JP2002126921A - 切削工具の切屑巻付防止装置およびスリーブ装置 - Google Patents

切削工具の切屑巻付防止装置およびスリーブ装置

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JP2002126921A
JP2002126921A JP2000321615A JP2000321615A JP2002126921A JP 2002126921 A JP2002126921 A JP 2002126921A JP 2000321615 A JP2000321615 A JP 2000321615A JP 2000321615 A JP2000321615 A JP 2000321615A JP 2002126921 A JP2002126921 A JP 2002126921A
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sleeve
drill
cutting tool
chips
axial direction
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JP2000321615A
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Koichi Matsui
晃一 松井
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切削工具に切屑が巻付くことを防止すること
ができる切削工具の切屑巻付防止装置およびスリーブ装
置を提供する。 【解決手段】 スリーブ本体12は半径方向に間隔をあ
けて切削工具15が挿通され、切削工具15の先端は、
スリーブ本体の軸線方向一端部側に配置されている。ま
た切削工具15の外周部に近接して、スリーブ本体12
に障害片11が設けられる。このようなスリーブ装置1
0は切削時に発生する切屑がスリーブ本体12内におい
て障害片11に接触し、切削工具15の外周部に沿って
旋回するように延びることが阻止されるとともに、切屑
16が外力を受けて細かく破断される。したがって切屑
16が切削工具15に巻付くことを防ぐことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被切削物に対して
回転して、被切削物を切削加工する切削工具に関連して
設けられる切屑巻付防止装置およびスリーブ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図20は従来の技術のスリーブ装置1を
示す斜視図であり、図21は切削装置2の一部を示す断
面図である。切削装置2は、航空機の機体の製造に用い
られる数値制御(Numerical Control:略称NC)自動
孔あけ打鋲装置であり、ドリル3を被切削物4に対して
回転させて切削加工する。この切削装置2にスリーブ装
置1が設けられる。
【0003】スリーブ装置1は、スリーブ本体5を有
し、スリーブ本体5にドリル3が軸線方向に挿通されて
用いられる。このスリーブ装置1は、クランプ部材9と
協働して被切削物4を挟持し、この状態で、ドリル3に
よる切削加工、したがって穿孔加工をすることができ
る。このようにして加工孔を形成するときに発生した切
屑8は、スリーブ本体5によって周囲に飛散することが
防がれ、排出孔7から外部に排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図22は、図21の切
断面線XXII−XXIIから見て、切削加工時におけ
るスリーブ本体5内を示す断面図である。アルミおよび
鋼などの延性材料から成る被切削物4をドリル3を用い
て切削加工すると、切屑8がドリル3の外周部に沿って
旋回するように長く延びる場合がある。このように長く
延びた切屑8はドリル3に巻付き、ドリル3の回転を妨
げる。特にスリーブ装置1を用いると、スリーブ本体5
によって切屑8が案内され、さらに巻付きやすくなる。
このような従来のスリーブ装置1では、ドリル3に巻付
いた切屑8を除去するために、切削加工を中断しなけれ
ばならない。これによってドリル3に巻付いた切屑8を
除去するための時間を必要とし、加工作業の作業効率が
低いという問題がある。また切屑8がドリル3に巻付く
と、ドリル3が損傷し、ドリル3の寿命が短くなるとい
う問題がある。
【0005】切屑8が、ドリル3に巻付くことを防止す
る従来の技術として、チップブレーカが形成されるドリ
ル3を用いる技術がある。チップブレーカは、たとえば
ドリル3のすくい面側に形成される凸部によって実現さ
れ、切屑8を短く破断することができ、巻付きを防止す
ることができる。このチップブレーカを用いる技術で
は、被切削物4の材質に合わせて、切削条件およびチッ
プブレーカの形状を決定する必要があり、これらの条件
が少しでも変化すると、切屑8を短くする効果が充分に
得られないという問題がある。また被切削物4がアルミ
ニウムから成る場合には、チップブレーカによる切屑8
の破断作用がほとんど得られない。
【0006】またこのようなチップブレーカは、ドリル
3のドリル径が10mm以下である場合、形成されるこ
とが極めて困難である。さらにチップブレーカを形成す
るためには、ドリル3に複雑な加工を施す必要があり、
ドリル自体が高価になってしまうだけでなく、このよう
なドリル3の加工には高度な技術が必要であり、容易に
形成することができない。
【0007】切屑8がドリル3に巻付くことを防止する
他の従来の技術として、ドリル3を、ステップ送り、し
たがって断続的に送る技術がある。具体的に述べると、
ドリル3を一定の速度で送ると、切屑8が連続して発生
するので、ドリル3の送りを一旦停止、または若干戻す
ことによって、この送り停止時および送り戻し時の切屑
8の発生を防止する。このようにドリル3を断続的に送
ることによって、必然的に切屑が短くなる。このように
送りを変化させる構成では、ドリル3を断続的に送るス
テップ送り機構を設ける必要があり、ドリル3を駆動す
る装置、したがって切削装置2を大きく改造する必要が
あり、大きな改修費用が必要となる。また送りを一時的
に停止することによって、加工に要する時間が長くなっ
てしまう。
【0008】本発明の目的は、切削工具を用いる装置の
大きな改造を必要とすることなく、容易に形成できる簡
単な構成によって、しかも切削工具の寸法および被切削
物の材質に拘わらず好適に用いることができ、切削時間
を長時間化させずに発生する切屑の切削工具への巻付き
を防止することができる切屑巻付防止装置およびスリー
ブ装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、被切削物に対
して回転して切削加工する切削工具の外周部に近接して
設けられる障害片を含むことを特徴とする切削工具の切
屑巻付防止装置である。
【0010】本発明に従えば、切削工具の外周部に近接
して障害片が設けられ、切削加工時に発生する切屑は、
障害片に接触して、切削工具の外周に沿って旋回するよ
うに延びることが阻止される。またこのように切屑が障
害片と接触することによって、その切屑は外力を受け
て、細かく破断される。したがって、切屑が切削工具に
巻付くことを防止することができる。
【0011】さらに切削工具の周囲に障害片を設けるだ
けの簡単な構成であり、しかも切削工具の寸法に関係な
く設けることができる。加えて、生じた切屑を障害片に
接触させて、切屑を細かくするので被切削物の材質の何
如に拘わらず、切屑を細かくすることができる。また切
削工具の送りを含む駆動条件に拘わらず、切屑を短くす
ることができ、断続的な送りが不要となり、切削時間の
長時間化を防ぐことができるうえ、切削工具を用いた装
置を大きく改造する必要がない。
【0012】また本発明は、被切削物に対して回転して
切削加工する切削工具が、挿通される工具挿通領域を有
する内部空間が形成され、内部空間と外部空間とを連通
する排出孔が形成されるスリーブ本体と、工具挿通領域
に近接してスリーブ本体に設けられる障害片とを含むこ
とを特徴とする切削工具のスリーブ装置である。
【0013】本発明に従えば、スリーブ本体には、内部
空間が形成され、内部空間の工具挿通領域に切削工具を
挿通することができる。またスリーブ本体は、内部空間
と外部空間とを連通する排出孔が形成される。工具挿通
領域に切削工具を挿通して切削加工するときに、切屑
は、スリーブ本体によって周囲への飛散が防止され、か
つこのような周囲への飛散を防止したうえで、排出孔か
ら外部への排出をすることができる。
【0014】また障害片が工具挿通領域に近接して設け
られる。この障害片を設けることによって切削時に発生
する切屑は、スリーブ本体内で障害片に接触する。これ
によって切屑は、切削工具の外周部に沿って旋回するよ
うに延びることが阻止される。このように切屑が、障害
片に接触することによって外力を受けて細かく破断され
る。したがってスリーブ内で切屑が切削工具に再び巻付
くことを防止することができる。また細かく破断された
切屑をスリーブ本体内から排出孔を通過して外部に容易
に排出することができる。
【0015】さらに切削工具の周囲に障害片を設けるだ
けの簡単な構成であり、しかも切削工具の寸法に関係な
く設けることができる。加えて、生じた切屑を障害片に
接触させて、切屑を細かくするので被切削物の材質の何
如に拘わらず、切屑を細かくすることができる。また切
削工具の送りを含む駆動条件に拘わらず、切屑を短くす
ることができ、断続的な送りが不要となり、切削時間の
長時間化を防ぐことができるうえ、切削工具を用いた装
置を大きく改造する必要がない。
【0016】また本発明は、前記障害片は、スリーブ本
体の軸線方向に関して、排出孔が形成される領域および
この領域よりも軸線方向一端部に近い領域に設けられる
複数の突起片を含むことを特徴とする。
【0017】本発明に従えば、複数の突起片が、スリー
ブ本体の軸線方向に関して、排出孔が形成される領域お
よびこの領域よりも軸線方向一端部に近い領域に設けら
れるので、切削工具を、先端部がスリーブ本体の軸線方
向一端部、またはその付近に配置されるように挿通させ
て用いることによって、切削時に発生した切屑は、長く
延びる前に突起片に接触しやすくなる。また切屑は、突
起片に複数回接触する場合も生じる。したがって切屑
は、切削工具の外周部に沿って、旋回するように延びる
ことがさらに確実に阻止される。また各突起片と接触し
て細かく破断された切屑は、排出孔から排出して切屑の
切削工具への巻付きを確実に防止することができる。
【0018】また本発明は、前記各突起片は、外ねじが
形成され、スリーブ本体に螺着されるねじ部材であるこ
とを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、各突起片は、外ねじが形
成されるねじ部材であり、スリーブ本体に螺着されて設
けられる。これによって各ねじ部材は、回動することに
よってスリーブ本体に対して螺進および螺退することが
でき、ねじ部材のスリーブ本体における位置を容易に調
整することができる。またねじ部材は、個別にスリーブ
本体から取外し可能であり、ねじ部材が切屑と接触し
て、摩耗および損傷したときには、容易に取外して、新
たな突起片と交換することができる。さらにこのような
構成は、既存のスリーブ装置のスリーブ本体に、ねじ孔
を形成し、ねじ部材を螺着するだけで実現することがで
きる。したがって既存のスリーブ本体を、簡単に改良す
るだけで、本装置を実現することができる。またねじ部
材は、外ねじによって外周部に凹凸を有し、切屑をより
破断しやすくすることができる。
【0020】また本発明は、前記障害片は、排出孔に軸
線方向他端部側から臨む縁辺部に設けられ、内方になる
につれて軸線方向一端部に近づくように傾斜する案内面
が形成される案内片を含むことを特徴とする。
【0021】本発明に従えば、案内片はスリーブ本体の
排出孔に、軸線方向他端部側から臨む縁辺部に設けら
れ、半径方向内方になるにつれて軸線方向一端部側に、
近づくように傾斜する案内面が形成される。したがって
切削時に発生した切屑は、切削工具の外周部に沿って旋
回するように延びても、案内片に案内されて、排出孔か
ら円滑に排出される。このように案内片をスリーブ本体
に設けることによって、切屑を排出孔へ案内し、排出孔
から外部に排出して切屑の切削工具への巻付きを確実に
防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、発明の実施の一形態のス
リーブ装置10を、軸線を含む平面で切断して示す断面
図である。図2は、図1の切断面線II−IIから見た
断面図である。図3は、スリーブ装置10を示す斜視図
である。図4は、スリーブ装置10を示す平面図であ
る。図5は、スリーブ装置10を示す底面図である。図
6は、スリーブ装置10の左側面図である。スリーブ装
置10は、スリーブ本体12、障害片11、案内部14
および支持部21を含んで構成される。
【0023】スリーブ本体12は、略円筒状に形成さ
れ、円柱状の内部空間80が形成される。この内部空間
80は、半径方向内方の中心部で軸線に沿って延びる工
具挿通領域81と、工具挿通領域81を外囲する円筒状
の外襄領域82とを有する。工具挿通領域81は、ドリ
ル15が挿通されるべき領域であって、ドリル径と同一
の外径を有する。このスリーブ本体12には、工具挿通
領域81に切削工具であるドリル15を挿通することが
できる。したがってスリーブ本体12には、外襄領域8
2によって半径方向に間隔をあけて、ドリル15を同軸
または略同軸に挿通することができる。この状態でスリ
ーブ本体12の軸線方向一端部にドリル15の先端部ま
たは先端部付近が配置される。
【0024】またスリーブ本体12には軸線方向他端部
寄りの位置に、切屑16を外部空間に排出するための排
出孔17が形成される。排出孔17はスリーブ本体12
を半径方向に挿通して形成され、内部空間80と外部空
間とを連通する。排出孔17は、略長方形形状に形成さ
れ、スリーブ本体12の軸線方向に延びる2つの長縁辺
部とスリーブ本体12の周方向に延びる2つの短縁辺部
とで規定される。排出孔17は、軸線方向のスリーブ本
体の約半分弱の領域かつ周方向の約120度の領域にわ
たって形成されている。
【0025】またスリーブ本体12の軸線方向一端部寄
りの位置に、空気を流入させるための空気流入孔30が
形成される。空気流入孔30は、スリーブ本体12を半
径方向に挿通して形成される。空気流入孔30は、排出
孔17より小さい円形形状に形成される。また空気流入
孔30は、周方向に関して、排出孔17と同一の位置に
配置される。
【0026】障害片11は、工具挿通領域81に近接し
て、したがってドリル15の外周部に近接して設けられ
る。障害片11は、切屑16がドリル15の後端部側に
延びることを防止するために設けられ、複数の突起片1
3を含んで構成される。各突起片13は、スリーブ本体
12の半径方向内方に突出して設けられる。また各突起
片13は、スリーブ本体12の軸線方向に関して、排出
孔17が形成される領域およびこの領域よりも軸線方向
一端部に近い領域に設けられる。本実施の形態では、ス
リーブ本体12の軸線方向に関して、空気流入孔30が
形成される領域よりも、軸線方向他端部に近い領域に各
突起片13が設けられる。
【0027】複数の突起片13は、スリーブ本体12の
軸線に平行な複数の列を構成して整列して配置される。
本実施の形態では突起片13は、3つの突起列、したが
って第1列13a、第2列13bおよび第3列13cを
構成する。また各列13a〜13cは、軸線方向に等間
隔に並ぶ複数の突起片13を有して、本実施の形態で
は、軸線方向一端部から他端部に向かって、したがって
第1の突起片、第2の突起片および第3の突起片が、そ
れぞれ配置されている。
【0028】各列13a〜13cは、スリーブ本体の周
方向に間隔をあけて配置される。第1列13aは、スリ
ーブ本体の周方向に関して、排出孔と180度ずれた位
置に配置される。第2列13bは、第1列13aから周
方向一方側に所定の角度θだけずれて配置される。また
第3列13cは、第1列13aから周方向他方側に前記
角度θだけずれて配置される。ここで周方向一方は、軸
線方向他端部から軸線方向一端部を見て、時計まわりと
なる方向であり、周方向他方は、軸線方向他端部から軸
線方向一端部を見て、反時計まわりとなる方向である。
【0029】またスリーブ本体12は、排出孔17が形
成される領域では、軸線に垂直な断面における形状が円
弧状となる。このスリーブ本体12の円弧状の部分は、
周方向に240度の領域に延びている。各列13a〜1
3cは、周方向に関して円弧状の部分を周方向に3等分
する角度である80度ごとに配置される。したがって前
記角度θは、80度である。
【0030】また各突起片13は千鳥格子状に配置され
る。具体的には、第2および第3列13b,13cは、
軸線方向に関して同一位置に配置され、第1列13aだ
けが、第2および第3列13b,13cに対して軸線方
向他端側に、軸線方向の突起片の配置間隔の約半分の距
離だけ変位して配置され、軸線方向に関して、隣接する
2つの列のうち一方の列の突起片13間の中央に、他方
の列の突起片13が配置される。このように千鳥格子状
に各突起片13を配置することによって、突起片13は
スリーブ本体12の軸線まわりに対してらせん状に配置
される。このらせん状に並ぶ突起の並び方向は、周方向
他方に旋回しながら軸線方向他端部側に移動する方向で
ある。スリーブ本体12を周方向の1個所で分断して展
開したとき、並び方向の軸線に対するねじれ角βは、ド
リル15のねじれ角αよりも大きい。
【0031】突起のらせん並び方向のねじれ角βは、周
方向1個所で分断して展開し、外方から見て時計まわり
の軸線に対する並び方向のずれ角である。
【0032】またドリルのねじれ角αは、ドリル刃を周
方向に1個所で分断して展開し、外方から見て時計まわ
りの軸線に対するドリル刃のずれ角である。
【0033】案内部14は、スリーブ本体12の軸線方
向一端部に設けられ、スリーブ本体12の内周面から半
径方向内方に周方向全周にわたって突出する。本実施の
形態では、スリーブ本体12の内径と同様またはわずか
に大きい外径を有する円筒の部材から成り、圧入するこ
とによって、案内部14が形成される。案内部14の内
径は、ドリル15のドリル径とほぼ等しくかつわずかに
大きい。この案内部14は、外襄領域82に設けられて
いる。したがって案内部14内には、工具挿通領域81
が延びて配置され、ドリル15の先端または先端部付近
を、案内部14に回転および軸線方向に変位可能に挿通
することができる。
【0034】支持部21は、スリーブ本体12の軸線方
向他端部に連なって、一体に形成される。この支持部2
1は、スリーブ本体の他端部からさらに他端部側に遠ざ
かる方向に突出している。支持部21は、略円筒状に形
成され、内径がドリル15のドリル径とほぼ等しくかつ
わずかに大きく形成されている。これによって、ドリル
15を支持部21に回転および軸線方向に変位可能に挿
通することができる。スリーブ本体12の長さは、先端
側の刃形成部と後端側の柄部とを有するドリル15の刃
形成部よりも長く形成されており、スリーブ装置10で
は、ドリル15は、先端部またはその付近が案内部14
に挿通され、柄部が支持部21に挿通される。
【0035】また案内部14、スリーブ本体12、およ
び支持部21はすべて同軸に形成され、案内部14およ
び支持部21の内径は等しい。スリーブ装置10は、工
具挿通領域81と、これに連なる支持部21内の空間に
よって軸線方向に挿通する領域が形成され、この領域に
おいてドリル15が挿通される。
【0036】図7は、図1の切断面線VII−VIIか
ら見て拡大して示す断面図である。各突起片13は、外
ねじが形成されるねじ部材であって、たとえば六角穴付
きボルトによって実現される。スリーブ本体12には、
各突起片13を配置すべき位置に、内ねじが形成される
ねじ孔部43が形成される。このねじ孔部43にねじ部
材である突起片13が着脱可能に螺着される。各突起片
13は、その突起片13の軸線44が、スリーブ本体の
軸線と直交するように設けられる。また突起片13は、
突起片13の軸線44まわりに回動することによって、
スリーブ本体12に対して半径方向に変位させることが
できる。突起片13は、ボルトの頭部をスリーブ本体1
2の外部に、ボルトの先端部をスリーブ本体12内に配
置して設けられる。またねじ部材である突起片13に
は、三角ねじが形成されている。
【0037】スリーブ装置10は、さらに座金24を含
み、この座金24は、突起片13の頭部とスリーブ本体
12との間に介在される。またこの座金24は、スリー
ブ本体12に対する突起片13の位置決めを兼ねてお
り、座金24の厚み、および/または介在枚数を適宜調
整すれば、頭部とスリーブ本体12とによって座金24
が挟持される位置に配置することによって、突起片13
の先端部を工具挿通領域81に近接して配置させること
ができる。
【0038】図8は、図2の切断面線VIII−VII
Iから見て、ドリル15による加工状態を示す断面図で
ある。図8(1)から図8(3)の順にドリル15が回
転して被切削物19に穿孔する。孔あけ加工は、スリー
ブ装置10の軸線方向一端部側の端面と被切削物19を
当接させ、スリーブ装置10を被切削物19に対して位
置決めし、ドリル15を回転した状態で軸線方向他端部
側から一端部側に向かう方向にドリル15を送って孔あ
け加工を行う。このときスリーブ装置10は案内部14
によってドリル15を案内できるので、所定の孔あけ位
置に加工孔を設けることができる。
【0039】ドリル15の先端部15aによって被切削
物19が切削されるとき、切屑16が発生する。切屑1
6は、ドリル15に形成される刃間のらせん状のねじれ
溝22を通って、スリーブ本体12の軸線方向一端部側
から他端部側に移動する。切屑16は、ドリル15とと
もに回転し、遠心力によってスリーブ本体12の半径方
向外方に向かう外力を受ける。案内部14とドリル15
との間にはほとんど隙間がないので、案内部14を通過
する切屑16は、ドリル溝に従って移動する。案内部1
4よりもスリーブ本体12の軸線方向他端部側では、ス
リーブ本体12とドリル15との間にスリーブ本体12
の半径方向に空隙を有しているので、切屑16は遠心力
によってドリル15のねじれ溝からスリーブ本体12の
内周面に向かって抜出る。
【0040】ドリル15とスリーブ本体12との間に導
かれた切屑16は、ドリル15の外周部に近接して設け
られる突起片13に接触する。これによって切屑16
が、ドリル15の内周部に沿って移動することが防がれ
る。また突起片13と切屑16とが接触することによっ
て切屑16は外力を受けて変形し、細かく破断される。
したがって切屑16は長く延びず、細かく破断されるの
で、ドリル15に切屑16が巻付くことを防止すること
ができる。
【0041】図9は、スリーブ本体12を周方向の1個
所で分断し、スリーブ本体12の外方から見て突起片1
3を示す展開図である。図9(1)は切屑16の一連の
破断のメカニズムの前段を示し、図9(2)は中段のメ
カニズムを、図9(3)は後段のメカニズムを示す。ド
リル15のねじれ溝に従って切屑16が延びる場合、切
屑16はねじれ溝の軸線に対する傾斜角、すなわちドリ
ル15のねじれ角αだけ軸線方向に傾斜して移動する。
また切屑16は、この傾斜を保ったままで軸線方向他端
部側、したがってドリルでの基端側に向かって平行移動
する。切屑16は、突起片13の1つに接触し、切屑1
6の一部が破断される。破断した切屑16は排出孔17
に向かって移動する。破断しなかった残りの切屑16は
軸線方向に傾斜を保ったまま軸線方向他端部側に向かっ
て再び平行移動する。残りの切屑16は再び別の突起片
13に接触し、破断しなかった残りの切屑16の一部が
破断される。この動作を繰返すことによって切屑は細か
く破断される。
【0042】具体的には、図9(1)に示すように、切
屑16は、ねじれ溝から抜出て突起片13に当接する場
合、ドリル15のねじれ角αよりも突起列角度βが大き
くなっているので、傾斜して延びる切屑16は、先端部
付近、たとえば切屑16の軸線方向他端部付近が第3列
の突起片13cに接触する。この突起片13によって切
屑16の先端部16aが破断される。破断した切屑16
aは、排出孔17へ移動する。次に破断しなかった残り
の切屑16は、再び軸線に傾斜して平行移動し、最初に
接触した突起片13cよりも周方向一方側に配置される
第1列の突起片13aに接触し、再び切屑16の先端部
16bが破断される。この動作を繰返すことによって、
長く延びる切屑16の先端部から順に各突起片13に接
触し、細かく破断される。
【0043】図10は、本発明の実施の形態である、ス
リーブ装置10が設けられる数値制御(略称NC)自動
孔あけ打鋲装置90の一部を拡大して示す断面図であ
る。図11(1)は、NC自動孔あけ打鋲装置90の図
10とは異なる一部を拡大して示す断面図である。図1
1(2)は、図11(1)の切断面線XI−XIから見
た断面図である。図12は、NC自動孔あけ打鋲装置9
0を示す斜視図である。図13は、NC自動孔あけ打鋲
装置90を示す平面図である。図14はNC自動孔あけ
打鋲装置90を示し、図14(1)はNC自動孔あけ打
鋲装置90の全体図を、図14(2)はNC自動孔あけ
打鋲装置90の平面図を、図14(3)はNC自動孔あ
け打鋲装置90の拡大図を、図14(4)は切削加工時
を示す図である。
【0044】切削装置であるNC自動孔あけ打鋲装置9
0は、孔あけおよび打鋲作業を行う装置であり、鋲(リ
ベット)結合を必要とする航空機の機体などの生産加工
に用いられる。NC自動孔あけ打鋲装置90は、孔あけ
のためのドリルユニット32を有し、このドリルユニッ
ト32は、スリーブ装置10、ドリル15、クランプ部
材20、リミットスイッチ25、リミットスイッチ操作
片25a、押圧部材26、スリーブ保持部27、ダクト
部28、エアシリンダ30およびホース31などの孔あ
けに関する手段を含む。またNC自動孔あけ打鋲装置9
0は、自動孔あけ加工を行うためのドリルユニット32
の制御を行う制御部48を有する。また操作者の指示す
る命令を制御部48に与える操作入力部49を有する。
【0045】ドリルユニット32は、図示しない駆動源
によって、固定設置される機体に対して、3軸方向およ
び3軸まわりの変位駆動可能に設けられ、モータ側ユニ
ットUMとクランプ側ユニットUCとを有する。モータ
側ユニットUMは、スリーブ装置10、ドリル15、ド
リルモータ29、押圧部材26、スリーブ保持部材27
およびモータ回転駆動ギアを有する。クランプ側ユニッ
トUCは、クランプ部材20、リミットスイッチ25お
よびリミットスイッチ操作片25aを有する。
【0046】モータ側ユニットUMは、基台33を有
し、この基台33には、チャック85が設けられ、チャ
ック85によってドリル15が保持される。ドリル15
は、クランプ側ユニットUCに臨んで設けられる。また
基台33には、スリーブ保持部27がドリル15の軸線
に平行に基台33に近接および離反変位可能に保持され
る。基台33には、ドリル15の軸線と平行に複数(た
とえば2つ)の案内棒35を有する固定部92が固定さ
れる。スリーブ保持部27は、2つの案内棒35が挿通
されて、この案内棒35に案内されて、ドリル15の軸
線に平行に変位可能に保持される。またこのスリーブ保
持部27は、抜止め部材39によって案内棒35から離
脱してしまうことが阻止され、所定範囲において変位で
きる。さらにスリーブ保持部27と固定部92との間に
は案内棒35と平行に圧縮コイルばね36が設けられ
る。圧縮コイルばね36は、スリーブ保持部27に、基
台33から離反する方向のばね力を与える。
【0047】スリーブ保持部27は、上述のように案内
棒35が挿通される基部71と、基部71から突出する
挟持部72とを有する。挟持部72は、一対の挟持片7
3を有し、各挟持片73間にスリーブ装置10の支持部
21が嵌まり込んだ状態で、たとえばボルトから成る結
合片42が各挟持片73を近接するように締付け、スリ
ーブ装置10の支持部21を挟持して保持することがで
きる。スリーブ装置10がこのように保持された状態
で、ドリル15の先端部がスリーブ本体の軸線方向一端
部に配置されて、ドリル15がスリーブ装置10に挿通
される。
【0048】図11に示すように、モータ側ユニットU
Mが送り方向に移動すると基台33に取付けられるスリ
ーブ装置10は、被切削物19に当接する。これによっ
てスリーブ装置およびスリーブ装置10を保持するスリ
ーブ保持部27は、送り方向に移動することが阻止され
る。さらにモータ側ユニットUMが送り方向に移動する
と、モータ側ユニットUMとスリーブ保持部27とを連
結する圧縮コイルばね36が圧縮するとともに固定部9
2に設けられる案内棒35がスリーブ保持部27を挿通
してを摺動する。これによってスリーブ保持部27は送
り方向に固定されたままで、モータ側ユニットUMが送
り方向に送られる。したがってスリーブ保持部27に結
合されたスリーブ装置10は送り方向に移動せず、ドリ
ル15は送り方向に移動する。また圧縮コイルばね36
が圧縮されることによってスリーブ保持部27には送り
方向に変位しようとする付勢力が生じる。これによって
スリーブ保持部27は、スリーブ装置10を送り方向に
押圧し、スリーブ装置10が被切削物19を押圧する力
を与える。
【0049】クランプ部材20は略円筒状に形成され、
被切削物19に対してスリーブ装置と反対方向に配置さ
れる。クランプ部材20は、軸線方向一端部がクランプ
側ユニットUCから軸線方向他端側に突出して接続され
る。クランプ部材20の軸線方向他端部側の内径は、ド
リル径よりも大きく形成される。クランプ部材20およ
びスリーブ装置10に形成される内径は、同軸上に設け
られる。これによって被切削物19を挿通したドリル1
5は、クランプ部材20内に収納される。
【0050】ドリルモータ29は、モータ側ユニットU
Mに取付けられ、ドリルモータ29からの回転力をモー
タ回転駆動ギア91によって伝達し、チャック85に接
続されるドリル15を回転させる。
【0051】リミットスイッチ操作片25aを有するリ
ミットスイッチ25は、クランプ側ユニットUCに取付
けられ、モータ側ユニットUMに対向してドリル15と
平行に調整可能に配置される。操作片25aを押圧する
押圧部材26は、モータ側ユニットUMに配置され、リ
ミットスイッチ25の操作片25aに対向する位置に取
付けられる。モータ側ユニットUMが加工時に送り方向
に移動し、孔あけが終了する位置まで送られると、押圧
部材26がリミットスイッチ操作片25aと接触し、リ
ミットスイッチ25は加工が終了したことを示す信号を
制御部48に与える。
【0052】操作入力部49は操作者からの命令を制御
部48に与え、制御部48は自動孔あけ打鋲装置90を
総括して制御する。たとえば制御部48は、操作入力部
49およびリミットスイッチ25からの命令によって、
ドリルモータ29の始動または停止、ドリルユニット3
2の移動のためのエアシリンダ47の制御などの孔あけ
動作のシーケンス制御のための指令を各部に与える。
【0053】NC自動孔あけ打鋲装置90は、スリーブ
装置10の排出孔17に臨む周縁部に、スリーブ本体1
2の外側から排出孔17を覆ってダクト部28が形成さ
れる。ダクト部28の一端部は排出孔17と接続し、他
端部はホース31を介して集塵機が接続されている。
【0054】図15は、本実施の形態のスリーブ装置1
0を設けたNC自動孔あけ打鋲装置90の集塵機18を
示す斜視図である。スリーブ装置10の排出孔17から
排出された切屑16は、集塵機18の吸引力によってダ
クト部28に送られ、さらにホース31を介して集塵機
18に補集される。
【0055】リミットスイッチ操作片25aと押圧部材
26との間隔は、押圧部材26の突出量を調整すること
によって変更することができる。これによってモータ側
ユニットUMが送り方向に移動して、孔あけ加工が終了
する位置に移動したとき、押圧部材26とリミットスイ
ッチ操作片25aとを接触させることができる。リミッ
トスイッチ操作片25aと押圧部材26が接触すると、
リミットスイッチ25は加工が終了したことを指示する
命令を制御部に与える。
【0056】図16は、NC自動孔あけ打鋲装置90の
孔あけ動作を示すフローチャートである。ステップa0
で、NC自動孔あけ打鋲装置90の入力操作、被切削物
19の所定位置へのクランプおよび切削工具の取付けを
含む孔あけ動作における準備をし、これらの孔あけ準備
動作が完了すると、ステップa1以降の孔あけ加工の一
連の動作が開始される。ステップa1では、制御部48
がエアシリンダ47に動作命令を与え、エアシリンダ4
7によってドリルユニット32が被切削物19の孔あけ
準備位置に移動する。ドリルユニット32が孔あけ準備
位置に配置されると、ステップa2に移行する。
【0057】ステップa2では制御部48が、ドリルモ
ータ29に回転命令を与え、命令を与えられたドリルモ
ータ29は回転し、モータ回転駆動ギアを介してドリル
15が回転し、ステップa3に移行する。ステップa3
では、制御部48がエアシリンダ47に動作命令を与
え、モータ側ユニットUMが送り方向に移動する。モー
タ側ユニットUMが送り方向に移動することによって、
スリーブ装置10が孔あけ面に当接する。これによって
被切削物19は、スリーブ装置10とクランプ部材20
とによって両側から挟持され、被切削物19は固定され
る。
【0058】モータ側ユニットUMは、送り方向にさら
に移動し、ドリル15が回転しながら送り方向に移動
し、孔あけが開始される。このときスリーブ装置は移動
せず、ドリル15はスリーブ装置10の案内部14によ
って案内されて穿孔する。これによってドリル15が切
削時に半径方向に振動せず、孔あけ位置に正確に加工孔
を形成することができる。
【0059】被切削物19は、スリーブ装置10および
クランプ部材20によって固定されているので、被切削
物19の振動およびずれを防止して高品質の加工孔を形
成することができる。また切削時に発生する切屑16
は、スリーブ装置10の排出孔17からダクト部28お
よびホース31を介して集塵機18に送られる。
【0060】ステップa4では、リミットスイッチ操作
片25aが押圧部材26に接触し、孔あけ加工が終了し
たことを指示する指令がリミットスイッチ25によって
制御部48に与えられる。制御部48はこの命令が与え
られると、切削加工が終了したことを判断し、ステップ
a5に移行する。また制御部48は切削加工が終了した
と判断するまでステップa3の動作を続行し、ドリル側
ユニット33は送り方向へ移動する。ステップa5では
制御部48がエアシリンダに反送り方向すなわち送り方
向と反対の方向に移動する命令を与え、モータ側ユニッ
トUMは、反送り方向に移動する。これによってモータ
側ユニットUMに結合されたスリーブ装置10およびド
リル15も同様に反送り方向に移動し、孔あけ準備位置
まで戻り、ステップa6に移行する。ステップa6で
は、制御部48が回転を停止する命令をドリルモータ2
9に与え、したがってドリル15もまた回転を停止す
る。ドリル15の回転が停止すると、ステップa7に移
行する。ステップa7では、制御部48がエアシリンダ
47によってモータ側ユニット33がNC自動孔あけ打
鋲装置90が定める原点位置に移動し、ステップa8に
移行する。ステップa8で一連の孔あけ動作が終了す
る。
【0061】本実施の形態によれば、スリーブ装置10
は、スリーブ本体内に設けられる突起片によって、加工
時に発生する切屑16が切削工具15に巻付くことを防
止することができる。したがって切削工具15に巻付い
た切屑16を除去する手間を少なくすることができる。
【0062】また、切屑16の巻付きによる切削工具1
5の損傷が防がれ、切削工具15の寿命を延ばすことが
できる。また、切削工具15に複雑な加工を施す必要が
なく、障害片を設けるだけの簡単な構成において実現す
ることができる。
【0063】また、突起片13にねじ部材を用いること
によって、スリーブ12本体における半径方向位置を容
易に調整でき、切屑を破断しやすい位置に容易に設ける
ことができる。また、ねじ部材は交換が容易であり、さ
らに既存のスリーブ装置を簡単に改良して実現すること
ができる。
【0064】実施の形態のスリーブ装置10は、空気流
入孔30が排出孔17より、軸線方向一端部側に形成さ
れるので、集塵機18によって切屑16を吸引すると
き、スリーブ本体12内を空気流入孔30から排出孔1
7に流れる空気の流れを作り出すことができる。これに
よって切屑16は、排出孔17に容易に移動することが
できる。
【0065】また突起片13を千鳥格子状に配置するこ
とによってスリーブ装置10全体の剛性を低下させるこ
となく突起片13の数を増やすことができる。また切屑
16が移動する充分な間隔を確保することができる。さ
らに突起片13がらせん状に配置される突起列角度βを
形成し、この突起列角度βがドリル15のねじれ角αよ
り大きくすることで、切屑16を切屑の先端部から破断
することができ、切屑を細かく破断することができる。
【0066】スリーブ本体12の円弧部の周方向の角度
は約240度であり、3つの突起列の周方向の角度間隔
θは80度である。したがって円弧部を軸方向に結ぶ突
起列の数で分割した角度(240÷3=80)に突起列
を配置することでスリーブ装置10の剛性を高くするこ
とができる。
【0067】また突起片13に三角ねじを用いることに
よって突起片13は、ねじ山の鋭利な突部を構成する。
これによって切屑16が突起片13に接触したときに外
力が1点に集中することによって切屑16は容易に破断
することができる。
【0068】スリーブ装置10に座金24を配置するこ
とによって、座金24の厚みを変化させることで、突起
片13のスリーブ本体12内方に突出する量を容易に調
整することができる。また座金24の厚みを前記δとす
ることによってねじ部材である突起片13が緩んでスリ
ーブ本体12の半径方向内方にさらに突出して、ドリル
15と接触することを防ぐことができる。また各突起片
13に同一の厚さを有する座金24を挟持することによ
って各突起片13のスリーブ装置10半径方向に突出す
る量を容易に等しくすることができる。
【0069】スリーブ装置10は、ドリル15を案内部
14および支持部21に挿通することによって、ドリル
15は半径方向に振動することなく、被切削物19を切
削することができる。したがって孔あけ位置に正確に加
工孔を形成することができる。また支持部21にはドリ
ル15の柄部が挿通されるので、支持部内径が削られる
ことを阻止することができる。
【0070】本実施の形態のNC自動孔あけ打鋲装置9
0によれば、スリーブ装置10およびクランプ部材20
によって被切削物を両側から挟持するので、被切削物1
9が振動およびぶれることを防いで切削することができ
る。またドリル15がスリーブ装置10に挿通された状
態でNC自動孔あけ打鋲装置90は切削加工を行い、ド
リル15が被切削物19を貫通したあとは、ドリル15
はクランプ部材20に挿通する。したがってドリル15
はスリーブ装置10およびクランプ部材20の内部に配
置され、外部に露出することがない。これによって操作
者がドリルに触れる機会が少なくなるので、操作者は安
全に切削加工作業を行うことができる。また、ドリル1
5が外部に露出していないので、被切削物19をスリー
ブ装置10に取付けおよび取外すときに、ドリル15に
よって被切削物19が傷つくことを防ぐことができる。
【0071】スリーブ装置10は被切削物19を圧縮コ
イルばね36の反力によって押圧している。この押圧力
は、ドリルの送り量に比例して大きくなる。したがって
深い孔をあけるときには、押圧力も大きくなり、さらに
確実に被切削物19を挟持することができる。
【0072】また孔あけ加工の動作においてステップa
6においてモータ側ユニットUMが原点に移動し、ステ
ップa7においてドリル15の回転を停止させてもよ
い。
【0073】図17は、本発明の他の実施の形態である
スリーブ装置10Aを示す断面図である。この実施の形
態であるスリーブ装置10Aは、前記実施の形態のスリ
ーブ装置10と類似しており同一の構成については同一
の参照符号を付し、説明を省略する。スリーブ装置10
Aは、スリーブ本体12、障害片11、案内部14およ
び支持部21を含んで構成される。障害片11は、突起
片13以外の他の形態である案内片53を有する。案内
片53は、スリーブ本体12の排出孔17に、軸線方向
他端部側から臨む縁辺部に設けられ、内方になるにつれ
て、軸線方向一端部に近づくように傾斜する案内面が形
成される。案内片53はスリーブ本体52の軸線方向他
端部側の端部から軸線方向一端部側に向かって外径が小
さくなり、スリーブ本体の円筒内に軸線方向一端部側に
凸な円錐台状に形成される。この円錐台の案内片53
は、円筒の内周面を形成する。この案内片53の内周面
は、支持部材21と同一の内周面に連なって形成され
る。これによってスリーブ装置10Aは、案内部14か
ら支持部21まで軸線方向に挿通する管状の孔が形成さ
れる。この管状の孔は、ドリル15が挿通されるドリル
挿通領域である。ドリル15が挿通された状態では、案
内片53はドリル15の柄の部分を外囲してドリルを支
持する。
【0074】上述の他の実施の形態のスリーブ装置10
Aによれば、切屑16を排出孔17に案内し排出するこ
とができる。したがって切屑16のドリル15への巻付
きを防止することができる。また案内片53が円錐台状
に形成されるので、ドリルの外周を回転する切屑16を
排出孔17に円滑に案内することができる。
【0075】図18は、本発明のさらに他の実施の形態
のスリーブ装置10Bを示す断面図である。図19は、
スリーブ装置10Bを示す斜視図である。この実施の形
態であるスリーブ装置10Bは前記実施の形態のスリー
ブ装置10と類似しており、同一の構成については同一
の参照符号を付し、説明を省略する。スリーブ装置10
Bは、スリーブ本体12、障害片11、案内部14およ
び支持部21を含んで構成される。障害片11は、前記
突起片13に代えて突起片63を有する。突起片63
は、ドリル15の外周部に近接して設けられる。突起片
63は本実施の形態ではスリーブ本体12に半径方向内
方に突出する板状の突起によって形成される。突起片6
3は、スリーブ本体12の軸線方向に傾斜して配置され
る。具体的には、各突起片63は軸線方向一端部から他
端部方向に周方向一方側に回転しながら移動するらせん
方向に沿って延びる。各突起片63のドリル15に近接
する面は、ドリル15の刃のねじれる方向に対して垂直
になる長辺を有する。さらにこの長辺は、ドリル15の
ドリル溝よりも長く形成されている。スリーブ装置10
Bは複数の突起片63を有し、前記突起片13と同様の
配置にしてもよい。たとえば複数の突起片63は、スリ
ーブ本体12の軸線方向に平行に並ぶ3つの突起列を構
成する。また各突起列は軸線方向に等間隔に並ぶ3つの
突起片63をそれぞれ有する。各突起片63は千鳥格子
状に配置されており、スリーブの軸線に対してらせん状
に並ぶ。各突起片はスリーブ本体12の周方向に間隔を
あけて配置される。このような配置することによりスリ
ーブ装置10Aとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0076】上述のさらに他の実施の形態のスリーブ装
置10Bによれば、前述のスリーブ装置10とほぼ同様
の効果が得られるとともに、スリーブ装置10に近接す
る面の長辺がドリル溝よりも長く形成されるためドリル
溝から分離した切屑をより確実に破断することができ
る。
【0077】上述の各構成は、本発明の例示にすぎず、
発明の範囲内において、構成を変更することができる。
たとえば、スリーブ装置本体は円筒に限らず、軸直行断
面が楕円形状、多角形形状または筒状であってもよい。
また突起片の個数においても、スリーブ装置の寸法およ
び切削条件に応じて適宜選択することができる。
【0078】また図1〜図16に示す実施の形態の突起
片は、6角穴付きボルトによって実現されたけれども、
他のねじ部材、たとえば6角ボルトまたは丸ねじ等の他
のねじ部材によって実現してもよく、この場合、6角穴
付きボルトと同様の効果を達成することができる。
【0079】また突起片の配置は千鳥格子に限らず、行
列状であってもよい。また、たとえば図1〜図16の実
施例は、図17の案内片をさらに備えるスリーブ装置で
あってもよく、図17の案内片、図18の突起片を備え
る構成であってもよい。また図1〜図16の突起片と図
18の突起片を併用してもよい。
【0080】さらにスリーブ装置は、NC自動孔あけ打
鋲機とは異なる他の切削工具に設けられてもよい。また
切削工具はドリルに限定されることなく、他の工具であ
ってもよい。
【0081】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、切屑が
切削工具に巻付くことを防止できるので、巻付いた切屑
を切削工具から除去する手間を少なくまたはなくしてメ
ンテナンス性を良好にすることができるとともに、切削
作業全体における切削加工時間を長くして生産能率を向
上することができる。また切屑の巻付きによる切削工具
の損傷が防がれ、切削工具の寿命を延ばすことができ
る。またこのような構成によれば、障害片は切削工具と
は別途に設けることができ、切削工具に複雑な加工を施
す必要がなく、高価な切削工具を用いる必要がないう
え、切削工具の寸法に拘わらず実現することができる。
しかも障害片を設けるだけの簡単な構成によって実現す
ることができ、切削工具を駆動するための装置の構成を
大きく変更する必要がない。さらに切削工具の送りは連
続的な切屑が発生する送り力、切削時間の長時間化を招
くおそれがない。
【0082】請求項2記載の本発明によれば、スリーブ
本体内に、障害片を設けることでスリーブ本体内におい
て切屑が切削工具に巻付くことを防止することができ
る。したがって切削工具に巻付いた切屑を切削工具から
除去する手間を少なくまたはなくして、メンテナンス性
を良好にすることができ、切削作業全体における切削加
工時間を長くして生産能率を向上することができる。ま
た切屑の巻付きによる切削工具の損傷が防がれ、切削工
具の寿命を延ばすことができる。またこのような構成に
よれば障害片は切削工具とは別に設けることができ、切
削工具に複雑な加工を施す必要がなく、高価な切削工具
を用いる必要がない上、切削工具の寸法に拘わらず実現
することができる。しかも障害片を設けるだけの簡単な
構成によって実現することができ、切削工具を駆動する
ための装置の構成を大きく変更する必要がない。さらに
切削工具の送りは連続的な切屑が発生する送り力、切削
時間の長時間化を招くおそれがない。
【0083】請求項3記載の本発明によれば、切屑の切
削工具への巻付きをさらに確実に阻止し、かつ切屑をよ
り確実に破断することができる。また排出孔から切屑を
容易に排出することができるので切削動作を円滑にでき
るだけでなく、メンテナンス性を良好にすることができ
るとともに切削工具の損傷も少なくすることができる。
【0084】請求項4記載の本発明によれば、各ねじ部
材のスリーブ本体における半径方向位置を容易に調整で
きるので、切屑を破断しやすい位置に容易に設けること
ができる。またねじ部材は交換が容易であり、メンテナ
ンス性に優れている。さらに既存のスリーブ装置を簡単
に改良して実現できるので資源を無駄にすることなくか
つ容易に製造することができる。
【0085】請求項5記載の本発明によれば、スリーブ
本体に案内片を設けることで切屑の切削工具への巻付き
をさらに防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のスリーブ装置10の断
面図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た断面図であ
る。
【図3】スリーブ装置10を示す斜視図である。
【図4】スリーブ装置10を示す平面図である。
【図5】スリーブ装置10を示す底面図である。
【図6】図4に示すスリーブ装置10の左側面図であ
る。
【図7】図1の切断面線VII−VIIから見て拡大し
て示す断面図である。
【図8】図2の切断面線VIII−VIIIから見た断
面図である。
【図9】スリーブ本体12の展開図である。
【図10】NC自動孔あけ打鋲装置90の一部を拡大し
て示す断面図である。
【図11】NC自動孔あけ打鋲装置90の一部を拡大し
て示す断面図である。
【図12】NC自動孔あけ打鋲装置90を示す斜視図で
ある。
【図13】NC自動孔あけ打鋲装置90を示す平面図で
ある。
【図14】NC自動孔あけ打鋲装置90を示す図であ
る。
【図15】NC自動孔あけ打鋲装置90の集塵機を示す
斜視図である。
【図16】NC自動孔あけ打鋲装置90の孔あけ動作を
示すフローチャートである。
【図17】他の実施の形態のスリーブ装置10Aを示す
断面図である。
【図18】さらに他の実施の形態のスリーブ装置10B
を示す断面図である。
【図19】スリーブ装置10Bを示す斜視図である。
【図20】従来のスリーブ装置1を示す斜視図である。
【図21】従来の切削装置2の一部を示す断面図であ
る。
【図22】図21の切断面線XXII−XXIIから見
た断面図である。
【符号の説明】
10 スリーブ装置 11 障害片 12 スリーブ本体 13 突起片 14 案内部 15 ドリル 16 切屑 17 排出孔

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被切削物に対して回転して切削加工する
    切削工具の外周部に近接して設けられる障害片を含むこ
    とを特徴とする切削工具の切屑巻付防止装置。
  2. 【請求項2】 被切削物に対して回転して切削加工する
    切削工具が、挿通される工具挿通領域を有する内部空間
    が形成され、内部空間と外部空間とを連通する排出孔が
    形成されるスリーブ本体と、工具挿通領域に近接してス
    リーブ本体に設けられる障害片とを含むことを特徴とす
    る切削工具のスリーブ装置。
  3. 【請求項3】 前記障害片は、スリーブ本体の軸線方向
    に関して、排出孔が形成される領域およびこの領域より
    も軸線方向一端部に近い領域に設けられる複数の突起片
    を含むことを特徴とする請求項2記載の切削工具のスリ
    ーブ装置。
  4. 【請求項4】 前記各突起片は、外ねじが形成され、ス
    リーブ本体に螺着されるねじ部材であることを特徴とす
    る請求項3記載の切削工具のスリーブ装置。
  5. 【請求項5】 前記障害片は、排出孔に軸線方向他端部
    側から臨む縁辺部に設けられ、内方になるにつれて軸線
    方向一端部に近づくように傾斜する案内面が形成される
    案内片を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか
    1つに記載の切削工具のスリーブ装置。
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