JP2002123306A - 工作機械の監視システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】工作機械の稼働状態を適切に監視でき、オペレ
ータが不在であっても工作機械の異常への対応が迅速に
行え、工作機械のオペレータを遠隔から支援することが
でき、工作機械が設置された加工工場の省人化を可能と
する工作機械の監視システムを提供する。 【解決手段】工作機械２の稼働状態を撮像するカメラ１
１と、カメラ１１からの画像データが入力され、工作機
械２の制御装置３との間でデータの送受信が可能であ
り、通信ネットワーク１００に接続された通信用コンピ
ュータ１２と、通信用コンピュータ１２と通信可能に通
信ネットワーク１００に接続され、表示装置５１および
工作機械２の起動および停止を行うための起動／停止情
報を生成する起動／停止手段を備える監視用コンピュー
タ５０とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械の稼働状
態を遠隔地から監視する工作機械の監視システムに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】各種の製品を加工する加工工場では、マ
シニングセンタや旋盤等のＣＮＣ工作機械を複数台設置
し、これら各種の工作機械により設計された製品を加工
する。通常、上記の加工工場内では、各工作機械毎に待
機したオペレータが工作機械を起動し、稼働状態を監視
しながら、工作機械に異常が発生した場合には、オペレ
ータが工作機械の動作を停止させることを行っている。
一方、製品の低コスト化等のために加工工場内の省人化
への要求は強く、各工作機械毎にオペレータを配置した
のでは省人化を図ることができないため、複数台の工作
機械を一人のオペレータによって管理する必要がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複数の
工作機械を管理するオペレータは、複数台の工作機械を
管理しながら、各工作機械の段取り作業を行う必要もあ
り、常に、各工作機械の状況を監視するのは困難であ
る。また、工作機械は、通常、安全性の観点や切削屑や
切削液の散乱を防止する観点等から機械カバーで囲まれ
ているため、オペレータはこの機械カバーに設けられた
窓から覗くことによって加工状況等を把握するしかな
く、加工中に切削液を使用している場合には、加工状況
を把握するのは困難である。このため、オペレータによ
る工作機械の異常への対応が迅速に行われない可能性が
あり、ワークや工作機械の損傷につながるおそれがあっ
た。さらに、ワークの加工を工作機械により適切に行う
ためには、オペレータは加工技術や工作機械について習
熟している必要があるが、全てのオペレータが工作機械
の操作方法、異常発生時の対処方法、加工状況の判断方
法等について熟知しているとは限らず、また、工作機械
に故障が発生した場合の診断等にも習熟しているとは限
らない。このため、工作機械の異常発生時には、オペレ
ータがこれに対処するための適切な情報を迅速に提供し
てオペレータを支援することが必要な場合も多い。しか
しながら、このような情報をオペレータに迅速に提供す
る提供者がオペレータの近くにいるとは限らない。ま
た、一定の情報提供者が常にオペレータに適切な情報を
提供できるとは限らない。

【０００４】本発明は、上述した問題に鑑みてなされた
ものであって、工作機械の稼働状態を適切に監視でき、
オペレータが不在であっても工作機械の異常への対応が
迅速に行え、工作機械のオペレータを遠隔から支援する
ことができ、工作機械が設置された加工工場の省人化を
可能とする工作機械の監視システムを提供することを目
的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の工作機械の監視
システムは、工作機械の稼働状態を撮像する撮像手段
と、前記撮像手段からの画像データが入力され、通信ネ
ットワークに接続された通信用端末と、前記通信用端末
と通信可能に通信ネットワークに接続され、表示装置お
よび前記工作機械の起動および停止を行うための起動／
停止情報を生成する起動／停止手段を備える監視用端末
と、を有し、前記監視用端末は、前記通信用端末から送
信される前記工作機械の画像データを前記表示装置に表
示し、前記起動／停止手段によって生成された起動／停
止情報を通信ネットワークを介して前記通信用端末に送
信し、前記通信用端末は、前記撮像手段からの画像デー
タを前記監視用端末に送信し、かつ、前記監視用端末か
ら受信した前記起動／停止情報に応じた制御信号を前記
制御装置に出力する。

【０００６】本発明の工作機械の監視システムは、前記
監視用端末側の状態を撮像し、撮像した画像データを前
記工作機械側に設置された通信用端末に通信ネットワー
クを介して送信し、当該通信用端末の表示装置に表示さ
せる監視側画像送信手段をさらに有する。

【０００７】本発明の工作機械の監視システムは、前記
工作機械側および前記監視用端末側との間で音声情報を
通信ネットワークを介して送受信する音声送受信手段を
さらに備える。

【０００８】前記起動／停止手段は、前記表示装置に前
記起動／停止情報を生成するための操作ボタンを表示
し、当該表示装置の画面上で前記操作ボタンを操作する
ことによって前記起動／停止情報を生成する。

【０００９】前記監視用端末は、前記工作機械の動作状
態の情報を前記制御装置から前記通信用端末を通じて受
信し、この情報を前記表示装置に表示する。

【００１０】前記工作機械の動作状態の情報には、工作
機械に発生した異常の情報が含まれ、この異常の情報
は、異常の内容に応じてレベル化されており、前記通信
用端末は、異常レベルを前記監視用端末に送信する。

【００１１】本発明では、工作機械の稼働状態を撮像し
た画像データを工作機械側端末から監視用端末に送信
し、監視用端末の表示装置に工作機械の稼働状態がモニ
ターされる。監視用端末のオペレータは、表示装置に映
し出された工作機械の画像を見て、工作機械の稼働状態
を監視する。画像から認識される工作機械の稼働状態に
何らかの異常が発生した場合には、オペレータは起動／
停止手段を操作して工作機械の稼働を停止することがで
きる。また、たとえば、異常が解消されたら、オペレー
タは起動／停止手段を操作して、工作機械を起動するこ
とができる。また、本発明では、監視用端末の表示装置
に工作機械の画像および起動／停止用の操作ボタンが表
示され、これらの情報が表示された画面上で工作機械の
起動／停止を行うことができる。さらに、本発明では、
監視用端末の表示装置に工作機械の稼働状態、特に、工
作機械に発生した異常の情報が表示され、この異常情報
は内容に応じてレベル化されているので、そのレベルに
応じて、オペレータは起動／停止の判断を行うことがで
きる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図１は、本発明の工作機械
の監視システムの一実施形態を示す構成図である。図１
において、監視システム１は、工場に設けられた工作機
械２に隣接して設けられたカメラ１１と、このカメラ１
１が接続された通信用コンピュータ１２と、工作機械２
に対して遠隔地に設けられた表示装置５１を備えた監視
用コンピュータ５０とから構成されている。

【００１３】工作機械２は、たとえば、ＮＣプログラム
により規定された加工手順に従ってワークを加工する、
たとえば、マシニングセンタ等のＮＣ工作機械である。
この工作機械２は、工作機械本体に加えて、たとえば、
クーラント供給装置、工具交換装置、工作機械２を覆う
機械カバーのドアの開閉装置等の各種の装置を備えてお
り、これら複数の装置を制御装置３によって制御する。

【００１４】制御装置３は、工作機械本体の主軸や移動
軸等の制御を行うＣＮＣ(ComputerNumerical Controle
r)部３ａと、工作機械本体および周辺装置のシーケンス
制御を行うＰＬＣ(Programmable Logic Controler)部３
ｂを備えている。このＰＬＣ部３ｂは、通信用コンピュ
ータ１２と接続されている。ＣＮＣ部３ａは、予め用意
されたＮＣプログラムにしたがって、工作機械２の備え
たサーボ制御軸等の制御を行う。このＣＮＣ部３ａは、
プログラム等のデータを入力するキーボードや、工作機
械２の稼働状態を表示する表示装置等を備えている。Ｐ
ＬＣ部３ｂは、予め用意されたシーケンスプログラムに
よって、工作機械本体および周辺装置をシーケンス制御
する。このＰＬＣ部３ｂは、ＣＮＣ部３ａとの間で、各
種の外部入出力信号を送受し、ＣＮＣ部３ａに備わる表
示部には、これら外部入出力信号の状態を確認可能に表
示される。

【００１５】カメラ１１は、たとえば、ワークの加工状
態等、工作機械２の稼働状態を撮像可能に工作機械２に
設置されている。また、このＣＣＤカメラ１１の設置位
置は、工作機械２の稼働状況を撮像可能な位置であれば
特に限定されないが、工作機械２は、通常、安全性の観
点や切削屑や切削液の散乱を防止する観点等から機械カ
バーで囲まれているので、この機械カバー内に設置する
ことが好ましい。カメラ１１には、たとえば、撮像素子
としてＣＣＤ(Charge Coupled Device)を用い、撮像し
た画像をディジタルデータとして通信用コンピュータ１
２に出力する可能ないわゆるディジタルビデオカメラを
用いることができる。また、カメラ１１は一定の場所を
撮像する構成としてもよいが、カメラ１１の視野の方向
を変更するための駆動装置を設け、工作機械２の様々な
箇所を撮像できる構成とすることも可能である。

【００１６】通信用コンピュータ１２は、カメラ１１の
撮像した画像データが入力されるとともに、ルータ１０
１に接続されており、このルータ１０１を介してインタ
ーネット１００に接続されている。一方、監視用コンピ
ュータ５０は、ルータ１０２に接続されており、このル
ータ１０１を介してインターネット１００に接続されて
いる。通信用コンピュータ１２と監視用コンピュータ５
０とでそれぞれＬＡＮ(LocalArea Network)が構築され
ており、インターネット１００はこれらＬＡＮ同士を相
互接続している。通信用コンピュータ１２と監視用コン
ピュータ５０とを通信可能に接続するには、インターネ
ット１００の代わりに、イントラネット内で接続する構
成としてもよいし、ＩＳＤＮ(Integrated Service Digi
tal Network)や、モバイル通信を用いてもよい。

【００１７】図２は、通信用コンピュータ１２の機能ブ
ロック図である。図２に示すように、通信用コンピュー
タ１２は、カメラ制御部１３と、通信制御部１４と、外
部入出力制御部１５とを有している。

【００１８】カメラ制御部１３は、カメラ１１の撮像し
た画像データが入力されこれを通信制御部１４に出力す
るとともに、カメラ１１の動作を制御する。具体的に
は、カメラ制御部１３は、カメラ１１の撮像した画像デ
ータを、たとえば、ＪＰＥＧ(Joint Photographic Codi
ng Experts Group) 等の静止画像フォーマットにしたが
って圧縮し、通信制御部１４に出力する。また、カメラ
制御部１３は、カメラ１１の起動停止や、カメラ１１が
ズーム機能を備える場合にはズーム調整等を行う。ま
た、カメラ１１の視野の方向を変更するための駆動装置
を備える構成とした場合には、当該駆動装置を制御して
カメラ１１の方向を変更することも可能である。

【００１９】通信制御部１４は、カメラ制御部１３から
送られた画像データを含む各種データを、たとえば、Ｔ
ＣＰ／ＩＰプロトコルに準拠したフォーマットにしたが
って、自ら（送信元）のインターネット１００上のユニ
ークなアドレス（ＩＰアドレス）および宛先（監視用コ
ンピュータ５０）のＩＰアドレスを付加してインターネ
ット１００に送信する。また、通信制御部１４は、イン
ターネット１００を通じて送信されてくる、ＴＣＰ／Ｉ
Ｐプロトコルに準拠したフォーマットであって自らのＩ
Ｐアドレスが付加されたデータを受信する。

【００２０】外部入出力制御部１５は、ＰＬＣ部３ｂと
接続されており、通信制御部１４の受信したデータから
抽出された外部入出力信号を特定するデータをＰＬＣ部
３ｂに送出する。また、外部入出力制御部１５は、ＰＬ
Ｃ部３ｂから出力された外部入出力信号を受信し、この
外部入出力信号を特定するデータを通信制御部１４に出
力する。

【００２１】外部入出力制御部１５からＰＬＣ部３ｂに
出力される外部入出力信号は、たとえば、工作機械２を
起動させる起動信号Ｓａ，工作機械２に異常が発生した
際に工作機械２の動作を停止させる異常停止信号Ｓｂお
よび工作機械２の動作を強制的に停止させる非常停止信
号Ｓｃが含まれる。異常停止信号Ｓｂは、たとえば、Ｎ
Ｃプログラムにしたがってワークの加工を行っている工
作機械２の動作を中断させるための信号であり、この異
常停止信号Ｓｂを出力して加工を中断させた後に、起動
信号ＳａをＰＬＣ部３ｂを通じてＣＮＣ部３ａに入力す
ると、加工を再開できる。すなわち、異常停止信号Ｓｂ
によって工作機械２が動作を停止したときには、工作機
械２のサーボ制御軸はサーボオン（サーボがかかってい
る）状態にある。一方、非常停止信号Ｓｃは、たとえ
ば、工作機械２の損傷の恐れがある時等、ＮＣプログラ
ムにしたがってワークの加工を行っている工作機械２の
動作を強制的に停止させる必要がある場合に使用され、
ＣＮＣ部３ａによるサーボ制御をサーボオフさせる。こ
のため、工作機械２の動作を再開するためには、ＣＮＣ
部３ａにおいて、非常停止を解除して再びサーボオンさ
せる必要がある。このため、異常停止信号Ｓｂおよび非
常停止信号Ｓｃのいずれによっても、工作機械２の動作
を停止させることができるが、これらの信号は、工作機
械２の動作状態によって使い分けられる。

【００２２】ＰＬＣ部３ｂから外部入出力制御部１５に
出力される外部入出力信号は、たとえば、工作機械２に
異常が発生した異常のレベルを知らせる異常レベル信号
ＳＴ１および工作機械２が動作しているから停止してい
るかを知らせる動作状態信号ＳＴ２を含む。

【００２３】異常レベル信号ＳＴ１は、工作機械２に異
常の内容に応じて、たとえば、８，４，２，１の４つの
レベルに分かれており、レベル８が最も深刻な異常を示
し、レベル１が最も軽度の異常を示す。このように、異
常の状態をその軽重に応じてレベル化することにより、
オペレータは異常レベルに応じて、工作機械２による加
工を中断するか否かの判断、あるいは、工作機械２の加
工を単に停止させるのか非常停止させるのかの判断を行
うことができる。また、異常レベル信号ＳＴ１のレベル
は、ＣＮＣ部３ａや各種周辺装置からＰＬＣ部３ｂに入
力される異常信号に基づいて、ＰＬＣ部３ｂで判断す
る。

【００２４】図３は、監視用コンピュータ５０の機能ブ
ロック図である。監視用コンピュータ５０は、通信制御
部５３と、起動／停止情報生成部５５と、入出力・表示
制御部５６と、画像処理部５７と、表示装置５１とを有
する。なお、通信制御部５３、起動／停止情報生成部５
５、画像処理部５７は、監視用コンピュータ５０を制御
する汎用のＯＳ上で実行されるユーティリティプログラ
ムとして用意されている。

【００２５】通信制御部５３は、各種データを、たとえ
ば、ＴＣＰ／ＩＰプロトコルに準拠したフォーマットに
したがって、自ら（送信元）のインターネット１００上
のユニークなアドレス（ＩＰアドレス）および宛先（通
信用コンピュータ１２）のＩＰアドレスを付加してイン
ターネット１００に送信する。また、通信制御部５３
は、インターネット１００を通じて送信されてくる、Ｔ
ＣＰ／ＩＰプロトコルに準拠したフォーマットであって
自らのＩＰアドレスが付加されたデータを受信する。こ
のデータには、通信用コンピュータ１２から送信された
画像データおよび動作状態信号ＳＴ２、異常レベル信号
ＳＴ１のデータが含まれる。

【００２６】入出力・表示制御部５６は、通信制御部５
３、表示装置５１、マウス５２、画像データ処理部５７
および起動／停止情報生成部５５に接続されており、こ
れらから入力される、あるいは、これらに出力するデー
タを予め用意されたソフトウエアにしたがって処理した
り、表示装置５１のグラフィックス画面に各種データを
表示する。

【００２７】入出力・表示制御部５６の行う処理の具体
例としては、ＰＬＣ部３ｂから送信された異常レベル情
報、工作機械の起動／停止情報の内容を表示装置５１に
出力したり、通信制御部５３が受信した画像データを画
像データ処理部５７に出力し、画像データ処理部５７で
処理された画像データを表示装置５１に出力したりする
ことが挙げられる。入出力・表示制御部５６は、マウス
５２からのデータが入力されることによって、表示装置
５１のグラフィックス画面上に、マウス５２の動きにつ
れて動くポインタを表示させ、マウス５２の操作ボタン
の操作により表示装置５１のグラフィックス画面上に表
示されたメニュー選択をしたりする。

【００２８】起動／停止情報生成部５５は、たとえば、
図４に示すように、表示装置５１のグラフィックス画面
上に工作機械２の起動／停止を操作するためのウィンド
ウＷｄ２を生成するとともに、この画面上でマウス５２
のポインタＰｔによる指示に応じて、工作機械２に対す
る起動、異常停止および非常停止のための情報を生成
し、入出力・表示制御部５６を介して通信制御部５３に
出力する。起動／停止情報生成部５５は、具体的には、
図４に示すように、ウィンドウＷｄ２内に、工作機械２
を起動させるためのボタン（アイコン）Ｂｔ２ａ、工作
機械２を異常停止させるためのボタン（アイコン）Ｂｔ
２ｂおよび工作機械２を非常停止させるためのボタン
（アイコン）Ｂｔ２ｃを表示する。さらに、通信用コン
ピュータ１２から送信された工作機械２の異常レベルを
表示する異常レベル表示部Ｄｓａや工作機械２が起動し
ているか否かを示す動作状態表示部Ｄｓｂを生成する。

【００２９】画像処理部５７は、通信制御部５３の受信
した工作機械２の画像データの画像データの大小、色調
等の所定の画像処理を行い、たとえば、図４に示すよう
に、表示装置５１のグラフィックス画面上に工作機械２
の画像を表示するウィンドウＷｄ１を生成し、このウィ
ンドウＷｄ１に画像処理した工作機械２の画像を表示す
る。

【００３０】また、画像処理部５７は、表示装置５１の
グラフィックス画面に生成したウィンドウＷｄ１内に各
種の操作ボタンＢｔ１を生成する。この操作ボタンＢｔ
１は、たとえば、画像の大きさや、画像の向き等を変更
することができるものを用意することができる。また、
カメラ１１に視野の方向を変更するための駆動装置を設
けた場合には、操作ボタンＢｔ１にこの駆動装置を制御
するボタンを設けることも可能である。すなわち、ウィ
ンドウＷｄ１内の操作ボタンＢｔ１をマウス５２によっ
て操作することにより、監視用コンピュータ５０とは遠
隔に位置するカメラ１１の動作を制御する構成とするこ
とも可能である。

【００３１】次に、上記構成の工作機械の監視システム
１による工作機械の監視の一例について説明する。ま
ず、カメラ１１によって撮像された工作機械２の画像デ
ータは、通信用端末１２からインターネット１００を通
じて監視用コンピュータ５０に送信され、画像データ処
理部５７で所定の処理が施されて、表示装置５１に表示
される。このとき、監視用コンピュータ５０側のオペレ
ータは、画面の操作ボタンＢｔ１をマウス５２で操作し
て工作機械２の画像を最適化することができる。監視用
コンピュータ５０のオペレータは、たとえば、図４に示
したウィンドウＷｄ１に表示された工作機械２の画像を
監視しながら、工作機械２によって適切にワークが加工
されているかを監視する。

【００３２】工場内に設置された工作機械２にオペレー
タが待機していない場合等、工作機械２をオペレータが
直接起動しない場合には、監視用端末５０からオペレー
タによる操作によって工作機械２を起動する。工作機械
２の起動は、マウス５２を操作し、図４に示した、起動
ボタンＢｔ２ａをクリックすることにより行う。起動ボ
タンＢｔ２ａをクリックすると、監視用端末５０の起動
／停止情報生成部５５により工作機械２の起動情報が生
成され、この起動情報が通信制御部５３から通信用コン
ピュータ１２に送信され、通信用コンピュータ１２から
起動情報に応じた起動信号ＳａがＰＬＣ部３ｂに出力さ
れる。ＰＬＣ部３ｂから入力された起動信号Ｓａは、Ｃ
ＮＣ部３ａに入力され、工作機械２が起動する。

【００３３】通信用コンピュータ１２は、カメラ１１に
より撮像された工作機械２の画像を監視用コンピュータ
５０に送信することに加えて、工作機械２が稼働してい
るか否かを示す動作状態信号ＳＴ２をＰＬＣ３ｂから受
信し、この情報を監視用コンピュータ５０に送信する。
監視用コンピュータ５０の表示装置５１のウィンドウＷ
ｄ２の動作状態表示部Ｄｓｂには、工作機械２が稼働し
ているか否かの情報が表示される。この動作状態表示部
Ｄｓｂの表示および工作機械２の画像から、監視用コン
ピュータ５０のオペレータは、工作機械２が適切に稼働
しているかを確認することができる。

【００３４】工作機械２が、たとえば、制御装置３のＣ
ＮＣ部３ａで実行されるＮＣプログラムにしたがって、
ワークを加工中に、何らかの異常が工作機械２の本体あ
るいは周辺装置に発生すると、この異常を検知したＰＬ
Ｃ部３ｂが異常のレベルを判断し、異常レベル信号ＳＴ
１を通信用コンピュータ１２に出力する。通信用コンピ
ュータ１２は、この異常レベル信号ＳＴ１を受信し、監
視用コンピュータ５０に送信する。監視用コンピュータ
５０の表示装置５１には、図４に示したウィンドウＷｄ
２の異常レベル表示部Ｄｓａにこの異常レベルが表示さ
れる。

【００３５】監視用コンピュータ５０のオペレータは、
異常レベル表示部Ｄｓａに表示された異常レベルに応じ
て、異常の状態を把握することができる。たとえば、こ
の異常レベルの軽重に応じて予め決められた操作を行う
構成とすることにより、監視用コンピュータ５０のオペ
レータが誰であっても、工作機械２に異常が発生した場
合に適切な対応を取ることができる。たとえば、異常レ
ベルが一番重いレベル”８”の場合には、オペレータは
即座に非常停止ボタンＢｔ２ｃを操作して、工作機械２
を非常停止させる。異常レベルが一番軽いレベル”１”
の場合には、オペレータは工作機械２を停止させずに、
工作機械２の加工を完了した後に、工場側のオペレータ
等に知らせる。また、異常レベルが”２”や”４”の場
合には、表示装置５１の画像から異常停止ボタンＢｔ２
ｂを操作して、工作機械２を異常停止させる。これら
は、あくまでも例示であるが、このように、工作機械２
に発生した異常のレベルに応じて予め対応方法を決めて
おく。すなわち、異常レベルに応じてオペレータの取る
処置をマニュアル化することにより、常に、工作機械２
に発生した異常に対して一定の対応を取ることができ
る。

【００３６】監視用コンピュータ５０のオペレータが異
常停止ボタンＢｔ２ｂを操作すると、監視用端末５０の
起動／停止情報生成部５５により工作機械２の異常停止
情報が生成され、この情報が通信制御部５３から通信用
端末１２に送信され、通信用端末１２から異常停止情報
に応じた異常停止信号ＳｂがＰＬＣ部３ｂに出力され
る。ＰＬＣ部３ｂから入力された異常停止信号Ｓｂは、
ＣＮＣ部３ａに入力され、工作機械２が異常停止する。
同様に、監視用コンピュータ５０のオペレータが異常停
止ボタンＢｔ２ｃを操作すると、監視用端末５０の起動
／停止情報生成部５５により工作機械２の非常停止情報
が生成され、この情報が通信制御部５３から通信用端末
１２に送信され、通信用端末１２から非常停止情報に応
じた非常停止信号ＳｃがＰＬＣ部３ｂに出力される。Ｐ
ＬＣ部３ｂから入力された非常停止信号Ｓｃは、ＣＮＣ
部３ａに入力され、工作機械２が非常停止する。

【００３７】監視用コンピュータ５０側で、工作機械２
の動作を停止させた後に、再び工作機械２の動作を再開
させるには、表示装置５１のウィンドウＷｄ２に表示さ
れた起動ボタンＢｔ２ａを操作することによって行う。
また、監視用コンピュータ５０側のオペレータは、起動
ボタンＢｔ２ａ、異常停止ボタンＢｔ２ｂおよび非常停
止ボタンＢｔ２ｃの操作によって、工作機械２が実際に
動作したか否かは、ウィンドウＷｄ２に表示された動作
状態表示部Ｄｓｂの表示によって確認することができ
る。

【００３８】また、監視用コンピュータ５０側のオペレ
ータが工作機械２の稼働状態を詳しく観察したい場合に
は、表示装置５１のウィンドウＷｄ１に表示された各種
の操作Ｂｔ１を操作することによって行う。これによっ
て、カメラ１１の撮像方向を変えて工作機械２の種々の
箇所を監視することができ、また、カメラ１１の拡大率
を変えることによって、ワークの加工状況等を詳細に観
察することができる。

【００３９】以上のように、本実施形態によれば、工場
に設置された工作機械２の稼働状況を撮像した画像デー
タを遠隔地の監視用コンピュータ５０の表示装置５１に
表示することにより、遠隔地から工作機械２の稼働状況
を適切に監視することができる。また、監視用コンピュ
ータ５０側から工作機械２の画像を監視しながら工作機
械２の起動および停止を行うことが可能としたことによ
り、工作機械２の近傍にオペレータが待機していなくて
も、工作機械２の起動および停止が可能となり、工作機
械２に発生した異常に迅速に対応することができる。さ
らに、本実施形態によれば、画像だけでなく、工作機械
２に発生した異常およびそのレベルを表示装置５１に表
示することにより、工作機械２に発生した異常への対応
の判断を迅速にかつ適切に行うことが可能となる。ま
た、異常の内容ではなく、異常のレベルを監視用コンピ
ュータ５０の表示装置５１に表示し、かつ、異常レベル
に応じて異常に対する処理をマニュアル化することによ
り、監視用コンピュータ５０において工作機械２を監視
するオペレータが誰であっても、適切な対応を取ること
ができる。

【００４０】第２の実施形態 図５は、本発明の工作機械の監視システムの第２の実施
形態を示す構成図である。なお、図５において、上述し
た第１の実施形態に係る工作機械の監視システム１と同
一の構成部分については同一の符号を付している。図５
に示す工作機械の監視システム３００は、通信用コンピ
ュータ１２側には、ルータ１０１を介してインターネッ
ト１００に接続された画像用コンピュータ２３および音
声用コンピュータ２０をさらに有し、監視用コンピュー
タ５０側には、ルータ１０２を介してインターネット１
００に接続された音声用コンピュータ６０および画像用
コンピュータ７０と、この画像用コンピュータ７０に接
続されたカメラ７１とをさらに有する。

【００４１】カメラ７１は、監視用コンピュータ５０の
設置された側の状況を撮像し、この画像データを画像用
コンピュータ７０に出力する。画像用コンピュータ７０
は、インターネット１００を通じて画像用コンピュータ
２３と通信可能に接続されており、カメラ７１の撮像し
た画像データを画像用コンピュータ２３に送信する。画
像用コンピュータ２３は、この画像データを表示装置２
４のグラフィック画面に表示する。

【００４２】音声用コンピュータ６０は、インターネッ
ト１００を通じて音声用コンピュータ２０と通信可能に
接続されている。音声用コンピュータ６０は、マイクロ
フォン６１とスピーカ６２とを備えており、音声用コン
ピュータ２０はマイクロフォン２１とスピーカ２２とを
備えている。音声用コンピュータ６０のマイクロフォン
６１に入力された音声信号は、電気信号に変換されて音
声用コンピュータ６０に取り込まれ、インターネット１
００を通じて音声用コンピュータ２０に送信される。音
声用コンピュータ２０に音声用コンピュータ６０から送
信された音声信号は、音声用コンピュータ２０のスピー
カ２２に出力される。同様に、音声用コンピュータ２０
のマイクロフォン２１に入力された音声信号は、電気信
号に変換されて音声用コンピュータ２０に取り込まれ、
インターネット１００を通じて音声用コンピュータ６０
に送信される。音声用コンピュータ６０に音声用コンピ
ュータ２０から送信された音声信号は、音声用コンピュ
ータ６０のスピーカ６２に出力される。

【００４３】次に、上記構成の工作機械の監視システム
３００による工作機械２の監視の一例について説明す
る。監視システム３００では、上述した第１の実施形態
に係る監視システム１と同様に、工作機械２にオペレー
タが待機していなくても、監視用コンピュータ５０の表
示装置５１のウィンドウＷｄ２に表示された起動ボタン
Ｂｔ２ａを操作（クリック）することによって、工作機
械２を起動させることができる。また、工場内に設置さ
れた工作機械２が稼働中には、工作機械２の稼働状態は
カメラ１１によって撮像され、通信用コンピュータ１２
から監視用コンピュータ５０に送信される。

【００４４】たとえば、監視用コンピュータ５０のオペ
レータは、表示装置５１に表示される工作機械２の画像
や異常レベル表示部Ｄｓａの情報から、工作機械２に異
常が発生したことを検知すると、この異常に対して所定
の対応を採るとともに、音声用コンピュータ６０のマイ
クロフォン６１を用いて、工作機械２側のオペレータに
異常の発生を音声で知らせることができる。さらに、監
視用コンピュータ５０のオペレータは、工作機械２に発
生した異常に対する対応方法等の各種指示をマイクロフ
ォン６１を用いて工作機械２側のオペレータに伝達する
ことができる。また、監視用コンピュータ５０のオペレ
ータは、カメラ７１から監視側の画像を工作機械２側の
表示装置２４に送ることができる。逆に、工作機械２側
のオペレータは、マイクロフォン２１を用いて監視用コ
ンピュータ５０のオペレータとコミニケーションをとる
ことができ、また、カメラ１１によって工作機械２側の
オペレータの画像を監視用コンピュータ５０の表示装置
５１に送信することができる。

【００４５】以上のように、本実施形態によれば、上述
した第１の実施形態と同様の作用、効果に加えて、監視
用コンピュータ５０のオペレータと工作機械２側のオペ
レータとの間で、音声および画像を用いることによっ
て、緊密なコミュニケーションをとることが可能とな
り、工作機械２側のオペレータを適切に支援でき、工作
機械２に発生した異常への対応を一層最適化および迅速
化できる。なお、本実施形態では、工作機械側と監視側
とで音声の送受信を行うために音声用コンピュータ６
０，２０を設け、画像の送受信を行うために画像用コン
ピュータ７０、２３を設ける構成としたが、これらを用
いずに、監視用コンピュータ５０および通信用コンピュ
ータ１２で画像および音声の送受信を行う構成とするこ
とも可能である。

【００４６】

【発明の効果】本発明によれば、遠隔地から工作機械の
稼働状態を適切に監視でき、工作機械の傍らにオペレー
タがいなくても、工作機械の異常への対応を迅速に行う
ことができ、工作機械が設置された加工工場の省人化が
可能となる。さらに、本発明によれば、工作機械のオペ
レータを遠隔から適切に支援することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の工作機械の監視システムの一実施形態
を示す構成図である。

【図２】通信用コンピュータ１２の機能ブロック図であ
る。

【図３】監視用コンピュータ５０の機能ブロック図であ
る。

【図４】監視用コンピュータ５０の表示画面の一例を示
す図である。

【図５】本発明の工作機械の監視システムの他の実施形
態を示す構成図である。

【符号の説明】

１，３００…工作機械の監視システム ２…工作機械 １１…カメラ １２…通信用コンピュータ １３…カメラ制御部 １４…通信制御部 １５…外部入出力制御部 ５０…監視用コンピュータ ５１…表示装置 ５３…通信制御部 ５５…起動／停止情報生成部 ５６…入出力・表示制御部 １００…インターネット １０１，１０２…ルータ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】工作機械の稼働状態を撮像する撮像手段
   と、 前記撮像手段からの画像データが入力され、通信ネット
   ワークに接続された通信用端末と、 前記通信用端末と通信可能に通信ネットワークに接続さ
   れ、表示装置および前記工作機械の起動および停止を行
   うための起動／停止情報を生成する起動／停止手段を備
   える監視用端末と、を有し、 前記監視用端末は、前記通信用端末から送信される前記
   工作機械の画像データを前記表示装置に表示し、前記起
   動／停止手段によって生成された起動／停止情報を通信
   ネットワークを介して前記通信用端末に送信し、 前記通信用端末は、前記撮像手段からの画像データを前
   記監視用端末に送信し、かつ、前記監視用端末から受信
   した前記起動／停止情報に応じた制御信号を前記制御装
   置に出力する工作機械の監視システム。
2. 【請求項２】前記監視用端末側の状態を撮像し、撮像し
   た画像データを前記工作機械側に設置された通信用端末
   に通信ネットワークを介して送信し、当該通信用端末の
   表示装置に表示させる監視側画像送信手段をさらに有す
   る請求項１に記載の工作機械の監視システム。
3. 【請求項３】前記工作機械側および前記監視用端末側と
   の間で音声情報を通信ネットワークを介して送受信する
   音声送受信手段をさらに備える請求項１または２に記載
   の工作機械の監視システム。
4. 【請求項４】前記起動／停止手段は、前記表示装置に前
   記起動／停止情報を生成するための操作ボタンを表示
   し、当該表示装置の画面上で前記操作ボタンを操作する
   ことによって前記起動／停止情報を生成する請求項１〜
   ３のいずれかに記載の工作機械の監視システム。
5. 【請求項５】前記監視用端末は、前記工作機械の動作状
   態の情報を前記制御装置から前記通信用端末を通じて受
   信し、この情報を前記表示装置に表示する請求項１〜４
   のいずれかに記載の工作機械の監視システム。
6. 【請求項６】前記工作機械の動作状態の情報には、工作
   機械に発生した異常の情報が含まれ、この異常の情報
   は、異常の内容に応じてレベル化されており、 前記通信用端末は、異常レベルを前記監視用端末に送信
   する請求項５に記載の工作機械の監視システム。