JP2002145193A - 外力を利用した舶用定点保持方法とその装置 - Google Patents

外力を利用した舶用定点保持方法とその装置

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JP2002145193A JP2000337295A JP2000337295A JP2002145193A JP 2002145193 A JP2002145193 A JP 2002145193A JP 2000337295 A JP2000337295 A JP 2000337295A JP 2000337295 A JP2000337295 A JP 2000337295A JP 2002145193 A JP2002145193 A JP 2002145193A
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健一 中島
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泰夫 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 風、潮流外乱が大きな海象下では、制御に必
要なアクチュエータの操作量が大きくなり、制御範囲を
超えると制御不能になる。 【解決手段】 風と潮流に基づいて船2の方位角を傾け
た時に船2に作用する左右推力のテーブル15を作成
し、船2の左右位置を制御する左右推力指令に基づいて
このテーブル15から船2の方位角指令を決定し、この
方位角指令に基づく旋回推力指令で船2に作用する風と
潮流の合力方向から船の方位角を傾けることにより、船
2に作用する横方向の推力で船を目標点の方向に横移動
させるようにする。これにより、船2を横方向に移動さ
せるための操作量を小さくして迅速な船2の横方向を可
能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、船舶や潜水艇、
飛行船等の船に作用する風や潮流の外力を利用して船を
目標点に定点保持しようとする舶用定点保持方法とその
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、船舶や潜水艇、飛行船等の船
(この明細書では、総称して「船」という)において、
定点保持を必要とする場合がある。例えば、深海調査船
の母船のように、調査船による調査中は特定の位置で定
点保持される船がある。このような船は、通常、船体前
部にサイドスラスタが設けられ、後方に設けられた主プ
ロペラと舵による推力方向制御によって船を定点保持で
きるように構成されている。この船の場合、横方向推力
はサイドスラスタと舵の操作によって出される。
【0003】船を定点保持する従来技術として、特開平
8−58696号公報記載の発明がある。この発明は、
外力の合力方向に船首をできる限り向けるようにして船
位保持を計ろうとする自動船位保持方法であり、制御の
流れとしては、図6の制御例を示す概念図のように、予
め外力の合力方向に船首を向け(h) 、目標点51に対す
る方位偏差θと船体前進方向の目標円52に対する位置
偏差(i) のみを制御して、船首を合力方向に向けながら
目標円52に向かって推進するように制御する(j) 。そ
して、合力方向に船首が向いたら位置偏差(i) のみの制
御を行うようにしている(k) 。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来技術のように、外力の合力方向に船首を向けると共に
目標点51に船首を向ける方式の場合、目標点近傍では
船位の変動に対して方位指令が大きく変動する。そのた
め、その変動を小さくするには目標円を小さくすること
ができず、停止精度をよくすることができない。また、
船体に横推力を受けながら状態(k) にもっていくには、
一時的に船の前後位置偏差が大きくなり、目標点に船を
保持するためのアクチュエータ制御量が大きくなって、
迅速な位置制御が行えない。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、前記課題を解決
するために、本願発明の舶用定点保持方法は、船に作用
する外力となる風と潮流の合力方向から船の方位角を傾
けることにより、これらの外力によって船に作用する横
方向の推力で船を目標点の方向に移動させるようにす
る。このように、外力(外乱)の合力方向から船の方位
角を傾けることにより、船に作用する外力によって船に
横方向の推力が作用するので、船の方位角を制御するこ
とによって外力を利用して船を横移動させることができ
る。しかも、外力で船に横方向推力を発生させるので、
船を横方向に移動させるためにアクチュエータで横方向
推力を発生させる場合でも、外力の合力に付加する小さ
な操作量で船の横方向移動制御を操作することができ
る。
【0006】また、船首方位を仮想的に変更したときの
船体横方向に作用する風外力のテーブルと潮流外力のテ
ーブルとを求め、これら風外力のテーブルと潮流外力の
テーブルから外力の合力テーブルを求め、この合力テー
ブルの合力がゼロになって船首と向かい合う方向を外力
の合力方向とし、この合力テーブルから船体の移動に必
要とする横方向推力に対して船首方位を何度に設定する
かを求め、該横方向推力によって船を目標点の方向に移
動させるようにしてもよい。これにより、船体の移動に
必要な横方向推力を得るために船首方位を何度に設定す
ればよいかが容易に求めることができ、船に作用する外
力によって船を横移動させることができる。
【0007】さらに、予め設定した風と潮流に基づいて
船の方位角を傾けた時に船に作用する左右推力の基準テ
ーブルを作成し、船を制御する左右推力指令に基づいて
該基準テーブルと実際の風、潮流から船の方位角指令を
決定し、該方位角指令に基づく旋回推力指令で船に作用
する外力となる風と潮流の合力方向から船の方位角を傾
けることにより、これらの外力によって船に作用する横
方向の推力で船を目標点の方向に移動させるようにすれ
ば、予め作成した基準テーブルに基づいて船を合力方向
から傾ける方位角を容易に算出することができるので、
船に作用する外力である風と潮流の合力を利用して、船
を横方向に移動させるための横方向推力を発生させるこ
とができる。しかも、即応性に優れている。
【0008】また、左右推力指令と実際の風、潮流に基
づいて基準テーブルから船を外力の合力方向から傾ける
方位角指令を決定すると共に、該左右推力指令に基づい
て船の左右位置を制御するようにすれば、基準テーブル
からの旋回推力指令による船の方位角制御と、左右推力
指令による船の左右位置制御とによって、迅速な船の定
点保持を行うことができる。
【0009】一方、本願発明の舶用定点保持装置は、前
後位置指令に基づいて船の前後推力指令を出力する前後
位置制御コントローラと、左右位置指令に基づいて船の
左右推力指令を出力する左右位置制御コントローラと、
該左右位置制御コントローラの左右推力指令から計算し
た方位角指令値に基づいて旋回推力指令を出力する方位
制御コントローラと、これらのコントローラに基づいて
船の位置を制御するアクチュエータと、船の前後位置を
前記前後位置制御コントローラに入力する前後位置指令
にフィードバックする経路と、船の左右位置を前記左右
位置制御コントローラに入力する左右位置指令にフィー
ドバックする経路と、船の方位角を前記方位制御コント
ローラに入力する方位角指令にフィードバックする経路
とを設けている。このように、左右位置制御コントロー
ラの左右推力指令に基づいて出力される方位角指令から
旋回推力指令が出力されて船の方位角がアクチュエータ
で制御されるので、船に作用する外力である風と潮流の
合力を利用して、この合力方向から船の方位角を傾ける
ことにより船に横方向の推力を発生させて船を横移動さ
せることができる。しかも、外力で船に横方向推力を発
生させるので、船を横方向に移動させるためにアクチュ
エータで横方向推力を発生させる場合でも、外力の合力
に付加する小さな操作量で船の横方向移動制御を操作す
ることができる。また、各位置情報は各フィードバック
経路からフィードバックされて定点保持が計られる。
【0010】さらに、予め設定した風と潮流に基づいて
船の方位角を傾けた時に船に作用する左右推力の基準テ
ーブルを設け、左右位置制御コントローラからの左右推
力指令と実際の風、潮流に基づいて該基準テーブルから
方位角指令を出力するように構成し、該方位角指令に基
づいて旋回推力指令を出力する方位制御コントローラを
設ければ、予め作成した基準テーブルに基づいて船を合
力方向から傾ける方位角を容易に算出することができる
ので、船に作用する外力である風と潮流の合力を利用し
て、船を横方向に移動させるための横方向推力を発生さ
せることができる。しかも、即応性に優れている。
【0011】また、左右位置制御コントローラとアクチ
ュエータとの間に切換スイッチを設け、左右位置制御コ
ントローラからアクチュエータへの左右推力指令を伝達
又は遮断可能に構成すれば、この切換スイッチを切るこ
とにより、左右位置制御コントローラからの左右推力指
令を、基準テーブルで方位角指令として方位制御コント
ローラに出力して船の方位角を制御するので、船の方位
角を制御することによって風と潮流の合力によって船に
作用する横力のみで船を横方向に移動させて定点保持で
きる。この切換スイッチを接続すれば、左右推力指令に
よる船の左右位置制御と共に方位制御コントローラから
の旋回推力指令による船の方位角制御で迅速な定点保持
が行える。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の一実施形態を図
面に基づいて説明する。図1は本願発明の一実施形態を
示す舶用定点保持装置のブロック図であり、図2は同舶
用定点保持装置における制御の概念図、図3は図1に示
す舶用定点保持装置における基準テーブルの一例を示す
図面であり、(a) は概念図、(b) は基準テーブルを示す
グラフである。図4は同舶用定点保持装置における横方
向推力−方位角関係テーブル(合力テーブル)を示すグ
ラフである。この実施形態では、船の方位を制御するた
めの方位角指令を、予め設定した風と潮流に基づいて船
の方位角を傾けた時に船体に作用する横方向推力を求め
た基準テーブルによって算出する例を説明する。
【0013】図1に示すように、舶用定点保持装置1に
は、船2(以下「船体」ともいう)の位置制御を計るた
めに、前後位置指令に基づいて前後推力指令を出力する
前後位置制御コントローラ3と、左右位置指令に基づい
て左右推力指令を出力する左右位置制御コントローラ4
と、予め決定した風と潮流に基づいて船の方位角を傾け
た時に船に作用する左右推力を算出した基準テーブル5
と、前記左右位置制御コントローラからの左右推力指令
と実際の風、潮流に基づいてこの基準テーブル5で出力
した方位角指令に基づいて旋回推力指令を出力する方位
制御コントローラ6と、これらのコントローラに基づい
て船の位置を制御するアクチュエータ7と、船の前後位
置を前後位置制御コントローラ3に入力する前後位置指
令にフィードバックする経路8と、船の左右位置を左右
位置制御コントローラ4に入力する左右位置指令にフィ
ードバックする経路9と、船の方位角を方位制御コント
ローラ6に入力する方位角指令にフィードバックする経
路10とが設けられている。
【0014】制御対象となる船2の位置は、前後位置が
経路8から前後位置制御コントローラ3に入力する前後
位置指令にフィードバックされ、左右位置が経路9から
左右位置制御コントローラ4に入力する左右位置指令に
フィードバックされ、方位角が経路10から方位制御コ
ントローラ6に入力する方位角指令にフィードバックさ
れるように構成されている。これらの位置をフィードバ
ックすることにより、定点保持がフィードバック制御さ
れている。
【0015】図2に示すように、船を目標位置へ横移動
させるための推力を得る概念としては、船体2に作用す
る外力となる、風速と風向からなる風外力11と、潮流
速と潮流向からなる潮流外力12との合力13に対し、
船2を所定の方位角で傾けることによりその外力の合力
13によって船2に横方向の推力17を生じるので、そ
の推力17で船2を目標点14へ横移動させようとする
ものである。この概念図のように船2を目標点14へ横
移動させる場合、横方向の推力17は、船2の方位角を
外力の合力方向から旋回させることによって船体2に作
用する外力で得ることができるので、前後制御と旋回制
御のみで横方向の目標位置14へ船2を移動させること
ができる。
【0016】図3(a),(b) に示すように、前記基準テー
ブル5の作成方法としては、予め決定した基準の風(こ
の例では、10m/s 、風向0度)に対して、船体2をど
れだけ傾ければどれだけの横推力が得られるかの数式モ
デルと、基準の潮流(この例では、1kt、流向0度)に
対して、船体2をどれだけ傾ければどれだけの横推力が
得られるかの数式モデルとによって作成したものであ
る。図3(b) のグラフは、横軸が、風又は潮流が船首と
向かい合う方位をゼロとした相対角度であり、縦軸が、
船体横方向に作用する外力である。なお、このグラフ
は、風、潮流を0度に固定したときに船首方向を1度刻
みで回転させて作成したものである。
【0017】このようにして作成された基準テーブル5
は、後述するように、船体の定点保持を計る時(以下
「現在」ともいう)の風と潮流によって船体横方向に作
用する、風外力(Fyw)と、潮流外力(Fyc)とから横方
向推力−方位角関係テーブル15を作成する際の元にな
るテーブルであり、実際の風と潮流に応じて縦軸方向の
値を調整できるようにしたものである。この基準テーブ
ル5を作成することにより、風外力推定式と流体力を記
述する式から、直接、風外力(Fyw)と、潮流外力(Fy
c)を求めることに比べ、計算量の低減を計っている。
【0018】一方、図4に示すように、現在の風、潮流
に応じた横方向推力−方位角関係テーブル15を作成す
る方法としては、 1.現在の風、潮流に対して、船首方位を仮想的に0度
(真北)から1度刻みで359度まで設定したときの船
体横方向に作用する風外力(Fyw)、潮流外力(Fyc)の
テーブルを求める。 2.上記で求めたテーブルから、Fyw+Fyc のテーブル
を求める。これが船体横方向に作用する外力になる。 3.Fyw+Fyc がゼロになるところを探す。これが外力
の合力方向になる。ゼロになるところは2カ所(外力と
船首が向かい合う方向と船尾と向かい合う方向)ある
が、船首と向かい合う方向を外力の合力方向とする。船
首と向かい合う方向は Fyw+Fyc の曲線が単調増加し
ながらゼロクロスする点である。 4.Fyw+Fyc で、外力の合力方向を含んで単調増加す
る範囲を「横方向推力−方位角関係テーブル」とする。 方法がある。
【0019】このようにして横方向推力−方位角関係テ
ーブル15を作成するが、この実施形態では基準テーブ
ル5(風と潮の各基準グラフ)を用いているため、具体
的には、現在の風速をVw[m/s]、流速をVc[kt]とし
たとき、 船体横方向に作用する風外力 = 風の基準グラフ×
(Vw/10)2 船体横方向に作用する潮流力 = 潮の基準グラフ×
(Vc/1)2 としている。風向、潮流向については、風または潮流の
基準グラフ全体が右または左側にシフトすることにな
る。例えば、図4においては流向が90度であるので、
潮流のグラフが右側に90度分シフトしている。そし
て、これらから外力の合力を算出して、船2の方位角に
対して船2に作用する左右推力の関係を求めている。
【0020】この求めた例として、図4では、風向0
度、風速15m/s、潮流向90度、潮流速1.5kt
の場合を表している。Fyw+Fyc が図4の「風と潮流の
合力」の曲線で、外力の合力方向は「風と潮流の合力」
曲線が単調増加しながらゼロクロスする点18(図では
約35度)になる。「横方向推力−方位角関係テーブ
ル」は、外力の合力方向を含んでプラス側は単調増加す
る範囲(図ではプラス側は約140度、マイナス側は約
315度)になる。この「横方向推力−方位角関係テー
ブル」から、必要とする横方向推力に対して、船首方向
を何度に設定したらよいか求めることができる。例え
ば、10トンの横推力が必要な場合、横方向推力−方位
角関係テーブルから船首方位を約55度にしたらよいこ
とが分かる。
【0021】このように、予め作成された基準テーブル
5により、図1に示すように、風向風力計によって計測
された風速・風向と、潮流計によって計測された潮流速
・潮流向のデータに基づいて、その時の風と潮流の状況
に応じて算出した横方向推力−方位角関係テーブル15
が作成されるように構成されている。従って、風向風力
計と潮流計からのデータに基づいて、常に現在の外力に
応じた横方向推力−方位角関係テーブル15が作成され
ている。
【0022】従って、基準テーブル5を利用して作成さ
れた横方向推力−方位角関係テーブル15に基づいて、
船体2に作用する外力の合力方向と力に対し、どれだけ
船2を傾ければ船体2に作用する横方向の力がどれだけ
得られるかが計算され、船2を傾ける量である方位角指
令が方位制御コントローラ6に出力されるので、この方
位制御コントローラ6から出力される旋回推力指令によ
ってアクチュエータ7で船2の方位角が制御される。つ
まり、船2の制御としては、左右位置の制御は行われず
に旋回制御のみが行われることとなる。
【0023】その後、左右位置制御コントローラ4から
出力された左右推力指令が横方向推力−方位角関係テー
ブル15に入力され、この左右推力指令を満足するよう
な方位角指令が横方向推力−方位角関係テーブル15か
ら出力される。つまり、左右推力指令を満足するには、
船2の方位をどれ位にすればその推力が得られるかが横
方向推力−方位角関係テーブル15に基づいて算出さ
れ、方位角指令として方位制御コントローラ6へ出力さ
れている。この方位制御コントローラ6に出力された方
位角指令で、方位制御コントローラ6からアクチュエー
タ7に旋回推力指令が出力されて船2が旋回制御され
る。
【0024】以上のように構成された舶用定点保持装置
1によれば、船2を定点保持している状態で、船2に作
用する外力である風と潮流の合力13を算出し、左右位
置制御コントローラ4からの左右推力指令に基づき、横
方向推力−方位角関係テーブル15から船2を定点保持
するために必要な横方向の推力を発生させることができ
る方位角指令が方位制御コントローラ6に出力される。
【0025】そして、この方位制御コントローラ6から
旋回推力指令がアクチュエータ7に出力されて、図5の
制御例を示す概念図のように、横方向偏差βに応じた方
位θに船首が傾けられて船2が所定の方位角となる。こ
のようにして船2を外力の合力方向13から所定の方位
角に傾けることにより、外力によって船体2に横方向の
推力17が作用するので、この外力による横方向の推力
17で定点保持する目標点14へ船2を移動させること
ができる。このように、船2に作用する外力である風と
潮流の合力を利用して、船2を定点保持するために横移
動させる横方向推力17を発生させることができるの
で、定点保持のための制御としては、前後方向制御と旋
回制御のみで可能となり、アクチュエータ7の制御量を
抑えることができる。また、外力のみで横推力を得られ
ない場合であっても、その外力の合力に付加する小さな
制御手段の制御量(操作量)で船2の横方向移動制御を
操作することができる。つまり、船2を横方向に移動さ
せる制御手段であるアクチュエータ7の制御偏差が小さ
く、即応性にも優れている。
【0026】また、時々刻々と変化している風速・風向
は風向風力計(図示略)から、潮流速・潮流向は潮流計
(図示略)から基準テーブル5へ入力されており、この
基準テーブル5に基づいて、その時の風と潮流の状況に
応じた横方向推力−方位角関係テーブル15が作成され
ている。つまり、常に、風向風力計と潮流計からのデー
タに基づいて、その時の外力データに応じた横方向推力
−方位角関係テーブル15が作成されている。従って、
経路8,9,10から各コントローラ3,4,6へ入力
される各位置指令へフィードバックされる位置情報と、
この横方向推力−方位角関係テーブル15により、時々
刻々と変化するその時の外力と船2の位置情報に応じた
船首方位角と外力による横方向発生推力の特性が計算さ
れて、最適な方位角となるように船体2がフィードバッ
ク制御される。
【0027】このように、船2を定点保持するための制
御である、前後方向と、横方向と、旋回方向の制御の
内、横方向の制御を行わずに、必要な推力に対して船2
を傾けることにより横推力を出すようにしているので、
アクチュエータ7を操作して出力する推力としては、前
後方向と旋回方向に出すのみでよい。
【0028】一方、この実施形態では、図1に示すよう
に、左右位置制御コントローラ4とアクチュエータ7と
の間に切換スイッチ16が設けられており、これらの間
での左右推力指令の伝達又は遮断が可能なように構成さ
れている。
【0029】このように構成することにより、この切換
スイッチ16を切断すれば、左右位置制御コントローラ
4からの左右推力指令を、横方向推力−方位角関係テー
ブル15で方位角指令として方位制御コントローラ6に
出力して船2の方位を制御するようにできるので、船2
の方位角を制御することにより風と潮流の合力によって
船2に作用する横力のみで船2を横方向に移動させて定
点保持することができる。また、この切換スイッチ16
を接続すれば、左右推力指令によって直接アクチュエー
タ7を駆動して船2を左右方向に制御すると共に、横方
向推力−方位角関係テーブル15からの方位角指令に基
づいて方位制御コントローラ6が出力した旋回推力指令
によって船2の方位角が制御されるので、これらの位置
制御を併用した迅速な定点保持制御が行える。
【0030】なお、上述した実施の形態では、基準テー
ブル5に基づいて、その時の外力データに応じた横方向
推力−方位角関係テーブル15を作成する例を示した
が、方位角指令を算出する方法は他の方法であってもよ
く、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0031】また、上述した実施形態は一実施形態であ
り、本願発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は
可能であり、本願発明は上述した実施形態に限定される
ものではない。
【0032】
【発明の効果】本願発明は、以上説明したような形態で
実施され、以下に記載するような効果を奏する。
【0033】船に作用する外力方向から船の方位角を傾
けることにより、この外力を利用して船に横方向の推力
を生じさせるので、船を横方向に移動させるための制御
手段の操作量は小さく、船の横方向移動制御を容易に操
作することが可能となる。しかも、即応性に優れてい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態を示す舶用定点保持装置
のブロック図である。
【図2】図1に示す舶用定点保持装置における制御の概
念図である。
【図3】図1に示す舶用定点保持装置における基準テー
ブルの一例を示す図面であり、(a) は概念図、(b) は基
準テーブルを示すグラフである。
【図4】図1に示す舶用定点保持装置における横方向推
力−方位角関係テーブルを示すグラフである。
【図5】図1に示す舶用定点保持装置における制御例を
示す概念図である。
【図6】従来の船位保持装置における制御例を示す概念
図である。
【符号の説明】
1…舶用定点保持装置 2…船 3…前後位置制御コントローラ 4…左右位置制御コントローラ 5…基準テーブル 6…方位制御コントローラ 7…アクチュエータ 8…経路 9…経路 10…経路 11…風外力 12…潮流外力 13…合力 14…目標位置 15…横方向推力−方位角関係テーブル 16…切換スイッチ 17…横方向の推力
フロントページの続き (72)発明者 浜松 正典 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 河野 行伸 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 中島 健一 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 斎藤 泰夫 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番1 号 川崎重工業株式会社神戸工場内 (72)発明者 池田 浩 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番1 号 川崎重工業株式会社神戸工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船に作用する外力となる風と潮流の合力
    方向から船の方位角を傾けることにより、これらの外力
    によって船に作用する横方向の推力で船を目標点の方向
    に移動させる舶用定点保持方法。
  2. 【請求項2】 船首方位を仮想的に変更したときの船体
    横方向に作用する風外力のテーブルと潮流外力のテーブ
    ルとを求め、これら風外力のテーブルと潮流外力のテー
    ブルから外力の合力テーブルを求め、この合力テーブル
    の合力がゼロになって船首と向かい合う方向を外力の合
    力方向とし、この合力テーブルから船体の移動に必要と
    する横方向推力に対して船首方位を何度に設定するかを
    求め、該横方向推力によって船を目標点の方向に移動さ
    せる舶用定点保持方法。
  3. 【請求項3】 予め設定した風と潮流に基づいて船の方
    位角を傾けた時に船に作用する左右推力の基準テーブル
    を作成し、船を制御する左右推力指令と実際の風、潮流
    に基づいて該基準テーブルから船の方位角指令を決定
    し、該方位角指令に基づく旋回推力指令で船に作用する
    外力となる風と潮流の合力方向から船の方位角を傾ける
    ことにより、これらの外力によって船に作用する横方向
    の推力で船を目標点の方向に移動させる舶用定点保持方
    法。
  4. 【請求項4】 左右推力指令と実際の風、潮流に基づい
    て基準テーブルから船を外力の合力方向から傾ける方位
    角指令を決定すると共に、該左右推力指令に基づいて船
    の左右位置を制御するようにしたことを特徴とする請求
    項3記載の舶用定点保持方法。
  5. 【請求項5】 前後位置指令に基づいて船の前後推力指
    令を出力する前後位置制御コントローラと、左右位置指
    令に基づいて船の左右推力指令を出力する左右位置制御
    コントローラと、該左右位置制御コントローラの左右推
    力指令により計算した方位角指令値に基づいて旋回推力
    指令を出力する方位制御コントローラと、これらのコン
    トローラに基づいて船の位置を制御するアクチュエータ
    と、船の前後位置を前記前後位置制御コントローラに入
    力する前後位置指令にフィードバックする経路と、船の
    左右位置を前記左右位置制御コントローラに入力する左
    右位置指令にフィードバックする経路と、船の方位角を
    前記方位制御コントローラに入力する方位角指令にフィ
    ードバックする経路とを設けた舶用定点保持装置。
  6. 【請求項6】 予め設定した風と潮流に基づいて船の方
    位角を傾けた時に船に作用する左右推力の基準テーブル
    を設け、左右位置制御コントローラからの左右推力指令
    と実際の風、潮流に基づいて該基準テーブルから方位角
    指令を出力するように構成し、該方位角指令に基づいて
    旋回推力指令を出力する方位制御コントローラを設けた
    ことを特徴とする請求項5記載の舶用定点保持装置。
  7. 【請求項7】 左右位置制御コントローラとアクチュエ
    ータとの間に切換スイッチを設け、左右位置制御コント
    ローラからアクチュエータへの左右推力指令を伝達又は
    遮断可能に構成したことを特徴とする請求項6記載の舶
    用定点保持装置。
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