JP2002130245A - クランクシャフトおよびその製造方法 - Google Patents

クランクシャフトおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油孔等を容易に形成することができる良好な
機械加工性とオイルシール取付部の高い耐摩耗性とを両
立させる。 【解決手段】 鋼製の素材10Aを熱間鍛造して所定形
状に成形し、次いで、その成形体を空冷処理すると同時
に、オイルシール取付部であるフランジ5を急冷してそ
の表面層を硬化させる。クランクシャフト10全体の金
属組織をフェライト・パーライトとし、フランジ5の表
面層のパーライト面積率を75〜100%、フランジ5
を除く主体部8のパーライト面積率を40〜60%とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのクラン
クシャフトに係り、特に、クランクケースとの密閉部分
であるオイルシール取付部の硬化処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジン等のクランクシャフト
は、一般に、機械構造用炭素鋼を材料としており、素材
を熱間鍛造して得られた成形体に、ピンやジャーナル、
フランジあるいは油孔等を形成する機械加工を施して製
造されている。クランクシャフトは、内燃機関の爆発力
や自身の回転慣性力を受けることから全体的に高い疲労
強度が要求され、このような特性を付与するために、従
来では、熱間鍛造後の成形体を急冷して高強度パーライ
ト組織を得ることにより、硬さを増大させている。ま
た、特に強い負荷がかかるピンやジャーナルには、高周
波焼入れ等により表面硬化処理を施す場合もある。
【0003】上記クランクシャフトの一端には、通常、
フライホイールが結合されるフランジが一体に成形され
ており、このフランジの外周面には、エンジンブロック
内からの潤滑油の漏出を防ぐオイルシールが取り付けら
れる。ところで、このオイルシールによるシール部分に
至った潤滑油は流動しにくい場合が多いので、潤滑油に
混入する異物粒子がその部分に堆積しやすく、その堆積
物によりフランジの外周面が摩耗してシール性が損なわ
れるおそれがある。異物粒子としては、エンジンの燃焼
により発生する主にCからなるスラッジや、エンジンの
各摩耗部分に発生するFe、Cu等の摩耗粉、あるい
は、路上ダストに含まれるSiO、Fe 、Al
等の粒子が挙げられる。これらの中でも、Al
(アルミナ)はかなり硬く(αアルミナは2000
Hv程度)、このアルミナによっても摩耗を受けにくい
高レベルの耐摩耗性が、フランジの外周面には要求され
る。そこで、上記のクランクシャフト全体の硬さを増大
させる処理は、フランジの耐摩耗性の増大を兼ねている
と言える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような急冷硬化
処理によりクランクシャフトの疲労強度が向上し、併せ
てフランジの良好な耐摩耗性も得られるわけであるが、
その反面、全体が高硬度化されたことによりクランクシ
ャフト自体の機械加工性は著しく悪化してしまう。この
ため、ピンやジャーナルの形成、あるいはピンやジャー
ナルに油孔を形成する等の機械加工が困難となり、生産
性の面では不利であった。
【0005】したがって、本発明は、ピンやジャーナ
ル、油孔等を容易に形成することができる良好な機械加
工性と、上記フランジのようなオイルシール取付部の高
い耐摩耗性とを両立させることができるクランクシャフ
トおよびその製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のクランクシャフ
トは、軸方向一端にオイルシール取付部を備えた鋼製の
クランクシャフトであって、素材を熱間鍛造して当該ク
ランクシャフトを成形し、この後に行う空冷工程におい
て、オイルシール取付部が急冷されてその表面層が硬化
されていることを特徴としている。本発明の急冷は、マ
ルテンサイト変態させる通常の焼入れとは異なり、パー
ライト組織を多く得るための制御冷却を言う。なお、こ
の制御冷却の効果が十分に発揮される上で、本発明のク
ランクシャフトの材料はS40C、あるいはこの付近の
炭素量を有する中炭素鋼が好適である。
【0007】また、本発明のクランクシャフトの製造方
法は、上記本発明のクランクシャフトを好適に得る方法
であって、軸方向一端にオイルシール取付部を備えたク
ランクシャフトの製造方法であって、鋼製の素材を熱間
鍛造して所定形状に成形し、次いで、その成形体を空冷
処理すると同時に、オイルシール取付部を急冷してその
表面層を硬化させ、この後、成形体に機械加工を施すこ
とを特徴としている。
【0008】本発明によれば、熱間鍛造して得られたク
ランクシャフトの空冷工程においてオイルシール取付部
のみが急冷され、その表面層が硬化されており、オイル
シール取付部を除いた主体部(ジャーナル、ピン、アー
ム、バランスウエイト等からなる主たる部分)の硬さは
比較的低く抑えられる。熱間鍛造時の素材は、オーステ
ナイト組織に加熱され、そのオーステナイト中に炭素が
分散している。そして、熱間鍛造後に空冷すなわち焼な
ましされる主体部は、冷却速度が遅いことからオーステ
ナイト中の炭素が十分拡散し、比較的軟質で機械加工性
に富むフェライトとパーライトの混合組織に変態してい
る。この主体部においては、材料組織中にフェライトが
多く現出し、パーライトの占める面積が小さいので比較
的軟質となる。一方、急冷されたオイルシール取付部の
表面層は冷却速度が速いことから炭素の拡散が抑えら
れ、フェライトがほとんど成長しないまま変態が終了
し、これによってパーライトの占める面積が大きく比較
的硬質となる。
【0009】ここで、通常の焼入れにより得られるマル
テンサイトと上記パーライトの硬さを比較すると、例え
ばS40C相当の中炭素鋼の場合、マルテンサイトが6
00Hv程度であり、パーライトは250Hv程度であ
る。硬さを見た限りにおいてはマルテンサイトがパーラ
イトよりも硬いので、焼入れ材の方が高い耐摩耗性を発
揮することが推量される。しかしながら、パーライトを
構成するフェライトとセメンタイトのうち、セメンタイ
トは1500Hv程度と著しく硬いので、パーライトの
面積率が大きいと、実質的にはマルテンサイトよりもパ
ーライトの方が高い耐摩耗性を発揮する。したがって、
本発明のように急冷されたオイルシール取付部は、アル
ミナ等の高硬度の異物粒子による摩耗をセメンタイトが
効果的に防御するので、焼入れ処理した場合よりも耐摩
耗性が高い。
【0010】本発明によれば、オイルシール取付部を除
いた主体部は軟質であることから機械加工性が良好に保
たれ、これにより油孔等の形成が容易である。主体部
は、軟質のままでは疲労強度に劣るので、機械加工を施
した後には窒化、軟窒化等の表面硬化処理を行って主体
部の疲労強度を向上させればよい。一方、オイルシール
取付部の表面層は硬化されて高い耐摩耗性が付与されて
おり、エンジンブロックに嵌装された状態で、潤滑油に
混入する異物粒子による摩耗が抑制され、シール性が長
期にわたって確保される。
【0011】本発明のクランクシャフトは、熱間鍛造後
にオーステナイトから冷却されたことによりパーライト
とフェライトとを主体とした金属組織を有しているが、
高い硬さが要求されるオイルシール取付部の表面層は、
硬化に寄与するパーライトの面積が大きいことが望まれ
る。したがって、本発明では、クランクシャフト全体が
フェライトとパーライトとを主体とした金属組織を有し
ており、なおかつ、急冷されたオイルシール取付部の表
面層のパーライトの面積率が、他の部分のパーライトの
面積率よりも大きいことを好ましい形態としている。具
体的には、オイルシール取付部の表面層のパーライト面
積率が75〜100%に制御されると、高い耐摩耗性が
得られることから好ましい。また、他の部分のパーライ
ト面積率は、40〜60%に制御されると、良好な機械
加工性を示すことから好ましい。
【0012】上記パーライト面積率は、主に熱間鍛造後
に行う冷却時の冷却速度に依存される。そこで、上記の
ようにオイルシール取付部のパーライト面積率を75〜
100%に制御するには、急冷時の冷却速度が5〜80
℃/secであると達成しやすい。また、オイルシール
取付部を除く他の部分のパーライト面積率を40〜60
%に制御するには、空冷時の冷却速度が0.1〜1.5
℃/secであると達成しやすい。
【0013】上記オイルシール取付部は、その表面層が
急冷される一方、表面層よりも内部は、空冷される主体
部の熱が伝播することにより、急冷されることなく主体
部と同様に焼なましされた状態となる。このため、オイ
ルシール取付部の内部はパーライト面積率の少ない軟質
な組織となり、良好な機械加工性を有する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態を説明する。図1は、一実施形態に係る4気筒
エンジン用のクランクシャフトを示している。このクラ
ンクシャフト10は、エンジンブロックに回転自在に支
持されるジャーナル1a,1b,1c,1d,1eと、
コネクティングロッドが連結されるピン2a,2b,2
c,2dと、ジャーナル1a〜1eとピン2a〜2dと
を連結する各一対のアーム3a,3b,3c,3dと、
アーム3a〜3dに連続して設けられた各一対のバラン
スウエイト4a,4b,4c,4dとを備えている。こ
のクランクシャフト10の一端(図1で右端)側のジャ
ーナル1eにはフランジ(オイルシール取付部)5が一
体に成形されており、他端側のジャーナル1aには取付
軸6が一体に成形されている。フランジ5には、その端
面にフライホールがボルトにより固定される。また、取
付軸6には、補機駆動用のクランクシャフトプーリが取
り付けられる。フランジ5の外周面には、当該クランク
シャフト10がエンジンブロックに嵌装された際に、エ
ンジンブロック内の潤滑油の漏出を防ぐオイルシールが
取り付けられる。また、図1の符号7は潤滑油が流入し
てピン2a〜2dおよびジャーナル1a〜1eの摺動面
を潤滑するための油孔である。
【0015】上記クランクシャフト10は、機械構造用
炭素鋼(例えばS40C系)を材料とするもので、素材
を熱間鍛造して成形された後、フランジ5のみが急冷さ
れたことによりフランジ5の表面層が硬化されている。
一方、フランジ5を除いた他の部分である主体部(ジャ
ーナル1a〜1e、ピン2a〜2d、アーム3a〜3
d、バランスウエイト4a〜4d等からなる主たる部
分)は空冷により焼なましされた状態であり、したがっ
て、その硬さは比較的低く抑えられている。具体的な硬
さとしては、フランジ5の表面層が250Hv前後、主
体部の表面層が180Hv前後である。
【0016】上記主体部は、冷却速度が遅いことから熱
間鍛造時のオーステナイト中の炭素が十分拡散し、比較
的軟質で機械加工性に富むフェライトとパーライトの混
合組織となっている。この主体部においては、オーステ
ナイト結晶粒界を起点にフェライトが多く現出し、パー
ライトの占める面積が小さく、したがって、比較的軟質
である。一方、急冷されたフランジ5の表面層は冷却速
度が速いことから炭素の拡散が抑えられ、フェライトが
ほとんど成長しないまま変態が終了し、これによってパ
ーライトの占める面積が大きく比較的硬質である。フラ
ンジ5の表面層のパーライト面積率は、75〜100%
が好ましく、主体部のパーライト面積率は40〜60%
が好ましい。
【0017】上記クランクシャフト10の製造方法とし
ては、図2に示すように、まず、素材10Aを熱間鍛造
して当該クランクシャフト10の形状に成形する。熱間
鍛造後の温度は、例えば1100℃程度とされる。次い
で、熱間鍛造後の温度を保持した状態から、フランジ5
を油冷槽20内の油に浸漬させて油冷により急冷させる
一方、フランジ5を除く主体部8を空冷(徐冷)して焼
なましする。このとき、急冷開始温度はA変態点以上
とする必要がある。フランジ5の表面層のパーライト面
積率が75〜100%になる時点でフランジ5を油冷槽
20から引き上げ、この後はクランクシャフト10全体
を空冷する。これにより主体部8は焼なましされるが、
この時、フランジ5の表面層よりも内部に主体部8の熱
が伝播するので、フランジ5の内部は主体部8と同様に
焼なましされる。
【0018】上記の冷却処理が行われた後は、上記油孔
7を形成するとともに、フランジ5の端面にフライホイ
ール取付用のボルト孔を形成する。上記のように油孔7
が形成される主体部8は軟質となっているので、油孔7
を形成する際の切削性は良好である。また、フランジ5
は表面層が硬化しているものの、内部が主体部8と同様
に軟質となっているので、ボルト孔は比較的形成しやす
い。このようにして機械加工を施した後は、クランクシ
ャフト10全体を窒化あるいは軟窒化して表面の硬化処
理を行い、主体部の疲労強度を向上させる。
【0019】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。 〈実施例のクランクシャフトの製造〉S40C相当の機
械構造用中炭素鋼からなる素材を1250℃に加熱し、
これを熱間鍛造して図1に示したものと同様のクランク
シャフトを成形した熱間鍛造後の温度は1100℃であ
った。次に、熱間鍛造後の温度を保持した成形体のフラ
ンジを油冷槽内の油に浸漬し、フランジを除く主体部を
空冷した。油冷の条件は、油の温度が室温〜50℃の範
囲、冷却速度が4〜20℃/secとした。4番ジャー
ナルの温度を熱伝対式温度計で管理し、その温度が80
0〜1000℃の範囲に達した時点で、フランジを油冷
槽から引き上げ、実施例のクランクシャフトを得た。
【0020】このクランクシャフトのフランジと、フラ
ンジを除く主体部のそれぞれの表面の硬さを測定すると
ともに、金属組織を顕微鏡で観察した。図3にフランジ
の金属組織の顕微鏡写真を、また、図4に主体部の金属
組織の顕微鏡写真(いずれも倍率100倍)を示す。主
体部の表面の硬さは180Hvであり、これと比較して
フランジの表面の硬さは240Hvと急冷により硬化さ
れ、耐摩耗性の向上が図られている。フランジの金属組
織は、パーライト(灰黒色)の面積率が約95%であっ
た。これは、冷却速度が速いために炭素がほとんど拡散
せず、フェライト(白い部分)成長できなかったためと
考えられる。一方、主体部の金属組織はパーライトの面
積率が約50%であった。これは、冷却速度が遅いため
炭素が十分拡散し、材料組織中にフェライトが多く現出
したためと考えられる。
【0021】〈表面および内部の硬さ〉上記実施例のク
ランクシャフトのフランジの表面および表面から2mm
(A部)までの部分と、表面から2〜5mmの深さの部
分(B部)と、表面から5mm以上の深さの部分(C
部)の各硬さを調べた。各部分の測定部分を複数とし、
その結果を図5に示す。また、各部分の金属組織のパー
ライト面積率を調べたところ、A部は90%以上、B部
は50〜90%、C部は約50%であった。図5によれ
ば、表面および表面から2mmまでのA部(表面層)の
硬さは240Hv前後であり、2mm以上の深さになる
したがい硬さは低くなり、5mm以上の深さで180H
v前後の硬さを示している。C部は、フランジが油冷さ
れても冷却速度はそれほど速くならず、油冷が終了して
全体が空冷された際に、フランジ以外の主体部の熱が伝
播し、主体部と同等に焼なましされたことが伺える。
【0022】〈摩耗試験〉上記実施例のクランクシャフ
トのフランジと主体部の摩耗試験を行った。また、比較
例1および比較例2のクランクシャフトのフランジの摩
耗試験を行った。実施例と比較例1,2の特性は以下の
通りである。 [実施例] ・鋼の種類:S40C相当 ・熱間鍛造後の処理:フランジ−急冷、主体部−空冷 ・表面層の組織:フランジ−パーライト(95%)、主
体部−フェライト・パーライト ・硬さ:フランジ:240Hv、主体部−180Hv
【0023】[比較例1] ・鋼の種類:S50C相当 ・熱間鍛造後のフランジの処理:急冷 ・フランジの表面層の組織:パーライト ・フランジの硬さ:260Hv [比較例2] ・鋼の種類:S40C相当 ・熱間鍛造後のフランジの処理:焼入れ ・フランジの表面層の組織:マルテンサイト ・フランジの硬さ:570Hv
【0024】摩耗試験は、フランジの面粗度を3.2S
としたクランクシャフトを実機に嵌装するとともに潤滑
油として擬似劣化油をエンジンオイルとして用い、クラ
ンクシャフトの回転速度:25m/S、油温:100
℃、オイルシールの材質:シリコン系の条件で、150
時間運転した後のフランジの摩耗量を測定した。擬似劣
化油は、市販のエンジンオイル15Lに、界面活性剤
(花王社製:エマルゲン)30g、カーボン粉末(東海
カーボン社製:シーシストS−N700、粒径61〜1
00nm)300g、アルミナ(フジミインコーポレイ
テッド社製:A−D−20、粒径0.5μm)400g
の割合で混合したものとした。
【0025】図6は上記の条件で行った実施例のフラン
ジと主体部および比較例1,2のフランジの摩耗量を示
している。同図で明らかなように、実施例のクランクシ
ャフトは、主体部の摩耗量に比べてフランジの摩耗量が
30%程度低減しており、フランジが高い耐摩耗性を示
している。また、実施例のフランジの摩耗量は、比較例
2のフランジよりも25%程度少なく、焼入れ材よりも
耐摩耗性が高いことが実証された。比較例1はCの含有
量が0.1%程度多いS50C相当の鋼であるためもっ
とも摩耗量が少なかったが、実施例のフランジは比較例
1と遜色ない耐摩耗性を有していると言える。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱間鍛造後の空冷工程においてオイルシール取付部が急
冷されてその表面層が硬化されているので、オイルシー
ル取付部に高い耐摩耗性を付与することができる一方、
オイルシール取付部を除いた主体部の機械加工性を良好
なものとすることができ、その結果、オイルシール取付
部のシール性および生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るクランクシャフト
の正面図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係るクランクシャフト
の冷却工程を示す図である。
【図3】 本発明の実施例のクランクシャフトにおける
フランジの表面層の金属組織を示す顕微鏡写真である。
【図4】 本発明の実施例のクランクシャフトにおける
主体部の表面層の金属組織を示す顕微鏡写真である。
【図5】 本発明の実施例のクランクシャフトにおける
フランジの表面からの距離と硬度の関係を示す図であ
る。
【図6】 本発明の実施例および比較例の摩耗試験の結
果を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d,1e…ジャーナル 2a,2b,2c,2d…ピン 3a,3b,3c,3d…アーム 4a,4b,4c,4d…バランスウエイト 5…フランジ(オイルシール取付部) 6…取付軸 7…油孔 8…主体部 10…クランクシャフト 10A…素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高島 光男 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 遠藤 光男 埼玉県入間郡三芳町藤久保1003番地 株式 会社角田鉄工所内 (72)発明者 川端 忠男 埼玉県入間郡三芳町藤久保1003番地 株式 会社角田鉄工所内 Fターム(参考) 3J033 AA02 AB03 BA01 BB02 CA01 4K042 AA16 BA03 BA04 BA05 DA01 DD03 DD05 DE02 DE03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向一端にオイルシール取付部を備え
    た鋼製のクランクシャフトであって、 素材を熱間鍛造して当該クランクシャフトを成形し、こ
    の後に行う空冷工程において、前記オイルシール取付部
    が急冷されてその表面層が硬化されていることを特徴と
    するクランクシャフト。
  2. 【請求項2】 金属組織がフェライトとパーライトとを
    有し、急冷された前記オイルシール取付部の表面層のパ
    ーライトの面積率が、他の部分のパーライトの面積率よ
    りも大となっていることを特徴とする請求項1に記載の
    クランクシャフト。
  3. 【請求項3】 軸方向一端にオイルシール取付部を備え
    たクランクシャフトの製造方法であって、 鋼製の素材を熱間鍛造して所定形状に成形し、次いで、
    その成形体を空冷処理すると同時に、前記オイルシール
    取付部を急冷してその表面層を硬化させ、この後、成形
    体に機械加工を施すことを特徴とするクランクシャフト
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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