JP2002161456A - 織機の糸屑回収装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 織機の糸屑回収装置において、回収した糸屑
を圧縮して、回収部からの糸屑の除去回数を減らすと共
に、全ての糸屑を回収部から能率よく回収できるように
する。 【解決手段】 織機の糸屑回収装置１において、２つの
糸屑圧縮壁１１、１２で糸屑５の回収空間３を狭め、回
収空間３内の糸屑５を圧縮すると共に、糸屑圧縮壁１
１、１２の最接近時における回収空間３に糸屑流入口１
３を開口させる。糸屑５は、回収空間３に全て回収さ
れ、２つの糸屑圧縮壁１１、１２の間で圧縮される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、織機の糸屑回収装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】実公昭５１−１２５３７号公報の装置
は、織機の緯糸端等からなる糸屑を、吸気ファンによ
り、回収部の底から芯筒を通して上方に吹き上げて落下
させ、底に堆積させる。これにより回収部に糸屑が一杯
になるまで、回収部の側面の金網が目づまりしないよう
にし、回収糸屑の除去回数を少なくしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記の従来の技術によ
ると、糸屑が自重で堆積するのみであり、嵩張るので、
頻繁に糸屑を回収部から除去する必要がある。

【０００４】したがって、本発明の目的は、織機の糸屑
回収装置において、回収した糸屑を圧縮して、回収部か
らの糸屑の除去回数を減らすと共に、全ての糸屑を回収
部から能率よく回収できるようにすることである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、織機
の糸屑回収装置において、２つの糸屑圧縮壁で糸屑の回
収空間を狭め、回収空間内の糸屑を圧縮すると共に、糸
屑圧縮壁の最接近時における回収空間に糸屑流入口を開
口させている。この構造により、糸屑は、回収空間に全
て回収され、２つの糸屑圧縮壁の間で圧縮される。そし
て、糸屑流入口に糸屑阻止部材を設け、糸屑流入口が圧
縮状態の糸屑により塞がれるのを防止する。

【０００６】具体的に記載すると、本発明は、案内管か
ら回収空間を形成する回収部へ糸屑を流体と共に流入さ
せる織機の糸屑回収装置において、回収空間を挟んで互
いに接近可能な２つの糸屑圧縮壁を設けると共に、これ
らの糸屑圧縮壁の最接近時における回収空間に前記案内
管の糸屑流入口を開口させている。

【０００７】２つの糸屑圧縮壁による圧縮のため糸屑が
接近する糸屑流入口近傍の糸屑接近方向に、糸屑に対向
する糸屑阻止部材を設ける。２つの糸屑圧縮壁は、回収
空間のそれぞれ上面と下面とに接し、糸屑流入口は、前
記上面に開口する。

【０００８】そして、回収空間の上面に接する糸屑圧縮
壁が上下に移動可能とすると共に、少なくとも前記案内
管を通す開口部を有する蓋が回収部の上端部に着脱可能
に設けられ、回収部の側面の外周面を覆う。さらに、糸
屑流入口近傍の流体吹き出し前方に、糸屑流入口から離
間して糸屑分散部材が設けられる。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１および図２は、本発明の基本
的な織機の糸屑回収装置１を示す。織機の糸屑回収装置
１は、回収部４へ糸屑５と共に流入させ流体として空気
６を用いており、案内管２から回収空間３を形成する回
収部４へ糸屑５を空気６と共に流入させ、回収部４の排
気孔７から空気６のみを排出することにより、糸屑５を
回収空間３内に回収し、堆積させる。なお、流体とて
は、空気のほかに水を用いてもよい。

【００１０】ここで、回収部４は、例えば樹脂製四角筒
で、排気孔７付きのパネル８と四隅位置の支柱９とで形
成される４面の側壁、上下一対の糸屑圧縮壁１１、１２
により形成されている。上下の２つの糸屑圧縮壁１１、
１２は、回収空間３の上面、下面にそれぞれ接し、回収
空間３を挟んで互いに接近可能に設けられる。この例
で、上の糸屑圧縮壁１１は、回収部４の内部つまり回収
空間３で上から下へと移動可能であり、下の糸屑圧縮壁
１２は、回収空間３の底つまり四角筒のパネル８の底に
固定されている。

【００１１】そして、案内管２は、上方から下方に向け
て上下動自在に設けられ、上の糸屑圧縮壁１１に接続さ
れ、その糸屑流入口１３により回収空間３の上面に開口
している。案内管２の糸屑流入口１３は、上下の糸屑圧
縮璧１１、１２の最接近時にも、狭い回収空間３に開口
する。

【００１２】なお、回収部４において、四角筒のパネル
８と四隅位置の支柱９とは、接合され、それらの上端面
に着脱可能にはめ込まれた額縁状の蓋１４により、補強
されている。このように、蓋１４は、回収部４の回収空
間３の上端部に設けられて、側面の外周面を覆う。蓋１
４の開口部１５は、案内管２を通すほか、一対の糸屑圧
縮壁１１、１２により回収空間３内の糸屑５を圧縮する
時、作業者の手の進入を許す。なお、上の糸屑圧縮壁１
１は、左右の永久磁石１０の磁力により蓋１４の下面に
着脱自在に固定されている。

【００１３】さらに、案内管２の糸屑流入口１３は、必
要に応じ、糸屑５の接近方向側で、糸屑阻止部材１６お
よび糸屑分散部材１７に対向している。この例で、糸屑
阻止部材１６および糸屑分散部材１７は、逆Ｖ字形で、
両部材を兼ねる１つの部材により構成され、２本のポー
ル１８により糸屑流入口１３から離間して、上の糸屑圧
縮壁１１に取り付けられる。

【００１４】織機の稼働中に、切断緯糸端などの糸屑５
は、エジェクタ２２により空気６と共に、案内管２を経
て糸屑流入口１３から、回収部４の内部に流入する。な
お、エジェクタ２２は、圧力空気源１９に接続された圧
力空気源管２０と切断緯糸端などの糸屑吸引管２１に連
なる。糸屑流入口１３の位置で、空気６は、糸屑分散部
材１７により左右に分けられ、パネル８の排気孔７から
外部に排出されるが、糸屑５は、排気孔７を通り抜けな
いため、下の糸屑圧縮壁１２の上面に均一に堆積する。

【００１５】作業者は、適当な時期に、蓋１４の開口部
１５から手で、上の糸屑圧縮壁１１を押し下げることに
より、図２のように、下面の糸屑圧縮壁１２の上に堆積
している糸屑５を圧縮し、減容する。このとき、糸屑流
入口１３で空気６の吹き出し前方に空間が形成され、か
つ維持されるため、糸屑流入口１３は、圧縮状態の糸屑
５により塞がれない。

【００１６】糸屑阻止部材１６の下の糸屑５は、強く圧
縮されるが、それ以外の糸屑５は、緩和された状態で圧
縮されるため、糸屑５を引き続き回収するために、通気
性を確保している。従って、稼働中に糸屑５の圧縮作業
を行っても、側面の排気孔７からの空気６の排出は、妨
げられず、糸屑５の吸引が妨げられることによる織物品
質の低下は生じない。また、糸屑流入口１３は、圧縮中
も回収空間３に開口しているため、糸屑５が回収空間３
の外部に漏れないことからも、織機の稼働中も作業を行
うことができる。

【００１７】糸屑５の圧縮作業後、上の糸屑圧縮壁１１
は、永久磁石１０により蓋１４の下面に固定される。こ
こで、作業者は、圧縮状態の糸眉５を除去するために、
蓋１４と一緒に上の糸屑圧縮壁１１を取り外し、回収部
４の内部から圧縮状態の糸眉５を取り出し、除去する。
このとき、糸屑５が外部にほとんど漏れないので、糸眉
５の除去は、織機を停止させなくてもできる。

【００１８】ちなみに、排気孔７付きのパネル８の材料
として、静電防止剤入りの樹脂、または導電性の樹脂を
用い、パネル８をアースすれば、糸屑５の帯電が防止で
き、糸屑５が嵩高に堆積するのを防止すると共に、作業
者を静電気のショックから守ることができる。

【００１９】移動側の糸屑圧縮壁１１は、直線運動アク
チュエータにより駆動することもできる。この場合、エ
アシリンダやリニヤモータ等の直線運動アクチュエータ
は、その先端で、糸屑圧縮壁１１に取り付けられる。蓋
１４と上の糸屑圧縮壁１１との間にアクチュエータとし
て蛇腹状のエアバッグを取り付けてもよい。これらの駆
動方式では、センサーで糸屑５の堆積高さを監視し、一
定量に達した時に、一定時間毎に、または織機（主軸）
が一定の累積回転数毎（一定の繊物長毎）に作動する等
の作動タイミングの設定ができる。

【００２０】図３の織機の糸屑回収装置１は、下の糸屑
圧縮壁１２をエアシリンダやリニヤモータ等の直線運動
アクチュエータ２３により、上方に移動させ、糸屑５を
上の固定側の糸屑圧縮壁１１に押し当てて圧縮する例で
ある。このため、エアシリンダによる直線運動アクチュ
エータ２３は、切り換え弁２４を介して、圧力空気源２
８により駆動される。切り換え弁２４は、カウンタ２７
により操作され、カウンタ２７は、織機の主軸２５に連
結されたエンコーダ２６の出力信号を計数し、織機の主
軸２５の一定の累積回転数毎（一定の織物長毎）に切り
換え弁２４を作動させ、糸屑５を圧縮する。

【００２１】図４の織機の糸屑回収装置１は、図３の織
機の糸屑回収装置１で、糸屑流入口１３を回収部４の側
面上部に設ける例である。この例で、糸屑阻止部材１６
は、糸屑流入口１３の近傍でその下方の位置に、２本の
支柱９の間に掛け渡した状態として固定される。

【００２２】図５の織機の糸屑回収装置１は、上下の糸
屑圧縮壁１１、１２をパンタグラフ状のリンク機構２９
により連結し、上下の糸屑圧縮壁１１、１２の間に樹脂
製網材からなり変形可能な袋状の回収部４を配置した例
である。パンタグラフ状のリンク機構２９は、８本のリ
ンク３０、４本のシャフト３１、４本のピン３２により
構成され、引きスプリング３３、ロッド３４およびピン
３５により上の糸屑圧縮壁１１を押し上げる方向に付勢
している。ここで、案内管２は、袋状の回収部４の内部
に入り込んでいる。なお、上の糸屑圧縮壁１１は、回収
空間３の上面を形成する。

【００２３】図６の織機の糸屑回収装置１は、上下の糸
屑圧縮壁１１、１２を４本のガイドシヤフト３６により
連結し、上下の糸屑圧縮壁１１、１２の間に樹脂製網材
からなり、変形可能な袋状の回収部４を配置した例であ
る。４本のガイドシヤフト３６は、圧縮スプリング３７
を備え、これらの圧縮スプリング３７は、上の糸屑圧縮
壁１１を押し上げる方向に付勢している。変形可能な袋
状の回収部４の開口部は、案内管２に固定されている取
り付け用のホルダ３８の内部に挿入され、糸屑圧縮壁１
１の上面で固定具３９により取り付けられている。案内
管２は、袋状の回収部４の内部に入り込んでいる。な
お、上の糸屑圧縮壁１１は、回収空間３の上面を形成せ
ず、圧縮時に、変形可能な袋状の回収部４の上部に接す
る。

【００２４】図７の織機の糸屑回収装置１は、回収部４
の対向する側面で一対の糸屑圧縮壁１１、１２を形成
し、回収部４の上部に排気室４０を形成する例である。
なお、回収部４の対向する他の側面は、糸屑圧縮壁１２
と一体の部材により塞がれている。移動可能な糸屑圧縮
壁１１は、直線運動アクチュエータ４１により進退自在
であり、案内管２は、糸屑圧縮壁１１に接続され、その
糸屑流入口１３により回収空間３の内部に開口してい
る。ここでも、糸屑流入口１３は、糸屑阻止部材１６お
よび糸屑分散部材１７に対向している。また、回収空間
３の上面は、排気孔パネル４２によって、排気ボックス
４３により形成された排気室４０に通じている。排気室
４０の内部の空気６は、吸気管４４を介してブロア４５
により吸引される。

【００２５】

【発明の効果】請求項１によると、糸屑は、糸屑流入孔
から回収部の回収空間に流入し、適当な時期に、一対の
糸屑圧縮壁の接近により圧縮されるため、糸屑流入孔
は、圧縮時を含めて常時、回収空間に開口しているの
で、すべての糸屑を圧縮した状態で回収し、除去するこ
とが可能となる。

【００２６】請求項２によると、糸屑阻止部材により、
圧縮時においても糸屑流入口前方に空間が維持され、糸
屑流入口が糸屑により塞がれるのが防止でき、糸屑流入
口近傍での糸屑の圧縮が緩和される。そのため、織機の
稼働中に糸屑の圧縮作業を行っても、案内管からの空気
の流入が妨げられない。これよって、糸屑の吸引が十分
行えなかったり、織物の緯糸端の吸引が十分に行われな
いことによる織物品質が損なわれるのを防止できる。

【００２７】請求項３によると、糸屑流入口が上面に開
口するから、自重で堆積する糸屑により糸屑流入口が塞
がれるのに長時間を要し、圧縮作業の時間的な間隔を長
くすることができる。また、糸屑圧縮壁は、上面と下面
にそれぞれ接する。このために、糸屑圧縮壁が糸屑の圧
縮前に復帰した時、圧縮状態の糸屑は、自重による落
下、または圧縮による移動により、下面に堆積し、その
上に新たな糸屑が堆積するので、均一に堆積させること
が可能となる。

【００２８】請求項４によると、蓋が外周面にはまり込
んで、回収部の上端部を補強するので、糸屑を圧縮する
にもかかわらず、回収部の側面どうしの強固な接合を必
要とせず、製作コストの低減が可能となる。しかも、回
収部から蓋を取り外せば、案内管と共に糸屑圧縮壁を取
り外すことができ、回収部の糸屑を容易に取り出すこと
ができる。

【００２９】請求項５によると、糸屑が流体と共に分散
されて、回収部の底にほば均等に堆積するので、より薄
く均一に圧縮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の織機の糸屑回収装置で、糸屑の非圧縮
時の断面図である。

【図２】本発明の織機の糸屑回収装置で、糸屑の圧縮時
の断面図である。

【図３】本発明の織機の糸屑回収装置で、糸屑の非圧縮
時の断面図である。

【図４】本発明の織機の糸屑回収装置で、糸屑の圧縮時
の断面図である。

【図５】本発明の織機の糸屑回収装置で、糸屑の非圧縮
時の断面図である。

【図６】本発明の織機の糸屑回収装置で、糸屑の非圧縮
時の断面図である。

【図７】本発明の織機の糸屑回収装置で、糸屑の非圧縮
時の断面図である。

【符号の説明】

１ 織機の糸屑回収装置 ２ 案内管 ３ 回収空間 ４ 回収部 ５ 糸屑 ６ 空気 ７ 排気孔 ８ パネル ９ 支柱 １０ 永久磁石 １１ 糸屑圧縮壁 １２ 糸屑圧縮壁 １３ 糸屑流入口 １４ 蓋 １５ 開口部 １６ 糸屑阻止部材 １７ 糸屑分散部材 １８ ポール １９ 圧力空気源 ２０ 圧力空気源管 ２１ 糸屑吸引管 ２２ エジエクタ ２３ 直線運動アクチュエータ ２４ 切り換え弁 ２５ 織機の主軸 ２６ エンコーダ ２７ カウンタ ２８ 圧力空気源 ２９ リンク機構 ３０ リンク ３１ シャフト ３２ ピン ３３ 引きスプリング ３４ ロッド ３５ ピン ３６ ガイドシャフト ３７ 圧縮スプリング ３８ ホルダ ３９ 固定具 ４０ 排気室 ４１ 直線運動アクチュエータ ４２ 排気孔パネル ４３ 排気ボックス ４４ 吸気管 ４５ ブロア

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 案内管から回収空間を形成する回収部へ
   糸屑を流体とともに流入させる織機の糸屑回収装置にお
   いて、回収空間を挟んで互いに接近可能な２つの糸屑圧
   縮壁を設けるとともに、これらの糸屑圧縮壁の最接近時
   における回収空間に前記案内管の糸屑流入口を開口させ
   ることを特徴とする織機の糸屑回収装置。
2. 【請求項２】 糸屑圧縮壁による圧縮のため糸屑が接近
   する糸屑流入口近傍の糸屑接近方向に、糸屑に対向する
   糸屑阻止部材を設けることを特徴とする請求項１記載の
   織機の糸屑回収装置。
3. 【請求項３】 ２つの糸屑圧縮壁は、回収空間のそれぞ
   れ上面と下面とに接し、糸屑流入口は、前記上面に開口
   することを特徴とする請求項１または請求項２記載の織
   機の糸屑回収装置。
4. 【請求項４】 回収空間の上面に接する糸屑圧縮壁が上
   下に移動可能とすると共に、少なくとも前記案内管を通
   す開口部を有する蓋が回収部の上端部に着脱可能に設け
   られ、回収部の側面の外周面を覆うことを特徴とする請
   求項３記載の織機の糸屑回収装置。
5. 【請求項５】 糸屑流入口近傍の流体吹き出し前方に、
   糸屑流入口から離間して糸屑分散部材を設けることを特
   徴とする請求項１、請求項２、請求項３、または請求項
   ４記載の織機の糸屑回収装置。