JP2002138482A - 地盤保持構造 - Google Patents

地盤保持構造

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JP2002138482A JP2000330606A JP2000330606A JP2002138482A JP 2002138482 A JP2002138482 A JP 2002138482A JP 2000330606 A JP2000330606 A JP 2000330606A JP 2000330606 A JP2000330606 A JP 2000330606A JP 2002138482 A JP2002138482 A JP 2002138482A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地盤を保持する部分を複数に分散させ、地盤
の保持面積を十分確保しながら、各保持部分の軽量化を
可能とし、現場への搬入を容易にして設置条件を緩和で
きる地盤保持構造を提供する。 【解決手段】 地盤50表面に配設された複数の受圧フ
レーム11間に緊張材12を張り渡し、この緊張材12
の中間位置に押圧用フレーム13及び膨張体14を組合
わせて配設し、膨張体14の膨張で受圧フレーム13間
の緊張材12を緊張させ、緊張材12下側の押圧用フレ
ーム13や膨張体14を介して地盤50に押圧力を与え
ることから、受圧フレーム13配設位置に加えて各押圧
用フレーム13配設位置でも地盤50を保持でき、小型
の受圧フレーム11を用いても地盤50の保持面積を十
分確保して確実に地盤を保持でき、必要な各部材を人手
で搬入可能として従来施工が難しかった状況でも施工可
能となり、様々な工事箇所に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラウンドアンカ
ーを用いる地盤保持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】造成した法面もしくは斜面に対し、地盤
崩壊による地滑りの発生等を防ぐために、グラウンドア
ンカーで地盤を安定化する工事が従来から広く行われて
きた。従来のグラウンドアンカー設置の一般的な工法
は、鋼線等からなるアンカー引張部材を地盤中に挿入し
てその一端部を地盤中に固定する一方、アンカー引張部
材他端側を地上に露出させた状態とし、さらにコンクリ
ート製のアンカー台座を地盤表面に設置した後、前記ア
ンカー引張部材を所定の張力が得られるまで緊張した状
態でその地上露出部分をアンカー台座に一体に固定する
というものであり、アンカー引張部材の張力をアンカー
台座から地盤に伝えるようにして地盤を安定に保持する
仕組みとなっている。
【0003】しかし、従来のグラウンドアンカー設置工
事で用いたアンカー台座はコンクリート製であるため、
重量が非常に重く、大型トラックや大型クレーン等の重
機を用いなければ運搬や設置が行えず、大型重機の入り
きれない狭い工事現場では法面上方までアンカー台座を
持上げて設置することができなくなるという問題を有し
ていた。
【0004】こうした問題を解決するために、近年、ア
ンカー台座として、コンクリート製の代りに鋼板を箱形
に組合わせた受圧フレームが利用されるようになってい
る。その一例として、意匠登録第1058390号公報
に記載されるものがあり、これを図7及び図8に示す。
図7は従来の受圧フレームの平面図、図8は従来の受圧
フレームの横断面図である。
【0005】前記各図に示す従来の受圧フレーム100
は、貫通状態の中心孔101aを有する略箱状体のコア
部101と、このコア部101同様中空の略箱状体で形
成され、コア部101に対し十字状に配置されてコア部
101と一体に固定される四つのアーム部102と、コ
ア部101及びアーム部102の地盤表面寄り側に一体
に固着される略方形状の底板103とを備える構成であ
る。
【0006】前記した構成の受圧フレーム100は、十
分な強度を有しながらコンクリート製に比べて軽量であ
り、狭い工事現場に入るような小型重機でも設置作業が
行え、設置箇所の制限が解消される。また、設置後、必
要に応じて内部の中空部分にコンクリート等の充填材を
充填してより強度や地盤保持力を増すこともできる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のグラウンドアン
カー用受圧フレームは以上のように構成されていること
から、コンクリート製のアンカー台座程ではないもの
の、重量が重く、形状も大きく分割できない上、現場で
の組立もできないために、トラックやクレーン等を用い
なければ運搬や設置が行えず、作業機械が到達できない
ような作業条件の厳しい工事現場では法面に受圧フレー
ムを設置するのが著しく困難であるという課題を有して
いた。
【0008】また、近年、こうしたグラウンドアンカー
を地盤保持力がもっと小さくて済むような法面箇所にお
ける地盤保持にも適用することが提案されており、この
場合、地盤保持力が従来より小さくなっても、受圧フレ
ームにはより軽量で搬入しやすいことが求められている
が、従来の受圧フレームでは、大きさ及び重量が必要以
上に大きく、取扱いにくい上、適用する地盤に対して過
大な強度を有しており、その分コスト高になってしま
い、現実には使用しにくいという課題を有していた。
【0009】さらに、従来のグラウンドアンカーでは、
原則として、アンカー引張部材と一体化されたアンカー
台座や受圧フレームの接地部分のみで地盤を保持してお
り、地盤によっては、単位面積当りの受圧フレームで保
持される面積の割合が小さいと地盤保持が不十分になる
場合もあることから、単純に受圧フレームの大きさを大
きくしたり、アンカー引張部材及び受圧フレームの設置
数を増やしたりして、受圧フレームで保持される面積割
合の増加を図ることが一般的に行われていたが、受圧フ
レームの大型化は作業を行いにくくし、アンカー工事全
体の能率が低下すると共に、受圧フレームの設置数増加
も、工事期間の長期化を招き、工事全体のコストを増大
させるという課題を有していた。
【0010】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、地盤を保持する部分を複数に分散させた構造
として、地盤の保持面積を十分確保しながら、各保持部
分の軽量化を可能とし、現場への搬入を容易にして設置
条件を緩和すると共に、工事全体での手間とコストの低
減も図れる地盤保持構造を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る地盤保持構
造は、地盤中に一端部を固定されているアンカー引張部
材の他端側地上露出部分に対し、一体に固定された状態
で地盤表面に設置される受圧フレームを少なくとも備
え、当該受圧フレームで地盤表面を押圧して地盤を保持
する地盤保持構造において、前記受圧フレームがアンカ
ー引張部材と一体化された状態で地盤に所定間隔で複数
配置され、前記各受圧フレームにそれぞれ端部を固定さ
れて対向する受圧フレーム間に張り渡される一又は複数
本の略線状の緊張材と、当該緊張材と接触して少なくと
も緊張材に地盤表面から離れる方向への動きを所定範囲
内に拘束された状態で各受圧フレーム間の地盤表面に一
又は複数配設され、地盤表面側に開放する所定の収納空
間を有してなる押圧用フレームと、前記押圧用フレーム
の収納空間に収納されて押圧用フレームと地盤表面との
間に配設され、所定体積まで膨張可能である所定の膨張
体とを備え、当該膨張体を膨張させ、前記押圧用フレー
ムを前記緊張材と共に地盤表面から離れる向きに所定距
離移動させて緊張材を緊張させ、緊張材に緊張力の地盤
表面側方向成分を発生させるものである。
【0012】このように本発明においては、地盤表面に
所定間隔で配設された複数の受圧フレーム間に緊張材を
張り渡し、この緊張材の中間位置に押圧用フレーム及び
膨張体を組合わせて配設し、膨張体の膨張で受圧フレー
ム間の緊張材を緊張させ、緊張材下側の押圧用フレーム
や膨張体を介して地盤に押圧力を与えることにより、受
圧フレーム配設位置に加えて各受圧フレーム間の各押圧
用フレーム配設位置でも地盤を保持できることとなり、
小型の受圧フレームを用いても地盤の保持面積を十分確
保して確実に地盤を保持でき、必要な各部材を人手で搬
入可能として従来施工が難しかった状況でも施工可能と
なり、様々な工事箇所に適用できると共に、地盤の凹ん
だ部分にも押圧用フレームで押圧力を与えて保持可能で
あり、地盤の不陸への追随性にも優れ、地盤の保持だけ
でなく地盤の崩壊を抑えるためのプレストレスも積極的
に導入できる。加えて、アンカー引張部材の張力を抑え
て受圧フレームの強度及び地盤保持力を弱めた場合で
も、また、アンカー引張部材及び受圧フレームの設置数
を低減した場合でも、受圧フレームと緊張材及び押圧用
フレームを組合わせることで十分な地盤保持が行え、経
済性に優れた地盤保持が可能となる。
【0013】また、本発明に係る地盤保持構造は必要に
応じて、前記膨張体が、可撓性を有する略袋状体の充填
用袋で形成され、前記押圧用フレームと地盤表面との間
に配設された前記充填用袋内に所定の充填材を所定の膨
張状態まで充填し、硬化させるものである。このように
本発明においては、膨張体として充填用袋が地盤表面と
押圧用フレーム間に配設され、充填用袋への充填材の充
填で受圧フレーム間の緊張材を緊張させ、押圧用フレー
ムや充填用袋を介して地盤に押圧力を与えることによ
り、充填用袋への充填量の調整で容易に緊張材の緊張状
態、すなわち押圧用フレーム位置での押圧力の調整が行
え、各受圧フレーム間各位置における地盤保持状態を最
適化できると共に、充填材を充填される柔軟な充填用袋
が地盤表面に密着して地盤の不陸に細かく対応すること
となり、押圧力を適切に地盤に伝えられ、確実に地盤を
保持できる。加えて、充填用袋への充填材の充填作業は
比較的容易であり、作業全体の能率向上とコストダウン
も図れる。
【0014】また、本発明に係る地盤保持構造は必要に
応じて、前記押圧用フレームが、一端面が開放し且つ内
部に前記収納空間を有する略箱状体で形成され、開放端
側を地盤表面側に向けて前記緊張材と地盤表面との間に
配設されるものである。このように本発明においては、
押圧用フレームとして略箱状体が緊張材と地盤表面との
間に配設され、内部の収納空間に収納した膨張体を介し
て地盤表面に緊張材の緊張力を押圧力として伝えること
により、簡略な構造で効果的に地盤を押圧でき、搬入し
やすいと共に、コストダウンが図れる。
【0015】また、本発明に係る地盤保持構造は必要に
応じて、前記押圧用フレームが、複数のリンク部材を組
合わせたリンク機構を有する略台状体で形成されると共
に、地盤表面への配設状態における各リンク部材の相対
位置関係の調整で地盤垂直方向寸法を変更可能とされて
なり、地盤垂直方向寸法を変えて緊張材の緊張状態を調
整するものである。
【0016】このように本発明においては、押圧用フレ
ームが複数のリンク部材の組合わせで地盤垂直方向寸法
を調整可能に形成され、緊張材と地盤表面との間への配
設状態で押圧用フレームの地盤垂直方向寸法を調整して
緊張材の緊張状態を変化させられることにより、緊張材
の緊張力に基づく地盤への押圧力を調整できることとな
り、膨張体の膨張状態調整と合わせて地盤の押圧状態を
最適な状態に調整できる。
【0017】また、本発明に係る地盤保持構造は必要に
応じて、前記押圧用フレームと緊張材との間における一
又は複数の所定箇所に配設され、当該所定箇所における
押圧用フレームと緊張材の相互間の圧力状態を検知する
所定の圧力検知手段と、前記押圧用フレームの所定リン
ク部材間に配設され、前記圧力検知手段で検知された押
圧用フレームと緊張材間の圧力状態に応じて押圧用フレ
ームをなす前記各リンク部材の相対位置関係を変化させ
る所定の寸法調整手段とを備えるものである。
【0018】このように本発明においては、押圧用フレ
ームと緊張材との間の圧力状態を検知する圧力検知手段
が配設されると共に、圧力検知手段の検知結果に基づい
て押圧用フレームの各リンク部材の相対位置関係を変化
させる寸法調整手段が配設され、押圧用フレームと緊張
材間の圧力変化に応じて寸法調整手段が押圧用フレーム
の各リンク部材の相対位置関係を変化させ、押圧用フレ
ームの地盤垂直方向寸法を調整することにより、押圧用
フレーム配設位置における地盤の状態が変化して緊張材
の緊張力が変化すると、これに伴って押圧用フレームの
地盤垂直方向寸法が自動調整されて緊張材の緊張状態を
所定範囲内に維持できることとなり、地盤の変化に対応
して緊張力に基づく地盤への押圧力を常に最適な状態に
人手を経ずに調整でき、保守の手間をかけずに長期にわ
たり安全に地盤を保持できる。
【0019】また、本発明に係る地盤保持構造は必要に
応じて、前記押圧用フレームと緊張材との間における一
又は複数の所定箇所に配設され、当該所定箇所における
押圧用フレームと緊張材の相互間の圧力状態を検知し、
取得した情報を外部の管理手段に送信する所定の圧力検
知手段と、前記押圧用フレームの所定リンク部材間に配
設され、前記管理手段からの遠隔操作に基づいて押圧用
フレームをなす前記各リンク部材の相対位置関係を変化
させる所定の寸法調整手段とを備えるものである。
【0020】このように本発明においては、押圧用フレ
ームと緊張材との間の圧力状態を検知して外部の管理手
段に送信する圧力検知手段が配設されると共に、管理手
段からの遠隔操作に基づいて押圧用フレームの各リンク
部材の相対位置関係を変化させる寸法調整手段が配設さ
れ、押圧用フレームと緊張材間の圧力変化に応じて寸法
調整手段が押圧用フレームの各リンク部材の相対位置関
係を変化させ、押圧用フレームの地盤垂直方向寸法を調
整することにより、押圧用フレーム配設位置における地
盤の状態が変化して緊張材の緊張力が変化すると、これ
に伴って押圧用フレームの地盤垂直方向寸法が自動調整
されて緊張材の緊張状態を所定範囲内に維持できること
となり、地盤の変化に対応して緊張力に基づく地盤への
押圧力を常に最適な状態に人手を経ずに調整でき、保守
の手間をかけずに長期にわたり安全に地盤を保持でき
る。
【0021】また、本発明に係る地盤保持構造は必要に
応じて、前記押圧用フレームの配置位置を各受圧フレー
ム間に張り渡される複数の緊張材が交差する地点とする
ものである。このように本発明においては、押圧用フレ
ームを複数の緊張材の交差する位置に配設し、各膨張体
を膨張させて複数の緊張材をまとめて緊張させることに
より、押圧用フレームに複数の緊張材の緊張力に基づく
地盤側への大きな力を発生させられることとなり、押圧
用フレームから膨張体を介して強い押圧力を地盤に与え
られ、確実に地盤を押圧保持できる。
【0022】また、本発明に係る地盤保持構造は必要に
応じて、前記受圧フレームが、所定の多角形平面形状の
略箱状体で形成され、地盤表面への設置後に内部へ所定
の充填材を充填され、且つ当該充填材を硬化させられる
ものである。このように本発明においては、受圧フレー
ムが略箱状体とされ、地盤表面への設置後に受圧フレー
ム内部へ充填材を充填して、受圧フレームの重量及び強
度を高めることにより、緊張材端部を固定する受圧フレ
ームの強度を高めて緊張材により大きな緊張力を発生さ
せることができ、地盤への押圧力をさらに高めて地盤保
持の信頼性を高められる。
【0023】
【発明の実施の形態】(本発明の第1の実施形態)以
下、本発明の第1の実施形態を図1ないし図3に基づい
て説明する。図1は本実施形態に係る地盤保持構造の平
面図及び要部側面図、図2は本実施形態に係る地盤保持
構造における受圧フレーム及び押圧用フレームの斜視
図、図3は本実施形態に係る地盤保持構造におけるワイ
ヤ緊張前状態及びワイヤ緊張状態説明図である。
【0024】前記各図において本実施形態に係る地盤保
持構造は、地盤50に固定されているアンカー引張部材
10の地上露出部分と一体に固定された状態で地盤50
表面に所定間隔で複数配設される略箱状体の受圧フレー
ム11と、この各受圧フレーム11にそれぞれ端部を固
定されて受圧フレーム11間に複数本張り渡される緊張
材としてのワイヤ12と、これらワイヤ12と接触して
各ワイヤ12に地盤50表面から離れる方向への動きを
所定範囲内に拘束された状態で各受圧フレーム11間の
地盤50表面に複数配設され、地盤50表面側に開放す
る所定の収納空間を有してなる押圧用フレーム13と、
この押圧用フレーム13と地盤50表面との間に配設さ
れる膨張体としての充填用袋14とを備える構成であ
る。
【0025】前記受圧フレーム11は、平面形状が略六
角形となる中空の鋼板製略箱状体で形成され、この略箱
状体の内部には所定の筒体がその両端を略箱状体上下面
にそれぞれ固定されて配設されると共に、略箱状体上下
面に筒体内部に連通する貫通孔がそれぞれ穿設されてな
り、この上下の貫通孔及び筒体内部をアンカー引張部材
10の一部が通る中心孔11aとされてなる構成である
(図2(A)参照)。
【0026】この受圧フレーム11は、一端部を地盤5
0中に固定されると共に他端側を地上に露出させて配設
されているアンカー引張部材10に対し、アンカー引張
部材10の他端側地上露出部分を中心孔11aに通した
状態として地盤50表面に配設され、内部に所定の充填
材を充填・硬化させた後、中心孔11aを通ったアンカ
ー引張部材10の他端部と一体化されて地盤50表面に
固定される仕組みである。なお、受圧フレーム11は充
填材を充填する以前の状態では人手で持運びが可能な軽
量構造とされ、現場への搬入も容易に行えて作業性に優
れる。
【0027】前記ワイヤ12は、所定の引張強度を有す
る鋼線であり、両端部を対向する受圧フレーム11の側
面にそれぞれ固定され、受圧フレーム11間に所定の緊
張状態で張り渡される構成である。このワイヤ12端部
の受圧フレーム11側面における固定位置は、受圧フレ
ーム11間に張り渡されるワイヤ12の数やワイヤ12
に加わる荷重(緊張力)に応じて変更可能となってい
る。そして、ワイヤ12端部の固定方法は、ボルト止め
やくさび挿入、溶接等で受圧フレーム11側面に固定さ
れる他、受圧フレーム11内で硬化する充填材との一体
化によっても固定される。
【0028】前記押圧用フレーム13は、一端面が開放
し且つ内部に前記収納空間を有する鋼板製略箱状体で形
成され、開放端側を地盤表面側に向けてワイヤ12の中
間位置と地盤50表面との間に配設される構成である。
押圧用フレーム13の上部には、ワイヤ12を係合させ
るワイヤ保持溝13aが複数条形成され、押圧用フレー
ム13をワイヤ12と地盤50表面との間から外れない
ように拘束できる仕組みである(図2(B)参照)。
【0029】前記充填用袋14は、所定の充填材を充填
される中空袋状体で形成され、押圧用フレーム13内の
収納空間に収納されて押圧用フレーム13と地盤50表
面との間に配設され、内部に充填材を所定量充填されて
所定の膨張状態まで膨張し、最終的に硬化して膨張状態
を維持する構成である。この充填用袋14が膨張する
と、押圧用フレーム13をワイヤ12と共に地盤50表
面から離れる向きに移動させてワイヤ12を緊張させ、
ワイヤ12に緊張力の地盤表面側方向成分を発生させる
仕組みである。
【0030】次に、前記構成に基づく地盤保持構造の設
置及び設置後の荷重伝達状態について説明する。まず、
受圧フレーム11、ワイヤ12、押圧用フレーム13、
及び充填用袋14を、それぞれ別々に現場に搬入する。
そして、あらかじめ充填用袋14を押圧用フレーム13
の収納空間に収納し、押圧用フレーム13と一体化して
おく。この後、受圧フレーム11を、アンカー引張部材
10の地上露出部分が受圧フレーム11の中心孔11a
に通る状態として、アンカー引張部材10打設箇所にそ
れぞれ載置する。
【0031】また、押圧用フレーム13を地盤表面にお
ける各受圧フレーム11間の所定位置に載置し、この押
圧用フレーム13上のワイヤ保持溝13aにワイヤ12
中間位置を係合させた状態でワイヤ12の両端部を受圧
フレーム11各側面に固定する。この後、所定の充填材
充填で受圧フレーム11内部を埋めた後、受圧フレーム
11をアンカー引張部材10と定着させて受圧フレーム
11を地盤50に固定する。
【0032】さらに、受圧フレーム11内部が硬化した
後、充填用袋14に所定の充填材を充填して膨張させ、
押圧用フレーム13と地盤50との間隙を調整し、ワイ
ヤ12における緊張力を増大させ、ワイヤ12の緊張力
の地盤表面側方向成分を押圧用フレーム13及び充填用
袋14から押圧力として地盤50へ伝達可能とすれば、
地盤50への設置完了となる(図3(B)参照)。
【0033】続いて、この本実施の形態に係る地盤保持
構造における荷重伝達状態について説明する。地盤50
表面への定着状態で、アンカー引張部材10に一体に固
定されている受圧フレーム11において、アンカー引張
部材10の緊張力が、受圧フレーム11上面を経て地盤
表面側に向う力として伝達され、最終的に受圧フレーム
11の下面から地盤50へ押圧力として加わり、地盤5
0を保持可能となる。
【0034】また、ワイヤ12に生じている緊張力のう
ち、地盤表面側方向成分が、ワイヤ12の地盤寄りに配
置されている押圧用フレーム13に地盤表面側に向う力
として伝わる。こうして押圧用フレーム13に伝わった
地盤表面側に向う力が、膨張状態の充填用袋14に伝わ
り、さらに充填用袋14の下面から地盤50表面に押圧
力として加わり、こうして地盤50表面を押圧して地盤
50を保持する。
【0035】このように、本実施の形態に係る地盤保持
構造においては、地盤50表面に所定間隔で配設された
複数の受圧フレーム11間にワイヤ12を張り渡し、こ
のワイヤ12の中間位置に略箱状の押圧用フレーム13
及び充填用袋14を配設し、充填材の充填による充填用
袋14の膨張で受圧フレーム11間のワイヤ12を緊張
させ、ワイヤ12下側の押圧用フレーム13や充填用袋
14を介して地盤50に押圧力を与えられることから、
受圧フレーム11配設位置に加えて各押圧用フレーム1
3配設位置でも地盤50を保持できることとなり、小型
の受圧フレーム11を用いても地盤50の保持面積を十
分確保して確実に地盤50を保持でき、必要な各部材を
人手で搬入可能な大きさとして従来施工が難しかった状
況でも施工可能となり、様々な工事箇所に適用できると
共に、地盤50の凹んだ部分にもワイヤ12、押圧用フ
レーム13及び充填用袋14で押圧力を与えて保持可能
であり、地盤50の不陸への追随性にも優れ、地盤50
の保持だけでなく地盤50の崩壊を抑えるためのプレス
トレスも積極的に導入できる。また、充填用袋14への
充填材充填量の調整で容易に押圧用フレーム13位置で
の押圧力調整が行え、各受圧フレーム11間の各位置に
おける地盤保持状態を最適化できると共に、可撓性材料
製の充填用袋14が充填材の充填で地盤50表面に密着
して地盤50の細かい不陸にも対応することとなり、押
圧力を適切に地盤50に伝えられる。
【0036】なお、前記第1の実施形態に係る地盤保持
構造においては、各受圧フレーム11間に押圧用フレー
ム13を一つ配設する構成としているが、これに限ら
ず、各受圧フレーム11間の複数箇所に押圧用フレーム
13をそれぞれ配設する構成とすることもでき、各受圧
フレーム11間の地盤50を複数箇所で押圧して保持で
きる。
【0037】(本発明の第2の実施形態)本発明の第2
の実施形態を図4ないし図6に基づいて説明する。図4
は本実施形態に係る地盤保持構造の平面図、図5は本実
施形態に係る地盤保持構造における押圧用フレームの平
面図及び側面図、図6は本実施形態に係る地盤保持構造
における地盤変化によるワイヤ弛緩状態及びワイヤ再緊
張状態説明図である。
【0038】前記各図において本実施形態に係る地盤保
持構造は、前記第1の実施形態同様、受圧フレーム21
と、ワイヤ22と、押圧用フレーム23と、充填用袋2
4とを備える一方、異なる点として、押圧用フレーム2
3が、複数のリンク部材を組合わせたリンク機構を有す
る略台状体で形成され、各リンク部材の相対位置関係の
調整で地盤垂直方向寸法を変更可能とされて受圧フレー
ム21間のワイヤ22が複数本交差する位置に配置され
てなり、さらに、押圧用フレーム23と各ワイヤ22と
の間に配設されて押圧用フレーム23とワイヤ22の相
互間の圧力状態を検知する圧力検知手段(図示を省略)
と、この圧力検知手段で検知された押圧用フレーム23
とワイヤ22間の圧力状態に応じて押圧用フレーム23
をなす各リンク部材の相対位置関係を変化させる寸法調
整手段25とを備える構成を有するものである。
【0039】前記受圧フレーム21は、前記第1の実施
形態と同様、平面形状が略六角形となる中空の鋼板製略
箱状体で形成され、この略箱状体の中心に中心孔(図示
を省略)を備える構成である。受圧フレーム21の地盤
表面への配設パターンは、前記第1の実施形態と異な
り、受圧フレーム21がない位置でワイヤ22の交差部
分が生じる配置となっている。
【0040】前記ワイヤ22は、前記第1の実施形態と
同様の鋼線であり、両端部を対向する受圧フレーム21
の側面にそれぞれ固定されて受圧フレーム21間に張り
渡される構成である。ただし、受圧フレーム21間に張
り渡されるワイヤ22は、受圧フレーム21の配設パタ
ーン変更に伴い、各受圧フレーム21間の地盤表面上で
複数本交差した状態となる。
【0041】前記押圧用フレーム23は、複数のリンク
部材の組合わせで略パンタグラフ状のリンク機構をな
し、且つ地盤表面側に充填用袋24の収納部分を有する
略台状体として形成され、受圧フレーム21間の複数ワ
イヤ22が交差する箇所で各ワイヤ22と地盤50表面
との間に配置され、各リンク部材の相対位置関係の調整
で地盤垂直方向寸法を変更可能とされてなる構成であ
る。押圧用フレーム23の上部には、ワイヤ22を係合
させるワイヤ保持部23aが複数形成され、押圧用フレ
ーム23をワイヤ22と地盤50表面との間から外れな
いように拘束できる仕組みである。また、このワイヤ保
持部23aにおける各ワイヤ22との接触位置には、押
圧用フレーム23とワイヤ22の相互間の圧力状態を検
知する前記圧力検知手段が配設される。
【0042】前記充填用袋24は、前記第1の実施形態
同様、所定の充填材を充填される中空袋状体で形成さ
れ、押圧用フレーム23と地盤50表面との間に配設さ
れ、内部に充填材を所定量充填されて所定の膨張状態ま
で膨張し、最終的に硬化して膨張状態を維持する構成で
ある。この充填用袋24の充填量を調整して、押圧用フ
レーム23の地盤50への設置状態における押圧用フレ
ーム23と地盤50表面との間隔を適宜設定できる仕組
みである。
【0043】前記寸法調整手段25は、押圧用フレーム
23の所定のリンク部材間に配設され、前記圧力検知手
段から出力された押圧用フレーム23とワイヤ22間の
圧力状態についての情報を受け、この圧力状態の変化に
応じて押圧用フレーム23をなす前記各リンク部材の相
対位置関係を変化させ、押圧用フレーム23の地盤垂直
方向寸法を自動的に調整する構成である。
【0044】次に、前記構成に基づく地盤保持構造の設
置及び設置後の荷重伝達状態について説明する。まず、
受圧フレーム21、ワイヤ22、押圧用フレーム23、
及び充填用袋24を、それぞれ別々に現場に搬入する。
そして、あらかじめ充填用袋24を押圧用フレーム23
の収納空間に収納し、押圧用フレーム23と一体化して
おく。この後、受圧フレーム21を、アンカー引張部材
10の地上露出部分が受圧フレーム21の中心孔に通る
状態として、アンカー引張部材10打設箇所にそれぞれ
載置する。
【0045】また、押圧用フレーム23を地盤表面にお
ける各受圧フレーム21間の各ワイヤ22が交差する所
定位置に載置し、この押圧用フレーム23上のワイヤ保
持部23aに各ワイヤ22をそれぞれ係合させた状態で
ワイヤ22の両端部を受圧フレーム21各側面に固定す
る。この後、所定の充填材充填で受圧フレーム21内部
を埋めた後、受圧フレーム21をアンカー引張部材10
と定着させて受圧フレーム21を地盤50に固定する。
【0046】さらに、受圧フレーム21内部が硬化した
後、充填用袋24に所定の充填材を充填して膨張させ、
地盤の不陸状態に合わせて膨張状態を調整し、地盤50
に対し適切な接地状態とすると共に、押圧用フレーム2
3と地盤50との間隙を調整し、ワイヤ22における緊
張力を増大させ、ワイヤ22の緊張力の地盤表面側方向
成分を押圧用フレーム23及び充填用袋24から押圧力
として地盤50へ伝達できる状態とすれば、地盤50へ
の設置完了となる。
【0047】続いて、この本実施の形態に係る地盤保持
構造における荷重伝達状態について説明する。地盤50
表面への定着状態で、アンカー引張部材10に一体に固
定されている受圧フレーム21において、アンカー引張
部材10の緊張力が、受圧フレーム21上面を経て地盤
表面側に向う力として伝達され、最終的に受圧フレーム
21の下面から地盤50へ押圧力として加わり、地盤5
0を保持可能となる。
【0048】また、ワイヤ22に生じている緊張力のう
ち、地盤表面側方向成分が、ワイヤ22の地盤寄りに配
置されている押圧用フレーム23に地盤表面側に向う力
として伝わる。こうして押圧用フレーム23に伝わった
地盤表面側に向う力が、膨張状態の充填用袋24に伝わ
り、さらに充填用袋24の下面から地盤50表面に押圧
力として加わり、地盤50を保持する。
【0049】地盤に生じた変化で、ワイヤ22に生じて
いる緊張力が変化すると(図6(A)参照)、ワイヤ2
2と押圧用フレーム23との間の圧力変化をワイヤ保持
部23aの圧力検知手段(図示を省略)が検知し、圧力
変化の情報を寸法調整手段25に出力する。寸法調整手
段25は圧力変化に応じて押圧用フレーム23の各リン
ク部材の相対位置関係を変化させ、押圧用フレーム23
の地盤垂直方向寸法を自動的に調整し、ワイヤ22の緊
張力をあらかじめ設定された範囲内に維持する(図6
(B)参照)こととなり、地盤50の変化に確実に対応
できる。
【0050】このように、本実施の形態に係る地盤保持
構造においては、押圧用フレーム23が複数のリンク部
材の組合わせで地盤垂直方向寸法を調整可能に形成され
ると共に、押圧用フレーム23とワイヤ22との間の圧
力状態を検知する圧力検知手段が配設され、さらにこの
圧力検知手段の検知結果に基づいて押圧用フレーム23
の各リンク部材の相対位置関係を変化させる寸法調整手
段25が配設され、押圧用フレーム23とワイヤ22間
の圧力変化に応じて寸法調整手段25が押圧用フレーム
23の各リンク部材の相対位置関係を変化させ、押圧用
フレーム23の地盤垂直方向寸法を調整してワイヤ22
の緊張状態を変化させられることから、押圧用フレーム
23配設位置における地盤50の状態が変化してワイヤ
22の緊張力が変化すると、これに伴って押圧用フレー
ム23の地盤垂直方向寸法が自動調整されてワイヤ22
の緊張状態を所定範囲内に維持できることとなり、地盤
50の変化に対応してワイヤ22の緊張力に基づく地盤
50への押圧力を常に最適な状態に人手を経ずに調整で
き、保守の手間をかけずに長期にわたり安全に地盤50
を保持できる。また、押圧用フレーム23を複数のワイ
ヤ22の交差する位置に配設し、各充填用袋24を膨張
させて複数のワイヤ22をまとめて緊張させることか
ら、押圧用フレーム23に複数のワイヤ22の緊張力に
基づく地盤50側への大きな力を発生させられることと
なり、押圧用フレーム23から充填用袋24を介して強
い押圧力を地盤50に与えられ、確実に地盤50を押圧
保持できる。
【0051】なお、前記第2の実施形態に係る地盤保持
構造においては、圧力検知手段で得られた押圧用フレー
ム23とワイヤ22との間の圧力状態に関する情報は直
接寸法調整手段25に出力され、寸法調整手段が得られ
た情報に基づいて押圧用フレーム23の各リンク部材の
相対位置関係を変化させる構成としているが、これに限
らず、圧力検知手段が、押圧用フレーム23とワイヤ2
2との間の圧力状態を検知して外部の管理手段に送信す
ると共に、寸法調整手段25が、管理手段からの遠隔操
作に基づいて押圧用フレーム23の各リンク部材の相対
位置関係を変化させ、押圧用フレーム23の地盤垂直方
向寸法を調整する構成とすることもでき、前記第2の実
施形態同様、地盤の状態変化で緊張材の緊張力が変化し
ても、押圧用フレームの地盤垂直方向寸法が自動調整さ
れて緊張材の緊張状態を所定範囲内に維持できることと
なり、緊張力に基づく地盤への押圧力を常に最適な状態
に人手を経ずに調整でき、保守の手間をかけずに長期に
わたり安全に地盤を保持できる。
【0052】また、前記第1及び第2の各実施の形態に
係る地盤保持構造においては、受圧フレーム11、21
の平面形状を六角形とする構成としているが、これに限
らず、四角形や三角形など他の多角形形状、あるいは円
形など、所定長さ連続する平面又は曲面部分が外側面に
位置してワイヤ12、22端部を固定可能となる形状の
部材を用いる構成とすることもでき、地盤50への配設
パターンに応じた適切な形状を選択できる。また、ワイ
ヤ12、22の配置も前記構成に限らず、受圧フレーム
11、21の一又は複数の側面のみにワイヤ12、22
端部を固定し、全ての側面にワイヤ22を固定しない構
成とすることもできる。
【0053】また、前記第1及び第2の各実施の形態に
係る地盤保持構造においては、受圧フレーム11、2
1、押圧用フレーム13などをいずれも鋼板製とする構
成としているが、これに限らず、他の金属材料を用いた
り、軽量で強度の高いFRP製、あるいはセラミック・
ガラス・コンクリート製としたりすることもできる。ワ
イヤ12、22についても、いずれも鋼線とする構成と
しているが、これに限らず、軽量で引張強度の高い炭素
繊維やアラミド繊維等の単線又は撚り線とすることもで
きる。さらに、膨張体として内部に充填材を充填される
ことで膨張する充填用袋14、24を用いているが、こ
れに限らず、水や薬剤等を作用させると所定の大きさに
膨張する素材等を用いることもできる。
【0054】また、前記第1及び第2の各実施の形態に
係る地盤保持構造において、受圧フレーム11、21
は、人手で持運び可能な程度に軽量であり、内部に充填
材を入れて硬化させた状態で所定の強度を得る構成とし
ているが、これに限らず、受圧フレーム11、21を当
初から高い強度を有する構成とすることもでき、受圧フ
レーム11、21設置後、受圧フレーム11、21内部
に充填材を入れて硬化させる(養生する)期間を省略し
てアンカー引張部材10と一体化できると共に、続いて
受圧フレーム11、21間の押圧用フレーム13、23
位置での充填用袋14、24に対する充填材の充填及び
硬化の作業をすぐに行うことができ、施工期間の短縮が
図れる。
【0055】また、前記第1及び第2の各実施の形態に
係る地盤保持構造においては、各受圧フレーム11、2
1間に独立したワイヤ12、22を配設し、両端を各受
圧フレーム11、21に固定する構成としているが、一
本のワイヤ12、22が受圧フレーム11、21を貫通
して二つ以上の受圧フレーム11、21間にわたって張
り渡される構成とすることもできる。
【0056】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、地盤表面
に所定間隔で配設された複数の受圧フレーム間に緊張材
を張り渡し、この緊張材の中間位置に押圧用フレーム及
び膨張体を組合わせて配設し、膨張体の膨張で受圧フレ
ーム間の緊張材を緊張させ、緊張材下側の押圧用フレー
ムや膨張体を介して地盤に押圧力を与えることにより、
受圧フレーム配設位置に加えて各受圧フレーム間の各押
圧用フレーム配設位置でも地盤を保持できることとな
り、小型の受圧フレームを用いても地盤の保持面積を十
分確保して確実に地盤を保持でき、必要な各部材を人手
で搬入可能として従来施工が難しかった状況でも施工可
能となり、様々な工事箇所に適用できると共に、地盤の
凹んだ部分にも押圧用フレームで押圧力を与えて保持可
能であり、地盤の不陸への追随性にも優れ、地盤の保持
だけでなく地盤の崩壊を抑えるためのプレストレスも積
極的に導入できるという効果を奏する。加えて、アンカ
ー引張部材の張力を抑えて受圧フレームの強度及び地盤
保持力を弱めた場合でも、また、アンカー引張部材及び
受圧フレームの設置数を低減した場合でも、受圧フレー
ムと緊張材及び押圧用フレームを組合わせることで十分
な地盤保持が行え、経済性に優れた地盤保持が可能とな
る。
【0057】また、本発明によれば、膨張体として充填
用袋が地盤表面と押圧用フレーム間に配設され、充填用
袋への充填材の充填で受圧フレーム間の緊張材を緊張さ
せ、押圧用フレームや充填用袋を介して地盤に押圧力を
与えることにより、充填用袋への充填量の調整で容易に
緊張材の緊張状態、すなわち押圧用フレーム位置での押
圧力の調整が行え、各受圧フレーム間各位置における地
盤保持状態を最適化できると共に、充填材を充填される
柔軟な充填用袋が地盤表面に密着して地盤の不陸に細か
く対応することとなり、押圧力を適切に地盤に伝えら
れ、確実に地盤を保持できるという効果を有する。加え
て、充填用袋への充填材の充填作業は比較的容易であ
り、作業全体の能率向上とコストダウンも図れるという
効果を有する。
【0058】また、本発明によれば、押圧用フレームと
して略箱状体が緊張材と地盤表面との間に配設され、内
部の収納空間に収納した膨張体を介して地盤表面に緊張
材の緊張力を押圧力として伝えることにより、簡略な構
造で効果的に地盤を押圧でき、搬入しやすいと共に、コ
ストダウンが図れるという効果を有する。また、本発明
によれば、押圧用フレームが複数のリンク部材の組合わ
せで地盤垂直方向寸法を調整可能に形成され、緊張材と
地盤表面との間への配設状態で押圧用フレームの地盤垂
直方向寸法を調整して緊張材の緊張状態を変化させられ
ることにより、緊張材の緊張力に基づく地盤への押圧力
を調整できることとなり、膨張体の膨張状態調整と合わ
せて地盤の押圧状態を最適な状態に調整できるという効
果を有する。
【0059】また、本発明によれば、押圧用フレームと
緊張材との間の圧力状態を検知する圧力検知手段が配設
されると共に、圧力検知手段の検知結果に基づいて押圧
用フレームの各リンク部材の相対位置関係を変化させる
寸法調整手段が配設され、押圧用フレームと緊張材間の
圧力変化に応じて寸法調整手段が押圧用フレームの各リ
ンク部材の相対位置関係を変化させ、押圧用フレームの
地盤垂直方向寸法を調整することにより、押圧用フレー
ム配設位置における地盤の状態が変化して緊張材の緊張
力が変化すると、これに伴って押圧用フレームの地盤垂
直方向寸法が自動調整されて緊張材の緊張状態を所定範
囲内に維持できることとなり、地盤の変化に対応して緊
張力に基づく地盤への押圧力を常に最適な状態に人手を
経ずに調整でき、保守の手間をかけずに長期にわたり安
全に地盤を保持できるという効果を有する。
【0060】また、本発明によれば、押圧用フレームと
緊張材との間の圧力状態を検知して外部の管理手段に送
信する圧力検知手段が配設されると共に、管理手段から
の遠隔操作に基づいて押圧用フレームの各リンク部材の
相対位置関係を変化させる寸法調整手段が配設され、押
圧用フレームと緊張材間の圧力変化に応じて寸法調整手
段が押圧用フレームの各リンク部材の相対位置関係を変
化させ、押圧用フレームの地盤垂直方向寸法を調整する
ことにより、押圧用フレーム配設位置における地盤の状
態が変化して緊張材の緊張力が変化すると、これに伴っ
て押圧用フレームの地盤垂直方向寸法が自動調整されて
緊張材の緊張状態を所定範囲内に維持できることとな
り、地盤の変化に対応して緊張力に基づく地盤への押圧
力を常に最適な状態に人手を経ずに調整でき、保守の手
間をかけずに長期にわたり安全に地盤を保持できるとい
う効果を有する。
【0061】また、本発明によれば、押圧用フレームを
複数の緊張材の交差する位置に配設し、各膨張体を膨張
させて複数の緊張材をまとめて緊張させることにより、
押圧用フレームに複数の緊張材の緊張力に基づく地盤側
への大きな力を発生させられることとなり、押圧用フレ
ームから膨張体を介して強い押圧力を地盤に与えられ、
確実に地盤を押圧保持できるという効果を有する。
【0062】また、本発明によれば、受圧フレームが略
箱状体とされ、地盤表面への設置後に受圧フレーム内部
へ充填材を充填して、受圧フレームの重量及び強度を高
めることにより、緊張材端部を固定する受圧フレームの
強度を高めて緊張材により大きな緊張力を発生させるこ
とができ、地盤への押圧力をさらに高めて地盤保持の信
頼性を高められるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る地盤保持構造の
平面図及び要部側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る地盤保持構造に
おける受圧フレーム及び押圧用フレームの斜視図であ
る。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る地盤保持構造に
おけるワイヤ緊張前状態及びワイヤ緊張状態説明図であ
る。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る地盤保持構造の
平面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る地盤保持構造に
おける押圧用フレームの平面図及び側面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る地盤保持構造に
おける地盤変化によるワイヤ弛緩状態及びワイヤ再緊張
状態説明図である。
【図7】従来の受圧フレームの平面図である。
【図8】従来の受圧フレームの横断面図である。
【符号の説明】
10 アンカー引張部材 11、21 受圧フレーム 11a、101a 中心孔 12、22 ワイヤ 13、23 押圧用フレーム 13a ワイヤ保持溝 14、24 充填用袋 23a ワイヤ保持部 25 寸法調整手段 50 地盤 101 コア部 102 アーム部 103 底板

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤中に一端部を固定されているアンカ
    ー引張部材の他端側地上露出部分に対し、一体に固定さ
    れた状態で地盤表面に設置される受圧フレームを少なく
    とも備え、当該受圧フレームで地盤表面を押圧して地盤
    を保持する地盤保持構造において、 前記受圧フレームがアンカー引張部材と一体化された状
    態で地盤に所定間隔で複数配置され、 前記各受圧フレームにそれぞれ端部を固定されて対向す
    る受圧フレーム間に張り渡される一又は複数本の略線状
    の緊張材と、 当該緊張材と接触して少なくとも緊張材に地盤表面から
    離れる方向への動きを所定範囲内に拘束された状態で各
    受圧フレーム間の地盤表面に一又は複数配設され、地盤
    表面側に開放する所定の収納空間を有してなる押圧用フ
    レームと、 前記押圧用フレームの収納空間に収納されて押圧用フレ
    ームと地盤表面との間に配設され、所定体積まで膨張可
    能である所定の膨張体とを備え、 当該膨張体を膨張させ、前記押圧用フレームを前記緊張
    材と共に地盤表面から離れる向きに所定距離移動させて
    緊張材を緊張させ、緊張材に緊張力の地盤表面側方向成
    分を発生させることを特徴とする地盤保持構造。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載の地盤保持構造にお
    いて、 前記膨張体が、可撓性を有する略袋状体の充填用袋で形
    成され、 前記押圧用フレームと地盤表面との間に配設された前記
    充填用袋内に所定の充填材を所定の膨張状態まで充填
    し、硬化させることを特徴とする地盤保持構造。
  3. 【請求項3】 前記請求項1又は2に記載の地盤保持構
    造において、 前記押圧用フレームが、一端面が開放し且つ内部に前記
    収納空間を有する略箱状体で形成され、開放端側を地盤
    表面側に向けて前記緊張材と地盤表面との間に配設され
    ることを特徴とする地盤保持構造。
  4. 【請求項4】 前記請求項1又は2に記載の地盤保持構
    造において、 前記押圧用フレームが、複数のリンク部材を組合わせた
    リンク機構を有する略台状体で形成されると共に、地盤
    表面への配設状態における各リンク部材の相対位置関係
    の調整で地盤垂直方向寸法を変更可能とされてなり、地
    盤垂直方向寸法を変えて緊張材の緊張状態を調整するこ
    とを特徴とする地盤保持構造。
  5. 【請求項5】 前記請求項4に記載の地盤保持構造にお
    いて、 前記押圧用フレームと緊張材との間における一又は複数
    の所定箇所に配設され、当該所定箇所における押圧用フ
    レームと緊張材の相互間の圧力状態を検知する所定の圧
    力検知手段と、 前記押圧用フレームの所定リンク部材間に配設され、前
    記圧力検知手段で検知された押圧用フレームと緊張材間
    の圧力状態に応じて押圧用フレームをなす前記各リンク
    部材の相対位置関係を変化させる所定の寸法調整手段と
    を備えることを特徴とする地盤保持構造。
  6. 【請求項6】 前記請求項4に記載の地盤保持構造にお
    いて、 前記押圧用フレームと緊張材との間における一又は複数
    の所定箇所に配設され、当該所定箇所における押圧用フ
    レームと緊張材の相互間の圧力状態を検知し、取得した
    情報を外部の管理手段に送信する所定の圧力検知手段
    と、 前記押圧用フレームの所定リンク部材間に配設され、前
    記管理手段からの遠隔操作に基づいて押圧用フレームを
    なす前記各リンク部材の相対位置関係を変化させる所定
    の寸法調整手段とを備えることを特徴とする地盤保持構
    造。
  7. 【請求項7】 前記請求項1ないし6のいずれかに記載
    の地盤保持構造において、 前記押圧用フレームの配置位置を各受圧フレーム間に張
    り渡される複数の緊張材が交差する地点とすることを特
    徴とする地盤保持構造。
  8. 【請求項8】 前記請求項1ないし7のいずれかに記載
    の地盤保持構造において、 前記受圧フレームが、所定の多角形平面形状の略箱状体
    で形成され、地盤表面への設置後に内部へ所定の充填材
    を充填され、且つ当該充填材を硬化させられることを特
    徴とする地盤保持構造。
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