JP2002156223A - 校正用の被検体を用いた表面形状測定系の系統誤差の自律的決定方法 - Google Patents

校正用の被検体を用いた表面形状測定系の系統誤差の自律的決定方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 「干渉計による測定値から導出される系統誤
差を含む形状測定値」−「系統誤差」として被検体の表
面形状の高精度測定を行うことができる簡単な操作の系
統誤差の自律的決定方法を得るにある。 【解決手段】 校正用の被検体をx,y方向に移動可能
な2次元位置決めステージに固定して、それぞれ1回の
シフトを施すことにより、エリアセンサから得られるデ
ータを用い、系統誤差を自律的に参照面の各点で決定さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ほぼ平面の形状を
有する被検体の形状測定に際して、誤差を含む測定値よ
り、系統誤差を求め、前記測定値より測定系の前記系統
誤差を差し引いて精度を高めた形状測定値を得る分野に
関する。詳しく言えば、被検体表面の高さの上下を所定
の領域にわたって計測するエリアセンサを用いた、被検
体の表面形状測定を分野に関する。具体的な例として
は、エリアセンサとして、CCDカメラを用いた光学干
渉計による被検体の表面形状測定分野に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、被検体の表面形状を測定する測定
系の誤差を、誤差を含む測定値を用いて同定する手段は
非接触光学測定方式を中心に、いくつか提示されている
が、現在実用段階に至った方式は見当たらない。従来技
術としては、光学干渉計の中の参照面のみを取り出し、
参照面の形状を3面合わせ法に準じる方法で決定した後
に、参照面を干渉計に取り付ける場合がほとんどであ
る。しかしながら、本方式は他の2つの面を用いて2つ
の面同士を向かい合わせて測定を行うものであり、参照
面の正確な取り付けの位置と姿勢の設定に手間がかか
り、非常に面倒である。また、参照面以外の系統誤差、
校正の終了後、参照面の取り付け位置と姿勢の誤差、な
らびに支持体の撓みの影響などは放置されたままであ
る。
【0003】一方、光学干渉計に参照面が取り付けられ
たままで被検体表面を干渉計の光軸と直交する方向にシ
フトさせる方法(2面法と呼ばれている)は検討がされ
ているものの、被検体のシフトに伴う誤差の中で、特
に、形状に誤差を与えるピッチング項、ローリング項、
上下移動項を求めることができておらず、それらの影響
を排除する方法が確立されていない.
【0004】また、前述した2面法としては、下記に挙
げる4つの方法が知られている。 (1)伊藤俊治、日名地輝彦、堀内宰; 「2方位法と半径方向シフト法を用いた平面度の高精度
測定」 精密工学、58(1992)883−886 本方法は、光軸を中心に回転ステージを用いて回転し、
円周方向の形状情報の獲得、かつ、半径方向へのシフト
により半径方向の形状を求めて、被検体表面の形状を決
定する。しかし、本方法は半径方向のシフトに伴うシフ
ト誤差が全く考慮されていないので、形状の2次成分に
誤差を生じる。オプチカルフラットのような形状は、2
次成分の占める割合が一番大きいので、測定形状に甚大
な誤差を有すると考えられる。
【0005】(2)R.Mercier,M.Lamare,P.Picart,J.P.
Marioge; 「Two-flat method for bi-dimentional measurement o
f abusolutedeparture from the besut sphere」 Pure Appl Opt 6(1997)117-126 本方法では、被検体表面の形状が球面の特別な場合を仮
定して、被検体表面のシフトのみで、そのシフト誤差
(ピッチング、ローリング、上下移動の3つのシフト誤
差を取り扱っている)と形状の分離を最小2乗法を用い
て行っている。しかし、形状が球面の特別な場合を仮定
して、全部で34回のシフトを行うというのは問題であ
り、この方法では、形状に含まれる2次成分がシフト誤
差と分離できないという指摘がある(東北大学・清野氏
による)。
【0006】(3)清野慧、孫 ヘイ、強 学峰、高
偉; 「干渉縞による平面形状の絶対測定法の理論的研究」 精密工学 64-8(1998),1137-1145 本方法は、3回のシフトで被検体表面の形状を決定可能
としている。しかし、本方法では、最重要な上下移動項
を全く考慮しておらず、シフト誤差をピッチング項、ロ
ーリング項の2つのみと仮定しており、その上、これを
求めるアルゴリズムに致命的な間違いが指摘されてい
る。
【0007】(4)清野慧、孫 ヘイ、強 学峰、高
偉; 「フィゾー干渉計による形状測定機の自律校正」 1999度精密工学秋期大会学術講演会論文集、457(1999) 本方法は前述した(1)の方法に属する。特に、半径方
向のシフトについては、シフト誤差をピッチング項のみ
と仮定して、この影響を除去しようと試みているが、
(3)と同様の問題を含み、これも正しく求められてい
ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、2面法
では、2次元位置決めステージを用いても、被検体のシ
フトに伴うシフト誤差を正しく求める方法は示されてお
らず、更に、参照面を干渉計に取り付けたままの状態で
系統誤差を容易に決定する方式、ならびに、実用的な干
渉計の校正法は見当たらない。
【0009】本発明者らは、特願2000−29780
2、発明の名称「表面形状測定系の系統誤差の決定方法
および表面形状測定装置」において、前記シフトに伴っ
て発生するピッチング、ローリングならびに、上下移動
を主要成分とするシフト誤差のうちピッチング項、ロー
リング項と前記多項式の係数を上下移動項の関数として
表し、かつ、前記上下移動項は別途検出手段(ギャップ
センサ)を利用して決定し、これより、前記披検体表面
の算出形状を求めて、前記形状測定系の系統誤差を決定
する方法を提示した。しかしながら、本方法では、別途
検出手段が必要であり、検出手段の専門的な準備、着脱
のコストと手間がかかり、さらに、ユーザサイドで系統
誤差の決定を行い測定系の校正を行うのは困難である。
【0010】本発明の目的は、被検体の2次元領域での
表面の高さの上下を測定するエリアセンサを備えた前記
表面形状測定装置において、上下軸と直交する方向に稼
動可能な2次元位置決めステージに特定(被検体の表面
形状に1次と2次成分を持たない)の被検体を固定し
て、x軸y軸の正方向に各1回合計2回のシフトによる
形状測定系の系統誤差を含む被検体の表面形状の測定値
のみを用いて、前記系統誤差と各シフトに伴い発生する
ピッチング、ローリング、上下移動のシフト誤差の双方
の誤差の影響を排除して、表面形状測定系の系統誤差を
被検体表面の前記エリアの各検出位置毎に決定を行い、
次に、他の任意の被検体の形状測定に関しては、前記シ
フト用の2次元位置決めステージを用いず、即ち、前記
被検体のシフトに頼ること無く、系統誤差を含む被検体
の表面形状の算出形状より、前記系統誤差を差し引くこ
とにより、系統誤差の除去された被検体の表面形状を高
精度に求める表面形状測定系の系統誤差の自律的決定方
法を得るにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明は、前記被検体の表面上に座標軸と共に投影
される原点をもちかつエリアセンサの測定領域内に前記
原点と共に固定された直交x,y,z座標軸で被検体の
断面形状が決定される座標系であって、形状の高さzを
x,yの次多項式;
【数3】 で表し、前記x,y平面で前記被検体の指令シフト量に
基づきシフトを実現する2次元位置決めステージによ
り、所定のシフトを施して前記エリアセンサを介して取
得した測定データのみを用い、所定の形状算出過程を経
て、系統誤差ε(x,y)とピッチング項p(α,β)
x、ローリング項r(α,β)y、ならびに、上下移動
項g(α,β)の和で表されるシフト誤差ξ(α,β,
x,y)の影響を受けた形状算出データz(α,β,
x,y)から、系統誤差ε(x,y)をシフト誤差ξ
(α,β,x,y)の影響を排除して求める校正用アル
ゴリズムを有する表面形状測定装置において、表面形状
に1次と2次成分を持たない(すなわち、a1 (y)=
2 (y)=0,b1 =b2 =0)特定の校正用被検体
を所定のx,y方向のシフト(それぞれのシフト量を
α,βとする)を与えて得られる前記形状測定系の系統
誤差を含む前記校正用の被検体表面の形状を表す形状算
出データにつき、シフト前の形状算出データ z(0,0,x,y)=z(x,y)+ε(x,y) を測定した前記エリアセンサの測定領域と、シフト後の
形状算出データ z(α,β,x,y)=z(x−α,y−β)+ε
(x,y)+ξ(α,β,x,y) を測定した前記エリアセンサの測定領域とのx,yの共
通領域で、シフトαのみを施した差形状算出データ
【数4】 を作り、n個のxの値を指定して、k≧3の項に含まれ
るn−2個の未知数ak (y)と、k=2の項、k=1
の項をp(α,0)x+r(α,0)y+g(α,0)
と共にa2 (y),a1 (y)を整理したcx+dの形
式の1次式の2つの未知数c,dの合計n個を未知数と
した連立方程式を解くことにより、ak (y);k≧3
を求め、また、bj ;j≧3においても同様の処理によ
って前記校正用被検体の表面算出形状と共に、前記シフ
ト誤差と前記系統誤差を自律的に求め、任意の前記被検
体の表面形状の測定に際しては、前記被検体のシフトを
行うことなく、前記エリアセンサの測定値から得られた
系統誤差を含む前記被検体表面の形状算出値から前記系
統誤差を除去することによって、前記被検体の表面算出
形状を求めることを特徴とする校正用の被検体を用いた
表面形状測定系の系統誤差の自律的決定方法を提案する
ものである。
【0012】後述する本発明の好ましい実施例の説明に
おいては、 1)任意の前記被検体の表面形状の測定に際して、前記エ
リアセンアの測定領域を超える領域をもつ前記被検体の
場合、前記被検体の前記シフトα,βを行い、前記エリ
アセンアの測定値より得られた表面算出形状から既に求
められたシフト誤差を前記系統誤差と共に、差し引くこ
とにより、前記被検体の表面算出形状を求める表面形状
測定系の系統誤差の自律的決定方法、 2)校正用被検体のシフトは、x方向に1 回、y方向に1
回行うのみである表面形状測定系の系統誤差の自律的決
定方法が説明される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、参照面を含む干渉光学系に
よる表面形状測定系を例に取り、本発明の具体例を説明
するが、本発明におけるエリアセンサは、前記CCDの
他に被検体表面の測定エリアを走査する機構を持ち、表
面の高さの上下を測定し、被検体表面の形状を測定する
測定器であれば、本発明はすべて適用可能で、適用可能
の例としては、3次元形状測定器、非球面レンズ等の形
状測定器、更には、AFM、STM等も挙げられる。ま
た、以下の説明では、次の(0)項で本表面形状測定装
置のシステム構成とシステム動作について述べ、次に
(1)項から(4)項に特定の被検体の前記シフトによ
る系統誤差を決定するアルゴリズムを示す。
【0014】(0)表面形状測定装置のシステム構成な
らび本システムの動作 参照面誤差を含む系統誤差を有する干渉計による被検体
表面の測定を行うシステム構成を図1に示す。
【0015】本システムは、レーザ光源1、干渉縞の2
次元画像を撮像するCCDカメラ2、参照面3などを有
する干渉縞計測の干渉計システム5と、本発明での被検
体のシフトのために設けられた2次元位置決めステージ
6上に置かれた特定の被検体7などから構成される。ま
た、本表面形状測定装置は、システムの動作ならびアル
ゴリズムの説明のためのxyz座標系と、被検体の表面
上に座標軸と共に投影される図2示の原点をもち、エリ
アセンサの測定領域内に原点と共に固定された座標軸
x,y,zを有する。つまり、干渉計5の光軸4に平行
な方向をz軸とし、前記2次元位置決めステージ6の1
次元移動方向をx軸、x軸に直交する他の1次元移動方
向をy軸としてある。
【0016】干渉計システム5において、レーザ光源1
から発せられたレーザ光は、各光学系を透過して、参照
面3を一部は透過し一部は反射する。透過部分は、被検
体表面7で反射して参照面3で反射した部分と干渉させ
て、被検体表面7と参照面3の相対形状は測定された光
学的干渉に基づく干渉縞の解析から算出される。
【0017】さて、干渉計による平面度測定は、参照面
に対する被検体表面の相対測定である。ゆえに、高精度
な被検体表面の測定を実現するためには、参照面の(理
想平面からの)誤差、参照面以外の光学系による波面歪
などを含めた干渉計の系統誤差を予め正確に求めて校正
しておく必要がある。
【0018】次に、干渉計の前記系統誤差を決定して高
精度に被検体表面の測定を行うための前記システムの動
作と方法の概要を簡単に述べる。被検体7は2次元位置
決めステージ6上に固定されており、被検体7を図4の
矢印で示す2方向に2次元位置決めステージ6よりそれ
ぞれシフトさせて、シフト前と合わせた計3つの被検体
表面7の各位置で各々干渉縞の測定を行い、公知の干渉
縞解析により算出された系統誤差を含む被検体の表面の
形状に対して、(1)から(3)のアルゴリズムを施す
ことによって、シフト誤差の影響を排した前記被検体の
表面形状を決定する。そして、(4)より、参照面誤差
を含む系統誤差が、参照面の各点において決定された後
の実際の被検体表面の測定においては、被検体をシフト
させる必要もなく、したがって、前記2次元位置決めス
テージも不要となり、被検体を固定したままで被検体表
面の形状を測定し、「干渉計による測定値から導出され
る系統誤差を含む形状測定値」−「系統誤差」により、
被検体の表面形状の高精度測定が実現される。
【0019】(1)1 次と2次成分を持たない校正用の
被検体表面の形状を多項式で近似図3において、被検体
表面8の形状を断面形状の集合9として、x軸方向に関
する断面形状をn次多項式で、下記のように表す。
【数5】 ・・・式(1.1) ただし、式(1.1)のa0 (y)は図3における定数
項10であり、
【数6】 ・・・式(1.2) のように定義することができる。ここに、1次2次成分
を持たない特定の被検面を仮定しているので、a2
(y)=a1 (y)=0,b1 =b2 =0である。
【0020】(2)被検体のシフトに伴う関係式 各y座標y=yk (k=1,2,....,m)に対す
る、xのn次多項式の係数決定を行うため、先ず、被検
体のシフト前の得られる系統誤差を含む被検体表面の形
状z(0,0,x,y)は、下記式で表わされる。
【数7】 ・・・式(2.1) ここで、 z(x,y)・・・被検体表面の形状の真値、 ε(x,y)・・・参照面誤差を含む系統誤差、 z(α,β,x,y)・・・干渉縞データより解析され
て得られたシフト量α,βに対応して発生するシフト誤
差と系統誤差を含む被検体表面の形状の測定値 と定義する。
【0021】同様に、被検体をx軸方向にαだけシフト
して得られる関係式は、シフトによって発生したシフト
誤差が含まれており、
【数8】 ・・・式(2.2) である。この式(2.2)で、シフト誤差は第3項から
第5項のように表される(p(α,0)・・・ピッチン
グ項、r(α,0)・・・ローリング項、g(α,0)
・・・上下移動項)である。
【0022】ここで、式(2.2)−式(2.1)よ
り、
【数9】 ・・・式(2.3) となる。左辺は測定値であり、右辺は被検体表面の断面
形状を表す多項式(z(x−α,y)−z(x,y))
と被検体表面の姿勢の変化を表す項(p(α,0)x+
r(α,0)y+g(α,0))から成り立つ。前述し
た式(1.1)および式(2.3)から、
【数10】 ・・・式(2.4) が成立する。
【0023】ここで、式(2.2)−式(2.1)よ
り、
【数11】 ・・・式(2.5) となる。左辺は測定値であり、右辺は被検体表面の断面
形状を表す多項式(z(x−α,y)−z(x,y))
とシフト後の被検体表面の姿勢の変化を表す項(p
(α,0)x+r(α,0)y+g(α,0))から成
り立つ。ここで、式(2.5)から、x=0,y=0の
原点において
【数12】 ・・・式(2.6) が成立する。式(1.1),(2.3)から、
【数13】 ・・・式(2.7) が成立する。本アルゴリズムでは、各シフト後の位置と
シフト前の位置を合わせた被検体表面の各位置で干渉縞
データの測定を行い、シフト誤差と系統誤差を含む被検
体表面の形状を求めことにより、系統誤差と被検体表面
の断面形状を表す多項式の定数成分を除いた関係式(式
(2.4))が各シフトごとに成立する。
【0024】(3)被検体表面の形状を近似する多項式
の係数ak (y)(k≧3)、bj(j≧3))の決定 (3.1)x軸の正方向へαシフトさせた被検体表面の形状
の測定値を用いて、係数ak (y)(k≧3)の決定
【0025】式(2.4)より
【数14】 ・・・式(3.1) となる。ただし、
【数15】 ・・・式(3.2)
【数16】 ・・・式(3.3) とおく。
【0026】ここで、求める変数an (y),...,
2 (y),a1 (y),p(α,0),r(α,
0),g(β,0)のn+2個の未知数をan
(y),...,a3 (y),c(α,0,0,y),
d(α,0,0,y)のn個の未知数に変数変換してお
き、x=x1 ,x2 ,x3 ,...,xm のそれぞれに
対して、式(3.1)に代入して、行列とベクトルを用
いれば、
【0027】
【数17】 ・・・式(3.4) と表される。ただし、
【数18】 ・・・式(3.5)
【数19】 ・・・式(3.6)
【数20】 ・・・式(3.7) である。
【0028】よって、
【数21】 ・・・式(3.8) のように、n個の未知数、即ち、an (y),...,
3 (y),c(α,0,0,y),d(α,0,0,
y)が定まる。
【0029】(3.2)y軸の正方向へβだけシフトさせた
被検体表面の形状の測定値を用いて、係数bj (j≧
3)の決定 (3.1)と同様にして求める。すなわち、被検体をy軸方
向にシフトして得られる式(2.2)に相当する関係式
で、特に、x=0として、
【数22】 ・・・式(3.9) と表す(p(0,β)・・・ピッチング項、g(0,
β)・・・上下移動項)。
【0030】このとき、式(3.9)からシフト前の式
(2.1)を引くことによって、
【数23】 ・・・式(3.10) となる(式(3.1)に対応)。
【0031】ただし、
【数24】 ・・・式(3.11)
【数25】 ・・・式(3.12) とおく。ここで、式(3.1)と同様に、求める変数b
n ,...,b3 ,b1 ,p(0,β),g(0,β)
のn+2個の未知数をbn ,...,b3 ,c(0,
β,0,0),d(0,β,0,0)のn個の未知数に
変数変換しておき、y=y1 ,y2 ,y3 ,...,y
m のそれぞれに対して式(3.10)に代入して、式
(3.4)に対応する線型方程式を導き、同様に解け
ば、n個の未知数、bn,...,b3 ,c(0,β,
0,0,),d(0,β,0,0,)が定まる。
【0032】(3.3) (3.1),(3.2) の過程を経て得られる
被検体表面の断面形状 ak (y)(k≧3)、bj (j≧3)の係数が(3.1)
および(3.2) から求めることができた。用いる特定の被
検体はその表面形状は1次2次成分をを持たない、即
ち、a1(y)=a2 (y)=0,b1 =b2 =0であ
ったので、被検体表面の断面形状を示すn次多項式は
【数26】 ・・・式(3.13) となる。ただし、
【数27】 ・・・式(3.14) によって表される。
【0033】シフト誤差について述べると、ピッチング
誤差p(α,0)、p(0,β)は、式(3.2)
(3.11)から、
【数28】 ・・・式(3.15)
【数29】 ・・・式(3.16) として求められる。
【0034】また、上下移動項g(α,0)、g(0,
β)も式(3.3)(3.12)より、y=0とおい
て、
【数30】 ・・・式(3.17)
【数31】 ・・・式(3.18) となる。
【0035】また、ローリング項r(α,0)は式
(3.3)に上下移動項が求められているので、適当な
0 ≠0に対して
【数32】 ・・・式(3.19) として求められる。
【0036】(4)座標系の各点(x,y)に対する系
統誤差ε(x,y)の決定 (1)項から(3)項では、特定の被検体表面の形状z
(x,y)が決定された。よって、系統誤差はε(x,
y)は、被検体のシフト前の測定値z(0,0,x,
y)の関係式(2.1)を再掲すれば、
【数33】 ・・・式(4.1) であるから、
【数34】 ・・・式(4.2) のように決定される。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の系統誤差の自律的決定方法を用いれば、干渉計の系統
誤差が、校正用の被検体を方向に移動可能な2次元位置
決めステージに固定して、それぞれ1回のシフトを施す
ことによって、前記エリアセンサから得られるデータを
用いれば、自律的に系統誤差を参照面の各点で決定でき
る。前述した系統誤差測定の場合は、シフト動作のため
の2次元位置決めステージが必要であり、また、前記エ
リアセンサの測定領域を超えた広い領域の被検体の表面
形状計測のためも、かかるステージは必要であるが、一
度系統誤差が決定された後では、前記エリアセンサが被
検体の表面の測定領域をカバーする場合は前記ステージ
は用いる必要はない。本発明においては、被検体表面の
真値は形状の測定値から系統誤差を差し引くことによっ
て容易に得ることができる。
【0038】なお、本発明で述べた2次元位置決めステ
ージによるシフトは通常の数値制御によりシフトの指令
値を与えるだけで高精度に自動的に行うことができるの
で、ユーザ自身で系統誤差の決定を行い、高精度な測定
を常時行うことができる。また、本発明の実施例では、
エリアセンサとしてCCDカメラを用いた参照面を含む
干渉光学系による例に取り述べたが、本方式は参照面を
含む干渉光学系だけに限られたものではなく、測定によ
って得られた「系統誤差を含む形状の測定値」が得られ
れば、前記エリアセンサと同機能のエリア内の高さ検出
センサ(例:触針をエリア内で2次元的に走査する走査
型AFM、または、触針を有する粗さ検出器など)を用
いれば、これらのエリアセンサを用いた表面微細形状、
緩斜面からなる非球面レンズ表面性状測定器、触針をさ
らには、3次元形状測定器などにも広く活用できること
はいちいち説明するまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】高精度に被検体表面の測定を行う本発明の表面
形状測定装置の概念図である。
【図2】同表面形状測定装置の被検体位置決めステージ
の拡大斜視図である。
【図3】被検体表面を近似する断面形状の模式図であ
る。
【図4】被検体のシフト位置の説明図である。
【符号の説明】
1 レーザ光源 2 CCDカメラ 3 参照面 5 干渉計 6 2次元位置決めステージ 7 被検体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F064 AA09 CC10 DD00 FF01 GG22 HH03 HH08 JJ00 2F065 AA04 AA52 AA53 EE00 FF51 FF67 GG04 JJ03 JJ26 PP12 QQ00 QQ17 QQ25 QQ27 2F069 AA66 FF00 FF07 GG07 HH30 JJ14 NN00 NN15

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前記被検体の表面上に座標軸と共に投
    影される原点をもちかつエリアセンサの測定領域内に前
    記原点と共に固定された直交x,y,z座標軸で被検体
    の断面形状が決定される座標系であって、形状の高さz
    をx,yのn次多項式; 【数1】 で表し、 前記x,y平面で前記被検体の指令シフト量に基づきシ
    フトを実現する2次元位置決めステージにより、所定の
    シフトを施して前記エリアセンサを介して取得した測定
    データのみを用い、所定の形状算出過程を経て、系統誤
    差ε(x,y)とピッチング項p(α,β)x、ローリ
    ング項r(α,β)y、ならびに、上下移動項g(α,
    β)の和で表されるシフト誤差ξ(α,β,x,y)の
    影響を受けた形状算出データz(α,β,x,y)か
    ら、系統誤差ε(x,y)をシフト誤差ξ(α,β,
    x,y)の影響を排除して求める校正用アルゴリズムを
    有する表面形状測定装置において、 表面形状に1次と2次成分を持たない(すなわち、a1
    (y)=a2 (y)=0,b1 =b2 =0)特定の校正
    用被検体を所定のx,y方向のシフト(それぞれのシフ
    ト量をα,βとする)を与えて得られる前記形状測定系
    の系統誤差を含む前記校正用の被検体表面の形状を表す
    形状算出データにつき、シフト前の形状算出データ z(0,0,x,y)=z(x,y)+ε(x,y) を測定した前記エリアセンサの測定領域と、シフト後の
    形状算出データ z(α,β,x,y)=z(x−α,y−β)+ε
    (x,y)+ξ(α,β,x,y) を測定した前記エリアセンサの測定領域とのx,yの共
    通領域で、シフトαのみを施した差形状算出データ 【数2】 を作り、 n個のxの値を指定して、k≧3の項に含まれるn−2
    個の未知数ak (y)と、k=2の項、k=1の項をp
    (α,0)x+r(α,0)y+g(α,0)と共にa
    2 (y),a1 (y)を整理したcx+dの形式の1次
    式の2つの未知数c,dの合計n個を未知数とした連立
    方程式を解くことにより、ak (y);k≧3を求め、 また、bj ;j≧3においても同様の処理によって前記
    校正用被検体の表面算出形状と共に、前記シフト誤差と
    前記系統誤差を自律的に求め、 任意の前記被検体の表面形状の測定に際しては、前記被
    検体のシフトを行うことなく、前記エリアセンサの測定
    値から得られた系統誤差を含む前記被検体表面の形状算
    出値から前記系統誤差を除去することによって、前記被
    検体の表面算出形状を求めることを特徴とする校正用の
    被検体を用いた表面形状測定系の系統誤差の自律的決定
    方法。
  2. 【請求項2】 任意の前記被検体の表面形状の測定に際
    して、前記エリアセンアの測定領域を超える領域をもつ
    前記被検体の場合、前記被検体の前記シフトα,βを行
    い、前記エリアセンアの測定値より得られた表面算出形
    状から既に求められたシフト誤差を前記系統誤差と共
    に、差し引くことにより、前記被検体の表面算出形状を
    求めることを特徴とする請求項1記載の校正用の被検体
    を用いた表面形状測定系の系統誤差の自律的決定方法。
  3. 【請求項3】 校正用被検体のシフトは、x方向に1
    回、y方向に1 回行うのみであることを特徴とする請求
    項1または請求項2記載の校正用の被検体を用いた表面
    形状測定系の系統誤差の自律的決定方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006329975A (ja) * 2005-04-27 2006-12-07 Mitsutoyo Corp 干渉計及び干渉計の校正方法
JP2009103597A (ja) * 2007-10-24 2009-05-14 Mitsutoyo Corp 寸法測定方法
JP2018081042A (ja) * 2016-11-18 2018-05-24 株式会社ミツトヨ 情報処理装置及びプログラム

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