JP2002124316A - 異方導電性シート - Google Patents

異方導電性シート

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JP2002124316A
JP2002124316A JP2001240024A JP2001240024A JP2002124316A JP 2002124316 A JP2002124316 A JP 2002124316A JP 2001240024 A JP2001240024 A JP 2001240024A JP 2001240024 A JP2001240024 A JP 2001240024A JP 2002124316 A JP2002124316 A JP 2002124316A
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Japan
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sheet
anisotropic conductive
conductive sheet
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volume resistivity
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JP2001240024A
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Hisao Igarashi
久夫 五十嵐
Kazuo Inoue
和夫 井上
Ryoji Sedaka
良司 瀬高
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無加圧の状態において、表面に電荷を保持す
ることができ、しかも、厚み方向に加圧した状態におい
て、表面に保持された電荷を厚み方向に移動させること
ができ、これにより、表面における電荷量を制御するこ
とが可能な異方導電性シートを提供すること。 【解決手段】 本発明の異方導電性シートは、エラスト
マーよりなるシート基体中に、磁性を示す導電性粒子が
厚み方向に並ぶよう配向しかつ面方向に分散した状態で
含有されてなり、無加圧の状態における厚み方向の体積
固有抵抗をR0 とし、厚み方向に1g/mm2 の圧力で
加圧された状態における厚み方向の体積固有抵抗をR1
としたとき、体積固有抵抗R1 が1×107 〜1×10
12Ω・mであり、体積固有抵抗R0 と体積固有抵抗R1
との比(R0 /R1 )が1×101〜1×104 である
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚み方向に導電性
を示す異方導電性シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】異方導電性エラストマーシートは、厚み
方向にのみ導電性を示すもの、または厚み方向に加圧さ
れたときに厚み方向にのみ導電性を示す加圧導電性導電
部を有するものであり、ハンダ付けあるいは機械的嵌合
などの手段を用いずにコンパクトな電気的接続を達成す
ることが可能であること、機械的な衝撃やひずみを吸収
してソフトな接続が可能であることなどの特長を有する
ため、このような特長を利用して、例えば電子計算機、
電子式デジタル時計、電子カメラ、コンピューターキー
ボードなどの分野において、回路装置、例えばプリント
回路基板とリードレスチップキャリアー、液晶パネルな
どとの相互間の電気的な接続を達成するためのコネクタ
ーとして広く用いられている。
【0003】また、プリント回路基板や半導体集積回路
などの回路装置の電気的検査においては、検査対象であ
る回路装置の一面に形成された被検査電極と、検査用回
路基板の表面に形成された検査用電極との電気的な接続
を達成するために、回路装置の被検査電極領域と検査用
回路基板の検査用電極領域との間に異方導電性エラスト
マーシートを介在させることが行われている。
【0004】従来、このような異方導電性エラストマー
シートとしては、種々の構造のものが知られている。例
えば無加圧の状態で導電性を示す異方導電性エラストマ
ーシートとしては、絶縁性ゴムよりなるシート基体中
に、導電性繊維が厚み方向に伸びるよう配向した状態で
配列されてなるもの、カーボンブラックや金属粉末が配
合されてなる導電性ゴムと絶縁性ゴムとが面方向に沿っ
て交互に積層されてなるもの(特開昭50−94495
号公報参照)などが知られている。一方、厚み方向に加
圧した状態で導電性を示す異方導電性エラストマーシー
トとしては、金属粒子をエラストマー中に均一に分散し
て得られるもの(特開昭51−93393号公報参
照)、導電性磁性体粒子をエラストマー中に不均一に分
布させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電路形
成部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されて
なるもの(特開昭53−147772号公報参照)導電
路形成部の表面と絶縁部との間に段差が形成されてなる
もの(特開昭61−250906号公報参照)などが知
られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】而して、近年、電子部
品あるいは電子部品応用機器の分野においては、加圧さ
れていない状態では、表面に電荷を保持することがで
き、厚み方向に加圧されたときには、表面に保持された
電荷を厚み方向に移動させることができ、これにより、
表面における電荷量を制御することが可能なシートが要
求されている。しかしながら、従来の異方導電性エラス
トマーシートは、このような特性を十分に満足するもの
ではない。
【0006】本発明は、以上のような事情に基づいてな
されたものであって、その目的は、無加圧の状態におい
て、表面に電荷を保持することができ、しかも、厚み方
向に加圧した状態において、表面に保持された電荷を厚
み方向に移動させることができ、これにより、表面にお
ける電荷量を制御することが可能な異方導電性シートを
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の異方導電性シー
トは、エラストマーよりなるシート基体中に、磁性を示
す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向しかつ面方向に
分散した状態で含有されてなり、無加圧の状態における
厚み方向の体積固有抵抗をR0 とし、厚み方向に1g/
mm2 の圧力で加圧された状態における厚み方向の体積
固有抵抗をR1 としたとき、体積固有抵抗R1 が1×1
7 〜1×1012Ω・mであり、体積固有抵抗R0 と体
積固有抵抗R1 との比(R0 /R1 )が1×101 〜1
×104 であることを特徴とする。
【0008】本発明の異方導電性シートにおいては、体
積固有抵抗R0 が1×109 〜1×1014Ω・mである
ことが好ましい。また、本発明の異方導電性シートにお
いては、表面抵抗率が1×1013〜1×1016Ω/□で
あることが好ましい。また、本発明の異方導電性シート
においては、シートの一面において、電子プローブ微量
分析法によって検出される導電性粒子を構成する物質の
占める面積の合計の割合が15〜60%であることが好
ましい。
【0009】また、本発明の異方導電性シートは、エラ
ストマーよりなるシート基体中に、体積固有抵抗が1×
102 〜1×107 Ω・mである磁性を示す導電性粒子
が厚み方向に並ぶよう配向しかつ面方向に分散した状態
で含有されてなることを特徴とする。
【0010】本発明の異方導電性シートにおいては、導
電性粒子がフェライトよりなることが好ましい。また、
本発明の異方導電性シートにおいては、シート基体中に
非磁性の導電性付与物質が含有されていてもよい。
【0011】
【作用】本発明の異方導電性シートによれば、加圧され
た状態における厚み方向の体積固有抵抗R1 が特定の範
囲にあり、かつ、無加圧の状態における厚み方向の体積
固有抵抗R0 と体積固有抵抗R1 との比が特定の範囲に
あるため、無加圧の状態においては、表面に電荷が保持
されると共に、厚み方向に加圧した状態においては、表
面に保持された電荷が厚み方向に移動し、これにより、
表面における電荷量が制御される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。図1は、本発明に係る異方導電性シ
ートの構成を示す説明用断面図である。この異方導電性
シートは、導電性エラストマーよりなるシート基体10
中に、磁性を示す導電性粒子Pが当該シート基体10の
厚み方向に並ぶよう配向した状態でかつ当該シート基体
10の面方向に分散した状態で含有されて構成されてい
る。シート基体10の厚みは、例えば0.02〜10m
m、好ましくは0.05〜8mmである。
【0013】本発明の異方導電性シートにおいては、厚
み方向に1g/mm2 の圧力で加圧された状態における
厚み方向の体積固有抵抗をR1 としたとき、体積固有抵
抗R 1 が1×107 〜1×1012Ω・m、好ましくは1
×108 〜1×1011Ω・mとされる。この体積固有抵
抗R1 が1×107 Ω・m未満である場合には、当該異
方導電性シートは、その表面に保持された電荷の放出ま
たは逆電荷の注入が容易に起こりやすいものとなるた
め、当該異方導電性シートの表面における電荷量を制御
することが困難となる。一方、この体積固有抵抗R1
1×1012Ω・mを超える場合には、当該異方導電性シ
ートを厚み方向に加圧したときに、その表面に保持され
た電荷を十分に放出することが困難となる。
【0014】また、本発明の異方導電性シートにおいて
は、無加圧の状態における厚み方向の体積固有抵抗をR
0 としたとき、体積固有抵抗R0 が1×109 〜1×1
14Ω・m、特に1×1010〜1×1013Ω・mである
ことが好ましい。この体積固有抵抗R0 が1×109 Ω
・m未満である場合には、当該異方導電性シートの表面
に電荷を十分に保持することが困難となることがある。
一方、この体積固有抵抗R0 が1×1014Ω・mを超え
る場合には、当該異方導電性シートの表面に所要の量の
電荷を保持させるために相当に長い時間が必要となり、
また、異方導電性シートの表面に電荷が保持されても、
当該電荷による放電が起こりやすいため、好ましくな
い。
【0015】また、本発明の異方導電性シートにおいて
は、体積固有抵抗R0 と体積固有抵抗R1 との比(R0
/R1 )が1×101 〜1×104 、好ましくは1×1
2〜1×103 とされる。この比(R0 /R1 )が1
×101 未満である場合には、当該異方導電性シート
は、無加圧の状態における表面の電荷の保持性能と、厚
み方向に加圧した状態における表面の電荷の保持性能と
の差が小さいものとなるため、当該異方導電性シートの
表面における電荷量の制御が困難となる。一方、この比
(R0 /R1 )が1×104 を超える場合には、当該異
方導電性シートを厚み方向に加圧した状態における厚み
方向の電気抵抗が低くなり過ぎ、そのため、表面に保持
された電荷が容易に厚み方向に移動する結果、表面にお
ける電荷量を制御することが困難となる。
【0016】また、本発明の異方導電性シートにおいて
は、表面抵抗率が1×1013〜1×1016Ω/□、特に
1×1014〜1×1015Ω/□であることが好ましい。
この表面抵抗率が1×1013Ω/□未満である場合に
は、当該異方導電性シートの表面に電荷を十分に保持す
ることが困難となることがある。一方、この表面抵抗率
が1×1016Ω/□を超える場合には、当該異方導電性
シートの表面に所要の量の電荷を保持させるために相当
に長い時間が必要となり、また、異方導電性シートの表
面に電荷が保持されても、当該電荷による放電が起こり
やすいため、好ましくない。
【0017】本発明において、異方導電性シートの体積
固有抵抗R0 、体積固有抵抗R1 および表面抵抗率は、
以下のようにして測定することができる。体積固有抵抗
0 および表面抵抗率:異方導電性シートの一面に、ス
パッター装置により、Au−Pdをターゲットとして、
直径16mmの円板状表面電極を形成すると共に、この
円板状表面電極と中心点が実質上同一である内径30m
mのリング状表面電極を形成する。一方、異方導電性シ
ートの他面における前記円板状表面電極に対応する位置
に、スパッター装置により、Au−Pdをターゲットと
して、直径30mmの円板状の裏面電極を形成する。そ
して、リング状表面電極をグランドに接続した状態で、
円板状表面電極と裏面電極との間に500Vの電圧を印
加し、当該円板状表面電極と当該裏面電極との間の電流
値を測定し、この電流値から体積固有抵抗R0 を求め
る。また、裏面電極をグランドに接続した状態で、円板
状表面電極とリング状表面電極との間に1000Vの電
圧を印加し、当該円板状表面電極と当該リング状表面電
極との間の電流値を測定し、この電流値から表面抵抗率
を求める。体積固有抵抗R1 :異方導電性シートを、直
径50mmの金メッキされた電極板上に載置し、この異
方導電性シートに、直径16mmの円板状電極とこの円
板状電極と中心点が実質上同一である内径30mmのリ
ング状電極とを有するプローブを、1g/mm 2 の圧力
で押圧し、リング状電極をグランドに接続した状態で、
電極板と円板状電極との間に250Vの電圧を印加し、
当該電極板と当該円板状電極との間の電流値を測定し、
この電流値から体積固有抵抗R1 を求める。
【0018】シート基体10を形成するエラストマーと
しては、架橋構造を有する絶縁性の高分子物質が好まし
い。この架橋高分子物質を得るために用いることのでき
る硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを
用いることができ、その具体例としては、ポリブタジエ
ンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブ
タジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水
素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重
合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体など
のブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、ク
ロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピ
クロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロ
ピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共
重合体ゴムなどが挙げられる。以上において、得られる
異方導電性シートに耐候性が要求される場合には、共役
ジエン系ゴム以外のものを用いることが好ましく、特
に、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーン
ゴムを用いることが好ましい。
【0019】シリコーンゴムとしては、液状シリコーン
ゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコ
ーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105
アズ以下のものが好ましく、縮合型のもの、付加型のも
の、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのい
ずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコーン
生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニ
ルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
【0020】これらの中で、ビニル基を含有する液状シ
リコーンゴム(ビニル基含有ポリジメチルシロキサン)
は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチルジア
ルコキシシランを、ジメチルビニルクロロシランまたは
ジメチルビニルアルコキシシランの存在下において、加
水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−沈殿の
繰り返しによる分別を行うことにより得られる。また、
ビニル基を両末端に含有する液状シリコーンゴムは、オ
クタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキ
サンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止
剤として例えばジメチルジビニルシロキサンを用い、そ
の他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重
合停止剤の量)を適宜選択することにより得られる。こ
こで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチ
ルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムな
どのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用
いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃で
ある。このようなビニル基含有ポリジメチルシロキサン
は、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分
子量をいう。以下同じ。)が10000〜40000の
ものであることが好ましい。また、得られる導電路素子
の耐熱性の観点から、分子量分布指数(標準ポリスチレ
ン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平
均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同
じ。)が2以下のものが好ましい。
【0021】一方、ヒドロキシル基を含有する液状シリ
コーンゴム(ヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサ
ン)は、通常、ジメチルジクロロシランまたはジメチル
ジアルコキシシランを、ジメチルヒドロクロロシランま
たはジメチルヒドロアルコキシシランの存在下におい
て、加水分解および縮合反応させ、例えば引続き溶解−
沈殿の繰り返しによる分別を行うことにより得られる。
また、環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン
重合し、重合停止剤として、例えばジメチルヒドロクロ
ロシラン、メチルジヒドロクロロシランまたはジメチル
ヒドロアルコキシシランなどを用い、その他の反応条件
(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)
を適宜選択することによっても得られる。ここで、アニ
オン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニ
ウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカ
リまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることが
でき、反応温度は、例えば80〜130℃である。この
ようなヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンは、
その分子量Mwが10000〜40000のものである
ことが好ましい。また、得られる導電路素子の耐熱性の
観点から、分子量分布指数が2以下のものが好ましい。
本発明においては、上記のビニル基含有ポリジメチルシ
ロキサンおよびヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキ
サンのいずれか一方を用いることもでき、両者を併用す
ることもできる。
【0022】本発明においては、高分子物質形成材料を
硬化させるために適宜の硬化触媒を用いることができ
る。このような硬化触媒としては、有機過酸化物、脂肪
酸アゾ化合物、ヒドロシリル化触媒などを用いることが
できる。硬化触媒として用いられる有機過酸化物の具体
例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ビスジシクロベ
ンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジターシャリーブチ
ルなどが挙げられる。硬化触媒として用いられる脂肪酸
アゾ化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニト
リルなどが挙げられる。ヒドロシリル化反応の触媒とし
て使用し得るものの具体例としては、塩化白金酸および
その塩、白金−不飽和基含有シロキサンコンプレック
ス、ビニルシロキサンと白金とのコンプレックス、白金
と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとのコン
プレックス、トリオルガノホスフィンあるいはホスファ
イトと白金とのコンプレックス、アセチルアセテート白
金キレート、環状ジエンと白金とのコンプレックスなど
の公知のものが挙げられる。硬化触媒の使用量は、高分
子物質形成材料の種類、硬化触媒の種類、その他の硬化
処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常、高分子物
質形成材料100重量部に対して3〜15重量部であ
る。
【0023】シート基体10中に含有される導電性粒子
Pとしては、磁場を作用させることによって容易に異方
導電性シート10の厚み方向に並ぶよう配向させること
ができる観点から、磁性を示す導電性粒子が用いられ
る。このような導電性粒子Pの具体例としては、ニッケ
ル、鉄、コバルトなどの磁性を示す金属よりなる粒子若
しくはこれらの合金よりなる粒子またはこれらの金属を
含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該
芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの酸
化しにくい導電性金属のメッキを施したもの;ZrFe
2 、FeBe2 、FeRh、MnZn、Ni3 Mn、F
eCo、FeNi、Ni2 Fe、MnPt3 、FeP
d、FePd3 、Fe3 Pt、FePt、CoPt、C
oPt3 、Ni3 Ptなどの強磁性金属間化合物からな
る粒子、またはこの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表
面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの酸化しにくい
導電性金属のメッキを施したもの;化学式:M1 O・F
2 3 (但し、M1 は、Mn、Fe、Ni、Cu、Z
n、Mg、Co、Liなどの金属を示す。)で表される
フェライト、若しくはこれらの混合物(例えばMn−Z
nフェライト、Ni−Znフェライトなど)、FeMn
2 4 などのマンガナイト、化学式:M2 O・Co2
3 (但し、M2 は、Fe、Niなどの金属を示す。)で
表されるコバルタイト、Ni0.5 Zn0.5 Fe2 4
Ni0.35Zn0.65Fe2 4 、Ni0.7 Zn0.2 Fe
0.1 Fe2 4、Ni0.5 Zn0.4 Fe0.1 Fe2 4
などの強磁性金属酸化物よりなる粒子、またはこの粒子
を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウ
ム、ロジウムなどの酸化しにくい導電性金属のメッキを
施したもの;非磁性金属粒子、ガラスビーズ、カーボン
などの無機物質よりなる粒子、またはポリスチレン、ジ
ビニルベンゼンによって架橋されたポリスチレンなどの
ポリマーよりなる粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面
に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性体のメッキを
施したもの、あるいは芯粒子に、導電性磁性体および酸
化しにくい導電性金属の両方を被覆したものなどが挙げ
られる。
【0024】これらの導電性粒子の中では、体積固有抵
抗R0 および体積固有抵抗R1 が上記の条件を満足する
異方導電性シートが確実に得られる点で、体積固有抵抗
(以下、「体積固有抵抗RP 」という。)が1×102
〜1×107 Ω・m、特に1×103 〜1×106 Ω・
mの導電性粒子を用いることが好ましく、具体的には、
化学式:M1 O・Fe2 3 (但し、M1 は、Mn、F
e、Ni、Cu、Zn、Mg、Co、Liなどの金属を
示す。)で表されるフェライト、若しくはこれらの混合
物(例えばMn−Znフェライト、Ni−Znフェライ
トなど)よりなる導電性粒子を用いることが好ましい。
【0025】また、これらの導電性粒子は、その導電性
を調整することを目的として、表面に絶縁被膜が形成さ
れたものであってもよい。ここで、絶縁被膜としては、
金属酸化物、酸化珪素化合物などの無機材料、樹脂、カ
ップリング剤などの有機材料を用いることができる。
【0026】本発明において、導電性粒子の体積固有抵
抗Rp は、以下のようにして測定することができる。内
径25mm、深さ50mmで底部が直径25mmの電極
によって構成された有底筒状のセル内に導電性粒子を入
れ、この導電性粒子を直径25mmの円柱状の電極によ
って、127kg/cm2 の圧力で押圧し、この状態
で、電極間に10Vの電圧を印加し、当該電極間の電流
値を測定すると共に、電極間距離を測定し、これらの値
から体積固有抵抗Rp を求める。
【0027】また、導電性粒子Pの数平均粒子径は、1
〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは
2〜500μm、さらに好ましくは5〜300μm、特
に好ましくは10〜200μmである。また、得られる
異方導電性シートにおいて、導電性粒子Pによって厚み
方向に形成される導電路間の間隔が小さいものであるこ
と、すなわち分解能の高い異方導電特性が要求される場
合には、導電性粒子Pとして、数平均粒子径が小さいも
のを用いることが好ましく、具体的には、数平均粒子径
が1〜20μm、特に1〜10μmのものを用いること
が好ましい。また、導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/
Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好まし
くは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特
に好ましくは1.1〜4である。このような条件を満足
する導電性粒子を用いることにより、得られる異方導電
性シートは、加圧変形が容易なものとなり、また、当該
導電性粒子間に十分な電気的接触が得られる。また、導
電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、
高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる
点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集
した2次粒子による塊状のものであることが好ましい。
【0028】また、導電性粒子Pの含水率は、5%以下
であることが好ましく、より好ましくは3%以下、さら
に好ましくは2%以下、とくに好ましくは1%以下であ
る。このような条件を満足する導電性粒子を用いること
により、高分子物質形成材料を硬化処理する際に気泡が
生ずることが防止または抑制される。
【0029】シート基体10中における導電性粒子Pの
割合は、当該異方導電性シートの使用目的および用いら
れる導電性粒子の種類に応じて適宜選択されるが、体積
分率で、通常3〜50%、好ましくは5〜30%となる
範囲から選択されることが好ましい。この割合が3%未
満である場合には、十分に電気抵抗の小さい導電路を形
成することが困難となることがある。一方、この割合が
50%を超える場合には、得られる異方導電性シートは
脆弱なものとなることがある。
【0030】本発明の異方導電性シートにおいては、当
該異方導電性シートの一面において、電子プローブ微量
分析法(EPMA)によって元素分析試験を行ったとき
に、導電性粒子Pを構成する物質が検出された領域の面
積の合計の割合が、試験対象領域の面積の15〜60
%、特に25〜45%であることが好ましい。この割合
が15%未満である場合には、当該異方導電性シートの
表面またはその付近に存在する導電性粒子Pの割合が小
さいため、その体積固有抵抗R1 が高いものとなり、そ
の結果、当該異方導電性シートの表面における電荷量の
制御が困難となることがあり、また、厚み方向に必要な
導電性を得るために、異方導電性シートを大きい圧力で
加圧することが必要となるため、好ましくない。一方、
この割合が60%を超える場合には、当該異方導電性シ
ートの表面またはその付近に存在する導電性粒子Pの割
合が大きいため、無加圧状態における厚み方向の体積固
有抵抗R0 および表面抵抗率が低いものとなりやすい。
【0031】以上において、導電性粒子Pを構成する物
質が検出された領域の面積の合計の割合は、具体的に
は、株式会社島津製作所製の「電子線マイクロアナライ
ザーEPMA−8705」を用い、以下のようにして測
定することができる。X−Y試料ステージに異方導電性
シートを載置し、その後、当該異方導電性シートの一面
に電子線を照射し、これにより発生する特性X線を検出
して元素分析を行う。具体的な条件としては、電子線の
照射スポットの寸法が1μm×1μm、特性X線の取り
込み時間が10msec、元素の検出深さが異方導電性
シートの表面から約2μmである。そして、X−Y試料
ステージをX方向またはY方向に1μmずつ移動させる
ことにより、合計で512×512ポイントについて、
電子線の照射、特性X線の検出および元素分析を行う。
このようにして測定された、異方導電性シートの一面に
おける512μm×512μmの試験対象領域について
の元素分析の結果から、当該試験対象領域内における導
電性粒子を構成する物質が検出された領域を示すマップ
を作成し、このマップを画像解析することにより、試験
対象領域の面積に対する導電性粒子Pを構成する物質が
検出された領域の面積の合計の割合を求める。
【0032】本発明の異方導電性シートにおいては、体
積固有抵抗R0 、体積固有抵抗R1および表面抵抗率の
値を調整するために、必要に応じて、シート基体中10
中に、非磁性の導電性付与物質を分散させることができ
る。このような非磁性の導電性付与物質としては、それ
自体導電性を示す物質(以下、「自己導電性物質」とも
いう。)、吸湿することによって導電性が発現される物
質(以下、「吸湿導電性物質」ともいう。)などを用い
ることができ、これらの自己導電性物質および吸湿導電
性物質は、いずれか一方を使用することも両者を併用す
ることもできる。
【0033】自己導電性物質としては、一般的には、金
属結合における自由電子により導電性を示す物質、余剰
電子の移動によって電荷の移動が起こるもの、空孔の移
動によって電荷の移動が起こるもの、主鎖に沿ってπ結
合を有し、その相互作用により導電性を示す有機高分子
物質、側鎖にある基の相互作用によって電荷の移動を起
こす物質などから選択して用いることができる。具体的
には、白金、金、銀、銅、アルミウニム、マンガン、亜
鉛、錫、鉛、インジウム、モリブデン、ニオブ、タンタ
ル、クロムなどの非磁性金属;二酸化銅、酸化亜鉛、酸
化錫、酸化チタンなどの非磁性導電性金属酸化物;ウィ
スカ、チタン酸カリウム、カーボンなどの導電性繊維物
質;ゲルマニウム、珪素、インジウム燐、硫化亜鉛など
の半導電性物質;カーボンブラック、グラファイトなど
の炭素系物質;ポリアセチレン系ポリマー、ポリフェニ
レン系ポリマー、チオフェニレン系ポリマー等の複素環
ポリマーなどの導電性高分子物質などを用いることがで
き、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて導
電性付与物質として用いることができる。
【0034】吸湿導電性物質としては、イオンを生成
し、そのイオンによって電荷を運ぶ物質、水酸基やエス
テル基などの極性の大きい基を有する物質などから選択
して用いることができる。具体的には、第四級アンモニ
ウム塩、アミン系化合物などの陽イオンを生成する物
質;脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル
塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステ
ル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコール
エチレンオキサイド付加燐酸エステル塩などの陰イオン
を生成する物質;ベダイン化合物などの陽イオンおよび
陰イオンの両方を生成する物質;クロルポリシロキサ
ン、アルコキシシラン、アルコキシポリシラン、アルコ
キシポリシロキサン等の珪素化合物、導電性ウレタン、
ポリビニルアルコールまたはその共重合体等の高分子物
質、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレン
グリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エス
テル等のアルコール系界面活性剤、多糖類などの極性の
大きい基を有する物質などを用いることができ、これら
は、単独でまたは2種以上を組み合わせて導電性付与物
質として用いることができる。
【0035】また、上記の吸湿導電性物質の中では、高
い耐熱性を有し、弾性高分子物質との相溶性が良好で、
弾性高分子物質の形成において重合阻害を引き起こさな
い点で、脂肪族スルホン酸塩が好ましい。かかる脂肪族
スルホン酸塩としては、1−デカンスルホン酸塩、1−
ウンデカンスルホン酸塩、1−ドデカンスルホン酸塩、
1−トリデカンスルホン酸塩、1−テトラデカンスルホ
ン酸塩、1−ペンタデカンスルホン酸塩、1−ヘキサデ
カンスルホン酸塩、1−ヘプタデカンスルホン酸塩、1
−オクタデカンスルホン酸塩、1−ノナデカンスルホン
酸塩、1−エイコサンデカスルホン酸塩またはこれらの
異性体などの炭素数が10〜20のアルキル基を有する
ものが好ましい。また、塩としては、リチウム、ナトリ
ウム、カリウムなどのアルカリ金属塩が好ましく、特
に、一層高い耐熱性を有する点で、ナトリウム塩が好ま
しい。
【0036】導電性エラストマー中における非磁性の導
電性付与物質の割合は、導電性付与物質の種類や目的と
する導電性の程度などに応じて適宜設定されるが、通
常、導電性付与物質として非磁性金属よりなるものを単
独で用いる場合には、0.2重量%以下、好ましくは
0.01〜0.1重量%、導電性付与物質として非磁性
導電性金属酸化物よりなるものを単独で用いる場合に
は、1重量%以下、好ましくは0.05〜0.5重量
%、導電性付与物質として導電性繊維物質よりなるもの
を単独で用いる場合には、0.5重量%以下、好ましく
は0.02〜0.2重量%、導電性付与物質としてカー
ボンブラックよりなるものを単独で用いる場合には、1
重量%以下、好ましくは0.08〜0.8重量%、導電
性付与物質として導電性高分子物質よりなるものを単独
で用いる場合には、0.8重量%以下、好ましくは0.
05〜0.5重量%、導電性付与物質として吸湿導電性
物質を単独で用いる場合には、1重量%以下、好ましく
は0.08〜0.8重量%の範囲から設定される。ま
た、上記の種々の導電性付与物質を組み合わせて用いる
場合には、その割合は上記の範囲を考慮して設定され
る。
【0037】また、導電性エラストマー中には、必要に
応じて、通常のシリカ粉、コロイダルシリカ、エアロゲ
ルシリカ、アルミナなどの無機充填材を含有させること
ができる。このような無機充填材を含有させることによ
り、シート基体10を形成するための材料のチクソトロ
ピー性が確保され、その粘度が高くなり、しかも、導電
性粒子の分散安定性が向上すると共に、高い強度を有す
るシート基体10が得られる。このような無機充填材の
使用量は、特に限定されるものではないが、多量に使用
すると、磁場による導電性粒子の配向を十分に達成する
ことができなくなるため、好ましくない。
【0038】以上のような異方導電性シートは、例えば
以下の方法によって製造することができる。先ず、硬化
処理によって絶縁性のエラストマーとなる液状の高分子
物質形成材料中に、磁性を示す導電性粒子および必要に
応じて用いられる非磁性の導電性付与物質が分散されて
なる流動性のシート成形材料を調製し、図2に示すよう
に、このシート成形材料を金型20内に注入してシート
成形材料層10Aを形成する。
【0039】ここで、金型20は、それぞれ矩形の強磁
性体板よりなる上型21および下型22が、矩形の枠状
のスペーサー23を介して互いに対向するよう配置され
て構成され、上型21の下面と下型22の上面との間に
キャビティが形成されている。
【0040】次いで、上型21の上面および下型22の
下面に、例えば電磁石または永久磁石を配置し、金型内
のシート成形材料層10Aにその厚み方向に平行磁場を
シート成形材料層10Aの厚み方向に作用させる。その
結果、シート成形材料層10Aにおいては、当該シート
成形材料層中に分散されている導電性粒子Pが、図3に
示すように、面方向に分散された状態を維持しながら厚
み方向に並ぶよう配向する。また、シート成形材料層1
0A中に非磁性の導電性付与物質が含有されている場合
には、当該導電性付与物質は、平行磁場が作用しても当
該シート成形材料層10A中に分散されたままの状態で
ある。そして、この状態において、シート成形材料層1
0Aを硬化処理することにより、絶縁性のエラストマー
よりなるシート基体中に、導電性粒子Pが厚み方向に並
ぶよう配向した状態で含有されてなる異方導電性シート
が得られる。
【0041】以上において、シート成形材料層10Aに
作用される平行磁場の強度は、平均で0.02〜1.5
Tとなる大きさが好ましい。永久磁石によってシート成
形材料層10Aの厚み方向に平行磁場を作用させる場合
において、当該永久磁石としては、上記の範囲の平行磁
場の強度が得られる点で、アルニコ(Fe−Al−Ni
−Co系合金)、フェライトなどよりなるものを用いる
ことが好ましい。シート成形材料層10Aの硬化処理
は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともでき
るが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともでき
る。シート成形材料層10Aの硬化処理は、使用される
材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によっ
て行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、シー
ト成形材料層10Aを構成する高分子物質用材料などの
種類、導電性粒子Pの移動に要する時間などを考慮して
適宜設定される。
【0042】上記の構成の異方導電性シートによれば、
加圧された状態における厚み方向の体積固有抵抗R1
特定の範囲にあり、かつ、無加圧の状態における厚み方
向の体積固有抵抗R0 と体積固有抵抗R1 との比が特定
の範囲にあるため、無加圧の状態において、表面に電荷
を保持することができると共に、厚み方向に加圧した状
態において、表面に蓄積された電荷を厚み方向に移動さ
せることかでき、これにより、表面における電荷量を制
御することができる。
【0043】このような本発明の異方導電性シートは、
その一面に被接続体を接触させることにより、当該被接
続体の表面における静電気、静電容量、イオン量などの
電気量の微視的な面分布状態を、当該異方導電性シート
の表面に転写保持することができ、更に、異方導電性シ
ートの一面に被接続体を加圧することにより、当該異方
導電性シートの他面に、転写保持された電気量の微視的
な面分布状態を移動させることができる。具体的には、
本発明の異方導電性シートは、例えばプリント配線基板
などの静電容量方式の電気的検査装置において、検査対
象物の表面の静電容量分布を計測部に移動するためのセ
ンサー部として有用であり、このような電気的検査装置
によれば、検査対象物の表面の静電容量分布を二次元画
像として表現することができる。また、例えばレーザー
プリンターなどの書き込み装置から発生するイオンのパ
ターン画像または電子複写装置のロール部の静電パター
ン画像を、本発明の異方導電性シートを介して電気的な
パターン画像に変換することができる。また、本発明の
異方導電性シートによれば、上記の例に限定されず、静
電気、静電容量、イオン量などの電気量の微視的な面分
布状態を、二次元的な電気的パターン画像として表現す
ることができる。また、本発明の異方導電性シートは、
従来の異方導電性シートが利用されている種々の用途、
例えば回路装置相互間の電気的な接続を達成するための
コネクターとして、あるいは回路装置の電気的検査に用
いられるコネクターとして利用することができる。
【0044】また、本発明の異方導電性シートは、導電
性粒子Pとして適宜のものを用いることにより、当該導
電性粒子Pによる連鎖が熱伝導路として機能するため、
放熱シートなどの熱伝導性シートとして利用することが
できる。例えば電子装置の発熱部品等の発熱体に本発明
の異方導電性シートを接触させ、当該異方導電性シート
をその厚み方向に断続的に繰り返して加圧することによ
り、発熱体から一定の熱量が異方導電性シートを介して
断続的に放熱し、その結果、発熱体の温度を一定に維持
することができる。また、本発明の異方導電性シート
は、電磁放射の吸収シートとして用いることができ、こ
れにより、例えば電子部品等から発生する電磁的ノイズ
を低減することができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ま
た、以下の実施例および比較例において、導電性粒子の
体積固有抵抗Rp は、三菱化学株式会社製の「粉体抵抗
測定システム MCP−PD41」を用いて測定した。
【0046】〈実施例1〉付加型液状シリコーンゴム1
00重量部中に、導電性粒子80重量部を添加して混合
することにより、シート成形材料を調製した。以上にお
いて、導電性粒子としては、MnFe3 4 (マンガン
フェライト)よりなる粒子(戸田工業株式会社製の「K
NS−415」,数平均粒子径:5μm,体積固有抵抗
p :5×104 Ω・m)を用いた。
【0047】それぞれ厚みが5mmの矩形の鉄板よりな
る上型および下型と、厚みが0.5mmの矩形の枠状の
スペーサーとよりなる異方導電性シート成形用の金型を
用意し、この金型のキャビティ内に、調製したシート成
形材料を注入してシート成形材料層を形成した。次い
で、上型の上面および下型の下面に電磁石を配置し、シ
ート成形材料層に対し、その厚み方向に1Tの平行磁場
を作用させながら、100℃、2時間の条件で、当該シ
ート成形材料層の硬化処理を行うことにより、厚みが
0.5mmのシート基体を形成して図1に示す構成の異
方導電性シートを製造した。この異方導電性シートにお
けるシート基体中の導電性粒子の割合は、体積分率で2
0%であった。また、この異方導電性シートの一面にお
いて、電子プローブ微量分析法によって検出される導電
性粒子を構成する物質の占める面積の合計の割合は、4
0%であった。
【0048】〈実施例2〉付加型液状シリコーンゴム1
00重量部中に、導電性粒子100重量部を添加して混
合することにより、シート成形材料を調製した。以上に
おいて、導電性粒子としては、マンガン系フェライトよ
りなる粒子(ティーディーケー株式会社製の「IR−B
O」,数平均粒子径14μm,体積固有抵抗Rp :2×
105 Ω・m)を用いた。このシート成形材料を用いた
こと以外は実施例1と同様にして、厚みが0.5mmの
シート基体を形成して図1に示す構成の異方導電性シー
トを製造した。この異方導電性シートにおけるシート基
体中の導電性粒子の割合は、体積分率で25%であっ
た。また、この異方導電性シートの一面において、電子
プローブ微量分析法によって検出される導電性粒子を構
成する物質の占める面積の合計の割合は、45%であっ
た。
【0049】〈実施例3〉付加型液状シリコーンゴム1
00重量部中に、導電性粒子100重量部と、非磁性の
導電性付与物質0.5重量部とを添加して混合すること
により、シート成形材料を調製した。以上において、導
電性粒子としては、マンガン系フェライトよりなる粒子
(ティーディーケー株式会社製の「IR−BO」,数平
均粒子径14μm,体積固有抵抗Rp :2×105 Ω・
m)を用い、非磁性の導電性付与物質として、アルキル
基の炭素数が5〜15のナトリウムアルカンスルホネー
ト(吸湿導電性物質)を用いた。このシート成形材料を
用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚みが0.5
mmのシート基体を形成して図1に示す構成の異方導電
性シートを製造した。この異方導電性シートにおけるシ
ート基体中の導電性粒子の割合は、体積分率で25%で
あった。また、この異方導電性シートの一面において、
電子プローブ微量分析法によって検出される導電性粒子
を構成する物質の占める面積の合計の割合は、45%で
あった。
【0050】〈比較例1〉付加型液状シリコーンゴム1
00重量部中に、導電性粒子210重量部を添加して混
合することにより、シート成形材料を調製した。以上に
おいて、導電性粒子としては、ニッケル粒子(West
ain社製の「SF−300」,数平均粒子径42μ
m,体積固有抵抗Rp :0.1Ω・m)を用いた。この
シート成形材料を用いたこと以外は実施例1と同様にし
て、厚みが0.5mmのシート基体を形成して図1に示
す構成の異方導電性シートを製造した。この異方導電性
シートにおけるシート基体中の導電性粒子の割合は、体
積分率で20%であった。また、この異方導電性シート
の一面において、電子プローブ微量分析法によって検出
される導電性粒子を構成する物質の占める面積の合計の
割合は、35%であった。
【0051】〈比較例2〉付加型液状シリコーンゴム1
00重量部中に、導電性付与物質15重量部を添加して
混合することにより、シート成形材料を調製した。以上
において、導電性付与物質としては、電気化学株式会社
製のカーボンブラック(自己導電性物質)を用いた。こ
のシート成形材料を用いたこと以外は実施例1と同様に
して、厚みが0.5mmのシート基体を形成して異方導
電性シートを製造した。
【0052】〈比較例3〉付加型液状シリコーンゴム1
00重量部中に、導電性付与物質30重量部を添加して
混合することにより、シート成形材料を調製した。以上
において、導電性付与物質としては、電気化学株式会社
製のカーボンブラック(自己導電性物質)20重量部お
よびアルキル基の炭素数が5〜15のナトリウムアルカ
ンスルホネート(吸湿導電性物質)10重量部の混合物
を用いた。このシート成形材料を用いたこと以外は実施
例1と同様にして、厚みが0.5mmのシート基体を形
成して異方導電性シートを製造した。
【0053】〈電気抵抗〉実施例1〜3および比較例1
〜3に係る異方導電性シートついて、三菱化学株式会社
製の「ハイレスターUP」を用い、体積固有抵抗R0
体積固有抵抗R1および表面抵抗率を、以下のようにし
て測定した。体積固有抵抗R0 および表面抵抗率:異方
導電性シートの一面に、イオンスパッター装置(E10
10,日立サイエンス社製)により、Au−Pdをター
ゲットとして、直径16mmで厚み0.2μmの円板状
表面電極を形成すると共に、この円板状表面電極と中心
点が実質上同一である、内径30mmで厚みが0.2μ
mのリング状表面電極を形成した。一方、異方導電性シ
ートの他面における前記円板状表面電極に対応する位置
に、イオンスパッター装置(E1010,日立サイエン
ス社製)により、Au−Pdをターゲットとして、直径
30mmで厚みが0.2μmの円板状の裏面電極を形成
した。そして、リング状表面電極をグランドに接続した
状態で、円板状表面電極と裏面電極との間に500Vの
電圧を印加し、当該円板状表面電極と当該裏面電極との
間の電流値を測定し、この電流値から体積固有抵抗R0
を求めた。また、裏面電極をグランドに接続した状態
で、円板状表面電極とリング状表面電極との間に100
0Vの電圧を印加し、当該円板状表面電極と当該リング
状表面電極との間の電流値を測定し、この電流値から表
面抵抗率を求めた。体積固有抵抗R1 :異方導電性シー
トを、直径50mmの金メッキされた電極板上に載置
し、この異方導電性シートに、直径16mmの円板状電
極とこの円板状電極と中心点が実質上同一である内径3
0mmのリング状電極とを有するプローブを、1g/m
2 の圧力で押圧し、リング状電極をグランドに接続し
た状態で、電極板と円板状電極との間に250Vの電圧
を印加し、当該電極板と当該円板状電極との間の電流値
を測定し、この電流値から体積固有抵抗R1 を求めた。
以上、結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】〈電荷の保持性および移動性〉実施例1〜
3および比較例1〜3に係る異方導電性シートついて、
その表面における電荷の保持性、および厚み方向に加圧
したときの電荷の移動性を、以下のようにして調べた。
図4に示すように、アース板40上に異方導電性シート
1を配置し、この異方導電性シート1の直上に、ウレタ
ン樹脂製のロール45を配置した。このロール45は、
テスラコイルによって放電処理されることにより、表面
に電荷が蓄積されたものであって、その表面電位が50
0±50V(トレックジャパン製の表面電位計「モデル
520−1」によって測定した値)の範囲に調整されて
いる。そして、ロール45を徐々に下降させることによ
って異方導電性シート1の表面に接触させ(無加圧の状
態)、この状態で1分間保持した後、ロール45を徐々
に上昇させ、異方導電性シート1の表面電位を、表面電
位計「モデル520−1」によって測定した。次いで、
ロール45を徐々に下降させることによって、異方導電
性シート1の表面を1g/mm2 の圧力で加圧し、この
状態で1分間保持した後、ロール45を徐々に上昇さ
せ、異方導電性シート1の表面電位を、表面電位計「モ
デル520−1」によって測定した。上記の操作を合計
で10回行い、表面電位の平均値および値のばらつきを
求めた。以上、結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】表2の結果から明らかなように、実施例1
〜3に係る異方導電性シートによれば、当該異方導電性
シートの表面にロール45の表面を接触させることによ
り、ロール45の表面の電荷が異方導電性シートの表面
に確実に転写されて保持されることが確認された。ま
た、ロール45によって異方導電性シートの表面を加圧
することにより、ロール45の表面の電荷が異方導電性
シートを介してアース板に移動し、これにより表面にお
ける電荷量が制御されることが確認された。これに対し
て、比較例1に係る異方導電性シートにおいては、体積
固有抵抗R 0 、体積固有抵抗R1 および表面抵抗率がい
ずれも低いものであるため、無加圧の状態においても表
面の電荷が移動しやすく、従って、無加圧の状態および
厚み方向に加圧した状態で、表面に電荷を保持させる性
能に差がなく、その結果、表面における電荷量を制御す
ることが困難であった。また、比較例2に係る異方導電
性シートにおいては、体積固有抵抗R0 および体積固有
抵抗R1 がいずれも低いものであるため、無加圧の状態
においても表面の電荷が移動しやすく、従って、無加圧
の状態および厚み方向に加圧した状態で、表面に電荷を
保持させる性能に差がなく、その結果、表面における電
荷量を制御することが困難であった。また、比較例3に
係る異方導電性シートにおいては、体積固有抵抗R0
体積固有抵抗R1 、比(R0 /R1 )および表面抵抗率
がいずれも低いものであるため、無加圧の状態において
も表面の電荷が移動しやすく、従って、無加圧の状態お
よび厚み方向に加圧した状態で、表面に電荷を保持させ
る性能に差がなく、その結果、表面における電荷量を制
御することが困難であった。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
無加圧の状態において、表面に電荷を保持することがで
き、しかも、厚み方向に加圧した状態において、表面に
保持された電荷を厚み方向に移動させることができ、こ
れにより、表面における電荷量を制御することが可能な
異方導電性シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る異方導電性シートの一例における
構成を示す説明用断面図である。
【図2】金型内にシート成形材料層が形成された状態を
示す説明用断面図である。
【図3】シート成形材料層に厚み方向に平行磁場が作用
された状態を示す説明用断面図である。
【図4】実施例において、異方導電性シートの電気特性
の評価のために使用した装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 異方導電性シート 10 シート基体 10A シート成形材料層 20 金型 21 上型 22 下型 23 スペーサー 40 アース板 45 ロール P 導電性粒子

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エラストマーよりなるシート基体中に、
    磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向しかつ
    面方向に分散した状態で含有されてなり、 無加圧の状態における厚み方向の体積固有抵抗をR0
    し、厚み方向に1g/mm2 の圧力で加圧された状態に
    おける厚み方向の体積固有抵抗をR1 としたとき、 体積固有抵抗R1 が1×107 〜1×1012Ω・mであ
    り、 体積固有抵抗R0 と体積固有抵抗R1 との比(R0 /R
    1 )が1×101 〜1×104 であることを特徴とする
    異方導電性シート。
  2. 【請求項2】 体積固有抵抗R0 が1×109 〜1×1
    14Ω・mであることを特徴とする請求項1に記載の異
    方導電性シート。
  3. 【請求項3】 表面抵抗率が1×1013〜1×1016Ω
    /□であることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の異方導電性シート。
  4. 【請求項4】 シートの一面において、電子プローブ微
    量分析法によって検出される導電性粒子を構成する物質
    の占める面積の合計の割合が15〜60%であることを
    特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の異
    方導電性シート。
  5. 【請求項5】 エラストマーよりなるシート基体中に、
    体積固有抵抗が1×102 〜1×107 Ω・mである磁
    性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向しかつ面
    方向に分散した状態で含有されてなることを特徴とする
    異方導電性シート。
  6. 【請求項6】 導電性粒子がフェライトよりなることを
    特徴とする請求項5に記載の異方導電性シート。
  7. 【請求項7】 シート基体中に、非磁性の導電性付与物
    質が含有されていることを特徴とする請求項5または請
    求項6に記載の異方導電性シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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