JP2002162510A - 半透過型高反射膜 - Google Patents

半透過型高反射膜

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JP2002162510A
JP2002162510A JP2000356814A JP2000356814A JP2002162510A JP 2002162510 A JP2002162510 A JP 2002162510A JP 2000356814 A JP2000356814 A JP 2000356814A JP 2000356814 A JP2000356814 A JP 2000356814A JP 2002162510 A JP2002162510 A JP 2002162510A
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thin film
reflection
dielectric thin
reflectance
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JP2000356814A
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English (en)
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Akihiko Sugiyama
明彦 杉山
Akio Ochiai
明夫 落合
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Murakami Corp
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Murakami Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光領域においてフラットな反射率
特性及び透過率特性を有し、しかも反射率特性及び透過
率が高められた、吸収の少ない半透過型高反射膜を実現
する。 【解決手段】 金属半透過膜の上に、低屈折率の誘電
体薄膜4と高屈折率誘電体薄膜5が交互に組み合わせら
れて積層され半透過型高反射膜1が構成され、金属単層
膜3のみの構造より反射率が高められるとともに、同じ
透過率では吸収も減少し可視光領域において反射率及び
透過率が平坦化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半透過型高反射膜
に関し、特に、可視光領域においてフラットな反射率特
性及び透過率特性を有し、しかも反射率特性及び透過率
が高められた、半透過型高反射膜に関し、例えば、反射
型カラー液晶表示装置の反射パネル等に利用されるもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、半透過型反射パネル(ハーフミラ
ー)は、光学装置の色々な分野において幅広く利用され
ている。従来の半透過型反射パネルは、誘電体膜を複数
層重ねる構成又は金属単層膜の構成が採用されていた。
しかし、比較的少ない層数で可視域の反射特性が優れて
フラットな薄膜系は深く検討されてこなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】液晶用半透過型反射パ
ネルでは、可視光領域においてフラットな反射率特性及
びフラットな透過率特性が要求されている。例えば、バ
ックライト付き反射型カラー液晶表示装置の反射板とし
て適用した場合は、色再現性を良好にするために可視光
領域において反射率及び透過率が平坦化されていること
が望ましく、又日中は外光を反射し、夜間や暗所ではバ
ックライトを透過させて、十分な表示輝度を得るために
は、反射率及び透過率が高いことが望ましい。
【0004】しかしながら、誘電体膜を複数層重ねて成
る従来の半透過型反射パネルでは、400〜700nm
の可視光領域において求められている反射率80%程度
のフラットな反射率特性、フラットな透過率特性を得る
ためには、積層する誘電体膜の数を増やさなくてはなら
ないから、コストが高くなるという問題があった。
【0005】そして、従来の金属単層膜の構成による
と、その反射率及び透過率は、金属単層膜の膜厚により
決まり、分光反射率曲線、分光透過率曲線の形状は、金
属の種類によって規定される。要するに、金属単層膜の
構成によると、金属膜の分光反射特性及び分光透過特性
がその金属の固有の物性値と膜厚で決まるものであるた
めに、金属膜についてその種類と、膜厚を指定すれば分
光反射率、分光透過率は、ほとんど決まってしまい、成
膜条件(成膜時の酸素分圧、レート、温度等)によって
調整できる範囲はわずかである。
【0006】従って、成膜条件を調整することで分光反
射特性、分光透過特性を制御して、400〜700nm
の可視光領域において求められているフラットな反射率
特性、フラットな透過率特性を得るようなことはできな
い。
【0007】又、分光反射特性、分光透過特性は、基本
的に金属単層膜の膜厚で決まり、金属の種類によって規
定される固有の透過吸収特性も、膜厚に比例して決まる
値であるため、同一透過率でさらに反射率を上げようと
しても、反射率はほぼ同じ値となってしまい、変える事
が出来ない。
【0008】さらに、その金属が固有に持っている吸収
(率)を減らして、効率の良い、即ち反射率及び透過率
の和(反射率及び透過率の両方又はいずれか一方)を増
加させる半透過反射膜を作るようなことは物理的に成立
しないことも明白である。
【0009】本発明は、以上のような従来の問題点を解
決することを目的とするものであり、その課題は、半透
過型高反射膜において、反射率を下げることなく、半透
過型高反射膜全体としての効率(反射率及び透過率の合
計)を向上させるとともに、さらに、可視光領域におい
てフラットな反射透過特性を得ることである。
【0010】さらに、本発明の課題は、可視光領域にお
いてフラットな反射特性、透過特性を得る反射率の平坦
化を一歩進め、積極的に、特定の色目の波長帯の光の反
射率を強調し、半透過型高反射膜が適用される光学機器
特有の色調特性の補正やその色の色調を強調する画像の
提供等を可能とする半透過型高反射膜を実現することで
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、金属半透過膜の上に、低屈折率の誘電体薄
膜と高屈折率誘電体薄膜が交互に組み合わされて積層さ
れており、上記金属半透過膜単層のみの構造より反射率
が高められているとともに、可視光領域において反射率
及び透過率が平坦化されている構成であることを特徴と
する半透過型高反射膜を提供する。
【0012】本発明は上記課題を解決するために、金属
半透過膜の上に、低屈折率の誘電体薄膜と高屈折率誘電
体薄膜が交互に組み合わされて積層されており、上記金
属半透過膜単層のみの構造より反射率が高められている
とともに、可視光領域において反射率及び透過率が全体
的に平坦化されている構成である半透過型高反射膜を提
供する。さらに上記特定の色の波長帯の光の反射が強調
されるように、特定の色の波長帯の光の反射率を上げ透
過率を減らすように、上記低屈折率の誘電体薄膜と高屈
折率誘電体薄膜の夫々の膜厚が設定されて成ることを特
徴とする半透過型高反射膜を提供する。
【0013】低屈折率の誘電体薄膜と高屈折率誘電体薄
膜の交互の組み合わせは、低屈折率の誘電体薄膜及び高
屈折率誘電体薄膜の組み合わせを1又は2以上設けたも
のである。
【0014】低屈折率の誘電体薄膜と高屈折率誘電体薄
膜の交互の組み合わせは、低屈折率の誘電体薄膜と、高
屈折率誘電体薄膜及び低屈折率の誘電体薄膜の組み合わ
せを1又は2以上設けたものとを、組み合わせたもので
ある。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に係る半透過型高反射膜の
実施の形態を実施例に基づいて図面を参照して、以下説
明する。
【0016】本発明に係る半透過型高反射膜は、金属半
透過膜の上に、LOW(低屈折率)誘電体薄膜とHIG
H(高屈折率)誘電体薄膜を交互に組み合わせて成膜し
て積層する構成を特徴とする。
【0017】金属半透過膜の反射率及び透過率は膜厚に
より決まってしまうので、膜厚を薄くして透過率を上げ
ようとしても反射率が下がってしまう。しかしながら、
上記のような本発明に係る半透過型高反射膜を採用すれ
ば、誘電体薄膜の干渉により反射率を増加させることが
できるから、金属半透過膜の膜厚を減らして透過率を上
げても、反射率は全体としては減ることがなくむしろ上
げることもでき、この結果、半透過型高反射膜全体とし
ては、反射率を維持又は上げながら、同時に透過率を引
き上げることができる。
【0018】又、誘電体薄膜は、その膜厚を変えること
により、波長毎の分光反射率を変えることができるため
に、これを利用して、複数の異なる分光反射率を有する
誘電体薄膜を組み合わせて、金属半透過膜の金属固有の
分光反射特性及び分光透過特性で可視光領域において生
じる400〜700nmの反射率、透過率の凹凸、山谷
を平準化し、可視光域領域において、ワイドで平坦な分
光反射特性及び分光透過特性を得る事が出来る。
【0019】なお、本発明に係る半透過型金属膜の上
の、LOW(低屈折率)誘電体薄膜とHIGH(高屈折
率)誘電体薄膜の交互に組み合わせた多層膜は、具体的
には次のものである。 (1)低屈折率の誘電体薄膜及び高屈折率誘電体薄膜の
組み合わせを1又は2以上設けたものである。 (2)低屈折率の誘電体薄膜及び高屈折率誘電体薄膜の
組み合わせ、と低屈折率の誘電体薄膜、高屈折率誘電体
薄膜及び低屈折率の誘電体薄膜の組み合わせとを、相互
に1又は2以上組み合わせて設けたものである。
【0020】(実施例1)図1は、本発明に係る半透過
型高反射膜の実施例1を説明する図である。図1(a)
は、実施例1の半透過型高反射膜1が透明なガラス基板
2上に形成された状態の断面構造を示す図であり、Ag
薄膜3(金属半透過膜)、SiO薄膜4(LOW誘電
体薄膜)、TiO薄膜5(HIGH誘電体薄膜)が順
次、成膜され多層膜となって実施例1の半透過型高反射
膜1を構成している。
【0021】この実施例1の夫々の膜厚は、Ag薄膜3
は30nm、SiO薄膜4は68.4nm、TiO
薄膜5は17.3nmで成膜した。
【0022】図1(b)は、実施例1の半透過型高反射
膜1の作用を説明する図である。図1(b)に示すとお
り、屈折率nは、Ag薄膜がn=0.05、SiO
膜がn=1.46、TiO薄膜がn=2.3、空気n
=1である。SiO薄膜及びTiO薄膜の膜厚(光
学的膜厚)は、夫々λ/4としてある。
【0023】図1(b)により、実施例1の半透過型高
反射膜1の作用、特に、反射率の増加についての作用を
以下説明する。光が外部媒体である空気側から半透過型
高反射膜1に入射すると、TiO薄膜の表面で反射
するが、光は屈折率がLOW(空気)からHIGH(T
iO薄膜)の媒体に入射し、その反射は境界反射とな
るから反射光の位相は反転する。
【0024】さらに、光はSiO薄膜の表面で反射
するが、光は屈折率がHIGH(TiO薄膜)からL
OW(SiO薄膜)の媒体に入射して反射するため
に、その反射光の位相の反転はなく、からの反射光及
びからの反射光は、空気側に出射したところで互いに
強め合う。
【0025】さらに、光はAg膜の表面で反射する
が、光は屈折率がHIGH(SiO薄膜)からLOW
(Ag膜)に入射して反射するが、の反射は反射膜が
金属半透過膜(吸収膜)の反射であるために、反射光の
位相はほぼ反転し、結果的にからの反射光は、から
の反射光及びからの反射光と空気側に出射したところ
で互いに強め合う。
【0026】このような作用により、実施例1の半透過
型高反射膜1では、、、からの反射光が互いに干
渉して強められ、この結果、反射率を増加させることが
きる。従って、金属半透過膜を薄くすれば通常は反射率
は減少するが、実施例1の半透過型高反射膜全体として
は、反射率を減少させることなく、維持又はむしろ増加
させながら、透過率も増加させることができる。
【0027】ところで、前述の通り、誘電体薄膜は、そ
の光学的薄膜を変えることと層数と組み合わせで、任意
の波長の反射率(透過率)を変化させることが可能であ
る為、金属半透過膜と組み合わせることにより、金属半
透過膜の金属固有の凹凸のある分光反射率、分光透過率
を可視光領域において平坦化することが可能となる。
【0028】本発明の実施例1の分光反射特性、分光透
過特性を従来のAg単層膜に比較して図2、図3によっ
て説明する。図2(a)は、Ag単層膜の場合の分光反
射特性、分光透過特性を示すデータを示すグラフであ
り、図2(b)は、その膜構成条件を示す表である。
【0029】この図2(a)によると、Ag単層膜の場
合に可視光領域では、分光反射率がほぼ55〜90%と
変化している。又、分光透過率はほぼ40〜10%と変
化している。
【0030】図3(a)は、本発明による誘電体のHI
GH(高屈折率)及びLOW(低屈折率)の2層をAg
膜上に重ねた実施例1の半透過型高反射膜における分光
反射特性、分光透過透過特性についてのデータを示すグ
ラフであり、図3(b)は、このデータの膜構成条件を
示す表である。
【0031】図3(a)によると、Ag膜、SiO
膜、TiO膜を組み合わせて積層した実施例1の半透
過型高反射膜では、反射率はほぼ80%の状態で平坦化
される。又、透過率はほぼ18%の状態で平坦化され
る。この結果、実施例1の半透過型高反射膜は、Ag単
層膜に比較して、可視光領域において任意の反射率でフ
ラットな分光反射特性、分光透過特性を有することが確
認された。
【0032】(実施例2)本発明の半透過型高反射膜の
実施例2について説明する。実施例2の半透過型高反射
膜は、Al膜(金属半透過膜)、SiO薄膜(LOW
誘電体薄膜)、TiO薄膜(HIGH誘電体薄膜)が
順次、成膜されて構成される多層膜であり、例えば透明
ガラス基板上に形成される。
【0033】この実施例2の半透過型高反射膜について
は、誘電体薄膜の膜厚(参照波長λ=450nmについ
て)は、SiO薄膜:76.8nm、TiO薄膜:
47.4nmである。
【0034】ここで、本発明の実施例2の半透過型高反
射膜の反射率増加による効果を、比較例であるAl単層
膜と比較して、図4に示す実施例2、図5に示す従来例
において説明する。図4(a)は本発明の実施例2の分
光反射特性、分光透過特性の実施結果を示す図であり、
図4(b)はその膜構成条件を示す表である。
【0035】一方、Al単層膜の膜厚を、13.7nm
とし参照波長λ=500nmとして、分光透過率、分光
反射率の測定を行った。図5(a)は、分光反射率透過
率を示すデータであり、図5(b)は、そのグラフを示
す。
【0036】図5によると、例えば、560nmで、透
過率15.1%、反射率69.9%であり、吸収は、1
00−(15.1%+69.9%)=15%である。
【0037】しかしながら、実施例2の半透過型高反射
膜については、図4よりAlの膜厚はd=7.1nmで
あり、Al単層膜の約半分になっているが、透過率15
%、反射率78%と、同じ透過率でも反射率は、78−
69.9%=8.1%も上昇している。そして、吸収は
実施例2の半透過型高反射膜では100−(15%+7
8)=7.0%に減少して、半透過型高反射膜として反
射率は増加し、吸収が減少するという優れた効果が生じ
ることが確認された。
【0038】次に、実施例2の半透過型高反射膜につい
て、可視光領域における分光反射透過特性の平坦さを見
ると、図4において、400nm及び700nmの波長
領域では多少の反射率の落ち込み、透過率の立ち上がり
があるが、全体的には反射率、透過率はフラットであ
り、平坦化された状態を示している。
【0039】(実施例3)本発明の半透過型高反射膜の
実施例3について説明する。実施例3の半透過型高反射
膜は、Al膜(金属半透過膜)、SiO薄膜(LOW
誘電体薄膜)、TiO薄膜(HIGH誘電体薄膜)、
SiO薄膜(LOW誘電体薄膜)が順次、成膜され、
4層に積層されて構成され、例えば透明ガラス基板上に
形成される。
【0040】この実施例3の半透過型高反射膜の多層膜
の膜厚(参照λ=500nmについて)は、夫々Al半
透過膜:12nm、SiO薄膜:46.5nm、Ti
薄膜:68.25nm、SiO薄膜:256.5
nmの4層タイプである。
【0041】図6は、実施例3の半透過型高反射膜の分
光反射特性、分光透過特性を示す実施データであり、図
6(a)は本発明の実施例2の分光反射透過特性の実施
結果を示す図であり、図6(b)はその実施条件を示す
表である。
【0042】この図6において、分光反射透過特性及び
分光透過特性は、400nm及び700nmの可視光波
長領域では若干の凹凸はあるが、全体的には反射率は8
0%前後で、又透過率は10%前後でフラットであり、
平坦化された状態を示している。又、吸収もほぼ10%
前後と比較的小さく、半透過型高反射膜としての効率が
すぐれている。
【0043】(実施例4)本発明の半透過型高反射膜の
実施例4について説明する。実施例4の半透過型高反射
膜は、Al膜(金属半透過膜)、SiO薄膜(LOW
誘電体薄膜)、TiO薄膜(HIGH誘電体薄膜)、
SiO薄膜(LOW誘電体薄膜)、TiO薄膜(H
IGH誘電体薄膜)、SiO薄膜(LOW誘電体薄
膜)が順次、成膜され、6層に積層されて構成され、例
えば透明ガラス基板上に形成される。
【0044】この実施例4の半透過型高反射膜の膜厚
(参照λ=450nmについて)は、Al半透過膜:
7.06nm、SiO薄膜:76.8nm、TiO
薄膜:47.4nm、SiO薄膜:76.8nm、T
iO薄膜:89.15nm、SiO薄膜:76.8
nmである。
【0045】図7は、実施例4の半透過型高反射膜の分
光反射特性、分光透過特性を示す実施データであり、図
7(a)は本発明の実施例4の分光反射透過特性の実施
結果を示す図であり、図7(b)はその実施条件を示す
表である。
【0046】この図7において、可視光領域における分
光反射特性及び分光透過特性は、いずれも、400nm
及び700nmの可視光波長領域では若干の変動(下降
及び上昇)はあるが、全体的には、反射率はほぼ約77
%、透過率はほぼ15.5%でフラットであり、平坦化
された状態を示している。又、吸収もほぼ7.5%前後
と比較的小さく、半透過型高反射膜としての効率がすぐ
れている。
【0047】(実施例5)本発明の半透過型高反射膜の
実施例5について説明する。実施例5の半透過型高反射
膜は、実施例4と同様に、Al膜(金属半透過膜)、S
iO薄膜(LOW誘電体薄膜)、TiO薄膜(HI
GH誘電体薄膜)、SiO薄膜(LOW誘電体薄
膜)、TiO薄膜(HIGH誘電体薄膜)、SiO
薄膜(LOW誘電体薄膜)が順次、成膜され、6層に積
層されて構成され、例えば透明ガラス基板上に形成され
る。
【0048】しかしながら、実施例5の半透過型高反射
膜は、実施例4と異なり、可視光領域において反射率及
び透過率が全体的にはほぼ平坦化されていながらも、特
定の色の波長帯の光の反射を強調し、その色目が強調さ
れるような構成としたことを特徴とするものである。そ
のために、特定の色の波長帯の光の反射率を上げ透過率
を減らすように、半透過型高反射膜を構成する誘電体薄
膜の夫々の膜厚が設定されていることを特徴とする。
【0049】この実施例5の半透過型高反射膜の膜厚
(参照λ=510nmについて)は、Al半透過膜:8
nm、SiO薄膜:63.2nm、TiO薄膜:5
1nm、SiO薄膜:155.8nm、TiO
膜:82.8nm、SiO薄膜:70.8nmであ
る。
【0050】図8は、実施例5の半透過型高反射膜の分
光反射特性、分光透過特性を示す実施データであり、図
8(a)は本発明の実施例5の分光反射透過特性を示す
図であり、図8(b)はその実施条件を示す表である。
【0051】この図8において、可視光領域における分
光反射透過特性及び分光透過特性は、いずれも、400
nm〜600nmの青〜緑光波長領域では若干の変動
(下降及び上昇)はあるが、反射率はほぼ約70%、透
過率はほぼ20%でその領域では、ほぼ平坦化された状
態を示している。
【0052】しかしながら、図8(a)に示すように、
赤色の波長帯に相当する630〜700nmの波長帯に
ついては、反射率がやや上昇しており、その分だけ透過
率が減っている。これにより、赤色光の反射がやや強く
なり、この結果、赤の色目が強調されるという機能を奏
する。
【0053】図示はしないが、同様に、緑色の波長帯に
相当する500〜540nmの波長帯の反射率をやや上
昇させることにより、緑色光の反射がやや強くなり、こ
の結果、緑の色目が強調されるという機能を奏する。同
じく、青色の波長帯に相当する400〜480nmの波
長帯の反射率をやや上昇させることにより、青色光の反
射がやや強くなり、この結果、青の色目が強調されると
いう機能を奏する。
【0054】このように、ある特定の色目の波長帯の反
射率をやや上げることにより、その色調を強調できる
が、このような半透過型高反射膜を次に示す反射型カラ
ー液晶装置に適用すれば、液晶表示素子の色調特性を補
正したり、あるいは特定の色の色調の強調された美しい
画面でカラー画像を観察することが可能である。
【0055】(利用例)図9は、本発明の半透過型高反
射膜の利用例として、反射型カラー液晶表示装置6に適
用した構成を示す図である。フレーム14内に設けられ
た下部ガラス基板7上に本発明の半透過型高反射膜1が
配設され、さらにその上に、カラーフィルタ(RGBフ
ィルタ)8、液晶表示素子9(液晶、TFTマトリック
ス電極、画素電極、対向電極等含む)、上部ガラス基板
10、偏光板11が順次配設されている。下部ガラス基
板7の下面には偏光板12が配設されている。さらに偏
光板12の下方にはバックライト13が設けられてい
る。
【0056】このような反射型カラー液晶表示装置6で
は、日中は半透過型高反射膜1で外光を反射し、その反
射光で表示光を得ることができ、夜間や暗所ではバック
ライト13が半透過型高反射膜1を透過し表示光を得る
ことができる。この場合、本発明の半透過型高反射膜1
は反射率及び透過率が高められているから、日中は反射
光により輝度の高い表示が得られ、又、夜間や暗所では
バックライトにより十分な表示輝度が得られる。なお、
図9に示すような利用例を、実際に設計する際には、例
えば、空気(n=1)としているところを、HIGH誘
電体薄膜の外側はRGBフィルターとなる為、その屈折
率(n=1.49〜1.6)に合わせて光学的膜厚を決
める等の設計事項を考慮する必要がある。
【0057】以上、本発明の実施の形態を実施例に基づ
いて説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるこ
となく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内でい
ろいろな実施の形態があることは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】以上の構成から成る本発明によれば、半
透過型高反射膜において、金属薄膜に誘電体薄膜を積層
して反射率を増加させることで、金属薄膜の膜厚を薄く
して吸収を少なくでき、その結果反射率を増加させるだ
けでなく、透過率も上昇させることができ、半透過型高
反射膜としての効率(反射率及び透過率の合計)を向上
させることができる。
【0059】さらに、本発明によれば、誘電体薄膜の膜
厚を変えることにより、波長毎の分光反射率を変えるこ
とができ、可視光領域において反射率及び透過率が平坦
化された分光反射特性、分光透過特性を得ることができ
る。さらに、特定の色目の波長帯の光の反射率を強調す
るように、誘電体膜の夫々の厚さを設定することによ
り、その色調を強調することもできる。
【0060】以上のとおり、本発明に係る半透過型高反
射膜を、例えば反射型カラー液晶表示装置に適用すれ
ば、次のような顕著な効果を発揮する。 (1)吸収のない誘電体層により反射率が高められてい
るから、金属膜の吸収を大幅に減少出来る為、日中は半
透過型高反射膜で自然光(外光)を十分反射し、その反
射光で高い輝度の表示光を得ることができ、又、吸収が
少ない分透過率が高められているから、夜間や暗所では
バックライト光を十分透過させることができ、消費電力
の少ないバックライト光でも高い輝度の表示光を得るこ
とができる。 (2)可視光領域における平坦化された分光反射特性、
分光透過特性を有するから、カラーフィルタを透過した
各色(RGB)の波長によって、その反射光、透過光が
強弱を呈することがないので、色再現性が向上する。 (3)可視光領域において全体としては平坦化された分
光反射特性、分光透過特性を得ながらも、特定の色目の
波長帯の反射率を強調することで、液晶表示素子の色調
特性に対し、その色調を補正することができ、あるいは
特定の色調を強調したカラー画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半透過型高反射膜の実施例1(A
gハーフミラー3層タイプ)の構成と作用を説明するた
めの図である。
【図2】従来例(Ag単層ハーフミラー)を説明するた
めの図である。
【図3】本発明に係る半透過型高反射膜の実施例1(A
gハーフミラー3層タイプ)を説明するための図であ
る。
【図4】本発明に係る半透過型高反射膜の実施例2(A
lハーフミラー3層タイプ)を説明するための図であ
る。
【図5】従来例(Al単層ハーフミラー)の反射率透過
率特性を説明するための図である。
【図6】本発明に係る半透過型高反射膜の実施例3(A
lハーフミラー4層タイプ)を説明するための図であ
る。
【図7】本発明に係る半透過型高反射膜の実施例4(A
lハーフミラー6層タイプ)を説明するための図であ
る。
【図8】本発明に係る半透過型高反射膜の実施例5(A
lハーフミラー6層赤反射強調タイプ)を説明するため
の図である。
【図9】本発明に係る半透過型高反射膜の利用例を説明
するための図である。
【符号の説明】
1 半透過型高反射膜 2 ガラス基板 3 Ag薄膜 4 SiO薄膜 5 TiO薄膜 6 反射型カラー液晶表示装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属半透過膜の上に、低屈折率の誘電
    体薄膜と高屈折率誘電体薄膜が交互に組み合わされて積
    層されており、上記金属半透過膜単層のみの構造より反
    射率が高められているとともに、可視光領域において反
    射率及び透過率が平坦化されている構成であることを特
    徴とする半透過型高反射膜。
  2. 【請求項2】 金属半透過膜の上に、低屈折率の誘電
    体薄膜と高屈折率誘電体薄膜が交互に組み合わされて積
    層されており、上記金属半透過膜単層のみの構造より反
    射率が高められているとともに、可視光領域において反
    射率及び透過率が全体的に平坦化されている構成である
    半透過型高反射膜において、 特定の色の波長帯の光の反射が強調されるように、上記
    特定の色の波長帯の光の反射率を上げるように、上記低
    屈折率の誘電体薄膜と高屈折率誘電体薄膜の夫々の膜厚
    が設定されて成ることを特徴とする半透過型高反射膜。
  3. 【請求項3】 上記低屈折率の誘電体薄膜と高屈折率
    誘電体薄膜の交互の組み合わせは、低屈折率の誘電体薄
    膜及び高屈折率誘電体薄膜の組み合わせを1又は2以上
    設けたものであることを特徴とする請求項1又は2記載
    の半透過型高反射膜。
  4. 【請求項4】 低屈折率の誘電体薄膜と高屈折率誘電
    体薄膜の交互の組み合わせは、低屈折率の誘電体薄膜
    と、高屈折率誘電体薄膜及び低屈折率の誘電体薄膜の組
    み合わせを1又は2以上設けたものとを、組み合わせた
    ものであることを特徴とする請求項1又は2記載の半透
    過型高反射膜。
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