JP2002159097A - 音場シミュレーション装置および音場シミュレーション方法 - Google Patents

音場シミュレーション装置および音場シミュレーション方法

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JP2002159097A
JP2002159097A JP2000355522A JP2000355522A JP2002159097A JP 2002159097 A JP2002159097 A JP 2002159097A JP 2000355522 A JP2000355522 A JP 2000355522A JP 2000355522 A JP2000355522 A JP 2000355522A JP 2002159097 A JP2002159097 A JP 2002159097A
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JP
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sound field
wave
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field simulation
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Application number
JP2000355522A
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English (en)
Inventor
Shinichi Sakamoto
慎一 坂本
Hideki Tachibana
秀樹 橘
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University of Tokyo NUC
Original Assignee
University of Tokyo NUC
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 完成後の音響空間における音場を、音響空間
が設計される段階で正確に再現することができる音場シ
ミュレーション装置および音場シミュレーション方法を
提供すること。 【解決手段】 音場予測をするためのデータが入力部1
1に入力され、数値演算部12によって、受音点での方
向別インパルス応答を求められる。この方向別インパル
ス応答が所定の時間ステップで順次、求められる。この
方向別インパルス応答は、信号処理部14に出力され、
無響室内に設置されるスピーカ(21,22,23,お
よび24)から音場予測された音波が出力されることに
よる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、音響空間におけ
る音場を予測するための音場シミュレーション装置およ
び音場シミュレーション方法に係り、特に、音波の波動
性の効果を考慮する波動音響理論に基づく、音響空間に
おける音場を予測するための音場シミュレーション装置
および音場シミュレーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】音楽ホールまたはオペラハウス等の音楽
が演奏されて観客が音楽を楽しむ音響空間を設計する設
計段階において、完成後の建築物での空間における音響
を的確に予測すること(音場予測と呼ばれる)が困難で
あることは、従来から知られている。
【0003】現在でも、建築物内の音響の設計において
は、残響時間に代表される音響に関する物理量は考慮さ
れてはいる。しかし、音響に最も大きな影響を与える音
響空間の形状設計等は、経験に基づく設計者の勘に頼る
ことが多い。
【0004】このように非科学的な設計によって建築さ
れた音響空間は、完成後に顕著な音響障害が現れてしま
うことがしばしばある。
【0005】そこで、従来から設計段階で、完成後の音
響空間において音場予測する方法が提案されている。代
表的な音場予測方法として、電子計算機が使用されて完
成後の音響空間における音響を予測する方法がある。そ
の1つの音場予測方法は、幾何音響理論に基づく方法で
ある。幾何音響理論は、均一な媒質を横切る音波は、直
線または半直線に沿って進行するという仮定に基づく音
響に関する理論である。この理論では、音波がビームに
置き換えられ、このビームが部屋の壁面で反射する効果
が含まれる。このビームが伝搬する経路が基にされて、
音波が伝搬する経路が予測される。この音波の経路を予
測する具体的な方法としては、たとえば、音線法、虚像
法等がある。
【0006】この幾何音響理論に基づく音場予測方法に
よれば、音波を受ける受音点での音波の応答が、音波が
到来する方向に関する情報を含んで計算されることが可
能である。幾何音響理論に基づく音場予測方法による実
際のシミュレーションでは、音響空間に関する数値およ
び音波に関する数値を基にして音波の特性を解析する数
値演算部において、所望の受音点における音波の応答が
方向別インパルス応答として求められる。方向別インパ
ルス応答は、その受音点における音波の進行方向および
音波の圧力に関する情報を含んでいる。より正確には、
方向別インパルス応答は、ある受音点における音波の進
行方向によって計算される音波の指向性を示す指向係数
にその受音点における音圧を乗じた物理量である。
【0007】つぎに、上述のように計算された方向別イ
ンパルス応答が、数値演算部の後段に設けられる信号処
理部等において再生データに加工される。そして、その
再生データが音の反響をほとんど無くするための無響室
に設置される数台のスピーカに入力される。
【0008】スピーカは、無響室内において、音を受聴
する人間が配置される受音点である受聴受音点に関し
て、通常、対称に設置される。たとえば、図1に示され
るように、平面内45度ごと、仰角45度ごとにスピー
カが設置される。図1は、マルチスピーカシステムにお
けるスピーカが無響室内に配置される位置を示す図であ
る。図1に示される黒丸の位置にスピーカが配置され
る。
【0009】すなわち、スピーカは、受聴受音点に関し
て3次元的に対称な形態で18個、設置される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、幾何音
響理論によるシミュレーションでは、音波が有する周波
数に関する情報が全く考慮されていない。したがって、
音波の周波数が重要な要素として現れる音響物理的、心
理的な音波の効果は、幾何音響理論によるシミュレーシ
ョンでは、再現されることが不可能である。さらに、周
波数が異なることによる音波が到来する方向の差異も、
受聴受音点において再現されることはない。
【0011】この発明の目的は、完成後の音響空間にお
ける音場を、音響空間が設計される段階で正確に再現す
ることができる音場シミュレーション装置および音場シ
ミュレーション方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明によれば、音源
から音波が伝搬する音響空間における音場を予測するた
めの音場シミュレーション装置において、この音波の周
波数情報を含む、音場の特性を含んで、この音響空間内
の音場を再現するための再生データを算出するための数
値解析手段と、この再生データに基づいて、音波を再生
する再生手段と、を具備することを特徴とする音場シミ
ュレーション装置によって提供される。
【0013】更にこの発明によれば、音源から音波が伝
搬する音響空間における音場を予測するための音場シミ
ュレーション装置において、この音響空間内の音響特性
に関するデータを入力する入力手段と、この音波の周波
数情報を含む、音場の特性を含んで、この音響空間内の
音場を再現するための再生データを前記データに基づい
て算出するための数値解析手段と、この再生データに基
づいて、音波を再生する再生手段と、を具備することを
特徴とする音場シミュレーション装置によって提供され
る。
【0014】更にこの発明によれば、音源から音波が伝
搬する音響空間における音場を予測するための音場シミ
ュレーション方法において、この音波の周波数情報を含
む、音場の特性を含んで、この音響空間内の音場を再現
するための再生データを算出し、この再生データに基づ
いて、音波を再生することを具備することを特徴とする
音場シミュレーション方法によって提供される。
【0015】更にこの発明によれば、音源から音波が伝
搬する音響空間における音場を予測するための音場シミ
ュレーション方法において、この音響空間内の音響特性
に関するデータを入力し、この音波の周波数情報を含
む、音場の特性を含んで、この音響空間内の音場を再現
するための複数のチャネルからなる再生データを前記デ
ータに基づいて算出し、この再生データに基づいて、音
波を再生することを具備することを特徴とする音場シミ
ュレーション方法によって提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの発
明の音場シミュレーション装置の一実施形態を説明す
る。
【0017】この発明では、音波が有する周波数に関す
る情報を考慮する音場予測方法として、波動音響理論に
基づく音場予測方法が使用される。波動音響理論は、音
波が有している属性である波動の性質に焦点を合わせた
音響に関する理論である。この波動音響理論によれば、
上記の幾何音響理論と異なり音波の周波数情報を取り入
れた音場シミュレーションが実行されることが可能にな
る。
【0018】また、以下の実施形態では、平面上での音
波の伝搬における音場シミュレーションの例を示す。す
なわち、2次元面上での音波の伝搬が考慮される。しか
し、立体の空間内、すなわち3次元空間内での音波の伝
搬にもこの音場シミュレーションは容易に拡張されるこ
とが可能である。以下、3次元空間内での音場シミュレ
ーションについても説明する。
【0019】この発明の一実施形態に係る音場シミュレ
ーション装置および音場シミュレーション方法の具体例
について、図2から図10までを参照して説明する。図
2は、この発明の一実施形態に係る2次元空間の音場で
の音場シミュレーション装置の機能ブロック図を示す図
である。
【0020】この発明の音場シミュレーション装置にお
いては、音場シミュレーションを計算するために必要な
データを入力する入力部11が設置される。これらのデ
ータは、音場予測をする音楽ホール等の音響空間に関す
るデータおよび音源ならびに受音点に関するデータであ
る。また、これら入力データが基にされて、室内の受音
点における音圧および粒子速度を計算して、瞬時の音響
インテンシティを求め、最終的に受音点での方向別イン
パルス応答を求める数値演算部12が設けられる。この
方向別インパルス応答が所定の時間ステップで順次、求
められる。これらの各時刻ごとの方向別インパルス応答
は、計算によって算出されるごとに記録部13に記録さ
れる。また、この方向別インパルス応答は、無響室内に
設置される後述のスピーカのチャネル数に対応する成分
数だけ算出される。この成分数は、スピーカの配置に関
連する。たとえば、スピーカが設定される受音点(受聴
受音点)の前後左右に設置される場合(図3に示される
21,22,23,および24)は、その前後左右にお
ける方向別インパルス応答が算出される。すなわち、こ
の場合の成分数は4である。この方向別インパルス応答
は、ディジタル信号として信号処理部14に出力され
る。
【0021】この信号処理部14内のたたみ込み演算部
15においては、無響室等で録音された音声アナウンス
または楽音等のドライソースと方向別インパルス応答の
信号とがたたみ込まれて、合成される。この合成された
信号がフィルタ処理部16に入力されて、合成された信
号の所定の高周波成分が除かれる。この高周波成分は、
計算誤差等の不要成分を含んでいる。高周波成分が除か
れた合成信号は、各チャネルごとに再生信号として多チ
ャネル信号再生部17に入力される。具体的には、フィ
ルタ処理部16はローパスフィルタ(low-pass filte
r)を含み、このフィルタによって信号がフィルタリン
グされる。
【0022】多チャネル信号再生部17においては、各
再生信号ごとに再生時刻に同期させて、各再生信号ごと
に再生データが収録される。
【0023】そして、各再生信号ごとにデジタル信号か
らアナログ信号に変換される(デジタル−アナログ変
換)。その後、このアナログ信号は、パワーアンプ18
に出力される。
【0024】パワーアンプ18においては、アナログの
信号である各再生信号が増幅される。このパワーアンプ
18が各再生信号ごとに増幅させる割合が一般に異な
る。すなわち、各スピーカ(21,22,23,および
24)に同一の信号を入力して、無響室の中心におい
て、各スピーカから出力される音波がすべて、等しい音
圧および等しい周波数特性になるように、パワーアンプ
18によって各再生信号を増幅する割合が各再生信号間
で調整される。このパワーアンプ18から各再生信号に
対応する各スピーカに、パワーアンプ18によって増幅
された各増幅信号が出力される。
【0025】スピーカ(21,22,23,および2
4)は、図3に示されるように、この実施形態では、無
響室内の受聴受音点に関して前後左右に合計4つ配置さ
れる。図3は、図2に示される4チャネルのスピーカの
無響室内における配置を示す図である。それぞれのスピ
ーカには、その配置(この実施形態では前、後、左、ま
たは右)に対応する増幅信号がパワーアンプ18から入
力される。さらに、受聴受音点と、各スピーカの音が発
せられる各発音点の合計5点は、同一平面上に配置され
るように設定されている。また、スピーカの音波を発す
る部分は、受聴受音点に向いて設置される。そして、こ
れら4つのスピーカによって、受聴受音点に音波が到達
する。
【0026】また、これらのスピーカは、無響室31内
に設置される。無響室31は、音の反響をほとんど無く
するため部屋である。通常、無響室31は、吸音性能に
優れる材質が室内の壁面一体に取り付けられている。そ
の材質としては、グラスウールが使用されることが多
い。さらに、グラスウールは、音波を減衰させるために
吸音楔として壁面に設置される。
【0027】3次元空間内での音波をシミュレーション
する場合は、図4に示されるように無響室31内にスピ
ーカが配置される。図4は、3次元空間での音波の伝搬
をシミュレーションする場合に、無響室内に設置される
6チャネルのスピーカの配置を示す図である。
【0028】3次元空間内での音波をシミュレーション
する場合は、音を受聴する人間が無響室31内に配置さ
れる受音点である受聴受音点の上下に1個ずつ合計2個
のスピーカ(65,および66)が付加される方が、平
面上に前後左右に合計4個のスピーカが設けられる場合
(図3の21,22,23,および24)に比較して、
3次元の影響が効果的に現れる。すなわち、6チャネル
のスピーカシステムである。この付加された2個のスピ
ーカによって3次元空間での音場における音の方向情報
が効果的に再現されることが可能になる。
【0029】さらに詳細に各部を図2を参照して説明す
る。この実施形態では、数値演算部12において、波動
音響理論に基づく音場予測のための計算は、差分法を使
用して実行される。この計算方法では、波動音響理論に
よる微分方程式の形式で表現される音場予測のための数
式による解を求めるための方法として、差分法が使用さ
れている。差分法は、微分方程式を数値的に解くための
1つの計算方法である。差分法では、微分方程式におけ
る無限小が有限値に置き換えられ、これによって微分方
程式が差分方程式に置き換えられる。そして、この差分
方程式が数値的に計算される。すなわち、この差分方程
式が電子計算機によって数値的に解かれる。また、差分
法は、ほかの有限要素法、または境界積分方程式法によ
る計算に比較して効率的であるので、計算機にかかる負
担が少なくて済むという利点がある。
【0030】また、実際に電子計算機で差分方程式を解
く場合は、上記の有限値は、所定の値に設定される。こ
の有限値は、音響空間において扱われる音波の周波数、
音響空間の大きさが考慮されて、数値演算部12におい
て任意に与えることができる上記入力部11には、入力
されるデータとして、音場予測をする音楽ホール等の音
響空間を特徴付けている音響特性に関するデータが入力
される。この音響特性に関するデータには、音響空間の
寸法、または音響空間の形状が明確になるように音響空
間を座標化するためのデータが含まれる。また、音源が
音響空間のどこに位置するかを示す音源の座標、および
音源から発せられる音波を受音する位置を示す受音点の
座標も入力されるデータである。さらに、音響空間の壁
面の音響に関する性質を示す壁面の境界条件、たとえば
音響インピーダンスが境界条件として入力部11に入力
される。またさらに、受音点において音波を受音する受
音しやすさが方向に依存することを現わす指向特性も入
力されるデータの1つである。また、無響室31での再
生音場における再生される音波の周波数範囲が入力され
る。記録部13は、ハードディスク、CD−R、または
DVD−RAM等の記録媒体が使用される。その結果と
して、所定の期間での方向別インパルス応答が算出され
る。
【0031】波動音響理論に基づく音場予測方法による
実際のシミュレーションでは、上述の幾何音響理論に基
づく音場予測方法と同様に、音響空間に関する数値およ
び音波に関する数値を基にして、音波の特性を解析する
電子計算機による数値演算部12において、所望の受音
点における音波の応答が方向別インパルス応答として求
められる。方向別インパルス応答は、その受音点におけ
る音波の進行方向および音波の圧力に関する情報を含ん
でいる。より正確には、方向別インパルス応答は、ある
受音点における音波の進行方向によって計算される音波
の指向性を示す指向係数にその受音点における音圧を乗
じた物理量である。
【0032】図5を参照すると、黒丸の位置が音圧の定
義点である。図5は、受音点における音響インテンシテ
ィを計算するために、音響空間において、音圧および粒
子速度を計算する位置が定義される音響空間が2次元の
格子状に分割される様子を示す図である。また、矢印で
示される向きおよび矢印の大きさが、それぞれ粒子速度
の向きおよび大きさを示し、矢印の線分の中心が配置さ
れる位置における粒子速度を示している。音場を予測す
る音響空間が、図5に示されるように格子状に分割され
る。そして、その各格子の中心位置が音圧定義点とさ
れ、各格子の4辺それぞれの中心位置(各辺の中点)が
粒子速度の定義点とされる。
【0033】この格子の一辺の長さは、上記の有限値に
関連し、測定されるべき周波数、精度、および音響空間
の大きさ等により決定される。この格子の一辺の長さが
決定されると、音圧および粒子速度が計算される位置の
数も決定される。
【0034】このように音響空間が格子状に分割され
て、各格子に対応して音圧および粒子速度が計算され
る。そして、音響空間の所定の位置に原点が配置された
上で、平面座標が音響空間に設定される。ここでは、2
次元直交直線座標が設定されるとする。そして、この座
標上において、これら音圧および粒子速度が所定の時間
ステップごとに計算される。その結果、所定の受音点で
の、ある時刻における瞬時の音響インテンシティ(音響
パワーベクトルとも呼ばれる)が得られる。この計算方
法は、時間がステップごとに瞬時の音響インテンシティ
の計算結果を得る方法(時間領域による差分法)であ
り、1つ前の時間ステップにおける音圧および粒子速度
だけに基づいて計算が進行する。
【0035】一方、この計算方法とは別の計算すべき所
望の周波数領域中で周波数ステップごとに計算される方
法(周波数領域による差分法)もある。この方法では、
すべての周波数ステップについて計算が進行される必要
があるので、電子計算機のメモリおよびCPU(centra
l processing unit)に大きな負担がかかり、計算が完
了するまでの時間が甚大になる可能性がある。
【0036】図6を参照して、この発明の音場シミュレ
ーション方法を説明する。図6は、この発明における音
場シミュレーション方法による音波の伝搬をシミュレー
ションする場合のステップを示すフロー図である。
【0037】まず、電子計算機にいくつかのデータを入
力する(ST1)。音響効果を特定したい音響空間(た
とえば、設計段階における音楽ホールの設計図面による
空間)の各部分の寸法が入力データとして入力部11を
介して数値演算部12に入力される。ほかに、音響空間
内における音源および受音点の位置、音響空間の音響的
な因子を含めた境界条件、および受音点での各チャネル
の指向特性が基本的な入力データとして入力部11を介
して数値演算部12に入力される。境界条件は、幾何音
響理論による計算では、吸音率として単純化される場合
が多い。しかし、この発明では波動音響理論が使用され
ているため、境界条件では、音響インピーダンス(複素
音圧反射係数)が境界条件として与えられる。さらに、
無響室31で再生されるべき周波数範囲が入力される。
この周波数範囲によって、空間離散化幅、および時間離
散化幅が決定される。これらの空間離散化幅、および時
間離散化幅によって、音場のシミュレーション精度が変
化する。一般に、これらの空間離散化幅、および時間離
散化幅が小さくなるほど音場のシミュレーション精度は
高くなり、これらの離散化幅が大きくなるほど音場のシ
ミュレーション精度は低くなる。また、これらの離散化
幅は、電子計算機において音場がシミュレーションされ
るための計算量に影響を及ぼす。もちろん、計算精度が
高くなるほど、計算量が膨大となり、計算時間が長時間
になる。
【0038】つぎに、電子計算機内にインストールされ
ている方向別インパルス応答を求めるためのソフトウエ
アが起動され、差分法によって受音点での方向別インパ
ルス応答が計算される(ST2)。このソフトウエアに
よって、上記の入力データが基にされて音響効果を特定
したい音響空間が自動的にグリッド状に分割される。し
たがって、任意の室形状、および任意の境界条件に対し
ても直ちに対応することが可能である。
【0039】受音点での方向別インパルス応答が基にさ
れて、必要に応じてフィルタ処理、およびたたみ込み処
理等の音場が再生されるための後処理が信号処理計算に
よって実行される(ST3)。この後処理されたデータ
が再生データ(再生用データとも呼ぶ)である。再生デ
ータは、次段の多チャネル信号再生部17に出力され、
多チャネル信号再生部17におけるスピーカから出力さ
れる音波の基となるデータである。
【0040】フィルタ処理では、上記周波数範囲外の計
算誤差が含まれる高周波数領域の信号が取り除かれる。
たたみ込み処理では、音場を再生したい所望の音響空間
での反射音に関する情報等が信号に取り込まれる。信号
としては、音声アナウンス、および楽音等がある。これ
らの信号は、デジタル信号として多チャネル録音され
る。すなわち、これらのデジタル信号は、無響室31に
設置されるスピーカ数に対応するチャネル数だけ録音さ
れる。これらのデジタル信号は、上記のST1で入力さ
れたデータに基づいて各チャネルごとに加工されてい
る。このように録音するための装置としては、たとえ
ば、デジタル信号で音声を記録、再生するためのDAT
(digital audio tape)がある。
【0041】ここで、たたみ込みは、たたみ込み定理
(convolution theorem)を利用する。すなわち、音源
とインパルス応答をそれぞれフーリエ変換(Fourier tr
ansformation)し、そしてフーリエ変換された音源とイ
ンパルス応答どうしを掛け合わせ、それを逆フーリエ変
換する。
【0042】つぎに、再生用データが多チャネル信号再
生部17に出力される(ST4)。この再生用データ
は、多チャネルデータであり、多チャネル信号再生部1
7に入力される。この多チャネル信号再生部17におい
て、チャネルごとに時間を同期して、チャネルごとに再
生データが収録される(ST5)。
【0043】各チャネルごとにデジタル信号からアナロ
グ信号に変換され、その後、アナログ信号は増幅される
(ST6)。アナログ信号を増幅するパワーアンプ18
は、チャネルごとに再生用データを増幅する。すなわ
ち、各スピーカ(21,22,23,および24)に同
一の信号を入力して、無響室31の中心において、各ス
ピーカから出力される音波がすべて、等しい音圧および
等しい周波数特性になるように、パワーアンプ18によ
って各チャネルの信号を調整する。換言すれば、各スピ
ーカから出力される音波の特性で異なる特性は、音波の
進行方向のみであるように設定する。
【0044】この設定は、3次元空間での音波をシミュ
レーションする場合でも同様である。すなわち、受聴受
音点の前後左右上下に1個ずつ合計6個の設置されてい
る各スピーカ(図4の61,62,63,64,65,
および66)から出力される各音波が、無響室31の中
心において、等しい音圧および等しい周波数特性になる
ように、パワーアンプ18によって各チャネルの信号を
調整する。
【0045】その増幅されたアナログ信号が各チャネル
ごとにそのチャネルに対応したスピーカに出力される
(ST7)。スピーカは、再生用データのチャネル数に
等しい数だけ設置される。この実施形態では、再生用デ
ータは4チャネルであり、受聴受音点の前後左右に対応
する。したがって、図3に示されるようにスピーカ(2
1,22,23,および24)も、無響室31内におい
て受聴受音点の前後左右に設置される。
【0046】図7、および図8を参照して、この発明の
音場シミュレーション装置および音場シミュレーション
方法によって、実際の方向別インパルス応答が計算され
た2次元の音場における計算結果例を説明する。図7
は、計算対象として想定される2次元の音響空間と、そ
の空間に配置される音源(S)および受音点(R)とを
示す図である。図8は、図7に示される受音点における
方向別インパルス応答が計算されて、無響室の受聴受音
点において前後左右に配置される指向性マイクロフォン
によって受音された方向別インパルス応答の時間履歴を
示す図である。
【0047】図7に示されるように、横20m縦30m
の音場に、音源41(図中では、S)が受音点(図中で
は、R)の前方に設定される。受音点は、音場内の後方
右寄りに設定されている。音源は、音場内前方中央に設
定されている。ここで、図7の上方、および右側をそれ
ぞれ前方、および右側と呼ぶことにする。この音場の左
右の壁面全体には、音波を拡散させる拡散体46が取り
付けられているとする。
【0048】図8に示される受音点の前後左右から到来
すると計算によって予測される音波(方向別インパルス
応答)は、図3に示される無響室31内の受聴受音点の
前後左右に配置される指向性マイク(42,44,4
5,43)によって受音される。この図8によれば、受
聴受音点における指向性の向きによって、インパルス応
答波形に差異が生じていることがわかる。特に、拡散体
46が取り付けられていない縦方向すなわち、前後のイ
ンパルス応答(図8(A)および図8(D))には、顕
著なフラッターエコーが生じていることがわかる。フラ
ッターエコーとは、つぎからつぎに周期的に反射してく
るエコーである。また、エコーとは、直接伝搬してきた
音波と区別でき,信号として認識しうる程度の時間の遅
れと大きさをもって反射してきた音波である。
【0049】また、受聴受音点の方向別インパルス応答
を比較すると、音源41からの音波は、まず受音点の前
方のマイクロフォン42にほかのマイクロフォン(4
3,44,および45)で受音されるインパルス応答に
比較して最大振幅で受音される。これは、前方のマイク
ロフォン42の指向方向と受聴受音点から音源への方向
との差が、ほかのマイクロフォン(43,44,および
45)と比較して小さいことによる効果と見なすことが
できる。前方のマイクロフォン42に最初のインパルス
応答が受音されるとほぼ同時に、受音点の左方のマイク
ロフォン45に、前方に受音されるインパルス応答に比
較して、少し小さな振幅を有するインパルス応答が受音
される。これは、マイクロフォンの指向方向と受音点か
ら音源への方向との差が、前方のマイクロフォン42の
場合に比較して左方のマイクロフォンの場合が大きいこ
とによる効果と見なすことができる。また、左方のマイ
クロフォン45に最初のインパルス応答が受音されると
ほぼ同時に、右方のマイクロフォン43にマイクロフォ
ンに受音される最初のインパルス応答としては、最小の
大きさのインパルス応答が受音される。このインパルス
応答は、左方のマイクロフォン45に最初に受音される
インパルス応答に比較してかなり小さい。これは、壁面
の右方に設置される拡散体46の効果による効果と見な
すことができる。このように、このシミュレーションで
は、反射音の到来方向の違いが捉えられている。
【0050】このように、この発明の音場シミュレーシ
ョン装置および音場シミュレーション方法によれば、仮
想の音響空間内における音波の特徴が的確に計算され、
かつその音波の特徴が的確に再生されることが可能であ
る。
【0051】上記では、主に2次元空間における音波の
伝搬の場合が示されたが、上述したように3次元空間に
おける音波の伝搬が考慮された音場シミュレーションに
2次元空間における音場シミュレーションが拡張される
ことは容易である。
【0052】3次元空間における音波の伝搬が考慮され
た音場シミュレーション装置を、図9を参照して説明す
る。図9は、3次元空間内での音波の伝搬をシミュレー
ションするための音場シミュレーション装置の機能ブロ
ック図を示す図である。
【0053】3次元的な音波の広がりを表現するため
に、無響室31内に設置されるスピーカは、受聴受音点
の前後左右にくわえて、これらスピーカと受聴受音点と
からなる平面から離れた位置に新たに設置されると効果
的である。この図9に示される例では、図4に示される
ように無響室31内の受聴受音点の前後左右(61,6
4,63,および62)にくわえて、受聴受音点の上下
にスピーカ(65,および66)が1つずつ付加され
る。したがって、受聴受音点の上下に設置されるスピー
カから出力される音波を再生するための方向別インパル
ス応答が、数値演算部52で計算される必要がある。
【0054】数値演算部52では、2次元での場合と異
なり、波動音響理論による微分方程式は、3次元で表現
される。したがって、差分法による計算も3次元に対応
して、3成分の量が計算される必要がある。ゆえに、音
圧および粒子速度の向きおよび大きさも3次元空間にお
いて、定義されねばならない。これらは、図10に示さ
れるように音響空間が3次元格子状に分割されて、図中
の黒丸および矢印によって、音圧および粒子速度が定義
される。図10は、受音点における音響インテンシティ
を計算するために、音響空間において、音圧および粒子
速度を計算する位置が定義される音響空間が3次元の格
子状に分割される様子を示す図である。すなわち、各立
体格子の中心位置が音圧定義点とされ、各立体格子の6
面それぞれの中心位置が粒子速度の定義点とされる。
【0055】このように音響空間が立体格子状に分割さ
れて、各立体格子に対応して音圧および粒子速度が計算
される。そして、音響空間の所定の位置に原点が配置さ
れた上で、立体座標が音響空間に設定される。ここで
は、3次元直交直線座標が設定されるとする。そして、
この座標上において、これら音圧および粒子速度が所定
の時間ステップごとに計算される。その結果、所定の受
音点での、ある時刻における瞬時の音響インテンシティ
が得られる。この計算方法は、時間がステップごとに瞬
時の音響インテンシティの計算結果を得る方法(時間領
域による差分法)であり、1つ前の時間ステップだけに
基づいて計算が進行する。
【0056】以上のように、3次元空間における音波の
伝搬が考慮された音場シミュレーションでは、実際の空
間と同じ次元の音場シミュレーションであるので、仮想
の音響空間内における音波の特徴が的確に計算され、か
つその音波の特徴が的確に再生されることが可能であ
る。また、音波を立体的に受聴することが可能であるの
で、前後左右だけではなく、上下の音響の違いも感じる
ことができる。したがって、完成後の音響空間における
音場を、音響空間が設計される段階で立体的に正確に再
現することができる。
【0057】
【実施例】以下、この発明の音場シミュレーション装置
および音場シミュレーション方法が実験された場合の実
験結果について図面を参照して説明する。図11、図1
2(A)、図12(B)、図13、および図14を参照
して、受音点に単一の音波が入射する場合の入射音が到
来する方向に関する実験結果を説明する。図11は、こ
の発明の実施例においてシミュレーションされる2次元
空間での0度の方向を正面として、同一な4分の1円周
上に15度ずつ90度まで7通りの設置パターンで配置
される音源と、その円周の中心に配置される受音点との
位置関係を示す図である。
【0058】図11に示されるように、受音点の正面方
向(図11の上方向)に対して角度15度おきに設定さ
れた音源からの方向別インパルス応答がこの発明によっ
て計算された。図11において、Rで示される位置が受
音点であり、S0°、S15 °等で示される位置に音源
が設定される。また、θは、受音点と特定の音源とを結
んだ線分と、正面方向との角度を示す。さらに、S
θは、正面方向から角度θ度の位置に設置されている音
源を示す。たとえば、S0°は正面方向に設置されてい
る音源を示し、S15°は正面方向から角度15度の位
置に設置されている音源を示す。この実験は、単一の音
波が入射する場合の入射音が到来する方向の精度を検証
する実験であるので、音波を出力する音源は、検証する
角度の特定の1つのみである。また、すべての音源は同
一の音の強さで出力される。
【0059】この発明の音場シミュレーション装置およ
び音場シミュレーション方法による計算によって、図1
1に示されるように受音点の正面方向に対して角度15
度おきに設置された音源のうち任意の一音源から到来す
る方向別インパルス応答が計算された。最も単純な入射
音のみの応答が計算されるために、音場は2次元空間と
し、音場周囲は一定の音響インピーダンスを有する仮想
的な吸音境界線が設定される。また、空間離散化幅は2
cm、時間離散化幅は0.04msに設定された。さら
に、計算後のフィルタ処理では、カットオフ周波数1.
4kHzのローパスフィルタによってフィルタリングさ
れた。この条件下で、正面方向から測定して角度0から
角度90度まで15度おきに設置される各音源に対し
て、4方向の方向別インパルス応答が計算される。この
4方向は、上記の実施形態で説明された4方向と同一で
あり、受音点の前後左右に設置されるスピーカへの受音
点からの方向である。また、たたみ込み処理では、ラン
ダムノイズが4つの方向別インパルス応答にたたみ込ま
れ、試験信号とされる。
【0060】作成した試験信号が無響室31内のシミュ
レーション音場で再生され、受音点での音響インテンシ
ティが測定される。音響インテンシティは、方向と大き
さを有するベクトル量であるので、音波の大きさ(この
場合は、音波の強さ)と音波の到来方向が測定される必
要がある。これら音波の強さおよび音波の到来方向は、
受音点での正面方向(以下、Y方向と呼ぶ)および、こ
の正面から直角の方向(以下、X方向と呼ぶ)での音波
の強さが測定されることによって、測定されることが可
能である。すなわち、受音点における音響インテンシテ
ィのX成分およびY成分が測定される。
【0061】音響インテンシティのX成分およびY成分
を測定するためには、特性が同一な2つマイクロフォン
から構成される特別なプローブが使用される。図12
(A)および図12(B)を参照して、2つのマイクロ
フォン(71と72,または73と74)が使用されて
音響インテンシティのX成分およびY成分が測定される
様子を説明する。図12(A)は、無響室内の図11に
示される正面から直角の方向(X方向)での音響インテ
ンシティの成分が測定されるための受聴受音点における
マイクロフォンが配置される向きを示す図である。図1
2(B)は、無響室内の図11に示される正面方向(Y
方向)での音響インテンシティの成分が測定されるため
の受聴受音点におけるマイクロフォンが配置される向き
を示す図である。
【0062】音響インテンシティのX成分が測定される
ためには、図12(A)に示されるように、マイクロフ
ォン(71および72)の音波を受音するための受音部
分が、受聴受音点に関して対称かつ、X方向に平行の向
きになるようにマイクロフォン(71および72)が設
置される。さらに、受聴受音点から各マイクロフォン
(71および72)の上記受音部分までの距離は、等し
く設定される。また、これら受音部分から受聴受音点ま
での距離は測定される周波数の上限周波数によって決定
される。このように受聴受音点に関して左右に設置され
る各マイクロフォン(71および72)が受音する各音
波の振幅の大きさと到達時間差が比較されることによっ
て、音波の到来する向きが特定される。すなわち、左の
マイクロフォン71が受音した音の大きさが、右のマイ
クロフォン72が受音した音の大きさに同じであり、か
つ右のマイクロフォン72が受音した音が左のマイクロ
フォン71が受音した音に比較してマイクロフォンの間
隔に応じた時間差だけ早く検知された場合には、受音点
の右方向から音波が到来していることを示す。また、音
波の大きさは、各マイクロフォン(71および72)が
受音した音の大きさによって決定される。このようにし
て、音響インテンシティのX成分が測定される。
【0063】一方、音響インテンシティのY成分が測定
される場合は、上記のX成分が測定される場合とマイク
ロフォン(73および74)が設置される方向が異なる
だけである。すなわち、マイクロフォン(73および7
4)の音波を受音するための受音部分が、受聴受音点に
関して対称かつ、Y方向に平行の向きになるようにマイ
クロフォン(73および74)が設置される。さらに、
受聴受音点から各マイクロフォン(73および74)の
上記受音部分までの距離は、等しく設定される。このよ
うに受聴受音点に関して前後に設置される各マイクロフ
ォン(73および74)が受音する各音波の振幅の大き
さと到達時間差が比較されることによって、音波の到来
する向きが特定される。すなわち、後のマイクロフォン
74が受音した音の大きさが、前のマイクロフォン73
が受音した音の大きさに同じであり、かつ前のマイクロ
フォン73が受音した音が後のマイクロフォン74が受
音した音に比較してマイクロフォンの間隔に応じた時間
差だけ早く検知された場合には、受音点の前方向から音
波が到来していることを示す。また、音波の大きさは、
各マイクロフォン(73および74)が受音した音の大
きさによって決定される。このようにして、音響インテ
ンシティのY成分が測定される。
【0064】図13は、図11に示される音響空間内の
音源と受音点とが基にされたこの発明によるシミュレー
ションの計算結果による信号によって、無響室31内の
受聴受音点における図11に示される各音源に対応する
音響インテンシティの向きおよび大きさを示す図であ
る。この図13では、音響インテンシティを上記の方法
で測定した場合の測定結果が示されている。図13に示
される矢印は、無響室31において測定された音響イン
テンシティであり、矢印の矢部分近傍に記載されている
度数(0°、15°、および30°等)は、方向別イン
パルス応答が計算される場合に設定された到来方向であ
る。また、図13に示される半径の異なる4分の1の同
心円を結ぶ半径方向の線分は、無響室31の受音点の正
面方向(図11の上方向)に対する角度を示す。この線
分は、角度10度おきに引かれている。また、最外周に
ある4分の1の円の外側に記載されている度数(0°、
30°、60°、および90°)は、無響室31の受音
点の正面方向(図11の上方向)に対する角度を示す。
この図13においては、すべての矢印の大きさが等し
く、矢印の矢部分近傍に記載されている度数に同一な度
数に対応する同心円上の位置にこの度数の矢印が近いほ
ど、計算された4つの方向別インパルス応答の大きさが
音場予測において、より的確であることになる。
【0065】図13によれば、計算において設定された
受音点における音波の入射角度と、無響室31で実際に
測定された音波の到来方向とは、最も異なっていても角
度4度程度であり、多くは角度2、3度程度の違いしか
ない。また、図13によれば、矢印の長さは、図13を
観察する限りでは、すべて等しい。したがって、音響イ
ンテンシティの到来方向および強さは、この発明の音場
シミュレーション装置および音場シミュレーション方法
によれば、良好に予測されることがわかる。
【0066】つぎに、シミュレーションで設定された角
度で計算されて無響室31内に設置される4つのスピー
カから出力される音波を受聴者が聞くことによって、音
波が到来したと受聴者が感じた到来方向とシミュレーシ
ョンによって設定された到来方向とが比較された実験結
果を示す。この実験では、実際の人間が音を聞く時の聴
感に、シミュレーションによる音場予測がどの程度精度
よく再現できるかが調べられる。図14は、シミュレー
ションで設定された角度と、その設定角度で計算されて
無響室内に設置される4つのスピーカから出力される音
波を受聴者が聞くことによって、音波が到来したと受聴
者が感じた角度と、の対応関係を示す図である。この実
験において、受聴者は、シミュレーションのときに設定
された無響室31内の受聴受音点に配置して、音波が到
来する方向を認識する。
【0067】この実験においては、被験者9人に対し
て、角度が30度だけ異なる音波が被験者にランダムに
提示された。この実験では、0度から330度までの1
2の到来方向のうちのある角度を有する音波が被験者に
ランダムに提示される。そして、被験者は、その音波が
到来したと感じた方向(聴感方向)を答える。図14に
示される円の中心に対応する座標が、実験によって得ら
れた受聴者が感じた聴感方向と、その聴感方向を受聴者
に与えたシミュレーション時に設定されたシミュレーシ
ョン方向と、を示す。円の半径の大きさは、回答数に比
例して設定されている。すなわち、円の半径が大きいほ
ど、その円の中心座標に対応する回答数が多いことを示
す。
【0068】図14に示された実験結果によれば、回答
数が多い座標はすべて、シミュレーション方向と聴感方
向とが一致している座標であることがわかる。すなわ
ち、シミュレーション時に設定された音波の方向と、受
聴者が感じた音波が到来する方向がほとんど一致してい
ることがわかる。
【0069】このようにこの発明の音場シミュレーショ
ン装置によれば、スピーカが4個、無響室31に配置さ
れる場合でも、音場が十分シミュレーション可能であ
る。したがって、スピーカが多数設置される必要がほと
んど無くなり、音場シミュレーション装置が大規模にな
らずに済む。
【0070】ここでは、波動音響理論に基づいた差分法
による方法によってなされた計算例を示した。しかし、
ほかに、音場予測のための数式を解くための方法がいく
つかある。ほかの方法として、有限要素法、または境界
積分方程式法などがあり、これらの方法が使用されて音
場予測のための数式が解かれてもよい。
【0071】また、上述の実施形態では、4チャネルの
スピーカが使用されている。このスピーカ数は、原理的
に平面内での音の方向が正確に再現されるように配置さ
れた複数であれば、特に数にはこだわるものではない。
原理的には、スピーカのチャネル数が多いほど、音の到
来方向の方向分解能が細かくなり、音の方向再現性は高
くなる。しかし、上述の実施形態である4チャネルによ
る再生では、受音点における方向別の指向性を導入する
ことによって、縦横90度おきの音の方向性だけでな
く、それ以外の斜め方向の音の方向性までも再現できる
ことに特徴がある。現実に、上述の実験例に示されたよ
うに、スピーカのチャネル数が4チャネルと少なくて
も、ほぼ正確な音場が再現されている。このようにスピ
ーカのチャネル数が少ない方がコストが少なくて済み、
装置がコンパクトになるので望ましい。また、スピーカ
が多いと、スピーカどうしが相互作用することによる音
場への影響が大きくなる可能性があるので、スピーカど
うしの相互作用が考慮されると、スピーカ数は少ない方
が望ましい。さらに、スピーカのチャネル数が多いとチ
ャネルごとにデジタル−アナログ変換器、およびパワー
アンプ18等が設置される必要がある。この発明では、
上述したように、一平面内での再生であれば、4チャネ
ルのスピーカ数でさえも、かなり的確な音場が再生され
ることが可能であるので、装置にかかるコストが少なく
て済み、装置がコンパクトになるという効果がある。
【0072】また、別の再生装置として、トランスオー
ラルシステムと呼ばれる装置が用いられてもよい。この
装置では、人体の頭部の形状を模擬したダミーヘッドに
マイクロホンを取り付けたダミーヘッドマイクロホンで
受音し、その受音した音に特別の信号処理を行なって2
チャンネルのスピーカから再生する方式である。すなわ
ち、左右2つのスピーカのみが使用されて音場が再生さ
れる。音場が測定される際には、音波を受聴する人間の
頭部に音波が伝達する効率を示す頭部伝達関数が入力要
素として最も重要な役割を果たし、これが入力されなけ
ればならない。これは、換言すれば、たった2チャネル
のスピーカで3次元音場における立体的な音の方向性を
再現するために、頭部伝達関数にすべての音の方向情報
を集約しているので、この頭部伝達関数を厳密に入力し
なければ精度の高い再生は不可能である。この頭部伝達
関数は、ほかの再生装置では用いられる必要はないの
で、この点、トランスオーラルシステムは、複雑な処理
を含むことになる。また、音は、ダミーヘッドを置いた
位置に対応した特定の位置および頭の向きでのみ再現さ
れるため、受聴者は、その特定の位置で特定の方向を向
いて受聴しなければならない。
【0073】そのほか、この発明の要旨を逸脱しない範
囲で種々の変形を施しても同様に実施可能である。
【0074】
【発明の効果】この発明の音場シミュレーション装置お
よびその音場シミュレーション方法によれば、完成後の
音響空間における音場を、音響空間が設計される段階で
正確に再現することができる。
【0075】また、音の波動性が正確に再現されるの
で、音の周波数に関する情報も含めてシミュレーション
することができる。
【0076】さらに、音波が到来する方向が正確に再現
されることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 マルチスピーカシステムにおけるスピーカが
無響室内に配置される位置を示す図である。
【図2】 この発明の一実施形態に係る2次元空間の音
場での音場シミュレーション装置の機能ブロック図を示
す図である。
【図3】 図2に示される4チャネルのスピーカの無響
室内における配置を示す図である。
【図4】 3次元空間での音波の伝搬をシミュレーショ
ンする場合に、無響室内に設置される6チャネルのスピ
ーカの配置を示す図である。
【図5】 受音点における音響インテンシティを計算す
るために、音響空間において、音圧および粒子速度を計
算する位置が定義される音響空間が2次元の格子状に分
割される様子を示す図である。
【図6】 この発明における音場シミュレーション方法
による音波の伝搬をシミュレーションする場合のステッ
プを示すフロー図である。
【図7】 計算対象として想定される2次元の音響空間
と、その空間に配置される音源(S)および受音点
(R)とを示す図である。
【図8】 図7に示される受音点における方向別インパ
ルス応答が計算されて、無響室の受聴受音点において前
後左右に配置される指向性マイクロフォンによって受音
された方向別インパルス応答の時間履歴を示す図であ
る。 (A)受聴受音点の前方のマイクロフォンによって取得
されたインパルス応答の時間履歴を示す図である。 (B)受聴受音点の右方のマイクロフォンによって取得
されたインパルス応答の時間履歴を示す図である。 (C)受聴受音点の左方のマイクロフォンによって取得
されたインパルス応答の時間履歴を示す図である。 (D)受聴受音点の後方のマイクロフォンによって取得
されたインパルス応答の時間履歴を示す図である。
【図9】 3次元空間内での音波の伝搬をシミュレーシ
ョンするための音場シミュレーション装置の機能ブロッ
ク図を示す図である。
【図10】 受音点における音響インテンシティを計算
するために、音響空間において、音圧および粒子速度を
計算する位置が定義される音響空間が3次元の格子状に
分割される様子を示す図である。
【図11】 この発明の実施例においてシミュレーショ
ンされる2次元空間での0度の方向を正面として、同一
な4分の1円周上に15度ずつ90度まで7通りの設置
パターンで配置される音源と、その円周の中心に配置さ
れる受音点との位置関係を示す図である。
【図12】(A)無響室内の図11に示される正面から
直角の方向(X方向)での音響インテンシティの成分が
測定されるための受聴受音点におけるマイクロフォンが
配置される向きを示す図である。 (B)無響室内の図11に示される正面方向(Y方向)
での音響インテンシティの成分が測定されるための受聴
受音点におけるマイクロフォンが配置される向きを示す
図である。
【図13】 図11に示される音響空間内の音源と受音
点とが基にされたこの発明によるシミュレーションの計
算結果による信号によって、無響室内の受聴受音点にお
ける図11に示される各音源に対応する音響インテンシ
ティの向きおよび大きさを示す図である。
【図14】 図11に示される音響空間内の音源と受音
点とが基にされたこの発明によるシミュレーションの計
算結果による信号によって、無響室内の受聴受音点にお
ける図11に示される各音源に対応する設定された音波
の伝搬する方向であるシミュレーション方向と、無響室
においてその音波を受聴した受聴者が認識した方向であ
る聴感方向との関係を示した図である。
【符号の説明】
11 入力部 12 数値演算部 13 記録部 14 信号処理部 15 たたみ込み演算部 16 フィルタ処理部 17 多チャネル信号再生部 18 パワーアンプ 21 前方のスピーカ 22 右方のスピーカ 23 左方のスピーカ 24 後方のスピーカ

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】音源から音波が伝搬する音響空間における
    音場を予測するための音場シミュレーション装置におい
    て、 前記音波の周波数情報を含む、音場の特性を含んで、前
    記音響空間内の音場を再現するための再生データを算出
    するための数値解析手段と、 前記再生データに基づいて、音波を再生する再生手段
    と、 を具備することを特徴とする音場シミュレーション装
    置。
  2. 【請求項2】音場の前記特性は、音波の波動性に関する
    情報が入力されて音場を予測するための理論に基づいて
    決定されることを特徴とする請求項1記載の音場シミュ
    レーション装置。
  3. 【請求項3】前記数値解析手段は、音波が受音される地
    点である受音点における音圧および粒子速度に基づい
    て、この受音点における音波の強さを計算することを特
    徴とする請求項1又は請求項2記載の音場シミュレーシ
    ョン装置。
  4. 【請求項4】前記数値解析手段は、時間ステップでの音
    圧、および前記音波の強さから音波の進行方向を計算
    し、前記時間ステップでの音圧と前記進行方向とが基に
    されて、前記受音点における音波の進行方向に依存した
    方向別の音圧を算出することを特徴とする請求項3記載
    の音場シミュレーション装置。
  5. 【請求項5】前記再生手段は、音波を出力する複数のス
    ピーカをさらに具備することを特徴とする請求項1から
    請求項4のいずれか一記載の音場シミュレーション装
    置。
  6. 【請求項6】前記再生データは、複数のチャネルからな
    ることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一
    記載の音場シミュレーション装置。
  7. 【請求項7】各前記チャネルごとに再生データを再生す
    るべき再生時刻に同期させて、各チャネルごとに前記再
    生データを収録する収録手段と、 前記再生データを各チャネルごとに再生するべき音の大
    きさに増幅する増幅手段と、 をさらに具備することを特徴とする請求項6記載の音場
    シミュレーション装置。
  8. 【請求項8】前記数値解析手段は、前記音場が2次元空
    間であるとして再生データを算出することを特徴とする
    請求項1から請求項7のいずれか一記載の音場シミュレ
    ーション装置。
  9. 【請求項9】前記数値解析手段は、前記音場が3次元空
    間であるとして再生データを算出することを特徴とする
    請求項1から請求項7のいずれか一記載の音場シミュレ
    ーション装置。
  10. 【請求項10】音源から音波が伝搬する音響空間におけ
    る音場を予測するための音場シミュレーション装置にお
    いて、 前記音響空間内の音響特性に関するデータを入力する入
    力手段と、 前記音波の周波数情報を含む、音場の特性を含んで、前
    記音響空間内の音場を再現するための再生データを前記
    データに基づいて算出するための数値解析手段と、 前記再生データに基づいて、音波を再生する再生手段
    と、 を具備することを特徴とする音場シミュレーション装
    置。
  11. 【請求項11】前記再生データは、複数のチャネルから
    なることを特徴とする請求項10記載の音場シミュレー
    ション装置。
  12. 【請求項12】前記音響特性は、音響空間の形状に関す
    る情報、音源ならびに音波が受音される地点である受音
    点の位置、前記音響空間を形成する壁面の境界条件、前
    記受音点における各前記チャネルの指向特性、および前
    記音波の周波数範囲を含むことを特徴とする請求項11
    記載の音場シミュレーション装置。
  13. 【請求項13】各前記チャネルごとに再生データを再生
    するべき再生時刻に同期させて、各チャネルごとに前記
    再生データを収録する収録手段と、 前記再生データを各チャネルごとに再生するべき音の大
    きさに増幅する増幅手段と、 をさらに具備することを特徴とする請求項11記載の音
    場シミュレーション装置。
  14. 【請求項14】音源から音波が伝搬する音響空間におけ
    る音場を予測するための音場シミュレーション方法にお
    いて、 前記音波の周波数情報を含む、音場の特性を含んで、前
    記音響空間内の音場を再現するための再生データを算出
    し、 前記再生データに基づいて、音波を再生することを具備
    することを特徴とする音場シミュレーション方法。
  15. 【請求項15】音場の前記特性は、音波の波動性に関す
    る情報が入力されて音場を予測するための理論に基づい
    て決定されることを特徴とする請求項14記載の音場シ
    ミュレーション方法。
  16. 【請求項16】前記再生データは、音波が受音される地
    点である受音点における音圧および粒子速度に基づいて
    計算されるデータであって、この受音点における音波の
    強さに関するデータを含むことを特徴とする請求項14
    又は請求項15記載の音場シミュレーション方法。
  17. 【請求項17】前記再生データは、時間ステップでの音
    圧、および前記音波の強さから音波の進行方向が計算さ
    れて、前記時間ステップでの音圧と前記進行方向とが基
    にされて算出されるデータであって、前記受音点におけ
    る音波の進行方向に依存した方向別の音圧に関するデー
    タを含むことを特徴とする請求項16記載の音場シミュ
    レーション方法。
  18. 【請求項18】音源から音波が伝搬する音響空間におけ
    る音場を予測するための音場シミュレーション方法にお
    いて、 前記音響空間内の音響特性に関するデータを入力し、 前記音波の周波数情報を含む、音場の特性を含んで、前
    記音響空間内の音場を再現するための複数のチャネルか
    らなる再生データを前記データに基づいて算出し、 前記再生データに基づいて、音波を再生することを具備
    することを特徴とする音場シミュレーション方法。
  19. 【請求項19】前記音響特性は、音響空間の形状に関す
    る情報、音源ならびに音波が受音される地点である受音
    点の位置、前記音響空間を形成する壁面の境界条件、前
    記受音点における各チャネルの指向特性、および前記音
    波の周波数範囲を含むことを特徴とする請求項18記載
    の音場シミュレーション方法。
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