JP2002137347A - 酸素吸収性包装体 - Google Patents

酸素吸収性包装体

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JP2002137347A JP2000336545A JP2000336545A JP2002137347A JP 2002137347 A JP2002137347 A JP 2002137347A JP 2000336545 A JP2000336545 A JP 2000336545A JP 2000336545 A JP2000336545 A JP 2000336545A JP 2002137347 A JP2002137347 A JP 2002137347A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の積層包装体に比して、酸素を吸収する
能力においても、また酸素の透過を防止する能力におい
ても優れており、その結果として包装内の酸素濃度を低
く抑制することが可能な酸素吸収性包装体を提供するに
ある。 【解決手段】 包装内部から包装外部に向けて、オレフ
ィン系樹脂内面層/酸素バリアー性樹脂の第一の層/酸
素吸収性樹脂層/環状オレフィン系共重合体層/酸素バ
リアー性樹脂の第二の層/オレフィン系樹脂外面層の積
層構成を有することを特徴とする酸素吸収性包装体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素吸収性包装体
に関するもので、より詳細には、特定の多層構成を有
し、包装内酸素濃度を低く抑制することが可能な酸素吸
収性包装体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来包装容器としては、金属缶、ガラス
ビン、各種プラスチック容器等が使用されているが、軽
量性や耐衝撃性、更にはコストの点からプラスチック容
器が各種の用途に使用されている。
【0003】しかしながら、金属缶やガラスビンでは容
器壁を通しての酸素透過がゼロであるのに対して、プラ
スチック容器の場合には器壁を通しての酸素透過が無視
し得ないオーダーで生じ、内容品の保存性の点で問題と
なっている。
【0004】これを防止するために、プラスチック容器
では容器壁を多層構造とし、その内の少なくとも一層と
して、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の耐酸素
透過性を有する樹脂を用いることが行われている。
【0005】容器内の酸素を除去するために、酸素吸収
剤の使用も古くから行われており、これを容器壁に適用
した例としては、特公昭62−1824号公報の発明が
あり、これによると、酸素透過性を有する樹脂に還元性
物質を主剤とする酸素吸収剤を配合して成る層と、酸素
ガス遮断性を有する層とを積層して、包装用多層構造物
とする。
【0006】特開平8−118552号公報には、20
℃及び65%RHにおける酸素透過量が厚さ20μmの
とき、20cc/m・24h・atmであるガスバリ
アー性樹脂に、脱酸素剤を配合した樹脂組成物でガスバ
リアー性樹脂層を形成し、該ガスバリアー性樹脂層の両
側に耐湿性熱可塑性樹脂からなる保護層を設け、該ガス
バリアー性樹脂層と該保護層とは溶融接着しない層構成
としたことを特徴とするガスバリアー性積層材が記載さ
れている。
【0007】特開平8−197692号公報には、2層
以上のガスバリアー層と、接着層、中間層、及び保護層
の各層が1層以上からなる積層材において、該接着層、
中間層、及び保護層の少なくとも1層に、脱酸素剤及び
/または吸湿剤を含有していることを特徴とするガスバ
リアー積層材が記載されている。
【0008】特開平9−40024号公報には、容器の
少なくとも一部が、内面側から外面側に向けて、ヒート
シール性熱可塑性樹脂内層、酸素吸収剤配合熱可塑性樹
脂層、厚み10μm以上の熱可塑性樹脂クッション層、
酸素バリアー層及び耐熱性樹脂外層の積層体容器材料か
らなることを特徴とする保存性に優れた密封容器が記載
されている。
【0009】特開平9−11416号公報には、オレフ
ィン系樹脂を含有して成る内外層と、オレフィンと環状
オレフィンとの非晶質乃至低結晶性共重合体を含有して
成る中間層とを備えて成ることを特徴とする保香性多層
容器が記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】包装容器内における酸
素は、容器の内容物の保存性及び香味保持性に重要な影
響をもたらす。この包装内酸素には、包装容器内のヘッ
ドスペース等に密封初期から存在する酸素と、包装後に
包装器壁を透過して内部に侵入する酸素との2種類に分
類されるが、従来の酸素吸収性樹脂層や酸素バリアー性
樹脂層を含む積層包装材は、これらの酸素を吸収し、或
いはその透過を防止するという目的に未だ十分ではな
い。
【0011】したがって、本発明の目的は、従来の積層
包装体に比して、酸素を吸収する能力においても、また
酸素の透過を防止する能力においても優れており、その
結果として包装内の酸素濃度を低く抑制することが可能
な酸素吸収性包装体を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、包装内
部から包装外部に向けて、オレフィン系樹脂内面層/酸
素バリアー性樹脂の第一の層/酸素吸収性樹脂層/環状
オレフィン系共重合体層/酸素バリアー性樹脂の第二の
層/オレフィン系樹脂外面層の積層構成を有することを
特徴とする酸素吸収性包装体が提供される。
【0013】本発明の包装体においては、オレフィン系
樹脂内面層が30乃至200μmの厚み、酸素バリアー
性樹脂の第一の層が2乃至100μmの厚み、酸素吸収
性樹脂層が5乃至300μmの厚み、環状オレフィン系
共重合体層が2乃至100μmの厚み、酸素バリアー性
樹脂の第二の層が2乃至100μmの厚み、オレフィン
系樹脂外面層が5乃至2500μmの厚みをそれぞれ有
することが好ましい。酸素バリアー性樹脂は、それ自体
公知の任意の樹脂材料からなってよい。また、酸素吸収
性樹脂層としては、酸化性樹脂と遷移金属系触媒との樹
脂組成物や、熱可塑性樹脂と酸素吸収剤との樹脂組成物
が好適に使用される。本発明の包装体は、チューブ容器
やブロー成形容器の形態にあることが好ましいが、勿論
この形態のものに限定されない。
【0014】
【発明の実施形態】[包装体の多層構造及び作用]本発
明の酸素吸収性包装体の一例を示す図1において、この
酸素吸収性包装体1は、包装内部から包装外部に向け
て、オレフィン系樹脂内面層2/酸素バリアー性樹脂の
第一の層3/酸素吸収性樹脂層4/環状オレフィン系共
重合体層5/酸素バリアー性樹脂の第二の層6/オレフ
ィン系樹脂外面層7の積層構成を有している。
【0015】本発明の酸素吸収性包装体では、酸素吸収
性樹脂層4の内面側に、酸素バリアー性樹脂の第一の層
3を設け、酸素吸収性樹脂層4の外面側に環状オレフィ
ン系共重合体層5を設け、この共重合体層5の外面側に
酸素バリアー性樹脂の第二の層6を設けることが重要で
ある。
【0016】酸素バリアー性樹脂の第一の層3及び酸素
バリアー性樹脂の第二の層6は共に、器壁を通しての酸
素透過を抑制する酸素バリアーとして役立つが、酸素バ
リアー性樹脂の第一の層3は、包装内水分により、酸素
吸収性樹脂層4を活性化して、包装内酸素及び器壁を透
過して器壁内部に浸透しようとする酸素の吸収にも有効
に寄与する。即ち、酸素バリアー性樹脂は、一般に強い
水素結合を有するものであり、水分を吸収し、吸着する
傾向が大きく、水分を吸着した場合、酸素バリアー性が
低下し酸素を著しく透過しやすくなる。又本発明は、酸
素バリアー性樹脂の第一の層3が吸収乃至吸着した水分
を酸素吸収性樹脂層4の活性化に利用するものである。
【0017】また、酸素バリアー性樹脂の第二の層6と
酸素吸収性樹脂層4との間に環状オレフィン系共重合体
層5を設けることにより、包装内水分による第二の酸素
バリアー性樹脂層6の酸素バリアー低下を抑制し、第二
の酸素バリアー性樹脂層6の酸素バリアー性能を高める
ことができる。
【0018】本発明によれば、以上が総合されて、包装
内の酸素濃度を低いレベルに抑制することができる。本
発明の包装体において、オレフィン系樹脂内面層2及び
オレフィン系樹脂外面層7を用いるのは、これらが衛生
的特性に優れた樹脂であると共に、耐湿性にもある程度
優れていること、ヒートシール可能であることによるも
のである。
【0019】以上の層構成は、基本的層構成を示したも
のであり、各層間に熱接着性がない場合には、各層間に
接着剤層を設けることができるのは当然のことである。
以下、本発明の構成素材について説明する。
【0020】[オレフィン系樹脂]本発明では、積層体
の内面及び外面にオレフィン系樹脂を用いる。ポリオレ
フィンとしては、例えば低−、中−或いは高−密度のポ
リエチレン、線状低密度ポリエチレン、アイソタクティ
ックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピ
レン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン
共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチル−1−ペン
テン、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブ
テン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋
オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アク
リル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらは単独
でも、或いは2種以上のブレンド物の形でも使用するこ
とができる。
【0021】レトルト殺菌に対する耐熱性の点からは、
結晶性のプロピレン系重合体が適当であり、ホモポリプ
ロピレンや、結晶性であるという条件下に、プロピレン
を主体とするランダム共重合体やブロック共重合体が使
用される。用いるプロピレン系重合体は、0.8乃至1
2g/10minのメルトフローレート(JIS K6
758)を有していることが好ましい。
【0022】ポリオレフィン内面材及び外面材には、酸
素吸収層が着色されている場合、これを隠蔽する目的
で、白色顔料、特に二酸化チタンを配合することが望ま
しい。二酸化チタンの配合量は特に制限されないが、ポ
リオレフィン100重量部当たり5乃至25重量部の範
囲が適当である。
【0023】[酸素バリアー性樹脂]酸素バリアー性樹
脂としては、前述した酸素透過係数と吸湿性とを有し且
つ熱成形可能な熱可塑性樹脂が使用される。酸素バリア
ー性樹脂の最も適当な例としては、エチレン−ビニルア
ルコール共重合体を挙げることができ、例えば、エチレ
ン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル
%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が
96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン
化して得られる共重合体ケン化物が使用される。このエ
チレン−ビニルアルコール共重合体ケン化物は、フイル
ムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般
に、フェノール:水の重量比で85:15の混合溶媒中
30℃で測定して 0.01dl/g以上、特に0.05 dl/g以上の
粘度を有することが望ましい。
【0024】また、前記特性を有する酸素バリアー性樹
脂の他の例としては、炭素数100個当りのアミド基の
数が5乃至50個、特に6乃至20個の範囲にあるポリ
アミド類;例えばナイロン6、ナイロン6・6 、ナイロン
6/6・6 共重合体、メタキシリレンアジアミド、ナイロン
6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13
等が使用される。これらのポリアミドもフイルムを形成
するに足る分子量を有するべきであり、濃硫酸中1.0g/d
lの濃度で且つ30℃の温度で測定した相対粘度(ηre
l)が1.1以上、 特に1.5 以上であることが望ましい。
【0025】[環状オレフィン系共重合体]環状オレフ
ィン系共重合体としては、オレフィンと環状オレフィン
との非晶質乃至低結晶性共重合体(COC)が挙げられ
る。この共重合体のオレフィンとしては、エチレンが好
適であるが、他にプロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1ーヘキセン、1−オクテン、3ーメチル1−ペン
テン、1−デセン等の炭素数3乃至20のα−オレフィ
ンが、単独或いはエチレンとの組み合わせで使用され
る。
【0026】環状オレフィンとしては、基本的には、エ
チレン系不飽和結合とビシクロ環とを有する脂環族炭化
水素化合物、特にビシクロ[2、2、1]ヘプト−2−
エン骨格を有する炭化水素化合物であり、具体的には次
のものが挙げられるが、勿論これに限定されるものでは
ない。
【0027】ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
及びその誘導体;トリシクロ[4.3.0.12.5
−3−デセン及びその誘導体;トリシクロ[4.3.
0.12.5]−3−デセン及びその誘導体;トリシク
ロ[4.4.0.12.5]−3−ウンデセン及びその
誘導体;トリシクロ[4.4.0.12.5]−3−ウ
ンデセン及びその誘導体;テトラシクロ[4.4.0.
2.5 .17.10]−3−ドデセン及びその誘導
体;ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .0
2.7 .09.13]−4−ペンタデセン及びその誘
導体;ペンタシクロ[7.4.0.12.5 .1
9.12.08.13]−3−ペンタデセン及びその誘
導体;ペンタシクロ[7.4.0.12.5 .1
9.12.08.13]−3−ペンタデセン及びその誘
導体;ペンタシクロ[6.5.1.13.6 .0
2.7 .09.13]−4,10−ペンタデカジエン
及びその誘導体;ペンタシクロ[6.5.1.13.6
.02.7 .09.13]−4,10−ペンタデカジ
エン誘導体;ペンタシクロ[8.4.0.12.5
9.12.08.13]−3−ヘキサデセン及びその
誘導体;ペンタシクロ[6.6.1.13.6 .0
2.7 .09.14]−4−ヘキサデセン及びその誘
導体;ヘキサシクロ[6.6.1.13.6 .1
10.13 .02.7 .09. 14]−4−ヘプタデ
セン及びその誘導体;ヘプタシクロ[8.7.0.1
2.9 .14.7 .111.17 .03. .0
12.16 ]−5−エイコセン及びその誘導体;ヘプ
タシクロ[8.7.0.13.6 .110.17
12.15 .0 2.7 .011.16 ]−4−エ
イコセン及びその誘導体;ヘプタシクロ[8.8.0.
2.9 .14.7 .111.18 .03.
12.17 ]−5−ヘンエイコセン及びその誘導
体;ヘプタシクロ[8.8.0.14.7 .1
11.18 .113.16 .03.8 .0
12.17 ]−5−ヘンエイコセン及びその誘導体;
オクタシクロ[8.8.0.12.9 .14.7
11.18 .1 3.16 .03.8 .0
12.17 ]−5−ドコセン及びその誘導体;ノナシ
クロ[10.9.1.14.7 .113.20 .1
15.18 .0 2.10 .03.8 .012.21
.014.19 ]−5−ペンタコセン及びその誘導
体;ノナシクロ[10.10.1.15.8 .1
14.21 .116.19.02.11 .0
4.9 .013.22 .015.20 ]−6−ヘキ
サコセン及びその誘導体; 5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン 5−メチル−5−フェニル[2.2.1]ヘプト−2−
エン 5−ベンジル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン 5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン 5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン 5−(ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン 5−(β−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン 5−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン 5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン 5,6−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物 1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフ
ルオレン 1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘ
キサヒドロアントラセン 8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.1
2.5 .17.10 ]−3−ドデセン 8−メチル−8−フェニル−テトラシクロ[4.4.
0.12.5 .17.1 ]−3−ドデセン 8−ベンジル−テトラシクロ[4.4.0.1
2.5 .17.10 ]−3−ドデセン 8−トリル−テトラシクロ[4.4.0.12.5
7.10 ]−3−ドデセン 8−(エチルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.
2.5 .17.10]−3−ドデセン 8−(イソプロピルフェニル)−テトラシクロ[4.
4.0.12.5 .1 .10 ]−3−ドデセン 8,9−ジフェニル−テトラシクロ[4.4.0.1
2.5 .17.10 ]−3−ドデセン 8−(ビフェニル)テトラシクロ[4.4.0.1
2.5 .17.10 ]−3−ドデセン 8−(β−ナフチル)テトラシクロ[4.4.0.1
2.5 .17.10 ]−3−ドデセン 8−(αナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.1
2.5 .17.10 ]−3−ドデセン 8−(アントラセニル)−テトラシクロ[4.4.0.
2.5 .17.10 ]−3−ドデセン (シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物)にシク
ロペンタジエンをさらに付加した化合物 11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.5.1.1
3.6 .02.7 .0 .13 ]−4−ペンタデセ
ン 11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.6.1.1
3.6 .02.7 .0 9.14 ]−4−ヘキサデ
セン 11−フェニル−ヘキサシクロ[6.6.1.13.6
.110.13 .0 .7 .09.14 ]−4−
ヘプタデセン 14,15−ベンゾ−ヘプタシクロ[8.7.0.1
2.9 .14.7 .1 1.17 .03.8 .0
12.16 −5−エイコセン]
【0028】この共重合体(COC)は、10乃至50
モル%、特に12乃至48モル%の環状オレフィンと残
余のエチレンとから誘導され且つ5乃至200℃、特に
40乃至190℃のガラス転移点を有するのがよい。
【0029】この共重合体の分子量は、特に制限はない
が、デカリン中135℃で測定して、0.1乃至5dl
/gの極限粘度[η]を有するのがよく、また、その結
晶化度は、X線回折法で測定して、一般に10%以下、
特に5%以下である。
【0030】上記共重合体(COC)は、オレフィンと
環状オレフィンとを、それ自体公知のバナジウム系触媒
或いはメタロセン系触媒の存在下にランダム重合させる
ことにより得られる。
【0031】好適な共重合体(COC)は、三井化学株
式会社から、APELの商品名で入手しうる。
【0032】[酸素吸収性樹脂層]酸素吸収性樹脂層と
しては、酸化性樹脂と遷移金属系触媒との樹脂組成物
や、熱可塑性樹脂と鉄系酸素吸収剤との樹脂組成物が何
れも使用される。
【0033】(1)酸化性樹脂と遷移金属系触媒との樹
脂組成物:酸化性樹脂とは、遷移金属系触媒の触媒の作
用により、空気中の酸素により酸化を受ける樹脂であ
り、(i)炭素側鎖(a)を含み、且つ主鎖または側鎖
にカルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エス
テル基、カルボン酸アミド基及びカルボニル基から成る
群より選択された少なくとも1個の官能基(b)を含む
樹脂、(ii)ポリアミド樹脂、(iii) エチレン系不飽
和基含有重合体などが使用される。以下この例について
説明する。
【0034】樹脂(i):このような熱可塑性樹脂の具
体的な例として、(イ)炭素数3以上のα−オレフィン
またはポリエンから誘導された単位と、カルボン酸基、
カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン
酸アミド基及びカルボニル基から成る群より選択された
少なくとも1個の官能基を有する不飽和単量体から誘導
された単位とを備えた分岐鎖含有変性オレフィン系樹
脂、(ロ)分岐鎖を備えた脂肪族ジカルボン酸、脂肪族
ジオール、脂肪族オキシカルボン酸或いはそのラクトン
から誘導された分岐鎖含有熱可塑性ポリエステル、特に
脂肪族ポリエステル、(ハ)分岐鎖を備えた脂肪族ジカ
ルボン酸、脂肪族ジアミン、脂肪族アミノカルボン酸或
いはそのラクタムから誘導された分岐鎖含有熱可塑性ポ
リアミド、特に脂肪族ポリアミド、等が挙げられる。
【0035】樹脂の炭素−炭素主鎖において、水素原子
の引き抜きが容易に行われ、これによりラジカルの発生
しやすい位置は炭素側鎖の結合した第三級炭素原子また
はメチン基の位置と考えられる。遷移金属系触媒と樹脂
とを含有する組成物での酸素吸収は、樹脂の酸化を経由
して行われるものであり、この酸化は、遷移金属系触
媒による第三級炭素原子からの水素原子の引き抜きによ
るラジカルの発生、このラジカルへの酸素分子の付加
によるパーオキシラジカルの発生、パーオキシラジカ
ルによる水素原子の引き抜きの各素反応を通して生じる
と信じられる。ところが、常態でも樹脂の劣化を生じな
いような少量の遷移金属触媒の共存下では、上記ラジカ
ルの発生や、酸素の付加に誘導期があり、これらの素反
応が必ずしも有効に行われていないと考えられる。これ
に対して、上記熱可塑性樹脂(i)は、上記炭素側鎖
(a)に加えて、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、
カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基及びカルボ
ニル基から成る群より選択された少なくとも1個の官能
基(b)を有しており、前記誘導期の短縮に有効に役立
っていると信じられる。即ち、前記官能基(b)は何れ
も電子吸引性の基であり、前記第三級炭素原子を活性化
させといること、及び/または前記官能基(b)が遷移
金属触媒成分に対する吸着サイトとなっていることがそ
の理由であろう。
【0036】(イ)変性オレフィン系樹脂:オレフィン
系樹脂に分岐鎖を導入するのに用いられるα−オレフィ
ンとしては、炭素原子数3〜20のα- オレフィンが適
当であり、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチ
ル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテ
ン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、
1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘ
キサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコ
セン、9-メチル-1- デセン、11- メチル-1- ドデセン、
12- エチル-1- テトラデセンなどが挙げられる。
【0037】また、オレフィン系樹脂に分岐鎖を導入す
るためにポリエンも使用でき、かかるポリエンとして
は、炭素原子数4〜20のポリエン、鎖状乃至環状の共
役乃至非共役ポリエンから誘導された単位を含む樹脂が
好適に使用される。これらの単量体としては、例えばブ
タジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4-ヘキサジエ
ン、3-メチル-1,4- ヘキサジエン、4-メチル-1,4- ヘキ
サジエン、5-メチル-1,4- ヘキサジエン、4,5-ジメチル
-1,4- ヘキサジエン、7-メチル-1,6- オクタジエン等の
鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5-エ
チリデン-2- ノルボルネン、5-メチレン-2- ノルボルネ
ン、5-イソプロピリデン-2- ノルボルネン、5-ビニリデ
ン-2- ノルボルネン、6-クロロメチル-5- イソプロペニ
ル-2- ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非
共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5- ノルボルネ
ン、2-エチリデン-3- イソプロピリデン-5- ノルボルネ
ン、2-プロペニル-2,2- ノルボルナジエン等のトリエン
などが挙げられる。
【0038】これらのα−オレフィン及びポリエンは、
単独で或いは2種以上の組合せでオレフィン系樹脂の重
合に用いることもでき、またエチレン等の他のオレフィ
ンとの組合せでオレフィン系樹脂の重合に用いることが
できる。
【0039】また、オレフィン系樹脂に、カルボン酸
基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カル
ボン酸アミド基及びカルボニル基から成る群より選択さ
れた少なくとも1個の官能基(b)を導入するのに用い
られる単量体としては、上記の官能基(b)を有するエ
チレン系不飽和単量体や、一酸化炭素などである。
【0040】これらの単量体としては、不飽和カルボン
酸またはこれらの誘導体を用いるのが望ましく、具体的
には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマー
ル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル
酸等のα,β−不飽和カルボン酸、ビシクロ〔2,2,
1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽
和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水
シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等のα,β不
飽和カルボン酸無水物、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト
−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等の不飽和カ
ルボン酸の無水物、アクリル酸メチル、メタクリル酸メ
チル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フ
マール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸
ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシク
ロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボ
ン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸のエステル等を例示
することができる。これらの中でも、マレイン酸、ビシ
クロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカル
ボン酸またはこれらの無水物が好適である。
【0041】オレフィン系樹脂の変性は、炭素分岐鎖を
有するオレフィン系樹脂をベースポリマーとし、このベ
ースポリマーに不飽和カルボン酸またはその誘導体をそ
れ自体公知の手段でグラフト共重合させることにより製
造されるが、前述したα−オレフィン或いはポリエンと
不飽和カルボン酸またはその誘導体とをランダム共重合
させることによっても製造することができる。
【0042】好適な変性オレフィン系樹脂は、炭素数4
以上のα−オレフィンを構成単位とする変性オレフィン
系樹脂であり、具体的には無水マレイン酸変性ポリブテ
ン−1、無水マレイン酸変性ブテン−1・エチレン共重
合体、無水マレイン酸変性ブテン−1・プロピレン共重
合体、無水マレイン酸変性ブテン−1・プロピレン・エ
チレン共重合体等である。変性オレフィン系樹脂は、メ
ルトフローレート(MFR、JIS K6760)が
0.1乃至50g/10min、特に0.2乃至30g
/10minの範囲にあることが加工性や機械的特性の
点で好ましい。
【0043】(ロ)分岐鎖含有熱可塑性ポリエステル:
炭素分岐鎖を有する酸成分、ジオール成分、ヒドロキシ
カルボン酸成分、或いはラクトン成分から誘導された熱
可塑性ポリエステルは、何れも酸素吸収性として使用で
きる。好適な脂肪族ポリエステル樹脂として、分岐鎖含
有ヒドロキシアルカノエート単位を主体とする生分解性
の脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0044】分岐鎖含有ポリヒドロキシアルカノエート
としては、下記式(I) 式中、Rは直鎖或いは分岐鎖のアルキル基であり、nは
ゼロを含む正の整数である、で表される反復単位、例え
ば、乳酸ラクトン[R=CH、n=0、LLA]、3
−ヒドロキシブチレート[R=CH、n=1、3H
B]、3−ヒドロキシバリレート[R=CHCH
n=1、3HV]、3−ヒドロキシカプロエート[R=
(CHCH、n=1、3HC]、3−ヒドロキ
シヘプタノエート[R=(CHCH、n=1、
3HH]、3−ヒドロキシオクタノエート[R=(CH
CHn=1、3HO]、3−ヒドロキシノナノ
エート[R=(CHCH、n=1、3H
N]、3−ヒドロキシデカノエート[R=(CH
CH、n=1、3HD]、等の1種或いは2種以上
からなる重合体が挙げられる。
【0045】このポリヒドロキシアルカノエートは、ポ
リ乳酸のような単独重合体であってもよく、また3−ヒ
ドロキシブチレートと、他の3−ヒドロキシアルカノエ
ート、特に3−ヒドロキシバリレートとを共重合させた
共重合体であってもよい。
【0046】この脂肪族ポリエステル樹脂は、少なくと
もフィルムを形成し得る分子量を有するべきであり、一
般にその数平均分子量は、50000乃至25000
0、特に60000乃至200000の範囲にあるのが
よい。脂肪族ポリエステルは、ガラス転移点(Tg)が
−60℃以上、特に−30℃以上のものが好ましい。
【0047】これらの脂肪族ポリエステルの内でも、工
業的に生産されて入手が容易であり、環境にも優しい脂
肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸が挙げられる。ポリ
乳酸(PLLA)は、トウモロコシなどの穀物デンプン
を原料とする樹脂であり、デンプンの乳酸発酵物、L−
乳酸をモノマーとする重合体であり、一般にそのダイマ
ーであるラクタイドの開環重合により製造される。この
重合体は、自然界に存在する微生物により、水と炭酸ガ
スにより分解され、完全リサイクルシステム型の樹脂と
して着目されている。また、そのガラス転移点(Tg)
も約58℃とPETのそれに近いという利点を有してい
る。
【0048】(ハ)分岐鎖含有熱可塑性ポリアミド:酸
化性樹脂として使用可能なポリアミドは、このポリアミ
ドを構成する脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジアミン、脂
肪族アミノカルボン酸或いはそのラクタムの少なくとも
一部が、炭素分岐鎖を有するものである。一般にこのポ
リアミドは、分岐鎖を有する脂肪族ジアミンとジカルボ
ン酸成分とから誘導されたポリアミドであることが好ま
しい。
【0049】分岐鎖を有するジアミン成分としては、炭
素数4〜25とくに6〜18の直鎖状アルキレンジアミ
ンが適当であり、その具体例としては、1,4-ジアミノ-1
-メチルブタン、1,4-ジアミノ-2-メチルブタン、1,4-ジ
アミノ-1-エチルブタン、1,4-ジアミノ-1,2-ジメチルブ
タン、1,4-ジアミノ-1,3-ジメチルブタン、1,4-ジアミ
ノ-1,4-ジメチルブタン、1,4-ジアミノ-2,3-ジメチルブ
タン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンテン、1,2-ジアミノ-
1-ブチルエタン、1,6-ジアミノ-2-メチルヘキサン、1,6
-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、1,6-ジアミノ-2,4-
ジメチルヘキサン、1,6-ジアミノ-3,3-ジメチルヘキサ
ン、1,6-ジアミノ-2,2-ジメチルヘキサン、1,6-ジアミ
ノ-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジアミノ-2,4,4-ト
リメチルヘキサン、1,7-ジアミノ-2-メチルヘプタン、
1,7-ジアミノ-2,4-ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-2,
3-ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-2,4-ジメチルヘプ
タン、1,7-ジアミノ-2,5-ジメチルヘプタン、1,7-ジア
ミノ-2,2-ジメチルヘプタン、1,8-ジアミノ-2-メチルオ
クタン、1,8-ジアミノ-1,3-ジメチルオクタン、1,8-ジ
アミノ-1,4-ジメチルオクタン、1,8-ジアミノ-2,4-ジメ
チルオクタン、1,8-ジアミノ-3,4-ジメチルオクタン、
1,8-ジアミノ-4,5-ジメチルオクタン、1,8-ジアミノ-2,
2-ジメチルオクタン、1,8-ジアミノ-3,3-ジメチルオク
タン、1,8-ジアミノ-4,4-ジメチルオクタン、1,6-ジア
ミノ-2,4-ジエチルヘキサン、1,9-ジアミノ-5-メチルノ
ナンなどが挙げられる。
【0050】これらの分岐鎖ジアミンは、単独でも2種
以上の組合せでも使用され、更に他のジアミン成分、例
えば 1,6- ジアミノヘキサン、1,8-ジアミノオクタン、
1,10- ジアミノデカン、1,12- ジアミノドデカン等の炭
素数4〜25とくに6〜18の直鎖状アルキレンジアミ
ンや、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-
アミノシクロヘキシル)メタン、4, 4′- ジアミノ-3,
3′- ジメチルジシクロヘキシルメタン、特にビス(4-
アミノシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(アミノシク
ロヘキシル)メタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロ
ヘキサン等の脂環族ジアミン、m−キシリレンジアミン
及び/又はp−キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ジア
ミンとの組合せでも用いられる。
【0051】一方、ジカルボン酸成分としては、例えば
コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、デカンジカルボン
酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等
の炭素数4乃至15の脂肪族ジカルボン酸やテレフター
ル酸やイソフタール酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げら
れる。
【0052】このポリアミドには、アミノカルボン酸成
分が共重合されていてもよく、このアミノカルボン酸成
分としては、脂肪族アミノカルボン酸、例えばω−アミ
ノカプロン酸、ω−アミノオクタン酸、ω−アミノウン
デカン酸、ω−アミノドデカン酸や、例えばパラ−アミ
ノメチル安息香酸、パラ−アミノフェニル酢酸等の芳香
脂肪族アミノカルボン酸等を挙げることができる。
【0053】これらのポリアミド樹脂も、容器の機械的
特性及び加工の容易さから、98%硫酸中、1.0 g/dlの
濃度及び20℃の温度で測定した相対粘度(ηrel )が
1.3乃至4.2、特に1.5乃至3.8の範囲内にあ
ることが望ましい。
【0054】(ii)ポリアミド樹脂:ポリアミド樹脂、
特にキシリレンジアミンを主体とするジアミン成分とジ
カルボン酸成分とから誘導されたポリアミドが、遷移金
属触媒との組合せで酸化性を有することが知られてお
り、本発明の目的にも、勿論使用することができる。遷
移金属系触媒によるポリアミド樹脂のメチレン鎖(特に
アリーレン基に隣接するメチレン鎖)からの水素原子の
引き抜きによるラジカルが発生し、前述したのと同様の
反応機構で酸化が進行する。
【0055】ポリアミド樹脂としては、キシリレン基含
有ポリアミドが好ましく、具体的には、ポリメタキシリ
レンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリ
メタキシリレンスベラミド、ポリパラキシリレンピメラ
ミド、ポリメタキシリレンアゼラミド等の単独重合体、
及びメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合
体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合
体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合
体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合
体等の共重合体、或いはこれらの単独重合体または共重
合体の成分とヘキサメチレンジアミンの如き脂肪族ジア
ミン、ピペラジンの如き脂環式ジアミン、パラ−ビス
(2アミノエチル)ベンゼンの如き芳香族ジアミン、テ
レフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラク
タムの如きラクタム、7−アミノヘプタン酸の如きω−
アミノカルボン酸、パラ−アミノメチル安息香酸の如き
芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体が挙げ
られるが、m−キシリレンジアミン及び/又はp−キシ
リレンジアミンを主成分とするジアミン成分と、脂肪族
ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸とから得ら
れるポリアミドが特に好適に用いることができる。これ
らのキシリレン基含有ポリアミドでは、ベンゼン環の隣
接メチレン鎖の部分にラジカルの生成と酸素の吸収(パ
ーオキサイドの生成)が効率よく起きるので酸素吸収性
の点で好ましいものである。
【0056】本発明に用いるポリアミド樹脂は、末端ア
ミノ基濃度が10〜50eq/10 gであることが好
ましく、末端アミノ基濃度が上記範囲をこえると、酸素
吸収速度が低下するので好ましくなく、一方末端アミノ
基濃度があまり低くても酸素吸収速度の向上には限度が
ある。また、本発明に用いるポリアミド樹脂は、末端カ
ルボキシル基濃度/末端アミノ基濃度の比が、1〜1
2、好ましくは2乃至11の範囲にあるのがよい。末端
カルボキシル基濃度/末端アミノ基濃度の比が上記範囲
をこえると、酸素吸収速度が低下するので好ましくな
く、一方この比があまり低くても酸素吸収速度の向上に
は限度がある。
【0057】末端アミノ基濃度或いは末端カルボキシル
基濃度/末端アミノ基濃度の比が前記範囲内にあるポリ
アミド樹脂は、市販のポリアミド樹脂の樹脂から選択し
て用いることができる。一般に固相重合法で製造された
ポリアミド樹脂は、他の重合法で製造されたポリアミド
樹脂に比して、末端アミノ基濃度が低い範囲内にある。
また、末端アミノ基濃度が本発明で規定した範囲を上回
るポリアミド樹脂でも、末端アミノ基濃度を低下させる
手段を講じることにより、所定の末端アミノ基濃度とす
ることができる。例えば、ポリアミドの製造工程中で、
或いは製造後に、末端アミノ基にこれを封鎖するアシル
化を行うことにより、末端アミノ基の低減処理を行うこ
とができる。この目的に使用するアシル化剤としては、
無水酢酸、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、トルエンス
ルホン酸等の酸、酸無水物、酸ハライドなどを挙げるこ
とができるが、これらの例に限定されない。
【0058】これらのポリアミド樹脂は、容器の機械的
特性及び加工の容易さから、98%硫酸中、1.0 g/dlの
濃度及び20℃の温度で測定した相対粘度(ηrel )が
1.3乃至4.2、特に1.5乃至3.8の範囲内にあ
ることが望ましい。
【0059】(iii) エチレン系不飽和基含有重合体:
ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4-ヘキサジ
エン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4- ヘ
キサジエン、5-メチル-1,4- ヘキサジエン、4,5-ジメチ
ル-1,4- ヘキサジエン、7-メチル-1,6- オクタジエン等
の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5-
エチリデン-2- ノルボルネン、5-メチレン-2- ノルボル
ネン、5-イソプロピリデン-2- ノルボルネン、5-ビニリ
デン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5- イソプロペ
ニル-2- ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状
非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5- ノルボルネ
ン、2-エチリデン-3- イソプロピリデン-5- ノルボルネ
ン、2-プロペニル-2,2- ノルボルナジエン等のトリエン
等を単独重合させた重合体や、これらのポリエンを他の
単量体と共重合させた共重合体は、主鎖或いは側鎖にエ
チレン系不飽和結合を含んでおり、酸素の吸収により酸
化することが知られている。本発明においても、これら
のエチレン系不飽和基含有重合体を酸化性樹脂として用
いることができる。
【0060】(iv)遷移金属触媒:遷移金属触媒(B)
は、上記酸化性熱可塑性樹脂(A)の酸化反応の触媒と
なるもので、遷移金属の有機酸塩或いは有機錯塩等が好
適に使用される。用いる遷移金属系触媒としては、鉄、
コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属成分が好
ましいが、他に銅、銀等の第I族金属:錫、チタン、ジ
ルコニウム等の第IV族金属、バナジウムの第V族、クロ
ム等VI族、マンガン等のVII族の金属成分を挙げること
ができる。これらの金属成分の内でもコバルト成分は、
酸素吸収速度が大きく、特に好適なものである。
【0061】遷移金属系触媒は、上記遷移金属の低価数
の無機酸塩或いは有機酸塩或いは錯塩の形で一般に使用
される。無機酸塩としては、塩化物などのハライド、硫
酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩などの窒素のオキ
シ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ酸塩、ケイ酸塩等が
挙げられる。一方有機酸塩としては、カルボン酸塩、ス
ルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、カルボ
ン酸塩が本発明の目的に好適であり、その具体例として
は、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン
酸、イソブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキ
サン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2
−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチ
ルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガ
リン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ
酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレ
ン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン
酸、ナフテン酸等の遷移金属塩が挙げられる。一方、遷
移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸
エステルとの錯体が使用され、β−ジケトンまたはβ−
ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、
アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチ
レンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル
−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、
パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベ
ンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、
2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,
3−シクロヘキサンジオン、ベンゾイル−p−クロルベ
ンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタ
ン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾ
イルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベン
ゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミ
トイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタ
ン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイ
ル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾ
イル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ス
テアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノ
イルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセト
ン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイ
ル)−メタン及びジピバロイルメタン等を用いることが
出来る。
【0062】本発明に用いる酸素吸収性樹脂組成物
(1)においては、遷移金属触媒(B)が金属として熱
可塑性樹脂(A)当たり10乃至6000ppm、特に
50乃至5000ppmの量で含有されることが望まし
い。樹脂(A)に遷移金属触媒(B)を配合するには、
種々の手段を用いることができる。例えば、遷移金属触
媒(B)を樹脂に単に乾式でブレンドすることもでき、
高濃度の遷移金属触媒(B)を含有するマスターバッチ
を用いた希釈法でもよい。又、遷移金属触媒(B)が樹
脂に比して少量であるので、ブレンドを均質に行うため
に、一般に遷移金属触媒(B)を有機溶媒に溶解し、こ
の溶液と粉末或いは粒状の樹脂とを混合し、必要により
この混合物を不活性雰囲気下に乾燥するのがよい。
【0063】(2)熱可塑性樹脂と酸素吸収剤との樹脂
組成物:本発明において、酸素吸収性樹脂層としては、
酸素吸収剤と熱可塑性樹脂との組成物を用いることもで
きる。酸素吸収剤としては、従来この種の用途に使用さ
れている酸素吸収剤は全て使用できるが、一般には還元
性でしかも実質上水に不溶なものが好ましく、その適当
な例としては、還元性を有する金属粉、例えば還元性
鉄、還元性亜鉛、還元性錫粉;金属低位酸化物、例えば
酸化第一鉄、四三酸化鉄、更に還元性金属化合物、例え
ば炭化鉄、ケイ素鉄、鉄カルボニル、水酸化鉄;などの
一種又は組合せたものを主成分としたものが挙げられ、
これらは必要に応じてアルカリ金属、アルカリ土類金属
の水酸化物、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三リン
酸塩、第二リン酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、更に活
性炭、活性アルミナ、活性白土のような助剤とも組合せ
て使用することが出来る。また多価フェノールを骨格内
に有する高分子化合物、例えば多価フェノール含有フェ
ノール・アルデヒド樹脂等が挙げられる。これらの酸素
吸収剤は、一般に平均100μm 以下、特に50μm 以
下の粒径を有することが好ましい。
【0064】上記酸素吸収剤は吸水材と組み合わせて用
いるのが好ましく、吸水剤としては、潮解性無機塩、潮
解性有機化合物或いは高吸水性樹脂等が使用され、潮解
性物質の例としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウ
ム、塩化亜鉛、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、
硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナト
リウム、二リン酸ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸ナト
リウム等の無機塩類;グルコース、果糖、ショトウ、ゼ
ラチン、変性カゼイン、変性デンプン、トラガントゴム
等の有機化合物等が挙げられる。また、吸水材としては
高吸水性樹脂を用いることもでき、ここで高吸水性樹脂
としては、本質的に水不溶性でしかも自重の数十倍から
数百倍に達する水を吸水し得る能力を有する樹脂として
定義される。この高吸水性樹脂は、一般に吸水性に寄与
する電離性基を有すると共に、この樹脂を水不溶性にす
るための網状乃至架橋構造或いはゲル状構造を有してい
る。この高吸水性樹脂としては、アクリル酸(塩)グラ
フト化澱粉、澱粉のアクリロニトリルグラフト化加水分
解物、アクリル酸(塩)グラフト化セルローズ等の澱粉
乃至セルローズ系のグラフト誘導体や、架橋ポリアクリ
ル酸(塩)、特にアクリル酸(塩)とジビニルベンゼン
等の多官能モノマー或いは更にスチレン、アクリルエス
テル類等の疎水性モノマーとの共重合体;酢酸ビニルと
アクリル酸エステルとの共重合体のケン化で製造される
ビニルアルコール−アクリル酸(塩)ブロック共重合
体;ポリビニルアルコールやポリビニルアルコールに無
水マレイン酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応させ、
側鎖にカルボキシル基と架橋構造を同時に導入た変性ポ
リビニルアルコール等が知られている。これらの樹脂に
おいて、澱粉、セルロース或いはポリビニルアルコール
成分は、ポリアクリル酸成分を不溶化してゲル状に保つ
作用を有する。これらの高吸水性樹脂を全て使用できる
が、就中架橋ポリアクリル酸(塩)が好ましく、このも
のはアクアキーブ4S、アクアキーブ10SHの商品名
で製鉄化学(株)から市販されている。他の好適な例
は、ビニルアルコールアクリル酸(塩)ブロック共重合
体であり、住友化学(株)からスミカゲル5Sの商品名
で市販されている。これらの他に、吸水剤としては、シ
リカゲル、アルミナゲル、シリカ−アルミナゲル、各種
ゼオライト等を用いることもできる。
【0065】熱可塑性樹脂としては、既に例示したオレ
フィン系樹脂や酸素バリアー性樹脂、ポリスチレン、ア
クリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチ
ルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化
ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタ
クリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナ
イロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイ
ロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエス
テル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等
あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂が使用され
る。これらの内でも、オレフィン系樹脂が好適である。
【0066】酸素吸収剤は、熱可塑性樹脂100重量部
当たり酸素吸収剤が1乃至200重量部、特に10乃至
100重量部となる量で配合するのがよい。
【0067】[積層体]本発明に用いる積層体は、前述
した積層構造を有するが、オレフィン系樹脂内面層が3
0乃至200μmの厚み、酸素バリアー性樹脂の第一の
層が2乃至100μmの厚み、酸素吸収性樹脂層が2乃
至300μmの厚み、環状オレフィン系共重合体層2乃
至100μmの厚み、酸素バリアー性樹脂の第二の層2
乃至100μmの厚み、オレフィン系樹脂外面層50乃
至2500μmの厚みをそれぞれ有することが好まし
い。オレフィン系樹脂内面層の厚みが上記範囲を下回る
と衛生的特性やフレーバー保持性が低下する傾向があ
り、この厚みが上記範囲を上回ると包装内の酸素吸収性
が低下する傾向がある。酸素バリアー樹脂の第一の層の
厚みが上記範囲を下回ると、酸素吸収性樹脂層の活性化
が不十分となる傾向があり、一方この厚みが上記範囲を
上回ると包装内の酸素吸収性が低下する傾向があると共
に、包装体のコストも増加するので好ましくない。酸素
吸収性樹脂層の厚みが上記範囲を下回ると、包装内の酸
素の吸収性も、器壁透過酸素の吸収性も低下するので好
ましくなく、またこの厚みが上記範囲よりも厚くても格
別の酸素吸収性の増大は望めなく、経済的には不利とな
るので好ましくない。環状オレフィン系共重合体の厚み
が上記範囲を下回ると、包装内水分による酸素バリアー
樹脂の第二の層へのバリアー性の悪影響がでるので好ま
しくなく、上記範囲よりも厚くても格別の利点は望めな
く、経済的には不利となるので好ましくない。酸素バリ
アー樹脂の第二層の厚みが上記範囲を下回ると、器壁透
過酸素に対するバリアー性が低下するので好ましくな
く、またこの厚みが上記範囲よりも厚くても格別の酸素
バリアー性の増大は望めなく、経済的には不利となるの
で好ましくない。ポリオレフィン外面材の厚みが上記範
囲を下回るとオレフィン系樹脂による保護効果が低下す
る傾向があり、一方厚みが上記範囲を上回ると容器の柔
軟性や可撓性が低下する傾向がある。
【0068】上記積層体の製造に当たって、各樹脂層間
に必要により接着剤樹脂を介在させることもできる。こ
のような接着剤樹脂としては、カルボン酸、カルボン酸
無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸
エステル等に基づくカルボニル(−C−)基‖Oを主鎖
又は側鎖に、1乃至700ミリイクイバレント(meq)/
100g樹脂、特に10乃至500meq/100g樹脂
の濃度で含有する熱可塑性樹脂が挙げられる。接着剤樹
脂の適当な例は、エチレン−アクリル酸共重合体、イオ
ン架橋オレフイン共重合体、無水マレイン酸グラフトポ
リエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、
アクリル酸グラフトポリオレフイン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド
等の1種又は2種以上の組合せである。これらの樹脂
は、同時押出或いはサンドイッチラミネーション等によ
る積層に有用である。また、予じめ形成された酸素バリ
アー性樹脂フイルムとオレフィン系樹脂フイルムとの接
着積層には、イソシアネート系或いはエポキシ系等の熱
硬化型接着剤樹脂も使用される。これらの接着剤層は、
一般に2乃至20μmの厚さで用いることが好ましい。
【0069】本発明の多層の包装材料及び包装容器にお
いて、全体の厚みは、用途によっても相違するが、一般
に100乃至3400μm、特に400乃至900μm
のあるのがよい。
【0070】本発明に用いる包装材料及び包装容器は、
前述した積層構成を用いる点を除けば、それ自体公知の
方法で製造が可能である。例えば、フィルム、シート或
いはチューブの成形は、前記樹脂組成物を押出機で溶融
混練した後、T−ダイ、サーキュラーダイ(リングダ
イ)等を通して所定の形状に押出すことにより行われ、
T−ダイ法フィルム、ブローウンフィルム等が得られ
る。Tダイフィルムはこれを二軸延伸することにより、
二軸延伸フィルムが形成される。また、前記樹脂組成物
を射出機で溶融混練した後、射出金型中に射出すること
により、容器や容器製造用のプリフォーム、更には容器
蓋殻体を製造する。更に、前記樹脂組成物を押出機を通
して、一定の溶融樹脂塊に押し出し、これを金型で圧縮
成形することにより、容器や容器製造用のプリフォー
ム、更には容器蓋殻体を製造する。成形物は、フイル
ム、シート、ボトル、カップ、キャップ、チューブ形成
用パリソン乃至はパイプ、ボトル乃至チューブ成形用プ
リフォーム等の形をとり得る。パリソン、パイプ或いは
プリフォームからのボトルの形成は、押出物を一対の割
型でピンチオフし、その内部に流体を吹込むことにより
容易に行われる。また、パイプ乃至はプリフォームを冷
却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共
に、流体圧によって周方向にブロー延伸することによ
り、延伸ブローボトル等が得られる。更に、また、フイ
ルム乃至シートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プ
ラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ
状、トレイ状等の包装容器が得られる。
【0071】フィルム等の包装材料は、種々の形態の包
装袋として用いることができ、その製袋は、それ自体公
知の製袋法で行うことができ、三方或いは四方シールの
通常のパウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディング
パウチ類、ピロー包装袋などが挙げられるが、この例に
限定されない。
【0072】多層押出成形体の製造には、それ自体公知
の共押出成形法を用いることができ、例えば樹脂の種類
に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いる以
外は上記と同様にして押し出し成形を行えばよい。ま
た、多層射出成形体の製造には、樹脂の種類に応じた数
の射出成形機を用いて、共射出法や逐次射出法により多
層射出成形体を製造することができる。更に、多層フィ
ルムや多層シートの製造には、押出コート法や、サンド
イッチラミネーションを用いることができ、また、予め
形成されたフィルムのドライラミネーションによって多
層フィルムあるいはシートを製造することもできる。
【0073】本発明の包装体は、酸素による内容物の香
味低下を防止し、シェルフライフを向上させる容器とし
て有用である。充填できる内容物としては、飲料ではビ
ール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク
等、食品では果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、
コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、
ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品類等、その他
では医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素存在下で劣化を
起こしやすい内容品などが挙げられるが、これらの例に
限定されない。
【0074】
【実施例】本発明を次の例により更に説明するが、本発
明はこれらの実施例に制限されるものでない。
【0075】[実施例1]α−オレフィンが1−ブテン
であるα−オレフィン共重合体の酸変性低密度ポリエチ
レンに、二軸押出し機を用いて、コバルト濃度が500
0ppmになるよう、有機金属触媒ステアリン酸コバル
トをメルトブレンドした。押出し温度160℃〜220
℃。次に、溶融混合樹脂をストランド状に引き取り、ペ
レタイザーにてペレット成形した。これを試験樹脂組成
物として用い、更に、5本の押出し機からなる多層押出
し成形機を用い、押出し温度170℃〜220℃の温度
範囲で、内層から外層に至る層構成が、LDPE/接着
層/エチレンビニルアルコール共重合層/試験樹脂層/
環状オレフィン樹脂層/接着層/エチレンビニルアルコ
ール共重合体層/接着層/LDPEからなるパリソンを
ブロー成形にて、内層から外層に至る各層の肉厚が、1
00μm/20μm/30μm/30μm/30μm/
20μm/30μm/20μm/170μmの総肉厚4
50μmの5種9層チューブを成形した。
【0076】(評価)作成したチューブの口部をアルミ
ラミネートフィルムにてヒートシールした後、真空チャ
ンバーに入れ、脱気、窒素置換操作を3回繰り返した。
次に、窒素気体中で、チューブに脱気水を2ml充填
後、底部をヒートシールした。以後、温度40℃−相対
湿度75%の保存条件下、3週間保存後、ガスタイトシ
リンジを用い、チューブ内空気を1ml捕集し、島津製
作所社製TCD検知器付きGC−9AMガスクロマトグ
ラフィーにて、チューブ内酸素濃度を測定し、結果を表
1に示した。
【0077】[比較例1]α−オレフィンが1−ブテン
であるα−オレフィン共重合体の酸変性低密度ポリエチ
レンに、二軸押出し機を用いて、コバルト濃度が500
0ppmになるよう、有機金属塩:ステアリン酸コバル
トをメルトブレンドした。押出し温度160℃〜220
℃。次に、溶融混合樹脂をストランド状に引き取り、ペ
レタイザーにてペレット成形した。これを試験樹脂組成
物として、更に、5本の押出し機からなる多層押出し成
形機を用い、押出し温度170℃〜220℃の温度範囲
で、内層から外層に至る層構成が、LDPE/接着層/
試験樹脂層/環状オレフィン樹脂層/接着層/エチレン
ビニルアルコール共重合層/接着層/LDPEとなるパ
リソンをブロー成形し、各層の肉厚が、100μm/2
0μm/30μm/30μm/20μm/30μm/2
0μm/200μmの総肉厚450μmの5種8層チュ
ーブを成形した。(評価)サンプル作成、保存条件、チ
ューブ内酸素濃度測定は実施例1と同様の方法で行っ
た。結果は表1に示す。
【0078】[実施例2]低密度ポリエチレンに酸化促
進材(塩化ナトリウム)が2部含有及び30部の鉄粉か
らなる組成物を、二軸押出し機を用い、押出し温度16
0℃〜220℃にてメルトブレンドした。これを試験樹
脂組成物として、更に、5本の押出し機からなる多層押
出し成形機を用い、押出し温度170℃〜220℃の温
度範囲で、内層から外層に至る層構成が、LDPE/接
着層/エチレンビニルアルコール共重合層/試験樹脂層
/環状オレフィン樹脂層/接着層/エチレンビニルアル
コール共重合層/接着層/LDPEからなるパリソンを
ブロー成形し、各層の肉厚が、100μm/20μm/
30μm/30μm/30μm/20μm/30μm/
20μm/170μmの総肉厚が450μmの5種9層
チューブを成形した。
【0079】(評価)作成したチューブの口部をアルミ
ラミネートフィルムにてヒートシールした後、大気条件
下、リン酸系緩衝剤を含有する、過酸化水素濃度4wt
%の過酸化水溶液を40g充填し、底部をヒートシール
した。次に、温度40℃−相対湿度75%の保存条件
下、2ヶ月保存後、ガスタイトシリンジを用い、チュー
ブ内空気を1ml捕集し、島津製作所社製TCD検知器
付きGC−9AMガスクロマトグラフィーにて、チュー
ブ内酸素濃度を測定し、結果を表2に示した。
【0080】[比較例2]低密度ポリエチレンに酸化促
進材(塩化ナトリウム)が2部含有及び30部の鉄粉か
らなる組成物を、二軸押出し機を用い、押出し温度16
0℃〜220℃にてメルトブレンドした。次に、溶融混
合樹脂をストランド状に引き取り、ペレタイザーにてペ
レット成形した。これを試験樹脂組成物とし、更に、5
本の押出し機からなる多層押出し成形機を用い、押出し
温度170℃〜220℃の温度範囲で、内層から外層に
至る層構成が、LDPE/接着層/試験樹脂層/環状オ
レフィン樹脂層/接着層/エチレンビニルアルコール共
重合体層/接着層/LDPEからなるパリソンをブロー
成形にて、各層の肉厚が、100μm/20μm/30
μm/30μm/20μm/30μm/20μm/20
0μmである総肉厚450μmの5種8層チューブを成
形した。 (評価)サンプル作成、保存条件、チューブ内酸素濃度
測定は実施例2と同様に行った。結果は表2に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、酸素吸収性樹脂層4の
内面側に、酸素バリアー性樹脂の第一の層3を設け、酸
素吸収性樹脂層4の外面側に環状オレフィン系共重合体
層5を設け、この共重合体層5の外面側に酸素バリアー
性樹脂の第二の層6を設けることにより、包装内の酸素
濃度を低いレベルに抑制することができる。酸素バリア
ー性樹脂の第一の層3及び酸素バリアー性樹脂の第二の
層6は共に、器壁を通しての酸素透過を抑制する酸素バ
リアーとして役立つが、酸素バリアー性樹脂の第一の層
3は、包装内水分により、酸素吸収性樹脂層4を活性化
して、包装内酸素及び器壁を透過して内部に浸透しよう
とする酸素の吸収にも有効に寄与する。即ち、酸素バリ
アー性樹脂は、一般に強い水素結合を有するものであ
り、水分を吸収し、吸着する傾向が大きい。本発明は、
酸素バリアー性樹脂の第一の層3が吸収乃至吸着し内容
品側から器壁外部方向への酸素の透過速度を高めるとと
もに酸素吸収性樹脂層4の活性化に利用するものであ
る。また、酸素バリアー性樹脂の第二の層6と酸素吸収
性樹脂層4との間に環状オレフィン系共重合体層5を設
けることにより、包装内水分による酸素バリアー性樹脂
の第二の層6の酸素バリアー低下を抑制し、酸素バリア
ー性樹脂の第二の層6の酸素バリアー性能を高めること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の包装材に用いる積層体の断面構造の一
例を示す断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/00 C08K 3/00 5/00 5/00 C08L 101/00 C08L 101/00 101/12 101/12 (72)発明者 坂野 弘三郎 神奈川県横浜市磯子区杉田6−4−15 (72)発明者 渡辺 祐登 神奈川県川崎市多摩区寺尾台1−4921 Fターム(参考) 3E067 BB14A CA30 3E086 AD03 AD04 BA04 BA15 BB05 CA01 4F100 AK01B AK01C AK01E AK02D AK03A AK03E AK06 AK65 AK69B AK69E AL01D AL05C AL06 AR00C BA05 BA07 BA10A BA10E BA25 CA30 EH20 EH202 GB15 GB17 JD03 JD03B JD03E JD14C JL08C YY00A YY00B YY00C YY00D YY00E 4J002 BB001 BB201 BB211 BC031 BC061 BC091 BD031 BD101 BG061 BK001 BL011 BL021 BP001 CF031 CF061 CF181 CF191 CG001 CH071 CL011 CL031 CL051 DA066 DA086 DA106 DA116 DD076 DE056 DE066 DE116 DE146 DE226 DE236 DF026 DG046 DH036 DH046 DJ006 EG006 EG016 EG046 EV256 EW126 GF00 GG02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 包装内部から包装外部に向けて、オレフ
    ィン系樹脂内面層/酸素バリアー性樹脂の第一の層/酸
    素吸収性樹脂層/環状オレフィン系共重合体層/酸素バ
    リアー性樹脂の第二の層/オレフィン系樹脂外面層の積
    層構成を有することを特徴とする酸素吸収性包装体。
  2. 【請求項2】 オレフィン系樹脂内面層が30乃至20
    0μmの厚み、酸素バリアー性樹脂の第一の層が2乃至
    100μmの厚み、酸素吸収性樹脂層が5乃至300μ
    mの厚み、環状オレフィン系共重合体層2乃至100μ
    mの厚み、酸素バリアー性樹脂の第二の層2乃至100
    μmの厚み、オレフィン系樹脂外面層50乃至2500
    μmの厚みをそれぞれ有することを特徴とする請求項1
    に記載の酸素吸収性包装体。
  3. 【請求項3】 酸素バリアー性樹脂がエチレン−ビニル
    アルコール共重合体であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の酸素吸収性包装体。
  4. 【請求項4】 酸素吸収性樹脂層が酸化性樹脂と遷移金
    属系触媒との樹脂組成物からなることを特徴とする請求
    項1乃至3の何れかに記載の酸素吸収性包装体。
  5. 【請求項5】 酸素吸収性樹脂層が熱可塑性樹脂と酸素
    吸収剤との樹脂組成物からなることを特徴とする請求項
    1乃至3の何れかに記載の酸素吸収性包装体。
  6. 【請求項6】 チューブ容器の形態にあることを特徴と
    する請求項1乃至5の何れかに記載の酸素吸収性包装
    体。
  7. 【請求項7】 ブロー成形容器の形態にあることを特徴
    とする請求項1乃至5の何れかに記載の酸素吸収性包装
    体。
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