JP2002136274A - クリスピー食品およびその製造法 - Google Patents

クリスピー食品およびその製造法

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JP2002136274A JP2000335706A JP2000335706A JP2002136274A JP 2002136274 A JP2002136274 A JP 2002136274A JP 2000335706 A JP2000335706 A JP 2000335706A JP 2000335706 A JP2000335706 A JP 2000335706A JP 2002136274 A JP2002136274 A JP 2002136274A
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Hitomi Hayabuchi
仁美 早渕
Akiko Ota
朗子 太田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 魚卵の保存性・加工性を向上させ、食材とし
ての利用範囲を拡大するための新規な魚卵の処理方法を
確立し、消費者の健康、栄養、嗜好に適合した魚卵加工
食品を提供する。 【解決手段】 魚卵、または、魚卵を卵巣膜部分、卵膜
部分および卵内部液部分に分けたものの少なくとも1種
と、膜形成性食用高分子物質の混合物を含む魚卵クリス
ピー食品およびその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クリスピー食品お
よびその製造法、さらに詳しくは、魚卵の保存性・加工
性を向上させ、かつ健康食品のごとく種々の機能を付与
して、消費者の健康、栄養、嗜好要求に適合させること
のできる魚卵、あるいは各種魚肉等の魚介類、および各
種獣鳥鯨肉類などを用いたクリスピー食品およびその製
造法に関する。
【0002】
【従来の技術】海産物は畜産物に比べて低脂肪で、多価
不飽和脂肪酸の多い良質の蛋白質性食品である。とりわ
け、魚卵は生理活性機能を有するアミノ酸、ビタミンや
ミネラルなどが高集積された栄養価の高い食品であるこ
とが知られている。現在、魚卵は一般に、原形(卵巣)
あるいは卵のまま、生または塩蔵処理された状態で低温
流通、保管され、そのまま生または加熱調理後、例え
ば、タラコ、数の子、カラスミ、イクラ、キャビア、魚
卵煮付け、佃煮、薫製、ふりかけなどとして食されてい
るが、鮮度保持が難しく長期保存は冷凍に限られるた
め、魚種によっては生臭さが敬遠されてそのまま廃棄処
理されることも少なくない。すなわち、従来、魚卵の食
品としての利用方法は、卵巣あるいは卵のまま、生で、
あるいは塩蔵、加熱・乾燥、冷凍・冷蔵して利用するこ
とに限られている。この欠点を解消する方法として、特
願平11−364383号では、魚卵を卵巣膜部分、卵
膜部分および卵内部液部分に分け、その少なくとも1種
を、膜形成性食用高分子物質によりシート状に形成した
シート状魚卵加工食品が提案されている。この方法で
は、魚卵を構成する各部分から、効率よく水分を除いて
保存できるため、魚卵の保存性が著しく向上するという
利点があるものの、乾燥に時間がかかるなど、依然とし
て解消すべき操作性上の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情に鑑み、本
発明は、魚卵成分の保存性・加工性を向上させ、食材と
しての利用範囲を拡大するための新規な魚卵の処理方法
を確立し、消費者の健康、栄養、嗜好に適合した魚卵加
工食品を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため鋭意研究を重ねた結果、魚卵、または、魚
卵を卵巣膜部分、卵膜部分および卵内部液部分の各部分
に分けたものの少なくとも1種を膜形成性食用高分子物
質との混合物とし、これを型板上に搾り出して、加熱乾
燥処理することにより、魚卵の水分を効率よく除いて保
存でき、また、消費者の健康、栄養、嗜好に適合した新
しい魚卵加工食品を提供できることを見出し、本発明を
完成するに至った。すなわち、本発明は、魚卵、また
は、魚卵を卵巣膜部分、卵膜部分および卵内部液部分に
分けたものの少なくとも1種と、膜形成性食用高分子物
質との混合物を含む魚卵クリスピー食品を提供するもの
である。また、本発明は、魚卵、または、魚卵を卵巣膜
部分、卵膜部分および卵内部液部分に分けたものの少な
くとも1種を、膜形成性食用高分子物質溶液と混合した
ものを、型板上に搾り出し、ついで、加熱乾燥処理する
ことを特徴とする魚卵クリスピー食品の製造法も提供す
る。
【0005】本発明によれば、魚卵または魚卵を構成す
る各部分から、効率よく水分を除いて保存できるため、
魚卵成分の保存性が著しく向上する。例えば、魚卵に含
まれる余分な水分を除去し、生重量の4分の1〜10分
の1以下として貯蔵することができ、テクスチャーにも
改善が見られ、さくさくとしたクリスピー食品を得るこ
とができる。したがって、従来、卵巣あるいは卵のまま
低温保存され生、あるいは加熱調理後食されていた魚卵
成分を長期保存することが可能である。それに加えて、
魚卵以外の各種栄養成分や、食物成分と組み合わせるこ
とが可能となり、消費者の健康、栄養、嗜好に適合した
新しい魚卵加工食品を提供できる。特に、膜形成性食用
高分子物質にアルギン酸ナトリウムを用いることによ
り、優れたクリスプ感を有するクリスピー食品を提供で
きる。また、膜形成性食用高分子物質にアルギン酸ナト
リウムを用いる場合、上記魚卵成分に代えて、各種魚肉
あるいはイカ、エビ、貝などの魚介類、および鶏肉、牛
肉、豚肉などの各種獣鳥鯨肉類などを用いたクリスピー
食品も提供できる。さらに、本発明のクリスピー食品
は、魚卵、または、魚卵を卵巣膜部分、卵膜部分および
卵内部液部分に分けたものの少なくとも1種を、膜形成
性食用高分子物質溶液と混合したものを、型板上に搾り
出す方法で製造するため、作成が容易であり、製造に要
する時間を短縮することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において用いる魚卵は、特
に限定するものではなく、通常、食用に供されているも
のいずれでもよく、例えば、サケ、マス、タラ、カツ
オ、カレイ、タイ、イワシ、サバ、シシャモ等の海水
魚、コイ、フナ、ニジマスおよびアユ等の淡水魚からな
る群から選ばれる魚の卵が使用でき、これらは、単独で
も、必要により2種以上を組み合わせてもよい。通常、
凍結卵または塩蔵卵を原料として用いる。
【0007】魚卵の各部分へ分ける操作は、手作業もふ
くめ、これらを分けることのできるいかなる方法でも行
うことができる。例えば、手作業により、卵巣より取り
出した卵粒を、例えば、50,000〜100,000g
で30分〜2時間程度遠心分離することにより、あるい
は卵粒を乳鉢等で破砕した後、10,000g〜30,0
00gで15分〜1時間程度遠心分離することにより、
卵膜部分と卵内部液部分に分けることができる。別法と
して、卵粒を適宜の濃度の食塩水、例えば、濃度1〜1
0重量%の食塩水に、5〜30分浸漬した後、余分な水
分を除き、内部に適当な濾過膜を有する袋、例えば、ス
トマッカー袋(グンゼ製、ストマフィルター等)に入れ
て押し潰し、袋を傾け、卵内部液を容器に回収し、袋内
側の濾膜に残った卵膜を回収する袋分離法により分ける
ことができる。なお、分けた後の卵膜や卵内部液の食塩
濃度が高くならないように、また、浸漬液の使用量をで
きるだけ少なくして廃棄量を減らすために、通常、卵粒
1重量部に対して、0.1〜1.0重量部、好ましくは
0.1〜0.3重量部程度の食塩水を使用する。スケト
ウダラの凍結解凍卵を上記遠心分離により分けると、分
離した卵膜および卵内部液の食塩濃度は、各々、約0.
3重量%および約0.35重量%であるが、袋分離の場
合は、浸漬する食塩水濃度により、卵膜および卵内部液
の食塩濃度は、各々、約1.0〜5.0重量%となる。
【0008】食塩水浸漬や破砕等の下処理をせずに、遠
心分離によって分ける場合、卵を物理的に破砕させるこ
とができるような高速遠心分離機が必要であり、1回の
処理量にも限界がある。これに対して、袋分離の場合は
比較的大量の処理が可能であるが、卵膜を効率よく割る
ために食塩水浸漬が必要となり、食塩水が卵内部に若干
浸透して卵内部液が希釈され、成分組成も変化する。ま
た、手作業では分離に手間や時間がかかりすぎ、衛生管
理上にも問題がある。そこで、別法として、卵粒を乳鉢
等で破砕(割卵膜)した後遠心分離を行う方法がある。
これによれば、卵膜(固形)部分と卵内部液部分とを1
0,000g〜30,000g(5,000〜15,00
0rpm)程度の力(速度)で分別でき、比較的大量の
処理も可能である。なお、いずれの場合も、通常、卵膜
(固形)部分:卵内部液部分が1:1.5〜3の重量比
で分けられる。これらのいずれの操作も、魚卵の鮮度を
保持するため、低温、例えば、5℃以下で行うことが好
ましい。また、卵膜部分には内部液が付着していること
があり、卵膜部分のみを使用する場合は、希薄な食塩水
または純水で洗浄して用いてもよい。卵膜部分と内部液
部分との両方を使用する場合は、特に洗浄は必要ない。
分離した卵巣膜部分も、必要により同様に洗浄して使用
できる。
【0009】本発明において使用する膜形成性食用高分
子物質は、加熱や、乾燥や、Ca等のイオンの添加によ
り膜形成する、食用に供することのできる高分子物質で
あればいずれでもよく、例えば、海藻類抽出物(例、ア
ルギン酸およびその塩、カラギーナン、寒天等)、甲殻
成分物質(例、キチン等)等の海産食用高分子物質、な
らびに芋類(例、マンナン等)、果実類(例、ペクチン
等)およびキノコ類(例、β−グルカン等)等の陸上産
食用高分子物質からなる群から選ばれる高分子物質が使
用できる。これらの高分子物質は単独でも、必要により
2種以上を組み合わせてもよい。特に、アルギン酸やキ
トサンなどは、降圧効果、コレステロール低下作用、抗
潰瘍作用、便秘予防効果、ガン抑制効果などが期待され
ており、また、そのNaイオンが、凝固する際に使用す
るCaイオンと置換されることで、Ca添加効果も期待
できるので、このような高分子物質を用いることが好ま
しい。また、優れたクリスプ感を有するクリスピー食品
を得る観点からは、アルギン酸ナトリウムが特に好まし
い。さらに、アルギン酸ナトリウムを用いる場合、上記
魚卵成分に代えて、他の食材を用いても、クリスピー食
品を製造することができる。かかる食材としては、各種
魚肉あるいはイカ、エビ、貝などの介類、および鶏肉、
牛肉、豚肉などの各種獣鳥鯨肉などが好ましい。
【0010】本発明の魚卵クリスピー食品における魚卵
成分および膜形成性食用高分子物質の配合割合は、実際
に用いる魚卵成分の種類や、食品の用途等により適宜選
択することができる。通常、膜形成性食用高分子物質は
水および/または卵内部液に溶解して使用され、魚卵成
分(高分子物質の溶媒として使用する卵内部液を含む)
1〜90重量%、好ましくは、20〜80重量%、およ
び、膜形成性食用高分子物質溶液10〜99重量%、好
ましくは、20〜80重量%の割合の範囲から選択でき
る。なお、卵内部液を膜形成性食用高分子物質の溶媒と
して使用することにより、食品中の魚卵成分の割合を最
大限に増やすことが可能となる。
【0011】本発明の魚卵クリスピー食品を製造するに
は、膜形成性食用高分子物質を、水および/または卵内
部液に溶解し、魚卵または分けた魚卵成分の少なくとも
1種以上と混合し、型板上に搾りだし、その後に加熱乾
燥処理する。例えば、濃度0.2〜90重量%の高分子
物質溶液を、所定量の魚卵成分と混合し、型板上に搾り
出し、凝固剤(例、塩化カルシウム)で凝固させた後、
加熱乾燥処理する。型板としては、魚卵成分と高分子物
質溶液の混合物を搾り出し、加熱乾燥できるものであれ
ば特に限定されるものではなく、例えば、ガラス板、ス
テンレス製網などを用いることができる。魚卵成分と高
分子物質溶液の混合物を型板に搾り出すためには、例え
ば、ビニール袋およびシリンジなどを用いることができ
る。加熱乾燥処理は、凝固した混合物を型板ごと、また
は、型板からはずして行う。加熱乾燥は、真空加熱乾燥
処理、油で揚げる処理、オーブン加熱後真空加熱乾燥処
理など、食品の加熱乾燥を行う際に一般に行われている
処理方法を用いて行うことができる。
【0012】所望により、成形前または成形後の適当な
工程、例えば、高分子物質と魚卵成分の混合時、または
成形乾燥後に、各種の栄養成分(例、糖質、脂質、各種
アミノ酸、ビタミン、ミネラル、その他の微量成分
等)、調味料(例、甘味料、塩味料、旨味料、酸味料、
酒等)、香辛料および香辛料抽出物(例、唐辛子、生
姜、ニンニク、シナモン、その他のスパイスおよびその
抽出物等)、香料、着色料、界面活性剤、強化剤、酸化
防止剤、保存料等を添加してもよい。
【0013】魚卵成分に代えて、各種魚肉あるいはイ
カ、エビ、貝などの介類、および鶏肉、牛肉、豚肉など
の各種獣鳥鯨肉などを用いる場合、これらを自体公知の
方法によりミンチ状に加工したものを用いることによ
り、上記の方法と同様にしてクリスピー加工食品を製造
することができる。このようにして、従来味わえなかっ
た嗜好性、栄養性、機能性、保存性や携行性に優れた新
規クリスピー加工食品が得られる。
【0014】得られた本発明のクリスピー食品は、その
まま摂食に供してもよく、また、さらに加工を加えて、
各種の調味料、惣菜、健康食、携帯食等として利用でき
る。
【0015】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。実施例中、「%」は特に断らない限り、重量%であ
る。 実施例1 アルギン酸ナトリウムの粘度および濃度の検
討 粘度300cps、500cps、1000cpsのア
ルギン酸ナトリウムおよび低分子化アルギン酸ナトリウ
ムの4種類を用い、使用するアルギン酸ナトリウムの粘
度の検討を行った。アルギン酸ナトリウムはそれぞれ2
%水溶液を用い、魚卵としてスケトウダラ卵を用いて、
配合割合は、魚卵:2%アスパラギン酸ナトリウム水溶
液=1.5:1とした。スケトウダラ卵30gおよび所
定の2%アルギン酸ナトリウム水溶液20gを混合し、
調味料[食塩、味の素およびハイミー(商品名、味の素
製)]を加えて攪拌し、ビニール袋(タイヨー製、ポリ
袋No7、0.03mm×120mm×230mm、m
m)およびシリンジ(テルモ製、ツベルクリン用1ml
中口)を用いてステンレス製網(20×20cm)に搾
り出した。ステンレス製網を2%塩化カルシウム水溶液
に浸漬し、凝固させた。キッチンペーパーで、付着水を
取り除いた後、網ごと真空定温乾燥器(東京理化器械販
売、EYELA真空定温乾燥器バキュームドライオーブ
ンVOS-301SD型)により真空加熱処理(110℃、2時
間)を行い、魚卵クリスピー加工食品を得た。低分子化
アルギン酸ナトリウムを2%濃度で用いた場合、非常に
粘度が低くさらさらであったため、10%、30%濃度
についても検討したが、10%濃度で用いた場合は粘度
が低く、搾り出しが困難であり、30%濃度では、搾り
出しは可能であるが、塩化カルシウムで凝固しなかっ
た。粘度300cps、500cps、1000cps
のアルギン酸ナトリウムを2%濃度で用いた場合のそれ
ぞれの乾燥状態を表1に示す。
【0016】
【表1】 このように、乾燥状態にはほとんど差がなかった。官能
的には、1000cpsのアルギン酸ナトリウムを用い
た場合が最もパリッとしていた。
【0017】次に、使用するアルギン酸ナトリウムの濃
度について検討した。500cpsのアルギン酸ナトリ
ウムを、2%、3%および4%の濃度で用い、魚卵:ア
ルギン酸ナトリウム=1.5:1の配合割合で、上記と
同様にクリスピー加工食品を得た。それぞれの乾燥状態
を表2に示す。
【0018】
【表2】 表2に示されるように、乾燥状態には差が見られなかっ
たが、濃度の高い4%のものの食感が最も好ましく、軽
い感じであった。
【0019】実施例2 魚卵とアルギン酸ナトリウムと
の配合割合の検討 スケトウダラ卵および粘度500cpsのアルギン酸ナ
トリウムの2%水溶液を以下の表3に示す割合で混合
し、実施例1と同様に処理し、魚卵割合の限界について
検討した。
【0020】
【表3】 本方法では、魚卵が90%配合されていても、クリスピ
ー加工食品は製造可能であった。ただし、魚卵の割合が
高くなるとともに、乾燥後重量は重くなる傾向が見られ
た。
【0021】実施例3 アルギン酸ナトリウムの配合割
合について アルギン酸ナトリウムの配合量についても検討を行っ
た。3%および4%濃度のアルギン酸ナトリウムを用
い、魚卵と以下のような割合で混合した。各々の場合の
乾燥状態を表4に示す。
【0022】
【表4】 表4に示すように、3%濃度のアルギン酸ナトリウムよ
りも4%濃度のアルギン酸ナトリウムを用いたほうがよ
く乾燥していた。また、官能的には、4%濃度のアルギ
ン酸ナトリウムを魚卵:アルギン酸ナトリウム=1:6
で混合した場合に、特に軽い食感があり、従来のスナッ
クにはない特徴的なテクスチャーが得られた。
【0023】実施例4 加熱処理方法の検討 2%塩化カルシウム溶液で凝固させた凝固体の加熱方法
について、真空加熱、油で揚げる、オーブン加熱後加熱
真空乾燥の3種類を検討した。魚卵としてはスケトウダ
ラ卵を40g用い、アルギン酸ナトリウムは粘度500
cps、濃度2%溶液を10g用いて、実施例1と同様
にして凝固体を得て、以下の加熱処理を行った。 (a)真空加熱乾燥処理 EYELA真空定温乾燥器バキュームドライオーブンVO
S-301SD型を用い、110℃にて2時間30分および3
時間30分の処理時間について比較したところ、2時間
30分では重量が約25%に、3時間30分では約10
%にまで減少した。また、加熱時間が長い方がパリパリ
とした食感が得られた。 (b)油での処理 約180℃の油で凝固体を揚げたところ、魚卵の臭みが
抑えられ、乾燥重量は約50%となった。 (c)オーブン加熱後真空加熱乾燥処理 オーブンによる加熱を、200℃にて7分間、160℃
にて10分間および150℃にて15分間の3通りで行
い、その後に(a)と同様な真空加熱乾燥処理を110
℃にて1時間行った。200℃でのオーブン加熱は、温
度が高すぎるために魚卵がはじけてしまい、不適切であ
った。160℃にて10分間の加熱でも十分な乾燥状態
が得られたが、より確実に水分を除くためには、150
℃にて15分間の加熱が最適であることが分かった。オ
ーブン加熱後の真空加熱乾燥処理は、110℃にて1時
間で十分であり、乾燥後の重量は約10%となった。
【0024】実施例5 シシャモ卵またはカツオ卵を用
いるクリスピー加工食品の製造 魚卵としてシシャモ卵またはカツオ卵、および4%濃度
のアルギン酸ナトリウムを用い、魚卵:アルギン酸ナト
リウム=1:4の配合で、実施例1と同様にして、クリ
スピー加工食品を得た。その結果、どちらの場合もスケ
トウダラ卵の場合と同様に、クリスピー加工食品を作成
することが可能であり、乾燥状態にも差はみられなかっ
た。ただし、シシャモ卵を用いた場合、その特有の性質
により、スケトウダラ卵を用いた場合と比べ、色は黄色
く、塩味が強く感じられた。一方、カツオ卵を用いた場
合、透明感が無く、匂いが強かった。このように、用い
る魚卵により、色や味、風味のバラエティーに富んだ製
品の製造が可能であることが分かった。
【0025】実施例6 栄養価 それぞれのアルギン酸ナトリウム濃度、スケトウダラ卵
配合割合における栄養価を検討した。表5に示すように
アルギン酸ナトリウムの濃度、配合割合を増やすことに
よりカルシウムおよび食物繊維の強化を図ることができ
た。
【表5】
【0026】表6に、4%濃度のアルギン酸ナトリウム
を用いた場合の栄養価を、ポテトチップスおよび牛乳と
比較して示す。
【表6】 (四訂、食物繊維成分表より算出)表6に示すように、
本発明のクリスピー加工食品は、市販のスナックに比べ
て高タンパク質、低脂質である。また、混合物を凝固さ
せる際にナトリウムイオンがカルシウムイオンと置換さ
れることでカルシウム含量も高くなり、本発明のクリス
ピー加工食品を10g食することにより、牛乳1杯より
も多くのカルシウムを摂取することができる。この他に
も、魚卵に含まれるビタミンやミネラルを摂取すること
ができる。
【0027】実施例7 魚卵以外の食材を用いたクリス
ピー食品の製造 イカ、エビ、牛肉をそれぞれミンチ状にしたものを用
い、実施例1および実施例5と同様にして、クリスピー
加工食品を得た。その結果、いずれの場合もクリスピー
食品を作成することができ、乾燥状態にも差はみられな
かった。官能的には、イカまたはエビを用いたものは、
それぞれの素材の味が生かされ、風味豊かな食品となっ
た。一方、牛肉を用いたものは比較的脂っこい味質であ
った。これにより、アスパラギン酸ナトリウムを用いた
場合、魚卵以外の食材を用いてもクリスピー食品の製造
が可能であることが分かった。
【0028】
【発明の効果】以上記載したごとく、本発明によれば、
魚卵を構成する成分を脱水して保存するため、長期保存
が可能であるばかりでなく、それらを組み合わせること
により消費者の健康・栄養・嗜好にあった新しい魚卵利
用加工食品が提供される。また、魚卵の大部分が選択・
廃棄されている部分が有効に利用され、資源の有効利用
と環境保全に役立つものである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚卵、または、魚卵を卵巣膜部分、卵膜
    部分および卵内部液部分に分けたものの少なくとも1種
    と、膜形成性食用高分子物質の混合物を含むクリスピー
    食品。
  2. 【請求項2】 魚卵が、サケ、マス、タラ、カツオ、カ
    レイ、タイ、イワシ、サバ、シシャモ、コイ、フナ、ニ
    ジマスおよびアユからなる群から選ばれる1種以上の魚
    の卵である請求項1記載のクリスピー食品。
  3. 【請求項3】 膜形成性食用高分子物質が、海藻類抽出
    物、甲殻成分物質ならびに芋類、果実類およびキノコ類
    由来の高分子物質からなる群から選ばれる1種以上の物
    質である請求項1記載のクリスピー食品。
  4. 【請求項4】 膜形成性食用高分子物質が、アルギン酸
    ナトリウムである請求項3記載のクリスピー食品。
  5. 【請求項5】 上記魚卵、または、魚卵を卵巣膜部分、
    卵膜部分および卵内部液部分に分けたものに代えて、魚
    介類および獣鳥鯨肉類からなる群から選択される少なく
    とも1種を含む請求項4記載のクリスピー食品。
  6. 【請求項6】 魚卵、または、魚卵を卵巣膜部分、卵膜
    部分および卵内部液部分に分けたものの少なくとも1種
    を、膜形成性食用高分子物質溶液と混合したものを、型
    板状に搾り出し、ついで、加熱乾燥処理することを特徴
    とするクリスピー食品の製造法。
  7. 【請求項7】 魚卵が、サケ、マス、タラ、カツオ、カ
    レイ、タイ、コイ、フナ、ニジマスおよびアユからなる
    群から選ばれる1種以上の魚卵である請求項6記載の製
    造法。
  8. 【請求項8】 膜形成性食用高分子物質が、海藻類抽出
    物、甲殻成分物質ならびに芋類、果実類およびキノコ類
    由来の高分子物質からなる群から選ばれる1種以上の物
    質である請求項6記載の製造法。
  9. 【請求項9】 膜形成性食用高分子物質が、アルギン酸
    ナトリウムである請求項8記載の製造法。
  10. 【請求項10】 上記魚卵、または、魚卵を卵巣膜部
    分、卵膜部分および卵内部液部分に分けたものに代え
    て、魚介類および獣鳥鯨肉類なる群から選択される少な
    くとも1種を用いる請求項9記載の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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