゲインバイアス制御部の構成例を示す図
【図5】従来のプロセス最適化制御システムの構成図。
【符号の説明】
1 プロセス最適化制御システム
2 最適化計算手段
3 統括制御手段
4 複数運転制約セット記憶手段
5 最適目標値修正手段
6 プロセス系
7 運転制約セット
8 プロセスデータ
9 最適化計算結果
10 目標値修正用プロセスデータ
11 最適目標値修正量
12 プロセス制御入力
13 プロセス制御出力
20 エネルギ生成機器
21 エネルギ消費負荷
22 ボイラ
23 1号タービン発電機
24 2号タービン発電機
25 ボイラ燃料
26 ボイラ主蒸気
27 高圧蒸気ヘッダ
28 タービン主蒸気
29 タービン
30 復水器
31 発電機
32 抽気制御弁
33 主蒸気加減弁
34 発電機出力
35 抽気
36 低圧蒸気ヘッダ
37 低圧蒸気ヘッダ圧力
38 電力系統
39 買電力
40 発電出力
50 低圧蒸気圧力設定部
51 加減算部
52 比例積分部
53 1号タービン抽気制御部
54 2号タービン抽気制御部
55 発電出力設定部
56 1号タービン発電制御部
57 2号タービン発電制御部
58 1号タービン制御部
59 2号タービン制御部
60 電力負荷
61 低圧蒸気圧力設定値
62 偏差信号
63 低圧蒸気主制御量
64 1号タービン抽気目標値
65 2号タービン抽気目標値
66 高圧蒸気ヘッダ圧力
67 発電出力設定値
68 発電主制御量
69 1号タービン発電目標値
70 2号タービン発電目標値
71 1号タービン加減弁制御量
72 1号タービン抽気弁制御量
73 2号タービン加減弁制御量
74 2号タービン抽気弁制御量
80 主制御入力手段
81 分配ゲイン設定手段
82 バイアス設定手段
83 加減算部
84 制御目標値出力手段
85 主制御量
86 比例分配量
87 バイアス量
88 制御目標値

Claims (5)

  1. 1次エネルギから需要を満たす2次エネルギを生成するエネルギ生成機器と2次エネルギが供給されるエネルギ消費負荷とから構成されるプロセス系と、主制御量に分配ゲインを与え各エネルギ生成機器に分配する比例分配量を計算する機能を有する分配ゲイン設定手段と前記比例分配量にバイアスを与えるバイアス設定手段を具備した統括制御手段と、最適化計算手段とを備え、この最適化計算手段は、前記プロセス系からプロセスデータを入力し、前記プロセス系のエネルギ生成機器の運転制約条件のもとに、1次エネルギ消費コストを最小とする最適化問題を解くことにより最適化計算結果および最適条件を計算し、この最適条件から分配ゲインおよびバイアスを決定し前記最適化計算結果とともに前記統括制御手段に与える一方、前記統括制御手段は最適化計算結果と分配ゲインおよびバイアスとプロセス制御入力に基づき各エネルギ生成機器が生成する2次エネルギの最適目標値を設定し、前記プロセス系にプロセス制御出力を行うことにより、プロセス系を最適に制御するようにしたことを特徴とするプロセス最適化制御システム。
  2. 前記最適化計算手段が最適化問題を解くことにより得た最適条件が各エネルギ生成機器の1次エネルギ消費の増加に対する2次エネルギ生成のそれぞれの勾配が等しくなるという条件であり、前記最適化計算手段が、前記1次エネルギ消費と2次エネルギ生成それぞれの勾配が等しくなるように分配ゲインとバイアスを決定するようにしたことを特徴とするプロセス最適化制御システム。
  3. 前記最適化計算手段に複数運転制約セット記憶手段を設け、この複数運転制約セット記憶手段は、前記プロセス系の多種多様な運転制約条件を複数の運転制約セットとして記憶し、記憶した複数の運転制約セットの中から、ある運転制約セットを選択して前記最適化計算手段に与え、この最適化計算手段に与えられた運転制約セットの条件で前記最適化計算結果が存在しなければ、前記最適化計算結果が存在する運転制約セットが前記最適化計算手段に与えられるまで、残りの運転制約セットを順次選択し前記最適化計算手段に繰り返し与えることを特徴とする請求項1記載のプロセス最適化制御システム。
  4. 前記統括制御手段に最適目標値修正手段を設け、この最適目標値修正手段は、前記1次エネルギが不足状態の場合、前記エネルギ消費負荷に必要な2次エネルギの生成量を維持しつつ、前記最適化計算手段が計算する前記不足状態の1次エネルギを消費するエネルギ生成機器の最適目標値を前記不足状態の1次エネルギの消費が減少する方向に修正し、1次エネルギの不足状態を解消させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のプロセス最適化制御システム。
  5. 前記最適化計算手段が、前記最適条件の時間的変動により発生する分配ゲインのバラツキを表す量を用いて分配ゲインを統計学に基づいて計算し、前記バラツキの影響を低減させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のプロセス最適化制御システム。
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