JP2002122710A - 光学素子およびその表面形状の作製方法 - Google Patents

光学素子およびその表面形状の作製方法

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JP2002122710A
JP2002122710A JP2000316113A JP2000316113A JP2002122710A JP 2002122710 A JP2002122710 A JP 2002122710A JP 2000316113 A JP2000316113 A JP 2000316113A JP 2000316113 A JP2000316113 A JP 2000316113A JP 2002122710 A JP2002122710 A JP 2002122710A
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Shigeto Omori
滋人 大森
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的大きな凹凸に微細構造が重なった光学
素子の表面形状を精度よく作製する方法を提供する。 【解決手段】 機械的加工により高低差100μm以上
の凹凸を表面に有する基板を作製し、基板の表面に厚さ
1μm程度のレジスト層を設けて、電子線描画によりレ
ジストを微細構造として、凹凸に微細構造が重なった表
面形状を得る。この表面形状を転写して雌型を作製し、
雌型を用いて成形により光学素子を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は屈折または反射の機
能と回折の機能を併せもつ光学素子に関し、特にそのよ
うな光学素子の表面形状の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カメラや映像表示装置をはじめと
する光学装置の小型軽量化の要望が高まるなか、薄型の
光学素子として、フレネルレンズ、マイクロレンズアレ
イ、あるいはフレネルレンズの表面のような形状とした
ミラー、さらには板状の回折格子が多用されている。ま
た、光を屈折させるまたは反射する機能と回折させる機
能を併せもつ光学素子も提案されている。
【0003】フレネルレンズ等と回折格子は表面に凹凸
を有するという点では類似の構成であるが、屈折素子で
あるフレネルレンズやマイクロレンズアレイでは、凹凸
の最大の高低差が波長の数十倍以上(数十〜数百μm)
であるのに対し、回折格子の凹凸の高低差は大きくても
光の波長の1〜2倍程度以下(1μm程度以下)であ
る。また、凹凸の幅が、前者では数百μm以上であるの
に対し、後者では数十μm程度以下である。しかも、回
折格子は、凸部と凹部の間を階段状として、さらに微細
な構造とされることが多い。
【0004】凹凸を有する表面形状は、機械的加工また
はレジストを用いる光学的加工によって作製される。凹
凸の大きいフレネルレンズやマイクロレンズアレイの表
面形状は機械的加工によって作製するのが一般的であ
り、凹凸や段差の小さい回折格子の表面形状は光学的加
工によって作製するのが一般的である。
【0005】フレネルレンズ等の表面形状に回折格子を
重ねて、屈折と回折の両機能を有する光学素子を得る場
合も、機械的加工や光学的加工を採用することができる
と期待される。例えば、(1)基板の平坦な表面をダイ
ヤモンドバイトを用いて機械的に加工し、数十μm以上
の凹凸と1μm以下の微細構造を一度に形成する。
(2)数十〜数百μmの厚さのレジストを用いて、電子
線描画により数十μm以上の凹凸と1μm以下の微細構
造を一度に形成する。
【0006】また、機械的加工と光学的加工を組み合わ
せることも考えられる。例えば、(3)あらかじめ機械
的加工により基板に数十μm以上の凹凸を形成してお
き、これにレジストを塗布し、レーザー描画により1μ
m以下の微細構造を形成する。(4)同様に数十μm以
上の凹凸を形成した基板にレジストを塗布し、2本の光
束の干渉縞でレジストを露光して微細構造を形成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、機械的加工
では、バイトの刃先の形状精度やバイトの移動量の制御
精度に限界があり、1μm以下の凹凸や段差を精度よく
形成することは難しい。この点、前述の(1)の方法は
現在のところ実用的でない。また、機械的加工は一般に
旋盤を用いて行うため、軸対称(回転対称)性をもたな
い形状を作製することは容易ではない。例えば、複数の
レンズより成るマイクロレンズアレイの表面形状や、位
相計算に基づき2次元の繰り返し単位である単位格子の
大きさや単位格子内の凹凸を定めるCGH(Computer G
enerated Hologram)の作製には適さない。したがっ
て、(1)の方法は汎用性に欠けるといえる。
【0008】レジストの光学的加工のうち、レーザーや
電子線による描画は高い精度で行うことが可能であり、
回折格子の作製に適している。ただし、次のような問題
もある。
【0009】レーザーは焦点深度が数μmと浅いため、
描画対象であるレジストの上にビームが厳密に収束する
ように制御しなければ、微細な線幅の描画はできない。
つまり、平坦な基板の上に設けられたレジストの描画は
精度よくかつ容易に行うことができるものの、前述の
(3)の方法のように凹凸の上に設けられたレジストに
描画することは難しい。この場合、基板の凹凸を忠実に
トレースするようにレーザー照射を制御しなければなら
ず、装置の複雑化と大型化を招く。しかも、凹凸を忠実
にトレースすることができても、傾斜面上のレジストは
レーザーの照射方向について奥行きが増すため、均一な
線幅の描画は無理である。
【0010】電子線は焦点深度が100μm程度と深い
ため、レジストの電子線描画ではレーザー描画にみられ
る上記の問題はほとんどない。しかし、数十μm以上の
レジストを貫通させるためには、非常に高い印加電圧で
電子を加速しなければならず、装置の大型化を伴う。ま
た、レジストを通過する際にレジストの構成分子との衝
突により電子の散乱が生じるが、散乱はレジストが厚く
なるほど顕著になる。電子の散乱は線幅の増大を招き、
加工精度を低下させる。したがって、レジストの厚さを
数十〜数百μmとする前述の(2)の方法は、装置構成
の面でも精度の面でも適切な方法とはいえない。
【0011】干渉縞によるレジストの露光は、一度に広
い範囲について行い得るから、描画よりも能率の点で優
れている。しかし、精度があまり高くないため、微細な
形状変化、例えばブレーズ形状を与えることはできな
い。したがって、光学素子の回折効率が低くなり、ま
た、回折角、回折次数等の回折条件の設定に大きな制約
が生じる。この問題を考慮すると、前述の(4)の方法
の有用性は限られてしまう。
【0012】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたもので、比較的大きな凹凸に微細構造が重なった光
学素子の表面形状を精度よく作製する方法、および、そ
のような表面形状を有し屈折または反射の機能と回折の
機能を併せもつ高精度の光学素子を提供することを目的
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、光学素子の表面形状の作製方法におい
て、表面に凹凸を有する基板の上に電子線に感応するレ
ジストの層を設け、電子線を照射してレジストを微細構
造とすることにより、基板の凹凸にレジストの微細構造
が重なった表面形状を得るものとする。
【0014】この方法では、レジストを微細構造の形成
のみに利用する。したがって、レジストの層は薄くてよ
い。また、焦点深度の深い電子線を用いるから、基板の
平坦な部位上のレジストはもちろん、傾斜面上のレジス
トであっても、電子線の照射を受ける範囲は略一定にな
る。さらに、レジストの層が薄いから、電子の散乱も抑
えられる。したがって、微細構造をきわめて精度よく形
成することが可能である。また、電子線生成のための印
加電圧も低くてよく、装置の大型化が避けられる。な
お、この方法で得た表面形状を転写して雌型を作製し、
その雌型を用いて光学素子を製造してもよいし、この方
法で雌型自体を作製してもよい。また、基板やレジスト
の材料として適切な透過率や屈折率を有するものを用い
ることで、この方法により光学素子を直接製造すること
も可能である。
【0015】ここで、光を透過させる光学素子の表面形
状を作製するときは、凹凸の高低差が光学素子の透過対
象光の波長の8倍以上かつ200μm以下の基板を用い
るとよい。また、表面で光を反射する光学素子の表面形
状を作製するときは、凹凸の高低差が光学素子の反射対
象光の波長の2倍以上かつ200μm以下の基板を用い
るとよい。
【0016】基板の凹凸の高低差が大きいと傾斜の急な
部位が生じるが、高低差が200μm以下であれば、レ
ジストの全ての部位を電子線の焦点深度内に入れること
が可能であり、高精度の微細構造を確実に形成すること
ができる。また、基板の凹凸の高低差が小さいと干渉に
よる光の強度低下が生じ易くなるが、光学素子が光を透
過させる場合は高低差を波長の8倍以上とすることで、
光を反射する場合は高低差を波長の2倍以上とすること
で、そのような強度低下を避けることができる。
【0017】また、基板としては、少なくとも凹凸の部
分が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および紫外線硬化樹脂
のうちのいずれかの材料で作製されたものを用いるとよ
い。これらの材料は成形に適しており、同一構造の基板
を複数作製して、電子線の照射条件を最適化するための
予備試験を行うことが容易になる。
【0018】基板の凹凸は軸対称性を有するものでもよ
いし、軸対称性のないものでもよい。これらの例として
は、それぞれ、フレネルレンズおよびマイクロレンズア
レイの表面形状があげられる。
【0019】前記目的を達成するために、本発明ではま
た、光を透過させる光学素子は、高低差が透過対象光の
波長の8倍以上かつ200μm以下の凹凸を、2次元に
繰り返し並ぶ微小な多角形の領域ごとに、所定の複数の
微小な距離のうちのいずれかの距離だけ、高さが増す方
向に変位させることにより得られる形状を、表面形状と
して有するものとする。
【0020】本発明では、さらに、表面で光を反射する
光学素子は、高低差が反射対象光の波長の2倍以上かつ
200μm以下の凹凸を、2次元に繰り返し並ぶ微小な
多角形の領域ごとに、所定の複数の微小な距離のうちの
いずれかの距離だけ、高さが増す方向に変位させること
により得られる形状を、表面形状として有するものとす
る。
【0021】これらの光学素子の表面形状は、高さの異
なる微小な多角柱状体が無数に集合したものである。各
多角柱状体の上面は側面に垂直な平面であるとは限ら
ず、凹凸の微小な一部分を表す曲面や傾斜面となる。こ
れらの光学素子の表面形状は、換言すれば比較的大きな
凹凸に微細構造が加わったものであり、上述した本発明
の方法で容易に作製することができる。微小な多角形の
領域を複数まとめて単位格子とすることで、微細構造を
CGHとすることも可能である。また、大きな凹凸の高
低差が光の波長の8倍以上または2倍以上かつ200μ
m以下であるから、前述のように、微細構造の精度は高
く、また、透過光や反射光の強度低下もほとんど生じな
い。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照しながら説明する。第1の実施形態の光学素
子1の表面形状を図1および図2に模式的に示す。図1
において、(a)は光軸方向からみた正面図、(b)は
(a)のA−A’方向の断面図である。この光学素子1
はフレネルレンズの凹凸とCGHの微細構造を重ね合わ
せた表面形状を有しており、前者により光を屈折させる
とともに、後者により光を回折させる。微細構造は回折
格子を成すが、図1には比較的大きなフレネルレンズの
凹凸のみが現れている。フレネルレンズの凹凸は、最大
の高低差が約150μmであり、輪帯状の部分の幅が約
350μm、中央の円形の部分の直径が約875μmで
ある。
【0023】図2は光軸を中心とする一部範囲を拡大し
た正面図であり、微細構造の高低差を表したものであ
る。CGHは、一辺32μmの正方形を単位格子とし、
単位格子を一辺0.5μmの正方形の多数の微小領域に
区分けして、フレネルレンズとしての表面からの各領域
の高さを所定の4段階のいずれかとすることにより作製
されている。したがって、光学素子1の表面は微小な正
四角柱状体が無数に集合したものとなっている。
【0024】4段階の高さは、図2に示したように、0
μm、0.375μm、0.5μmおよび0.75μm
である。図2の一部をさらに拡大した図1(a)のA−
A’方向の断面図を図3に示す。なお、図2および図3
の高さはフレネルレンズとしての表面からの高さである
から、各正四角柱状体の上面は、必ずしもその側面に垂
直な平面ではなく、フレネルレンズの表面を平行移動し
たものとなっている。また、全ての単位格子はCGHと
しては同一であるが、各単位格子はフレネルレンズの異
なる部位上にあるから、異なる単位格子の対応する正四
角柱状体の上面の実際の高さは同一ではない。
【0025】本実施形態の光学素子1の表面形状の作製
方法について、図4のフローチャートを参照して説明す
る。光学素子1の表面形状を作製する工程は、フレネル
レンズの凹凸を有する基板を作製する工程(S1〜S
3)と、その基板の上にCGHの微細構造を作製する工
程(S4〜S6)に大別される。
【0026】まず、基板とする原板を加工して、その表
面にフレネルレンズの凹凸を形成し、基板原版を作製す
る(S1)。原板の材料としては、樹脂、ガラス、金属
等どのようなものを用いてもよく、また、加工方法も原
板の材料に応じて選択すればよい。例えば、旋盤を用い
る機械的加工や半導体技術で周知のフォトリソグラフィ
ーとエッチングを利用することができる。
【0027】次いで、基板原版の凹凸を転写して原版の
雌型を作製し(S2)、作製した雌型を用いて成形によ
り基板を作製する(S3)。雌型の材料としては、転写
特性に優れたものであればどのようなものを用いてよい
が、例えばシリコーンが好適である。
【0028】こうして作製した基板10の断面を図5の
(a)に模式的に示す。工程S1での加工に際して原板
の周辺部に平坦な部位を設けておき、基板10にも凹凸
の部位11と共に平坦な部位12を残す。この平坦な部
位12は、凹凸の部位11の最も高い位置と最も低い位
置の中間の高さとしておく。
【0029】基板の作製後、その表面の凹凸の部位11
上に微細構造を形成する。微細構造の形成には電子線描
画を用いる。まず、電子線に感応するレジストの層を基
板の表面に設ける(S4)。このレジスト層の厚さは、
作製する微細構造の最大の高低差以上であればよく、1
μm以下とすることができる。レジストの種類や層の形
成方法に制約はないが、層の厚さをできるだけ均一にす
ることが望ましい。本実施形態では、ポジティブ型のレ
ジスト(東京応化製OEBR1000)を用い、スピン
コート法でレジスト層を設けている。
【0030】次いで、レジスト層に電子線を照射して微
細構造を描画する(S5)。レジスト層が薄いため、電
子線生成のための印加電圧は50kV程度と低くてよ
い。ここで照射する電子線の収束位置におけるビーム径
は0.5μm以下である。また、ビームの頂角は約2m
rad(ミリラジアン)であり、焦点深度はきわめて深
い。例えば、収束位置からの距離が前後1μmの範囲内
ではビーム径はほとんど変化せず、収束位置からの距離
が100μmの位置でも、ビーム径は0.2μm大きく
なるにすぎない。
【0031】電子線の照射に際しては、基板の周辺に設
けた平坦な部位12の上面を収束位置の高さの基準とし
て用いる。これにより凹凸の最上部から最下部までが電
子線の焦点深度(±100μm)内に確実に入り、レジ
ストのどの部位であっても略一定の線幅で描画を行うこ
とができる。すなわち、基板の凹凸をトレースしながら
電子線を照射する必要はない。なお、基準とする部位1
2の上面にはレジスト層を設けてもよいし設けなくても
よい。電子線の焦点深度に比べてレジスト層はきわめて
薄いから、線幅に誤差は生じない。
【0032】電子線照射の後、レジストを現像して描画
した微細構造を現出する(S6)。これで、フレネルレ
ンズの凹凸に微細構造が重なった表面形状が得られる。
なお、現像は用いたレジストに適する方法で行えばよ
い。
【0033】上記の方法で得られる表面形状は、フレネ
ルレンズの凹凸を、微小な正方形の領域ごとに、4段階
の距離のいずれかだけ、高さが増す方向に変位させたも
のとなる。各領域には正四角柱状体が存在することにな
り、各正四角柱状体の上面はフレネルレンズの表面の微
小な一部分と同形となる。
【0034】雌型から成形によって作製する基板の材料
としては、転写特性に優れているだけでなく、レジスト
層の形成が容易で、電子線の影響を受けず、レジストの
現像液に耐えるものを用いる。例えば、熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂および紫外線硬化樹脂が好適である。基板
の材料として熱硬化性樹脂を使用する場合は、雌型を耐
熱性に優れた材料で作製する。
【0035】なお、基板全体を同一材料で作製する必要
はなく、凹凸の部分とその下の部分を別の材料で作製し
てもよい。この構成を図5の(b)に示す。基板10を
このような構成とすると、凹凸を有する上部13を比較
的柔軟な樹脂で作製しても、平板状の下部14を石英、
ガラス、シリコン等の堅固な材料で作製することによ
り、凹凸形状を精度よく保持することができて、微細構
造を設計どおりに形成することができる。
【0036】光学素子1は、基板の凹凸とレジストの微
細構造が重なった表面形状を転写して雌型を作製し、そ
の雌型を用いて成形により製造することができる。ま
た、光学素子1の表面形状と相補的な形状を上記の方法
によって作製し、これを雌型として用いる成形で製造す
ることもできる。さらに、上記の方法で得られる基板、
すなわち表面にレジストの微細構造を有する基板を、そ
のまま光学素子1として用いることも可能である。その
場合、基板およびレジストの材料として、光学素子1が
対象とする光の波長を考慮して、透過率や屈折率の適す
るものを使用する。
【0037】工程S3で複数の基板を作製し、その一部
を工程S4のレジスト層形成の条件や工程S5の電子線
照射の条件の設定の試験に用いるようにしてもよい。こ
のようにすると、所望の性能を有する光学素子1を確実
に得ることができる。材料として熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂あるいは紫外線硬化樹脂を用いれば、複数の基板
の作製は容易である。
【0038】図6に光学素子1の表面を拡大して示す。
図6は光学素子1の周辺部の輪帯状の部位を表してお
り、フレネルレンズとしての凹凸の高低差は25μm程
度である。
【0039】第2の実施形態の光学素子2の表面形状を
図7に模式的に示す。図7において、(a)は光軸方向
からみた正面図、(b)は(a)のB−B’方向の断面
図である。この光学素子2はマイクロレンズアレイの凹
凸とCGHの微細構造を重ね合わせた表面形状を有して
おり、前者により光を屈折させるとともに、後者により
光を回折させる。微細構造は回折格子を成すが、図7に
は比較的大きなマイクロレンズの凹凸のみが現れてい
る。マイクロレンズの凹凸は、高低差が約200μmで
あり、直径が約600μmである。
【0040】マイクロレンズの凹凸上の微細構造を図8
に模式的に示す。図8は、1つのマイクロレンズの略全
体の図7のB−B’方向の断面図であり、マイクロレン
ズとしての表面からの高さを表している。CGHは、一
辺30μmの正方形を単位格子として作製されている。
各単位格子は略三角形の断面を有し、単位格子の集合は
マイクロレンズの光軸方向から見て略円形の輪帯を成
す。
【0041】単位格子の一部をさらに拡大した断面図を
図9に示す。図9もマイクロレンズとしての表面からの
高さを表している。単位格子は一辺1.5μmの正方形
の多数の微小領域に区分けされており、マイクロレンズ
としての表面からの各領域の高さは0.05μm刻みの
21段階のいずれかに設定されている。
【0042】第1の実施形態の光学素子1と同様に、光
学素子2の表面は微小な正四角柱状体が無数に集合した
ものとなっており、各正四角柱状体の上面はマイクロレ
ンズの表面の微小な範囲を平行移動したものとなってい
る。
【0043】光学素子2は第1の実施形態で説明した方
法で作製する。工程S1で形成する凹凸の形状と、工程
S5で描画するパターンが相違するだけである。
【0044】上記の第1および第2の実施形態ではCG
Hの単位格子や単位格子内の微小な領域を正方形とした
が、これらは2次元に隙間なく繰り返し配列できれば他
の多角形としてもよい。例えば、長方形あるいは平行四
辺形、さらには正六角形とすることもできる。ただし、
位相計算を容易にするためには単位格子を、したがって
単位格子内の微小な領域も、正方形または長方形とする
のが好ましい。
【0045】また、ここでは、光を透過させて屈折させ
る透過型(屈折型)の光学素子の例を示したが、上述の
表面形状の作製方法は、表面で光を反射する反射型の光
学素子の表面形状にも適用可能である。
【0046】反射型の光学素子は、大きな凹凸と微細構
造が重なった表面形状を有する光学素子原体を上述の方
法で作製しておき、その表面にアルミニウム等の蒸着で
0.1μm程度の膜厚の反射膜を設けることで容易に製
造することができる。また、基板から作製した雌型をア
ルミニウム等の材料に高温高圧で押し当てておき、これ
を用いて材料に形状転写することでも製造することがで
きる。
【0047】一般に、屈折率の異なる2つの媒質の界面
に光が入射するとき、界面に高低差があると回折を生じ
るが、式1が成り立つときに回折強度は最大になる。こ
こで、mは回折次数、hは界面の凹凸の高低差である。
また、n1、n2はそれぞれ界面に達する前と達した後に
光が進行する媒質の屈折率であり、光が界面で反射され
る場合はn2=−n1である。 m=h・(n2−n1)/λ … 式1
【0048】式1の右辺が整数mのとき次数mの回折光
の強度は最大になり、式1の右辺が整数mから離れるほ
ど次数mの回折光の強度は低下する。したがって、界面
の高低差hが小さければ、回折光は低次のもののみとな
り、しかも、m次以外の次数の回折強度はきわめて小さ
くなる。また逆に、界面の高低差hが大きければ、回折
光は高次のもののみとなり、しかも、m次以外のm±
1、m±2等の次数の回折強度も高くなる。
【0049】一般の光学材料の屈折率が1.5程度であ
り、屈折率1の空気中で使用されることを考慮すると、
透過型の光学素子では、式1より、大きな凹凸の高低差
を光の波長の8倍程度以上とすることで、透過光に強度
低下が生じるのを確実に避けることができる。凹凸や微
細構造の高低差が前述のように設定されている光学素子
1や光学素子2はこの条件を満たし、微細構造により低
次の所望の次数の回折を生じさせることが可能である一
方で、大きな凹凸により強度低下をほとんど招くことな
く屈折を生じさせることができる。
【0050】また、反射型の光学素子では、式1より、
表面に設ける大きな凹凸の高低差を光の波長の2倍以上
とすることで、反射光に強度低下が生じるのを確実に避
けることができる。
【0051】ただし、大きな凹凸の高低差をあまりに大
きくすると、微細構造の形成に際してレジストに電子線
の焦点深度内に入らない部位が生じることになって、微
細構造の精度が低下する。この点についても考慮するこ
とが必要である。
【0052】基板の凹凸の高低差が電子線描画の線幅に
及ぼす影響を調べた試験の結果を表1に示す。この試験
では、線幅の目標値を0.4〜1.0μmの4段階と
し、線間のスペースの幅が線幅と等しくなるように電子
線を照射した。また、基板の凹凸の高低差は0〜140
μmの8段階、レジストの厚さは1μmとし、電子線ビ
ームの収束位置は凹凸の最も低い部位とした。
【0053】 表1 凹凸高低差 線幅目標値(μm) (μm) 0.4 0.6 0.8 1.0 0 ○ ○ ○ ○ 20 ○ ○ ○ ○ 40 ○ ○ ○ ○ 60 ○ ○ ○ ○ 80 × ○ ○ ○ 100 × △ ○ ○ 120 × × △ △ 140 × × × △
【0054】表1において、○印はレジストに形成され
た線幅の測定値が目標値の1.4倍未満、△印は測定値
が目標値の1.4倍以上2倍未満、×印は測定値が目標
値の2倍以上(線間のスペースがなくなる)であること
を表す。この試験結果は、電子線ビームの頂角が約2m
radであることによく対応しており、また、高低差が
100μm以下であれば、1μm以下のいわゆるサブミ
クロンの微細構造を形成することができることを示して
いる。
【0055】前述のように、基板の周辺部に凹凸の中間
の高さの平坦な部位12を設けてこれを照射位置の基準
とすることで、サブミクロンの微細構造に適する基板の
高低差は200μmとなる。現在のところ、装置の大型
化を伴うことなく電子線ビームの頂角を更に小さくする
ことは難しいから、回折機能以外の屈折機能や反射機能
のための大きな凹凸の高低差は200μm程度以下にと
どめるのがよいといえる。
【0056】
【発明の効果】本発明の光学素子の表面形状の作製方法
では、焦点深度が深いという電子線の特徴が生かされる
とともに、レジストの層を薄くすることができるから、
比較的大きな凹凸と微細構造が重なった表面形状をきわ
めて高い精度で得ることが可能である。しかも、電子線
の生成に必要な印加電圧が低く、電子線を供給するため
の装置も大型化する必要がない。
【0057】特に、光を透過させる光学素子の表面形状
を作製するときは、基板の凹凸の高低差を透過対象光の
波長の8倍以上かつ200μm以下とし、表面で光を反
射する光学素子の表面形状を作製するときは、基板の凹
凸の高低差を反射対象光の波長の2倍以上かつ200μ
m以下とすることで、微細構造の精度を高くしながら、
透過光や反射光の強度低下をほとんどなくすことができ
る。この範囲では電子線の照射に際して基板の凹凸をト
レースする必要がないから、電子線照射の制御がきわめ
て容易であり、装置も簡素な構成となる。
【0058】また、本発明の光学素子は、屈折または反
射の機能と回折の機能を単に併せもつだけでなく、回折
効率に優れ、回折条件の設定も自由な素子となる。表面
をCGHとすることも可能であり、これにより、回折機
能を用途に応じて最適化することがきわめて容易にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の光学素子の表面形状を模式
的に示す正面図(a)および断面図(b)。
【図2】 第1の実施形態の光学素子の光軸を中心とす
る一部範囲の高低を示す拡大正面図。
【図3】 第1の実施形態の光学素子の図2の一部範囲
の高低を示す更なる拡大断面図。
【図4】 第1の実施形態の光学素子の表面形状を作製
する工程の流れを示すフローチャート。
【図5】 第1の実施形態の光学素子の表面形状の作製
に用いる基板の断面図。
【図6】 第1の実施形態の光学素子の表面の拡大斜視
図。
【図7】 第2の実施形態の光学素子の表面形状を模式
的に示す正面図(a)および断面図(b)。
【図8】 第2の実施形態の光学素子の光軸を中心とす
る一部範囲の高低を示す拡大断面図。
【図9】 第2の実施形態の光学素子の図8の一部範囲
の高低を示す更なる拡大断面図。
【符号の説明】
1、2 光学素子 10 基板 11 基板凹凸部位 12 基板平坦部位 13 基板上部 14 基板下部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29L 11:00 B29L 11:00 Fターム(参考) 2H049 AA04 AA31 AA39 AA43 AA48 4F204 AD05 AD08 AH74 EA03 EB01 EK17 EK18

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学素子の表面形状の作製方法におい
    て、 表面に凹凸を有する基板の上に電子線に感応するレジス
    トの層を設け、電子線を照射してレジストを微細構造と
    することにより、基板の凹凸にレジストの微細構造が重
    なった表面形状を得ることを特徴とする光学素子の表面
    形状の作製方法。
  2. 【請求項2】 光を透過させる光学素子のために、凹凸
    の高低差が光学素子の透過対象光の波長の8倍以上かつ
    200μm以下の基板を用いることを特徴とする請求項
    1に記載の光学素子の表面形状の作製方法。
  3. 【請求項3】 表面で光を反射する光学素子のために、
    凹凸の高低差が光学素子の反射対象光の波長の2倍以上
    かつ200μm以下の基板を用いることを特徴とする請
    求項1に記載の光学素子の表面形状の作製方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも凹凸の部分が熱可塑性樹脂、
    熱硬化性樹脂および紫外線硬化樹脂のうちのいずれかの
    材料で作製された基板を用いることを特徴とする請求項
    1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光学素子の表
    面形状の作製方法。
  5. 【請求項5】 凹凸がフレネルレンズの表面形状を表す
    基板を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項3
    のいずれか1項に記載の光学素子の表面形状の作製方
    法。
  6. 【請求項6】 凹凸がマイクロレンズアレイの表面形状
    を表す基板を用いることを特徴とする請求項1ないし請
    求項3のいずれか1項に記載の光学素子の表面形状の作
    製方法。
  7. 【請求項7】 光を透過させる光学素子であって、 高低差が透過対象光の波長の8倍以上かつ200μm以
    下の凹凸を、2次元に繰り返し並ぶ微小な多角形の領域
    ごとに、所定の複数の微小な距離のうちのいずれかの距
    離だけ、高さが増す方向に変位させることにより得られ
    る形状を、表面形状として有することを特徴とする光学
    素子。
  8. 【請求項8】 表面で光を反射する光学素子であって、 高低差が反射対象光の波長の2倍以上かつ200μm以
    下の凹凸を、2次元に繰り返し並ぶ微小な多角形の領域
    ごとに、所定の複数の微小な距離のうちのいずれかの距
    離だけ、高さが増す方向に変位させることにより得られ
    る形状を、表面形状として有することを特徴とする光学
    素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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