JP2002161269A - フォトクロミック材料 - Google Patents

フォトクロミック材料

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JP2002161269A
JP2002161269A JP2000360687A JP2000360687A JP2002161269A JP 2002161269 A JP2002161269 A JP 2002161269A JP 2000360687 A JP2000360687 A JP 2000360687A JP 2000360687 A JP2000360687 A JP 2000360687A JP 2002161269 A JP2002161269 A JP 2002161269A
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photochromic
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chromene compound
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JP2000360687A
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Hironobu Nago
洋信 名郷
Junji Momota
潤二 百田
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好なフォトクロミック特性を示すことが知
られている分子量の大きいクロメン化合物を容易に高濃
度で高分子マトリックス中に均一に分散させる方法を提
供する。 【解決手段】 例えば下記式 【化1】 で示されるような、置換若しくは非置換のフェニル基を
置換基として少なくとも1つ有するクロメン化合物を、
トルエンのような芳香族化合物と分子化合物を形成さ
せ、これをフォトクロミック材料として用い、例えば該
フォトクロミック材料をモノマーに高濃度で溶解させた
後に重合してクロメン化合物が高濃度均一分散した高分
子マトリックスを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の照射により可
逆的に色調が変化するフォトクロミック材料、及び該フ
ォトクロミック材料を用いたフォトクロミック光学材料
に関する。
【0002】
【従来の技術】フォトクロミズムとは、ある化合物に紫
外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照
射をやめて暗所におくと元の色に戻る可逆作用のことで
ある。このような性質を有する化合物はフォトクロミッ
ク化合物と呼ばれ、これまでに色々な化合物が合成され
ている。これらフォトクロミック化合物の中でもクロメ
ン化合物は耐久性が良く、黄色〜水色と幅広い色調に発
色する様々な化合物が知られているため、近年特に活発
に研究されている。
【0003】例えば、優れた物性を示すクロメン化合物
として、PCT特許出願公開明細書WO98/4528
1号明細書に開示されている黄色に発色する下記式
(A)
【0004】
【化5】 で示される化合物や、PCT特許公開明細書WO96/
14596号明細書に開示されている青色に発色する下
記式(B)
【0005】
【化6】 で示される化合物が知られている。
【0006】このようなクロメン化合物は、一般的には
高分子マトリックス中に分散させることによりフォトク
ロミックプラスチックレンズやコーティング剤等の様々
な用途に用いられている。高分子マトリックス中にクロ
メン化合物を分散させる方法としては、熱硬化性の高分
子マトリックス中に高温下でクロメン化合物を含浸させ
る方法(WO96/14596号明細書)、重合性単量
体(モノマー)中にクロメン化合物を溶解させた後に重
合する方法(PCT特許公開明細書WO97/4899
3号明細書)が知られている。
【0007】ところが、上記の様なクロメン化合物はフ
ォトクロミック性を改良するために様々な置換基が導入
されてその分子量が巨大化しているため、拡散しにくか
ったりモノマーに対する溶解度が低くかったりして、こ
れら化合物を高濃度で高分子マトリックス中に分散させ
るのは困難である。例えば、上記したような方法で分散
させた場合には、何れの方法を採用しても分散可能なク
ロメン化合物の濃度は約0.5重量%程度であり、1重
量%を越えるような高濃度で均一に分散させることは非
常に困難である。このため、上記の様な方法でクロメン
化合物を分散させた重合体においては、実用的な発色濃
度を得ようとするとその厚みを厚くしなければならず、
例えばコーティング剤のように厚さ0.1mm以下の薄
膜として使用するような用途では十分な発色濃度が得ら
れないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、分子量の
大きいクロメン化合物を容易に高濃度で高分子マトリッ
クス中に均一に分散させる方法は知られていない。そこ
で、本発明は、クロメン化合物を均一に高濃度で高分子
マトリックス中に分散させる方法を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく鋭意検討を行なったところ、偶然にも、クロメ
ン化合物を芳香族化合物に溶解させた溶液から析出した
結晶は、モノマーに容易に溶解するという知見を得た。
そして、この新たな知見に基づいて更に検討を行なった
結果、上記結晶は溶媒として用いた芳香族化合物とクロ
メン化合物との分子化合物であることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、クロメン化合物と芳香族
化合物との分子化合物からなることを特徴とするフォト
クロミック材料である。
【0011】上記本発明のフォトクロミック材料となる
上記分子化合物は、新規な分子化合物で第二の本発明で
もある、下記一般式(1)
【0012】
【化7】 {式中、R1及びR2は、それぞれ置換若しくは非置換の
アリール基であり、R1及びR2の内少なくとも一方は置
換基として置換若しくは非置換のアミノ基を少なくとも
1つ有するフェニル基であり、下記式(2)
【0013】
【化8】 で示される2価の基は、前記一般式(1)中の2H―ピ
ラン環に縮合するベンゼン環を構成要素とする置換基を
有していてもよい2価の縮合多環式有機基である。}で
示されるクロメン化合物と分子量70〜150の芳香族
化合物との分子化合物を含んでいる。そして、該分子化
合物は、第三の本発明である、溶液中で分子量70〜1
50の芳香族化合物と前記一般式(1)で示されるクロ
メン化合物とを接触させて該クロメン化合物と該芳香族
化合物との分子化合物を形成し、形成した分子化合物の
結晶を析出させることを特徴とする上記分子化合物の製
造方法により好適に製造することができる。
【0014】また、第四の本発明は、前記第一の本発明
であるフォトクロミック材料を含有してなるフォトクロ
ミック光学材料であり、第五の本発明は、前記第一の本
発明であるフォトクロミック材料が溶解した重合性単量
体を重合硬化させることを特徴とする上記フォトクロミ
ック光学材料の製造方法であり、第六の本発明は、レン
ズの少なくとも一方の面に上記第四の本発明であるフォ
トクロミック光学材料からなる層が積層されてなること
を特徴とするフォトクロミックレンズである。
【0015】本発明のフォトクロミック材料は、モノマ
ーに容易に溶解するという特徴を有する。このため、該
フォトクロミック材料をモノマーに高濃度に溶解させる
ことが容易であり、このようにして調製した溶液を用い
て上記第五の本発明の製造方法で製造した上記第四の発
明であるフォトクロミック光学材料は、高分子マトリッ
クス中にクロメン化合物が高濃度で均一分散していると
いう特徴を有する。そして、該光学材料は、例えばレン
ズのコート膜の様にその厚さが制限される用途に使用し
ても高い発色濃度を実現することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のフォトクロミック材料
は、クロメン化合物と芳香族化合物とを構成成分とする
分子化合物からなる。ここで、分子化合物とは、同種又
は異種の安定な分子が一定の割合で直接に結合してでき
る化合物であり、分子化合物を構成する各構成分子間の
結合は緩やかで各構成分子の元の(本来の)構造や結合
の性質はあまり変化せず、また比較的容易にもとの構成
分子に解離できる化合物を意味する。通常、分子化合物
は、各構成分子が一定の割合で配列した固体であり、分
子化合物とそれぞれの構成分子とを比較すると、融点、
沸点及び溶解性などの物性値は異なった値を示す。
【0017】本発明のフォトクロミック化合物となる分
子化合物は、クロメン化合物と芳香族化合物とを構成成
分とする分子化合物であれば特に限定されず、数種のク
ロメン化合物と数種の芳香族化合物であってもよい。ま
た、各構成分子どうしの結合はいかなる結合様式であっ
てもよく、構成分子の組成比も制限されない。組成比に
ついては、用いるクロメン化合物と芳香族化合物との組
合わせ毎に特定の比をとるが、本発明のフォトクロミッ
ク化合物となる分子化合物においては、クロメン化合物
モル数:芳香族化合物モル数の比は、通常5:1〜1:
10の範囲である。
【0018】本発明のフォトクロミック化合物となる分
子化合物の構成分子の一つであるクロメン化合物は、芳
香族化合物と分子化合物を形成し得るクロメン化合物で
あれば特に限定されないが、芳香族化合物と分子化合物
を形成しやすいという観点から、置換もしくは非置換の
フェニル基を少なくとも1つ有するクロメン化合物であ
るのが好適である。このようなクロメン化合物において
は、恐らくクロメン化合物に置換した上記フェニル基と
芳香族化合物との間のπ電子−π電子相互作用により分
子化合物が形成されやすくなっているものと思われる。
【0019】本発明においては、このような置換もしく
は非置換のフェニル基を少なくとも1つ有するクロメン
化合物の中でも、良好なフォトクロミック特性を示すこ
とから、前記一般式(1)で示されるクロメン化合物、
特にその分子量が300〜800のものを使用するのが
より好適である。
【0020】なお、前記一般式(1)中のR1及びR
2は、それぞれ置換若しくは非置換のアリール基であ
り、R1及びR2の内少なくとも一方は置換基として置換
若しくは非置換のアミノ基を少なくとも1つ有するフェ
ニル基であり、下記式(2)
【0021】
【化9】 で示される2価の基は、前記一般式(1)中の2H―ピ
ラン環に縮合するベンゼン環を構成要素とする置換基を
有していてもよい2価の縮合多環式有機基である。
【0022】上記R1又はR2としての非置換のアリール
基としては、フェニル基、1−又は2−ナフチル基、2
−又は3−フリル基、2−又は3−チエニル基、2−又
は3−ピロリジル基等を挙げることができる。
【0023】また、上記R1又はR2としての置換アリー
ル基の置換基は特に限定されないが、アルキル基、アル
コキシ基、アラルコキシ基、置換若しくは非置換のアミ
ノ基、シアノ基、置換もしくは非置換のアリール基、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子、アラルキル
基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、
シアノメチル基、アリールスルホニル基、及びアルキル
スルホニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの
置換基であるのが好適である。なお、上記置換基として
の置換アリール基おける置換基としては、R1又はR2
しての置換アリール基の置換基として例示したものから
置換アリール基を除いたものが挙げられる。また、置換
アミノ基に置ける置換基としては上記置換基としての置
換アリール基における置換基と同じのものの他、窒素原
子をヘテロ原子として有し該窒素原子とフェニル基とが
結合する置換もしくは非置換の複素環基、又は該複素環
基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した
縮合複素環基が挙げられる。なお、該複素環内にはフェ
ニル環に結合する窒素原子の他に更に酸素原子、硫黄原
子、窒素原子等のヘテロ原子が存在していてもよい。
【0024】また、前記一般式(1)中のR1及びR2
どちらか一方は、置換若しくは非置換のアミノ基が置換
したフェニル基である必要がある。このときの好適な置
換若しくは非置換のアミノ基を例示すると、アミノ基;
メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ
基、i−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、t−
ブチルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ
−i−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ
−t−ブチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;フェニ
ルアミノ基、ナフチルアミノ基等のアリールアミノ基;
ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;及びモル
ホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジニル基、ピペラジノ
基、N−メチルピペラジノ基、インドリニル基等の複素
環基を構成する炭素原子の数が2〜10、特に2〜6で
ある“窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とフ
ェニル基とが結合する置換もしくは非置換の複素環基、
又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素
環が縮合した縮合複素環基”等を挙げることができる。
【0025】前記一般式(1)中の前記式(2)で示さ
れる2価の基は、前記一般式(1)中の2H―ピラン環
に縮合するベンゼン環を構成要素とする置換基を有して
いてもよい2価の縮合多環式有機基であり、クロメン化
合物としてフォトクロミック性を示すものであれば特に
限定されないが、フォトクロミック性が優れるという観
点より、下記式(3)、(4)、(5)及び(6)で示
される基であるのが好適である。
【0026】
【化10】 但し、上記式(3)中のR3及びR4は、それぞれ独立
に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル
オキシ基、アラルキル基、カルボキシ基、アルコキシカ
ルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ
カルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、置換基
を有していてもよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、置
換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、置
換基を有していてもよい窒素原子をヘテロ原子として有
し該窒素原子と縮合多環式有機基の環とが結合する複素
環基、又は該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香
族複素環が縮合した縮合複素環基であり、R3の結合数
を表すaは0〜3の整数であり、R4の結合数を表すl
は0〜2の整数であり、a又はlがそれぞれ2以上であ
るときに複数結合する各R3又はR4は互いに異なってい
てもよい。なお、上記R3及びR4の各基が置換基を有し
ていてもよい場合の置換基とは、アルキル基、アルコキ
シ基、アリール基、及びハロゲン原子からなる群より選
ばれる少なくとも1種の置換基を意味する。
【0027】また、上記式(4)中のR5及びR6は、そ
れぞれ上記式(3)中のR3及びR4と同義であり、R5
の結合数を表すmは0〜2の整数であり、R6の結合数
を表すbは0〜3の整数であり、m又はbがそれぞれ2
以上であるときに複数結合する各R5又はR6は互いに異
なっていてもよい。
【0028】また、上記式(5)中のR7及びR8は、そ
れぞれ上記式(3)中のR3及びR4と同義であり、R7
及びR8の結合数を表すc及びdはそれぞれ0〜3の整
数であり、c又はdがそれぞれ2以上であるときに複数
結合する各R7又はR8は互いに異なっていてもよい。
【0029】また、上記式(6)中の下記式(7)
【0030】
【化11】 で示される基は、芳香族炭化水素基、または不飽和複素
環基であり、R9及びR1 0は、それぞれ上記式(3)中
のR3及びR4と同義であり、R9及びR10の結合数を表
すe及びfはそれぞれ0〜3の整数であり、e又はfが
それぞれ2以上であるときに複数結合する各R9又はR
10は互いに異なっていてもよく、R11及びR1 2は、それ
ぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ア
ルコキシ基、アラルキルオキシ基、アラルキル基、カル
ボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカ
ルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、置換或い
は非置換のアミノ基、シアノ基、ニトロ基、置換或いは
非置換のアリール基であるか、又は互いに結合してオキ
ソ基、置換基を有していてもよいビニレン基、置換基を
有していてもよい酸素原子を1或いは2個含む複素環環
基、置換基を有してしていてもよい脂肪族炭化水素環
基、又は下記式(8)
【0031】
【化12】 {式(8)中の−Y−で示される基は、下記式
【0032】
【化13】 (式中、Z1及びZ2はそれぞれ独立に酸素原子または硫
黄原子であり、R13、R 14、R15、及びR16は、アルキ
レン基であり、g、h、i、及びjは、それぞれ1〜4
の整数である。)で示される基を形成する基である。
【0033】本発明でクロメン化合物として好適な“置
換もしくは非置換のフェニル基を少なくとも1つ有する
クロメン化合物”を具体的に例示すると次のような化合
物を例示することができる。
【0034】
【化14】 なお、上に例示したクロメン化合物には、PCT特許出
願公開明細書WO98/45281号明細書、PCT特
許公開明細書WO96/14596号明細書、ドイツ国
特許出願公開DE19902771 A1、及びPCT
特許公開明細書WO98/04937号明細書に記載さ
れている各種クロメン化合物、並びに前記一般式(1)
で示されるクロメン化合物が含まれている。
【0035】また、本発明のフォトクロミック化合物と
なる分子化合物のもう一方の構成分子である芳香族化合
物は、上記したようなクロメン化合物と分子化合物を形
成し得る化合物であれば特に限定されないが、クロメン
化合物、特に分子量300〜800のクロメン化合物と
分子化合物を形成しやすいという観点から、分子量70
〜150の芳香族化合物であるのが好適である。これ
は、芳香族化合物が小さいほど立体障害が少なく前記し
たπ電子−π電子相互作用を起こし易い場所に位置する
ことができるためと考えられる。好適に使用できる芳香
族化合物を具体的に例示すると、トルエン、ベンゼン、
クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ナフタレン、チオ
フェン、ピロール等を挙げることができる。
【0036】即ち、本発明のフォトクロミック材料とし
ては、フォトクロミック特性及び合成の容易さの観点か
ら、置換もしくは非置換のフェニル基を少なくとも1つ
有するクロメン化合物、特に前記一般式(1)で示され
るクロメン化合物(取分けその中でも分子量300〜8
00のクロメン化合物)と分子量70〜150の芳香族
化合物との分子化合物を用いるのが好適であるといえ
る。
【0037】このような前記一般式(1)で示されるク
ロメン化合物(取分け分子量300〜800のクロメン
化合物)と分子量70〜150の芳香族化合物との分子
化合物は、これまで知られておらず、その存在及び有用
性は本発明者等によって初めて見出されたものである。
このような分子化合物の製造方法は、特に限定されない
が、溶液中で分子量70〜150の芳香族化合物と前記
一般式(1)で示されるクロメン化合物とを接触させて
該クロメン化合物と該芳香族化合物との分子化合物を形
成し、形成した分子化合物の結晶を析出させることによ
り好適に製造することができる。溶液中で分子量70〜
150の芳香族化合物とクロメン化合物を接触させる方
法としては、(i)クロメン化合物と芳香族化合物を混
合し、必要に応じて加熱してクロメン化合物を芳香族化
合物に溶解し、均一な液体とする方法、又は(ii)ク
ロメン化合物と芳香族化合物とを、その両方を溶解する
有機溶と混合して両者を溶解し、均一な液体としする方
法を挙げることができる。何れの場合も両者を溶液中で
共存させておくことにより自然に分子化合物が形成され
る。また、形成された分子化合物を取り出す方法として
は、溶液を必要に応じて濃縮した後に冷却し結晶として
析出させるか、或いは貧溶媒を加えることにより結晶と
して析出させ、これら析出させた結晶をろ過等により分
離して取り出せばよい。このような晶析法を採用するこ
とにより高純度の分子化合物を得ることができる。な
お、溶液中に存在する不純物が少ない場合には、分子化
合物が分解しない条件下で溶媒を留去することにより分
子化合物を回収することも可能である。
【0038】上記製造方法において、溶液中で接触させ
るクロメン化合物と芳香族化合物とのモル比は特に限定
されないが、余剰の芳香族化合物は容易に除去できるの
で、反応効率の点からはクロメン化合物に対して過剰
量、特にクロメン化合物1モルに対して10〜1000
モルの芳香族化合物を用いるのが好適である。なお、上
記方法においては、クロメン化合物及び芳香族化合物
は、それぞれ1種類のみを用いても、また複数の異なる
種類を混合して用いてもよい。
【0039】このような方法で得られる本発明の分子化
合物は、一般に常温常圧で固体として存在し、次の
(イ)〜(ハ)のような手段で確認できる。
【0040】(イ)融点測定を行うことにより、分子化
合物を形成するクロメン化合物と芳香族化合物、各々の
相転移点(融点又は沸点)より別な温度で融点が測定さ
れる。
【0041】(ロ) プロトン核磁気共鳴スペクトル(
1H−NMR)を測定し、分子化合物を形成するクロメ
ン化合物と芳香族化合物の各々固有ピークのプロトン積
分比を相対的に比較することにより、クロメン化合物と
芳香族化合物のモル比を決定することができる。
【0042】(ハ) 元素分析によって、クロメン化合
物と芳香族化合物の組成比を決定することができる。
【0043】本発明のフォトクロミック材料は、該フォ
トクロミック材料となる分子化合物を構成するクロメン
化合物と同様に優れたフォトクロミック特性を示すの
で、例えば、銀塩感光材に代る各種の記憶材料、複写材
料、印刷用感光体、陰極線管用記憶材料、レーザー用感
光材料、ホログラフィー用感光材料などの種々の記憶材
料として利用できる。
【0044】また、本発明のフォトクロミック材料は、
トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の一般
的な有機溶媒、各種モノマー、溶融状態のポリマー等に
可溶であり、尚かつ溶解速度が速く、例えば分子化合物
の形を取らないクロメン化合物を単独で溶解させた場合
と比較すると、高濃度に溶解させる場合の溶解時間が格
段に短いという特徴を有する。そして、溶液状態あるい
は高分子固体マトリックス中分散させた状態のものは、
一般に光未照射の状態でほぼ無色透明であり、太陽光あ
るいは紫外線を照射すると速やかに発色し、光を遮断す
ると速やかに元の無色にもどる良好な可逆的なフォトク
ロミック作用を示す。したがって、本発明のフォトクロ
ミック材料は、モノマーや溶融状態のポリマー等に溶解
させ、高分子マトリックス中に分散させて使用すること
により、上記の様な優れた特性を最もよく発揮すること
ができる。例えば、本発明のフォトクロミック材料を高
分子マトリックス中に分散させて、フォトクロミックレ
ンズ材料、光学フィルター材料、ディスプレイ材料、光
量計、装飾などのフォトクロミック光学材料として使用
する場合には、本発明のフォトクロミック材料をモノマ
ーに高濃度で溶解させた後に重合触媒を加え、加熱また
は光照射して重合硬化させることにより、或いは溶融状
態のポリマーに本発明のフォトクロミック材料をモノマ
ーに高濃度で混錬若しくは溶解させた後に冷却固化させ
ることにより、高分子マトリックス中にクロメン化合物
が高濃度で均一分散した硬化体を得ることが可能となる
ので、発色時の濃度が高いフォトクロミック光学材料を
容易に得ることができる。
【0045】このとき、高分子マトリックスとしては、
公知の熱可塑性樹脂或いはモノマーの種類に応じた任意
のポリマーが適用可能であるが、上記硬化体を光学材料
として用いる場合には、それ自体の光学的特性が良好で
あることから、熱可塑性樹脂としては、ポリアクリル酸
メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン、ポリアク
リロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルア
ミド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、
ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート等を用いる
のが好適である。
【0046】また、熱硬化性樹脂としては、エチレング
リコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタ
クリレート、トリエチレングリコールジメタクリレー
ト、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチ
レングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフ
ェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタ
クリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3,5−ジブロモー4ーメタクリロイルオキシ
エトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパン
トリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタ
クリレート等の多価アクリル酸及び多価メタクリル酸エ
ステル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタ
レート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル、エ
ポキシこはく酸ジアリル、ジアリルフマレート、クロレ
ンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、ジアリルカ
ーボネート、アリルジグリコールカーボネート、トリメ
チロールプロパントリアリルカーボネート等の多価アリ
ル化合物;1,2−ビス(メタクリロイルチオ)エタ
ン、ビス(2−アクリロイルチオエチル)エーテル、
1,4−ビス(メタクリロイルチオメチル)ベンゼン等
の多価チオアクリル酸及び多価チオメタクリル酸エステ
ル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビス
フェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレー
ト、4−グリシジルオキシメタクリレート、3−(グリ
シジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソ
プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオ
キシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のアク
リル酸エステル化合物及びメタクリル酸エステル化合
物;ジビニルベンゼン等のラジカル重合性多官能単量体
を重合してなる熱硬化性樹脂をもちいるのが好適であ
る。
【0047】さらにまた、これらの各単量体とアクリル
酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン
酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート、メチルエーテルポリエチレング
リコールメタクリレート、γーメタクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン等のアクリル酸及びメタクリ
ル酸エステル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフ
ェニル等のフマル酸エステル化合物;メチルチオアクリ
レート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタ
クリレート等のチオアクリル酸及びチオメタクリル酸エ
ステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチ
レン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマ
ー、ブロモスチレン、メトキシポリエチレングリコール
アリルエーテル等のビニル化合物等のラジカル重合性単
官能単量体との共重合体も好適に使用することができ
る。
【0048】本発明のフォトクロミック材料は前記した
ような優れた特徴を有するので、該フォトクロミック材
料を含有する層の厚さが薄くても高い発色濃度を得るこ
とができるため、各種材料にフォトクロミック性を付与
させる方法として多様な方法を採用することが可能とな
る。例えば、本発明のフォトクロミック材料をフォトク
ロミックレンズに使用する場合には、本発明の分子化合
物を均一に分散してなるポリマーフィルムをレンズ中に
サンドウイッチする方法;該ポリマーフィルムでレンズ
表面を覆い、その表面をさらに硬化性物質で被覆する方
法;本発明の分子化合物を前記の重合性単量体中に分散
させ、所定の手法により重合する方法;本発明の分子化
合物をシリコーンオイル中に溶解して150〜200℃
で10〜60分かけてレンズ表面に含浸させ、さらにそ
の表面を硬化性物質で被覆する方法などを採用して均一
な調光性能を有するフォトクロミックレンズを得ること
ができる。
【0049】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0050】製造例1 下記に示すグリニアール試薬
【0051】
【化15】 6.3g(23mmol)をテトラヒドロフラン200
mlで希釈した中に、テトラヒドロフラン300mlに
溶解させた下記化合物
【0052】
【化16】 10g(17mmol)を25℃で加え、1時間反応さ
せた。反応後、反応液を水にあけ、10%塩酸水溶液で
溶液を中和した後に有機層を分離し、得られた有機層を
水洗、及び飽和食塩水で洗浄した後に溶媒を除去して反
応生成物を得た。次いで、該反応混合物中に酢酸300
ml、濃塩酸20mlを加えて70℃で30分加熱し、
反応液を水中にあけ、水酸化ナトリウムで中和後、テト
ラヒドロフランで抽出し、次いで水洗、飽和食塩水で洗
浄した後に溶媒を除去して下記のクロメン化合物(C)
の粗生成物を得た。次いで、該粗生成物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーによる精製を行い、HPLC純
度99%の生成物3g(収率24%)を得た。
【0053】
【化17】 製造例2 下記のナフタレン誘導体
【0054】
【化18】 10g(43mmol)と、下記のプロパギルアルコー
ル誘導体
【0055】
【化19】 15g(47mmol)とをトルエン500mlに溶解
し、さらにp−トルエンスルホン酸を0.5g加えて1
時間還流した。次いで、得られた下記クロメン化合物
(D)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精
製を行い、HPLC純度99%の生成物5.6g(収率
25%)を得た。
【0056】
【化20】 実施例1 製造例1で得られた精製後のクロメン化合物(C)1g
をトルエン10mlに加え、加熱して溶解させた後、室
温まで自然冷却し、室温で終夜攪拌して結晶を析出させ
た。析出した結晶粉末を濾過により採取し、採取物を重
量減少がなくなるまで、80℃で減圧乾燥を行ったとこ
ろ、黄色粉末状の結晶0.53gが得られた。
【0057】該結晶について元素分析値を行なったとこ
ろ、C85.01%、H5.70%、N1.59%、O
7.74%であり、クロメン化合物(C)のみの計算値
では一致せず、クロメン化合物(C)とトルエンの1:1
の分子化合物の計算値であるC84.97%、H5.6
8%、N1.68%、O7.67%に極めてよく一致し
た。また、該結晶についてプロトン核磁気共鳴スペクト
ルを測定したところ、クロメン化合物(C)由来のピーク
である;芳香族プロトン及びアルケンのプロトンに基づ
くδ5.0〜8.6ppmの25H分のピーク、メトキ
シ基に基づくδ4.0及び3.5ppmに基づく6H分
のピーク、及びモルホリノ基に基づくδ3.8及び3.
1ppmの4H分のピーク;の他に、δ2.36ppm
にトルエンのメチル基に基づく3H分のピーク、及びト
ルエンの芳香族プロトンに基づく7.2〜7.3ppm
の5H分のピークを確認した。積分値の比較より、クロ
メン化合物(C)とトルエンのモル比は、1:1であっ
た。該分子化合物のNMRチャートを図1に示した。さ
らに、上記結晶について、セイコーインスツルメント
(株)製EX−PAR6000示差熱分析装置を用い融
点測定を行ったところ、融点である162℃以外には、
何の吸熱ピークも観測できず、トルエンの沸点である1
10℃にも吸熱ピークも観測できなかった。示差熱分析
のチャートを図2に示す。以上の結果より、単に上記結
晶においてはクロメン化合物(C)に溶媒であるトルエ
ンが単に付着しているのではなく、上記結晶はクロメン
化合物とトルエンとの分子化合物であることが確認され
た。
【0058】上記分子化合物のモノマーに対する溶解速
度を調べる目的で、該分子化合物5重量部をテトラエチ
レングリコールジメタクリレート70重量部、トリエチ
レングリコールジメタクリレート15重量部、グリシジ
ルメタクリレート10重量部及び2−ヒドロエチルメタ
クリレート5重量部の混合物からなるモノマー液に25
℃で添加し、十分に攪拌しながら目視で完全溶解するま
での時間を計測したところ、5重量部と高添加量である
にも拘わらず、完全溶解に要した時間はわずか6分であ
り、速やかに溶解した。
【0059】実施例2 製造例2で得られた精製後のクロメン化合物(D)1g
をトルエン5mlに加え、加熱して溶解させた後、室温
まで自然冷却し、室温で終夜攪拌して結晶を析出させ
た。析出した結晶粉末を濾過により採取し、採取物を重
量減少がなくなるまで、80℃で減圧乾燥を行ったとこ
ろ、黄色粉末状の結晶0.46gが得られた。
【0060】該結晶の元素分析値は、C78.20%、
H6.45%、F3.11、N4.66%、O7.88
%であり、クロメン化合物(D)のみの計算値では一致
せず、クロメン化合物(D)とトルエンの1:1の分子
化合物の計算値であるC78.15%、H6.39%、
N4.56%、O7.81%に極めてよく一致した。ま
た、該結晶のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定した
ところ、クロメン化合物(D)由来のピークである;モ
ルホリノ基に基づくδ3.0〜3.1及び3.7〜3.
8ppmに16H分のピーク、芳香族プロトン及びアル
ケンのプロトンに基づくδ6.0〜8.4ppmに15
H分のピーク;の他に、δ2.36ppmにトルエンの
メチル基に基づく3H分のピーク、及びトルエンの芳香
族プロトンに基づく7.2〜7.3ppmの5H分のピ
ークを確認した。積分値の比較より、クロメン化合物
(D)とトルエンのモル比は、1:1であった。また、
融点及び溶解速度を実施例1と同様な方法で測定した。
融点及び溶解速度を表1に示した。
【0061】
【表1】 比較例1 製造例1で得られた精製後のクロメン化合物(C)1g
を酢酸エチル20mlに加熱溶解し、室温で終夜攪拌し
た。析出した粉末を濾過して、重量減少がなくなるま
で、80℃で減圧乾燥を行い、淡緑色の結晶0.77g
を得た。
【0062】該結晶の元素分析値は、C84.20%、
H5.33%、N1.99%、O8.68%であり、ク
ロメン化合物(C)の計算値であるC84.19%、H
5.30%、N1.89%、O8.63%に極めてよく
一致した。また、該結晶のプロトン核磁気共鳴スペクト
ルを測定したところ、実施例1に示したクロメン化合物
(C)由来のピークを確認したのみであった。
【0063】以上の結果より、該結晶はクロメン化合物
(C)であることが確認でき、実施例1と異なり、酢酸
エチルとは分子化合物を形成しないことが確認できた。
【0064】また該生成物の融点及び溶解速度を、溶解
速度を求める際の該生成物の単量体液体に対する添加量
を0.5重量部に変えた以外、実施例1と同様な方法で
測定した。結果を表2に示した。また該生成物の示差熱
分析のチャートを、実施例1の分子化合物との比較のた
め図3に示した。
【0065】
【表2】 比較例2 製造例2で得られた精製後のクロメン化合物(D)1g
をアセトニトリル10mlに加熱溶解し、室温で終夜攪
拌した。析出した粉末を濾過して、重量減少がなくなる
まで、80℃で減圧乾燥を行い、オレンジ色の結晶0.
89gを得た。
【0066】該生成物の元素分析値は、C75.89
%、H5.89%、F3.76%、N5.44%、O
9.22%であり、クロメン化合物(D)の計算値であ
るC75.84%、H5.98%、F3.64%、N
5.36%、O9.18%に極めてよく一致した。ま
た、該結晶のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定した
ところ、実施例2に示したクロメン化合物(D)由来の
ピークを確認したのみであった。
【0067】以上の結果より、該結晶はクロメン化合物
(D)であることが確認でき、実施例2と異なり、アセ
トニトリルとは分子化合物を形成しないことが確認でき
た。
【0068】また該生成物の融点及び溶解速度を、溶解
速度を求める際の該生成物の単量体液体に対する添加量
を0.5重量部に変えた以外、実施例1と同様な方法で
測定した。結果を表2に示した。
【0069】表1と表2を比較すると、実施例の方が対
応する比較例に比べ、融点が低下しており、添加量が1
0倍にも係わらず、溶解速度が数10倍以上速くなって
いることが分かる。
【0070】実施例3 実施例1で溶解速度の測定に用いた分子化合物が溶解し
たモノマー液(フォトクロミック単量体)100重量部
を光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイ
ルジフェニルフォスフィンオキシド0.02重量部、熱
重合開始剤としてt−ブチルパーオキシー2−エチルヘ
キサネート0.5重量部添加し、十分混合した後、減圧
下で脱気した。この混合液をガラス板とエチレン−酢酸
ビニル共重合体からなるガスケットを用いて構成された
鋳型の中に注入し、1.5kwメタルハライドランプ
(熱戦カットフィルター付き)を用い、25cmの距離
から活性エネルギー線を両面から1分間照射し、光重合
を行った。その後重合炉にて110℃1時間硬化して、
ガラスモールドより離型し、厚さ0.1mmのフォトク
ロミック重合体を得た。
【0071】得られた厚さ0.1mmのフォトクロミッ
ク重合体に、浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2
480(300W)SHL−100をエアロマスフィル
ター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、重合体
表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2
245nm=24μW/cm2で120秒間照射して発
色させ、フォトクロミック特性を測定した。フォトクロ
ミック特性は次のようなもので表した。
【0072】最大吸収波長(λmax):(株)大塚
電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォト
ディテクターMCPD1000)によりこの重合体の発
色後のλmaxを求めた。
【0073】発色濃度{ε(120)−ε(0)}:
前記最大吸収波長における、120秒間照射した後の吸
光度ε(120)と上記ε(0)との差。この値が高い
ほどフォトクロミック性が優れているとい言える。通常
の調光眼鏡材料として用いる為には、該発色濃度が1.
0以上であることが好ましい。
【0074】退色速度〔t1/2(min.)〕=120秒
間照射後、この重合体の吸光度が〔ε(120)−ε
(0)〕の1/2まで低下するのに要する時間。この時
間が短いほどフォトクロミック性が優れていると言え
る。
【0075】結果を表3に示した。
【0076】
【表3】 実施例4 フォトクロミック単量体として、実施例2で溶解速度の
測定に用いた分子化合物が溶解したモノマー液(フォト
クロミック単量体)100重量部を用いた以外、実施例
3と同様に行った。結果を表3に示した。
【0077】比較例3 フォトクロミック単量体として、比較例1で調整したフ
ォトクロミック単量体を用いた以外、実施例3と同様に
行った。結果を表4に示した。
【0078】
【表4】 比較例4 フォトクロミック単量体として、比較例2で調整したフ
ォトクロミック単量体を用いた以外、実施例3と同様に
行った。結果を表4に示した。
【0079】表3および4から分かるように、実施例の
方が対応する比較例に比べ、フォトクロミック重合体中
のクロメン化合物の含量が約10倍となっているため、
0.1mmと薄い重合体の場合でも発色濃度が高く、優
れたフォトクロミック特性示している。
【0080】実施例5 フォトクロミック単量体として、実施例1で調製したフ
ォトクロミック単量体100重量部を光重合開始剤とし
て2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォス
フィンオキシド0.02重量部、熱重合開始剤としてt
−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサネート0.5重
量部添加し、十分混合した後、減圧下で脱気した。この
混合液をガラス板とADC樹脂板(厚み2.0mm)お
よびエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケット
を用いて構成された鋳型の中に注入し、1.5kwメタ
ルハライドランプ(熱戦カットフィルター付き)を用
い、25cmの距離から活性エネルギー線を両面から1
分間照射し、光重合を行った。その後重合炉にて110
℃1時間硬化して、ガラスモールドより離型し、片面に
厚さ0.1mmのフォトクロミック重合体が積層したA
DC樹脂を得た。その光学材料のフォトクロミック特性
を実施例3と同様な方法にて評価したところ、実施例3
におけるフォトクロミック特性とほぼ同等であった。
【0081】
【発明の効果】本発明の分子化合物からなるフォトクロ
ミック材料は、モノマー等に対する溶解性が非常に高
く、この性質を利用することにより、高分子マトリック
スに均一に高濃度で分散させることが容易である。した
がって、特に薄さが要求させる用途、例えばフォトクロ
ミック重合体の薄膜を作製し、調光用途に用いる場合に
おいて、フォトクロミック化合物の含有量が高くできる
ため優れたフォトクロミック特性を有する薄膜を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた結晶(分子化合物)のプ
ロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【図2】 実施例1で得られた結晶(分子化合物)の示
差熱分析チャートである。
【図3】 比較例1で得られた結晶の示差熱分析チャー
トである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロメン化合物と芳香族化合物との分子
    化合物からなることを特徴とするフォトクロミック材
    料。
  2. 【請求項2】 クロメン化合物が下記一般式(1) 【化1】 {式中、R1及びR2は、それぞれ置換若しくは非置換の
    アリール基であり、R1及びR2の内少なくとも一方は置
    換基として置換若しくは非置換のアミノ基を少なくとも
    1つ有するフェニル基であり、下記式(2) 【化2】 で示される2価の基は、前記一般式(1)中の2H―ピ
    ラン環に縮合するベンゼン環を構成要素とする置換基を
    有していてもよい2価の縮合多環式有機基である。}で
    示されるクロメン化合物である請求項1に記載のフォト
    クロミック材料。
  3. 【請求項3】 下記一般式(1) 【化3】 {式中、R1及びR2は、それぞれ置換若しくは非置換の
    アリール基であり、R1及びR2の内少なくとも一方は置
    換基として置換若しくは非置換のアミノ基を少なくとも
    1つ有するフェニル基であり、下記式(2) 【化4】 で示される2価の基は、前記一般式(1)中の2H―ピ
    ラン環に縮合するベンゼン環を構成要素とする置換基を
    有していてもよい2価の縮合多環式有機基である。}で
    示されるクロメン化合物と分子量70〜150の芳香族
    化合物との分子化合物。
  4. 【請求項4】 溶液中で分子量70〜150の芳香族化
    合物と前記一般式(1)で示されるクロメン化合物とを
    接触させて該クロメン化合物と該芳香族化合物との分子
    化合物を形成し、形成した分子化合物の結晶を析出させ
    ることを特徴とする請求項3に記載の分子化合物の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載のフォトクロミッ
    ク材料を含有してなるフォトクロミック光学材料。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2に記載のフォトクロミッ
    ク材料が溶解した重合性単量体を重合硬化させることを
    特徴とする請求項5に記載のフォトクロミック光学材料
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 レンズの少なくとも一方の面に請求項5
    に記載のフォトクロミック光学材料からなる層が積層さ
    れてなることを特徴とするフォトクロミックレンズ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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