JP2002153967A - シリンダブロックの鋳造方法およびそれに用いるボア金型ピン - Google Patents

シリンダブロックの鋳造方法およびそれに用いるボア金型ピン

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JP2002153967A JP2000353379A JP2000353379A JP2002153967A JP 2002153967 A JP2002153967 A JP 2002153967A JP 2000353379 A JP2000353379 A JP 2000353379A JP 2000353379 A JP2000353379 A JP 2000353379A JP 2002153967 A JP2002153967 A JP 2002153967A
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Isamu Furukawa
勇 古川
Hiroshi Kawai
宏 河井
Hidehiko Monno
英彦 門野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリンダライナを鋳ぐるんで鋳造するアルミ
ニウム合金製シリンダブロックの鋳造方法であって、極
めて簡便に、真円度に優れたシリンダライナの内周面を
達成できる鋳造方法を提供する。また、その鋳造方法に
用いられるボア金型ピンを提供する。 【解決手段】 鋳造後の残留応力による変形の結果シリ
ンダライナ20の内周面21が真円となるように鋳造を
行う。具体的には、その変形量を見込んだ異形状のボア
金型ピン30にシリンダライナ20をセットして鋳造す
る。したがって、その鋳造において用いられるボア金型
ピン30は、鋳造後の残留応力によるシリンダライナ2
0の内周面21の変形を見込んでその断面が異形状に調
製されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム合金
製のシリンダブロックを鋳造する方法に関し、また、そ
の鋳造の際に使用する鋳造金型に入子として用いられる
ボア金型ピンに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジンのシリンダブロックは、
近年の自動車の軽量化に伴い、アルミニウム合金製のも
のが主流を占めつつある。アルミニウム合金製のもの
は、ダイカスト法等の鋳造によって製造されるが、ピス
トンが摺動するシリンダボア面の機械的強度、耐摩耗
性、耐熱性等を確保するために、ボア面を形成するため
の部材として、例えば鋳鉄製等のシリンダライナをその
部分に鋳ぐるむことがよく行われている。
【0003】ところが、鋳造されたシリンダブロックに
おいては、シリンダライナとブロック本体との熱膨張率
の差、ブロック本体の各部位の凝固速度の差、ブロック
本体の各部位における肉厚差、シリンダブロック自体の
形状の複雑さ等の種々の要因から、残留応力が存在す
る。この残留応力によりシリンダライナの内周面は変形
し、目的とするボア面を形成することができない。そこ
で一般には、鋳造後はシリンダライナの内周面に切削、
研磨等の後加工を施し、所定の形状のボア面を得てい
る。
【0004】エンジンに対する小型化の要求は高まる一
方であり、各気筒のボア間を小さくする傾向にあり、ま
た、シリンダライナ自体もその肉厚を薄くする傾向に
る。このような傾向の中、鋳造後の残留応力によるシリ
ンダライナの内周面の変形はより大きな問題となってい
る。特に、シリンダライナの肉厚を薄くする場合、シリ
ンダライナの内周面が変形して真円となっていない状態
では、切削等の後加工によりシリンダライナは偏肉する
ことになり、耐久性等のボアに所望される種々の特性を
満足できないものとなってしまう。
【0005】この問題を解決するため、例えば、実開昭
64−6344号公報に示すように、シリンダライナを
スラスト−反スラスト方向の肉厚を異ならせるように形
成し、そのシリンダライナを鋳ぐるむことで、鋳造後の
シリンダライナの変形を低減させる技術が存在する。し
かし、この技術では、肉厚差を設けるためにシリンダラ
イナそのものの肉厚をある程度大きくする必要があり、
より薄いシリンダライナが要望される現在では、もはや
シリンダライナの変形を充分に低減する技術とはなり得
ない。
【0006】また、例えば、特開平3−42164号公
報に示すように、鋳造の冷却中あるいは冷却後に再加熱
をして、シリンダライナの内周面に変形荷重を加えてシ
リンダブロックを変形させ、その状態のまま冷却するこ
とで、シリンダライナの変形を低減させるという技術も
存在する。ところが、この技術では、シリンダライナの
円筒内部に荷重を加えるための何らかの設備を必要と
し、また、鋳造後に別途上記工程を必要とすることか
ら、極めて煩雑な製造方法となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、鋳造
後の残留応力によるシリンダライナの内周面の変形は、
鋳造というプロセスを採用する限り、完全には防止でき
ないものであると考えられる。そこで本発明者は、シリ
ンダブロックの鋳造についての鋭意研究の結果、変形を
防止するのではなく、変形した結果において適正な内周
面が得られるようにシリンダブロックを鋳造すれば、後
加工によってシリンダライナが偏肉することなく、目的
とするボア面を得ることができるとの知見を得た。
【0008】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、シリンダライナを鋳ぐるんで鋳造するアルミ
ニウム合金製シリンダブロックの鋳造方法であって、シ
リンダライナの内周面の変形量を見込んで鋳造すること
により、極めて簡便であり、かつ、真円度に優れたシリ
ンダライナの内周面を達成できる鋳造方法を提供するこ
とを課題とする。また、専らその鋳造方法に用いられ、
鋳造金型の入子となるシリンダライナに挿通するボア金
型ピンであって、それを使用することにより真円度に優
れたシリンダライナの内周面を達成できるボア金型ピン
を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】(1)本発明のシリンダ
ブロックの鋳造方法は、シリンダボアを成形するための
入子となるボア金型ピンを有する鋳造金型に、ボア部を
形成する筒状のシリンダライナを、そのボア金型ピンを
挿入させて配置する工程と、前記鋳造金型内にアルミニ
ウム合金溶湯を注湯し、前記シリンダライナを鋳ぐるん
で凝固させる工程とを含んでなるシリンダブロックの鋳
造方法であって、前記ボア金型ピンは、鋳造後の前記シ
リンダライナの内周面が真円となるように、鋳造後の残
留応力によるシリンダライナの内周面の変形を見込んで
その断面が異形状に調製されていることを特徴とする
(請求項1に対応)。つまり、本発明の鋳造方法は、鋳
造後の残留応力によるシリンダライナの変形を抑制する
ことを主目的とする技術ではなく、変形の結果シリンダ
ライナの内周面が真円となるように鋳造する技術であ
る。
【0010】4気筒、6気筒といった直列多気筒エンジ
ンの製造において、そのシリンダブロックを鋳造するこ
とを想定して考える。例えば、鋳鉄製のシリンダライナ
を鋳ぐるむ場合、ブロック本体部を形成するアルミニウ
ム合金とボア部を形成する鋳鉄との熱膨張率差、シリン
ダボアの配列等による構造上の異方性等に起因して、残
留応力の大きさはその方向によって異なるものとなる。
この残留応力の違いから、鋳ぐるまれたシリンダライナ
は変形する。一般に真円柱形状のボア金型ピンを入子と
して用いて鋳造を行う場合、鋳造時においてはシリンダ
ライナの内周面は真円であるが、凝固後つまり鋳造後
は、その方向性の異なる残留応力によって、真円度を維
持できなくなる。
【0011】本鋳造方法によれば、ボア金型ピンの外周
面の形状を変形を見込んで異形状としていることから、
鋳造時においては、シリンダライナの内周面はそのボア
金型ピンの外周面の形状に合致する形状であって真円で
はないが、鋳造後は残留応力によって、逆に、真円度の
良好な形状となる。このような手段による本鋳造方法
は、極めて簡便に、真円度に優れたシリンダライナの内
周面を有するシリンダブロックを鋳造できる方法とな
る。このことは、ボア面成形のための後加工によっても
シリンダライナが偏肉することなく、薄いシリンダライ
ナの使用を可能にし、シリンダブロックのさらなる小型
化に貢献することになる。
【0012】シリンダライナの変形量は、まず、真円の
外周面を持つボア金型ピンを用いて実際に鋳造し、その
際のシリンダライナの各部位の変形量を測定すればよ
い。そしてその変形量に相当する量の補正を行って異形
状のボア金型ピンを作製し、今度は、そのボア金型ピン
を用いて、鋳造を行えばよい。つまり、試行錯誤を繰り
返した結果として、ボア金型ピンの適正な外周面形状を
決定すればよい。なお、本明細書において、「真円」と
は、幾何学上の完全な真円を意味するものではなく、本
発明の目的から逸脱しない範囲で若干の歪みのある円を
も含むことを意味する。また、「異形状」とは、真円と
異なる形状を意味し、直線あるいは曲線を繋ぎ合わせて
構成される種々の形状を含む。
【0013】(2)本発明のシリンダブロックの鋳造方
法は、前記シリンダライナは、その内周面が真円となる
ように形成されている態様で実施できる(請求項2に対
応)。異形状のボア金型ピンに合致する内周面をもつシ
リンダライナを作製し、そのシリンダライナを鋳ぐるむ
ことも可能である。しかし、そのような異形状の内周面
をもつシリンダライナを作製することは、その形状が単
純なものでない限り、かなりの困難性を伴う。真円に形
成された内周面を有するシリンダライナは、製造が簡単
であり、シリンダブロックのコストを低く抑えることが
可能である。
【0014】真円に形成された内周面を有するシリンダ
ライナは、ボア金型ピンを挿入させて鋳造金型にセット
した場合、ボア金型ピンの外周面が異形状であるため、
セット時においては、ボア金型ピンの外周面とその内周
面との間に間隙を有することになる。しかし、この間隙
は、鋳造時の溶湯の圧力によってシリンダライナが変形
し、鋳造時においては消失し、その結果、シリンダライ
ナの内周面はボア金型ピンの外周面に整合する。したが
って、本態様では、シリンダライナの肉厚が薄いほど鋳
造時の変形が容易で、充分なるボア金型ピンへの整合が
可能となり、真円度に優れたシリンダライナの内周面を
より効果的に達成することができる。
【0015】なお、シリンダライナは、内周面のみなら
ず、その外周面も真円であって内周面と外周面とが同軸
的に形成されていることが望ましい。言い換えれば、一
定の肉厚を有する真円筒形状のシリンダライナであるこ
とが望ましい。この形状のシリンダライナは、さらに製
造が簡単であり、製造コストを極めて安価に抑えること
ができる。
【0016】(3)本発明のシリンダブロックの鋳造方
法は、ダイカスト鋳造法によって行う態様で実施するこ
とができる(請求項3に対応)。本発明の鋳造方法は、
その鋳造方式を特に限定するものではなく、スクイズキ
ャスト(溶湯鍛造)法、ダイキャスト法等、既に公知の
種々の方式の鋳造法を採用できる。この中でも、ダイカ
スト法は、迅速な鋳造を行えるため、製造コストを低く
抑えるというメリットを有する。
【0017】また、ダイカスト法では、鋳造圧が30〜
80MPaと高いため、上記真円の内周面を有するシリ
ンダライナを採用する場合であっても、鋳造時に異形状
のボア金型ピンの外周面にその内周面を容易に整合させ
ることができ、鋳造後において、より真円度の良好なシ
リンダライナの内周面を、より安定的に得られることに
なる。
【0018】さらに、ダイカスト法では、中子の使用が
困難であり、シリンダボアの周囲のウォータージャケッ
トが完全に開口するオープンデッキ構造となるため、シ
リンダライナの変形が大きい。したがって、ダイカスト
法を適用する本発明の鋳造方法では、鋳造後に真円度を
維持するという効果がいかんなく発揮されることにな
る。なお、ダイカスト法の条件等については、通常のシ
リンダブロックの鋳造条件に従えばよい。
【0019】(4)本発明のシリンダブロックの鋳造方
法は、前記シリンダライナが、アルミニウム合金製とな
る態様で実施することができる(請求項4に対応)。本
鋳造方法においては、シリンダライナは、その材質を特
に限定するものでなく、既に公知の種々の材質のものを
使用できる。例えば、鋳鉄製のものでもよく、またアル
ミニウム合金製のものであってもよい。
【0020】アルミニウム合金製のものは、鋳鉄製のも
のに比べ変形しやすく、従来の鋳造方法では、その内周
面の真円度を確保することが困難である。ところが、変
形を見込んでボア金型ピンを異形状に調製する本製造方
法では、変形が大きいアルミニウム合金製のシリンダラ
イナであっても、容易に真円度を担保することが可能で
ある。また、上述した真円の内周面を有するシリンダラ
イナを採用する場合には、特に、鋳造時に異形状のボア
金型ピンの外周面にその内周面を容易に整合させること
ができるというメリットがある。
【0021】(5)本発明のボア金型ピンは、ボア部を
形成する筒状のシリンダライナを鋳ぐるんでアルミニウ
ム合金製のシリンダブロックを鋳造する鋳造方法におい
て用いられ、鋳造金型の入子となり、そのシリンダライ
ナに挿入するボア金型ピンであって、鋳造後の前記シリ
ンダライナの内周面が真円となるように、鋳造後の残留
応力によるシリンダライナの内周面の変形を見込んでそ
の断面が異形状に調製されていることを特徴とする(請
求項5に対応)。つまり、本発明のボア金型ピンは、上
記本発明の鋳造方法を実施するためのボア金型ピンであ
る。上述した作用により、本ボア金型ピンを用いて鋳造
すれば、鋳造後においてシリンダライナの内周面の真円
度が良好なものとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明のシリンダブロック
の鋳造方法およびそれに用いるボア金型ピンの実施形態
を、ダイカスト法による鋳造方法を例にとって、図を参
照しつつ詳しく説明する。
【0023】図1は、本実施形態の鋳造方法によって鋳
造されるシリンダブロックを示す。図示するシリンダブ
ロック1は、直列4気筒タイプのシリンダブロックで、
4つのシリンダボア1aが併設されている。シリンダブ
ロック1は、アルミニウム合金製のシリンダブロック本
体10と、シリンダボア1aを形成するためにブロック
本体10に鋳ぐるまれるアルミニウムまたはアルミニウ
ム合金製のシリンダライナ20とからなる。
【0024】従来からの鋳造方法、つまり、真円筒形状
のボア金型ピンを用いて行う鋳造方法によって鋳造され
るシリンダブロックにおけるシリンダボアの形状変化
を、図2に、模式的に示す。本図は、シリンダ軸方向か
ら見た図であって、シリンダボア1aの部分のみを抽出
して描いてある。左側のシリンダボアは、鋳造時詳しく
は注湯したアルミニウム合金溶湯が凝固した直後の時点
の状態を示し、右側のシリンダボアは、鋳造後詳しくは
溶湯の凝固が完了し常温付近まで冷却された時点の状態
を示している。
【0025】アルミニウム合金溶湯が凝固した直後にお
いてはシリンダボア1aの断面形状つまりシリンダライ
ナ20の内周面21の形状は、真円を保っている。とこ
ろが、冷却が進行するにつれて、凝固収縮が生じ、ブロ
ック本体10とシリンダライナ20との熱膨張率の違い
から、シリンダライナ20の内周面21は、広がろうと
する方向に応力が加わる。鋳造後において残留する応力
は、シリンダブロックの形状から、シリンダボアの配列
方向、つまり、図における左右方向の応力については、
隣り合うボアの応力と相殺し合うことになる。これに対
し、ボア配列方向に直交する方向、つまり、図における
上下方向の応力については、そのままシリンダライナ2
0の内周面21に影響を与える。その結果、内周面21
はその方向に拡大して変形し、真円を維持できなくな
る。例えば、内径80mmφのボアで、肉厚3〜4mm
程度のシリンダライナを鋳ぐるむ場合は、図示する変形
量xは、0.3〜0.4mm程度となる。
【0026】このことを前提に、本実施形態の鋳造方法
では、この変形量および残留応力の異方性を勘案して、
図3に模式的に示すような断面の外周面を有するボア金
型ピンを使用する。このボア金型ピン30は、ボア配列
方向に直交する方向、つまり、図の上下に偏平した略楕
円形(実際は4つの円弧がつながった形状)の断面を有
する。シリンダライナ20は、真円筒形状のものである
が、弾性変形させた状態でボア金型ピン30が挿入され
る。ボア金型ピン30の上下には、シリンダライナ20
の内周面との間に上記変形量xに対応する間隔x’の空
隙が存在するようになっている。なお、ボア金型ピン
は、4つのシリンダボアのうちどのシリンダボアに挿入
するものであるかによって、その形状は異なるものとな
る。
【0027】次に、上記ボア金型ピンを用いて行う実際
の鋳造方法を、工程ごとに説明する。本鋳造方法は、主
に、金型セット工程と、鋳造工程とからなる。金型セッ
ト工程においては、シリンダボアを成形するための入子
となるボア金型ピンを有する鋳造金型に、ボア部を形成
する筒状のシリンダライナを、そのボア金型ピンを挿入
させて配置する。そして、鋳造工程においては、その鋳
造金型内にアルミニウム合金溶湯を注湯し、シリンダラ
イナを鋳ぐるんで凝固させる。
【0028】図4に、金型セット工程の様子を示す。鋳
造金型40は、可動型41と、3つのスライドコア4
2、43、44とを含んで構成されている。可動型41
には、入子として4つの上記ボア金型ピン30が固着し
ている。本図では、スライドコア42、43、44は、
それぞれ後退した状態にある。シリンダライナ20は、
図に示すように、ボア金型ピン30を挿入させて可動型
41に取付けられ、鋳造金型40内に配置される。な
お、シリンダライナ20の内周面とボア金型ピン30の
外周面の間には、鋳造後のシリンダブロックの離型が容
易になるように、黒鉛系等の潤滑剤を介在させている。
次いで、スライドコア42、43、44をそれぞれ前進
させ、図5に示すように、所定のキャビティ45を形成
して金型セット工程は終了する。
【0029】鋳造金型40のセットが完了した後、スラ
イドコア44の下部に設けられた湯道44aから、キャ
ビティ45内に、アルミニウム合金溶湯が注湯され、鋳
造工程が開始される。溶湯には高圧がかけられ、これに
より、シリンダライナ20の内周面はボア金型ピン30
の外周面に密着して整合する。アルミニウム合金溶湯の
凝固が完了して、鋳造工程は終了する。鋳造工程終了
後、図6に示すように、スライドコア42、43、44
が後退し、鋳造金型40は開かれた状態となる。そし
て、シリンダライナ20が鋳ぐるまれたシリンダブロッ
ク1が、図示していないプランジャによって押出され、
離型する。
【0030】本鋳造方法によって鋳造されるシリンダブ
ロックにおけるシリンダボアの形状変化を、図7に、模
式的に示す。本図は、シリンダ軸方向から見た図であっ
て、シリンダボア1aの部分のみを抽出して描いてあ
る。左側のシリンダボア1aは、鋳造時の状態を示し、
右側のシリンダボア1aは、鋳造後の状態を示してい
る。
【0031】アルミニウム合金溶湯が凝固した直後にお
いてはシリンダボア1aの断面形状つまりシリンダライ
ナ20の内周面21の形状は、異形状のボア金型ピン3
0の外周形状に合致し、図の上下方向に偏平した形状と
なっている。上記従来の鋳造方法の場合と同様、冷却が
進行するにつれて、凝固収縮が生じ、ブロック本体10
とシリンダライナ20との熱膨張率の違いから、シリン
ダライナ20の内周面21は、広がろうとする方向に応
力が加わる。鋳造後において残留する応力は、シリンダ
ブロックの形状から、シリンダボアの配列方向、つま
り、図における左右方向の応力については、隣り合うボ
アの応力と相殺し合う。これに対し、ボア配列方向に直
交する方向、つまり、図における上下方向の応力につい
ては、そのままシリンダライナ20の内周面21を変形
させる力として働く。その結果、内周面21はその方向
に拡大して変形する。本鋳造方法においては、その変形
量を見込んだ形状のボア金型ピンを使用していることか
ら、変形後においてシリンダライナの内周面21は、真
円度が確保されることになる。
【0032】鋳造を完了したシリンダブロックは、シリ
ンダライナの内周面に切削、研磨等の加工が施される。
このボア面の成形のための加工においては、シリンダラ
イナの内周面の真円度が確保されているため、その加工
代は少なく、迅速な作業を可能にしている。また、加工
後のシリンダライナは、その肉厚が円周に沿った各部位
において均一であり、ボア面の特性の良好なシリンダブ
ロックとなる。
【0033】以上、一例としての実施形態を説明した。
上記実施形態では、直列4気筒エンジンのシリンダブロ
ックの鋳造方法に関するものである。本発明の鋳造方法
は、この直列4気筒エンジンのシリンダブロックにのみ
適用されるものではなく、6気筒、8気筒エンジンや、
V型等他のシリンダ配置のエンジンの鋳造にも適用でき
る。
【0034】シリンダライナの材質は、上記実施形態で
はアルミニウムまたはアルミニウム合金であるが、これ
にのみ限定されるわけではない。一般に用いられている
他の材質、例えば鋳鉄や鉄系材質のシリンダライナにつ
いても、本発明の鋳造方法は適用できる。鋳造方法につ
いても、上記実施形態におけるダイカスト法に代え、上
述したスクイズキャスト(溶湯鍛造)法等、既に公知の
種々の方式の鋳造法を採用できる。
【0035】上記実施形態においては、真円筒のシリン
ダライナを用いている。本発明の鋳造方法では、真円筒
のシリンダライナに限らず、内周面がボア金型ピンの外
周面にちょうど嵌め合うような形状をなす、あるいは、
目的を逸脱しない限り内周面が任意の形状をなすシリン
ダライナを使用することができる。また、外周面の形状
も、真円に限らず、シリンダブロックの特性を低下させ
ない範囲で任意の形状とすることができる。
【0036】上記実施形態では、シリンダ軸方向の変形
は一定であることを前提にした実施形態となっている。
実際上、シリンダブロックの上部と下部とではその変形
程度が異なる場合がある。この場合、シリンダ軸方向の
いずれの部位においても真円度を良好なものとするため
に、軸方向についても異形状となるボア金型ピンを作製
し、そのボア金型ピンを用いて鋳造を行うものであって
もよい。つまり、いくつかの軸直断面においてシリンダ
ライナの内周面の変形量を調査し、それぞれの変形量を
補正可能なボア金型ピン、すなわち、軸方向の各部位に
おいて断面形状を異ならせたボア金型ピンを用いて、鋳
造を行うこともできる。
【0037】以上、本発明のシリンダブロックの鋳造方
法およびそれに用いるボア金型ピンの実施形態およびそ
れらの変形態様について、鋳造方法を中心に説明した
が、上述した実施形態は一実施形態にすぎず、本発明の
シリンダブロックの鋳造方法およびそれに用いるボア金
型ピンは、上記実施形態を始めとして、当業者の知識に
基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施す
ることができる。
【0038】
【発明の効果】本発明は、シリンダブロックの鋳造方法
を、鋳造後の残留応力による変形の結果シリンダライナ
の内周面が真円となるように構成するものであり、具体
的には、その変形量を見込んだ異形状のボア金型ピンに
シリンダライナをセットして鋳造するように構成するも
のである。このような構成を採用することで、本発明の
シリンダブロックの鋳造方法は、極めて簡便に、真円度
に優れたシリンダライナ内周面を有するシリンダブロッ
クを鋳造できる方法となる。
【0039】また、本発明は、シリンダブロックの鋳造
において用いられるボア金型ピンを、鋳造後の残留応力
によるシリンダライナの内周面の変形を見込んでその断
面が異形状に調製するものである。このような形状をも
つ本発明ボア金型ピンを用いて鋳造すれば、鋳造後にお
いてシリンダライナの内周面の真円度が良好なものとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の鋳造方法によって鋳造さ
れるシリンダブロックを示す。
【図2】 真円筒形状のボア金型ピンを用いて行う従来
からの鋳造方法によって鋳造されるシリンダブロックに
おけるシリンダボアの形状変化を模式的に示す。
【図3】 本発明の実施形態の鋳造方法で使用されるボ
ア金型ピンの断面形状を模式的に示す。
【図4】 本発明の実施形態の鋳造方法における金型セ
ット工程の様子を模式的に示す。
【図5】 本発明の実施形態の鋳造方法における金型セ
ット工程が完了した様子を模式的に示す。
【図6】 本発明の実施形態の鋳造方法における鋳造工
程が終了し、鋳造金型が開かれた状態を模式的に示す。
【図7】 本発明の実施形態の鋳造方法によって鋳造さ
れるシリンダブロックにおけるシリンダボアの形状変化
を模式的に示す。
【符号の説明】
1:シリンダブロック 1a:シリンダボア 10:シリンダブロック本体 20:シリンダライナ 21:内周面 30:ボア金型ピン 40:鋳造金型 41:可動型 42、43、44:スライドコア 44a:湯道 45:キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02F 1/00 F02F 1/00 C F16J 10/00 F16J 10/00 Z (72)発明者 門野 英彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3G024 AA22 AA26 FA14 GA04 GA06 HA02 HA07 3J044 AA10 AA18 BA04 BC12 BC15 DA09 EA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダボアを成形するための入子とな
    るボア金型ピンを有する鋳造金型に、ボア部を形成する
    筒状のシリンダライナを、そのボア金型ピンを挿入させ
    て配置する工程と、 前記鋳造金型内にアルミニウム合金溶湯を注湯し、前記
    シリンダライナを鋳ぐるんで凝固させる工程と、 を含んでなるシリンダブロックの鋳造方法であって、 前記ボア金型ピンは、鋳造後の前記シリンダライナの内
    周面が真円となるように、鋳造後の残留応力によるシリ
    ンダライナの内周面の変形を見込んでその断面が異形状
    に調製されていることを特徴とするシリンダブロックの
    鋳造方法。
  2. 【請求項2】 前記シリンダライナは、その内周面が真
    円となるように形成されている請求項1に記載のシリン
    ダブロックの鋳造方法。
  3. 【請求項3】 ダイカスト鋳造法によって行う請求項1
    または請求項2に記載のシリンダブロックの鋳造方法。
  4. 【請求項4】 前記シリンダライナは、アルミニウム合
    金製である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の
    シリンダブロックの鋳造方法。
  5. 【請求項5】 ボア部を形成する筒状のシリンダライナ
    を鋳ぐるんでアルミニウム合金製のシリンダブロックを
    鋳造する鋳造方法において用いられ、鋳造金型の入子と
    なり、そのシリンダライナに挿入するボア金型ピンであ
    って、 鋳造後の前記シリンダライナの内周面が真円となるよう
    に、鋳造後の残留応力によるシリンダライナの内周面の
    変形を見込んでその断面が異形状に調製されていること
    を特徴とするボア金型ピン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007175737A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Toyota Motor Corp 鋳造装置及び方法、鋳造装置のキャビティ内の圧力測定装置及び方法

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