JP2002131424A - レーダ探査方法およびこれを用いるレーダ型探査装置 - Google Patents

レーダ探査方法およびこれを用いるレーダ型探査装置

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JP2002131424A
JP2002131424A JP2000329585A JP2000329585A JP2002131424A JP 2002131424 A JP2002131424 A JP 2002131424A JP 2000329585 A JP2000329585 A JP 2000329585A JP 2000329585 A JP2000329585 A JP 2000329585A JP 2002131424 A JP2002131424 A JP 2002131424A
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reflected wave
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radar
wave component
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JP2000329585A
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Hirohisa Furukawa
博久 古川
Yoichi Toguchi
洋一 戸口
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Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーダ探査において、媒質境界面の凹凸形状
や操作者の手ぶれに起因するエアギャップ長の変動があ
る場合でも、高精度な対象物反射波成分及び探査対象物
位置の特定を行う。 【解決手段】 あらかじめ、センサ部2の送波アンテナ
24から電波を自由空間に放射した状態の受波アンテナ
25による受信波形信号を参照波形信号として信号処理
部3の参照信号波形格納部32に格納しておく。次い
で、探査対象物27の探査を行うために、送波アンテナ
24を走査して電波の反射波を受波アンテナ25で受信
して受信波形信号取得部31で取得する。そのときの受
信波形信号に基づいて、境界面反射波成分の判別基準と
なるテンプレートを作成してテンプレート格納部33に
格納する。波形データ処理部34で、探査時の受信波形
信号から、背景成分としての参照波形信号を特定すると
ともに、テンプレートを基準として境界面反射波成分を
特定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電波の送受信によ
って、媒質中の対象物を探査するレーダ探査方法および
これを用いるレーダ型探査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーダ型地中探査装置およびレーダ型構
造探査装置(以下、「レーダ型探査装置」と総称する)
は、地表面や構造物表面のような、探査対象物が隠れて
いる媒質の表面(以下、「媒質境界面」と称する)を走
査しながら、媒質境界面に向けて電波を送信し、媒質内
の探査対象物で反射される反射波を検出することによっ
て、対象物を探査するものである。上記レーダ型探査装
置は、電波の送信から対象物反射波を検出するまでの時
間を解析することによって、探査対象物の存在有無だけ
ではなく、探査対象物までの距離をも測定することがで
きる。
【0003】例えば、レーダ型探査装置の送信及び受信
アンテナを、媒質境界面に沿って移動させながら対象物
反射波を検出する場合、横軸に上記アンテナの移動距
離,縦軸に電波の送信から対象物反射波の受信までの時
間をプロットすると、軌跡は双曲線形状を描くことが知
られている。この双曲線軌跡のピーク位置検出処理や、
複数の双曲線軌跡を合成開口処理等で解析することによ
り、媒質中の探査対象物の水平位置や深さ位置を特定す
ることが可能である。
【0004】上記送信アンテナから媒質境界面に向けて
送信された電波は、一部は媒質境界面を透過して媒質中
の探査対象物により反射されるが、大部分は媒質境界面
にて反射されて上記受信アンテナに受信される。また、
送波アンテナから送信された電波自体(以下、「送波」
と称する)も、まわりこんで受信アンテナに直接受信さ
れる。この結果、受波アンテナは、送波,境界面反射
波,対象物反射波の3種類の電波成分を受信することに
なる。対象物を探査するという目的上、上記3種類の電
波成分のうち、対象物反射波成分のみが重要であり、送
波成分や境界面反射波成分は不要である。むしろ、送波
成分や境界面反射波成分の存在によって、対象物反射波
成分の特定が困難になるおそれがある。
【0005】上記反射波成分のうち、境界面反射波成分
については、送信及び受信アンテナを媒質境界面に密着
走査させながら探査を行えば、受信電波から境界面反射
波成分を除去できるはずである。
【0006】しかし、媒質境界面が平坦でなく草地面や
凹凸形状である場合や、媒質境界面が流体面であるよう
な場合には、上記のような密着走査は困難である。さら
に、探査対象物が地中の地雷や不発弾であるような場合
には、送信及び受信アンテナを媒質境界面に接触させる
ことすら許されない。
【0007】このため、一般には、送信及び受信アンテ
ナと媒質境界面とを離した状態で対象物の探査が行わ
れ、代わりに、各種信号処理によって受波アンテナの受
信波形信号から上記送波および境界面反射波成分を除去
して、対象物反射波成分のみが抽出される。
【0008】上記信号処理の一例として、従来、レーダ
型探査装置を移動させながら受信した電波の全波形を平
均化することによって、標準波形を算出し、実際の測定
波形から上記標準波形を差し引くことによって、定常的
な送波および境界面反射波成分を除去する手法〔参照:
2000年度 次世代デジタル応用基板技術開発事業論
文集 226〜227頁〕や、電波送信後の所定時間に
受信を遮断することにより、送波および境界面反射波成
分を除去する手法〔参照:特開平11−64510号公
報〕が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来手法
には次のような問題点が存在する。
【0010】前述のように、対象物の探査は、一般に送
信アンテナと媒質境界面とを離した状態で行われる。し
たがって、媒質境界面が凹凸形状である場合や、操作者
がレーダ型探査装置を保持しながら移動させる場合に
は、上記凹凸形状や操作者の手ぶれに起因するエアギャ
ップ長の変動、すなわち送信アンテナと境界面との間隔
変動は免れない。
【0011】このようなエアギャップ長の変動が大きい
と、送信アンテナと探査対象物との距離変動や電波伝播
経路長の変動に起因して、測定ポイント毎の測定波形は
大きくばらつく。この結果、上記測定波形の平均波形と
しての上記標準波形は、定常的な送波および境界面反射
波成分を正確に反映せず、実際の測定波形から上記標準
波形を差し引く前記従来手法では、的確な送波および境
界面反射波成分の除去や、対象物反射波成分の抽出は困
難である。同様に、電波送信後の所定時間に受信を遮断
する前記従来手法でも、画一的な遮断時間によって、的
確な送波および境界面反射波成分を除去したり、対象物
反射波成分を抽出することは難しい。
【0012】また、上記エアギャップ長の変動は、対象
物反射波成分の時間軸位置および振幅の変動を引き起し
て、前記双曲線軌跡にゆらぎや乱れを生じ、前記双曲線
軌跡のピーク位置検出や、これに基づいて特定される探
査対象物位置の誤差要因となる。
【0013】上記の問題点を解決するために、空気圧を
適度に調整したタイヤを付けた台車でレーダ型探査装置
を移動させることによってエアギャップ長の変動自体を
抑制する手法〔参照:特開平8−178600号公報〕
や、送信アンテナを回転ドラムに牽引手段で接続し、境
界面が凹凸形状であっても、上記回転ドラムの回転量で
送信アンテナの移動距離や位置を正確に計測することに
よって他の誤差要因を抑制する手法〔参照:特開平6−
235638号公報〕などが提案されている。
【0014】しかし、現在まで、前記エアギャップ長の
変動に起因する、送波および境界面反射波成分の除去精
度並びに対象物反射波成分の抽出精度の悪化や、対象物
反射波成分の時間軸位置および振幅の変動による探査対
象物位置特定の誤差を直接的に解決する手法に関する有
力な提案はなされていない。
【0015】本発明は、以上のような従来手法の問題点
を解決するためになされたもので、その目的は、媒質境
界面の凹凸形状や操作者の手ぶれに起因するエアギャッ
プ長の変動がある場合でも、高精度な対象物反射波成分
及び探査対象物位置の特定を行うレーダ探査方法および
これを用いるレーダ型探査装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るレ
ーダ探査方法は、上記の課題を解決するために、電波を
媒質境界面に送信する送信段階と、上記送信電波の反射
波を受信する受信段階と、規定距離の上記媒質境界面に
電波を送信したときの受信波形信号に基づいて、境界面
反射波成分の判別基準となるテンプレートを作成するテ
ンプレート作成段階と、上記テンプレートを基準とし
て、探査時の受信波形信号から境界面反射波成分を特定
する境界面反射波特定段階とを備えることを特徴として
いる。
【0017】上記の構成によれば、電波の送受信手段と
媒質との距離を既知とした状態で、受信波形信号からテ
ンプレートが作成され、該テンプレートを基準として境
界面反射波成分の物理的特性を特定することにより、探
査時の受信波形信号から境界面反射波成分が特定され
る。本発明は、上記テンプレートを基準として境界面反
射波成分を判別及び特定するものであり、上記受信波形
信号から境界面反射波成分を除去するか否かは任意であ
る。
【0018】これにより、媒質境界面の凹凸形状や操作
者の手ぶれに起因するエアギャップ長の変動がある場合
でも、境界面反射波成分の特定は的確に行われ、この結
果高精度な対象物反射波成分及び探査対象物位置の特定
を行うことができる。
【0019】請求項2の発明に係るレーダ探査方法は、
上記の課題を解決するために、請求項1の構成におい
て、上記テンプレートは、上記境界面反射波成分の時間
軸位置−振幅特性に関する情報であることを特徴として
いる。
【0020】上記の構成によれば、電波の送受信手段と
媒質との距離が既知の状態における受信波形信号から作
成される前記テンプレートは、上記境界面反射波成分の
時間軸位置−振幅特性に関する情報であるので、このテ
ンプレートを用いることにより、各測定ポイント単独の
探査時受信波形信号の時間軸位置と振幅との相関に基づ
いて、探査時の受信波形信号から境界面反射波成分が特
定される。
【0021】これにより、請求項1の作用効果に加え
て、各測定ポイント単独の探査時受信波形信号の時間軸
位置と振幅との相関に基づいて、境界面反射波成分の特
定が的確に行われ、高精度かつ簡便に、対象物反射波成
分及び探査対象物位置の特定を行うことができる。
【0022】請求項3の発明に係るレーダ探査方法は、
上記の課題を解決するために、請求項1または2の構成
において、上記境界面反射波特定段階では、上記受信波
形信号を上記テンプレートに応じた利得で増幅し、増幅
後の波形信号としきい値とを比較することを特徴として
いる。
【0023】上記の構成によれば、上記受信波形信号を
上記テンプレートに応じた利得で増幅することによっ
て、例えば、前記境界面反射波成分を相対的に小さく、
前記対象物反射波成分を相対的に大きくするような利得
制御が行われる。この場合、増幅後の波形信号における
振幅値と所定のしきい値とを比較することにより、上記
受信波形信号及び上記増幅後波形信号における、媒質境
界面反射波成分と対象物反射波成分とが分離される。
【0024】これにより、請求項1または2の作用効果
に加えて、しきい値調整によって、前記対象物反射波成
分及び探査対象物位置の特定精度を自在に調節すること
が可能であり、環境に応じた検出感度を設定できる。
【0025】請求項4の発明に係るレーダ探査方法は、
上記の課題を解決するために、請求項1乃至3のいずれ
か1項の構成において、自由空間に電波を送信したとき
の上記受信波形信号を参照波形信号として取得する参照
波形信号取得段階と、上記参照波形信号を基準として、
探査時の受信波形信号から背景成分を特定する背景特定
段階とを備えることを特徴としている。
【0026】上記の構成において、自由空間とは、上記
送信電波を反射する構成が何ら存在しない空間をいい、
背景成分とは、上記受信波形信号において、前記対象物
反射波成分や境界面反射波成分を特定する際の背景成分
となる前記送波成分や定常的なノイズ成分をいう。
【0027】上記の構成によれば、自由空間に電波を送
信したときの上記受信波形信号、つまり反射波成分を含
まない受信波形信号が参照波形信号と取得され、この参
照波形信号を基準として、背景成分、すなわち送信手段
から送信され直接的に受信手段に受信される送波成分や
定常的なノイズ成分が特定される。本発明は、上記受信
波形信号から背景成分を特定するものであり、上記受信
波形信号から背景成分を除去するか否かは任意である。
【0028】これにより、請求項1乃至3のいずれか1
項の作用効果に加えて、受信波形信号から境界面反射波
成分だけでなく、背景成分の特定も行われるため、受信
波形信号から対象物反射波成分及び探査対象物位置の特
定をより高精度に行うことができる。
【0029】請求項5の発明に係るレーダ探査方法は、
上記の課題を解決するために、電波を媒質に送信する送
信段階と、上記送信電波の反射波を受信する受信段階
と、高さ基準からの高さと媒質境界面からのエアギャッ
プ長との少なくとも一方を検出する検出段階と、上記検
出結果に基づいて、対象物探査時における上記受信波形
信号の時間軸位置を補正する補正段階とを備えることを
特徴としている。
【0030】上記の構成において、高さとは高さ基準か
ら送受信手段までの距離情報をあらわし、エアギャップ
長とは媒質境界面から送受信手段までの距離情報をあら
わす。
【0031】上記の構成によれば、上記高さとエアギャ
ップ長との少なくとも一方に基づいて、上記受信段階で
受信された受信波形信号における、媒質境界面の凹凸形
状や操作者の手ぶれに起因する時間軸位置の乱れが補正
される。例えば、上記高さに基づけば、上記操作者の手
ぶれに起因する時間軸位置の乱れを補正できる一方、上
記エアギャップ長に基づけば、上記操作者の手ぶれと上
記媒質境界面の凹凸形状とのいずれかに起因する時間軸
位置の乱れを補正できる。また、上記高さ及びエアギャ
ップ長に基づけば、上記操作者の手ぶれと上記媒質境界
面の凹凸形状とが併存する場合であっても、これらに起
因する時間軸位置の乱れを補正可能である。このような
補正の結果、横軸に送受信手段の移動距離,縦軸に電波
の送信から対象物反射波成分の受信までの時間をプロッ
トすると、軌跡は正確な双曲線形状を描くようになる。
【0032】これにより、媒質境界面の凹凸形状や操作
者の手ぶれに起因するエアギャップ長の変動がある場合
でも、上記双曲線軌跡を解析して、高精度な対象物反射
波成分及び探査対象物位置の特定を行うことができる。
【0033】請求項6の発明に係るレーダ探査方法は、
上記の課題を解決するために、請求項5の構成におい
て、上記エアギャップ長の検出は、上記電波の送受信結
果に基づいて行われることを特徴としている。
【0034】上記の構成によれば、特別の構成を用いる
ことなく、対象物を探査するための電波の送受信結果自
体によって、上記エアギャップが検出される。例えば、
電波の送信から前記境界面反射波が受信されるまでの経
過時間と、電波の伝播速度とに基づいて上記エアギャッ
プを算出することができる。
【0035】これにより、請求項5の作用効果に加え
て、レーダ探査手段は、エアギャップ長を検出するため
の特別の構成を備える必要がないため、その構成を簡易
かつ安価なものとすることができる。
【0036】請求項7の発明に係るレーダ型探査装置
は、上記の課題を解決するために、請求項1乃至6のい
ずれか1項に記載のレーダ探査方法を用いて、媒質中の
対象物を探査することを特徴としている。
【0037】これにより、上記レーダ型探査装置は、請
求項1乃至6に記載と同様の作用効果を奏するものであ
り、例えば、媒質境界面の凹凸形状や操作者の手ぶれに
起因するエアギャップ長の変動がある場合でも、高精度
な対象物反射波成分及び探査対象物位置の特定を行うこ
とができる。
【0038】請求項8の発明に係るレーダ型探査装置
は、上記の課題を解決するために、請求項7の構成にお
いて、手持ち走査可能な携帯型であることを特徴として
いる。
【0039】これにより、請求項7の作用効果に加え
て、手持ち走査時における操作者の手ぶれに起因するエ
アギャップ長の変動がある場合でも、高精度な対象物反
射波成分及び探査対象物位置の特定を行うことができ
る。
【0040】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明の実施の
一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通
りである。
【0041】図1は、本発明の一実施形態に係るレーダ
システム1(レーダ型探査装置)の基本構成を示すブロ
ック図である。レーダシステム1は、手持ち走査可能な
携帯型の構成であり、図1に示されるように、センサ部
2,信号処理部3,位置演算・表示部4から構成されて
いる。
【0042】センサ部2には、レーダ21,センサ部2
の水平位置情報を得る水平位置情報取得部22,高さ基
準からセンサ部2までの高さ情報を得る高さ取得部23
a,センサ部2と媒質境界面26との間隔情報を得るエ
アギャップ長取得部23bが備えられている。
【0043】また、センサ部2のレーダ21には、送波
アンテナ24及び受波アンテナ25が備えられており、
送波アンテナ24から送信される電波は、周波数2MH
z(メガヘルツ),周期500nsのパルス波である。
送波アンテナ24及び受波アンテナ25は、媒質境界面
26の面積1cm2 あたり500発の上記パルス波を送
信する走査速度で水平に走査される。媒質境界面26や
探査対象物27にて反射された上記電波は受波アンテナ
25により受信される。受波アンテナ25で受信された
受信波はデジタル信号に変換された後、信号処理部3の
受信波形信号取得部31に伝送される。
【0044】高さ取得部23aとしては、前記高さ基準
に設置された送信機から送信される磁気,電波,光,超
音波等の各種信号を受信する距離センサや、内蔵するジ
ャイロや加速度センサにてセンサ部2の移動量を自律的
に検知することにより、上記高さ基準からのセンサ部2
の高さを検出する検出回路など、任意の構成を採用する
ことができる。
【0045】また、エアギャップ長取得部23bとして
は、送波アンテナ24から送信する電波と別に、光,電
波,超音波等を発してセンサ部2と媒質境界面26との
距離を測定する各種距離センサの他、レーダ21から送
信された電波の送受信結果に基づいて、例えば、送波ア
ンテナ24による電波の送信から受波アンテナ25で前
記境界面反射波が受信されるまでの経過時間と、電波の
伝播速度とに基づいて、上記エアギャップ長を算出する
構成を採用することができる。後者のエアギャップ長取
得部23bを採用すれば、レーダシステム1は、エアギ
ャップ長を検出するための特別の構成を備える必要がな
いため、その構成を簡易かつ安価なものとすることがで
きる。
【0046】信号処理部3には、デジタル信号化され
た、各測定ポイントにおける受信波形信号を格納する受
信波形信号取得部31,該受信波形信号から送波成分を
特定するための参照波形信号(以下、「参照波形信号R
ef」と称する)を取得及び格納する参照波形信号格納
部32,上記受信波形信号から境界面反射波成分を特定
するためのテンプレート(以下、「テンプレートTem
(t)」と称する)を作成及び格納するテンプレート格
納部33,参照波形信号Ref及びテンプレートTem
(t)に基づいて、探査時の上記受信波形信号を加工処
理する波形データ処理部34が備えられている。本実施
形態において、テンプレートTem(t)は、境界面反
射波成分の時間軸位置−振幅特性に関する情報である。
【0047】位置演算・表示部4には、複数の測定ポイ
ントにおける上記受信波形信号を配列データとして生成
及び格納する波形データアレイ生成部41,波形データ
アレイ生成部41に格納された受信波形信号を解析及び
処理することにより探査対象物の位置を算出する対象物
位置演算部42,上記受信波形信号や上記算出位置を表
示する表示部43が備えられている。対象物位置演算部
42は、波形データアレイ生成部41に格納された受信
波形信号を、横軸に送波アンテナ24及び受波アンテナ
25の移動距離,縦軸に電波の送信から対象物反射波成
分の受信までの時間を図略のメモリ上にプロットして双
曲線形状の軌跡を特定し、この双曲線軌跡のピーク位置
検出処理や、複数の双曲線軌跡を合成開口処理等で解析
することにより、媒質中の探査対象物27の水平位置や
深さ位置を特定する任意の公知構成である。
【0048】次に、本発明に係るレーダシステム1の信
号処理例について説明する。本信号処理例は、図2に示
されるように、5段階のステップ(S1〜S5)から構
成されており、図1の部材番号を用いて、上記ステップ
の処理内容を順に説明する。
【0049】S1では、参照波形信号格納部32は、送
波アンテナ24(図1参照)の電波送信先を自由空間、
すなわち反射物が何ら存在しない空間とした状態の受波
アンテナ25による受信波形信号を参照波形信号Ref
として取得する。また、テンプレート格納部33は、送
波アンテナ24が媒質境界面26から規定距離だけ離さ
れたときの受波アンテナ25による受信波形信号に基づ
いてテンプレートTem(t)を作成及び格納する。参
照波形信号格納部32及びテンプレート格納部33が、
あらかじめ参照波形信号Ref及びテンプレートTem
(t)を固定データとして格納済の場合、測定時には本
ステップS1を省略しても良い。なお、テンプレート格
納部33によるテンプレートTem(t)の作成処理の
詳細については後述する。
【0050】S2では、レーダシステム1は、送波アン
テナ24を走査しながら対象物の探査を行い、対象測定
ポイントにおける受波アンテナ25の受信波形信号を受
信波形信号取得部31に格納する。受信波形信号取得部
31に格納された受信波形信号(以下、「受信波形信号
a (t)」と称する)は、送波アンテナ24から送信
された電波そのものである送波成分,送波アンテナ24
から送信された電波が媒質境界面26で反射された境界
面反射波成分,送波アンテナ24から送信された電波が
探査対象物27で反射された対象物反射波成分を含んで
いる。
【0051】また、S2では、高さ取得部23aによっ
て、適宜設定された高さ基準からセンサ部2までの高さ
を、エアギャップ長取得部23bによってセンサ部2と
媒質境界面26との間隔情報を、水平位置情報取得部2
2によってセンサ部2の水平位置情報や水平移動距離情
報をそれぞれ取得する。
【0052】上記高さとは、高さ基準からセンサ部2ま
での距離情報をあらわし、上記エアギャップ長とは、媒
質境界面26からセンサ部2までの距離情報をあらわ
す。すなわち、上記高さは媒質境界面26の凹凸形状に
依存せず、上記エアギャップ長は媒質境界面26の凹凸
形状によって変動する。一方、上記高さ,上記エアギャ
ップ長共に、レーダシステム1及びセンサ部2を保持す
る操作者の手ぶれに起因して変動する。
【0053】S3では、波形データ処理部34は、S1
で取得した参照波形信号Refを差し引くことにより、
受信波形信号fa (t)から背景成分を特定及び除去す
る。背景成分とは、受信波形信号fa (t)において、
前記対象物反射波成分や境界面反射波成分を特定する際
の背景成分となる前記送波成分や定常的なノイズ成分を
いう。上記背景成分除去後の受信波形信号(以下、「受
信波形信号fb (t)」と称する)には、前記境界面反
射波成分および対象物反射波成分のみが含まれることに
なる。
【0054】S4では、S1で取得したテンプレートT
em(t)を用いて、各測定ポイントに対応する受信波
形信号fb (t)から境界面反射波成分を特定し、受信
波形信号fb (t)から境界面反射波成分を除去した受
信波形信号(以下、「受信波形信号fc (t)」と称す
る)を作成する。この結果、受信波形信号fc (t)に
は対象物反射波成分のみが含まれることになる。
【0055】これにより、媒質境界面26の凹凸形状や
操作者の手ぶれに起因するエアギャップ長の変動がある
場合でも、境界面反射波成分の特定は的確に行われ、こ
の結果、高精度な対象物反射波成分及び探査対象物位置
の特定を行うことができる。なお、受信波形信号f
b (t)から境界面反射波成分を特定及び除去する処理
の詳細については後述する。
【0056】S5では、受信波形信号fc (t)の時間
軸位置を、S2で取得した前記高さ,エアギャップ長に
基づいて補正する。補正後の受信波形信号(以下、「受
信波形信号fd (t)」と称する)は、対象物反射波成
分のみを含み、該対象物反射波成分の時間軸上の位置
は、探査対象物27との距離に正確に対応する。なお、
上記時間軸位置補正の詳細については後述する。
【0057】レーダシステム1は、測定ポイントを順次
走査しながら、波形信号処理フローとして、前記S2〜
S5の処理を繰り返す。なお、上記信号処理例では、前
記S2における受信波形信号fa (t)の格納後に、前
記S3〜S5の各処理を行うものとしたが(図2のフロ
ーチャートにおける)、1測定ポイントについてS2
における受信波形信号fa (t)の格納によるデータ取
得が行われる毎に前記S3〜S5の各処理を繰り返すよ
うにしてもよい(図2のフローチャートにおける)。
また、前記S3〜S5の処理は、図3に示されるよう
に、信号処理部3で行われる。
【0058】前記S2〜S5の終了後、波形データアレ
イ生成部41は、受信波形信号fd(t)をS2で取得
した前記水平位置情報に対する配列データとして生成及
び格納し、対象物位置演算部42は、上記配列データを
用いて、探査対象物27の位置演算を行う。
【0059】このように、前記S2〜S5の処理が施さ
れた結果、媒質境界面26の凹凸形状や操作者の手ぶれ
に起因するエアギャップ長の変動がある場合でも、対象
物反射波成分の特定は容易となる。また、横軸に前記S
2で取得したセンサ部2の水平移動距離,縦軸に受信波
形信号fd (t)に含まれる対象物反射波成分の時間軸
位置、すなわち電波の送信から対象物反射波成分受信ま
での時間をプロットすると、軌跡は正確な双曲線形状を
描くようになる。これにより、対象物位置演算部42
は、媒質境界面26の凹凸形状や操作者の手ぶれに起因
するエアギャップ長の変動があっても、上記双曲線軌跡
を解析して、高精度な対象物反射波成分及び探査対象物
27の位置を特定することができる。
【0060】次に、前記S1におけるテンプレートTe
m(t)の作成処理,前記S4における境界面反射波成
分の特定及び除去処理,前記S5における受信波形信号
c(t)の時間軸位置補正処理について順に詳述す
る。
【0061】第1に、前記S1におけるテンプレートT
em(t)の作成処理の詳細について説明する。
【0062】前述の通り、本実施形態において、境界面
反射波成分を特定するためのテンプレートTem(t)
は、境界面反射波成分の時間軸位置−振幅特性に関する
情報から構成されている。
【0063】テンプレートTem(t)は、境界面反射
波の物理的特性に基づいて次のように定められる。媒質
境界面26で反射される境界面反射波は、全方位に均等
に拡散するため、その振幅Eは媒質境界面26からの距
離Rの4乗に反比例する。また、空気中における境界面
反射波の速度は一定であるので、媒質境界面26からの
距離Rは反射されてからの経過時間tに比例し、結局、
境界面反射波の振幅Eは、反射からの経過時間tの4乗
に反比例することになる。これを数式で表現すれば、次
の(1)式となり、(1)式の2曲線によって挟まれた
領域を、境界面反射波を特定するためのテンプレートT
em(t)とすることができる。
【0064】E(t)=±k/t4 ・・・ (1) (1)式において、kは媒質境界面26の物性値である
反射率に依存する比例定数である。(1)式を書き換え
れば、次の(2)式が得られる。
【0065】k=±E(t)×t4 ・・・ (2) (2)式より、比例定数kは、反射からの経過時間t
と、経過時間tにおける境界面反射波の振幅E(t)と
から算出されることがわかる。前述の通り、比例定数k
は媒質境界面26の物性値に依存するため、本実施形態
では、実測定、具体的には規定距離の媒質境界面26に
電波を送信したときの受信波形信号(以下、「受信波形
信号ft 」と称する)に基づいて算出する。
【0066】図4(a)(b)を用いて、比例定数kの
具体的算出手順を説明する。
【0067】まず、同図(a)に示されるように、送波
アンテナ24を媒質境界面26から所定距離Hc だけ離
した状態で、送波アンテナ24から媒質境界面26に電
波を送信して、受波アンテナ25により同図(b)に示
される受信波形信号ft を取得する。次に、前記S3と
同様の手順により、受信波形信号ft から背景成分を特
定及び除去する。
【0068】背景成分除去後の受信波形信号f’t にお
いて、時間軸上最初に現れる振幅ピーク値(以下、「1
stピーク値」と称する)EP (tP )を検出する。受
信波形信号f’t における、1stピーク値E
P (tP )を含む波形成分は媒質境界面26により反射
された境界面反射波成分であり、その1stピーク値E
P (t P )及びその時間軸位置tP を(2)式に代入す
ることにより、比例定数kの具体値が算出される。算出
された比例定数kの具体値を(1)に代入することによ
り、テンプレートTem(t)が具体的に作成される。
【0069】このようにして作成されたテンプレートT
em(t)を用いることにより、各測定ポイント単独の
受信波形信号fb (t)の時間軸位置と振幅との相関に
基づいて、受信波形信号fb (t)から境界面反射波成
分が特定される。
【0070】第2に、前記S4における、テンプレート
Tem(t)を用いて、受信波形信号fb (t)から境
界面反射波成分を特定及び除去する処理の詳細について
説明する。図5は、上記処理手順の一例を説明する信号
処理フローを示す説明図である。
【0071】まず、前記S3にて背景成分を除去された
受信波形信号fb (t)の1stピーク値EP (tP
を検出する。その後、1stピーク値EP (tP )とテ
ンプレートTem(t)の範囲値とを比較する。
【0072】上記比較の結果、図6(a)に示されるよ
うに、1stピーク値EP (tP )がテンプレートTe
m(t)の範囲内であれば、1stピーク値E
P (tP )を含む波形成分を境界面反射波成分とみなし
て、1stピーク値EP (tP )に対応するピーク時間
P の前後wの時間幅領域(tP −w≦t≦tP +w)
の受信波形信号fb (t)をマスク、つまり0にするこ
とにより、対象物反射波成分のみが含まれる受信波形信
号fc (t)を生成する。換言すれば、上記テンプレー
トTem(t)を基準として、境界面反射波成分が特定
された場合に、上記境界面反射波成分のピーク時間tP
を中心とした、残響が継続する時間幅wの上記受信波形
信号fb (t)に0を代入する。
【0073】一方、上記比較の結果、図6(b)に示さ
れるように、受信波形信号fb (t)の1stピーク値
がテンプレートTem(t)の範囲外であれば、媒質境
界面26またはその近傍に探査対象物27が位置してお
り、1stピーク値EP (t P )を含む波形成分は対象
物反射波成分であるとみなして、受信波形信号f
b (t)をそのまま受信波形信号fc (t)とする。こ
の場合、受信波形信号fc (t)において、1stピー
ク値を含む波形成分は対象物反射波成分として特定され
る。
【0074】次に、図7を用いて、前記S4における、
テンプレートTem(t)を用いた境界面反射波成分の
特定及び除去処理の更なる例について説明する。
【0075】まず、前記S3にて背景成分を除去された
受信波形信号fb (t)を、次の(3)式であらわされ
る利得G(t)で増幅する。
【0076】 G(t)=A−Tem(t) ・・・ (3) 式(3)において、Aは基準利得の大きさを、Tem
(t)は時間tに対するテンプレートの大きさをあらわ
すため、利得G(t)はテンプレートTem(t)に応
じたものとなっている。受信波形信号fb (t)を利得
G(t)で増幅することにより、前記境界面反射波成分
を相対的に小さく、前記対象物反射波成分を相対的に大
きくするような利得制御が行われる。
【0077】増幅後の受信波形信号fb ’(t)では、
境界面反射波成分は0に近い微小レベルであるから、f
b ’(t)の振幅値と適宜設定するしきい値Thとを比
較して、しきい値Th以下の信号を切り捨てる、つまり
0とすることにより、対象物反射波成分のみが含まれる
受信波形信号fc (t)が得られる。本利得制御手法に
よれば、しきい値Thの調整によって、前記対象物反射
波成分及び探査対象物27の位置の特定精度を自在に調
節することが可能であり、環境に応じた検出感度を設定
できる。
【0078】ただし、媒質境界面26またはその近傍に
探査対象物27が位置する場合には、境界面反射波成分
はしきい値Th以下とならず、上記切り捨て処理後も、
受信波形信号fc (t)に境界面反射波成分が残存する
ことがある。
【0079】第3に、前記S5における、受信波形信号
c (t)の時間軸位置補正処理について詳細に説明す
る。
【0080】前述のように、前記S1〜S4(図2参
照)の各処理によって、受信波形信号fc (t)は、対
象物反射波成分のみを含んでいる。しかし、受信波形信
号fc(t)及び対象物反射成分の時間軸位置は、媒質
境界面26の凹凸形状やレーダシステム1及びセンサ部
2を保持する操作者の手ぶれに起因する前記エアギャッ
プ長及び電波伝搬経路長の変動によって、測定ポイント
毎に変動している。前記S5では、このような受信波形
信号fc (t)及び対象物反射成分の時間軸位置の変動
を消去するように、前記S2で取得した前記高さ,エア
ギャップ長に基づいて補正する。
【0081】図8を用いて、具体的補正方法を説明すれ
ば次の通りである。
【0082】まず、位置Aで静止させた状態のセンサ部
2及びの前記高さ基準からの高さを静止時高さH0 ,媒
質境界面26から探査対象物27までの距離を深さdと
する。レーダシステム1及びセンサ部2を支持及び走査
する操作者の手ぶれに起因する高さ変化量をΔHとし
て、前記高さ基準からセンサ部2までの高さは、位置A
のH0 から位置Bの(H0 +ΔH)に変化するものとす
る。位置Aの直下においては、媒質境界面26と上記高
さ基準とは一致しているが、位置Bの直下においては、
媒質境界面26は凹凸形状によって、上記高さ基準より
Δhだけ高くなっている。
【0083】位置Aのセンサ部2から送信された電波が
探査対象物27に反射されて、センサ部2に帰るまでの
時間をTa ,空中の電波伝搬速度をV1 ,媒質中の電波
伝搬速度V2 とすれば、次の(4)式が成立する。
【0084】 Ta =2(H0 /V1 +d/V2 ) ・・・ (4) 同様に、位置Bのセンサ部2から送信された電波が探査
対象物27に反射されて、センサ部2に帰るまでの時間
をTb とすれば、次の(5)式が成立する。
【0085】 Tb =2[(H0 +ΔH−Δh)/V1 +(d+Δh)/V2 ]・・・(5) したがって、レーダシステム1及びセンサ部2を保持す
る操作者の手ぶれによって、センサ部2が位置Aから位
置Bに移動する場合、センサ部2から送信された電波が
探査対象物27に反射されてセンサ部2に帰るまでの時
間は、次の(6)式であらわされるΔTだけ変化するこ
とになる。
【0086】 ΔT=Tb −Ta =2[(ΔH−Δh)/V1 +Δh/V2 ]・・・(6) 媒質境界面26を境界面とする媒質が土の場合、V2
1 /3であることが知られており、V2 =V1 /3を
(6)式に代入すると、次の(7)式が得られる。
【0087】 ΔT=2(ΔH+2Δh)/V1 ・・・ (7) したがって、前記S2で取得する高さ測定値H(=H0
+ΔH),エアギャップ長測定値h(=H−Δh)を用
いて(7)式を変形すれば、媒質境界面26の凹凸形状
やレーダシステム1及びセンサ部2を保持する操作者の
手ぶれに起因する受信時間のずれΔTは、次の(8)式
であらわせる。
【0088】 ΔT=2(3H−2h−H0 )/V1 ・・・ (8) すなわち、媒質境界面26の凹凸形状やレーダシステム
1及びセンサ部2を保持する操作者の手ぶれによって、
センサ部2が位置Aから位置Bに移動する場合、受信波
形信号fc (t)の時間軸位置はΔTだけずれることに
なる。したがって、受信波形信号fc (t)及び対象物
反射成分の時間軸位置の変動を消去するように補正する
には、fc (t)の時間軸位置を−ΔTずらせばよい。
この結果、補正後の受信波形信号fd (t)=fc (t
−ΔT)及びこれに含まれる対象物反射波成分の時間軸
位置は、センサ部2と探査対象物27との距離に正確に
対応したものになる。
【0089】これにより、前述の通り、横軸に前記S2
で取得したセンサ部2の水平移動距離,縦軸に受信波形
信号fd (t)に含まれる対象物反射波成分の時間軸位
置をプロットすると、軌跡は正確な双曲線形状を描くよ
うになる。この結果、対象物位置演算部42は、媒質境
界面26の凹凸形状や操作者の手ぶれに起因するエアギ
ャップ長の変動がある場合も、上記双曲線軌跡を解析す
ることにより、探査対象物27の位置を高精度に特定す
ることができる。
【0090】なお、上記説明では、前記S2で取得する
高さ測定値Hとエアギャップ長測定値hとの両者に基づ
いて、操作者の手ぶれ及び媒質境界面26の凹凸形状に
起因する時間軸位置の乱れを補正する場合を説明した
が、本発明の時間軸補正はこれに限られるものではな
い。
【0091】例えば、媒質境界面26が完全に平坦であ
る場合には、高さ測定値Hとエアギャップ長測定値hと
のいずれかのみに基づいて、上記操作者の手ぶれに起因
する時間軸位置の乱れを補正できる。この場合、(7)
式においてΔh=0であるから、前記受信時間のずれΔ
Tは、次の(9)式であらわせる。
【0092】 ΔT=2(H−H0 )/V1 ・・・ (9) (9)式では、前記受信時間のずれΔTを高さ測定値H
を用いてあらわしたが、媒質境界面26が完全に平坦で
ある場合、高さ測定値Hとエアギャップ長測定値hとは
一致するか、一定の差のみを有する。したがって、エア
ギャップ長測定値hを用いて、前記受信時間のずれΔT
を算出することもできる。
【0093】一方、例えば、機械式走査によって、前記
手ぶれが全く生じない場合には、エアギャップ長測定値
hのみに基づいて、上記操作者の手ぶれに起因する時間
軸位置の乱れを補正できる。この場合、(7)式におい
てΔH=0であるから、前記受信時間のずれΔTは、次
の(10)式であらわせる。
【0094】ΔT=4Δh/V1 ・・・ (10) (10)式において、前記手ぶれが全く生じない場合に
は、Δhはエアギャップ長測定値hの変化量をあらわす
から、エアギャップ長測定値hを用いて、前記受信時間
のずれΔTが算出される。
【0095】次に、図9乃至11を用いて、レーダシス
テム1の信号処理部3による信号処理の結果について説
明する。
【0096】まず、図9(a)〜(d)を用いて、いわ
ゆる均一スキャン時における信号処理の結果について説
明する。
【0097】図9(b)〜(d)は、同図(a)に示さ
れるように、媒質境界面26の凹凸形状と、レーダシス
テム1及びセンサ部2を保持する操作者の手ぶれとがい
ずれもない状態、いわゆる均一スキャンの状態で測定ポ
イントP1 〜P5 を走査しながら、媒質中の探査対象物
27を探査する場合の受信波形信号fa (t),f
b(t),fd (t)をそれぞれ示す説明図である。こ
の場合、各測定ポイントにおける前記高さ及びエアギャ
ップ長は共に一定である。
【0098】図9(b)には、横軸を時間軸,縦軸を振
幅軸として、測定ポイントP1 〜P 5 における、前記S
2で受信波形信号取得部31に格納された受信波形信号
a(t)が上記測定ポイント毎に列挙されている。前
述のように、受信波形信号f a (t)は、3種類の波形
成分を含んでおり、図中左すなわち時間軸上早い位置か
ら前記送波成分,境界面反射波成分,対象物反射波成分
である。
【0099】図9(b)によれば、前記送波成分及び境
界面反射波成分の時間軸位置は、等間隔に並ぶ全測定ポ
イントP1 〜P5 で同一であるのに対し、前記対象物反
射波成分の時間軸位置は、探査対象物27上の測定ポイ
ントP3 を対称点として変化していることがわかる。こ
の変化は、同図(a)に示されるように、前記エアギャ
ップ長及び高さ共に一定の状態で媒質境界面26を走査
する場合であっても、センサ部2の送波アンテナ24か
ら送信された電波が受波アンテナ25で受信されるまで
に通過する伝搬経路長は、センサ部2が測定ポイントP
1 から測定ポイントP5 まで水平移動するに従って変化
することに対応したものである。
【0100】図9(c)には、横軸を時間軸,縦軸を振
幅軸として、測定ポイントP1 〜P 5 における、前記S
3で受信波形信号fa (t)から背景成分を除去された
受信波形信号fb (t)が上記測定ポイント毎に列挙さ
れている。前述のように、境界面反射波成分を除去され
た受信波形信号fb (t)には、境界面反射波成分,対
象物反射波成分の2種類の波形成分のみが含まれてい
る。
【0101】図9(d)には、横軸を時間軸,縦軸を振
幅軸として、測定ポイントP1 〜P 5 における、前記S
5で受信波形信号fc (t)の時間軸位置を前記高さ,
エアギャップ長に基づいて補正された受信波形信号fd
(t)が上記測定ポイント毎に列挙されている。前述の
ように、受信波形信号fd (t)には、時間軸位置を補
正された対象物反射波成分のみが含まれている。
【0102】図9(d)と同図(b)(c)とを比較す
ると、各測定ポイント間における、対象物反射波成分の
時間軸位置の差は、本発明のレーダシステム1の信号処
理部3の信号処理に殆ど影響を受けないことがわかる。
これは、図9(a)〜(d)は、いわゆる均一スキャン
の状態で測定ポイントP1 〜P5 を走査しながら、媒質
中の探査対象物27を探査する場合をあらわしており、
各測定ポイント間における、対象物反射波成分の時間軸
位置の差は、センサ部2の水平移動量にのみ依存するか
らである。
【0103】図9(d)では、等間隔に並ぶ測定ポイン
トP1 〜P5 における受信波形信号fd (t)を上から
順に列挙しており、各対象物反射波成分の時間軸位置、
特にその振幅ピークの時間軸位置は双曲線形状を描くこ
とがわかる。各測定ポイントの間隔を一般化した場合で
も、横軸に前記S2で取得したセンサ部2の水平移動距
離,縦軸に受信波形信号fd (t)に含まれる対象物反
射波成分の時間軸位置をプロットすると、軌跡は正確な
双曲線形状を描く。このことは、受信波形信号f
d (t)に含まれる対象物反射波成分の時間軸上の位置
は、探査対象物27との距離に正確に対応することを示
している。これにより、対象物位置演算部42は、上記
双曲線軌跡を解析して、探査対象物27の位置を高精度
に特定することができる。
【0104】次に、図10(a)〜(d)を用いて、い
わゆる手ぶれスキャン時における信号処理の結果につい
て説明する。
【0105】図10(b)〜(d)は、同図(a)に示
されるように、媒質境界面26の凹凸形状はないが、レ
ーダシステム1及びセンサ部2を保持する操作者の手ぶ
れが生じている状態、いわゆる手ぶれスキャンの状態に
おいて、測定ポイントP1 〜P5 を走査しながら、媒質
中の探査対象物27を探査する場合の受信波形信号f a
(t),fb (t),fd (t)をそれぞれ示す説明図
である。この場合、各測定ポイントにおける前記高さ及
びエアギャップ長は共に不均一となる。
【0106】図10(b)には、横軸を時間軸,縦軸を
振幅軸として、測定ポイントP1 〜P5 における受信波
形信号fa (t)が上記測定ポイント毎に列挙されてい
る。前述のように、受信波形信号fa (t)は、3種類
の波形成分を含んでおり、図中左すなわち時間軸上早い
位置から前記送波成分,境界面反射波成分,対象物反射
波成分である。
【0107】図10(b)によれば、前記送波成分及び
境界面反射波成分の時間軸位置は、等間隔に並ぶ全測定
ポイントP1 〜P5 で同一であるのに対し、前記対象物
反射波成分の時間軸位置は、測定ポイント毎に変化して
いる。この変化は、同図(a)に示されるように、セン
サ部2が測定ポイントP1 から測定ポイントP5 まで水
平移動するに従って、電波の伝搬経路長が変化すること
に対応したものである。
【0108】しかし、図9(b)に示された均一スキャ
ンの場合と異なり、等間隔に並ぶ測定ポイントP1 〜P
5 における受信波形信号fa (t)の対象物反射波成分
の時間軸位置は正確な双曲線形状を描いていない。これ
は、前記手ぶれ現象のため、図10(a)に示されるよ
うに、センサ部2の送波アンテナ24から送信された電
波が、受波アンテナ25で受信されるまでに通過する伝
搬経路長は、センサ部2の水平移動だけでなく、不均一
な前記高さ及びエアギャップ長にも依存しているからで
ある。
【0109】図10(c)には、横軸を時間軸,縦軸を
振幅軸として、測定ポイントP1 〜P5 における受信波
形信号fb (t)が上記測定ポイント毎に列挙されてい
る。前述のように、境界面反射波成分を除去された受信
波形信号fb (t)には、境界面反射波成分,対象物反
射波成分の2種類の波形成分のみが含まれている。
【0110】図10(d)には、横軸を時間軸,縦軸を
振幅軸として、測定ポイントP1 〜P5 における受信波
形信号fd (t)が上記測定ポイント毎に列挙されてい
る。前述のように、受信波形信号fd (t)には、時間
軸位置を補正された対象物反射波成分のみが含まれてい
る。
【0111】図10(d)と同図(b)(c)とを比較
すると、同図(b)(c)では、測定ポイントP1 〜P
5 の受信波形信号fa (t),fb (t)に含まれる対
象物反射波成分の時間軸位置は正確な双曲線形状を描い
ていないのに対し、同図(d)では、前記S5における
前記高さ,エアギャップ長に基づいた補正処理の結果、
測定ポイントP1 〜P5 の受信波形信号fd (t)に含
まれる対象物反射波成分の時間軸位置、特にその振幅ピ
ークの時間軸位置は正確な双曲線形状を描いている。ま
た、各測定ポイントの間隔を一般化した場合でも、横軸
に前記S2で取得したセンサ部2の水平移動距離,縦軸
に受信波形信号fd (t)に含まれる対象物反射波成分
の時間軸位置をプロットすると、軌跡は正確な双曲線形
状を描く。
【0112】このことは、受信波形信号fd (t)に含
まれる対象物反射波成分の時間軸上の位置は、探査対象
物27との距離に正確に対応することを示している。こ
れにより、対象物位置演算部42は、レーダシステム1
及びセンサ部2を保持する操作者の手ぶれが生じている
状態、いわゆる手ぶれスキャンの状態においても、上記
双曲線軌跡を解析することにより、探査対象物27の位
置を高精度に特定することができる。
【0113】最後に、図11(a)〜(d)を用いて、
媒質境界面26に凹凸形状がある場合における信号処理
の結果について説明する。
【0114】図11(b)〜(d)は、同図(a)に示
されるように、レーダシステム1及びセンサ部2を保持
する操作者の手ぶれはないが、媒質境界面26の凹凸形
状が存在する状態において、測定ポイントP1 〜P5
走査しながら、媒質中の探査対象物27を探査する場合
の受信波形信号fa (t),fb (t),fd (t)を
それぞれ示す説明図である。この場合、各測定ポイント
における前記高さは一定であるが、前記エアギャップ長
は不均一となる。
【0115】図11(b)には、横軸を時間軸,縦軸を
振幅軸として、測定ポイントP1 〜P5 における受信波
形信号fa (t)が上記測定ポイント毎に列挙されてい
る。前述のように、受信波形信号fa (t)は、3種類
の波形成分を含んでおり、図中左すなわち時間軸上早い
位置から前記送波成分,境界面反射波成分,対象物反射
波成分である。
【0116】図11(b)によれば、前記送波成分及び
境界面反射波成分の時間軸位置は、等間隔に並ぶ全測定
ポイントP1 〜P5 で同一であるのに対し、前記対象物
反射波成分の時間軸位置は、測定ポイント毎に変化して
いる。この変化は、同図(a)に示されるように、セン
サ部2が測定ポイントP1 から測定ポイントP5 まで水
平移動するに従って、電波の伝搬経路長が変化すること
に対応したものである。
【0117】しかし、図9(b)に示された均一スキャ
ンの場合と異なり、等間隔に並ぶ測定ポイントP1 〜P
5 における受信波形信号fa (t)の対象物反射波成分
の時間軸位置は正確な双曲線形状を描いていない。これ
は、媒質境界面26の凹凸形状のため、図11(a)に
示されるように、センサ部2の送波アンテナ24から送
信された電波が、受波アンテナ25で受信されるまでに
通過する伝搬経路長は、センサ部2の水平移動だけでな
く、不均一な前記エアギャップ長にも依存しているから
である。
【0118】図11(c)には、横軸を時間軸,縦軸を
振幅軸として、測定ポイントP1 〜P5 における受信波
形信号fb (t)が上記測定ポイント毎に列挙されてい
る。前述のように、境界面反射波成分を除去された受信
波形信号fb (t)には、境界面反射波成分,対象物反
射波成分の2種類の波形成分のみが含まれている。
【0119】図11(d)には、横軸を時間軸,縦軸を
振幅軸として、測定ポイントP1 〜P5 における受信波
形信号fd (t)が上記測定ポイント毎に列挙されてい
る。前述のように、受信波形信号fd (t)には、時間
軸位置を補正された対象物反射波成分のみが含まれてい
る。
【0120】図11(d)と同図(b)(c)とを比較
すると、同図(b)(c)では、測定ポイントP1 〜P
5 の受信波形信号fa (t),fb (t)に含まれる対
象物反射波成分の時間軸位置は正確な双曲線形状を描い
ていないのに対し、同図(d)では、前記S5における
前記高さ,エアギャップ長に基づいた補正処理の結果、
測定ポイントP1 〜P5 の受信波形信号fd (t)に含
まれる対象物反射波成分の時間軸位置、特にその振幅ピ
ークの時間軸位置は正確な双曲線形状を描いている。ま
た、各測定ポイントの間隔を一般化した場合でも、横軸
に前記S2で取得したセンサ部2の水平移動距離,縦軸
に受信波形信号fd (t)に含まれる対象物反射波成分
の時間軸位置をプロットすると、軌跡は正確な双曲線形
状を描く。
【0121】このことは、受信波形信号fd (t)に含
まれる対象物反射波成分の時間軸上の位置は、探査対象
物27との距離に正確に対応することを示している。こ
れにより、対象物位置演算部42は、レーダシステム1
及びセンサ部2を保持する操作者の手ぶれが生じている
状態、いわゆる手ぶれスキャンの状態においても、上記
双曲線軌跡を解析することにより、探査対象物27の位
置を高精度に特定することができる。
【0122】
【発明の効果】請求項1の発明に係るレーダ探査方法
は、以上のように、電波を媒質境界面に送信する送信段
階と、上記送信電波の反射波を受信する受信段階と、規
定距離の上記媒質境界面に電波を送信したときの受信波
形信号に基づいて、境界面反射波成分の判別基準となる
テンプレートを作成するテンプレート作成段階と、上記
テンプレートを基準として、探査時の受信波形信号から
境界面反射波成分を特定する境界面反射波特定段階とを
備える構成である。
【0123】それゆえ、電波の送受信手段と媒質との距
離を既知とした状態で、受信波形信号からテンプレート
が作成され、該テンプレートを基準として、探査時の受
信波形信号から境界面反射波成分が特定される。
【0124】これにより、媒質境界面の凹凸形状や操作
者の手ぶれに起因するエアギャップ長の変動がある場合
でも、境界面反射波成分の特定は的確に行われ、この結
果高精度な対象物反射波成分及び探査対象物位置の特定
を行うことができるという効果を奏する。
【0125】請求項2の発明に係るレーダ探査方法は、
以上のように、請求項1の構成において、上記テンプレ
ートは、上記境界面反射波成分の時間軸位置−振幅特性
に関する情報である構成である。
【0126】それゆえ、前記テンプレートと、各測定ポ
イント単独の探査時受信波形信号の時間軸位置と振幅と
の相関とに基づいて、探査時の受信波形信号から境界面
反射波成分が特定される。
【0127】これにより、請求項1の作用効果に加え
て、各測定ポイント単独の探査時受信波形信号の時間軸
位置と振幅との相関に基づいて、境界面反射波成分の特
定が的確に行われ、高精度かつ簡便に、対象物反射波成
分及び探査対象物位置の特定を行うことができるという
効果を奏する。
【0128】請求項3の発明に係るレーダ探査方法は、
以上のように、請求項1または2の構成において、上記
境界面反射波特定段階では、上記受信波形信号を上記テ
ンプレートに応じた利得で増幅し、増幅後の波形信号と
しきい値とを比較する構成である。
【0129】それゆえ、例えば、前記境界面反射波成分
を相対的に小さく、前記対象物反射波成分を相対的に大
きくするような利得制御が行われ、増幅後の波形信号に
おける振幅値と所定のしきい値とを比較することによ
り、媒質境界面反射波成分と対象物反射波成分とが分離
される。
【0130】これにより、請求項1または2の作用効果
に加えて、しきい値調整によって、前記対象物反射波成
分及び探査対象物位置の特定精度を自在に調節すること
が可能であり、環境に応じた検出感度を設定できるとい
う効果を奏する。
【0131】請求項4の発明に係るレーダ探査方法は、
以上のように、請求項1乃至3のいずれか1項の構成に
おいて、自由空間に電波を送信したときの上記受信波形
信号を参照波形信号として取得する参照波形信号取得段
階と、上記参照波形信号を基準として、探査時の受信波
形信号から背景成分を特定する背景特定段階とを備える
構成である。
【0132】それゆえ、自由空間に電波を送信したとき
の参照波形信号を基準として、背景成分、すなわち送信
手段から送信され直接的に受信手段に受信される送波成
分や定常的なノイズ成分が特定される。
【0133】これにより、請求項1乃至3のいずれか1
項の作用効果に加えて、受信波形信号から境界面反射波
成分だけでなく、背景成分の特定も行われるため、受信
波形信号から対象物反射波成分及び探査対象物位置の特
定をより高精度に行うことができるという効果を奏す
る。
【0134】請求項5の発明に係るレーダ探査方法は、
以上のように、電波を媒質に送信する送信段階と、上記
送信電波の反射波を受信する受信段階と、高さ基準から
の高さと媒質境界面からのエアギャップ長との少なくと
も一方を検出する検出段階と、上記検出結果に基づい
て、対象物探査時における上記受信波形信号の時間軸位
置を補正する補正段階とを備えることを特徴としてい
る。
【0135】それゆえ、上記高さとエアギャップ長との
少なくとも一方に基づいて、上記受信段階で受信された
受信波形信号における、媒質境界面の凹凸形状や操作者
の手ぶれに起因する時間軸位置の乱れが補正され、横軸
に送受信手段の移動距離,縦軸に電波の送信から対象物
反射波成分の受信までの時間をプロットすると、軌跡は
正確な双曲線形状を描くようになる。
【0136】これにより、媒質境界面の凹凸形状や操作
者の手ぶれに起因するエアギャップ長の変動がある場合
でも、上記双曲線軌跡を解析して、高精度な対象物反射
波成分及び探査対象物位置の特定を行うことができると
いう効果を奏する。
【0137】請求項6の発明に係るレーダ探査方法は、
請求項5の構成において、上記エアギャップ長の検出
は、上記電波の送受信結果に基づいて行われる構成であ
る。
【0138】それゆえ、対象物を探査するための電波の
送受信結果自体によって、上記エアギャップが検出され
る。
【0139】これにより、請求項5の作用効果に加え
て、レーダ探査手段は、エアギャップ長を検出するため
の特別の構成を備える必要がないため、その構成を簡易
かつ安価なものとすることができるという効果を奏す
る。
【0140】請求項7の発明に係るレーダ型探査装置
は、以上のように、請求項1乃至6のいずれか1項に記
載のレーダ探査方法を用いて、媒質中の対象物を探査す
る構成である。
【0141】これにより、上記レーダ型探査装置は、請
求項1乃至6に記載と同様の作用効果を奏するものであ
り、例えば、媒質境界面の凹凸形状や操作者の手ぶれに
起因するエアギャップ長の変動がある場合でも、高精度
な対象物反射波成分及び探査対象物位置の特定を行うこ
とができるという効果を奏する。
【0142】請求項8の発明に係るレーダ型探査装置
は、以上のように、請求項7の構成において、手持ち走
査可能な携帯型の構成を採用している。
【0143】これにより、請求項7の作用効果に加え
て、手持ち走査時における操作者の手ぶれに起因するエ
アギャップ長の変動がある場合でも、高精度な対象物反
射波成分及び探査対象物位置の特定を行うことができる
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーダシステム(レ
ーダ型探査装置)の基本構成を示すブロック図である。
【図2】上記レーダシステムの信号処理手順を示すフロ
ーチャートおよびこのフローチャートの各ステップに対
応する信号処理波形を示す波形図である。
【図3】上記レーダシステムの信号処理部が行う信号処
理フローを示す説明図である。
【図4】(a)(b)は、テンプレート算出に用いる比
例定数の具体的算出手順を示す説明図である。
【図5】受信波形信号から境界面反射波成分を特定及び
除去する処理手順の一例を説明する信号処理フローであ
る。
【図6】上記処理手順において、(a)は、1stピー
ク値がテンプレートの範囲内である場合、(b)は、1
stピーク値がテンプレートの範囲外である場合の処理
を示す説明図である。
【図7】テンプレートを用いた境界面反射波成分の特定
及び除去処理の更なる例を示す説明図である。
【図8】高さ,エアギャップ長に基づいた受信波形信号
の補正処理方法を示す説明図である。
【図9】(a)は、均一スキャンの様子を示す説明図、
(b)〜(d)は、信号処理の施された各受信波形信号
を示す説明図である。
【図10】(a)は、手ぶれスキャンの様子を示す説明
図、(b)〜(d)は、信号処理の施された各受信波形
信号を示す説明図である。
【図11】(a)は、媒質境界面に凹凸形状がある場合
におけるスキャンの様子を示す説明図、(b)〜(d)
は、信号処理の施された各受信波形信号を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1 レーダシステム(レーダ型探査装置) 2 センサ部 3 信号処理部 4 位置演算・表示部 21 レーダ 22 水平位置情報取得部 23a 高さ取得部 23b エアギャップ長取得部 24 送波アンテナ 25 受波アンテナ 26 媒質境界面 27 探査対象物 31 受信波形信号取得部 32 参照波形信号格納部 33 テンプレート格納部 34 波形データ処理部 41 波形データアレイ生成部 42 対象物位置演算部 43 表示部 Ref 参照波形信号 Tem(t) テンプレート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5J070 AB01 AC01 AD02 AE11 AF02 AF10 AH04 AH14 AH19 AH31 AK02 AK28

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電波を媒質境界面に送信する送信段階と、 上記送信電波の反射波を受信する受信段階と、 規定距離の上記媒質境界面に電波を送信したときの受信
    波形信号に基づいて、境界面反射波成分の判別基準とな
    るテンプレートを作成するテンプレート作成段階と、 上記テンプレートを基準として、探査時の受信波形信号
    から境界面反射波成分を特定する境界面反射波特定段階
    とを備えることを特徴とするレーダ探査方法。
  2. 【請求項2】上記テンプレートは、上記境界面反射波成
    分の時間軸位置−振幅特性に関する情報であることを特
    徴とする請求項1に記載のレーダ探査方法。
  3. 【請求項3】上記境界面反射波特定段階では、上記受信
    波形信号を上記テンプレートに応じた利得で増幅し、増
    幅後の波形としきい値とを比較することを特徴とする請
    求項1または2に記載のレーダ探査方法。
  4. 【請求項4】自由空間に電波を送信したときの上記受信
    波形信号を参照波形信号として取得する参照波形信号取
    得段階と、 上記参照波形信号を基準として、探査時の受信波形信号
    から背景成分を特定する背景波特定段階とを備えること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレ
    ーダ探査方法。
  5. 【請求項5】電波を媒質に送信する送信段階と、 上記送信電波の反射波を受信する受信段階と、 高さ基準からの高さと媒質境界面からのエアギャップ長
    との少なくとも一方を検出する検出段階と、 上記検出結果に基づいて、対象物探査時における上記受
    信波形信号の時間軸位置を補正する補正段階とを備える
    ことを特徴とするレーダ探査方法。
  6. 【請求項6】上記エアギャップ長の検出は、上記電波の
    送受信結果に基づいて行われることを特徴とする請求項
    5に記載のレーダ探査方法。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレ
    ーダ探査方法を用いて、媒質中の対象物を探査すること
    を特徴とするレーダ型探査装置。
  8. 【請求項8】手持ち走査可能な携帯型であることを特徴
    とする請求項7に記載のレーダ型探査装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112899969A (zh) * 2019-11-19 2021-06-04 青岛海尔智能技术研发有限公司 用于洗衣机的控制方法及装置、直流电机洗衣机

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