JP2002162383A - 電気化学的酸素ポンプセルおよびそれを用いた窒素酸化物ガスセンサ - Google Patents

電気化学的酸素ポンプセルおよびそれを用いた窒素酸化物ガスセンサ

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JP2002162383A
JP2002162383A JP2000359041A JP2000359041A JP2002162383A JP 2002162383 A JP2002162383 A JP 2002162383A JP 2000359041 A JP2000359041 A JP 2000359041A JP 2000359041 A JP2000359041 A JP 2000359041A JP 2002162383 A JP2002162383 A JP 2002162383A
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oxygen
nox
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Eitetsu Gen
永鉄 厳
Akira Kunimoto
晃 国元
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低濃度のNOx検知を可能にする
電気化学的な酸素ポンピングセルを提供する。 【解決手段】 第1の電極(8)と固体電解質基
板(2)との間に、貴金属が添加されたジルコニア固体
電解質からなる電極下地層(9)を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は雰囲気中の処理対象
とするガス状物質を電気化学的に酸化あるいは還元する
電気化学的酸素ポンプセル、およびそれを用いた窒素酸
化物ガスセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】車の排気ガス中の特定ガス、例えばHC
(炭化水素ガス)、CO、NOxなどを他ガスの存在に
影響されずに測定することが大きく望まれている。この
ような要望に応じて、特定のガスのみに感度を有する、
いわゆるガス選択性の高いガスセンサが固体電解質基板
を用いた電気化学センサとして活発に提案されている。
本発明者においても、特開平9−274011号公報に
示されるように、酸素イオン伝導体であるジルコニア固
体電解質を用いた高温作動型の混成電位式NOxセンサ
を既に提案している。
【0003】このNOxセンサは、ジルコニア固体電解
質基板上にPt等の貴金属からなる集電体とNOx検知
極を設け、この検知極の反対面あるいは同一面のジルコ
ニア固体電解質上に参照極(あるいは対極)を設けた構
造である。この検知極は勿論測定ガス中に曝されるが、
参照極も同時に測定ガス中に曝すことができる。このN
Oxセンサにおいて、検知極と参照極との間の電位差を
測定することにより、測定ガス中のNOx濃度を検知す
ることができる。すなわち、混成電位式センサにおいて
は、NOx検知極はNOxと酸素とに活性であり、参照極
は酸素にのみ活性であることから、両電極間の化学ポテ
ンシャルの差に起因した出力が得られる。逆に参照極が
NOxにも活性である場合には、測定ガスから隔離して
しまえば、同様なNOx感度が得られることは周知のと
おりである。
【0004】この混成電位式NOxセンサは、検知極に
おいて(1)と(2)式の2つの反応がNOガス検知時に起
こることが必要である。一方、NO2ガス検知時には
(3)と(4)式が同時に生じなければならない。そのた
め、NOガス検知とNO2ガス検知とでは、センサ出力
はお互いに逆極性となる。車の排気ガス中の総NOx濃
度を検知する場合にはNOとNO2が混在するため、相
互干渉を起こしこのままでは総NOx濃度は検知できな
い。そのため、特開平9−274011号公報に示す積
層型の総NOxセンサが提案されている。
【0005】 O2 + 4e- → 2O2- …………………………………… (1) 2NO + 2O2- → 2NO2 + 4e- ……………… (2) 2O2- → O2 + 4e- …………………………………… (3) 2NO2 + 4e- → 2NO + 2O2- ……………… (4)
【0006】この積層型総NOxセンサの原理は、電気
化学的酸素ポンプを用いて大気中より酸素をガス検知室
に導入し、測定ガス中のHC(炭化水素)やCO(一酸
化炭素)などの還元性ガスを酸化し無害化し、さらにN
Ox中のNOを電気化学的にNO2化し、結局NOxをN
2の単ガスに変換する。この単ガス化されたNO2を混
成電位に基づくNOx検知極および参照極間の電位差に
より総NOx濃度として検知できるものである。
【0007】この混成電位式NOxセンサにおいて、セ
ンサ特性を大きく支配するのは雰囲気中のNOx(通常
雰囲気あるいは排ガス中においては、NOとNO2の共
存ガス)をNOあるいはNO2の単ガスに変換する電気
化学的な酸素ポンプセルである。すなわち、先述のNO
xセンサにおいて内部空間(ガス測定室)に流入してき
たNOx(NOとNO2の共存ガス)をNOあるいはNO
2に変換する効率が高いほどセンサ出力は高濃度域まで
検知することができる。また、この変換効率が高けれ
ば、低濃度域の検知も精度が高くなる。今後、世界的に
排ガス規制値が厳しくなっていくことは明らかであり、
自動車エンジンの排ガス後処理システム等におけるNO
x検知濃度域も益々低濃度側に移行していくと考えられ
る。これらに対応するためにも、先述のNOxセンサに
おけるNOx変換能力の改善が必要となる。
【0008】また、排ガス中のNOx濃度を検知する場
合に、例えば干渉性ガスとしてのHCやCO等の還元性
ガスを完全に酸化しH2OやCO2の無害ガスに変換する
必要もある。この場合も、固体触媒的に酸化除去するの
みならず、酸素ポンピング電極にて電気化学的に酸化す
ることも必要となる。この場合の酸素ポンピング電極
は、HCやCO等の還元性ガスに活性であることが望ま
しい。このように、特に混成電位型センサにおいては、
総NOx検知の場合におけるガス変換を行う酸素ポンピ
ングセルのような電気化学ポンプセルの性能改善あるい
は性能維持が重要である。さらに、近年排ガス中のNO
x検知の要求は、益々低濃度検知域に移行しており、従
来のNOxセンサの出力増大が望まれてきている。ま
た、低濃度検知の精度を改善するためには、NOxセン
サの出力の安定性確保が重要な課題となってくる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
混成電位式NOxセンサにおいては、総NOx濃度を検知
するためにはNOxをNOあるいはNO2に単ガス変換す
る必要がある。そのため、電気化学的な酸素ポンピング
セルを搭載した積層構造のNOxセンサが提案されてき
た。しかしながら、この従来のNOxセンサ構成におい
ては、NOxのガス変換を行う電気化学的な酸素ポンピ
ングセルのNOx変換能および性能安定性の更なる改善
が必要とされていた。本発明においては、このような電
気化学ポンピングセルの大幅な性能改善を行い、もって
本ポンピングセルが組み込まれた窒素酸化物ガスセンサ
の性能改善を行うことを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上のような課題に鑑
み、本発明者は以下のような手段で課題を解決すること
を提案した。すなわち、酸素イオン伝導性のジルコニア
(ZrO2)固体電解質基板と、このジルコニア固体電解
質基板上に設置された少なくとも処理対象ガスおよび酸
素に活性な第1の電極と、前記のジルコニア固体電解質
基板上に設置された少なくとも酸素に活性な第2の電極
とからなる電気化学的な酸素ポンプセルであって、少な
くとも本ポンプセルの第1の電極とジルコニア基板との
間に、貴金属が添加されたジルコニア固体電解質からな
る電極下地層を設け、少なくともカソード極となる一方
の電極を酸素あるいは酸素化合物ガスの存在する雰囲気
下に曝しながら、第1の電極と第2の電極との間に電圧
を印加するための手段により所定の電圧をかけ、よって
第1の電極において処理対象ガスを酸化あるいは還元す
る電気化学的な酸素ポンプセルをもって解決手段とする
ものである。これにより、電極と固体電解質との物理的
および化学的な密着性を改善することができ、よって電
極の界面抵抗を低減し酸素ポンプ性能を向上することが
できる。
【0011】本発明の電極下地層は、従来から用いられ
ているイットリア(Y23)等を安定化剤とするジルコニ
ア(ZrO2)固体電解質基板上に形成され、貴金属が分
散添加されたジルコニア固体電解質からなることで優れ
たポンピング性能が得られる。この電極下地層に添加さ
れる貴金属元素としては、Pt、Pd、Ir、Au、R
u、Rhのいずれか一種以上を用いることで本効果が得
られる。貴金属の添加量は、0.05〜5wt%とすると
良く、好ましくは0.1〜2wt%とすると良い。また、
電極下地層のジルコニア固体電解質はイットリア(Y2
3)、マグネシア(MgO)、セリア(CeO2)、スカンジ
ア(Sc23)の安定化剤のうち、少なくとも一種が固溶
添加された酸素イオン伝導性のジルコニア固体電解質と
することで、大きな効果が得られる。
【0012】また、本発明における第1の電極は、R
h、Pt−Rh合金、Pt−Ru合金、Ir、Ir−R
h合金、Pd−Rh合金、Rh−Au合金、Ir−Au
合金のうちの一種を主成分として構成することにより、
窒素酸化物ガスのNOをNO2に酸化し、あるいはNO2
をNOに還元するNOxガス変換用の酸素ポンプセルと
して良好な性能を確保することができる。さらに、NO
xセンサにおける排ガス中の還元性ガス(HCやCOな
ど)の無害化除去は、NOx検知精度を上げるためには
必須な機構である。このための、酸化除去用酸素ポンプ
セル(ガス処理ポンプセル)においてはガス処理電極
を、Pt、Pd、Ir、Au、Rhのいずれか、あるい
はこれらの合金により構成することにより良好な性能を
確保できる。 さらに、第1の電極(NOx変換電極あ
るいは/およびガス処理電極)中にイットリア(Y
23)、マグネシア(MgO)、セリア(CeO2)、スカン
ジア(Sc23)のうちから、一種以上が添加された酸素
イオン伝導性のジルコニア固体電解質を分散させること
により、より一層の性能改善を行うことができる。
【0013】一方、本発明の酸素ポンプセルを組み込ん
だガスセンサとしては、さらに、次のような構成が提示
される。すなわち、酸素イオン伝導性を有する第1のジ
ルコニア固体電解質基板と、同じく酸素イオン伝導性を
有する第2のジルコニア固体電解質基板を対向させ、ス
ペーサによりこれら固体電解質基板間に所定の距離を保
ちながら固定することにより形成される内部空所からな
るガス測定室と、このガス測定室に被検ガス雰囲気が所
定のガス拡散抵抗を持って流入するように設けられたガ
ス導入口と、酸素に活性な参照電極およびガス測定室内
の雰囲気に曝される第1の固体電解質基板上に固定され
たNOxおよび酸素に活性なNOx検知電極とからなるN
Ox検知セルと、ガス測定室内の雰囲気に曝される第2
の固体電解質基板上に固定された被検ガス中のNOをN
2に或いはNO2をNOに変換するためのNOxと酸素
に活性な第1の電極としてのNOx変換電極と、前記第
2の固体電解質基板上に酸素あるいは酸素化合物ガスが
存在する雰囲気中に曝されるように固定された酸素に活
性な第2の電極としてのNOx変換対極からなるNOx変
換ポンプセルとからなり、少なくとも前記のNOx変換
ポンプセルのNOx変換電極と第2の固体電解質基板と
の間に貴金属が添加されたジルコニア固体電解質からな
る電極下地層を設けた構成であって、さらに前記のNO
x検知電極と参照電極との間の電位差を測定する手段
と、NOx変換ポンプセルを駆動するための電圧印加手
段を具備し、NOx変換ポンプセルに所定の電圧を印加
しながら、NOx検知電極と参照電極との間の電位差を
検出し、もってこの電位差を被検ガス中の窒素酸化物濃
度の信号とする窒素酸化物ガスセンサを解決手段とす
る。
【0014】本発明のNOxセンサの構成においては、
参照電極が少なくとも酸素に活性であればよく、酸素以
外のガスに活性であっても被検ガス雰囲気から隔離され
大気雰囲気中に設置されればよい。この場合には、参照
電極の材料選択の自由度は大きくなる。一方、参照電極
を酸素のみに活性とすることにより、検知電極が設置さ
れているガス測定室内に設置することで、測定雰囲気中
の酸素濃度変動によりセンサ素子のガス測定室内の酸素
濃度が変動しても、その影響を受け難くすることができ
検知精度が改善される。
【0015】本発明のさらなるNOxセンサにおいて
は、ガス測定室内の第2の固体電解質基板上に、NOx
および酸素に活性を有するNOx変換電極と、炭化水素
ガスあるいは一酸化炭素ガス、および酸素に活性を有す
るガス処理電極とを固定し、NOx変換電極或いは/お
よびガス処理電極と固体電解質基板間に電極下地層を設
け、ガス処理電極をアノード極として電圧を印加する手
段を設けたセンサ構成が提案される。
【0016】さらに、本発明のNOxセンサの別な方式
として、次のセンサ構成が提案される。すなわち、酸素
イオン伝導性を有する第1のジルコニア固体電解質基板
と、同じく酸素イオン伝導性を有する第2のジルコニア
固体電解質基板を対向させ、のスペーサにより前記固体
電解質基板間に所定の距離を保ちながら固定することに
より形成される内部空所からなるガス測定室と、このガ
ス測定室と被検ガス雰囲気とが連通するように設けられ
たガス導入口と、前記ガス測定室内の雰囲気に曝される
前記第1の固体電解質基板上に固定されたNOxおよび
酸素に活性を有する第1の電極と、前記ガス測定室外の
第1の固体電解質上に固定された少なくとも酸素に活性
を有する第2の電極と、大気雰囲気に曝される第1の固
体電解質上に固定された参照電極からなり、第1の電極
と第2の電極間に所定の電流あるいは電圧を印加しなが
ら、参照電極と第1の電極間の電位差あるいはこれら電
極間に流れる電流値を測定し、もって被検ガス中の窒素
酸化物濃度を検知する窒素酸化物ガスセンサである。
【0017】さらに、イットリア添加ジルコニア等の固
体電解質基板にAlを0.01〜1.0wt%添加するこ
とにより、電極焼結温度を著しく低下させ、もってより
活性な電気化学ポンプセルを得ることができる。このA
l添加ジルコニア固体電解質は前述の全ての構成に適用
される。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の酸素ポンプセルおよび窒
素酸化物ガスセンサの構成図を用いて詳細な説明を行
う。図1に示す本発明の酸素ポンプセルは、酸素イオン
伝導性を有するイットリア等が添加されたジルコニア固
体電解質基板2上に、貴金属が添加されたジルコニア固
体電解質からなる電極下地層9を形成し、この電極下地
層上に第1の電極8が積層されており、固体電解質基板
2を挟んで第2の電極10が固定されている。固体電解
質基板2は酸素イオン伝導性を有するジルコニア固体電
解質であれば良く、特に安定化剤の種類に制約されるも
のでない。通常、3〜8mol%以上のイットリアを添加
したジルコニアを用いるとよい。
【0019】図1の例では第1の電極8をアノード極と
し、第2の電極10をカソード極として第2の電極側か
ら電気化学的に酸素イオンが供給される酸素ポンプセル
となっている。本例示の場合には、第2の電極が曝され
る雰囲気が大気雰囲気であるが、水(H2O)や二酸化炭
素(CO2)等の酸素化合物ガスが存在すれば、ここに酸
素ガスとして存在する必要はない。すなわち、酸素ポン
プセル(8,9,10)を構成する第2の電極(カソー
ド極)においてH2OやCO2を電気分解し酸素イオンと
して供給することが可能である。
【0020】また、図1において電極下地層9は第1電
極下にのみ形成してあるが、第2電極下にも形成するこ
とが好ましい。しかしながら、少なくとも目的のガス変
換を行う作用極としての第1電極下には必ず電極下地層
を形成することが本発明に必須である。
【0021】また、図1には示されていないが、第1お
よび第2電極に電圧を印加するためのリード導体が構成
されることが好ましい。また、第1の電極上に無機質の
多孔体を電極保護膜等として設置することもあり得る。
さらに、イットリア添加の固体電解質基板2は、基板状
が好ましい使用形態であるが、場合によってはこれを厚
膜の固体電解質層として形成し、それに本発明の電極下
地層および第1の電極あるいは第2の電極を積層しても
構わない。また更に、第1の電極側の雰囲気中に少なく
とも酸素化合物ガスが存在すれば、第2の電極を第1の
電極が固定される固体電解質基板の同一面上に設置する
ことも可能である。
【0022】図1に示される本発明の電気化学的な酸素
ポンプセルにおいて、固体電解質基板2は、従来から酸
素イオン伝導性を用いた機能材料として広く用いられて
いるイットリア添加のジルコニアとすることが好まし
い。通常、添加されるイットリア量としては3〜8mol
%であるが、好ましくは5〜7mol%とすればよい。こ
の固体電解質基板2は、イットリアの代わりにマグネシ
ア、セリア、カルシア等を安定化剤としたジルコニア基
板とすることも可能ではあるが、非常にコストが高くな
る。さらに、化学的安定性や機械的強度特性から本発明
のようにイットリア添加のジルコニア基板とすることが
優れる。
【0023】この固体電解質基板2上に形成される電極
下地層9のジルコニア固体電解質には、貴金属が分散添
加される。この貴金属としてはPt、Pd、Ir、A
u、Ru、Rhのいずれか、あるいはこれらの合金とす
ることが性能上好ましい。また、本発明の酸素ポンプセ
ルが処理しようとする目的のガス種により、添加貴金属
を選定することができる。例えば、第1の電極上でNO
xをNOあるいはNO2に変換(還元あるいは酸化)する
場合には、第1の電極下の電極下地層に、Rh、Au、
Pt−Rh合金、Ir−Rh合金などのNOxに活性を
有する貴金属元素を用いることが望ましい。
【0024】一方、第1の電極上でHCやCOの酸化除
去を行う場合には、これら還元性ガスに活性であるP
t、Pd、Ir、Ruあるいはこれらの合金を用いるこ
とが望ましい。このように、電極下地層に貴金属を添加
することで電極界面の活性を増大させ、さらに基板との
接合性が向上し、酸素ポンピング能力を大きく改善する
ことが可能となる。添加されて得られた電極下地層中の
貴金属粉の粒子径は5μm以下とすることが好ましい。
更に好ましくは、3μm以下である。5μm以上では添加
貴金属粉の占める三相界面が著しく減少し、電極の活性
を上げることができなくなる。これら貴金属粉の添加量
としては、0.05〜5wt%とするとよく、好ましくは
0.1〜2wt%とするとよい。添加量が0.05wt%よ
り少ないと、添加した効果が顕著でなく、逆に5wt%よ
り多いと添加貴金属の凝集がおこり添加効果が減少す
る。
【0025】この固体電解質基板2上に形成される電極
下地層9のジルコニア固体電解質としては、マグネシア
(MgO)、カルシア(CaO)等アルカリ土類金属の
酸化物、酸化イットリウム(イットリア)、酸化セリウ
ム(セリア)、酸化ネオジウム、酸化ガドリニウム、酸
化イッテルビウム、酸化スカンジウム(スカンジア)等
希土類金属の酸化物、(酸化トリウム等アクチノイド系
金属の酸化物)等公知の安定化剤が添加されたものが使
用できる。その中でも、特にイットリア(Y2 3)、マグ
ネシア(MgO)、セリア(CeO2)、スカンジア(Sc2
3)の安定化剤のうちから一種以上が固溶添加されたジ
ルコニア固体電解質とすることが望ましい。また、この
電極下地層の空隙率を5〜35vol%とし、かつ平均膜
厚を3〜30μmとすることや、電極下地層のジルコニ
ア固体電解質に添加される安定化剤の量を3〜30mol
%とすることが望ましい。さらに好ましくは、5〜20
mol%である。3mol%以下の添加量ではイオン伝導性が
不充分であり、30mol%以上では膜強度が低下する。
【0026】この電極下地層は通常のスクリーン印刷等
で適切な方法にて塗布形成することができる。印刷法で
形成する場合には、先述の貴金属粉と固体電解質粉に有
機結合剤、有機溶剤、分散剤、等と混ぜ混練することで
得られるペーストを用いる。このときの溶剤量や粉末粒
子径等を調整することにより電極下地層9の多孔度を調
整することができる。また、電極下地層9の膜厚もこの
スラリーの粘度や印刷条件等を変えることで調整可能で
ある。
【0027】一方、電極下地層に積層される第1の電極
はその処理対象ガスおよび酸素に活性であることが必要
である。例えば、前述の酸素共存下でNOxを酸化ある
いは還元を行うNOx変換電極の場合には、NOxと酸素
に活性の大きいRh、Pt−Rh合金、Pt−Ru合
金、Ir、Ir−Rh合金、Pd−Rh合金、Rh−A
u合金、Ir−Au合金のうちの一種を主成分とするこ
とが望ましい。さらに、この第1の電極を多孔質化し、
かつ電極活性を上げるために、先述の固体電解質を第1
の電極中に添加することが有効である。例えば、イット
リア(Y23)、マグネシア(MgO)、セリア(Ce
2)、スカンジア(Sc23)を安定化剤とするジルコニ
ア固体電解質を第1の電極総量に対して5〜30wt%の
比率で添加すると、電極の活性が大きく改善され、かつ
安定性に優れるものが得られる。なかでも好ましいの
は、マグネシア(MgO)、セリア(CeO2)、スカンジ
ア(Sc23)であり、これらを安定化剤とするジルコニ
ア固体電解質を添加すると安定性に優れたポンプ性能が
得られる。これら安定化剤の添加量は、5〜20mol%
とすることが望ましい。さらに、安定化剤をなにも含有
しないジルコニア、あるいは化学的に安定なアルミナを
添加し、第1の電極の多孔性を増すことだけでも本発明
効果が得られる。この場合の添加量も5〜40vol%、
好ましくは10〜30vol%とするとよい。
【0028】上述の電気化学ポンプセルのうち、特にN
OxをNOあるいはNO2に変換するためのNOx変換ポ
ンプセルとして、ジルコニア固体電解質の積層構造を有
する窒素酸化物ガスセンサに適用する。この窒素酸化物
ガスセンサの構造例を図2〜図6に示す。図2の構造で
は、第1のジルコニア固体電解質基板1と第2のジルコ
ニア固体電解質基板2とがスペーサ14により所定の距
離を保持しながら対向しつつ、内部空間からなるガス測
定室4を形成している。このガス測定室4には被検ガス
雰囲気に通じるガス導入口3が具備される。
【0029】第1の固体電解質基板1上の、ガス測定室
内部にNOxと酸素に活性なNOx検知電極5が固定され
る。このNOx検知電極と対になる参照電極7は、第1
の固体電解質基板上であって大気雰囲気に通じ、被検ガ
ス雰囲気からは完全に隔離された大気基準ダクト12内
に形成されている。この場合には、参照電極は少なくと
も酸素に活性であればよい。また、理論的には、この参
照電極の設置場所は大気雰囲気下に限らず、参照電極が
一定の酸素ポテンシャルを維持できる雰囲気下であれば
よい。例えば所定の酸素解離平衡分圧を示す物質が存在
する密閉空間内に設置することも可能である。
【0030】NOx検知極の材料としては、貴金属系で
はRh、Ir、Au、Pt−Rh合金、Ir−Rh合金
等が使用でき、酸化物系ではNiCr24、NiO、C
23、FeCr24、MgCr24等が使用できる。
また、本検知極材料は貴金属系電極材料と酸化物電極材
料との混合体であっても構わない。さらに、電極の活性
を上げるために、本検知電極中に酸素イオン伝導体物質
を所定量添加することがある。この場合の酸素イオン伝
導体物質としては、ジルコニア固体電解質を用いること
ができ、上述した公知の安定化剤のうち特に、イットリ
ア(Y23)、セリア(CeO2)、マグネシア(MgO)、
スカンジア(Sc23)を添加したジルコニア固体電解質
を用いることが望ましい。ジルコニア固体電解質の添加
量は電極膜総量に対して5〜30wt%とするとよい。こ
の添加量は、さらに好ましくは5〜20wt%である。
【0031】図2において、第2の固体電解質基板2上
には、先述の酸素ポンプセルである電極下地層9を有す
るNOx変換電極8(第1の電極)がガス測定室内にN
Ox検知電極と対向して固定される。NOx変換電極8
(第1の電極)と対になるNOx変換対極10(第2の
電極)は、第2の固体電解質基板上にあって、大気に通
じる大気導入ダクト11内に設置される。図2に示す例
では、NOx変換電極8とNOx変換対極10からなるN
Ox変換ポンプセルにより、大気中の酸素をイオン化し
てガス測定室4内に供給し、NOx変換電極上でNOx中
のNOをNO2化する。この場合には、NOx変換対極1
0をカソード極とし、NOx変換電極8をアノード極と
して電圧を印加する。一方、NOx中のNO2をNOにガ
ス変換する場合には、NOx変換対極10をアノード極
とし、NOx変換電極8をカソード極として電圧を印加
すればよい(図示せず)。また、図2の例では、NOx
変換対極10は、大気ダクト中に設置される構造からな
っているが、例えばエンジン排気ガス中のように、必ず
水(H2O)や二酸化炭素(CO2)が存在する場合には、N
Ox変換対極10を排ガス雰囲気下に設置しても構わな
い。これは、NOx変換ポンプセルの電解電圧を調節す
ることにより、H2OやCO2を電解し、酸素イオンを供
給することができるからである。
【0032】このようなセンサ構成を有するセンサにお
いて、NOx変換電極8とその対極10間には、所定の
ポンプセル電圧を印加するための手段としての外部電源
25が接続される。また、NOx検知電極5と参照電極
7との間の電極電位差を測定するための手段21が接続
され、この出力VNOxが被検ガス中の総NOx濃度を示
す。尚、ここでいう所定の電圧とは一定の電圧を印加す
ることに制限されない。センサ駆動制御に応じて、ポン
プ電圧を変えて使用することができる。電極電位差を測
定するための手段21としては、入力インピーダンスが
充分大きな電位差計を用いることができる。また、本セ
ンサ素子を加熱しながら使用するため、図2の例では自
己加熱ヒータ13が一体形成されている。
【0033】図3の例では、参照電極7がガス測定室4
内に設置された場合のセンサ構造を示す。この場合の参
照電極7は酸素にのみ活性を有していることが必要であ
る。この構造によりNOx検知電極5と参照電極7の酸
素活性は、相互にキャンセルしあい、結果的にガス測定
室4内の酸素濃度が変化しても、NOx出力に影響を受
けにくい利点がある。このような構成を取り得るのは、
混成電位式センサの特徴であることは明白である。
【0034】図4の例では、参照電極7は大気基準ダク
ト12内に設置され、かつ酸素のみに活性を有する酸素
検知電極6がガス測定室4内に併設された構造を示す。
この場合には、NOx検知電極5と参照電極7との間の
電位差VNOxとガス測定室内の酸素分圧を検知するため
の酸素検知電極6と参照電極7との間の電位差VO2とか
ら、NOx濃度出力の酸素分圧依存性を演算処理手段2
3により補正を行う方式の構成を示す。演算処理手段2
3は電子回路を用いたハードウェア、あるいはマイクロ
コンピュータ等を用いたソフトウェアによってなされ
る。
【0035】図5には第1の電極の機能を有する別の酸
素ポンプセルとしてのガス処理電極15を併設したセン
サ構造を示す。排ガス中の総NOx濃度を精度よく検知
するには、NOx中のNOあるいはNO2をどちらかに単
ガス変換する必要があり、これにはNOx変換ポンプセ
ルが対応する。しかしながら、排ガス中には、炭化水素
ガス(HC)や一酸化炭素ガス(CO)が同時に存在し、こ
れらが多量に存在する場合には、NOx出力に影響を及
ぼす。そのため、NOx変換電極8の前段にHCやCO
を酸化除去するためのガス処理電極15を設置すること
が有効である。このガス処理電極15は処理目的ガス
(HCやCO)と酸素に活性であることが必要である。
このガス処理電極15下に本発明の電極下地層を設置
し、ガス処理(酸化)能力および性能の安定化を図るこ
とができる。
【0036】また、NOxガスの測定精度をより高める
ため、ガス測定室4内の酸素濃度を制御するための補助
酸素ポンプを別途設置しても構わない。この場合には、
ガス測定室内の酸素濃度信号として、図4に示す酸素検
知電極6と参照電極7との間の電位差VO2を制御信号と
して、補助酸素ポンプの電圧駆動部にフィードバックし
て用いることができる。このような場合においても、ガ
ス測定室4内に設置される補助酸素ポンプの電極下に本
発明の電極下地層を形成することもできる。
【0037】図6には第1の電極を分極した状態にてN
Ox検知電極として作用させた方式の総NOxセンサの構
成を示す。これは、電気化学ポンプセルでもあり且つガ
ス検知セルでもあるもので、技術思想の考え方から図6
の方式も本発明の範囲に入る。すなわち、本例示ではガ
ス測定室4内の第1のジルコニア固体電解質基板1上に
第1の電極としての検知電極5を固定し、この検知電極
5下に本発明の電極下地層9を挿入する。大気基準ダク
ト12内には、第2の電極としての対極10と、参照電
極7を設置する。対極10と検知電極5との間に所定の
電流を流し検知電極5を分極した状態にて参照電極7と
の電位差VNOxを測定する。この分極された第1の電極
5は、電極電位が強制的に変位された状態からNOとN
2の共存ガスに対する感度を出力する。NOとNO2
の共存ガスは、本発明のような狭い内部空所に存在する
場合には、酸素濃度とセンサ温度により一義的に決定さ
れる。
【0038】これは、(5)および(6)式により示される
ガス平衡濃度に相当する。ここで、Kは平衡定数を示
す。すなわち、排ガス中のNOx組成(NOとNO2の存
在比率)が変化しても、図6のようなガス測定室内にお
いては、ガス平衡反応によりNOとNO2の存在比率は
一定となる。したがって、このような所定の組成比をも
ち、かつ分極された電極においては、NOの分極曲線と
NO2の分極曲線がぼぼ一致することから、総NOx濃度
として検知することができる。
【0039】 NO + 1/2O2 = NO2 ……………………………… (5) K = [NO2]/[NO]・[O21/2 ……………… (6)
【0040】以上、本発明の積層構造を有するセンサ構
成を述べてきたが、前述のガス測定室の数は、特に制限
されるものでない。また、ガス導入口についてもガス拡
散律速されるようなガス通気抵抗を設けないことが望ま
しいが、その形態に特に制限されるものでない。すなわ
ち、複数の導入口を有していても、また、多孔体からな
るガス導入口でも構わない。さらに、本発明におけるセ
ンサ加熱手段には、特に制限はなく、加熱炉中に保持さ
れていても或いは自己加熱ヒータ−であっても構わな
い。
【0041】以上述べてきたような本発明センサの製造
方法は特に制限はないが、通常、生産性の高いジルコニ
アのグリーンシートを用いて作製することができる。ジ
ルコニアのグリーンシートの作製には、まず原料粉とし
てのジルコニア粉が用意される。通常、ジルコニア粉は
すでに所定量のY23やMgOなどが添加されたものが
使用される。あるいは、ジルコニア粉とイットリア粉と
を混合して用いてもよい。
【0042】図1のセンサを作製する場合、このジルコ
ニアグリーンシート上にまず電極下地層用のペーストを
スクリーン印刷で塗布形成する。これを乾燥後、集電体
材、検知極材あるいは参照極材を同様に印刷し積層形成
する。参照極材料には通常Ptが用いられるが、センサ
作動温度でNOxに感度を有しなければ特に材料は限定
されない。スクリーン印刷完了後、約500℃で脱脂焼
成したのち通常1400℃以上で焼結焼成を行う。最後
に集電体端子にPtなどのリード線を溶接して測定に供
される。
【0043】図2〜図6に示すような積層型素子の作製
においては、同様なグリーンシートを用いた方法が適用
される。前述のように印刷がなされた各グリーンシート
を積層し、加熱圧着する。この際、素子の内部空所を形
成する部位には、あらかじめ消失材を充填しておく。
【0044】以上本発明の電極あるいはそれを適用した
積層型NOxセンサについて述べてきたが、さらに本発
明セルを構成するジルコニア固体電解質基板についても
言及する。すなわち、前述のY23等を添加したジルコ
ニア固体電解質に更にAlを0.01〜1.0wt%添加
することによりジルコニアグリーンシートの焼結温度を
大幅に低減させ、その結果センサ検知性能を改善するこ
とができる。Alの添加量は好ましくは0.05〜0.
5wt%である。Alの添加量が多すぎると、電極材との
反応が生じ感度性能を低下させ、またジルコニア固体電
解質自体の強度が低下する。逆に添加量が少なすぎると
本効果は少ない。すなわち、この手段により本発明ポン
プセルおよび窒素酸化物センサの電極界面抵抗の低減が
可能となり、電極の活性を増大させることができる。以
下に、実施例を示し更に詳細な説明を行うが、本発明は
これら実施例に限定されるものでなく、その発明の思想
を同一とするものを全て含むことは言うまでもない。
【0045】
【実施例】(実施例1)図1に示す酸素ポンプセルと図
2および図3に示す積層型のNOxセンサを準備した。
図1の酸素ポンプセルのジルコニア固体電解質基板2に
は、6mol%のイットリア(Y23)が添加されたジルコ
ニア粉を原料粉として前述のように作製されたグリーン
シートを用いた。グリーンシートの厚みは250μmで
ある。このグリーンシートを矩形に切断し、Ptリード
導体をスクリーン印刷で形成した後、電極下地層9と第
1の電極8とを同様に順次積層形成した。電極下地層に
は表1に示す各種貴金属を添加したジルコニアペースト
を印刷した。このジルコニアには、安定化剤としてセリ
アを12mol%添加した。第1の電極材料にはPt−R
h(5wt%)合金を使用した。
【0046】図2および図3に示すセンサ構造には、同
様にして6mol%のイットリア(Y23)が添加されたジ
ルコニアグリーンシートを固体電解質基板1,2として
用いた。本実施例においては、焼成歪みを低減し、基板
間の熱膨張率差からくる歪みを抑制するため、スペーサ
14等の他の構成基板に全て6mol%のイットリア(Y2
3)が添加されたジルコニアグリーンシートを使用し
た。勿論、ヒーターとヒーター用ジルコニア基板間には
絶縁層としてアルミナ印刷層を形成した。また、ガス測
定室4内の雰囲気に曝される固体電解質基板2上に、前
述の電極下地層9と第1の電極としてのNOx変換電極
8を積層形成した。この電極下地層は安定化剤であるセ
リア(CeO2)を12mol%と表1に示す各種貴金属ある
いはそれらの合金を0.5wt%添加したジルコニア固体
電解質である。各サンプルの電極下地層および各電極の
寸法因子は全て同一とした。
【0047】大気ダクト11中には第2の電極として、
Ptからなる変換対極10を形成した。一方、ガス測定
室4内の雰囲気に曝される固体電解質基板1上に、Ni
Cr 24を主成分とするNOx検知電極5を印刷形成し
た。Ptを主成分とする参照電極7をガス測定室内ある
いは大気基準ダクト内に印刷形成した。印刷の完了した
各グリーンシートを重ね合わせ、加熱しながら圧着接合
した。
【0048】これらグリーンシートからなる酸素ポンプ
セルおよび加熱圧着されたNOxセンサ素子を大気中で
約500℃にて脱脂処理したのち、約1400℃の焼成
を行った。焼成後各リード線を接合してサンプルとし
た。このように作製した酸素ポンプセルサンプルを電気
炉内に保持した石英管の中にセットし、酸素濃度5%下
での酸素ポンピング能力を評価した。一方、積層型のN
Oxセンサに組み込んだ変換ポンプセル(酸素ポンプセ
ル)については、総NOx濃度の検知出力を比較するこ
とでNOx変換能力の相対比較を行った。被検ガスのN
Oxには100ppmのNOガスを用いた。また、酸素ポン
プセル単体、およびNOxセンサの加熱温度は600℃
とした。NOxセンサの作動温度は、素子に同時に組み
込んである印刷型熱電対の温度信号を制御ユニットでフ
ィードバック制御した。尚、全ての酸素ポンプセルおよ
びNOxセンサの変換ポンプセルには0.5Vの電圧を
印加した。
【0049】得られた結果を表1にまとめて示す。これ
より、電極下地層として貴金属を含むジルコニア層を用
いた本発明の酸素ポンプセルではポンプ電流が増加し、
さらに、本発明の酸素ポンプセルをNOx変換電極とし
て用いた混成電位型NOxセンサでは、NOをNO2に変
換して総NOx濃度として検知するセンサ出力が増大す
る効果が明確に見られる。特に、NOxに活性の強いI
r、Au、Rh、Pt−Rh合金、Ir−Rh合金、I
r−Ru合金にて大きなNOxセンサ出力が得られてい
ることから、NOxの変換能力が増大していることが分
かる。
【0050】
【表1】
【0051】(実施例2)実施例1と同様に図2の積層
型NOxセンサを作製した。本実施例においては、表2
に示す貴金属の添加量を変えて電極下地層を形成した。
実施例1と同様に、各サンプルの寸法因子は全て同一と
してある。ここから本実施例においては、各貴金属の添
加量が0.05wt%から5wt%の範囲において、NOx
センサの出力が増大していることが明らかである。さら
に、0.1wt%から2wt%の範囲が特にセンサ出力が良
好である。また、NOxに活性の強いRh、Ir、Pt
−Rh合金、Ir−Rh合金においては、特に大きな出
力が得られていることが分かる。
【0052】
【表2】
【0053】(実施例3)実施例1と同様に図1の酸素
ポンプセルおよび図2の積層型NOxセンサを作製し
た。ただし、電極下地層は表3に示す各種安定化剤を1
0mol%加えたジルコニア固体電解質とし、これらの電
極下地層に0.7wt%のPtあるいは0.6wt%のPt
−Rh(5wt%)を添加した。作製されたNOxセンサ
サンプルのセンサ出力を実施例1と同様にして評価し
た。結果を表3に示す。これより、ジルコニア固体電解
質の安定化剤として、特にイットリア(Y23)、セリア
(CeO2)、マグネシア(MgO)、スカンジア(Sc
23)を用いると、酸素ポンピング能力あるいはNOxセ
ンサ出力の増大に大きな効果が得られることが分かる。
【0054】
【表3】
【0055】(実施例4)実施例1と同様に図5の構造
を有する積層型NOxセンサを作製した。但し、本実施
例では本発明の電極下地層9をガス処理電極15とジル
コニア固体電解質基板2との間にのみ形成した。電極下
地層はイットリア8mol%添加のジルコニアにPtを
0.6wt%添加した。また、比較のために貴金属をなに
も添加しないイットリア添加(8mol%−Y23)ジル
コニア固体電解質からなる電極下地層を形成したセンサ
サンプルも作製した。本センサでは自己加熱用ヒータ1
3により作動温度を600℃とし、参照電極7とNOx
検知電極5との間の電圧VNOxおよび参照電極7と酸素
検知電極6との間の電圧VO2から電子回路23による酸
素濃度補正を行ったV′NOxをセンサ出力とした。
【0056】尚、図5に示すごとく、ガス処理ポンプセ
ル(10,15)には外部電源26により0.5Vで一
定の電圧を印加した。このサンプルをガス感度測定装置
にセットし、NO100ppmガス(残部N2ガス)および
100ppmのNOと5000ppm−C36混合ガス(残部
2ガス)中でのセンサ出力を測定した。結果を表4に
示す。これより、ガス処理電極下の電極下地層に貴金属
を添加したほうが、測定ガス中のHCを酸化除去する能
力が高いことが分かる。
【0057】
【表4】
【0058】(実施例5)実施例1と同様に図1の酸素
ポンプセル及び図2の積層型NOxセンサを作製した。
ただし、電極下地層と第1の電極(変換電極)中にはそ
れぞれ表6に示す安定化剤を加えたジルコニア固体電解
質を添加した。また、電極下地層にはPtを一律0.7
wt%添加した。一方、第1の電極中に添加するジルコニ
ア量は一律10wt%とした。電極膜厚はほぼ10μmで
一定とした。得られた酸素ポンプセルサンプルと、その
酸素ポンプセルを変換ポンプセルとして組み込んだNO
xセンササンプルのポンピング能力、および高温加速劣
化の評価は実施例1と同様に行った。結果を表6に示
す。本結果と実施例3との比較から、第1の電極にジル
コニア固体電解質を添加することにより、酸素ポンプセ
ルのポンピング性能およびセンサ出力の改善に顕著な効
果が得られることが分かる。また、好ましくは電極下地
層と同種の安定化剤を含むジルコニア固体電解質を第1
の電極に添加すると最も効果が大きいことが分かる。
【0059】
【表5】
【0060】
【発明の効果】本発明の構成において、従来のイットリ
アを安定化剤として用いたジルコニア固体電解質基板上
に貴金属を添加したジルコニア固体電解質層を電極下地
層として形成し、その上に各種酸素ポンプ電極を積層す
ることによりポンピング能力、ガス変換能力に優れた電
気化学ポンプセルを得ることができる。また、本発明の
電気化学ポンプセルを組み込んだ窒素酸化物ガスセンサ
においては、従来に比して大幅なセンサ出力の増大およ
び検知精度の向上が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である電気化学的な酸素ポンプセ
ルの断面構造を示す図である。
【図2】本発明の一例である窒素酸化物ガスセンサの断
面構造を示す図である。
【図3】本発明の一例である窒素酸化物ガスセンサの断
面構造を示す図である。
【図4】本発明の一例である窒素酸化物ガスセンサの断
面構造を示す図である。
【図5】本発明の一例である窒素酸化物ガスセンサの断
面構造を示す図である。
【図6】本発明の一例である窒素酸化物ガスセンサの断
面構造を示す図である。
【符号の説明】
1 第1の固体電解質基板 2 第2の固体電解質基板 3 ガス導入口 4 ガス測定室 5 NOx検知電極 6 酸素検知電極 7 参照電極 8 第1の電極 9 電極下地層(貴金属添加ジルコニア固体電解質) 10 第2の電極 11 大気導入ダクト 12 大気基準ダクト 13 ヒーター 14 スペーサ 15 ガス処理電極 21 NOx検知極と参照極間の電位差を測定する手段
(電位差計) 22 酸素検知極と参照極間の電位差を測定する手段
(電位差計) 23 NOx出力を補正する手段 25,26 第1の電極と第2の電極間に電圧を印加す
る手段(外部電源)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/46 371G

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素イオン伝導性のジルコニア固体電解
    質基板と、当該固体電解質基板上に設置された少なくと
    も処理対象ガスおよび酸素に活性な第1の電極と、前記
    固体電解質基板上に設置された少なくとも酸素に活性な
    第2の電極とからなる電気化学ポンプセルであって、当
    該ポンプセルの少なくとも前記第1の電極と前記固体電
    解質基板との間に、貴金属が添加されたジルコニア固体
    電解質からなる電極下地層を設け、少なくともカソード
    極となる一方の電極を酸素あるいは酸素化合物ガスの存
    在する雰囲気下に曝しながら前記電極間に所定の電圧を
    印加するための手段を有し、前記第1の電極において処
    理対象ガスを酸化あるいは還元することを特徴とする酸
    素ポンプセル。
  2. 【請求項2】 酸素イオン伝導性を有する第1のジルコ
    ニア固体電解質基板と、同じく酸素イオン伝導性を有す
    る第2のジルコニア固体電解質基板を対向させ、スペー
    サにより前記固体電解質基板間に所定の距離を保ちなが
    ら固定することにより形成される内部空所からなるガス
    測定室と、当該ガス測定室に被検ガス雰囲気が所定のガ
    ス拡散抵抗を持って流入するように設けられたガス導入
    口と、酸素に活性な参照電極および前記ガス測定室内の
    雰囲気に曝される第1の固体電解質基板上に固定された
    NOxおよび酸素に活性なNOx検知電極とからなるNO
    x検知セルと、前記ガス測定室内の雰囲気に曝される第
    2の固体電解質基板上に固定された被検ガス中のNOを
    NO2に或いはNO2をNOに変換するためのNOxと酸
    素に活性な第1の電極としてのNOx変換電極と、前記
    第2の固体電解質基板上に酸素あるいは酸素化合物ガス
    が存在する雰囲気中に曝されるように固定された酸素に
    活性な第2の電極としてのNOx変換対極からなるNOx
    変換ポンプセルとからなり、少なくとも当該NOx変換
    ポンプセルのNOx変換電極と第2の固体電解質基板と
    の間に貴金属が添加されたジルコニア固体電解質からな
    る電極下地層を設けた構成であって、さらに前記NOx
    検知電極と参照電極との間の電位差を測定する手段と、
    前記NOx変換ポンプセルを駆動するための電圧印加手
    段を具備し、NOx変換ポンプセルに所定の電圧を印加
    しながら、NOx検知電極と参照電極との間の電位差を
    検出し、もってこの電位差を被検ガス中の窒素酸化物濃
    度の信号とする窒素酸化物ガスセンサ。
  3. 【請求項3】 前記の参照電極が少なくとも酸素に活性
    であり、かつ大気雰囲気に連通する大気基準ダクト内に
    設置されていることを特徴とする請求項2に記載の窒素
    酸化物ガスセンサ。
  4. 【請求項4】 前記の参照電極が酸素に活性でNOxに
    不活性であり、かつ前記ガス測定室内に設置されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の窒素酸化物ガスセン
    サ。
  5. 【請求項5】 前記ガス測定室内の第2のジルコニア固
    体電解質基板上に、NOxおよび酸素に活性を有するN
    Ox変換電極と、炭化水素ガスあるいは一酸化炭素ガ
    ス、および酸素に活性を有するガス処理電極とを固定
    し、当該NOx変換電極或いは/およびガス処理電極と
    前記固体電解質基板間に前記電極下地層を設け、ガス処
    理電極をアノード極として電圧を印加する手段を設けた
    ことを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の窒素
    酸化物ガスセンサ。
  6. 【請求項6】 酸素イオン伝導性を有する第1のジルコ
    ニア固体電解質基板と、同じく酸素イオン伝導性を有す
    る第2のジルコニア固体電解質基板を対向させ、スペー
    サにより前記固体電解質基板間に所定の距離を保ちなが
    ら固定することにより形成される内部空所からなるガス
    測定室と、当該ガス測定室と被検ガス雰囲気とが連通す
    るように設けられたガス導入口と、前記ガス測定室内の
    雰囲気に曝される前記第1の固体電解質基板上に固定さ
    れたNOxおよび酸素に活性を有する第1の電極と、前
    記ガス測定室外の第1の固体電解質上に固定された少な
    くとも酸素に活性を有する第2の電極と、大気雰囲気に
    曝される第1の固体電解質上に固定された少なくとも酸
    素に活性を有する参照電極とからなり、第1の電極と第
    2の固体電解質基板との間に貴金属が添加されたジルコ
    ニア固体電解質からなる電極下地層を設けた構成であっ
    て、さらに第1の電極と第2の電極間に所定の電流ある
    いは電圧を印加しながら、参照電極と第1の電極間の電
    位差あるいは当該電極間に流れる電流値を測定し、もっ
    て被検ガス中の窒素酸化物濃度を検知することを特徴と
    する窒素酸化物ガスセンサ。
  7. 【請求項7】 前記の電極下地層がイットリア(Y
    23)、マグネシア(MgO)、セリア(CeO2)、スカン
    ジア(Sc23)のうち、少なくとも一種が添加された酸
    素イオン伝導性のジルコニア固体電解質からなる請求項
    1に記載の酸素ポンプセルあるいは請求項2に記載の窒
    素酸化物ガスセンサ。
  8. 【請求項8】 前記電極下地層のジルコニア固体電解質
    に添加される貴金属がPt、Pd、Ir、Au、Ru、
    Rhのうち一つ以上からなることを特徴とする請求項1
    に記載の酸素ポンプセルあるいは請求項2に記載の窒素
    酸化物ガスセンサ。
  9. 【請求項9】 前記電極下地層のジルコニア固体電解質
    に添加される貴金属の量が電極下地層の総量に対して
    0.05〜5wt%であることを特徴とする請求項1に記
    載の酸素ポンプセルあるいは請求項2に記載の窒素酸化
    物ガスセンサ。
  10. 【請求項10】 前記の第1の電極がRh、Pt−Rh
    合金、Pt−Ru合金、Ir、Ir−Rh合金、Pd−
    Rh合金、Rh−Au合金、Ir−Au合金のうちの一
    種を主成分とし、窒素酸化物ガスのNOをNO2に酸化
    し、あるいはNO2をNOに還元することを特徴とする
    請求項1に記載の酸素ポンプセルあるいは請求項2に記
    載の窒素酸化物ガスセンサ。
  11. 【請求項11】 前記の第1の電極がPt、Pd、I
    r、Au、Rhのいずれか、あるいはこれらの合金によ
    り構成されており炭化水素ガスあるいはCOを酸化する
    ことを特徴とする請求項1に記載の酸素ポンプセルある
    いは請求項5に記載の窒素酸化物ガスセンサ。
  12. 【請求項12】 前記の第1の電極中に酸素イオン伝導
    性のジルコニア固体電解質を分散させたことを特徴とす
    る請求項10あるいは11に記載の窒素酸化物ガスセン
    サ。
  13. 【請求項13】 前記の第1の電極中にイットリア(Y2
    3)、マグネシア(MgO)、セリア(CeO2)、スカン
    ジア(Sc23)のうち、一種以上が添加された酸素イオ
    ン伝導性のジルコニア固体電解質を分散させたことを特
    徴とする請求項10乃至12に記載の窒素酸化物ガスセ
    ンサ。
  14. 【請求項14】 前記記載のイットリア添加ジルコニア
    固体電解質基板にAlが0.01〜1.0wt%分散添加
    されたことを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記
    載の酸素ポンプセルあるいは窒素酸化物ガスセンサ。
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JP2006090898A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 Riken Corp 窒素酸化物センサ

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