JP2002129074A - 水性インク組成物 - Google Patents

水性インク組成物

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JP2002129074A
JP2002129074A JP2000325900A JP2000325900A JP2002129074A JP 2002129074 A JP2002129074 A JP 2002129074A JP 2000325900 A JP2000325900 A JP 2000325900A JP 2000325900 A JP2000325900 A JP 2000325900A JP 2002129074 A JP2002129074 A JP 2002129074A
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Japan
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polyester resin
ink composition
ink
copolymerized polyester
aqueous
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JP2000325900A
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English (en)
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Naohiro Honda
直弘 本田
Satoshi Maeda
郷司 前田
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 普通紙、再生紙などの紙質の劣る記録紙にお
いても高印刷品位であり、なおかつ、カビなどの微生物
繁殖に伴うトラブルを生じない保存安定性に優れるイン
クジェット記録用インクを提供すること。 【解決手段】 油溶性色素によって着色されたイオン性
基含有共重合ポリエステル樹脂組成物を水系媒体中に微
分散させてなり、さらに一般式1からなる水溶性抗菌抗
黴剤を0.005〜1.0重量%含ませた水性インク組
成物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録、筆記用具等に用いられる水性インク組成物、詳しく
は長期間保存、長期間使用あるいは記録休止中に化学変
化などによりインクの分解や凝集による析出物を生じた
り、インク物性が劣化したりすることのない水性インク
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ等の情報機器の出力装置と
しては、ドットマトリックスプリンタ、溶融型熱転写プ
リンタ、昇華型熱転写プリンタ、電子写真方式のレーザ
ープリンタ、LEDプリンタ、インクジェットプリンタ
等様々な方式がある。その中で最近、高精細でかつカラ
ー化の容易な方式として、インクジェット方式が注目さ
れている。
【0003】一般に、インクジェットプリンタ用のイン
クとしては、例えば特開昭57−174359に例示さ
れるような、水性染料インクが用いられている。かかる
水性染料インクはインクジェットプリンタのフィルタ及
びノズル部で目詰まりをおこすことなく長期間連続噴射
が可能であるが、ノズルから吐出されたインクが記録紙
に着弾したとき、a)インクが記録紙上での滲み、大き
なドットサイズとなる、b)記録された画像の耐水性に
劣る、等の欠点や問題点がある。
【0004】前記問題点を解決するために、本発明者ら
は、特開平6−340835において、着色樹脂組成物
の微粒子が水系媒体中に微分散してなる水性インク組成
物を提案した。該提案によれば、普通紙記録において
も、滲みのない鮮明な印字が可能であり、かつ耐水性に
優れる画像を形成することができる。しかしながら、該
提案のインクには、しばしば黴等の微生物が発生し、イ
ンク物性が変化して印字特性に悪影響が与える場合があ
った。
【0005】一方、黴を抑制するために水性染料インク
に防黴剤等の添加物を含ませることは、一般に広く行わ
れている。例えば特開平5−78609には、4−クロ
ルー3−メチルフェノール及び/又は4−クロルー2−
メチルフェノールを含有することを特徴としたインク組
成物、特開昭52−12008には、デヒドロ酢酸ナト
リウムを含有したインク組成物、特開昭57−1743
59には、2−ピリジンチオールー1−オキサイドナト
リウム塩を含有するインク組成物が提案されており、そ
れぞれ黴の発生が抑制されることが示されている。
【0006】しかしこれらの特許で例示されているの
は、一般的なインクジェット記録用インクである水性染
料インクに関するものばかりで、上記の通り抗黴効果は
しめすもの、本発明のような樹脂微粒子型の水性染料イ
ンクが従来持つ問題:羽毛状画像ノイズであるフェザー
の発生、ドット、ラインの太り、耐水性の欠如等の課題
は解決されていない。
【0007】上記で説明した通り、印字が鮮明且つ耐水
性が良好で、更にかびの発生によるインク物性の劣化を
生じないインクで満足のいくものは得られていないのが
現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはかかる現
状に鑑み、普通紙において高品位印字であり、且つ、黴
などの微生物繁殖に伴うトラブルを生じない安定した印
字品質を有するインクジェット記録用インクを得ること
を目的に、ポリマー微粒子分散型インクの保存安定性
(特に抗黴性)や印字ノイズの減少に関して鋭意検討し
た結果、抗菌抗黴剤として下記の一般式1の化合物を用
いることにより、印字品質に影響を与えることなく、優
れた抗菌抗黴性が発現されることを見い出した。
【化2】
【0009】また、驚いたことに、下記の一般式1の化
合物を配合することにより、羽毛状の印字ノイズである
フェザーがさらに抑制されることを見い出した。
【0010】現状においては、上記フェザー抑制効果の
詳細な理由に関しては不明であるが、本発明者らは、こ
の点に関し、分散媒と分散質の分離に伴うインク流体部
の粘度上昇に関与し、特に高粒子濃度に達する過程にお
いて粒子間の相互作用が高められることによるものと推
測している。
【0011】本発明者らは、上記知見及び考察を基に、
更に検討を重ね、本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、実質的
に、油溶性色素(A)、共重合ポリエステル樹脂
(B)、水溶性抗菌抗黴剤(C)及び水系媒体(D)か
らなり、前記油溶性色素(A)及び共重合ポリエステル
樹脂(B)が水系媒体(D)中に微分散してなる水性イ
ンク組成物であって、前記水溶性抗菌抗黴剤が下記一般
式1の化合物であることを特徴とする水性インク組成物
を提供するものである。
【化3】 (但し、R1は水素原子もしくは炭素数1〜4の直鎖又
は分岐アルキル基、R2は水素原子もしくは炭素数1〜
4の直鎖又は分岐アルキル基、水酸基、カルボキシル基
である)
【0013】 本発明の水性インク組成物の好ましい実
施態様は、前記水溶性抗菌抗黴剤(C)の含有量が、
0.005〜1.0[重量%]である。
【0014】 本発明の水性インク組成物の好ましい実
施態様は、前記共重合ポリエステル樹脂(B)が20〜
2000m当量/1000gのイオン性基を有する。
【0015】 本発明の水性インク組成物の好ましい実
施態様は、前記油溶性色素(A)と共重合ポリエステル
樹脂(B)とが微粒子状着色樹脂組成物(E)を形成し
てなる。
【0016】 本発明の水性インク組成物の好ましい実
施態様は、前記微粒子状着色樹脂組成物(E)の粒子径
が10〜500nmの範囲である。
【0017】 本発明の水性インク組成物の好ましい実
施態様は、前記共重合ポリエステル樹脂(B)が、主と
して芳香族多価カルボン酸と、主として脂肪族多価アル
コールから得られる共重合ポリエステル樹脂である。
【0018】 本発明の水性インク組成物の好ましい実
施態様は、前記共重合ポリエステル樹脂(B)が、主と
して脂環族多価カルボン酸と、脂肪族多価アルコールお
よび脂環族多価アルコールから得られる共重合ポリエス
テル樹脂である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の水性インク組成物に使用
される油溶性色素としては、油溶性染料、分散染料、お
よび一部の建浴染料を例示することができる。これらは
カラーインデックスにおいて「Solvent Dy
e」、「Disperse Dye」、「Vat Dy
e」に分類されるものである。
【0020】具体的には、油溶性色素として、アントラ
キノン系染料、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、トリアゾ
系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、メチ
ン系染料、ニトロ系染料、キノフタロン系染料、キノリ
ン系染料、シアノメチン系染料、トリフェニルメタン系
染料、キサンテン系染料等が好適に使用できる。
【0021】より具体的には、上記油溶性色素の中の油
溶性染料としては、 ・C.I.Solvent Yellow 96 ・C.I.Solvent Yellow 162 ・C.I.Solvent Red 49 ・C.I.Solvent Blue 25 ・C.I.Solvent Blue 35 ・C.I.Solvent Blue 38 ・C.I.Solvent Blue 64 ・C.I.Solvent Blue 70 ・C.I.Solvent Black 3 が好適に用いられる。
【0022】また、上記油溶性色素の中の分散染料とし
ては、 ・C.I.Disperse Yellow 33 ・C.I.Disperse Yellow 42 ・C.I.Disperse Yellow 54 ・C.I.Disperse Yellow 64 ・C.I.Disperse Yellow 198 ・C.I.Disperse Red 60 ・C.I.Disperse Red 92 ・C.I.Disperse Violet 26 ・C.I.Disperse Violet 35 ・C.I.Disperse Violet 38 ・C.I.Disperse Blue 56 ・C.I.Disperse Blue 60 ・C.I.Disperse Blue 87 が好適に用いられる。
【0023】上記油溶性染料及び分散染料は、特に対光
堅牢度、昇華堅牢度、色相、彩度に優れるものであり、
プロセスカラー用三原色として好ましいものである。ま
た、他に色相の微調整のために公知の染顔料を併用して
もよい。
【0024】本発明の水性インク組成物に使用される共
重合ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸類と
多価アルコール類との縮重合により得られる。
【0025】上記多価カルボン酸類としては、ジカルボ
ン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オ
ルソフタル酸、1,5―ナフタレンジカルボン酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸等の芳香族ジ
カルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエ
トキシ)安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸、フェニ
レンジアクリル酸等の芳香族不飽和多価カルボン酸、コ
ハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、
マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、
ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、脂肪族
不飽和多価カルボン酸、および、シクロヘキサンジカル
ボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を、また多価カルボン
酸としては他にトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメ
リット酸等の三価以上の多価カルボン酸等を例示でき
る。
【0026】上記多価アルコール類としては、脂肪族多
価アルコール類、脂環族多価アルコール類、芳香族多価
アルコール類等を例示できる。
【0027】上記脂肪族多価アルコール類としては、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プ
ロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブ
タンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジメチロー
ルヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリ
コール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジ
オール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオ
ール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエルスリトール等のトリオール
およびテトラオール類等を例示できる。
【0028】上記脂環族多価アルコール類としては、
1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、スピログリコール、水素化ビスフェ
ノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイ
ド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシク
ロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール等を
例示できる。
【0029】上記芳香族多価アルコール類としては、パ
ラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オル
トキシレングリコール、1,4−フェニレングリコー
ル、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイ
ド付加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチ
レンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加
物等を例示できる。さらにポリエステルポリオールとし
て、ε―カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して
得られる、ラクトン系ポリエステルポリオール類等を例
示することができる。
【0030】また、本発明の水性インク組成物に使用さ
れる共重合ポリエステル樹脂は、ポリエステル高分子末
端の極性基の一部を封鎖することを目的に単官能単量体
がポリエステルに導入されていてもよい。
【0031】上記単官能単量体としては、安息香酸、ク
ロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香
酸、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香
酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル
安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、タ
ーシャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−
メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チ
オサリチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステ
アリル酸、およびこれらの低級アルキルエステル等のモ
ノカルボン酸類、あるいは脂肪族アルコール、芳香族ア
ルコール、脂環族アルコール等のモノアルコールを用い
ることができる。
【0032】本発明の水性インク組成物に使用される共
重合ポリエステル樹脂のガラス転位移温度は、40℃以
上が好ましく、50℃以上であればより好ましく、60
℃以上であれば特に好ましい。ガラス転位点が40℃よ
り低い場合には、ノズル先端での目詰まりを生じやすく
なる。
【0033】本発明の水性インク組成物に使用される共
重合ポリエステル樹脂としては、主として芳香族多価カ
ルボン酸と、主として脂肪族多価アルコールの組み合わ
せで縮重合して得られる共重合ポリエステル樹脂が好ま
しい。かかる共重合ポリエステル樹脂を用いることによ
り、耐光堅牢度の良好な画像を得ることができるからで
ある。
【0034】また本発明の水性インク組成物に使用され
る共重合ポリエステル樹脂としては、主として脂環族多
価カルボン酸と、主として脂肪族多価アルコールおよび
脂環族多価アルコールからの組み合わせで縮重合して得
られる共重合ポリエステル樹脂が好ましい。かかる共重
合ポリエステル樹脂を用いることにより、非常に保存安
定性の良いインクを得ることができるからである。
【0035】本発明の水性インク組成物に使用される共
重合ポリエステル樹脂は、イオン性基を含有することが
好ましい。
【0036】上記イオン性基は、特に限定されるもので
はなく、例えばスルホン酸アルカリ金属塩基あるいはス
ルホン酸アンモニウム塩基、カルボン酸アルカリ金属塩
基あるいはカルボン酸アンモニウム塩基、硫酸基、リン
酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基もしくはそれらの
アンモニウム塩、アルカリ金属塩等のアニオン性基、ま
たは第1級ないし第3級アミン基等のカチオン性基が挙
げられる。
【0037】また、共重合ポリエステル樹脂へのイオン
性基の導入は、各種イオン性基を含有する単量体を用い
ることにより導入することできる。
【0038】例えば、スルホン酸アルカリ金属塩基ある
いはスルホン酸アンモニウム塩基をポリエステルに導入
するためには、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフ
タル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレンー
2,7ジカルボン酸、5〔4―スルホフェノキシ〕イソ
フタル酸、メタスルホ安息香酸等、スルホン酸基を有す
るモノないし多価カルボン酸類のアルカリ金属塩やアン
モニウム塩等をポリエステルに共重合すればよい。
【0039】カルボン酸アルカリ金属塩基あるいはカル
ボン酸アンモニウム塩基、を導入するためには、ポリエ
ステル樹脂の分子末端のカルボキシル基、ないしは、ポ
リエステルの重合末期に系内に酸無水物(好ましくはト
リメリット酸無水物等)を添加して末端に付加させたカ
ルボキシル基をアンモニウムイオン、アルカリ金属等で
中和することにより導入することができる。
【0040】硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフ
ィン酸基もしくはそれらのアンモニウム塩、アルカリ金
属塩の基も、同様に導入することができる。
【0041】また、第1級ないし第3級アミン基等のカ
チオン性基もまた同様に各々を有する単量体を共重合す
ることにより導入することができる。
【0042】なお、上記において、アルカリ金属イオン
としては、Li、Na、Kが好ましく、Naがより好ま
しい。
【0043】本発明の水性インク組成物に使用される共
重合ポリエステル樹脂が有するイオン性基の量は、該ポ
リエステル樹脂に対し、20〜2000m当量/100
0gが好ましく、20〜1000m当量/1000gで
あればより好ましく、50〜500m当量/1000g
であればさらに好ましく、50〜200m当量/100
0gであれば特に好ましい。
【0044】上記において、イオン性基は共重合ポリエ
ステル樹脂に分散安定性を付与する働きを有する。従っ
て、イオン性基の量が20m当量/1000gより少な
ければ、十分な水分散性が得られない場合があり、また
イオン性基の含有量が2000m当量/1000gを越
えれば、ポリエステル樹脂が水溶化し所望の水分散体が
得られない場合がある。
【0045】本発明の水性インク組成物に使用される水
溶性抗菌抗黴剤は、下記の一般式1で示されるものであ
ることが必要である。
【化4】
【0046】上記一般式1のR1の官能基は、水素原
子、アルキル基が好ましく、さらに好ましくは水素原
子、炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基、特に好ま
しくは水素原子である。
【0047】上記一般式1のR2の官能基は、水素原
子、アルキル基、水酸基またはカルボキシル基が好まし
く、さらに好ましくは水素原子、炭素数1〜4の直鎖又
は分岐アルキル基、水酸基またはカルボキシル基であ
り、特に好ましくは水素原子、水酸基またはカルボキシ
ル基である。
【0048】上記において、水酸基やカルボキシル基を
含有すると水との親和性が上昇し、インク中への分散性
が良くなる傾向を示す。一方、炭素数5以上の直鎖、ま
たは分岐アルキル基や側鎖を持つアルキル基では、イン
ク中への分散性が悪くなり、析出する傾向を示す。
【0049】本発明の水性インク組成物に使用される水
溶性抗菌抗黴剤の添加量は、水性インク組成物に対して
重量比で0.005〜1.0重量%が好ましく、0.0
1〜0.1重量%であればより好ましい。0.005重
量%未満ではインクにカビが生える可能性が大きく、
1.0重量%を越すと水溶性抗菌抗黴剤が溶解せずに析
出しインクの品質・安定性が悪くなる傾向を示す。
【0050】上記一般式1の化合物は、 a)広範囲の微生物に効果を示す、 b)pH依存性がない、 c)熱安定性に優れる 等のインクジェット用インク組成物として必要な特徴を
示すものである。
【0051】本発明の水性インク組成物に用いられる水
系媒体は、水を主成分とするが、インクの特性改善を目
的として、水溶性有機化合物、添加剤等を添加してもよ
い。
【0052】上記水溶性有機化合物としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロ
ソルブ、ターシャルブチルセルソルブ、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、チオジグリコール、グリセリン、ジグリセリン、
ポリグリセリン、2,2’,2’’-ニトリルトリエタノ
ール、エチレンジアミン、アルキレングリコールモノエ
ーテル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等を用いることができる。水系媒体
は着色樹脂組成物を微分散化した後に共沸等により除去
することができるものが好ましい。
【0053】水溶性有機化合物は、インクの保湿性の改
善、インクの乾燥性の改善、インクの造膜性の改善等を
目的として添加される。
【0054】水溶性化合物の添加量は、水溶性化合物の
種類によっても異なるが、0.1〜50重量%が好まし
く、0.3〜30重量%であればより好ましい。添加量
がこの範囲を超えると、インク粘度が上がり、インクの
吐出が困難になる場合がある。また添加量が下限に満た
ない場合には、所望する保湿効果が得られない場合があ
る。
【0055】なお上記の中で、グリセリン、ジグリセリ
ン、ポリグリセリン、二トリルトリエタノールはより好
適に用いられ、これらの場合、添加量は0.5〜20重
量%が好ましく、1〜10%がさらに好ましい。
【0056】上記添加剤としては、フッ素系、ないしは
シリコーン系やアセチレンジオール系の消泡剤等を添加
することができる。また、さらに必要に応じて界面活性
剤、比電導度調整剤、pH調整剤、可溶化剤等を添加し
ても良い。
【0057】本発明の水性インク組成物においては、油
溶性色素と共重合ポリエステル樹脂とが微粒子状の着色
樹脂組成物を形成してなることが好ましい。ここで微粒
子状の着色樹脂組成物とは、共重合ポリエステル樹脂に
油溶性色素が溶解又は分散した状態で一体化し且つ微粒
子状に微分散していることをいう。
【0058】なお、微分散した状態とは一般にエマルジ
ョンあるいはコロイダルディスパ−ジョンと称される状
態を意味するものである。即ち、本願の水性インク組成
物において、イオン性基は水系媒体中において解離し、
共重合ポリエステル樹脂と水との界面に電気二重層を形
成する。従って、共重合ポリエステル樹脂が微細なミク
ロ粒子として水系媒体内に存在する場合には電気二重層
の働きによりミクロ粒子間には静電的な反発力が生じ、
ミクロ粒子が水系媒体内にて安定的に分散することにな
る。
【0059】本発明において、微分散した状態を形成す
る方法は、特に限定されるものではなく、機械的あるい
は界面化学的な公知の分散手法等を採用することができ
る。中でも、本発明の水性インク組成物においては、イ
オン性基を有する共重合ポリエステル樹脂が自己乳化性
を有するので、界面化学的手法の一つである転相自己乳
化法が好適に用いられる。
【0060】具体的には、転相自己乳化法として、例え
ば、油溶性色素と、イオン性基を有する共重合ポリエス
テル樹脂と、水溶性有機溶媒とをあらかじめ混合した後
に水を加える方法や、油溶性色素と、イオン性基を有す
る共重合ポリエステル樹脂と、水溶性有機溶媒と、水と
を一括して混合加熱する方法等が採用される。なお、こ
こで水系媒体に界面活性剤等を併用してもよい。
【0061】なお、本発明において、微粒子状着色樹脂
組成物を形成する方法は、例えば、所定量のカルボキシ
ル基を含有する共重合ポリエステル樹脂をまず重合し、
該共重合ポリエステル樹脂、油溶性色素、水系媒体、塩
基を十分に混合溶解し、その後水を添加して微分散化
し、必要に応じ水系媒体を共沸等により除去する方法が
好適に用いられる。またポリエステル樹脂の微分散体を
得た後に染料を系内に添加し高温にて処理することによ
っても同様に着色樹脂組成物の微分散体を得ることがで
きる。
【0062】本発明の水性インク組成物に使用される油
溶性色素と共重合ポリエステル樹脂は、着色樹脂樹脂組
成物を形成してなることが好ましい。両者が一体化して
着色樹脂組成物を形成することにより、インクの印字品
質や保存安定性がより向上するからである。
【0063】上記着色樹脂組成物の粒子径は、10〜5
00nmが好ましく、30〜300nmであればより好
ましく、50〜150nmであれば特に好ましい。分散
体の粒子径がこの範囲より小さいと粘度が高くなり、イ
ンクジェットインクとしての吐出が不安定になる場合が
あり、粒子径がこの範囲を超えると粒子の沈降が生じ、
インクの保存安定性が悪化する場合がある。なお、粒子
径は、イオン性基含有量、乳化の際のポリエステル樹脂
と水溶性有機化合物との比、その他、回転数、温度等の
乳化条件により制御することが可能である。
【0064】本発明の水性インク組成物に使用される着
色樹脂組成物に含まれる油溶性色素(A)と共重合ポリ
エステル樹脂(B)の重量比(A/B)は、1/99〜
50/50が好ましく、1/99〜30/70であれば
より好ましく、1/99〜20/80であれば特に好ま
しい。
【0065】油溶性色素(A)と共重合ポリエステル樹
脂(B)の重量比(A/B)は、着色樹脂微粒子の形成
に関与しており、重量比(A/B)が所定より少ない場
合には共重合ポリエステル樹脂(B)に埋め込まれて色
が薄くなり、また重量比(A/B)が多すぎる場合に
は、一部、油溶性色素のみで微粒子を形成してしまい、
目的の着色樹脂組成物の微粒子ができない場合がある。
【0066】本発明の水性インク組成物に使用される着
色樹脂組成物(E)と水系媒体(D)の重量比(E/
D)は、1/99〜40/60が必要とされ、好ましく
は10/90〜30/70、さらに好ましくは20/8
0〜30/70である。
【0067】着色樹脂組成物(E)と水系媒体(D)の
重量比(E/D)は、水性インク組成物の保存安定性と
画像ノイズに関与しており、重量比(E/D)が所定よ
り少ない場合には、該水性インク組成物の特徴である、
滲みやドット及びラインの太りの抑制が充分にできなく
なり、また重量比(E/D)が所定より多い場合には、
保存中にインクの分解や凝集による析出物が生じたり、
インク物性が劣化したりする場合がある。
【0068】本発明の水性インク組成物はインクジェッ
トプリンタだけでなく、筆記用具類にも使用できる。筆
記用具としては、フエルトペン、水性ペン、水性ボール
ペン、ホワイトボード用マーカー、電子黒板用マーカ
ー、ニードルペン、万年筆、等を例示できる。
【0069】
【作用】本発明の、油溶性色素とイオン性基含有共重合
ポリエステル樹脂からなる着色樹脂組成物の微粒子を水
系媒体中に微分散してなる水性インク組成物によれば、
ニジミの少ない高解像度の印字、ないしは画像を得るこ
とができる。
【0070】インクジェットプリンタのヘッドから吐出
されたインク滴は記録紙面に着弾と同時に記録紙表面層
に浸透を開始する。一般に水系インクでは、溶剤型イン
クに比較して乾燥速度が遅い。記録紙面上にインク滴が
存在する状態で、他の色のインクが至近距離に着弾した
場合、二色が混じり合うことにより境界線の不明瞭化、
再現色のずれ等の問題が生じる。そのため、水系インク
では記録紙面に液滴が残らないように、浸透剤の添加、
表面張力の低下等、積極的に速やかにインクを浸透させ
るような策が取られる。また、記録紙も速やかにインク
を吸収するものが良いとされる。その結果、一般の水溶
性染料型のインクではインクが浸透した部分全体に着色
するためドットが太り、解像度の低下が生じる。
【0071】一方、本発明のインクでは、インク滴が記
録紙に着弾した後、いわゆるペーパークロマトグラフ的
な分散媒と分散質の分離が生ずる。すなわちインクの分
散媒は記録紙へ浸透するが、固体粒子である着色ポリエ
ステルは浸透しないため、液滴部の固形分濃度は逐次上
がる。固形分濃度が50%程度に至ると、液滴粘度が急
激に上がり、液滴部の流動性が無くなる。分散媒は基本
的に無色であり固形分部分にのみ着色されているために
ニジミは最小限に抑えられる。
【0072】インクジェット用インクに防かび剤を配合
することは、広く行われている。しかしながら、本発明
に示すポリマー微粒子分散型のインクに関し、如何なる
種類の防かび剤が適切であるかは知られていない。本発
明者らは各種防かび効果の有る化合物を比較検討した結
果、本発明の一般式1に示される化合物のみが、インク
の安定性を損なわずに防かび効果を示すことを見出し
た。また驚くべきことは、一般式1の化合物を配合する
ことにより、羽毛状の画像ノイズであるフェザーが抑制
されることである。本発明者らは、理論に縛られること
を欲しないが、本化合物によるフェザー抑制効果は、前
述した分散媒と分散質の分離に伴うインク流体部の粘度
上昇に関与する物で、特に高粒子濃度に達する過程にお
いて粒子間の相互作用が高められることによると推測し
ている。このような現象は、他の防かび剤では見出すこ
とが出来ていない。
【0073】かくして、本発明の水性インクを用いるこ
とにより、普通紙、ないし再生紙といった紙質に劣る記
録紙においても極めて高印刷品位を実現し、さらに保存
安定性に優れるインクジェット記録システムを構築する
ことが可能となる。
【0074】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、本
発明は実施例に限定されるものではない。
【0075】[共重合ポリエステル樹脂の重合]温度
計、撹拌機を備えたオートクレーブ中に、 ジメチルテレフタレート 93重量部 ジメチルイソフタレート 93重量部 5―ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル 12重量部 エチレングリコール 70重量部 ネオペンチルグリコール 112重量部 テトラブトキシチタネート 0.1重量部 を仕込み、180〜230℃で120分間加熱してエス
テル交換反応を行った。ついで反応系を240℃まで昇
温し、系の圧力1〜10(mmHg)として60分間反
応を続けた結果、表1.に示すポリエステル樹脂(A
1)を得た。なお表中、組成はNMR分析により求め
た。SO3Na基量は蛍光X線分析によるS元素の定量
結果より換算した。酸価はKOHによる滴定により求
め、meq./kgに換算した。以下、仕込みの単量体を変
え、同様に操作し、表1.に示す共重合ポリエステル樹
脂(A2)、(A3)、(A4)を得た。
【0076】温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中
に、 シクロヘキサンジカルボン酸 154重量部 エチレングリコ−ル 30重量部 トリシクロデカンジメタノール 158重量部 テトラブトキシチタネ−ト 0.1重量部 を仕込み150〜220℃で180分間加熱してエステ
ル交換反応を行った。次いで、240℃に昇温した後、
系の圧力を徐々に減じて30分後に10mmHgとし、
60分間反応を続けた。その後オ−トクレ−ブ中を窒素
ガスで置換し、大気圧とした。温度を200℃に保ち無
水トリメリット酸を19重量部加え、60分間反応を行
い、表1.に示す共重合ポリエステル樹脂(A5)を得
た。
【0077】温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中
に、 ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物 (BPA−EO、平均分子量400) 200重量部 無水フタル酸 180重量部 を仕込み、反応系内に窒素ガスを導入し不活性雰囲気に
保ち、0.05重量部のジブチル錫オキサイドを加え2
00度にて反応させ、表1.に示すポリエステル樹脂
(A6)を得た。
【0078】[着色樹脂組成物の作製(1)]温度計、
攪拌機を供えたフラスコに、得られた共重合ポリエステ
ル樹脂(A1)100重量部、メチルエチルケトン80
重量部、テトラヒドロフラン40重量部、油溶性染料
C.I.Solvent Yellow 96 10重
量部を仕込み、還流させながら沸点にて混合溶解した。
次いで、別途用意しておいた70℃の温水250重量部
を、激しい攪拌下に緩やかに添加し、転相自己乳化させ
た後、留分温度が100℃に達するまで蒸留してメチル
エチルケトン、テトラヒドロフランを除き、室温まで冷
却、不揮発分濃度を確認し脱イオン水を所定量加えて濃
度調整し、不揮発分30重量%の着色樹脂組成物(Y
1)を得た。なお、不揮発分は、水分散体を120℃の
ドライオーブンにて乾燥させた前後の質量比より求め
た。
【0079】以下、ポリエステル樹脂(A1)〜(A
4)と、油溶性染料 Y:C.I.Solvent Yellow 96 M:C.I.Disperse Red 60とC.
I.Disperse Violet 26 の8/2
重量比混合物 C:C.I.Solvent Blue 70 K:C.I.Solvent Black 3 を組み合わせ、表2.に示す着色樹脂組成物(Y2)〜
(Y4)、(M1)〜(M4)、(C1)〜(C4)、
(K1)〜(K4)、を得た。なお表中、粘度はB型粘
度計、粒子径はCOULTER modelN4にて求
めた値である。
【0080】[着色樹脂組成物の作製(2)]温度計、
攪拌機を供えたフラスコにポリエステル樹脂(A5)1
00重量部、メチルエチルケトン80重量部、テトラヒ
ドロフラン40重量部、油溶性染料C.I.Solve
nt Yellow 96 10重量部を仕込み、還流
させながら沸点にて混合溶解した。次いで、トリエタノ
ールアミン7.85重量部を添加し、5分間攪拌したの
ち別途用意しておいた70℃の温水250重量部を、激
しい攪拌下に緩やかに添加し、転相自己乳化させた後、
留分温度が100℃に達するまで蒸留してメチルエチル
ケトン、テトラヒドロフランを除き、室温まで冷却、不
揮発分濃度を確認し脱イオン水を所定量加えて濃度調整
し、不揮発分30重量%の着色樹脂組成物(Y5)を得
た。以下、前述の油性染料M、C、Kとポリエステル樹
脂(A5)から表2.に示す着色樹脂組成物(M5)
(C5)(K5)を得た。
【0081】[着色樹脂組成物の作製(3)]温度計、
攪拌機を供えたフラスコにポリエステル樹脂(A6)1
00重量部、メチルエチルケトン60重量部、テトラヒ
ドロフラン30重量部、油溶性染料C.I.Solve
nt Yellow 96 10重量部を仕込み、還流
させながら沸点にて混合溶解した。次いで、トリエタノ
ールアミン2.36重量部を添加し、5分間攪拌したの
ち別途用意しておいた70℃の温水250重量部を、激
しい攪拌下に緩やかに添加し、転相自己乳化させた後、
留分温度が100℃に達するまで蒸留してメチルエチル
ケトン、テトラヒドロフランを除き、室温まで冷却、不
揮発分濃度を確認し脱イオン水を所定量加えて濃度調整
し、不揮発分30重量%の着色樹脂組成物(Y6)を得
た。以下、前述の油性染料M、C、Kとポリエステル樹
脂(A6)から表2.に示す着色樹脂組成物(M6)
(C6)(K6)を得た。
【0082】[水性インク組成物の作製] 着色ポリエステル水分散体(Y1) 66.67重量部 グリセリン 3.00重量部 トリエタノールアミン 1.00重量部 化合物1a 0.05重量部 脱イオン水 29.28重量部 なる割合にて配合し、攪拌混合した後、0.45μmメ
ンブランフィルターでろ過し、水性インク組成物(Y1
a)を得た。ここに 化合物1aは 一般式1におい
て、R1:H、R2:Hからなる化合物である。以下同
様に、着色ポリエステル水分散体、化合物の種類、化合
物の添加量を変え、表3〜表5に示す水性インクを作製
した。なお化合物の増減に伴い、総会が100重量部と
なるよう、脱イオン水の配合量を調整した。
【0083】なお、 化合物1a 一般式1において R1:H、R2:H 化合物1b R1:H、R2:OH 化合物1c R1:H、R2:CH2CH2CH2CH3 化合物2 4−クロルー3−メチルフェノール、 化合物3 4−クロルー2−メチルフェノール、 化合物4 デヒドロ酢酸ナトリウム、 化合物5 2−ピリジンチオールー1−オキサイドナトリウム、 化合物6 ソルビン酸ナトリウム である。
【0084】[印刷品位の評価]インクジェトプリンタ
ー(SHARP社製IO−735X)に水性インク組成
物を充填し、インクジェット用として加工されていない
普通紙(NBSリコー社製MY RECYCLE PA
PER)に1ドット幅のラインを印刷し、印字した際の
フェザーの出現頻度、ドットの太り幅より印字品位を評
価した。ここには「フェザー」は記録紙の紙繊維に沿っ
て走るヒゲ状の画像ノイズの事である。またドット太り
幅は、印字ヘッドDPI値より与えられる1ドットライ
ンの理論幅に対する実際に印字されたラインの太さの比
率をいう。本実施例で使用したプリンタは180DPI
につき、理論ライン幅は25400μm/180DPI
=141μm幅である。 フェザー判定基準: 1ドット幅印字ライン 1cmあたり 5本以下 ○ 6〜20本 △ 21本以上 × ライン太り判定基準 実記録ライン幅/理論ライン幅= 1.2未満 ○ 1.2〜1.4 △ 1.4以上 × 結果を表3〜表5に示す。
【0085】[防カビ効果の評価]上記の方法で得た水
性インク組成物100重量部に対して、ポリペプトン5
重量部及びグルコース5重量部を添加した。このサンプ
ル(20ml)に、1週間に1度、繰り返して、下記の
菌胞子懸濁液を接種(最終胞子濃度:約10E+6個/
ml)し、1ヶ月間静置培養した後、菌の生育の程度
(防カビ効果)を以下の基準で判定した。 ○:菌が生育しない。 ×:菌の生育が見られる。 供試菌には、 菌1:Aspergillus niger、 菌2:Aureobasidium pullulan
s、 菌3:Chaetomium globosum、 菌4:Cladosporium cladospor
ioides、 菌5:Penicillium notatum を使用した。結果を表3〜表5に示す。
【0086】[インク組成物の保存安定性評価]50m
lガラス容器にインク組成物30mlを入れ、密栓して
2週間保存し、保存前後の異常の有無にて判定した。な
お観察した項目は、 粒子径 COULTER modelN4 [日科機] 粘度、 B型粘度計[東京計器] 表面張力 表面張力計[島津製作所] pH pHメータ[堀場製作所] 浮遊異物の有無 目視判定 沈降異物の有無 目視判定 その他 目視判定 である。結果を表3〜表5に示す。
【0087】[比較例(水溶性染料型インク)]下記組
成の水溶性インク(C7a)を調整し、実施例と同様に
評価した。結果を表5に示す。 C.I.Direct Blue 85 5.00重量部 グリセリン 3.00重量部 トリエタノールアミン 1.00重量部 化合物1a 0.05重量部 脱イオン水 90.95重量部 以下、同様に化合物1aを他の化合物に替えて水性イン
ク(C7b)〜(C7−6)を得、実施例と同様に評価
した。結果を表4および表5に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
【発明の効果】以上、着色ポリエステル樹脂の微分散体
と一般式1の化合物の組み合わせからなるインクのみ
が、高印刷品位とインクの安定性を両立させ得るもので
あることが示された。本発明の水性インク組成物をイン
クジェットプリンタに用いることにより、特にインクジ
ェット用に加工されていない普通紙においても、高品位
な画像を得ることが出来るとともに、長期間の保存にお
いても安定でカビなどによるトラブルのないインクジェ
ットプリントシステムを実現できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA04 FC01 FC02 2H086 BA01 BA53 BA55 BA59 BA60 BA62 4H011 AA02 AA03 BA01 BB10 BC04 BC08 BC09 BC19 DA12 DD07 4J039 AE06 BC03 BC16 BC50 BC55 BC65 BC73 BC75 BD02 BE07 BE08 CA06 EA42 EA44 GA24

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に、油溶性色素(A)、共重合ポ
    リエステル樹脂(B)、水溶性抗菌抗黴剤(C)及び水
    系媒体(D)からなり、前記油溶性色素(A)及び共重
    合ポリエステル樹脂(B)が水系媒体(D)中に微分散
    してなる水性インク組成物であって、前記水溶性抗菌抗
    黴剤が下記一般式1の化合物であることを特徴とする水
    性インク組成物。 【化1】 (但し、R1は水素原子もしくは炭素数1〜4の直鎖又
    は分岐アルキル基、R2は水素原子もしくは炭素数1〜
    4の直鎖又は分岐アルキル基、水酸基、カルボキシル基
    である)
  2. 【請求項2】 前記水溶性抗菌抗黴剤(C)の含有量
    が、0.005〜1.0[重量%]であることを特徴と
    する請求項1に記載の水性インク組成物。
  3. 【請求項3】 前記共重合ポリエステル樹脂(B)が2
    0〜2000m当量/1000gのイオン性基を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水性インク組
    成物。
  4. 【請求項4】 前記油溶性色素(A)と共重合ポリエス
    テル樹脂(B)とが微粒子状着色樹脂組成物(E)を形
    成してなることを特徴とする請求項1乃至3に記載の水
    性インク組成物。
  5. 【請求項5】 前記微粒子状着色樹脂組成物(E)の粒
    子径が10〜500nmの範囲であることを特徴とする
    請求項4に記載の水性インク組成物。
  6. 【請求項6】 前記共重合ポリエステル樹脂(B)が、
    主として芳香族多価カルボン酸と、主として脂肪族多価
    アルコールから得られる共重合ポリエステル樹脂である
    ことを特徴とする請求項1乃至5に記載の水性インク組
    成物。
  7. 【請求項7】 前記共重合ポリエステル樹脂(B)が、
    主として脂環族多価カルボン酸と、脂肪族多価アルコー
    ルおよび脂環族多価アルコールから得られる共重合ポリ
    エステル樹脂であることを特徴とする請求項1乃至6に
    記載の水性インク組成物。
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