JP2002146052A - 熱収縮性ポリスチレン系フィルム - Google Patents

熱収縮性ポリスチレン系フィルム

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JP2002146052A
JP2002146052A JP2000338793A JP2000338793A JP2002146052A JP 2002146052 A JP2002146052 A JP 2002146052A JP 2000338793 A JP2000338793 A JP 2000338793A JP 2000338793 A JP2000338793 A JP 2000338793A JP 2002146052 A JP2002146052 A JP 2002146052A
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styrene
shrinkage
temperature
heat
elastic modulus
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JP2000338793A
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Takashi Hiruma
隆 比留間
Shuji Kobayashi
修二 小林
Tomoki Yanari
朋樹 屋成
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Mitsubishi Plastics Inc
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Mitsubishi Plastics Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 低温より熱収縮を開始し、かつ優れた収縮仕
上がりが得られる熱収縮性フィルムを提供する。 【解決手段】 スチレン系炭化水素を80重量%以上含
み、特定の貯蔵弾性率特性を有し、かつ損失弾性率のピ
ーク温度が20℃以上80℃以下に少なくとも一つ存在
するスチレン系炭化水素共重合体(A成分)と、特定の
貯蔵弾性率特性を有し、かつ特定の損失弾性率のピーク
温度を有するスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水
素からなるブロック共重合体(B成分)の混合物を主成
分としてなる少なくとも1軸に延伸したフィルムであっ
て、主収縮方向の70℃温水中での10秒間の熱収縮率
が10%以上、もしくは80℃温水中で10秒間の熱収
縮率が40%以上のいずれか一つを少なくとも満足する
ことを特徴とする熱収縮性ポリスチレン系フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、収縮包装、収縮結
束包装や収縮ラベル等の用途に使用でき、特に低温被覆
時において、低温より熱収縮を開始し、かつ若干緩慢な
収縮により優れた収縮仕上がりが得られる熱収縮性フィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】収縮包装や収縮結束包装、あ
るいはプラスチック容器の収縮ラベル、ガラス容器の破
壊飛散防止包装やキャップシ−ルなどに広く利用される
熱収縮性フィルムの材質としては、ポリ塩化ビニル(P
VC)が最もよく知られている。これは、PVCから作
られた熱収縮性フィルムが、機械強度、剛性、光学特
性、収縮特性等の実用特性、およびコスト性も含めて、
ユ−ザ−の要求を比較的広く満足するからである。しか
しながら、PVCは廃棄物処理の問題等があることか
ら、PVC以外の材料からなる熱収縮性フィルムが要望
されていた。
【0003】このようなPVC以外の材料の一つとし
て、ポリエステル系樹脂を主たる材料としたポリエステ
ル系熱収縮性フィルムが提案され使用されている。この
ポリエステル系熱収縮性フィルムは室温での剛性が良好
で、自然収縮(常温よりやや高い温度、例えば夏場にお
いてフィルムが本来の使用前に少し収縮してしまうこ
と)率が小さく自然収縮性は非常に良好なものの、PV
C系と比較すると、加熱収縮時に収縮斑やしわが発生し
易い問題があった。また、スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体(SBS)を主たる材料とするポリスチレン
系熱収縮性フィルムが提案され使用されているが、この
ポリスチレン系フィルムは、PVCフィルムに比べ、収
縮仕上がり性は良好なものの、自然収縮率が大きい等の
問題を有していた。
【0004】しかしながら、近年ますます需要の向上が
見込まれているペットボトルのラベル用途等では、比較
的短時間でなおかつ比較的低温において高度な収縮仕上
がり外観を得ることが要求され、かつ自然収縮率の小さ
いフィルムが要求されるようになってきた。その理由と
しては、最近のペットボトルおよびビンにおけるシュリ
ンクフィルムのラベリング工程は主に蒸気シュリンカー
が主流となっており、さらに無菌充填や、内容物の温度
による品質低下を回避するために、シュリンカーの温度
を下げる必要が出てきている。そのため、フィルムはな
るべく低温で収縮を開始することを要求され、シュリン
カーに入り、ラベルが低温の状態において収縮を開始す
るとともにシュリンカー通過後、優れた収縮仕上がりが
得られることを要求されている。
【0005】上記に示した用途に対しては、主に低温収
縮性を兼ね備えつつ、自然収縮が抑えられているポリエ
ステル系熱収縮性フィルムが使用されてきている。しか
し、ポリエステル系熱収縮性フィルムでは低温収縮性は
良好なものの、やはり収縮仕上がり性に問題があり、収
縮仕上がり性に優れたポリスチレン系熱収縮性フィルム
での開発が望まれていた。しかし、ポリスチレン系熱収
縮性フィルムでは上記用途に適応する収縮特性を延伸な
どの加工条件によって付与させると、自然収縮が非常に
大きくなってしまうという課題を残していた。そのた
め、低温収縮性があり、収縮仕上がり性に優れるととも
に自然収縮が低く抑えられたスチレン系シュリンクフィ
ルムの開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
を重ねた結果、特定量のスチレン系炭化水素を含む共重
合体と、特定の粘弾性特性を有するスチレン系炭化水素
と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合体の混
合物を主成分とすることによって上記の諸問題を解決す
ることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明の要旨は、スチレン系炭化
水素を80重量%以上含み、下記a-1、a-2、a-3式の
条件を全て満たす貯蔵弾性率(E’)特性を有し、かつ
損失弾性率(E”)のピーク温度が20℃以上80℃以
下に少なくとも一つ存在するスチレン系炭化水素共重合
体(A成分)と、下記b式の条件を満たす貯蔵弾性率
(E’)特性を有し、かつ損失弾性率(E”)のピーク
温度が−100℃以上0℃以下と、50℃以上75℃以
下にそれぞれ少なくとも一つ存在するスチレン系炭化水
素と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合体
(B成分)の混合物を主成分としてなる少なくとも1軸
に延伸したフィルムであって、主収縮方向の70℃温水
中での10秒間の熱収縮率が10%以上、もしくは80
℃温水中で10秒間の熱収縮率が40%以上のいずれか
一つを少なくとも満足することを特徴とする熱収縮性ポ
リスチレン系フィルムにある。
【0008】 E’( 0℃)/E’(-100℃)≧0.5…a-1式 E’(30℃)/E’(-100℃)≧0.3…a-2式 E’(75℃)/E’(-100℃)≦0.3…a-3式 E’( 0℃)/E’(-100℃)≧0.3…b式 但しE’(0〜80℃)>E’(0〜80℃)
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の熱収縮性フィルムは下記内容からなるA成分と
B成分の混合物を主成分とする樹脂組成物から製膜する
必要がある。まず、A成分を構成するスチレン系炭化水
素共重合体について説明する。スチレン系炭化水素共重
合体(A成分)はスチレン系炭化水素を80重量%以上
含むとともに、特定の粘弾性特性を有する必要がある。
本発明における粘弾性特性の測定は振動周波数10H
z、昇温速度1℃/分、測定温度−120℃から130
℃の範囲で測定し、測定温度と貯蔵弾性率(E’)、損
失弾性率(E”)との関係を測定したものである。A成
分は下記a-1、a-2、a-3式の条件を全て満たす貯蔵弾
性率(E’)特性を有し、かつ損失弾性率(E”)のピ
ーク温度が20℃以上80℃以下に少なくとも一つ存在
する必要がある。 E’( 0℃)/E’(-100℃)≧0.5…a-1式 E’(30℃)/E’(-100℃)≧0.3…a-2式 E’(75℃)/E’(-100℃)≦0.3…a-3式 式の括弧内は測定温度を示している。
【0010】上記スチレン系炭化水素共重合体(A成
分)の中で最も好適に用いられるのは、スチレン系炭化
水素と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合体
である。スチレン系炭化水素により構成されるスチレン
系炭化水素ブロックには、例えばスチレン、o−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等
の単独重合体、それらの共重合体及び/又はスチレン系
炭化水素以外の共重合可能なモノマーをブロック内に含
む共重合体等が挙げられる。共役ジエン系炭化水素によ
り構成される共役ジエン系炭化水素ブロックには、例え
ばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等の単
独重合体、それらの共重合体及び/又は共役ジエン系炭
化水素以外の共重合可能なモノマーをブロック内に含む
共重合体が挙げられる。
【0011】上記のスチレン系炭化水素と共役ジエン系
炭化水素からなるブロック共重合体において最も好適に
用いられる樹脂の組成は、スチレン系炭化水素はスチレ
ンであり、共役ジエン系炭化水素がブタジエンのいわゆ
るスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体(SBS)
である。この理由は、工業的に非常に多くの種類のスチ
レン−ブタジエン系ブロック共重合体(共重合組成比、
共重合の構造、ブロック部分の構造、分子量等が様々に
異なっている)、つまり屈折率や熱的性質をはじめとす
る特性が異なったスチレン−ブタジエン系ブロック共重
合体が生産されているため、要求に応じて様々なスチレ
ン−ブタジエン系ブロック共重合体を重合することが可
能だからである。これは主にスチレン−ブタジエン系ブ
ロック共重合体が溶液中におけるリビング重合によって
重合されているため、スチレンブロックとブタジエンブ
ロックを各々重合過程において添加量を調整することに
より組成比、構造、粘弾性特性を調整することが可能で
あるからである。
【0012】粘弾性特性については、スチレン−ブタジ
エンブロック共重合体においてピュアーブロックの場合
−90℃付近と110℃付近の2個所にそれぞれブタジ
エンブロック、スチレンブロックに起因する損失弾性率
(E”)のピークが存在する。また、各スチレンおよび
ブタジエンブロックにブタジエン成分およびスチレン成
分を導入したランダムブロックになると損失弾性率の各
ピークは低温側のピークは高温側へ、高温側のピークは
低温側へそれぞれシフトする。また、各ブロックの分子
量やブタジエンにおいては1、4結合と1、2結合によ
っても上記ピーク温度や貯蔵弾性率の低下具合が変化す
る。従って、ブロックの共重合過程を調整することによ
って、2つのピークの位置、そのピークにおける貯蔵弾
性率の低下度合いを調整することによって所定の粘弾性
特性を持つポリマーの重合が可能となる。
【0013】スチレンとブタジエンによって重合される
スチレンーブタジエン系ブロック共重合体(SBS)に
おいて上記粘弾性特性を満たすことが出来れば特に限定
しないが、本発明に示した、損失弾性率のピーク温度と
貯蔵弾性率の両方を満たすことが可能となる重合方法を
以下に述べる。通常方法によりスチレンまたはブタジエ
ンの一部を仕込んで重合を完結させた後、スチレンモノ
マーとブタジエンモノマーの混合物を仕込んで重合反応
を続行させる。このようにすると重合活性の高いブタジ
エンの方から優先的に重合し、最後にスチレンの単独モ
ノマーからなるブロックが生じる。例えば先ず、スチレ
ンを単独重合させ、重合完結後、スチレンモノマーとブ
タジエンモノマーの混合物を仕込んで重合を続行させる
とスチレンブロックとブタジエンブロックとの中間にス
チレン・ブタジエンモノマー比が次第に変化するスチレ
ン・ブタジエン共重合体部位をもつスチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体が得られる。
【0014】このような部位を持たせることによって上
記粘弾性特性を持つポリマーを得ることが可能となる。
この場合には前述したブタジエンブロックとスチレンブ
ロックに起因する2つのピークが明確には確認できず、
見かけ上一つのピークのみが存在するように見える場合
も存在する。つまりピュアブロック、ランダムブロック
のSBSのようなブロック構造ではブタジエンブロック
に起因するTgが0℃以下に主に明確に存在してしまう
ために貯蔵弾性率が所定の値にすることが難しくなって
しまう。
【0015】従って、本規定の貯蔵弾性率特性を満たす
樹脂はほぼ次のような特性を有している。つまり−10
0℃より0℃および30℃付近までは大幅な貯蔵弾性率
の低下を示さず、その後40〜60℃過ぎより温度が上
昇するにつれて徐々に、70〜80℃より急激に貯蔵弾
性率が低下する特性を示す樹脂である。また、50℃付
近まで大幅な貯蔵弾性率の低下を示さず、70〜80℃
付近より急激に貯蔵弾性率が低下する特性を示す樹脂で
も良い。本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、延伸後の
フィルムの熱収縮特性は構成される樹脂の粘弾性特性に
大きく左右され、かつ低温収縮性を兼ね備え自然収縮が
抑えることが可能となるフィルムを構成するには上記特
性を持つことが重要であることを突き止め本発明を完成
するに至ったのである。
【0016】スチレン系炭化水素共重合体(A成分)は
上記特性を満たしていれば特にスチレン−ブタジエン系
ブロック共重合体には限定されない。例えば、スチレン
−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリルニ
トリル、スチレン−エチレン共重合体、特にスチレン−
アクリル酸エステル共重合体は重合モノマーを調整する
ことによって本規定の粘弾性特性を調整することが可能
である。
【0017】次に本発明の熱収縮性フィルムを構成する
スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなるブ
ロック共重合体(B成分)について説明する。このスチ
レン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなるブロッ
ク共重合体(B成分)は下記のb式の条件を満たす貯蔵
弾性率(E’)特性をもち、かつ損失弾性率(E”)の
ピーク温度が−100℃以上0℃以下と50℃以上75
℃以下にそれぞれ少なくとも一つ存在するスチレン系炭
化水素と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合
体であることである。 E’( 0℃)/E’(-100℃)≧0.3…b式 但しE’(0〜80℃)>E’(0〜80℃)
【0018】スチレン系炭化水素により構成されるスチ
レン系炭化水素ブロックには、例えばスチレン、o−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレ
ン等の単独重合体、それらの共重合体及び/又はスチレ
ン系炭化水素以外の共重合可能なモノマーをブロック内
に含む共重合体等が挙げられる。共役ジエン系炭化水素
により構成される共役ジエン系炭化水素ブロックには、
例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等
の単独重合体、それらの共重合体及び/又は共役ジエン
系炭化水素以外の共重合可能なモノマーをブロック内に
含む共重合体が挙げられる。上記のスチレン系炭化水素
と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合体にお
いて最も好適に用いられる樹脂の組成は、スチレン系炭
化水素はスチレンであり、共役ジエン系炭化水素がブタ
ジエンのいわゆるスチレン−ブタジエン系ブロック共重
合体(SBS)である。
【0019】上記スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭
化水素からなるブロック共重合体(B成分)は式bを満
たす貯蔵弾性率を持つことが重要である。この式bの数
値が低すぎると成分Aとの樹脂混合成分でフィルムの良
好な腰(剛性)を維持することが難しくる。そのため、
フィルムに良好な腰を維持するためには貯蔵弾性率があ
る一定以上有ることが好ましい。また、本発明フィルム
の低温収縮性を維持するためにはブロック共重合(B成
分)の損失弾性率(E”)のピーク温度が75℃以下で
ある必要がある。該温度が75℃を越えたものでは良好
な低温収縮性を維持することが難しくなる。
【0020】また、上記B成分は損失弾性率のピーク温
度が少なくとも一つは−100℃から0℃、より好まし
くは−80℃から−10℃、更には−60℃から−20
℃の範囲に存在することが好ましい。この温度範囲にピ
ーク温度が存在する場合には特に耐破断性が向上するか
らである。この温度範囲にピーク温度を存在させるには
SBS樹脂中のブタジエンブロックにスチレンを共重合
することによってガラス転移温度(Tg)を調整するこ
とによって実施可能となる。スチレンとブタジエンによ
って重合されるスチレン−ブタジエンブロック共重合体
(SBS)においてスチレン−ブタジエンの組成比など
は上記粘弾性条件を満たすことが出来れば特に限定しな
いが、おおよそスチレン/ブタジエン=90/10〜6
0/40程度で調整される。
【0021】また、本発明フィルムは、主成分である上
記内容のA、B成分2種類のポリスチレン系樹脂が60
重量%、好ましくは70重量%、より好ましくは75重
量%以上含まれていれば、他の樹脂をブレンドすること
も可能である。但し、透明性を維持する目的からは屈折
率が出来るだけ近い樹脂、または透明性を大きく低下さ
せない樹脂(主にポリスチレン系樹脂、例えばポリスチ
レン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレ
ン−ブタジエンエラストマー、スチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合、
エチレン−スチレン共重合、水添スチレン−ブタジエン
共重合体等)を選択することが好ましい。
【0022】また、本発明フィルムは単層フィルムのみ
でなく、熱収縮フィルムとしての更なる特性を付与する
目的で、本発明構成の混合樹脂を主体とした層を内層に
し、最外層に要求特性に応じた特性を付与させた特性を
持ったフィルムを、内層の特性を損なわない範囲で配し
た積層フィルムとすることも可能である。
【0023】次に本発明の最も重要な構成要件として前
述した、フィルム樹脂組成、粘弾性特性に関する内容に
加えて、本発明のフィルムではその収縮特性に関して以
下に記載する条件を満たすことが重要となる。つまり、
主収縮方向の70℃温水中での10秒間の熱収縮率が1
0%以上もしくは80℃温水中で10秒間の熱収縮率が
40%以上のいずれか一つを少なくとも満足する必要が
ある。さらには30℃環境下にて30日後の収縮率が
1.5%以下であることが好ましい。先に述べた通り、
近年ますます需要の向上が見込まれているペットボトル
やビンボトルのラベル用途等では、比較的短時間でなお
かつ比較的低温において高度な収縮仕上がり外観が要求
されかつ自然収縮率の小さいフィルムが要求されるよう
になってきた。また、最近のラベリング工程は主に蒸気
シュリンカーが主流となっており、さらに無菌充填、内
容物の温度による品質低下を回避するために、シュリン
カーの温度を下げる必要が出てきている。
【0024】また、少しでも低い温度で収縮するフィル
ムが必要とされる一方で、シュリンカーにて収縮される
までの工程、主に印刷、製袋、輸送時には寸法が安定し
ているフィルムが必要である。従って、30℃程度で3
0日後の収縮率が安定しているフィルムが求められてい
たのである。30℃にて30日後の収縮率が1.5%以
上となると、印刷時や輸送時において寸法がずれる傾向
がある。
【0025】本発明のフィルムは製品用途に応じて可塑
剤及び/又は粘着付与樹脂を必要量添加することが可能
であり、可塑剤及び/又は粘着付与樹脂は2種以上混合
して用いてもよい。また、本発明のフィルムでは、可塑
剤もしくは粘着付与樹脂以外にも目的に応じて各種の添
加剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、
安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、無機フィラー等を
各用途に応じて適宜添加できる。
【0026】つぎに本発明フィルムの製造方法を具体的
に説明するが下記製造方法には限定されない。一般的に
は混合樹脂を一軸、もしくは二軸(同方向、異方向)押
出機によって押出す製造方法が一般的である。押出に際
しては、Tダイ法、チューブラ法等の既存の方法を採用
してもよい。溶融押出された樹脂は、冷却ロール、空
気、水等で冷却された後、熱風、温水、赤外線、マイク
ロウエーブ等の適当な方法で再加熱され、ロール法、テ
ンター法、チューブラ法等により、1軸または2軸に延
伸される。延伸温度はフィルムを構成している樹脂の軟
化温度や熱収縮性フィルムに要求される用途によって変
える必要があるが、概ね60〜130℃、好ましくは8
0〜120℃の範囲で制御される。
【0027】主収縮方向の延伸倍率は、フィルム構成組
成、延伸手段、延伸温度、目的の製品形態に応じて1.
5〜6倍の範囲で適宜決定される。また、1軸延伸にす
るか2軸延伸にするかは目的の製品の用途によって決定
される。また、延伸した後フィルムの分子配向が緩和し
ない時間内に速やかに、当フィルムの冷却を行うこと
も、収縮性を付与して保持する上で重要な技術である。
【0028】
【実施例】以下に実施例を示すが、これらにより本発明
は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例に示す
測定値および評価は次のように行った。ここで、フィル
ムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと
記載する。
【0029】1)熱収縮率 フィルムをMD100mm、TD100mmの大きさに
切り取り、主収縮方向(TD)の収縮量を70℃、又は
80℃の温水バスに10秒間浸漬し測定した。熱収縮率
は、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示し
た。
【0030】2)自然収縮率 フィルムをMD40mm×TD500mmの大きさに切
り取り30℃の雰囲気の恒温槽に30日間放置し、TD
方向の収縮量を原寸に対する収縮量の比率を%値で表示
した。
【0031】3)粘弾性測定(貯蔵弾性率、損失弾性
率) 粘弾性スペクトロメーターVES−F3(岩本製作所
(株)製)を用い、振動周波数10Hz、昇温速度1℃
/分、測定温度−120℃から130℃の範囲で測定し
た。損失弾性率のピーク温度は、損失弾性率の温度依存
曲線の傾きが零(一次微分が零)となる温度のことであ
る。なお、測定フィルム(シート)は構成する樹脂を
0.2〜1.0mm程度の厚み範囲で作成し、ほぼ無配
向の方向を測定した。具体的には、構成樹脂を押出機に
て押出した後に、横方向を測定するかもしくは熱プレス
にて配向を緩和して測定しても構わない。また延伸、未
延伸に関わらず構成樹脂のフィルム、シートもしくはペ
レットを熱プレスにてシート化した後に測定してもよ
い。
【0032】4)収縮仕上がり性 10mm間隔の格子目を印刷したフィルムをMD100
mm×TD298mmの大きさに切り取り、TDの両端
を10mm重ねて溶剤等で接着し円筒状にした。この円
筒状フィルムを、容量1.5リットルの円筒型ペットボ
トルに装着し、蒸気加熱方式の長さ3.2m(3ゾー
ン)の収縮トンネル中を回転させずに、約4秒間で通過
させた。各ゾーンでのトンネル内雰囲気温度は蒸気量を
蒸気バルブにて調整し、70〜85℃の範囲とした。フ
イルム被覆後は下記基準にて評価した。 ○:収縮が十分でシワ、アバタ、格子目の歪みがなく密
着性が良好 △:収縮は十分だがシワ、アバタ、格子目の歪みが僅か
にあるが実用上問題なし ×:収縮不足が目立ち、実用上問題がある
【0033】[実施例1] (A成分):スチレン−ブタジエンブロック共重合体
(SBS:スチレン/ブタジエン=90/10重量
%、貯蔵弾性率がE’(−100℃)=3.18×10
Pa、E’(0℃)=2.32×10Pa、E’
(30℃)=2.27×10Pa、E’(75℃)=
5.41×10Pa、損失弾性率(E”)のピーク温
度が65℃)50重量%。 (B成分):スチレン−ブタジエンブロック共重合体
(SBS:スチレン/ブタジエン=72/28重量
%、貯蔵弾性率がE’(−100℃)=3.09×10
Pa、E’(0℃)=1.20×10Pa、E’
(30℃)=9.21×10Pa、E’(75℃)=
5.42×10Pa、損失弾性率(E”)のピーク温
度が−27と68℃)50重量%。
【0034】上記A、B成分の混合樹脂を原料とし、該
混合原料を押出機で溶融し、Tダイにて押出した溶融体
をキャストロールで冷却し総厚み200μmの未延伸フ
ィルムを得た。この未延伸フィルムを95℃の温度の雰
囲気でTD方向に4.0倍延伸して、約50μmの熱収
縮性フィルムを得た。得られたフィルムの特性評価結果
を表2に示した。
【0035】[実施例2] A成分:スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB
S)70重量%、 B成分:スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB
S)30重量% 上記樹脂の混合樹脂とし、延伸温度を100℃にした以
外は実施例1と同様な方法で熱収縮性フィルムを得た。
【0036】[実施例3]スチレンとアクリル酸−n−
ブチル共重合体(SBA:スチレン/アクリル酸−n−
ブチル=81/19重量%、貯蔵弾性率がE’(−10
0℃)=2.84×10Pa、E’(0℃)=2.2
5×10Pa、E’(30℃)=2.19×10
a、E’(75℃)=6.03×10Pa、損失弾性
率(E”)のピーク温度が74℃)60重量%と、スチ
レン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)40重
量%の混合樹脂を原料とし、延伸温度を90℃にした以
外は実施例1と同様な方法で熱収縮性フィルムを得た。
【0037】[比較例1]スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体(SBS:スチレン/ブタジエン=78/
22重量%、貯蔵弾性率がE’(−100℃)=3.1
2×10Pa、E’(0℃)=8.04×10
a、E’(30℃)=6.40×10Pa、E’(7
5℃)=3.42×10Pa、損失弾性率(E”)の
ピーク温度が−35と102℃)50重量%、スチレン
−ブタジエンブロック共重合体(SBS)50重量%
の混合樹脂とし、延伸温度を90℃にした以外は実施例
1と同様な方法で熱収縮性フィルムを得た。
【0038】[比較例2]スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体(SBS:スチレン/ブタジエン=78/
22重量%、貯蔵弾性率がE’(−100℃)=3.1
2×10Pa、E’(0℃)=8.04×10
a、E’(30℃)=6.40×10Pa、E’(7
5℃)=3.42×10Pa、損失弾性率(E”)の
ピーク温度が102℃)50重量%、スチレン−ブタジ
エンブロック共重合体(SBS)50重量%の混合樹
脂とし、延伸温度を95℃にした以外は実施例1と同様
な方法で熱収縮性フィルムを得た。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表2より本発明で規定する粘弾性特性を満
たした共重合体から構成されたスチレン系熱収縮フィル
ムの実施例1乃至3は低温収縮性を満たし、かつ自然収
縮性、収縮仕上がりも優れていることが分かる。一方、
規定する粘弾性特性の範囲外の共重合体を用いた場合、
比較例1では延伸温度によって低温収縮性を付与するこ
とは出来るがその場合自然収縮が大きくなってしまい、
比較例2では自然収縮を満たそうと延伸温度を調整する
と低温収縮性が不足、収縮仕上がりも悪いことが分か
る。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば特定の熱的特性(粘弾性
特性)を満たすスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化
水素からなるブロック共重合体の混合物を主成分とする
ことによって低温収縮性に優れ、かつ自然収縮性、収縮
仕上がり性にも優れた熱収縮性ポリスチレン系フィルム
を得ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 25:00 B29K 25:00 B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 4F071 AA12 AA12X AA22 AA22X AA75 AF20Y AF61Y AH04 BB06 BB07 BB08 BC01 BC10 4F210 AA13E AA13F AA47 AE01 AG01 RA03 RC02 RG02 RG04 RG43 4J002 BC04W BC06W BC07W BP01W BP01X GG02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系炭化水素を80重量%以上含
    み、下記a-1、a-2、a-3式の条件を全て満たす貯蔵弾
    性率(E’)特性を有し、かつ損失弾性率(E”)のピ
    ーク温度が20℃以上80℃以下に少なくとも一つ存在
    するスチレン系炭化水素共重合体(A成分)と、下記b
    式の条件を満たす貯蔵弾性率(E’)特性を有し、かつ
    損失弾性率(E”)のピーク温度が−100℃以上0℃
    以下と、50℃以上75℃以下にそれぞれ少なくとも一
    つ存在するスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素
    からなるブロック共重合体(B成分)の混合物を主成分
    としてなる少なくとも1軸に延伸したフィルムであっ
    て、主収縮方向の70℃温水中での10秒間の熱収縮率
    が10%以上、もしくは80℃温水中で10秒間の熱収
    縮率が40%以上のいずれか一つを少なくとも満足する
    ことを特徴とする熱収縮性ポリスチレン系フィルム。 E’( 0℃)/E’(-100℃)≧0.5…a-1式 E’(30℃)/E’(-100℃)≧0.3…a-2式 E’(75℃)/E’(-100℃)≦0.3…a-3式 E’( 0℃)/E’(-100℃)≧0.3…b式 但しE’(0〜80℃)>E’(0〜80℃) (上記のE’は振動周波数10Hz、昇温速度1℃/
    分、測定温度−120℃から130℃の範囲で測定した
    数値を用いたものであり、式の括弧内は測定温度を示
    す。)
  2. 【請求項2】 30℃環境下にて30日保管後の主収縮
    方向の収縮率が1.5%以下であることを特徴とする請
    求項1記載の熱収縮性ポリスチレン系フィルム。
  3. 【請求項3】 A成分とB成分の比率が80/20から
    40/60重量%の範囲であることを特徴とする請求項
    1乃至2記載の熱収縮性ポリスチレン系フィルム。
  4. 【請求項4】 スチレン系炭化水素がスチレンであり、
    共役ジエン系炭化水素がブタジエンであることを特徴と
    する請求項1乃至3記載の熱収縮性ポリスチレン系フィ
    ルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007125840A (ja) * 2005-11-07 2007-05-24 Fuji Seal International Inc シュリンクフィルム、シュリンクラベル及びラベル付き容器
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