JP2002160375A - 静電アクチュエータ及びその製造方法並びにインクジェットヘッド - Google Patents

静電アクチュエータ及びその製造方法並びにインクジェットヘッド

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JP2002160375A
JP2002160375A JP2000355783A JP2000355783A JP2002160375A JP 2002160375 A JP2002160375 A JP 2002160375A JP 2000355783 A JP2000355783 A JP 2000355783A JP 2000355783 A JP2000355783 A JP 2000355783A JP 2002160375 A JP2002160375 A JP 2002160375A
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diaphragm
silicon substrate
electrostatic actuator
substrate
membrane
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JP2000355783A
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Makoto Tanaka
田中  誠
Kenichiro Hashimoto
憲一郎 橋本
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不良発生が多い。 【解決手段】 シリコン基板1をベース基板3に接合し
た後、シリコン基板1とベース基板3との接合面上に補
正パターン5を配置した状態でシリコン基板1を異方性
エッチングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静電アクチュエータ及び
その製造方法並びにインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の
画像記録装置として用いるインクジェット記録装置にお
いて使用するインクジェットヘッドは、インク滴を吐出
するノズルと、このノズルが連通する吐出室(圧力室、
加圧液室、液室、インク流路等とも称される。)と、こ
の吐出室内のインクを加圧するエネルギーを発生するエ
ネルギー発生手段とを備えて、エネルギー発生手段を駆
動することで吐出室内インクを加圧してノズルからイン
ク滴を吐出させるものである。
【0003】このようなインクジェットヘッドとして、
特開平6−71882号公報などに記載されているよう
に、吐出室の壁面を形成する振動板とこれに対向する電
極とからなる静電アクチュエータを用いて、振動板を静
電気力によって変形させることで吐出室内容積を変化さ
せてインク滴を吐出させる静電型インクジェットヘッド
がある。また、静電アクチュエータは、インクジェット
ヘッドに限らず、μモータ、マイクロポンプ、マイクロ
リレー(マイクロスイッチ)などにも用いられるが、以
下ではインクジェットヘッドに適用した場合を例に説明
する。
【0004】このような静電型インクジェットヘッドに
あっては、従来、例えば特開平6−23986号公報、
特開平6−71882号公報あるいは特開平9−267
479公報などに記載されているように、結晶面方位
(110)のシリコン基板を用いて、シリコン基板にボ
ロンを拡散した高濃度ボロン拡散層を形成し、このシリ
コン基板を異方性エッチングすることにより、高濃度ボ
ロン拡散層でエッチングストップすることから、高濃度
ボロン拡散層による振動板や振動板と同等のメンブレン
を形成するようにしている。
【0005】このように結晶面方位(110)のシリコ
ン基板を用いて異方性エッチングを行う場合、結晶面の
違いによるエッチングレートの差によって(111)面
のエッチングレートが極端に小さくなる、或いは小さく
するように利用することで、シリコン基板には、基板面
に対して垂直な2つの(111)面を現出させることが
できる。
【0006】すなわち、図17(a)に示すように、
(110)面方位のシリコン基板を異方性エッチングし
て平面形状で平行四辺形状の貫通穴或いは振動板面10
0を形成した場合、同図(a)に示すように基板面(紙
面)に対して垂直となる2つの面101、102が現
れ、2つの角には(111)面であるが点線矢印方向へ
テーパ面をもつ部分103、104が現れる。なお、平
行四辺形の振動板面を得るには、同図(a)に示すよう
な平行四辺形のマスクパターンを用いることもできる
し、或いは同図(b)に示すような平行四辺形の2つの
角105、106を切り落とした六角形のマスクパター
ンを用いることもできる。
【0007】このように(110)面方位のシリコン基
板を使用する理由は、基板面内に垂直の(111)面が
存在し、異方性エッチングにより垂直加工できること
と、テーパ面が少なく、同じ振動板面積を得るのに、加
工面積が小さくて済むという利点があることによる。し
かしながら、この場合、マスク面(エッチング表面)及
び振動板面が平行四辺形となる。したがって、長方形状
に加工することが難しく、通常は、図18に示すよう
に、基板110に平行四辺形のパターンを短冊状になら
べて、全体として、長方形111に近い形状の振動板面
100を得るようにしている。
【0008】ここで、図19に示すように、エッチング
マスク121として平行四辺形のパターンを連続させた
マスクパターン(開口)122を形成してエッチングを
行った場合には、凸型(孤立型)のパターンが生じ、こ
の凸パターンはストップ性に乏しいため、エッチングが
進んでしまい、エッチングパターンが乱れることにな
る。
【0009】そこで、例えば、図20(a)、図21
(a)、図22(a)に示すように、各平行四辺形のパ
ターン部123の間に一定幅の補正パターン131、中
央部を幅狭にした補正パターン132、中央部をなくし
た補正パターン133などを形成したエッチングマスク
121を用いるようにしている。これらのエッチングマ
スク121を用いてエッチングを行った場合、エッチン
グ終了時には各図(b)に示すようにエッチングされ、
エッチングマスク121を除去した状態では各図(c)
に示すように略長方形状の振動板面100が形成された
基板110が得られる。
【0010】このように、この補正パターン131、1
32、133の部分はエッチング終了後には、最初の補
正パターンの原形が残らない場合が多い。また、その場
合の補正パターン131、132、133のマスク層
は、ブリッジしてその原形を留めている場合もあるが、
こわれて液中に飛散している場合も少なくない。このマ
スク層の再付着も以後の工程の不良を招きかねないが、
マスク層をウェット除去することでこれを防止できる。
例えば、窒化膜の場合は熱燐酸で除去すればよい。
【0011】ここで、補正パターンの形状については、
図18に示す補正パターン132の形状が一番良好であ
った。図19に示す形状では補正パターン133が後退
し、またその後退量もばらつくため、良好な形状が得ら
れなかった。また、メンブレン領域(振動板面)100
の部分が図17或いは図18のように短冊状に区切られ
ていないため、異方性エッチング時の気泡の溜まりかた
の違いによって、メンブレン領域100に所々厚さムラ
が発生するという問題もある。エッチングする深さにも
よるが、例えば、100〜400μm程度の深さをエッ
チングする場合には、1つの開口幅は少なくとも1mm
程度以下の幅にすることにより、大きな厚さむらを抑え
ることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような大きな略長方形状の振動板面やメンブレンを形
成するために、マクスパターンに個々の平行四辺形状の
パターンを短冊状にならべるとともに補正パターンを設
けて、これをマスクとしてエッチングを行った場合、エ
ッチング中に補正パターンに対応する部分が折れたり、
メンブレンが破れたりすることが多々生じ、不良発生が
多くなるという課題がある。
【0013】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、不良発生の少ない静電アクチュエータ及びその
製造方法並びにインクジェットヘッドを提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、振
動板又は振動板と同等のメンブレンを形成するシリコン
基板をベース基板に接合した後、シリコン基板に振動板
又はメンブレンを形成する製造方法であって、エッチン
グのマスクの補正パターンとなる部分がベース基板との
接合面上にある構成としたものである。
【0015】本発明に係る静電アクチュエータの製造方
法は、振動板又は振動板と同等のメンブレンを形成する
シリコン基板をベース基板に接合した後、シリコン基板
に振動板又はメンブレンを形成する製造方法であって、
振動板又はメンブレン間の柱となる部分がベース基板と
の接合面上に重なっている構成としたものである。
【0016】本発明に係る静電アクチュエータは、複数
の振動板とこれに対向する複数の電極とを複数列有し、
各列の振動板を千鳥状に配置した静電アクチュエータで
あって、各列の電極の取り出し部が対称位置に配置さ
れ、振動板又は振動板と同等のメンブレンが本発明に係
る静電アクチュエータの製造方法で形成されている構成
としたものである。
【0017】本発明に係るインクジェットヘッドは、イ
ンク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する吐出
室と、この吐出室の壁面を形成する振動板と、この振動
板に対向する電極とを備えたインクジェットヘッドであ
って、振動板又は振動板と同等のメンブレンが本発明に
係る静電アクチュエータの製造方法で形成されている構
成としたものである。
【0018】ここで、複数の振動板とこれに対向する複
数の電極とを複数列有し、各列の振動板を千鳥状に配置
し、各列の電極の取り出し部を対称位置に配置したこと
が好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明に係る静電アク
チュエータの製造工程の第1実施形態を説明する説明図
である。先ず、同図(a)に示すように結晶面方位(1
10)のシリコン基板1に振動板(又はこれと同等のメ
ンブレン)を形成するためのエッチングストップ層とし
ての高濃度ボロン拡散層1aを形成する。一方、同図
(b)に示すようにシリコン基板1を接合するためのベ
ース基板3に凹部4を形成する。なお、ベース基板3と
しては、シリコン基板やパイレックス(登録商標)ガラ
ス(ホウ珪酸ガラス)基板などを用いることができる。
【0020】そして、同図(c)に示すようにシリコン
基板1をベース基板3上に接合する。ここで、基板1、
3の接合方法には、その材料によって、直接接合法、陽
極酸化法、接着剤を用いた接合法などを採れる。ここで
は、シリコン基板1と、アルカリイオンを含んだガラス
板を用いたベース基板3とを陽極接合した。
【0021】その後、シリコン基板1の表面にマスク層
を形成してパターングし、このマスク層には同図(c)
のように補助パターン5を形成している。この補助パタ
ーン5は、シリコン基板1とベース基板3との接合面
上、すなわち、ベース基板3に形成した凹部4、4間の
隔壁4a上にある位置に形成している。なお、マスク層
としては、酸化膜や窒化膜等を用いることができるが、
特に、LP−CVDによる窒化膜がマスク層としては良
好である。
【0022】次いで、マスク層をマスクとしてシリコン
基板1を高濃度のKOH液で異方性エッチングを行う。
このとき、同図(c)に示すように、補助パターン5の
下側に位置するシリコン基板1の柱部6は、サイドエッ
チングによって細ることになるが、その下でベース基板
3の隔壁4a上にしっかり固定されているため、壊れる
ことがない。
【0023】そして、エッチングが高濃度ボロン拡散層
1aに達すると急激にエッチレートが低下してエッチス
トップする。このエッチングが最終的に終了したときに
は、同図(d)に示すように、補助パターン5の下部の
シリコン基板1(柱部11)が原形を留めないようにし
た。その後、ブリッジ状のマスク層を補助パターン5を
含めて熱燐酸などで除去して、同図(e)に示すように
振動板又はこれと同等のメンブレン10を形成した。
【0024】この本発明の第1実施形態と比較する第1
比較形態の製造工程について図2を参照して簡単に説明
する。この比較形態は、同図(c)に示すように、補正
パターン5がシリコン基板1とベース基板3との接合面
(隔壁4a)上にない場合の例であり、この場合には同
図(d)に示すように補正パターン5の下側のシリコン
基板1の柱部6がプロセスの途中で折れて、高濃度ボロ
ン拡散層2の振動板又はこれと同等のメンブレン10と
なる部分が破れて開口7が発生する。
【0025】このように、シリコン基板1とこれを固定
するベース基板3を接合し、その後に振動板或いは振動
板と同等のメンブレン10を形成する場合において、エ
ッチングマスクの補正パターン部が、ベース基板3との
接合面上にあることにより、良好なメンブレン形成を行
なうことができる。
【0026】なお、この実施形態では補正パターンで説
明したが、シリコン基板に複数の振動板或いは振動板と
同等のメンブレンを形成する場合、振動板間或いは振動
板と同等のメンブレン間に柱となる部分をい残す場合に
も、柱となる部分がシリコン基板とベース基板との長手
方向の接合面上にある方が良く、少なくとも接合面と重
なっていることが必要である。この場合、振動板或いは
メンブレンの幅と長さの比にもよるが、数十μm以上の
柱幅を有する場合には、エッチング中に破損する確立は
低くなるが、その後工程やデバイス使用時の機械的負荷
や衝撃に極端に弱いため、柱となる部分がシリコン基板
とベース基板との接合面上にある方が良く、少なくとも
接合面と重なっていることは、欠かせない条件である。
【0027】次に、本発明に係る静電アクチュエータを
含むインクジェットヘッドについて図3乃至図5を参照
して説明する。なお、図3は同ヘッドの振動板長手方向
の断面説明図、図4は図3のA−A線に沿う振動板短手
方向の断面説明図、図5は図3のB−B線に沿う振動板
短手方向の断面説明図である。
【0028】このインクジェットヘッドは、結晶面方位
(110)の単結晶シリコン基板を用いた流路基板21
と、流路基板21の下側に設けた単結晶シリコン基板を
用いたベース基板である電極基板23と、流路基板21
の上側に設けたノズル板24とを重ねて接合した積層構
造体であり、これらにより、複数のノズル25、各ノズ
ル25が連通するインク流路である液室26、液室26
に流体抵抗部27を介して連通する共通インク室28な
どを形成している。
【0029】流路基板21には、液室26及びこの液室
26の底部となる壁面を形成する振動板30、各液室2
6を隔てる隔壁を形成する凹部、共通インク室28を形
成する凹部などを形成している。
【0030】この流路基板21は、シリコン基板に振動
板となる厚み(深さ)に高濃度P型不純物であるボロン
を拡散し、この高濃度ボロン拡散層をエッチングストッ
プ層として異方性エッチングを行うことにより液室26
となる凹部等を形成するときに高濃度ボロン拡散層を残
して所定の処理を施すことにより所望厚さの振動板30
を得たものである。なお、高濃度P型不純物としては、
ボロンの他、ガリウム、アルミニウム等も用いることが
できる。また、アルカリ異方性エッチングストップ層と
してシリコン酸化膜やシリコン窒化膜を用いて、振動板
主材料に単結晶シリコン(この構造の基板は一般にSO
I構造と呼ばれる。)や多結晶シリコンを用いることも
できる。
【0031】電極基板23には、熱酸化法などで厚さ2
μmの酸化膜23aを形成して、この酸化膜23aに深
さ0.3μmの凹部34を形成して、この凹部14を形
成しない部分をスペーサ部33とし、また、凹部34の
底面に振動板30に所定(0.2μmとしている。)の
ギャップ36を置いて対向する電極35を形成し、この
電極35と振動板30によって、振動板30を変位させ
て液室26の内容積を変化させるアクチュエータ部を構
成している。
【0032】この電極基板23の電極35上には振動板
30との接触によって電極35が破損するのを防止する
ため、例えば0.1μm厚のシリコン酸化膜などの絶縁
層37を成膜している。なお、電極35には電極基板2
3の端部付近まで延設して外部駆動回路と接続手段を介
して接続するための電極パッド部(電極取り出し部)3
5aを形成している。また、電極基板23には共通イン
ク室28へ外部からインクを供給するためのインク供給
口29を形成している。
【0033】この電極基板23は、熱酸化膜23aを形
成したシリコン基板上に、HF水溶液などでエッチング
により凹部34を形成し、この凹部34に窒化チタンな
どの高耐熱性を有する電極材料をスパッタ、CVD、蒸
着などの成膜技術で所望の厚さに成膜し、その後、フォ
トレジストを形成してエッチングすることにより、凹部
34にのみ電極35を形成したものである。
【0034】ここでは、電極35は、シリコン基板にエ
ッチングで形成した深さ0.3μmの凹部34内に窒化
チタンを0.1μmの厚さにスパッタし形成している。
したがって、このヘッドにおいては、電極基板23と流
路基板21とを接合した後のギャップ36の長さ(振動
板30と電極35との間隔)は、0.2μmとなってい
る。
【0035】そして、これらの流路基板21と電極基板
32とは直接接合している。この場合、流路基板21の
振動板30の電極側表面(接合面)は研磨加工を施して
表面粗さをRa=0.5nm以下にしている。これによ
り、流路基板1と電極基板2とを強固に信頼性の高い接
合を行うことができる。
【0036】また、ノズル板24は、厚さ50μmのス
テンレス材(SUS)を用いて、ノズル25及び流体抵
抗部27を形成している。
【0037】このインクジェットヘッドにおいては、電
極35に駆動回路(ドライバIC)によって0Vから3
5Vのパルス電位を印加し、電極35の表面がプラスに
帯電すると、対応する振動板30の下面はマイナス電位
に帯電する。したがって、振動板30は静電気の吸引作
用により下方へ撓む。次いで、電極35の電位をOFF
にすると、振動板30は復元する。これにより、液室2
6内の圧力が急激に上昇し、ノズル25よりインク滴が
吐出される。次に、振動板30が再び電極35側へ撓む
ことにより、インクが共通インク室28より流体抵抗部
27を通じて液室26内に補給される。
【0038】次に、このインクジェットヘッドにおける
本発明に係る静電アクチュエータの製造工程の第2実施
形態について図6乃至図8をも参照して説明する。な
お、図6は同製造工程を説明する断面説明図、図7は製
造途中の段階を示す断面説明図、図8は図7のC−C線
に沿う断面説明図である。
【0039】先ず、図6(a)に示すように結晶面方位
(110)の流路基板21となるシリコン基板51に振
動板(又はこれと同等のメンブレン)を形成するための
エッチングストップ層としての高濃度ボロン拡散層51
aを形成する。一方、同図(b)に示すようにシリコン
基板51を接合するための電極35等を形成したベース
基板である電極基板23を形成する。
【0040】そして、同図(c)に示すようにシリコン
基板51をベース基板である電極基板23上に接合す
る。ここでは電極基板23にもシリコン基板を用いてい
るので、シリコン−シリコンの直接接合で接合した。
【0041】その後、シリコン基板51の表面にマスク
層を形成してパターングし、このマスク層には同図
(c)のように補助パターン55を形成している。この
補助パターン55は、シリコン基板51と電極基板23
との接合面上、すなわち、電極基板23に形成したスペ
ーサ部33上にある位置に形成している。なお、マスク
層としては、酸化膜や窒化膜等を用いることができる
が、特に、LP−CVDによる窒化膜がマスク層として
は良好である。
【0042】次いで、マスク層をマスクとしてシリコン
基板51を高濃度のKOH液で異方性エッチングを行
う。このとき、同図(c)に示すように、補助パターン
55の下側に位置するシリコン基板51の柱部56は、
サイドエッチングによって細ることになるが、その下で
電極基板23のスペーサ部33上にしっかり固定されて
いるため、壊れることがない。
【0043】そして、エッチングが高濃度ボロン拡散層
51aに達すると急激にエッチレートが低下してエッチ
ストップする。このエッチングが最終的に終了したとき
には、同図(d)に示すように、補助パターン55の下
部のシリコン基板51(柱部56)が原形を留めないよ
うにした。その後、ブリッジ状のマスク層を補助パター
ン55を含めて熱燐酸などで除去して、同図(e)及び
図7、図8に示すように振動板30又はこれと同等のメ
ンブレン30aを形成した。
【0044】この本発明に係る第2実施形態と比較する
第2比較形態の製造工程について図9を参照して簡単に
説明する。この第2比較形態は、同図(c)に示すよう
に、補正パターン55がシリコン基板51と電極基板2
3との接合面(スペーサ部33)上にない場合の例であ
り、この場合には同図(d)に示すように補正パターン
55の下側のシリコン基板51の柱部56がプロセスの
途中で折れて、高濃度ボロン拡散層51aの振動板又は
これと同等のメンブレンとなる部分が破れて開口57が
発生する。
【0045】このように、流路基板21となるシリコン
基板51とこれを固定するベース基板となる電極基板2
3を接合し、その後に振動板30或いは振動板と同等の
メンブレン30を形成する場合において、エッチングマ
スクの補正パターン55が、流路基板21と電極基板2
3との接合面(スペーサ部33)上にあることにより、
良好なメンブレン形成を行なうことができ、不良の発生
を低減することができる。
【0046】次に、本発明に係る静電アクチュエータを
含むインクジェットヘッドの他の例について図10乃至
図12を参照して説明する。なお、図10は同ヘッドの
ノズル板を除いた静電アクチュエータ部の上面説明図、
図11は同ヘッドをヘッドチップ単位に切り出す前の状
態の電極基板の上面説明図、図12は同ヘッドをヘッド
チップ単位に切り出す前の流路基板を含む上面説明図で
ある。
【0047】このインクジェットヘッドは、一つのヘッ
ドについて振動板30を二列配置し、各列の振動板30
は千鳥状に配置するとともに、各列の振動板30に対向
する各列の電極55の電極パッド部55aは、図11に
も示すように、電極55のパターンを屈曲させること
で、各列で左右対称に配置している。
【0048】したがって、一枚のシリコンウエハから多
数個取りを行う場合には、図11及び図12に示すよう
に、各ヘッドチップHC1、HC2……間の連続部61
(D−D線はダイシング線)において、各チップHCの
電極パッド部55a、55aを互いに同一ライン状に並
ばせることができる。
【0049】これによって、図13(a)、(b)、
(c)に示すように補正パターン71、72、73を有
する平行四辺形状のパターン74を並べたマスク70を
用いることができるようになる。なお、補正パターン7
1は各平行四辺形のパターン74の間に形成した一定幅
のパターン、補正パターン72は補正パターン71の中
央部を幅狭にしたパターン、補正パターン73は補正パ
ターン72の幅狭の中央部をなくしたパターンである。
【0050】これに対して、図14に示すように、一つ
のヘッドについて振動板30を二列配置し、各列の振動
板30は千鳥状に配置するとともに、各列の振動板30
に対向する各列の電極55の電極パッド部55aは、電
極55のパターンをそのまま直線的に引出した場合、電
極パッド部55aは各列で千鳥状配置になる。
【0051】そのため、一枚のシリコンウエハから多数
個取りを行う場合には、図15に示すように、各ヘッド
チップHC1、HC2……間の連続部61において、各
チップHCの電極パッド部55a、55aを互いに千鳥
状になり、前述した図13(a)、(b)、(c)に示
すような補正パターン71、72、73を有するマスク
70を用いることができなくなる。この場合、図16に
示すような平行四辺形のパターン74を交互に並べたエ
ッチングマスク75を用いることはできるが、このよう
な凸型(孤立型)のパターンでは、エッチング時の後退
量が大きく補正パターンとして十分でないことは前述し
たとおりである。
【0052】このように、複数の振動板とこれに対向す
る複数の電極とを複数列有し、各列の振動板を千鳥状に
配置し、各列の電極の取り出し部を対称位置に配置する
ことで、補助パターンを使用することができて異方性エ
ッチング工程中の不良発生が少なくなる。また、ブリッ
ジ状の補助パターンも使用できるため、良好なプロセス
を行えて、メンブレンの厚さムラへの影響も少なく安定
したプロセスを行うことができる。さらに、電極取り出
し部が常に左右対称にできることから、他の部品との整
合性も向上し、コストを低減できるようになる。
【0053】なお、上記各実施形態においては、本発明
に係る静電型アクチュエータ及びその製造方法を主に静
電型インクジェットヘッドに適用した例で説明したが、
静電型アクチュエータとしては前述したようにマイクロ
ポンプ、マイクロリレーなどのアクチュエータにも適用
することができる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る静電
アクチュエータの製造方法によれば、振動板又は振動板
と同等のメンブレンを形成するシリコン基板をベース基
板に接合した後、シリコン基板に振動板又はメンブレン
を形成する製造方法であって、エッチングのマスクの補
正パターンとなる部分がベース基板との接合面上にある
構成としたので、不良発生が低減し、良好なメンブレン
形成を行うことができる。
【0055】本発明に係る静電アクチュエータの製造方
法によれば、振動板又は振動板と同等のメンブレンを形
成するシリコン基板をベース基板に接合した後、シリコ
ン基板に振動板又はメンブレンを形成する製造方法であ
って、振動板又はメンブレン間の柱となる部分がベース
基板との接合面上に重なっている構成としたので、不良
発生が低減し、良好なメンブレン形成を行うことができ
る。
【0056】本発明に係る静電アクチュエータによれ
ば、複数の振動板とこれに対向する複数の電極とを複数
列有し、各列の振動板を千鳥状に配置した静電アクチュ
エータであって、各列の電極の取り出し部が対称位置に
配置され、振動板又は振動板と同等のメンブレンが本発
明に係る静電アクチュエータの製造方法で形成されてい
る構成としたので、不良発生が低減して良好な振動板や
メンブレンを形成することができるとともに、安定した
プロセスを行うことができる。
【0057】本発明に係るインクジェットヘッドによれ
ば、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通す
る吐出室と、この吐出室の壁面を形成する振動板と、こ
の振動板に対向する電極とを備えたインクジェットヘッ
ドであって、振動板又は振動板と同等のメンブレンが本
発明に係る静電アクチュエータの製造方法で形成されて
いる構成としたので、不良発生が低減して良好な振動板
やメンブレンを形成することができる。
【0058】ここで、複数の振動板とこれに対向する複
数の電極とを複数列有し、各列の振動板を千鳥状に配置
し、各列の電極の取り出し部を対称位置に配置すること
で、補助パターンを用いたメンブレム形成を行うことが
でき、不良発生が低減し、また他部品との整合性を向上
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る静電型アクチュエータの製造方法
の第1実施形態を説明する断面説明図
【図2】同実施形態と比較する第1比較形態を説明する
断面説明図
【図3】本発明に係る静電アクチュエータを含むインク
ジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図4】図3のA−A線に沿う振動板短手方向の断面説
明図
【図5】図3のB−B線に沿う振動板短手方向の断面説
明図
【図6】同ヘッドにおける本発明の係る静電アクチュエ
ータの製造工程の第2実施形態を説明する断面説明図
【図7】同製造工程の途中の断面説明図
【図8】図8のC−C線に沿う断面説明図
【図9】同実施形態と比較する第2比較形態を説明する
断面説明図
【図10】本発明に係るインクジェットヘッドの他の例
を説明するノズル板を除いた上面説明図
【図11】同ヘッドのチップ分割前の電極基板の上面説
明図
【図12】同ヘッドのチップ分割前のノズル板を除いた
上面説明図
【図13】同ヘッドの製造工程に用いることができるエ
ッチングマスクパターンの異なる例を説明する上面説明
【図14】同ヘッドと比較する比較例のヘッドのノズル
板を除いた上面説明図
【図15】同比較例のヘッドのチップ分割前のノズル板
を除いた上面説明図
【図16】同比較例のヘッドの製造工程に用いることが
できるエッチングマスクパターンの例を説明する上面説
明図
【図17】シリコン基板の異方性エッチングで振動板面
を形成した例を説明する説明図
【図18】シリコン基板に長方形状のメンブレンを形成
する場合の説明図
【図19】同長方形状のメンブレンを形成する場合に用
いるエッチングマスクパターンを説明する説明図
【図20】同じく補正パターンを有するエッチングマス
クパターンを用いた製造工程を説明する説明図
【図21】同じく他の補正パターンを有するエッチング
マスクパターンを用いた製造工程を説明する説明図
【図22】同じく更に他の補正パターンを有するエッチ
ングマスクパターンを用いた製造工程を説明する説明図
【符号の説明】
1…シリコン基板、1a…高濃度ボロン拡散層、3…ベ
ース基板、5…補正パターン、6…柱部、21…流路基
板、23…電極基板、24…ノズル板、26…液室、3
0…振動板、30a…メンブレン、35…電極、35a
…電極取り出し部(電極パッド部)、51…シリコン基
板、55…補正パターン、56…柱部、70…エッチン
グマスクパターン、71、72、73…補正パターン。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動板又は振動板と同等のメンブレンを
    形成するシリコン基板をベース基板に接合した後、前記
    シリコン基板にエッチングを施して前記振動板又はメン
    ブレンを形成する静電アクチュエータの製造方法におい
    て、前記エッチングのマスクの補正パターンとなる部分
    が前記ベース基板との接合面上にあることを特徴とする
    静電アクチュエータの製造方法。
  2. 【請求項2】 振動板又は振動板と同等のメンブレンを
    形成するシリコン基板をベース基板に接合した後、前記
    シリコン基板に前記振動板又はメンブレンを形成する静
    電アクチュエータの製造方法において、前記振動板又は
    メンブレン間の柱となる部分が前記ベース基板との接合
    面上に重なっていることを特徴とする静電アクチュエー
    タの製造方法。
  3. 【請求項3】 複数の振動板とこれに対向する複数の電
    極とを複数列有し、各列の振動板を千鳥状に配置した静
    電アクチュエータにおいて、前記各列の電極の取り出し
    部が対称位置に配置され、前記振動板又は振動板と同等
    のメンブレンが前記請求項1又は2に記載の静電アクチ
    ュエータの製造方法で形成されていることを特徴とする
    静電アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 インク滴を吐出するノズルと、このノズ
    ルが連通する吐出室と、この吐出室の壁面を形成する振
    動板と、この振動板に対向する電極とを備えたインクジ
    ェットヘッドにおいて、前記振動板又は振動板と同等の
    メンブレンが前記請求項1又は2に記載の静電アクチュ
    エータの製造方法で形成されていることを特徴とするイ
    ンクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のインクジェットヘッド
    において、複数の振動板とこれに対向する複数の電極と
    を複数列有し、各列の振動板を千鳥状に配置し、前記各
    列の電極の取り出し部を対称位置に配置したことを特徴
    とするインクジェットヘッド。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008246616A (ja) * 2007-03-29 2008-10-16 Seiko Epson Corp 結晶基板のエッチング方法
JP2012153117A (ja) * 2011-01-28 2012-08-16 Ricoh Co Ltd 成形型、印刷用版及びその製造方法、機能性膜の形成方法、インクジェットヘッド並びにインクジェット記録装置
WO2022168439A1 (ja) * 2021-02-03 2022-08-11 パナソニックIpマネジメント株式会社 インクジェットヘッド

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