JP4208404B2 - 電力系統制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統内に分散配置された複数の発電装置の出力を、その電力系統全体における電力需要を満たしながらその電力系統全体の発電効率を最大化すべく制御する電力系統制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような電力系統制御方法として、電力系統内の需給バランスと電力系統内に配置された全ての発電装置の発電効率に関する情報に基づいて、各発電装置の出力を集中制御する方法がある。かかる集中制御型の電力系統制御方法として、書籍「電力システム工学」(著者:小向敏彦、発行者:丸善)の第128頁以降に記載されている下記の方法が知られている。
【0003】
先ず、各発電装置の発電出力の総和と電力需要量(消費電力)の需給バランスを維持しながら、各発電装置の発電効率の総和を最大化するために、換言すれば電力系統全体の運転コストを最小化するために、数1に示す目的関数と数2に示す制約条件を定義する。
【0004】
【数1】
【0005】
【数2】
【0006】
但し、Piはi番目の発電装置の発電出力(MW)、Bi(Pi)はi番目の発電装置の発電効率関数(MWh/kcal)、PRは電力需要量(MW)である。尚、発電装置が火力発電機の場合、発電効率関数は上に凸な2次関数で表されるので、横軸を発電出力Pi、縦軸を発電効率Bi(Pi)とすると、例えば、図1に示すような特性となる。ところで、各発電装置の定格出力Popt,iは各発電効率Bi(Pi)が最大値となるときの各発電出力で表される。
【0007】
次に、数2の制約条件に対してλなる未定乗数を導入し、数3に示すラグランジェ関数Iを最小化する(ラグランジェの未定乗数法)。
【0008】
【数3】
【0009】
上記の最小化において、ラグランジェ関数Iを各変数Pi及びλについて夫々偏微分したものを0として、整理すると数4及び数5が得られる。
【0010】
【数4】
【0011】
【数5】
【0012】
ここで、発電装置が火力発電機の場合を想定すると、Bi(Pi)は2次関数なので、その微分は1次関数であり、数4及び数5で表されるN個のN元連立1次方程式の解を求めればよい。ここで注目すべきは、全ての発電装置の発電出力に対する発電効率の勾配(傾き)が一致するときに、発電装置全体の発電効率が最大となる点である。後述するように、本願発明においてこの注目点が利用される。
【0013】
図1に示す発電効率の3台の発電装置G1〜G3を備えた電力系統の場合について、以上の解法により得られた電力需要量に対して最大発電効率を与える各発電装置の発電出力量を図2に示す。図2より、発電規模の小さい発電装置G1の方が発電出力の小さいときに発電効率が高くなるので、電力需要が低いときは、発電規模の小さい発電装置のみが運転していることが分かる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の集中制御型の電力系統制御方法では、電力系統内の全ての発電装置の発電出力と発電効率関数が1カ所において分かっていないと数4及び数5に示した連立方程式を解くことができないので、発電装置の台数が増加するに従って解法に係る変数が増加し、実用的な計算時間での解法が困難となり、電力需要の変動等に則した電力系統の的確且つ適時な制御が実現不可能となってしまう。
【0015】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、集中制御型の電力系統制御方法の問題点を解消し、電力系統内の発電装置数に拘らず、電力需要を満たしながら電力系統全体の発電効率を最大化すべく各発電装置において実用的な計算時間で自律的に発電出力の制御が行える電力系統制御方法を提供する点にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明に係る電力系統制御方法の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した如く、複数の発電装置を分散配置してなる電力系統の全体に対して電力需要を満たしながら発電効率を最大化すべく、前記複数の発電装置の出力を制御する電力系統制御方法であって、前記複数の発電装置の少なくとも一部が各別に、前記電力系統内の需給バランスと前記複数の発電装置の発電効率に関する情報の内、自己の発電装置と他の発電装置の一部から得られる局所情報に基づいて、自律的に自己の発電装置の出力を制御する点にある。
【0017】
同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項2に記載した如く、上記第一の特徴構成に加えて、前記電力系統内の需給バランスに関する前記局所情報が、前記電力系統内の電力周波数の基準周波数からの変動量であって、前記変動量がゼロとなるように自己の発電装置の出力を制御する点にある。
【0018】
同第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項3に記載した如く、上記第一または第二の特徴構成に加えて、前記複数の発電装置の発電効率に関する前記局所情報が、前記自己の発電装置と前記他の発電装置の一部における発電出力に対する発電効率関数の勾配であって、前記自己の発電装置における前記勾配が、前記他の発電装置の一部における前記勾配と等しくなるように自己の発電装置の出力を制御する点にある。
【0019】
同第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項4に記載した如く、上記第一、第二または第三の特徴構成に加えて、前記複数の発電装置の少なくとも一部が各別に、前記電力系統内の電力周波数の基準周波数からの変動量の瞬時値と、前記自己の発電装置と前記他の発電装置の一部における発電出力に対する発電効率関数の勾配の瞬時値とを入力すると、前記変動量を減少させ、且つ、前記自己の発電装置の前記勾配と前記他の発電装置の一部における前記勾配を等しくする方向に、前記自己の発電装置における発電出力を変化させるための前記自己の発電装置における発電出力の時間変化率が与えられる逐次更新式を用いて、自己の発電装置の出力を逐次更新しながら制御する点にある。
【0020】
以下に上記各特徴構成の作用並びに効果を説明する。
上記の本発明に係る電力系統制御方法の第一の特徴構成によれば、電力系統を構成する発電装置の少なくとも一部における各発電出力の制御に対して、最小化或いは最大化すべき目的関数を自己の発電装置と他の発電装置の一部から得られる局所情報に基づいて生成できるため、電力系統内の発電装置数が増加しても目的関数の変数を増加させることなく、容易に実時間での的確な電力系統内の発電出力の制御を実現することができる。この結果、発電装置の全てについて、全発電装置の情報を使用した制御を必要としないことから、電力系統全体に対する制御にかかる処理時間が、従来の集中制御型の電力系統制御方法に比べて大幅に低減され、実時間での的確な電力系統内の全ての発電出力の制御を実現することができる。ここで、局所情報として、電力系統内の需給バランスと発電効率に関する情報を用いるのは、電力需要を満足しつつ発電効率を最大化するために必須の要件となるからである。尚、発電効率を最大化することと運転コストを最小化することとは等価であるため、前記複数の発電装置の発電効率に関する情報は、運転コストに関する情報と実質同一である。
【0021】
同第二の特徴構成によれば、電力系統全体の発電効率或いは例えば運転コスト等の発電効率と等価なものを目的関数として、需給バランスを0とすることを制約条件とした場合における制約条件を、各発電装置で独自に得られる需給バランスを反映する電力系統内の電力周波数の変動量を0にすることで局所的に満たすことができるため、電力系統全体の電力需要を満足しつつ発電効率を最大化するための電力系統制御を各発電装置において容易且つ局所的に実現できる。
【0022】
同第三の特徴構成によれば、各発電装置において、自己の発電装置における発電出力に対する発電効率関数の勾配が、容易且つ局所的に得られる他の発電装置の一部における前記勾配と等しくなるように自己の発電装置の出力を制御することにより、電力系統内全体において全ての発電装置における前記勾配が相互に等しくなるような制御が結果的に行われることになり、従来技術の項で集中制御型の電力系統制御方法の説明において指摘したように、全ての発電装置の発電出力に対する発電効率の勾配が一致するときに、発電装置全体の発電効率が最大となるので、電力系統全体の電力需要を満足しつつ発電効率を最大化するための電力系統制御を各発電装置において容易且つ局所的に実現できる。また、各発電装置における制御に必要な情報が、複数の発電装置の発電効率に関する情報については、自己の発電装置と他の発電装置の一部における前記勾配が分かれば十分であるので、つまり局所情報で賄えるので、電力系統内の発電装置の総数に拘らず制御に必要な情報量を少なく抑えて、各発電装置における制御に必要な処理時間を実用的な範囲内に維持することができる。
【0023】
同第四の特徴構成によれば、電力系統を構成する複数の発電装置の少なくとも一部において、局所的に得られる電力系統内の電力周波数の基準周波数からの変動量の瞬時値と、自己の発電装置と前記他の発電装置の一部における発電出力に対する発電効率関数の勾配の瞬時値とを入力するだけで、前記変動量を減少させ、且つ、前記自己の発電装置の前記勾配と前記他の発電装置の一部における前記勾配を等しくするように、発電出力を自律分散的に制御できるため、電力系統全体の電力需要を満足しつつ発電効率を最大化するための電力系統制御を各発電装置において容易且つ局所的に実現できる。つまり、前記変動量を減少させることにより需給バランスを維持し、前記勾配を等しくすることで発電効率の最大化を図ることができるわけであるが、これを逐次更新式を用いることで、各発電装置における当該制御の影響が局所情報に関係する他の発電装置の一部から電力系統内の全ての発電装置に徐々に伝播して均一化されていくため、局所的な制御であっても集中制御型と同様の制御が実質的に可能となるのである。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る電力系統制御方法、つまり、電力系統全体に対して電力需要を満たしながら発電効率を最大化すべくその電力系統内に分散配置された複数の発電装置の出力を自律分散的に制御する電力系統制御方法(以下、単に「本発明方法」という。)の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0025】
本発明方法では、複数の発電装置の少なくとも一部が各別に、電力系統内の需給バランスと複数の発電装置の発電効率に関する情報の内、自己の発電装置と他の発電装置の一部から得られる局所情報を自律分散的に入手しながら、それらの局所情報に基づいて、自律的に自己の発電装置の出力を、発電出力と電力需要との需給バランスを局所的に満足しながら、発電効率についても局所的に最適化を行いつつ制御する。
【0026】
複数の発電装置のその残余については、電力系統内の需給バランスと複数の発電装置の発電効率に関する情報の内、自己の発電装置と他の発電装置の全部から得られる情報を用いる場合も許容される。この点については、後述する実施例3〜5において比較検討を行う。
【0027】
先ず、需給バランスを局所的に把握するために、電力系統内の需給バランスに関する局所情報として、電力系統内の電力周波数の基準周波数からの変動量を用いる。かかる基準周波数からの変動量を用いる理由は、需給バランスと前記基準周波数からの変動量が、数6で与えられる関係にあって需給バランスを反映していること、及び、かかる変動量が局所的に容易に取得でき、各発電装置での自律分散的な制御に適しているからである。
【0028】
【数6】
【0029】
ここで、Piはi番目の発電装置iの発電出力(MW)、PRは電力需要量(MW)、%Kは対象となる電力系統の電力周波数特性定数(%MW/Hz)、Cは同電力系統の系統容量(MW)、ΔFは基準周波数からの変動量(Hz)であり、数6における需給バランスは両辺ともに電力需要量PRで正規化された形式で表されている。尚、数6は、各発電装置への入力エネルギが一定である場合、電力需要量PRが電力系統全体の供給量ΣPiより大きいと、その不足分を補うために発電装置の回転子の運動エネルギが放出されるため回転子の加速度が次第に低下し発電電力の周波数が下がり、逆に、電力需要量PRが電力系統全体の供給量ΣPiより小さいと、発電装置の回転子の運動エネルギが余剰となるため回転子の加速度が次第に上昇し発電電力の周波数が上がるという関係を定式化したものである。
【0030】
更に具体的に、数6の%Kの値を10(%MW/Hz)、系統容量Cを通常の電力需要量PRの5倍と仮定すると、正規化された需給バランスは、数7に示すように基準周波数からの変動量ΔFのみで決定される。従って、変動量をゼロに調整することで、需給バランスを満足することができる。
【0031】
【数7】
【0032】
次に、発電効率の局所的な最適化を図るために、数8に示す目的関数を定義し、これを最小化する。
【0033】
【数8】
【0034】
ここで、Popt,kはk番目の発電装置の定格出力で、発電効率Bk(Pk)が最大値となるときの発電出力で表される。nは電力系統内の発電装置総数Nより少ない一部の発電装置数である。尚、nは各発電装置において必ずしも同じ値である必要はない。dBi/dPiは自己の発電装置(i番目の発電装置を便宜的に自己の発電装置とする)の発電出力Piに対する発電効率関数Bi(Pi)の勾配であり、dBk/dPkは他の発電装置の発電出力Pkに対する発電効率関数Bk(Pk)の勾配であり、夫々各発電装置において局所的に取得される発電効率に関する局所情報である。他の発電装置の勾配は、一部の発電装置のもののみを使用するので、数8における入力変数の数が、発電装置総数Nが増大しても一定数に限定でき、後述する計算処理時間を大幅に短縮することができる。
【0035】
尚、数8に示す発電効率についての局所的な目的関数は、従来の集中制御型の電力系統制御方法において、数4に示すように、全ての発電装置の発電出力に対する発電効率の勾配が一致するときに、発電装置全体の発電効率が最大となる(数1に示す目的関数参照)という関係に着目して導き出されている。従って、各発電装置において、各別に自律分散的に、自己の発電装置における前記勾配が、他の発電装置の一部における前記勾配と等しくなるように自己の発電装置の出力を制御することで、電力系統全体の各発電装置相互間の前記勾配が等しくなるように、即ち電力系統全体の発電効率が最大化するように電力系統が制御される。
【0036】
次に、各発電装置において、数7及び数8における上述の局所情報を取得して、具体的にどのようにして発電出力の制御を行うかを説明する。数7に示す需給バランスについて基準周波数からの変動量ΔFをゼロに調整するという制約条件のもとで、数8に示す目的関数を最小化する逐次更新式が数9で与えられる。
【0037】
【数9】
【0038】
但し、自己の発電装置または他の発電装置の発電出力が最大または最小出力状態にあって所定の条件を満たす以下の四つの場合には、特定の制約を設ける。
【0039】
(1)Pi=Pmin,i、且つ、右辺<0の時、左辺(dPi/dt)=0とする。
(2)Pi=Pmax,i、且つ、右辺>0の時、左辺(dPi/dt)=0とする。
(3)Pk=Pmin,k、且つ、dBi/dPi>dBk/dPkの時、dBi/dPi−dBk/dPk=0とする。
(4)Pk=Pmax,k、且つ、dBi/dPi<dBk/dPkの時、dBi/dPi−dBk/dPk=0とする。
【0040】
つまり、上記(1)、(2)では、自己の発電装置の発電出力が最大または最小の時は、更に発電出力を大きくまたは小さくするような制御は不可能であるので、その出力状態を維持することを意味する。また、上記(3)、(4)では、他の発電装置の発電出力が最大または最小であって、上記条件下では、その発電装置に関わる局所情報は斟酌しないことを意味する。尚、α(>0)及びβ(>0)は各発電装置の時定数等に依存する定数であり、αの前の負号は、基準周波数からの変動量ΔFが上がれば、発電出力を下げるような制御が働くことを反映している。
【0041】
従って、本発明方法では、各発電装置において、ΔF、dBi/dPi、dBk/dPkの各局所情報(数9における入力変数)を逐次取得しながら、数9に基づいて、発電出力の時間変化率を計算し、その算出された時間変化率により発電出力を制御し、更に、その制御結果による局所情報を取得して、同様の制御を繰り返し実行することにより、需給バランスを満足しながら電力系統全体の発電効率の最大化を図る。このように局所情報にのみ基づく自律分散的な処理であっても逐次更新式による更新を繰り返すことで、各発電装置における局所的な制御が電力系統全体へ波及していき、漸近的に最適化が図られる。
【0042】
尚、逐次更新式による更新の繰り返し時間間隔は、逐次更新式の計算時間と各局所情報の取得時間で決定される。他の発電装置に関わる局所情報の取得には発電装置間における情報伝送時間が含まれることになる。ところで、各発電装置の発電効率が発電出力を変数とする2次関数で与えられる場合、その勾配は発電出力を変数とする1次関数で与えられるため、他の発電装置に関わる局所情報dBk/dPkもその発電出力Pkが取得できれば瞬時に求めることができる。当然に自己の発電装置についても同様である。
【0043】
次に、数9に示す逐次更新式を用いた制御の実施例を、以下に5例示す。
【0044】
〈実施例1〉
図1に示す発電効率の3台の発電装置G1〜G3を備えた電力系統(N=3)を例に、数9に示す逐次更新式を用いて制御を行った結果を図3に示す。ここでは、α=50、β=10、n=2とし、各発電装置の初期出力が、G1=1.8MW、G2=3.2MW、G3=4.8MWとして、電力需要量PRは10MWを想定した。各発電装置の発電出力が、10回の繰り返し計算で漸近的に夫々の適正値に安定して制御され、発電出力の総和が電力需要量PRの10MWを満足していることが分かる。同様の制御を種々の電力需要量PRに対して行い、得られた各電力需要量PRに対する各発電装置G1〜G3の発電出力量Piを図4に示す。本発明方法による結果が、従来の集中制御型の電力系統制御方法で得られた図2に示す結果と全く一致していることが分かる。
【0045】
尚、本実施例では、計算の簡単のために発電装置の総数Nを3とし、他の発電装置数nが2であることから、複数の発電装置の発電効率に関する情報については、自己の発電装置と他の発電装置の全部から得られる情報を使用していることになっているが、これは、数9に示す逐次更新式を用いた制御手法の正当性を簡単に証することを目的としたもので、需給バランスに関しては局所情報である電力系統内の電力周波数の基準周波数からの変動量を使用している。
【0046】
〈実施例2〉
α=50、β=10、n=3の計算条件で、図5に示す発電効率の4台の発電装置G1〜G4を備えた電力系統(N=4)の各発電装置に対して、電力需要量PR(=10MW)を満足するように数9に示す逐次更新式を500回繰り返し計算して、各発電出力Piが十分安定した状態で、1台の発電装置(G1)を突然停止させた場合における他の3台の発電装置(G2〜G4)の制御結果を図6に示す。図6に示す結果より、ある発電装置が突然機能を停止しても、20回の繰り返し計算による制御で、残りの発電装置がその発電出力を新たな状況における最適値へ無事に収束させていることが分かる。
【0047】
〈実施例3〉
図7に示す発電効率の10台の発電装置を備えた電力系統(N=10)の各発電装置G1〜G10が、図8に示すように全結合している場合に対して、α=5、β=10、n=9(全結合)の計算条件で、電力需要量PR(=100MW)を満足するように数9に示す逐次更新式を繰り返し計算して制御した結果を図9に示す。図9に示す結果より、初期出力が0MWという状況でも、70回程度の繰り返し計算による制御で、各発電装置G1〜G10の発電出力Piが適正値へ無事に収束していることが分かる。
【0048】
尚、本実施例では、発電装置の総数Nが10であるのに対して、他の発電装置数nが9であることから、複数の発電装置の発電効率に関する情報については、全ての発電装置が、自己の発電装置と他の発電装置の全部から得られる情報を使用していることになっているが、これは、以下の実施例4及び5との比較を目的としたものである。他方、需給バランスに関しては局所情報である電力系統内の電力周波数の基準周波数からの変動量を使用している。
【0049】
〈実施例4〉
図7に示す発電効率の10台の発電装置G1〜G10を備えた電力系統(N=10)の各発電装置が、図10に示すように1台の発電装置を中心に放射状結合している場合に対して、α=5、β=10、n=1(放射状結合の末端の9台G1〜G9)及びn=9(放射状結合の中心の1台G10)の計算条件で、電力需要量PR(=100MW)を満足するように数9に示す逐次更新式を繰り返し計算して制御した結果を図11に示す。図11に示す結果より、初期出力が0MWという状況でも、80回程度の繰り返し計算による制御で、各発電装置G1〜G10の発電出力Piが適正値へ無事に収束していることが分かる。
【0050】
〈実施例5〉
図7に示す発電効率の10台の発電装置G1〜G10を備えた電力系統(N=10)の各発電装置が、図12に示すように1列状に結合している場合に対して、α=5、β=10、n=1(列状結合の両端の2台G1,G10)及びn=2(列状結合の中間の8台G2〜G9)の計算条件で、電力需要量PR(=100MW)を満足するように数9に示す逐次更新式を繰り返し計算して制御した結果を図13に示す。図13に示す結果より、初期出力が0MWという状況でも、80回程度の繰り返し計算による制御で、各発電装置G1〜G10の発電出力Piが適正値へ無事に収束していることが分かる。
【0051】
上記実施例3乃至5を比較すると、電力系統内における全ての発電装置において、全ての発電装置の発電出力に対する発電効率関数の勾配を使用しなくても、一部の発電装置においてn<9となる実施例4と全ての発電装置においてn<9となる実施例5のように、一部または全部の発電装置において、自己の発電装置と他の一部の発電装置との間で、前記勾配を比較するだけで、電力系統全体の発電効率を最大化できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電力系統を構成する各発電装置の発電効率と発電出力との関係の一例を示す特性図
【図2】従来の集中制御型の電力系統制御方法で得られた電力需要量に対する各発電装置の発電出力量を示す説明図
【図3】本発明に係る電力系統制御方法により各発電装置を制御した場合の各発電出力の経時変化を示す説明図
【図4】本発明に係る電力系統制御方法により得られた電力需要量に対する各発電装置の発電出力量を示す説明図
【図5】電力系統を構成する各発電装置の発電効率と発電出力との関係の一例を示す特性図
【図6】本発明に係る電力系統制御方法により各発電装置を制御した場合の各発電出力の経時変化を示す説明図
【図7】電力系統を構成する各発電装置の発電効率と発電出力との関係の一例を示す特性図
【図8】電力系統を構成する各発電装置の結合状態の一例(全結合)を示す説明図
【図9】本発明に係る電力系統制御方法により各発電装置を制御した場合の各発電出力の経時変化を示す説明図
【図10】電力系統を構成する各発電装置の結合状態の一例(放射状結合)を示す説明図
【図11】本発明に係る電力系統制御方法により各発電装置を制御した場合の各発電出力の経時変化を示す説明図
【図12】電力系統を構成する各発電装置の結合状態の一例(列状結合)を示す説明図
【図13】本発明に係る電力系統制御方法により各発電装置を制御した場合の各発電出力の経時変化を示す説明図
Claims (4)
- 複数の発電装置を分散配置してなる電力系統の全体に対して電力需要を満たしながら発電効率を最大化すべく、前記複数の発電装置の出力を制御する電力系統制御方法であって、
前記複数の発電装置の少なくとも一部が各別に、前記電力系統内の需給バランスと前記複数の発電装置の発電効率に関する情報の内、自己の発電装置と他の発電装置の一部から得られる局所情報に基づいて、自律的に自己の発電装置の出力を制御することを特徴とする電力系統制御方法。 - 前記電力系統内の需給バランスに関する前記局所情報が、前記電力系統内の電力周波数の基準周波数からの変動量であって、前記変動量がゼロとなるように自己の発電装置の出力を制御することを特徴とする請求項1記載の電力系統制御方法。
- 前記複数の発電装置の発電効率に関する前記局所情報が、前記自己の発電装置と前記他の発電装置の一部における発電出力に対する発電効率関数の勾配であって、前記自己の発電装置における前記勾配が、前記他の発電装置の一部における前記勾配と等しくなるように自己の発電装置の出力を制御することを特徴とする請求項1または2記載の電力系統制御方法。
- 前記複数の発電装置の少なくとも一部が各別に、前記電力系統内の電力周波数の基準周波数からの変動量の瞬時値と、前記自己の発電装置と前記他の発電装置の一部における発電出力に対する発電効率関数の勾配の瞬時値とを入力すると、前記変動量を減少させ、且つ、前記自己の発電装置の前記勾配と前記他の発電装置の一部における前記勾配を等しくする方向に、前記自己の発電装置における発電出力を変化させるための前記自己の発電装置における発電出力の時間変化率が与えられる逐次更新式を用いて、自己の発電装置の出力を逐次更新しながら制御することを特徴とする請求項1、2または3記載の電力系統制御方法。
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