JP2002138921A - 燃料噴射装置 - Google Patents

燃料噴射装置

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JP2002138921A
JP2002138921A JP2000339153A JP2000339153A JP2002138921A JP 2002138921 A JP2002138921 A JP 2002138921A JP 2000339153 A JP2000339153 A JP 2000339153A JP 2000339153 A JP2000339153 A JP 2000339153A JP 2002138921 A JP2002138921 A JP 2002138921A
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fuel
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lift
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Toshihiko Ito
猪頭  敏彦
Yasuhiro Fukagawa
康弘 深川
Michiyasu Moritsugu
通泰 森次
Yasuyuki Sakakibara
康行 榊原
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Denso Corp
Soken Inc
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Denso Corp
Nippon Soken Inc
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02MSUPPLYING COMBUSTION ENGINES IN GENERAL WITH COMBUSTIBLE MIXTURES OR CONSTITUENTS THEREOF
    • F02M2200/00Details of fuel-injection apparatus, not otherwise provided for
    • F02M2200/21Fuel-injection apparatus with piezoelectric or magnetostrictive elements

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コモンレールの減圧を安定して行えるように
することである。 【解決手段】 減圧制御時には、コモンレールから高圧
の燃料が導入されてニードル121の背圧を発生する背
圧室106から燃料タンクへの燃料の流出を制御するバ
ルブ123が弁室110の低圧ポート111側のシート
1101からリフトすることが可能な電圧値まで、バル
ブ123を押圧駆動するピエゾスタック126を充電
し、バルブ123がリフトするとピエゾスタック電圧を
下げる調整放電を行い、ハーフリフト可能な電圧範囲
を、バルブ123がリフト可能な電圧値よりも低い値ま
で拡大する。これにより、コモンレール圧力を安定的に
減圧できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコモンレール式の燃
料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】コモンレール式の燃料噴射装置は、高圧
サプライポンプにより昇圧した燃料をコモンレールに蓄
え、該コモンレールから燃料噴射用のインジェクタに燃
料を供給するものである。
【0003】インジェクタの構成は種々あるが、ノズル
部の噴孔を開閉するニードルをその背圧の増減により昇
降し噴射と遮断とを切り換え、前記背圧を前記コモンレ
ールからの燃料により得る構成としたものがある。そし
て背圧の増減は次のようになされる。すなわち、コモン
レールから燃料が導入されて背圧を発生せしめる背圧室
と燃料タンク等の低圧源の間に弁室を介設するととも
に、弁室内に、その低圧源側のポートを開閉する弁体を
配設し、この弁体がリフトすることで背圧室と低圧源と
が連通し、背圧が低下する。そして、ニードルがリフト
して燃料噴射が開始されることになる。この弁室および
弁体を有する背圧増減手段としては、二方弁や三方弁が
用いられ得る。
【0004】弁体を駆動するアクチュエータとして、近
年、PZT等の圧電材料の圧電作用を利用したピエゾア
クチュエータが考えられている。ピエゾアクチュエータ
は充放電により伸縮するピエゾスタックが弁体を押圧駆
動するものであり、例えばピエゾスタックが充電で伸長
して、弁体を低圧源側の弁座からリフトせしめる。ピエ
ゾアクチュエータの作動切り換えは、ピエゾスタックの
充電と放電とを行う通電手段をマイクロコンピュータ等
の制御手段が噴射指令に対して制御することでなされ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、コモンレー
ル式の燃料噴射装置では、燃料噴射制御とともに、運転
条件に応じた最適な噴射圧力が得られるようにコモンレ
ールへの燃料の圧送量を調整してコモンレール内燃料圧
力を制御する。しかし、運転条件が高圧の噴射圧力を要
求する条件(高速高負荷)から比較的低圧の噴射圧力を
要求する条件(低速低負荷)に急変した場合にはコモン
レール内燃料圧力を下げることができないので、この圧
力状態のままで燃料が噴射されると騒音が発生したり排
気の悪化を招くおそれがある。したがって、コモンレー
ルの前記圧送量を減らすだけではなく、コモンレール内
から高圧燃料を積極的に流出する必要がある。
【0006】前記のごとくインジェクタが前記コモンレ
ールからの燃料を制御油として用いる構成では、コモン
レール内燃料圧力を下げるべく、ニードルが着座したま
まで弁体をリフトし、背圧室の燃料を逃がすことが考え
られる。すなわち、閉弁状態のニードルの背圧はニード
ルが開弁可能な圧力よりも十分に高く、ある程度、背圧
を減じても着座状態を維持する。一方、弁体をニードル
開閉制御時のようにフルリフトには達しないリフト状態
(ハーフリフト)にすれば背圧室の圧力の低下幅は小さ
い。したがって、ニードルの背圧がニードル開弁可能圧
力を下回らない範囲で弁体をハーフリフトにすること
で、コモンレール内の燃料がインジェクタを介して燃料
タンクに還流し、コモンレール内燃料圧力が低下するこ
とになる。
【0007】インジェクタが前記ピエゾアクチュエータ
を搭載したものにおいて、弁体のハーフリフトを実現す
るには、弁体を着座状態からリフトせしめるべくコモン
レール圧力に等しい弁室内の燃料圧に抗し得る充電量ま
で充電する一方、ニードルが閉弁状態(無噴射状態)を
保持し得る上限(無噴射限界)の充電量を越えないよう
にすることになる。
【0008】しかしながら、弁体は着座状態では弁室内
の燃料圧力がリフト方向に作用する弁体の受圧面の面積
が少なく、また、弁室内の燃料圧力がコモンレール内燃
料圧力に略等しいことから、着座方向に作用する力が圧
倒的に優勢なアンバランスな圧力状態となっている。こ
れに対し、弁体が一旦リフトすると、弁室内の燃料圧力
が低下するとともに、燃料圧力がリフト方向に作用する
弁体の受圧面が増大するから、着座方向に作用する力が
リフト方向に作用する力に近づき、前記アンバランスな
圧力状態が緩和される。
【0009】この、アンバランスな圧力状態の緩和は、
ピエゾスタックの伸長を促す方向に作用するから、弁体
がリフト可能な充電量の下限値を僅かに越えただけで、
弁体のリフト量は比較的大きなものとなる。このため、
無噴射限界までの余裕があまりなく、ピエゾスタックの
充電量は前記下限値ぎりぎりのところに設定する必要が
ある。一方、このようにピエゾスタックの充電量を前記
下限値ぎりぎりのところに設定するとすれば安定的に弁
体をリフトすることができない。すなわち、弁体をハー
フリフトとし得るピエゾスタック充電量の範囲は必ずし
も広くはない。このため、弁体のハーフリフトでコモン
レール内燃料圧力を減圧するには、ピエゾスタックを充
電と放電とに単純に二値切り換えしてニードルを開閉制
御するだけのものに比して相当高精度な充電量の制御が
必要になる。
【0010】本発明は前記実情に鑑みなされたもので、
弁体を安定してハーフリフトとすることのできる燃料噴
射装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、噴孔を開閉するニードルを有し、コモンレールに蓄
えられた高圧の燃料が供給されて該燃料を前記噴孔から
噴射するノズル部と、前記コモンレールから燃料が導入
され前記ニードルの背圧を発生せしめる背圧室と、該背
圧室と低圧源の間に介設された弁室内に弁体を前記低圧
源側のポートを閉鎖可能に配設して該弁体のリフト量が
大きくなるに応じて前記背圧室の圧力を低下せしめる背
圧増減手段と、前記弁体を押圧駆動するピエゾスタック
を有し前記ピエゾスタックの充電量が多いほど前記弁体
のリフト量を増大せしめるピエゾアクチュエータとを備
えたインジェクタと、前記ピエゾスタックに通電し該ピ
エゾスタックの充電と放電とを行う通電手段と、該通電
手段による通電を制御することにより、所定の指令によ
り、前記弁体を着座状態とフルリフト状態とハーフリフ
ト状態との間で切り換える制御手段とを有する燃料噴射
装置において、前記制御手段を、前記弁体をハーフリフ
トとする指令の期間に、前記弁体がリフト可能な第1の
充電量までピエゾスタックを充電して前記弁体がリフト
すると、所定の第2の充電量まで放電する調整放電を行
うように設定する。
【0012】弁体がリフトした後で充電量を下げるの
で、弁体をハーフリフトとする場合に、弁体がリフト可
能な充電量よりも低い充電量に設定することが可能とな
る。これにより、ハーフリフトとし得る充電量の範囲を
実質的に拡げることができる。しかして、安定したハー
フリフトが実現できる。
【0013】請求項2記載の発明では、噴孔を開閉する
ニードルを有し、コモンレールに蓄えられた高圧の燃料
が供給されて該燃料を前記噴孔から噴射するノズル部
と、前記コモンレールから燃料が導入され前記ニードル
の背圧を発生せしめる背圧室と、該背圧室と低圧源の間
に介設された弁室内に弁体を前記低圧源側のポートを閉
鎖可能に配設して該弁体のリフト量が大きくなるに応じ
て前記背圧室の圧力を低下せしめる背圧増減手段と、前
記弁体を押圧駆動するピエゾスタックを有し前記ピエゾ
スタックの充電量が多いほど前記弁体のリフト量を増大
せしめるピエゾアクチュエータとを備えたインジェクタ
と、前記ピエゾスタックに通電し該ピエゾスタックの充
電と放電とを行う通電手段と、該通電手段による通電を
制御することにより、燃料の噴射指令に対しては、前記
弁体を着座状態とフルリフト状態との間で切り換えて前
記ニードルを開閉するとともに、前記コモンレール内の
燃料圧力の減圧指令に対しては、前記ニードルが着座状
態のままで前記弁体をリフト状態とする制御手段とを有
する燃料噴射装置において、前記制御手段を、前記減圧
指令に対する減圧制御期間に、前記弁体がリフト可能な
第1の充電量までピエゾスタックを充電して前記弁体が
リフトすると、所定の第2の充電量まで放電する調整放
電を行うように設定し、かつ、前記第2の充電量を、前
記ニードルが着座状態を保持し得る上限値以下で、か
つ、リフト後の前記弁体がリフト状態を保持し得る下限
値以上に設定する。
【0014】弁体がリフトした後で充電量を下げるの
で、弁体をハーフリフトとする場合に、弁体がリフト可
能な充電量よりも低い充電量に設定することが可能とな
る。これにより、ハーフリフトとし得る充電量の範囲を
実質的に拡げることができる。しかして、安定したハー
フリフトが実現できる。
【0015】請求項3記載の発明では、請求項2の発明
の構成において、前記第1の充電量を、前記弁体のリフ
トで背圧室の圧力が前記ニードルが開弁可能な上限圧力
値以下に低下し得る値に設定し、前記調整放電の時期
を、前記背圧室の圧力が前記開弁可能上限圧力値以下に
低下する前に設定する。
【0016】確実に弁体をリフトすることができる。
【0017】請求項4記載の発明では、請求項2または
3の発明の構成において、前記コモンレール内の燃料圧
力を検出する圧力検出手段を具備せしめ、前記制御手段
を、検出された前記コモンレール内燃料圧力が目標圧力
値に達するまで、前記ピエゾスタックの充電開始を始期
とするとともに前記第2の充電量の状態からの完全放電
を終期とする減圧期間が繰り返されるように、かつ、該
減圧期間が繰り返されるほど、該減圧期間のそれぞれに
おける前記第2の充電量が段階的に漸減するように設定
する。
【0018】目標圧力までの減圧幅が大きくとも、コモ
ンレール圧力の低下により無噴射限界が低下すると、こ
れに追随して第2の充電量が低下するから、誤噴射に対
する余裕度が常に確保され、ハーフリフト状態が安定し
て得られる。
【0019】請求項5記載の発明では、請求項4の発明
の構成において、前記制御手段を、前記減圧指令が入力
した際に検出されたコモンレール内燃料圧力に基づい
て、コモンレール内燃料圧力が目標圧力値に達するまで
の前記減圧期間の長さおよび前記第2の充電量が与えら
れるように設定した燃料噴射装置。
【0020】第2の充電量は、リフト後の弁体がリフト
状態を保持し得る充電量よりも高くニードルが開弁可能
な充電量よりも低い範囲に設定されるが、この範囲はコ
モンレール内燃料圧力によって変化するから、第2の充
電量をコモンレール内燃料圧力に基づいて設定すること
で、より、安定したハーフリフト状態が得られる。
【0021】請求項6記載の発明では、請求項4の発明
の構成において、前記制御手段を、前記減圧期間が繰り
返されるごとに検出されたコモンレール内燃料圧力に基
づいて、前記減圧期間の長さおよび前記第2の充電量が
与えられるように設定する。
【0022】第2の充電量は、リフト後の弁体がリフト
状態を保持し得る充電量よりも高くニードルが開弁可能
な充電量よりも低い範囲に設定されるが、この範囲はコ
モンレール内燃料圧力によって変化するから、第2の充
電量をコモンレール内燃料圧力に基づいて設定すること
で、より、安定したハーフリフト状態が得られる。
【0023】また、減圧期間が繰り返されるごとに検出
されたコモンレール内燃料圧力に基づいて第2の充電量
が設定されるので、コモンレール内燃料圧力の減圧特性
が燃料噴射装置の個体差、燃料性状、雰囲気温度などで
異なっても、大きくハーフリフト作動の不安定さが増大
することはない。
【0024】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図2に本発明の
ディーゼルエンジンのコモンレール式の燃料噴射装置の
全体構成を示す。ディーゼルエンジンの気筒数分のイン
ジェクタ1が各気筒に対応して設けられ(図例ではイン
ジェクタ1は1つのみ図示)、供給ライン25を介して
連通する共通のコモンレール24から燃料の供給を受
け、インジェクタ1から各気筒の燃焼室内に略コモンレ
ール24内の燃料圧力(以下、コモンレール圧力)に等
しい噴射圧力で燃料を噴射するようになっている。コモ
ンレール24には燃料タンク21の燃料が高圧サプライ
ポンプ23により圧送されて高圧で蓄えられる。
【0025】また、コモンレール24からインジェクタ
1に供給された燃料は、上記燃焼室への噴射用の他、イ
ンジェクタ1の制御油圧等としても用いられ、インジェ
クタ1から低圧のドレーンライン26を経て燃料タンク
21に還流するようになっている。
【0026】ECU4はクランク角度等の検出信号に基
づいて燃料の噴射時期と噴射量を演算し、これに応じた
噴射指令である噴射信号をピエゾクチュエータ駆動回路
3に出力する。噴射信号は、「H」と「L」からなる二
値信号で、インジェクタ1から所定の期間、燃料を噴射
せしめる。
【0027】また、ECU4は他のセンサ入力等により
知られる運転条件に応じた適正な噴射圧となるように制
御する。すなわち、圧力検出手段である圧力センサ5が
コモンレール24に取り付けられており、この検出信号
に基づいてECU4は調量弁22を制御してコモンレー
ル24への燃料の圧送量を調整する。また、コモンレー
ル圧力の急な減圧が必要になると、ECU4は減圧指令
である減圧信号をピエゾアクチュエータ駆動回路3に出
力して後述するようにインジェクタ2の制御油としての
燃料を燃料タンク21に戻してコモンレール圧力を減圧
する。
【0028】図1に前記インジェクタの構造を示す。イ
ンジェクタ1は棒状体で、図中下側部分がエンジンの図
略の燃焼室壁を貫通して燃焼室内に突出するように取り
付けられている。インジェクタ1は下側から順にノズル
部1a、背圧制御部1b、ピエゾアクチュエータ1cと
なっている。
【0029】ノズル部1aのスリーブ状の本体104内
にニードル121がその後端部にて摺動自在に保持され
ており、ニードル121はノズル本体104の先端部に
形成された環状シート1041に着座または離座する。
ニードル121の先端部の外周空間105には高圧通路
101を介してコモンレール24から高圧燃料が導入さ
れ、ニードル121のリフト時に噴孔103から燃料が
噴射される。ニードル121にはその環状段面1211
に前記高圧通路101からの燃料圧力がリフト方向(上
向き)に作用している。
【0030】ニードル121の後方には高圧通路101
からインオリフィス107を介して制御油としての燃料
が導入されており、ニードル121の背圧を発生する背
圧室106が形成される。この背圧は、背圧室106に
配設されたスプリング122とともにニードル121の
後端面1212に着座方向(下向き)に作用する。
【0031】前記背圧は背圧制御部1bで増減され、背
圧制御部1bはピエゾスタック127を備えたピエゾア
クチュエータ1cにより駆動される。
【0032】前記背圧室106は接続通路109を介し
て常時、背圧制御部1bの弁室110と連通している。
弁室110は天井面1101および底面1102がそれ
ぞれ円錐状に凹んでいる。天井面1101は、最上部
に、低圧室113と連通する低圧ポート111が開口し
ており、低圧室113はドレーンライン26と接続され
る低圧通路102と連通している。弁室110の底面1
102は、最下部に、高圧通路101と連通する高圧ポ
ート112が開口している。
【0033】弁室110内には、ボール状のバルブ12
3が配設されている。バルブ123は上下動可能な弁体
であり、下降時には、弁室底面(以下、高圧側シートと
いう)1102に着座し弁室110を高圧ポート112
と遮断し、上昇時には弁座としての前記天井面(以下、
低圧側シートという)1101に着座し弁室110を前
記低圧ポート111から遮断する。これにより、バルブ
123下降時には背圧室106が低圧室113と連通し
て、背圧室106から燃料が流出し弁室110および低
圧室113を経て燃料タンク21に戻される。
【0034】燃料の流出量は、高圧通路101の燃料圧
力すなわちコモンレール圧力やインオリフィス107等
とともに、バルブ123と低圧側シート1101の間の
環状間隙の面積で規定され、バルブ123の低圧側シー
ト1101からのリフト(以下、単にリフトという)の
量が大きいほど前記環状間隙の面積が拡大して多くな
る。そして燃料の流出量が多いほど背圧室106の圧力
が低くなる。この圧力低下が十分に大きいと、ニードル
121に対する離座方向の力が優勢となって、ニードル
121が離座する。
【0035】一方、バルブ123の上昇時には背圧室1
06が低圧室113と遮断されて高圧通路101のみと
連通し、高圧通路101の高圧燃料が、弁室110、接
続通路109を介して、背圧室106へ流入するため、
インオリフィス107を介した高圧燃料の背圧室106
への流入と相まって、ニードル121の背圧が上昇して
ノズルニードル121が着座する。
【0036】バルブ123はピエゾアクチュエータ1c
により押圧駆動される。ピエゾアクチュエータ1cは、
低圧室113の上方に上下方向に形成された縦穴114
にピストン125が摺動自在に保持されており、その下
端面より、バルブを押圧するプッシュロッド124が突
設している。そして、ピストン125の上方にピエゾス
タック126が上下方向を伸縮方向として配設されてい
る。ピストン125はその下方に設けられた皿バネ12
7によりピエゾスタック126と当接状態を維持してお
り、ピエゾスタック126の伸縮量と同じだけ上下方向
に変位するようになっている。
【0037】燃料噴射時には、先ず、ピエゾスタック1
26が充電されてピエゾスタック126が伸長すること
により、ピストン125が下降してプッシュロッド12
4がバルブ123を高圧側シート1102に着座するま
で押し下げる。これにより弁室110が低圧ポート11
1と連通するとともに高圧ポート112と遮断されるの
で、背圧室106の燃料圧力が最も大きく低下する。こ
れにより、ニードル121が離座して燃料噴射が開始さ
れる。
【0038】噴射停止は反対にピエゾスタック126の
放電によりピエゾスタック126を縮小してボール12
3への押し下げ力を解除する。この時、弁室110内は
下側の方が燃料圧力が高くなっているから、ピエゾスタ
ック126による前記バルブ123への押し下げ力の解
除により、バルブ123が再び低圧側シート1101に
着座して弁室110の燃料圧力が上昇し、ニードル12
1が着座して噴射が停止する。
【0039】また、インジェクタ1は後述するようにニ
ードル121を着座状態のままバルブ123をリフトし
て燃料を燃料タンクに戻し、コモンレール圧力の減圧に
も用いられる。
【0040】図3にピエゾスタック126の充電と放電
とを行う通電手段であるピエゾアクチュエータ駆動回路
3の構成を示す。なお、説明の便宜のため4つの気筒に
対応してピエゾスタック126A、ピエゾスタック12
6B、ピエゾスタック126C、ピエゾスタック126
Dと表すものとする。ピエゾアクチュエータ駆動回路3
は、車載のバッテリ311、バッテリ311から数十〜
数百Vの直流電圧を発生する降圧チョッパ型のDC−D
Cコンバータ312、およびその出力端に並列に接続さ
れたバッファコンデンサ313により直流電源31を構
成し、ピエゾスタック126A〜126Dの充電用の電
圧を出力する。バッファコンデンサ313は比較的静電
容量の大きなもので構成され、ピエゾスタック126A
〜126Dへの充電作動時にも略一定の電圧値を保つよ
うになっている。
【0041】直流電源31のバッファコンデンサ313
からピエゾスタック126A〜126Dにインダクタ3
3を介して通電する第1の通電経路32aが設けてあ
り、通電経路32aには、バッファコンデンサ313と
インダクタ33間にこれらと直列に第1のスイッチング
素子34が介設されている。第1のスイッチング素子3
4はMOSFETで構成され、その寄生ダイオード34
1がバッファコンデンサ313の両端間電圧に対して逆
バイアスとなるように接続される。
【0042】また、インダクタ33とピエゾスタック1
26A〜126Dは第2の通電経路32bを形成してお
り、この通電経路32bは、インダクタ33と第1のス
イッチング素子34の接続中点に接続される第2のスイ
ッチング素子35を有し、インダクタ33、ピエゾスタ
ック126A〜126D、第2のスイッチング素子35
により閉回路を形成している。第2のスイッチング素子
35もMOSFETで構成され、その寄生ダイオード3
51がバッファコンデンサ313の両端間電圧に対して
逆バイアスとなるように接続される。
【0043】通電経路32a,32bはピエゾスタック
126A〜126Dのそれぞれに共通であり、次のよう
に駆動対象としてのピエゾスタック126A〜126D
が選択できる。すなわち、ピエゾスタック126A〜1
26Dのそれぞれには直列にスイッチング素子(以下、
適宜、選択スイッチング素子という)36A,36B,
36C,36Dが1対1に接続されており、噴射気筒の
インジェクタのピエゾスタック126A〜126Dに対
応する選択スイッチング素子36A〜36Dがオンされ
る。選択スイッチング素子36A〜36DはMOSFE
Tが用いられている。その寄生ダイオード361A,3
61B,361C,361Dが、バッファコンデンサ3
13に対して逆バイアスとなるように接続されている。
【0044】また、第1の通電経路32aと第2の通電
経路32bに共通に、ピエゾスタック126A〜126
Dに直列に抵抗値の小さな抵抗器37が設けてあり、そ
の両端間電圧からピエゾスタック126A〜126Dに
流出入する電流、すなわち充電電流および放電電流が制
御回路38において知られるようになっている。また、
制御回路38にはピエゾスタック126A〜126Dの
両端間電圧(以下、ピエゾスタック電圧という)が入力
しており、ピエゾスタック電圧が知られるようになって
いる。
【0045】スイッチング素子34,35,36A〜3
6Dの各ゲートには制御回路38からそれぞれ制御信号
が入力しており、前記のごとく選択スイッチング素子3
6A〜36Dのいずれかをオンして駆動対象のピエゾス
タック126A〜126Dが選択されるとともに、スイ
ッチング素子34,35のゲートにはパルス状の制御信
号が入力してスイッチング素子34,35をオンオフ
し、ピエゾスタック126A〜126Dの充電制御およ
び放電制御を行うようになっている。充電制御および放
電制御にあたっては、抵抗器37により検出された充電
電流および放電電流、ピエゾスタック電圧に基づいて行
われ、また、後述するECU4からの噴射信号、減圧信
号を指令として行われる。制御回路38はマイクロコン
ピュータ等により構成される。
【0046】制御回路38はピエゾスタック126A〜
126Dの充電電流に基づいて第1のスイッチング素子
34のオンとオフとを次のように切り換える。すなわ
ち、第1のスイッチング素子34をオンすると第1の通
電経路32aに充電電流が流れ、ピエゾスタック126
A〜126Dが充電される。この充電電流はインダクタ
33の誘導作用で0から漸増する電流である。検出され
た充電電流が所定の電流制限値に達すると、第1のスイ
ッチング素子34をオフする。
【0047】このオフ時において、インダクタ33には
充電電流(=電流制限値)に応じたエネルギーが蓄積さ
れているから、これによりインダクタ33に誘導起電力
が発生する。この誘導起電力に対して第2の寄生ダイオ
ード351は順バイアスであるから、スイッチング素子
34のオン期間に続いて、前記エネルギーを消費しなが
ら、第2の通電経路32bに漸減する充電電流が流れ
る。制御回路38は、検出された電流が0になると、再
び、スイッチング素子34をオンする。第1のスイッチ
ング素子34の1回のオンオフで三角状の充電電流が流
れる。
【0048】これを繰り返してピエゾスタック126A
〜126Dの充電が進行する。これにより、ピエゾスタ
ック電圧が上昇し、ピエゾスタック126A〜126D
は伸長する。
【0049】一方、放電時は従来装置と同様に、第2の
スイッチング素子35をオンオフし、オン期間に第2の
通電経路32bに漸増する放電電流を流し、オフ期間に
第1の通電経路32aに漸減する放電電流を流す。この
放電電流の波形も三角波とみなせ、放電電流が電流制限
値および0に達する度に第2のスイッチング素子35の
オンとオフとを切り換える。これを繰り返してピエゾス
タック126A〜126Dの放電が進行する。これによ
り、ピエゾスタック電圧が低下し、ピエゾスタックは縮
小する。この時の電流制限値は例えば、充電制御におけ
る電流制限値を用い得る。
【0050】制御回路38は、噴射信号に対しては、選
択されたピエゾスタック126A〜126Dを噴射信号
の始期に、バルブ123が高圧側シート1102に着座
し得る(フルリフト)十分な充電量にて充電し、噴射信
号の終期にピエゾスタック126A〜126Dを放電す
ることで、噴射信号の出力期間に対応して燃料噴射がな
されることになる。
【0051】また、制御回路38は、減圧信号に対して
は次のようにピエゾスタック126A〜126Dを作動
せしめる。
【0052】図4は、ニードル121が閉弁状態(無噴
射状態)を保持し得る上限のピエゾスタック電圧(無噴
射限界)、バルブ123が低圧側シート1101に着座
状態からコモンレール圧力に等しい弁室110内の燃料
圧力に抗してリフト可能な最低のピエゾスタック電圧
(バルブ可動限界)、バルブ123がリフトした状態を
保持し得る下限のピエゾスタック電圧(バルブ閉弁限
界)をコモンレール圧力との関係において示すものであ
る。
【0053】無噴射限界、バルブ可動限界はいずれも、
バルブ123に対して低圧側シート1101への着座方
向に優勢な弁室110内の燃料圧力に抗してバルブ12
3が作動することになるから、コモンレール圧力が高い
ほど大きくなる。バルブ閉弁限界も、弁室110内の燃
料圧力が高いほど低圧側シート1101への着座方向の
付勢力が強くなるから、コモンレール圧力が高いほど大
きくなる。
【0054】また、バルブ閉弁限界がバルブ可動限界よ
りも低い値をとるのは、着座状態では、バルブ123と
低圧側シート1101の当接部で画成されるバルブ12
3の頂面に弁室110内の燃料圧力が作用しない分、着
座方向の付勢力が圧倒的に優勢であり、作用する燃料圧
力も実質的にコモンレール圧力に等しいのに対して、リ
フト状態では、バルブ123の全面に燃料圧力が作用す
る上に、低圧室113への燃料の流出で弁室110内の
燃料圧力が低下するためである。
【0055】制御回路38は、かかる無噴射限界、バル
ブ可動限界およびバルブ閉弁限界の特性に基づいてコモ
ンレール圧力の減圧制御を行う。
【0056】図5に制御回路38における減圧制御の内
容を示すフローチャートを示し、図6に前記減圧制御時
のピエゾスタック電流(充電電流、放電電流)およびピ
エゾスタック電圧の挙動を示す。本減圧制御では、ピエ
ゾスタック126A〜126Dの充電期と放電期で規定
される減圧期間において、ピエゾスタック126A〜1
26Dの充電直後に調整放電を行うように、さらに、コ
モンレール圧力が目標圧力値に達するまでこの減圧期間
が繰り返されるように設定されている。そして、各減圧
期間における調整放電後のピエゾスタック電圧の目標電
圧、および減圧期間の実質的な長さである、調整放電後
の時間(ハーフリフト時間という)は、減圧信号が入力
した際に検出されたコモンレール圧力と目標圧力に基づ
いて、予めROMに記憶されたマップから読みだすこと
で設定される。なお、説明中に示す具体例として、コモ
ンレール圧力を120MPa から目標圧力70MPa ま
で低下する場合を示している。
【0057】先ず、減圧期間が何回目かを表すパラメー
タkをリセットし(k=0)(ステップS101)、コ
モンレール圧力Pc 、目標圧力を取り込む(ステップS
102)。そして、このコモンレール圧力Pc 、目標圧
力に基づいて前記マップから第2の目標電圧V2 (1)
〜V2 (n)、ハーフリフト時間T2 (1)〜T2
(n)を読み込む(ステップS103)。V2 (1)〜
V2 (n)、T2 (1)〜T2 (n)は、詳しくは後述
するようにピエゾスタック126A〜126Dに対する
通電パターンを規定するパラメータである。nは具体例
では2であり、V2(1),V2 (2),T2 (1),
T2 (2)が読み込まれる。
【0058】次いでkを1インクリメントする(ステッ
プS104)。
【0059】以後はコモンレール圧力の実体的な制御と
なる。先ず、ピエゾスタック126A〜126Dを充電
する(ステップS105)。すなわち、前記のごとく第
1のスイッチング素子34をオンオフすることにより、
充電電流が三角波形を繰り返して充電が進行し、ピエゾ
スタック電圧が漸増する(図6の期間)。第1の目標
電圧V1 はバルブ123がフルリフトするに十分な電圧
であり、図例では120Vに設定されている。これは各
減圧期間に共通である。検出されたピエゾスタック電圧
Vp が目標電圧V1 に達するとスイッチング素子34を
オフに固定する。なお、目標電圧V1 まで充電するのに
要する時間は充電電流の大きさに依存するが、図例では
0.12msかけて充電している。
【0060】一方、バルブ123はピエゾスタック12
6A〜126Dの充電完了に対してやや遅れてフルリフ
ト状態となる。一方、バルブ123のリフトにより背圧
室106の燃料が弁室110を通り燃料タンク21へと
戻されるが、バルブ123がフルリフトであるから背圧
室106からの流量は多く、背圧室106の圧力が、ニ
ードル121が開弁可能な圧力値に向かって低下する。
【0061】ピエゾスタック126A〜126Dの充電
完了から予め設定したフルリフト時間T1 が経過すると
(ステップS106、図6の期間)、第2のスイッチ
ング素子35をオンオフして前記調整放電を行い、第2
の充電量である第2の目標電圧V2 (k)まで減じる
(ステップS107、図6の期間)。
【0062】第2の目標電圧V2 (k)は、バルブ閉弁
限界以上で無噴射限界以下に設定され、本具体例ではコ
モンレール圧力120MPa のバルブ閉弁限界60V強
および無噴射限界105Vに対して70Vに設定されて
いる。
【0063】また、第2の目標電圧V2 (k)は無噴射
限界以下に設定されているが、前記のごとく背圧室10
6の圧力が、ニードル121が開弁可能な圧力値に向か
って低下するので、ニードル121が開弁しないよう
に、調整放電開始までの前記所定時間T1 および放電速
度を設定する。本具体例ではピエゾスタック電圧が第1
の目標電圧V1 (120V)に達した後、0.1msで
ニードル121が開弁可能であり、図例では、ピエゾス
タック電圧が第1の目標電圧V1 (120V)に達した
後、フルリフト時間T1 (0.03ms)で調整放電を
開始し、0.05msで完了するようになっている。目
標電圧V1 、フルリフト時間T1 は前記マップとともに
制御回路18のROMに記憶されている。
【0064】調整放電後は、ピエゾスタック電圧は第2
の目標電圧V2 (k)でハーフリフト時間T2 (k)
(数ms)推移する(ステップS108、図6のの期
間)。そして、ハーフリフト時間T2 (k)の後に再び
第2のスイッチング素子35をオンオフしてピエゾスタ
ック126A〜126Dをピエゾスタック電圧が0にな
るまで全放電する(ステップS109、図6のの期
間)。これにより、バルブ123が低圧側シート110
1に着座し、低圧ポート112が閉じられる。閉じられ
るまで、燃料が弁室110を通り燃料タンク21へと戻
され、コモンレール圧力は目標圧力に向かって減圧され
ることになる。具体例では図4に示すように90MPa
付近まで減圧される。
【0065】続くステップS110はk=nか否かでコ
モンレール圧力が目標圧力(70MPa )に達したか否
かを判じるものであり、本具体例の場合、1回目の減圧
期間においてはまだ本ステップは否定判断される。そし
て再びステップS104以降の手順が実行され、2回目
の減圧期間が繰り返される。
【0066】2回目の減圧期間(k=2)においても、
第2の充電電圧V2 (k)は、バルブ閉弁限界以上で無
噴射限界以下に設定されるが、1回目の減圧期間におい
てコモンール圧力が低下しているから、第1回目よりも
相対的に低い値が設定される。具体例ではコモンレール
圧力90MPa のバルブ閉弁限界50V弱および無噴射
限界85Vに対して55Vに設定されている。このよう
にコモンレール圧力Pc が目標圧力に到るn回の減圧期
間を繰り返すと(ステップS110)、本フローを終了
する。
【0067】前記マップについて説明する。第2の目標
電圧V2 (k)については、図4に示した、コモンレー
ル圧力Pc とピエゾスタック電圧のバルブ閉弁限界およ
び無噴射限界の関係図を予め実験やシミュレーション等
で求めておき、この関係図において、バルブ閉弁限界と
無噴射限界で挟まれた領域に入るように、コモンレール
圧力Pc が目標圧力に達するまでのピエゾスタック電圧
Vp の経路を決定すればよい。ピエゾスタック電圧Vp
の経路は、コモンレール圧力Pc の減圧が進むほど無噴
射限界が下がってくるから、第2の目標電圧V2 (k)
は図4中において階段状に設定されることになる。ま
た、ハーフリフト時間T2 (k)は減圧するコモンレー
ル圧力Pc の経時特性を求めておきマップ化する時間を
得ることができる。前記ステップS103では、n回目
の減圧期間にコモンレール圧力Pcが目標圧力に到達す
る時は、n組のV2 (k)およびT2 (k)すなわちV
2 (1)〜V2 (n)、T2 (1)〜T2 (n)が与え
られることになる。なお、最後の減圧期間におけるV2
(n),T2 (n)は到達圧力が目標圧力になるように
設定される。
【0068】具体的には、スタートとなるコモンレール
圧力に対応するバルブ閉弁限界よりも余裕をとってやや
高めに1回目の減圧期間における目標電圧V2 (1)を
決め、次いでコモンレール圧力が低いほど低くなる無噴
射限界までの余裕を考慮して減圧幅をとり、この減圧幅
に対応するハーフリフト時間T2 (1)を決定する。そ
して、この時のコモンレール圧力に対応するバルブ閉弁
限界よりも余裕をとってやや高めに2回目の目標電圧V
2 (2)を決め、というように、順次これを繰り返して
いけばよい。
【0069】ここで、ハーフリフト時間T2 (k)は一
定として、前記ピエゾスタック電圧の経路を求めておけ
ば、マップの情報は実質的に第2の目標電圧V2 (k)
のみで構成されることになり、制御負担を減じることが
できる。
【0070】また、マップについては、燃料噴射装置が
使用するコモンレール圧力の範囲内を複数のレンジに分
けて、前記バルブ閉弁限界と無噴射限界で挟まれた領域
に入るように各レンジに1つずつ電圧値を割り当てると
ともに、各レンジの幅を減圧幅とした時の減圧所要時間
を各レンジに1つずつ割り当てて、これを目標電圧V2
(k)およびハーフリフト時間T2 (k)用として読み
だす構成とするのもよい。この場合、ピエゾスタック電
圧の経路が単一となる。そして、1回目の減圧期間のハ
ーフリフト時間T2 (1)、最後の減圧期間のハーフリ
フト時間T2 (n)のみ、ハーフリフト時間T2 (1)
については検出されたコモレール圧力Pc に基づいて、
ハーフリフト時間T2 (n)については目標圧力に基づ
いて短縮補正すればよい。この場合も、減圧幅が単一と
なるように前記レンジを定めることで、さらにROMの
容量負担を減じることができる。
【0071】本発明によれば、前記調整放電により、ピ
エゾスタック電圧Vp をバルブ123のリフト時の第1
の充電電圧V1 よりも低くしている。これにより、十分
な充電電圧でバルブ123を確実にリフトせしめること
と、充電電圧を抑えて減圧制御中の誤噴射を回避するこ
ととを両立することができる。しかも、調整放電後は充
電電圧はバルブ可動限界以下に設定することも可能とな
る。すなわち、実質的にバルブ123がハーフリフト可
能なピエゾスタック電圧の範囲を拡大することができ
る。これにより減圧制御における制御精度を緩和するこ
とができ、コストアップを抑えることができる。
【0072】しかも、減圧期間が繰り返されるので、要
求される減圧幅によらず、コモンレール圧力を目標圧力
まで減圧することが可能となる。
【0073】(第2実施形態)図7に本発明の際2実施
形態になる燃料噴射装置のピエゾアクチュエータ駆動回
路の構成を示す。第1実施形態においてピエゾアクチュ
エータ駆動回路を別の構成に代えたもので、第1実施形
態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と
実質的に同じ作動をする各部については、説明中におい
て第1実施形態と同じ番号を付すものとする。
【0074】ピエゾアクチュエータ駆動回路3Aの制御
回路38Aは、構成および制御内容が第1実施形態と基
本的に同じで、噴射信号、減圧信号に対してスイッチン
グ素子14,15をオンオフしてピエゾスタック126
A〜126Dを充放電するものである。また、コモンレ
ール減圧制御においても、第1実施形態と同様に減圧期
間が繰り返し実行可能に設定されたものであるが、相違
点は、第1実施形態が、目標圧力に向かって複数回行わ
れる減圧期間の第2の目標電圧のすべてについて、減圧
信号入力の際にコモンレール圧力と目標電圧に基づいて
設定するのに対し、本実施形態は、減圧期間ごとに設定
されることである。
【0075】図8に制御回路38Aにおける減圧制御時
の制御内容を示す。先ず、最後の減圧期間であることを
示すフラグを「0」にセットし(ステップS201)、
目標圧力を取り込む(ステップS202)。
【0076】次いで、コモンレール圧力Pc を取り込み
(ステップS203)、このコモンレール圧力Pc に基
づいてマップから第2の目標電圧V2 、ハーフリフト時
間T2 を読み込む(ステップS204)。V2 ,T2
は、第1実施形態における第2の目標電圧V2 (k),
T2 (k)と実質的に等価なパラメータであり、ピエゾ
スタック126A〜126Dに対する通電パターンを規
定する。
【0077】続くステップS205では、最後の減圧期
間であるか否かを判じ、否定判断されればステップS2
06をスキップしステップS207に進む。最後の減圧
期間であるか否かの判断は、目標圧力(ステップS20
2)とコモンレール圧力Pc(ステップS203)の差
を予め設定したしきい値よりも小さいか否かで判じる。
【0078】そして、第1実施形態のステップS105
と同様にピエゾスタック126A〜126Dを充電し
(ステップS207)、検出されたピエゾスタック電圧
が目標電圧V1 に達すると第1のスイッチング素子34
をオフに固定する。そして、ピエゾスタック126A〜
126Dの充電完了からフルリフト時間T1 が経過する
と(ステップS208)、第2のスイッチング素子35
をオンオフして第1実施形態と同様に調整放電を行い、
第2の充電量である第2の目標電圧V2 まで減じる(ス
テップS209)。
【0079】ピエゾスタック電圧は、第2の目標電圧V
2 でハーフリフト時間T2 (数ms)推移する(ステッ
プS210)。そして、ハーフリフト時間T2 の後に再
び第2のスイッチング素子35をオンオフしてピエゾス
タック126A〜126Dをピエゾスタック電圧が0に
なるまで全放電する(ステップS211)。これによ
り、1回目の減圧期間が終了する。
【0080】そして、フラグfが「0」か否かを判定す
る(ステップS212)。最後の減圧期間でなければ2
回目の減圧期間が実行される(ステップS203〜)。
【0081】V2 が図4中において、V2 (1)、V2
(2)と推移するのであれば、2回目の減圧期間でコモ
ンレール圧力は目標圧力に達することになる。この場
合、最後の減圧期間であるか否かを判じる2回目のステ
ップS205が肯定判断されてフラグが「1」にセット
される(ステップS206)ので、ステップS212か
ら本フローが終了する。
【0082】本実施形態では、減圧期間の回数によら
ず、目標圧力に到るまでの第2の目標電圧を減圧信号の
入力に際して一時にすべて読み込む必要がなく、制御負
担が少ない。
【0083】なお、前記各実施形態では、第2の目標電
圧を減らしながら減圧期間を繰り返すことで現在のコモ
ンレール圧力と目標圧力の差によらず目標圧力まで減圧
することができるが、要求される減圧幅によっては減圧
期間を1回だけで終えるように設定してもよい。
【0084】また、各減圧期間の終了時にはピエゾスタ
ックを全放電しているが、目標圧力に達する前の減圧期
間であればバルブ閉弁限界を越えない実質的な全放電で
あればよい。
【0085】また、第1の目標電圧V1 をバルブ123
がフルリフト可能な電圧値としているが、バルブ123
が確実にリフト作動する電圧値であればよい。また、減
圧期間が繰り返されるごとに漸減するように設定しても
よい、コモンレール圧力が低いほどバルブ可動限界、無
噴射限界が低下するからである。
【0086】なお前記各実施形態では減圧期間は時間で
規定されているが、マップにおいて第2の目標電圧とと
もに当該減圧期間の終期を規定するコモンレール圧力の
設定値を記憶しておき、検出された減圧期間中のコモン
レール圧力が前記設定値になった時点で全放電を行う構
成とすることもできる。
【0087】また、ピエゾスタックの充電量はピエゾス
タック両端間電圧を検出しているが、充電電流の積算値
等、任意である。
【0088】また、バルブのハーフリフトを減圧制御の
為に行っているが、噴射率制御等、他の用途に供するこ
とも可能である。この場合は、ハーフリフトによって燃
料噴射が生じるように、調整放電の大きさが設定され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の燃料噴射装置を構成す
るインジェクタの断面である。
【図2】前記燃料噴射装置の構成図である。
【図3】前記燃料噴射装置を構成し前記インジェクタを
駆動するピエゾアクチュエータ駆動回路の回路図であ
る。
【図4】前記ピエゾアクチュエータ駆動回路の制御回路
で実行される制御内容を説明するグラフである。
【図5】前記制御回路で実行される制御内容を示すフロ
ーチャートである。
【図6】前記インジェクタに搭載されるピエゾスタック
の両端間電圧および充電電流および放電電流の経時変化
を示す図である。
【図7】本発明を適用した第2の燃料噴射装置を構成し
前記インジェクタを駆動するピエゾアクチュエータ駆動
回路の回路図である。
【図8】前記ピエゾアクチュエータ駆動回路の制御回路
で実行される制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 インジェクタ 1a ノズル部 1b 背圧制御部(背圧増減手段) 1c ピエゾアクチュエータ 106 背圧室 110 弁室 121 ニードル 123 バルブ(弁体) 126,126A,126B,126C,126D ピ
エゾスタック 21 燃料タンク 24 コモンレール 3 ピエゾアクチュエータ駆動回路 31 直流電源 32a,32b 通電経路 33 インダクタ 34 第1のスイッチング素子 35 第2のスイッチング素子 38,38A 制御回路(制御手段) 4 ECU 5 圧力センサ(圧力検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02M 51/00 F02M 51/00 E 51/06 51/06 F 55/02 350 55/02 350E (72)発明者 深川 康弘 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 森次 通泰 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 榊原 康行 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 Fターム(参考) 3G066 AC09 AD07 BA22 BA23 CC01 CC08U CC14 CC61 CC63 CC68U CE27 DA12 DC18 3G301 HA02 JA14 JA24 JA37 LB11 LC05 MA11 PB06Z PB08Z PG02Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 噴孔を開閉するニードルを有し、コモン
    レールに蓄えられた高圧の燃料が供給されて該燃料を前
    記噴孔から噴射するノズル部と、前記コモンレールから
    燃料が導入され前記ニードルの背圧を発生せしめる背圧
    室と、該背圧室と低圧源の間に介設された弁室内に弁体
    を前記低圧源側のポートを閉鎖可能に配設して該弁体の
    リフト量が大きくなるに応じて前記背圧室の圧力を低下
    せしめる背圧増減手段と、前記弁体を押圧駆動するピエ
    ゾスタックを有し該ピエゾスタックの充電量が多いほど
    前記弁体のリフト量を増大せしめるピエゾアクチュエー
    タとを備えたインジェクタと、 前記ピエゾスタックに通電し該ピエゾスタックの充電と
    放電とを行う通電手段と、 該通電手段による通電を制御することにより、所定の指
    令により、前記弁体を着座状態とフルリフト状態とハー
    フリフト状態との間で切り換える制御手段とを有する燃
    料噴射装置において、 前記制御手段を、前記弁体をハーフリフトとする指令の
    期間に、前記弁体がリフト可能な第1の充電量までピエ
    ゾスタックを充電して前記弁体がリフトすると、所定の
    第2の充電量まで放電する調整放電を行うように設定し
    たことを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 【請求項2】 噴孔を開閉するニードルを有し、コモン
    レールに蓄えられた高圧の燃料が供給されて該燃料を前
    記噴孔から噴射するノズル部と、前記コモンレールから
    燃料が導入され前記ニードルの背圧を発生せしめる背圧
    室と、該背圧室と低圧源の間に介設された弁室内に弁体
    を前記低圧源側のポートを閉鎖可能に配設して該弁体の
    リフト量が大きくなるに応じて前記背圧室の圧力を低下
    せしめる背圧増減手段と、前記弁体を押圧駆動するピエ
    ゾスタックを有し該ピエゾスタックの充電量が多いほど
    前記弁体のリフト量を増大せしめるピエゾアクチュエー
    タとを備えたインジェクタと、 前記ピエゾスタックに通電し該ピエゾスタックの充電と
    放電とを行う通電手段と、 該通電手段による通電を制御することにより、燃料の噴
    射指令に対しては、前記弁体を着座状態とフルリフト状
    態との間で切り換えて前記ニードルを開閉するととも
    に、前記コモンレール内の燃料圧力の減圧指令に対して
    は、前記ニードルが着座状態のままで前記弁体をリフト
    状態とする制御手段とを有する燃料噴射装置において、 前記制御手段を、前記減圧指令に対する減圧期間に、前
    記弁体がリフト可能な第1の充電量までピエゾスタック
    を充電して前記弁体がリフトすると、所定の第2の充電
    量まで放電する調整放電を行うように設定し、 かつ、前記第2の充電量を、前記ニードルが着座状態を
    保持し得る上限値以下で、かつ、リフト後の前記弁体が
    リフト状態を保持し得る下限値以上に設定したことを特
    徴とする燃料噴射装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の燃料噴射装置において、
    前記第1の充電量を、前記弁体のリフトで背圧室の圧力
    が前記ニードルが開弁可能な上限圧力値以下に低下し得
    る値に設定し、 前記調整放電の時期を、前記背圧室の圧力が前記開弁可
    能上限圧力値以下に低下する前に設定した燃料噴射装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項2または3いずれか記載の燃料噴
    射装置において、前記コモンレール内の燃料圧力を検出
    する圧力検出手段を具備せしめ、 前記制御手段を、検出された前記コモンレール内燃料圧
    力が目標圧力値に達するまで、前記ピエゾスタックの充
    電開始を始期とするとともに前記第2の充電量の状態か
    らの完全放電を終期とする減圧期間が繰り返されるよう
    に、 かつ、該減圧期間が繰り返されるほど、該減圧期間のそ
    れぞれにおける前記第2の充電量が段階的に漸減するよ
    うに設定した燃料噴射装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の燃料噴射装置において、
    前記制御手段を、前記減圧指令が入力した際に検出され
    たコモンレール内燃料圧力に基づいて、コモンレール内
    燃料圧力が目標圧力値に達するまでの前記減圧期間の長
    さおよび前記第2の充電量が与えられるように設定した
    燃料噴射装置。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の燃料噴射装置において、
    前記制御手段を、前記減圧期間が繰り返されるごとに検
    出されたコモンレール内燃料圧力に基づいて、前記減圧
    期間の長さおよび前記第2の充電量が与えられるように
    設定した燃料噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011122489A (ja) * 2009-12-09 2011-06-23 Denso Corp 燃料噴射装置

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