JP2002161431A - 水溶性ポリビニルアルコール系繊維 - Google Patents

水溶性ポリビニルアルコール系繊維

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JP2002161431A
JP2002161431A JP2000362010A JP2000362010A JP2002161431A JP 2002161431 A JP2002161431 A JP 2002161431A JP 2000362010 A JP2000362010 A JP 2000362010A JP 2000362010 A JP2000362010 A JP 2000362010A JP 2002161431 A JP2002161431 A JP 2002161431A
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潤也 井出
Takashi Mizushiro
俊 水城
Shoichi Nishiyama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 染色工程や抄紙工程等を効率的に通過させる
ことが可能であり、かつ温水に対して優れた水溶性を有
する水溶性PVA系繊維を提供することにあり、さらに
該PVA系繊維を用いてなる繊維構造体を提供するもの
である。 【解決手段】 水中溶解温度が90〜100℃の水溶性
ポリビニルアルコール系繊維であって、水中最大収縮率
が10%以下、水中溶解温度水に対する溶出率が90質
量%以上であり、かつ80℃水に対する溶出率が10質
量%以下であることを特徴とする水溶性ポリビニルアル
コール系繊維とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、80℃水に対する
耐水性を有するとともに、90℃以上の温水への溶解性
に優れた水溶性ポリビニルアルコール(PVA)系繊
維、および該繊維を用いてなる繊維集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水溶性繊維としては、PVA系繊
維、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系繊
維、ポリアルギン酸系繊維、ポリ乳酸系繊維、ポリアル
キレンオキサイド系繊維などが知られており、各々の用
途で用いられている。なかでも、PVA系繊維が引張強
度に優れていることから最も多く使用されている。PV
A系の水溶性繊維としては、例えば特公昭43―899
2号公報、特開平3―199408号公報、特開昭62
―28408号公報、特開昭53―45424号公報、
特開平1―229805号公報などに提案されている。
【0003】しかしながら、従来のPVA系繊維は水温
を上げていくにともなって吸水膨潤し、次いで温度の上
昇にともなってしだいに溶解していくものであったた
め、水中溶解温度よりも10℃程度も低い水に対しても
多量に溶出し、溶解除去を目的としない処理を施した場
合にも溶出が生じて耐水性が不十分になる問題があっ
た。また溶解にともなって大きく収縮してゲル状になる
ため、完全溶解せずに残査が残りやすい問題があった。
以上の理由から、該繊維を抄紙用バインダーに用いる
と、スラリーの温度を高めてバインダー効果を発現させ
る前に多量の繊維が溶出し、繊維の溶出にともなう溶解
ロスやトラブルが生じていた。さらにPVA系水溶性繊
維は溶解時の収縮率が大きいことから(たとえば30%
程度以上)、得られる紙の形態が変化しやすくなる。特
に該水溶性繊維を用いた刺繍基布(ケミカルレース用基
布等)においては、水解時にPVA系繊維が収縮して基
布が変形するため、微細な柄などが形成された高級刺繍
基布に用いることが困難であった。水溶性PVA系繊維
の耐水性を高めれば繊維の収縮・溶解ロスを抑制するこ
とができるが、反面、バインダー能が低下したり、また
高温で溶解処理を行う必要が生じるために効率性が損わ
れる。
【0004】また従来、水溶性PVA系繊維と羊毛や麻
等の他の繊維を混紡・混撚し、得られた繊維構造体から
PVA系繊維を溶解除去することにより、軽量性、保温
性及び風合を改善したタオルやセーターを得る方法が広
く行われている。かかる繊維構造体は衣料用などのあら
ゆる分野に適用されていることから、用途によっては繊
維構造体を着色することが求められる。これまでは、上
記水溶性繊維を溶脱(溶解除去)後または溶脱工程と同
時に染色する方法(以後、後染め法と称する場合があ
る)が広く採用されていた。しかしながら、該方法で
は、単色でしか染色できず多色に染色された製品を製造
することはできなかった。また水溶性PVA系繊維を除
去した後に染色を行っているため、水溶性PVA系繊維
が除去されて形成された空隙が、後の染色工程で減じた
り消失してしまうため、得られる製品の軽量性、保温
性、風合などを十分に改善できない問題があった。
【0005】けれども、該繊維を溶解除去(溶脱)させ
る前に染色処理(以下、先染め法と称する場合がある)
を施すと、染色工程で水溶性繊維が収縮して形態が変形
したり、また該染色工程で繊維の一部又は全部が溶解し
てしまう問題があった。染色工程では外圧が加わり、ま
た水溶性PVA系繊維そのものが収縮して繊維密度が高
くなるため、染色工程で繊維の一部又は全部が溶解して
も、結局、繊維間の空隙はつぶれたり一部消失してしま
う。よって、染色工程後に水溶性繊維の除去工程を導入
しても繊維間空隙が十分に形成されず、空隙の存在によ
り奏されるソフト感、軽量感、バルキー性、あったか
感、ストレッチ性などの風合改善効果が不十分になる。
また水溶性繊維が溶解しない温度領域で染色やヒートセ
ット処理などを施そうとすると、高温にならない特殊な
染色方法や加工方法を採用する必要が生じて大きな制約
が加わる。水溶性PVA系繊維の耐水性を高めて染色工
程や後工程での収縮・溶解を抑制することは可能である
が、この場合、たとえば沸騰水で長時間処理しなければ
水溶性PVA系繊維を除去できなくなるため、併用して
いる繊維の性能が劣化したり色抜けなどが生じてしま
う。またアルカリ処理などにより溶解可能な繊維を用い
た場合には排水処理に多大な労力と手間がかかり、また
環境問題も生じ易くなる。
【0006】なお、特開平7−90714号公報では、
乾燥原糸に収縮処理を施すことにより低収縮繊維を得る
方法が開示されているが、該方法では工程安定性の点で
問題があると同時に、得られる繊維は繊度斑が大きくな
る。また該公報には種々の水中溶解温度を有しかつ溶解
時の水中最大収縮率の小さいPVA系繊維が開示されて
いるものの、抄紙工程や染色工程等において耐水性を奏
する水溶性繊維については検討されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、染色
工程や抄紙工程等を効率的に通過させることが可能であ
り、かつ高温水に対して優れた水溶性を有する水溶性P
VA系繊維を提供することにあり、さらに該PVA系繊
維を用いてなる繊維集合体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) 水中
溶解温度が90〜100℃の水溶性ポリビニルアルコー
ル系繊維であって、水中最大収縮率が10%以下、水中
溶解温度水に対する溶出率が90質量%以上であり、か
つ80℃水に対する溶出率が10質量%以下であること
を特徴とする水溶性ポリビニルアルコール系繊維、
(2) (1)に記載の水溶性ポリビニルアルコール系
繊維を含む繊維集合体、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、染色工程や抄紙工程な
どの加工工程に効率的に供することができ、かつ水溶性
に優れたPVA系繊維として、特定のPVA系繊維を見
出したものである。まず、本発明のPVA系繊維の水中
溶解温度は90〜100℃である必要がある。PVA系
繊維の水中溶解温度が低すぎると染色工程(反応染料に
よる染色工程など)やその後のスチームセット・サイジ
ング工程、さらに抄紙工程等で溶出したり、また染色条
件などを制限する必要が生じる。また保管時などに膠着
したりべたついたりするため保管条件など厳密にコント
ロールする必要が生じる。一方、繊維の水中溶解温度が
高すぎると繊維を溶出・廃棄させる際のコストや効率性
が低下し、またPVA系繊維を溶解除去する際に併用し
た他の繊維の性能が損われたり色抜けなどが発生する。
特に併用する繊維が天然繊維である場合には、繊維性能
・風合の劣化が顕著となる。なお、本発明にいう水中溶
解温度(T℃)とは、試長10cmの繊維に2mg/d
texの荷重を吊り下げ、0℃の水に浸漬し、水を2℃
/分の昇温速度で昇温したときに、荷重が落下し、繊維
が溶断する温度をいう。
【0010】さらに本発明においては、水溶解する際に
示す最大収縮率(水中最大収縮率)を10%以下、好ま
しくは5%以下、さらに好ましくは0〜3%とする必要
がある。水溶性PVA系繊維の水中最大収縮率が大きす
ぎると、抄紙工程などで水溶性PVA系繊維が収縮して
紙等の形態が不均質になったり風合が損われる。また難
水溶解性繊維と併用して繊維集合体を形成し、次いで水
溶性PVA系繊維を溶解除去することにより嵩高な繊維
構造体(布帛、紡績糸等)を製造する場合、水溶性PV
A系繊維が収縮して繊維構造体の形態安定性が損われる
だけでなく、繊維が収縮してゲル状物となるため完全溶
解しにくくなって溶解残査が残りやすくなる。このた
め、繊維構造体の風合が損われやすくなる。従来高倍率
で延伸配向した繊維では、溶解前に配向分子が緩和され
て無配向となるため、水中最大収縮率は70%にも達す
る場合もあり、水溶性が悪化することとなるが、後述す
るように繊維製造工程で配向と緩和をうまく組み合わせ
ることにより、溶解時の配向緩和を抑制し水中最大収縮
率を低減することができる。
【0011】さらに該水溶性PVA系繊維は、水中溶解
温度水(繊維の水中溶解温度と同温度の水)に対する溶
出率が90質量%以上、80℃水に対する溶出率が10
質量%以下である必要がある。水中溶解温度水に対して
優れた溶解性を有し、かつ80℃水に対して高い耐水性
を奏することによってはじめて、染色工程や抄紙工程等
の種々の工程に効率的に供することが可能となり、しか
も抄紙工程などで優れたバインダー能を奏したり、コス
ト的にも有利でかつ多くの繊維が繊維性能を損わない温
水で処理することにより実質的に完全に溶解除去でき
る。よって、抄紙用のバインダー繊維や刺繍基布用繊
維、さらに該水溶性PVA系繊維を溶解除去することを
前提とした他の繊維と併用してなる繊維集合体用の繊維
として好適なものとなる。水中溶解温度水に対する溶出
率は95質量%以上、特に98〜100質量%、80℃
水に対する溶出率は5質量%以下、特に0〜3質量%で
あるのがより好ましい。
【0012】本発明の繊維の強度は4cN/dtex以
上、特に6cN/dtex以上であるのが好ましい。繊
維強度が高い場合、編織工程などで高速生産可能であ
り、また幅広い用途に適用可能である。なお本発明でい
う引張り強度は、繊維を20℃×RH65%で調湿後、
JIS L 1015号に準じて引張り試験を行い、乾
強度を測定し、cN/dtexで表示したものである。
【0013】本発明の繊維を得る方法は特に限定されな
いが、以下の方法を採用することにより効率的に製造す
ることができる。本発明の繊維を構成するビニルアルコ
ール系ポリマーは、ケン化度99〜100%、特に9
9.5モル%以上であるのが好ましい。ケン化度が小さ
すぎると、繊維間膠着が生じ易くなるとともに、得られ
る繊維の結晶性が低くなるため水中溶解温度が90℃未
満となったり、水中最大収縮率が大きくなる。またケン
化度の低いビニルアルコール系ポリマーを用いても繊維
の製造方法などによっては水中溶解温度の比較的高い繊
維は得られるが、水中溶解温度よりも低温(たとえば1
0℃以上の低温)の水に対しても溶出率が大きくなり、
本発明のように80℃水に対して優れた耐水性を有する
繊維を得ることが困難となる。
【0014】ビニルアルコール系ポリマーの平均重合度
は、水溶解性を確保し、かつ水中最大収縮率を低減する
点から、3000以下、特に2000以下とするのが好
ましい。しかしながら、水中溶解温度が低くなりすぎる
と繊維の機械的性能及び耐水性が不十分になることか
ら、平均重合度500以上、特に1000以上であるの
が好ましい。
【0015】本発明に用いられるビニルアルコール系ポ
リマーとして、ビニルアルコールユニットと酢酸ビニル
ユニット以外のユニットを含有する、いわゆる変性PV
A系ポリマーを使用してもかまわない。変性ユニットと
しては、エチレン、アリルアルコール、イタコン酸、ア
クリル酸、無水マレイン酸とその開環物、アリールスル
ホン酸、ピバリン酸ビニルの如く炭素数が4以上の脂肪
酸のビニルエステル、ビニルピロリドン、および上記イ
オン性基の一部または全量を中和した化合物などが例示
できる。変性ユニットの導入法は共重合による方法で
も、後反応による導入方法でもよい。また変性ユニット
のポリマー鎖内での分布はランダムでもブロックでもグ
ラフトでも特に限定はない。変性率が大きくなりすぎる
と結晶性の低下が過度となり、高湿度下での寸法安定性
が得られない場合があるので、変性率5%以下とするの
がより好ましい。PVA系繊維としては、ビニルアルコ
ール系ポリマーを含む繊維が用いられ、場合によっては
他の成分とのブレンド繊維、複合紡糸繊維、海島構造繊
維などであってもかまわない。しかしながら、上記効果
を効率的に得る点からは、PVA系繊維の60質量%以
上、特に80〜100質量%がビニルアルコール系ポリ
マーであるのが好ましい。
【0016】上記PVA系ポリマーを溶解して紡糸原液
を調製する。本発明に用いる原液溶媒としては、該ポリ
マーに対して溶解能のある有機溶媒を用いるのが好まし
く、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピ
ロリドンなどの極性溶媒やグリセリン、エチレングリコ
ールなどの多価アルコール類とこれら溶媒同士、あるい
はこれら溶媒と水との混合物などが例示される。とりわ
けDMSOが低温溶解性、低毒性、低腐食性などの点で
最も好ましい。PVAを水に溶解し、芒硝等の無機塩水
溶液に湿式紡糸して得られる通常の方法によりPVA系
繊維を製造してもかまわないが、水中溶解性が高く水中
最大収縮率の小さいPVA系繊維を得ることは難しく、
また機械的性能に優れた繊維が得られにくい。さらに、
該方法により得られる繊維は、横断面形状がまゆ型など
の複雑な形状となり、繊維の結晶構造などが不均一とな
るため、収縮挙動などもランダムとなる。
【0017】本発明において、酢酸ビニルユニットを多
く有する低鹸化度PVA系ポリマーを用いる場合、紡糸
原液のアルカリ性または酸性が強いと、溶解脱泡放置中
に鹸化反応が起こり、水中溶解温度が100℃を越える
温度まで上がる可能性があるので、苛性ソーダなどの強
アルカリ性物質や硫酸などの強酸性物質を限度を越えて
添加することは避けねばならないが、DMSO液中や酢
酸ソーダの添加などによる弱アルカリ性下や同じく弱酸
性下ではケン化反応は起こらない。したがって、原液が
弱アルカリ性〜弱酸性の範囲内に維持されるならば、原
液にアルカリ性物質や酸性物質を添加しても構わない。
またカルボン酸やスルホン酸などのイオン性基を有する
ポリマーを用いる場合には、水素イオンと中和するため
の苛性ソーダを添加することにより紡糸原液の酸度を調
整してもよい。
【0018】紡糸原液中のPVA濃度は組成、重合度、
溶媒によって異なるが、10〜30質量%、特に15〜
25質量%とするのが好ましい。溶解は窒素置換後減圧
下で撹拌しながら行うのが、酸化、分解、架橋反応等の
防止及び発泡抑制の点で好ましい。紡糸原液の吐出時の
液温としては40〜170℃の範囲でかつ原液がゲル化
しない範囲が好ましい。
【0019】得られた紡糸原液を、該ポリマーに対して
固化能を有する有機溶媒、すなわち固化溶媒を主体とす
る固化浴に湿式あるいは乾湿式紡糸する。本発明で言う
固化とは、流動性のある紡糸原液が流動性のない固体に
変化することを言い、原液組成が変化せずに固化するゲ
ル化と原液組成が変化して固化する凝固の両方を包含す
る。本発明において使用する固化能を有する固化溶媒と
しては、PVA水溶液を紡糸原液としている場合には、
たとえば飽和芒硝水溶液を固化液として吐出すればよ
く、有機溶媒を用いてなる紡糸原液を用いている場合に
は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチ
ル、酢酸エチルなどの脂肪酸エステル類、ベンゼン、ト
ルエンなどの芳香族類やこれらの2種以上の混合物が例
示される。また原液溶媒をこれら固化溶媒に混合して固
化浴とすることも可能である。しかしながら、固化速度
の点から、さらに糸断面斑を防ぐ上から、固化浴には、
50重量%以上の固化溶媒が含まれていることが好まし
く、固化溶媒/原液溶媒の混合重量比は95/5〜50
/50が好ましい。90/10〜60/40であると更
に好ましく、85/15〜55/45であると最も好ま
しい。固化浴に原液溶媒を混合することにより、固化能
を調整すると共に、原液溶媒と固化溶媒の分離回収コス
ト低下をはかることができる。固化溶媒としては、メタ
ノールが、固化性の点で優れており、したがって固化溶
媒と原液溶媒の混合液を固化浴として用いる場合には、
メタノールとDMSOとの混合液が好ましいこととな
る。
【0020】固化浴の温度は−20〜+20℃の間で行
う。均質固化および省エネルギーの点から固化浴温度は
−10〜+15℃が好ましく、−5〜+10℃であると
更に好ましく、0〜+5℃であると最も好ましい。固化
浴の温度がこの温度範囲より高くても、またこの温度範
囲より低くても、得られる繊維の本発明で規定する性能
が低下する。上記したように紡糸原液はかなり高温に加
熱されており、そのような紡糸原液を固化浴に導入する
と、固化浴温度は通常30℃を上回る温度となる。した
がって固化浴温度を20℃以下に保つためには、固化浴
を冷却することが必要である。
【0021】また本発明の紡糸方法としては、湿式紡糸
方法と乾湿式紡糸方法のいずれでもよく、各紡糸方法に
適した紡糸条件を設定すればよい。しかしながら多ホー
ルから紡糸原液を吐出する場合には、吐出時の繊維同士
の膠着を防ぐためには、乾湿式紡糸方法よりも湿式紡糸
方法の方が好ましい。なお、湿式紡糸方法とは、紡糸口
金から直接に固化浴に紡糸原液を吐出する方法のことで
あり、一方乾湿式紡糸方法とは、紡糸口金から一旦、空
気や不活性ガス中に紡糸原液を吐出し、それから固化浴
に導入する方法のことである。
【0022】ついで、得られた糸篠を、固化溶媒又はそ
れと原液溶媒の混合液からなる湿延伸浴中で2〜8倍、
好ましくは3〜6倍湿延伸する。糸篠の膠着抑制のた
め、毛羽の出ない範囲で湿延伸倍率を大きくするのが好
ましい。さらに水中最大収縮率の小さい水溶性PVA系
繊維を得るためには、後の乾熱延伸における延伸倍率を
小さくするとともに湿熱延伸工程でできるだけ高倍率延
伸を施しておくのが適度な耐水性及び機械的性能を確保
する点から好ましい。湿延伸倍率が2倍未満では繊維同
士が膠着し易く、延伸倍率が大きすぎると毛羽が出易く
なる。また湿延伸倍率を大きくするためには、湿延伸浴
の温度を沸点近くまで昇温することが有効である。また
湿延伸を2段以上の多段に分けて行うことも有効であ
る。なお、湿延伸浴に用いる液としては、上記した固化
浴溶媒と同様のものが挙げられる。
【0023】固化糸篠にDMSOなどの乾燥により除去
することが困難な溶剤が含まれる場合は、メタノールな
どでこれを抽出した後に乾燥する。この抽出処理は、純
粋な固化溶媒を糸篠の走行方向とは向流方向で連続的に
流すことに抽出浴での滞留時間を短縮することができ
る。この抽出処理により、糸篠中に含まれている紡糸原
液溶媒の量を糸篠重量の1%以下、好ましくは0.1%
以下にする。接触させる時間としては5秒以上、特に1
5秒以上が好ましい。抽出速度を高め、抽出を向上させ
るためには、抽出浴溶媒の温度を沸点近くまで昇温する
のが好ましい。本発明のように、繊維間膠着を生じ易い
ポリマーからなる繊維の場合には、最終抽出浴(置換
浴)にアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトンのようなケトン類とメタノールを混合重量比8
0/20〜20/80の割合にした混合浴に通すこと
で、固化はさらに強固となり、乾燥時に生じ易い繊維間
膠着を防止することができる。
【0024】抽出後の糸篠を215℃以下、好ましくは
200℃以下、さらに好ましくは180℃以下、特に好
ましくは150〜170℃の気体浴中で乾燥する。乾燥
温度が高すぎると水中溶解温度が高くなって水溶性が損
われやすくなる。このようにして得た乾燥原糸に乾熱延
伸を施す。ここで水中溶解温度が低く、かつ水中最大収
縮率の低い繊維を得る点からは、乾熱延伸温度を低くか
つ乾熱延伸倍率を小さくするのが好ましい。たとえば、
通常は乾熱延伸温度200℃以上で3倍以上の乾熱延伸
を行うが、本発明においては乾熱延伸温度を170〜2
00℃で乾熱延伸倍率を1.5〜2.8倍(全延伸倍率
6〜9倍)とするのが好ましい。このように乾熱延伸工
程条件をごくわずかに変えるだけで、従来の繊維とはそ
の性能が大きく変わり、種々の用途に好適な水溶性PV
A系繊維が得られる。
【0025】次いで延伸糸篠に150〜220℃、好ま
しくは170〜200℃の温度下で3%未満、好ましく
は2%以下の乾熱収縮処理を施すのが好ましい。かかる
乾熱収縮処理を施すことにより、水中最大収縮を一層小
さくすることができる。しかしながら、乾熱収縮処理が
大きすぎると生産速度が低下し、さらに篠のたるみによ
る収縮炉への接触が生じて繊維性能が低下することとな
る。
【0026】本発明の繊維は、80℃水に対しては優れ
た耐水性を奏すると共に、90℃以上の温水に対して優
れた水溶性を奏することから、あらゆる形態であらゆる
分野に適用できる。たとえばフィラメント、カットファ
イバー、紡績糸、布帛(不織布、織編物)などあらゆる
形態で使用でき、他の繊維や他の素材と併用して繊維構
造体となすことも可能である。また産業用分野、衣料用
分野、医療用分野、生活資材分野、農業用分野などのあ
らゆる分野に適用可能である。特に前述の理由から抄紙
用のバインダー繊維や刺繍基布用繊維などに好適に使用
でき、なかでも、難水溶性繊維及び水溶性繊維を併用し
て繊維集合体を製造し、次いで該水溶性繊維を除去して
難水溶性繊維からなる繊維構造体を製造する際に使用さ
れる「水溶性繊維」として好適である。すなわち、本発
明の繊維は、コスト的にも有利でかつ多くの繊維が実質
的に繊維性能を損わない温水に溶解し、しかも溶解時の
収縮率が小さく、また溶解時にゲル状物が溶解残査とし
て残りにくいことから、形態安定性、風合、嵩高性(保
温性、軽量性等)の良好な繊維構造体を効率的に得るこ
とが可能となる。
【0027】さらに本発明の水溶性PVA系繊維Aは、
染色工程、ヒートセット処理などの処理工程においては
優れた耐水性を奏することから、水溶性PVA系繊維A
を含む繊維集合体、特に該水溶性繊維A及び難水溶性繊
維Bを併用してなる繊維集合体を効率的に染色できる。
一般に広く使用されている反応染料は80〜88℃程度
で染色処理されるが、本発明の水溶性繊維Aはかかる染
色工程に供することが可能である。本発明の繊維は該染
色工程やヒートセット工程などの湿熱処理工程などを通
過させても実質的に溶解したり収縮しないことから、得
られる繊維構造体の形態安定性、風合などは損われな
い。さらにゲル状物も形成されないことから該繊維の水
中溶解温度以上の液体で処理することにより、該水溶性
PVA系繊維Aを速やかに溶脱させることができる。も
ちろん、本発明の水溶性PVA系繊維Aや本発明の水溶
性PVA系繊維Aのみから構成された繊維集合体を、目
的に応じて上記染色処理や他の処理を施すことも可能で
ある。たとえば染色の前に形態安定化処理(スタビライ
ズセット処理)を行うことが行われているが、具体的に
はウール織物をセットするには通常80℃においても十
分な耐水性を有していることから、かかる処理も効率的
に行うことができる。
【0028】また、予め着色された繊維Bと併用して繊
維集合体を形成することも可能である。本発明の繊維を
用いた場合、溶出時の繊維構造体の収縮・変形が抑制さ
れることから、繊維Aが溶脱後に形成される繊維間空隙
が保持されるとともに、実質的に均質に着色された繊維
構造体を得ることが可能となる。また該方法によれば単
色の繊維構造体だけでなく、複数の色相を有する繊維構
造体を得ることも可能となる。
【0029】繊維Bとしては難溶解性繊維、具体的には
水中溶解温度が100℃をこえる繊維が使用され、非溶
解性繊維が好適に使用される。もちろん、繊維Bとして
複数種の繊維を使用してもかまわない。繊維Bの種類は
特に限定されないが、風合の良好な繊維構造体を得る点
からは天然繊維であるのが好ましい。なかでも綿などの
綿類、羊毛、カシミアなどの獣毛類などがより好適に挙
げられる。あらかじめ着色された繊維Bを用いる場合、
繊維Bの着色方法は特に限定されない。たとえば天然繊
維の場合、原綿状あるいはカードをかけたトップ状でオ
ーバマイヤ染色機やトップ染色機などにより染色したも
のを用いる。染料、染色条件は繊維素材により適宜選定
することができる。色なども所望の色を選択すればよ
く、たとえば赤、黄、青、黒、茶などのあらゆる色が適
用できる。用いる染料、顔料は特に限定されないが、繊
維構造体の風合の点では染料を用いるのが好ましく、た
とえば天然繊維の場合、酸性染料、直接染料、反応性染
料により染色する方法が好適に挙げられ、従来公知の方
法により染色すればよい。なお着色されていない繊維A
及び繊維Bを含む繊維集合体を染色する場合にも同様の
方法を採用すればよい。
【0030】本発明に用いられる水溶性繊維Aと非水溶
性繊維Bは、いずれも繊維長が150mm以下の短繊維
であるのが好ましい。短繊維を用いることにより、繊維
構造物に空隙が多数形成され、しかも毛羽などにより良
好な風合が奏される。しかしながら、繊維集合体の形成
容易性、繊維構造体の形態安定性などの点からは繊維長
5mm以上、特に20mm以上であるのが好ましい。ま
た繊維A及び繊維Bの繊度は特に限定されないが、0.
1〜1000dtex、特に0.2〜100dtex、
さらに0.5〜10dtex程度のものが広く使用でき
る。繊維の繊維長は用途に応じて適宜設定すればよい。
【0031】かかる繊維A及び繊維Bを含む繊維集合体
を製造すればよいが、繊維集合体としては、紡績糸、布
帛(織編物、不織布等)、ウエブなどが好適に挙げられ
る。なお該布帛は、繊維A(繊維Aからなる紡績糸など
を包含する)及び繊維B(繊維Bからなる紡績色を包含
する)を直接用いて布帛化してもかまわないが、繊維A
及び繊維B含む紡績糸を用いてなる布帛が好適な形態と
して挙げられる。なかでも本発明の繊維集合体として
は、繊維A及び繊維Bを含む紡績糸、及び該紡績糸を用
いてなる布帛がより好適に用いられる。また布帛として
織編物、特に織物が好適である。布帛の目付は50g/
2〜500g/m2程度とするのが好ましく、用途にも
よるが100g/m2〜300g/m2であるとさらに好
ましい。また紡績糸は、水溶性繊維を溶脱後が5番手〜
100番手、好ましくは20番手〜80番手のものが一
般的である。
【0032】繊維A及び繊維Bの混合状態は特に限定さ
れず、均一ブレンドであってもよいし、繊維集合体の表
面領域に難水溶性繊維Aを偏在させてもかまわない。た
とえば、紡績糸ではAとBを完全に均一混合させてもよ
く、繊維素材や用途によっては紡績糸の芯部分に繊維
A、鞘部分(表面領域)に繊維Bを偏在させる複合紡績
糸としてもかまわない。一般的には均一ブレンドとすれ
ばコスト的に有利であり、繊維集合体の表面領域に難水
溶性繊維Aを偏在させれば、繊維構造体の嵩高性、風合
などがより向上する。
【0033】繊維A及び繊維Bの配合比は、目的・用途
に応じて適宜設定すればよいが、風合に優れた繊維構造
体を得る点からは、繊維A/繊維Bの質量比を60/4
0〜3/97、好適には30/70〜10/90とする
必要がある。一般に繊維Bの配合割合を高めることによ
って機械的性能、形態安定性を高めることができ、繊維
Aの配合割合を高めることにより繊維構造体の風合を高
めることができる。もちろん、繊維集合体には繊維A及
び繊維B以外の繊維・樹脂などが併用されていてもかま
わない。しかしながら、繊維A及び繊維Bの総配合量が
60質量%以上、特に80〜100質量%の繊維集合体
を形成した場合により効率的かつ高性能の繊維構造体が
得られる。
【0034】かかる繊維集合体から、繊維Aを溶脱(溶
解除去)することにより所望の繊維構造体を得ることが
できる。その方法は特に限定されないが、かかる繊維集
合体を液体に接触させて繊維Aを溶脱させればよい。繊
維Aを溶脱させるために用いられる液体は、有機溶剤で
あってもかまわないが、繊維構造体への影響を抑制しつ
つ効率的に繊維Aを除去可能であること、さらに環境に
やさしく処理後の廃液の処理が容易であることから水系
溶液を用いるのが好ましく、特に水又は水溶液であるの
が好ましい。かかる処理液の温度は、効率的に繊維Aを
除去する点からはT以上、特に(T+2℃)以上、さら
に(T+5℃)以上とするのが好ましく、繊維Aへの影
響を小さくする点からは100℃以下とするのが好まし
い。水中溶解温度の低い繊維Aを用いた場合には処理液
の温度を低く設定できることから、繊維Bに与える影響
を抑制でき、しかも処理液を加温するエネルギーも節約
できる。
【0035】処理液の接触方法は特に限定されないが、
たとえば繊維集合体に処理液を吹き付ける方法、処理液
に浸漬する方法などが挙げられる。処理設備としてはパ
ドル染色機、ドラム染色機、ウインス染色機、ジッガ、
ビーム染色機などの染色機を流用することができる。ま
た、浴比が大きいほど溶脱性が向上するが、コスト・効
率性を考慮すると浴比(質量比)1:10〜1:50程
度とするのが好ましい。処理時間などは適宜設定すれば
よいが、繊維Aを実質的に完全に溶解する点からは1分
以上、特に5分以上、さらに10分以上接触させるのが
好ましい。かかる処理により繊維Aを実質的に完全に溶
脱するのが好ましく、特に繊維Aの95質量%以上、特
に97質量%以上、さらに99質量%以上を溶脱するの
が好ましい。しかしながら、処理時間を必要以上に長く
しても溶脱率を上げることはできず、また繊維Bにも悪
影響を与える可能性が生じることから、処理時間は60
分以下、特に30分以下とするのが好ましい。水温や撹
拌等処理液との接触方法などにもよるが、接触時間が1
0分〜30分であるのがより好ましい。
【0036】またより完全に水溶性繊維Aを繊維構造体
から除去するために、上記処理を行った後、10℃〜6
0℃、好ましくは30℃〜50℃の温水ですすぎ水洗す
るのが好ましく。すすぎ水洗は2回以上行うのが好まし
く、最終すすぎ温水は新浴とするのが好ましい。なお、
本発明にいう溶脱率とは、溶脱前に繊維集合体に含まれ
ていた水溶性繊維Aに対する溶脱処理により溶脱された
繊維Aの質量%である。以上のような方法により繊維A
を溶脱することにより所望の繊維構造体が得られる。必
要に応じてさらに繊維構造体を処理してもかまわない。
また該方法により得られた布帛を用いて衣服などに加工
してもかまわない。
【0037】以下本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。 [PVAの重合度]JIS K−6726に基づき30
℃におけるPVA希薄水溶液の比粘度ηspを5点測定
し、[η]=lim ηsp/C(C→0)により極限
粘度[η]を求め、さらに平均重合度=([η]×10
4/8.29)1.613により平均重合度を求めた。 [PVAのケン化度 モル%]JIS K6726に準
じて測定した。 [水中溶解温度 ℃ 水中最大収縮率 %]試長10c
mに繊維に2mg/dtexの荷重を吊り下げ、0℃の
水に浸漬し、水を2℃/分の昇温速度で昇温したときに
繊維が溶断する温度をいい、この溶断までにもっとも収
縮した際の収縮率(「水浸漬前の繊維長―最大収縮時の
繊維長」/「水浸漬前の繊維長」×100)を水中最大
収縮率として求めた。
【0038】[溶出率 質量%]該繊維の水中溶解温度
と同温度の水中に30分間、浴比(1/100)で試料
繊維を浸漬後、あらかじめ100℃で乾燥しておいたろ
紙を用いてろ過し不溶分を分離して、その後30分間1
00℃で乾燥して溶解残査の質量を求め、試験前に10
0℃で乾燥した後の試料質量に対する溶解残査の質量割
合を溶出率として求めた。 [繊維の強度 cN/dtex]JIS L1015に
準じて引張試験を行なって求めた。
【0039】[実施例1]重合度1700、ケン化度9
9.9モル%のPVAをDMSOに溶解し、PVA濃度
16質量%のDMSO溶液を得た。これを紡糸原液とし
て紡糸原液を90℃に保ち、孔数3000、孔径0.0
6mmφのノズルを通して、0℃のメタノール/DMS
Oの混合質量比が50/50の混合液よりなる固化浴中
に湿式紡糸した。得られた糸篠をメタノール/DMSO
=96/4よりなる50℃の湿延伸浴で3.5倍の湿延
伸を施し、メタノールと向流接触させてDMSOを抽出
除去後、160℃熱風乾燥機で乾燥し、16000dr
/3000fのマルチフィラメント状紡糸原糸を得た。
得られた紡糸原糸を190℃の熱風炉で2.3倍の乾熱
延伸(トータル延伸倍率8倍)を施し、次いで190℃
の収縮炉で1%の収縮処理を施した。得られた繊維の水
中溶解温度は95℃、水中溶解温度水に対する溶出率は
100質量%、水中最大収縮率は5%であり、溶解時の
収縮率が小さく実質的にゲル状物が形成されないもので
あり溶解性に極めて優れたものであった。また80℃水
に対する溶出率は0質量%と優れた耐水性を有し、引張
強度8.5cN/dtexであり機械的性能の高いもの
であった。
【0040】[実施例2]重合度1750、ケン化度9
9.9モル%のPVAを水に溶解し、PVA濃度16質
量%のPVA水溶液を得た。これを紡糸原液として飽和
芒硝浴からなる凝固浴に湿式紡糸し、飽和芒硝液からな
る湿延伸浴で4倍の湿延伸を施し、110℃熱風乾燥機
で乾燥し、16000dr/3000fのマルチフィラ
メント状紡糸原糸を得た。得られた紡糸原糸を195℃
の熱風炉で1.7倍の乾熱延伸(トータル延伸倍率7
倍)を施し、次いで195℃の収縮炉で1%の収縮処理
を施した。得られた繊維の水中溶解温度は95℃、水中
溶解温度水に対する溶出率は100質量%、水中最大収
縮率は5%であり、溶解時の収縮率が小さく実質的にゲ
ル状物を形成しないものであり溶解性に優れたものであ
った。また80℃水に対する溶出率は0質量%と優れた
耐水性を有し、また引張強度6cN/dtexであり実
施例1に比して機械的性能が低いものの、十分な性能を
有しているものであった。
【0041】[比較例1]紡糸原糸を230℃の熱風乾
燥炉で乾熱延伸を行った以外は実施例1と同様にPVA
系繊維を製造した。得られた繊維の水中溶解温度は10
0℃をこえるものであり、100℃水及び80℃水にお
ける溶出率は0質量%であり、水溶性を有するものでは
なく、バインダー繊維や溶解除去を目的とする用途に不
適なものであった。
【0042】[比較例2]紡糸原糸を140℃の熱風乾
燥炉で乾熱延伸を行い、140℃の収縮炉で1%の収縮
を施した以外は実施例1と同様にPVA系繊維を製造し
た。得られた繊維の水中溶解温度は85℃、水中最大収
縮率10質量%、80℃水に対する溶出率は20質量%
であり耐水性の不十分なものであった。よって該繊維を
バインダーや染色工程に供すると溶解ロスが多くなった
り、PVAの染液への溶出による色相などのトラブルを招
いたり、収縮により所望の繊維構造体が得られないもの
であった。
【0043】[比較例3]重合度2300、ケン化度9
8.5モル%のPVAを用いた以外は実施例1と同様に
PVA系繊維を製造した。得られた繊維の水中溶解温度
は90℃、水中最大収縮率は5%であったが、80℃水
に対する溶出率は20質量%であり耐水性の不十分なも
のであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB03 BB66 BB73 BB76 BB89 BB91 EE04 EE08 FF05 4L055 AF21 EA19 EA20 FA04 FA18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水中溶解温度が90〜100℃の水溶性
    ポリビニルアルコール系繊維であって、水中最大収縮率
    が10%以下、水中溶解温度水に対する溶出率が90質
    量%以上であり、かつ80℃水に対する溶出率が10質
    量%以下であることを特徴とする水溶性ポリビニルアル
    コール系繊維。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の水溶性ポリビニルアル
    コール系繊維を含む繊維集合体。
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