JP2002122477A - 測定装置 - Google Patents

測定装置

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JP2002122477A
JP2002122477A JP2000313024A JP2000313024A JP2002122477A JP 2002122477 A JP2002122477 A JP 2002122477A JP 2000313024 A JP2000313024 A JP 2000313024A JP 2000313024 A JP2000313024 A JP 2000313024A JP 2002122477 A JP2002122477 A JP 2002122477A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体等のLD,LBが大きい試料であっても
確実にCDを測定することのできるCD測定装置を提供
すること 【構成】 光源1から出射される光の光路上に分光器
2,偏光子3,偏光変調器4,試料を回転可能・反転可
能に保持する試料保持装置5,検光子6,検出器7を配
置し、その検出器7の出力を信号処理装置8に与える。
検出器からは、偏光変調器の変調周波数と2倍の周波数
成分が出力される。検光子を光路上に配置した状態で前
記試料を回転させ、基本変調周波数成分の最大位置から
45度回転させ、試料を反転させ、検光子を前記光路外
に配置した状態で、試料の表面と裏面から光を照射した
時にそれぞれ得られた基本変調周波数に相当する周波数
成分を加えて2で割ることにより真のCD値を算出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、測定装置に関する
もので、より具体的には試料が固体の場合のCD(円二
色性)を測定したり、試料の光学的性質を判定すること
のできる測定装置に関する。
【0002】
【発明の背景】よく知られているように、円二色性(C
D)は、発色団を持ち光学活性な物質が左右円偏光に対
して異なった吸収を示す現象をいう。円二色性(CD)
測定装置は、例えば、光源から出射される光の光路上に
モノクロメータ,偏光子,偏光変調器(PEM),試
料,検光子,検出器を配置し、その検出器の出力を信号
処理装置に与えるようになっている。
【0003】これにより、光源から出射される光がモノ
クロメータで単色光に変換され、さらにその単色光が偏
光子を透過することにより直線偏光になり、その直線偏
光は偏光変調器にてその偏光方向が交番的に変更され円
偏光と直線偏光が同時に形成される。そして、偏光変調
器から出射される光を試料に照射することにより、試料
の光学特性に応じて所定の光成分が吸収され出力される
ので、係る出力を検出器で受光する。検出器は、例えば
光−電気変換素子であり、受光した光強度に応じた電気
信号を出力するので、その出力信号(電気信号)に基づ
いて信号処理装置で所定の信号処理を行い、CDを算出
するようになっている。
【0004】試料が例えば液体の場合には、試料セルな
どの試料室内に供給した液体に対して光を照射すること
によりCDを測定するようになっている。試料室は各種
の形態があるが、何れも試料室自体は固定設置されてい
る。また、測定対象の試料が結晶,フィルムその他の固
体試料の場合には、試料台に試料を固定し、その試料表
面に光を照射するようにしている。
【0005】しかし、本発明者の研究により、試料が固
体の場合には、上記した液体の場合と同様に測定する
と、正確な真のCDを求めることができないことがわか
った。これは固体試料が持つ巨視的な異方性により見か
けのCD信号が検出されるためである。さらなる原因の
一つに、試料が持つ光学的性質の一つである光学的均質
性がある。
【0006】すなわち、例えば、高分子フィルム等は、
光学的均質性を有する(均質)ものと、有さない(不均
質)ものがある。つまり、光学的に不均質な場合、試料
の表面側から光を照射した場合と、裏面側から光を照射
した場合では、測定結果が異なることがある。しかも、
同じ面でもその角度位置により異なる。
【0007】本発明は、上記した背景に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、上記した問題を解決
し、固体の真のCD値を求めることができる測定装置を
提供することにある。さらに、測定対象の試料が光学的
均質性を有するか否かの判断を行うことのできる測定装
置を提供することを他の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明に係る測定装置は、光源から出射される
光の光路上に、単色光を出射する分光器と、その単色光
を直線偏光させる偏光子と、その偏光子を透過した光の
偏光状態を所定の基本変調周波数で、右回りの円偏光,
左回りの円偏光に交番的に変化させると同時に2倍の基
本変調周波数で垂直・水平の直線偏光に交番的に変化さ
せる偏光変調器と、その偏光変調器から得られた光が入
射されるように試料を保持する試料保持装置と、その試
料保持装置を通過した光が通過する検光子を通過した光
の強度を検出する検出器と、その検出器の出力に基づい
て信号処理する信号処理部を備えた測定装置である。そ
して、前記検光子は、前記光路上と光路外に移動可能に
する。さらに、前記試料保持装置は、前記試料を回転可
能に保持するとともに、反転して前記試料の表面側と裏
面側のそれぞれから光を入射可能とする。前記信号処理
部は、前記検出器の出力信号のうち前記偏光変調器にお
ける変調周波数に相当する周波数成分及びその変調周波
数の2倍の周波数成分に基づいて信号処理するもので、
前記検光子を光路上に配置した状態で前記試料を回転さ
せ、基本変調周波数成分が最大位置となる角度位置を求
め、その求めた前記角度位置から前記試料を45度回転
させた位置で、前記試料を反転させ、前記検光子を前記
光路外に配置した状態で、前記試料の表面から光を照射
した時に得られた前記変調周波数に相当する周波数成分
と、前記試料の裏面から光を照射した時に得られた前記
変調周波数に相当する周波数成分を得、それらを加えて
2で割ることにより真のCD値を算出するようにする。
【0009】そして本発明では、試料を回転可能に配置
する。この回転は、好ましくは自動的に行うか、少なく
とも試料保持装置に回転機構を設けて手動で回転させる
ことである。但し、本発明はこのように試料保持部に回
転機構を設けるのは必須ではなく、試料を試料保持装置
から取り外した後、再度取り付ける際に異なる回転角度
に取り付けることによっても、結果的に試料を回転させ
ることができるからである。
【0010】また、別の解決手段としては、光源から出
射される光の光路上に、単色光を出射する分光器と、そ
の単色光を直線偏光させる偏光子と、その偏光子を透過
した光の偏光状態を所定の基本変調周波数で、右回りの
円偏光,左回りの円偏光に交番的に変化させると同時に
2倍の基本変調周波数で垂直・水平の直線偏光に交番的
に変化させる偏光変調器と、その偏光変調器から得られ
た光が入射されるように試料を保持する試料保持装置
と、その試料保持装置を通過した光の強度を検出する検
出器と、その検出器の出力に基づいて信号処理する信号
処理部を備えた測定装置である。そして、前記試料保持
装置は、前記試料を反転して前記試料の表面側と裏面側
のそれぞれから光を入射可能とする。前記信号処理部
は、前記検出器の出力信号のうち前記偏光変調器におけ
る変調周波数に相当する周波数成分に基づいて信号処理
するもので、前記試料の表面から光を照射した時に得ら
れた前記変調周波数に相当する周波数成分Fと、前記試
料の裏面から光を照射した時に得られた前記変調周波数
に相当する周波数成分Bを求める。F=−Bならば前記
試料は光学的に均質と判断し、F=−Bでないならば前
記試料は光学的に不均質と判断する機能を備えるように
した。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態である真のCDを測定する測定装置の一例を示してい
る。同図に示すように、光源1から出射される光の光路
上に分光器(モノクロメータ)2,偏光子3,偏光変調
器4,試料保持装置5,検光子6,検出器7を配置し、
その検出器7の出力を信号処理装置8に与えるようにな
っている。
【0012】これにより、光源1から出射される光が分
光器2で単色光に変換され、さらにその単色光が偏光子
3を透過することにより直線偏光になり、その直線偏光
は偏光変調器4にてその偏光方向が交番的に変更され円
偏光と直線偏光が同時に形成される。そして、偏光変調
器4から出射される光を試料保持装置5に取り付けられ
た試料に照射すると、試料内を透過する際に複屈折を生
じて出力されるので、これを検光子6によって光の強度
に変えて検出器7で受光する。検出器7は、例えば光−
電気変換素子であり、受光した光強度に応じた電気信号
を出力するので、その出力信号(電気信号)に基づいて
信号処理装置8で所定の信号処理を行い、CDを算出す
るようになっている。
【0013】分光器2としては、偏光に対して悪影響の
少ないプリズム分光器が望ましいが、回折格子を用いた
分光器でもかまわない。また、偏光子3,検光子6とし
ては、通常グラントムソンプリズムを使用することが好
ましい。偏光子3としてより完全を期するため、ブリュ
ースター角に石英板をおいた偏光子を併用してもよい。
また、結晶プリズムを使用し、分光器と偏光子を兼用し
てもよい。
【0014】なお、グランテーラープリズムは方解石を
使っているので235nm以下の波長は測れないが、本
発明のように、液晶やフィルムその他の固体等のCDを
測ろうとする場合には可視域を注目しているので十分適
用できる。
【0015】偏光変調器4は、例えばPEMを用いるこ
とができる。PEMに対する変調周波数は、50kHz
とする。良質のPEMの場合、残留歪み量αは0.1度
から0.01度くらいの小さなものであり、この様なP
EMを用いることにより、LD,LBに起因する見かけ
のCDをできる限り小さくする。従って、ポッケルスセ
ルのように残留歪みが10度と大きいものはあまり好ま
しくはない。もちろん、係るポッケルスセルを本発明の
範囲から積極的に除く意図はなく、仕様・要求に応じて
使うのはかまわない。なお、偏光変調器4の基準位置は
試料を設置しない状態で、装置のベースラインがまっす
ぐになるような位置に設定する。
【0016】試料保持装置5は、照射される光の光路と
直交する平面内で試料Sをその光路回りに回転させるこ
とができるようにしている。一例としては、試料Sを保
持するホルダを回転自在に取付台に設置し、そのホルダ
をステッピングモータなどの回転角度を制御可能なモー
タの回転出力を受けて、任意角度で回転し停止するよう
に構成することである。この場合に、その回転角の制御
を、信号処理回路8からの制御信号に基づいて行うよう
にすると良い。また簡易的には、手動で回転させること
ができるようになっていても良い。
【0017】さらに、試料保持装置5は、試料Sの表裏
を簡単に取り替える(反転する)ことができるようにな
っている。つまり、上記した試料Sのホルダは、取付台
に対して着脱自在に装着されるようになっており、例え
ば試料Sを保持した状態のままホルダを取り外し、裏返
してホルダを取付台に装着することができ、これによ
り、試料Sの表面側と裏面側のそれぞれに対して光を照
射することが可能となる。なお、この試料保持装置5の
具体的な構成は、後述する。
【0018】さらにまた、検光子6も回転可能となり、
光軸の角度(特に、偏光子3の光軸との角度等)を変更
・調整することができるようにしている。また、検光子
6の基準位置(角度)を正確に設置するためには、試料
保持装置5内に試料を入れない状態でのベースラインが
ゼロになるように検光子6の角度を決めることで達成で
きる。しかも、この検光子6は、可動式となっており、
光路上に位置させて試料Sを通過した光が照射可能な状
態と、光路から離脱し、試料Sを通過した光が直接次段
の検出器7に入射する状態を採ることができる。
【0019】検出器7は、CD信号が微小であるため、
例えば、光電子増倍管(PMT)のように高感度な検出
器を用いるのが好ましい。そして、検出器7からは、変
調周波数と同一の50kHz成分と、その2倍波の10
0kHz成分が出力されるようになっている。そして、
50kHz成分に基づいてCDが求められる。
【0020】さらに、検出器7からの出力信号は、CD
は微小な信号なので、実際には同期検波法を用いる。つ
まり、実際には検出器7の出力を周波数成分を取り出す
ためのロックインアンプに接続し、そのロックインアン
プから出力される所定周波数の信号成分を信号処理装置
8に与えるようになる。なお、信号処理装置8の範疇に
ロックインアンプを含めて考えてもよい。
【0021】また、信号処理装置8は、後述する手順に
従って検出器7からの出力信号に基づいて演算処理する
機能と、各種の装置に対して制御信号(試料保持装置5
に対する回転角の制御命令等)を出力する機能を有する
ようにしている。
【0022】次に、測定の手順・原理について説明しつ
つ、信号処理装置8の機能を説明する。本測定装置によ
り得られる信号をミュラー行列を用いて理論的に解析す
ると以下のようになる。すなわち、単色入射光Iin
偏光子P,偏光変調器M,試料S,検出器A,検出器D
のミュラー行列は、次のように与えられる。なお、上記
した如く、光変調器4として、PEMを用いているの
で、 ωm=50kHz である。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】ここでθは、試料のx軸からの回転角であ
る。また、LDはX―Y方向直線二色性,LBはX―Y
方向直線偏光複屈折,LD′は45度方向直線二色性,
LB´は45度方向直線偏光複屈折である。
【0026】
【数3】
【0027】ここで、P ,P ,aは、X軸,y
軸,検出器7のX軸に対する方位角である。そして、検
出器7で受光される光の強度Idは、上記したD,S,
M,P,Iinの行列演算を行うことにより、次のよう
に与えられる。
【0028】
【数4】
【0029】そして、sin(δ+α),cos(δ+
α)は、フーリエ変換すると近似的に下記式のように展
開できる。
【0030】
【数5】
【0031】ここで、J(δm ),J(δm
),J(δm )は、それぞれ0次、1次、2次の
ベッセル関数である。エアブランク(Air Blan
k)に対しては、 CD=CB=LD=LD′=LB=LB′=0 となるので、光の強度を示す式(6)は、下記式(9)
のようになる。
【0032】
【数6】
【0033】そして、上記式(9)は、下記式のように
展開できる。
【0034】
【数7】
【0035】さらに、検出された電気信号は、直流成分
(dc成分)と、基本周波数成分(ωm成分)と、2倍
高調波成分(2ωm)よりなり、下記に示す比例式によ
り表される。
【0036】
【数8】
【0037】
【数9】
【0038】
【数10】
【0039】一方、測定装置である固体CD分光計のC
D信号として出力される信号は、 CDr=Vac(ωm)/Vdc で、Vdcが一定になるように制御される。そこで、式
(12)で表される基本周波数信号(ωm信号)は、C
Dベースラインのシフト量であり、式(13)で表され
る2倍高調波信号(2ωm信号)は、LDベースライン
のシフト量である。従って、上記した式(12),(1
3)は、固体CD分光計(測定装置)の性能を示してい
るといえる。また、R(2ωm)信号は、基本周波数成
分を検出するためのロックインアンプの2倍高調波応答
性,R(ωm)信号は、2ωm成分を検出するロックイ
ンアンプの1/2高調波応答性である。
【0040】これらのことから、固体CD分光計の性能
は、 (1)使用するロックインアンプの高調波応答性 (2)使用されるPEMの残留歪み量α (3)使用される検出器(光電子増倍管)の偏光特性 に依存していることがわかる。
【0041】そこで、50kHz用ロックインアンプに
は、2倍高調波成分である100kHzの信号を除去す
る回路を組み込み、100kHz用ロックインアンプに
は、基本周波数波成分である50kHzの信号を除去す
る回路を組み込むようにする。これにより、50kHz
用ロックインアンプでは、2ωm信号成分が0に近似で
き、100kHz用ロックインアンプでは、ωm信号成
分が0に近似でき、さらに、光変調器に残留ひずみ量α
の小さいPEMを用いているので、cosα=1と近似
できる。よって、上記した式(11),式(12)は、
それぞれ下記式(14),式(15)に示すように近似
できる。
【0042】
【数11】
【0043】この式から、100kHzのベースライン
シフトは、使用する光電子増倍管の偏光特性に反映され
ることがわかる。さらに、式(6)からωm信号は、下
記式(16)で表すことができる。
【0044】
【数12】
【0045】この式(16)から、AppCDは、L
D,LB,PEMの残留歪み並びに光電子増倍管の偏光
特性に大きく依存することがわかる。さらに、光の吸収
が起こらない領域では、CD=LD=LD′=0となる
ので、式(16)は、下記式(17)のように近似でき
る。
【0046】
【数13】
【0047】従って、固体の試料SとPEMの持つLB
と、光電子増倍管の偏光特性に起因する見かけのCDが
存在することがわかる。特に、試料Sが結晶の場合、大
きなLBを持つので、検出器7として偏光特性の小さ
い光電子増倍管を選ぶこと、及びPEMを駆動させた
状態で、そのPEM残留歪み量αを測定することが、最
終的に真のCDを測定するための重要な要素となる。 偏光特性の小さい光電子増倍管の選び方 式(15)はLDベースラインを表しており、下記式
(15−1)が成り立っている。
【0048】
【数14】
【0049】上記した式(15−1)中において、光電
子増倍管の偏光特性をあらわす因子(P −P
と、その光電子増倍管の光軸からの方位角aは、波長に
よって変化する。そして、式(15−1)から明らかな
ように、200nmから700nm間でのLDベースラ
インを多数の光電子増倍管について測定し、その中で前
波長領域に渡って最もベースラインシフトの小さいもの
を選ぶと良い。さらに、選択した光電子増倍管を測定装
置に装着するとともに回転させ、cos2aが最も小さ
くなる角度位置を見つけ、その位置に固定する。
【0050】なお、式(14)は、CDベースラインシ
フトを表しており、その信号レベルは、LDベースライ
ンシフトと比べてsinα分だけ小さくなる。また、式
(14)と式(15)を比較すると、LDベースライン
が最も小さくなる位置で、CDベースラインも最小とな
ることがわかる。従って、上記した光電子増倍管の回転
角度位置の特定は、2ωm(100kHZ)信号の出力
をモニターしながら行うと、より精度良く行える。 駆動状態のPEMの残留歪み量αの測定 図1に示す光学部品の配置において、検光子6を偏光子
3に対してクロスの状態にセットする。このときの検光
子6のミュラー行列は、下記式のように表せる。
【0051】
【数15】
【0052】エアーブランクに対して、光電子増倍管に
おける光の強度Idは、D,A,M,P,Iinの行列
計算から、下記式(18)で表せる。
【0053】
【数16】
【0054】また、基本周波数(50kHz)のωm信
号は、式(19)のようになる。
【0055】
【数17】
【0056】上記した式から明らかなように、ωm信号
の大きさはsinαに比例し、PEMの残留歪み量αが
小さいほど、ωm信号も小さくなる。よって、複数個の
PEMを用意し、それぞれ実際に駆動させ、その駆動状
態におけるωm(50kHz)を測定し、その出力が最
も小さいPEMを選ぶと良い。一方、式(6)から2ω
m(100kHz)信号は、式(20)のように表すこ
とができる。
【0057】
【数18】
【0058】そして、PEMの残留歪み量αが0.1度
以下のものを用いると、sinαは十分小さいといえる
ので、上記した式(20)は、下記式(21)に示すよ
うに近似できる。
【0059】
【数19】
【0060】さらに、光の吸収が起こらない領域では、
CD=LD=LD′=0となるので、式(21)は、下
記式(22)のように近似できる。
【0061】
【数20】
【0062】よって、LBに起因する見かけ上のLD,
ppLDが存在することがわかる。特に、大きなLB
を持つ結晶試料の場合には、顕著に現れる。そこでま
ず、結晶試料は、厚さを1mm程度に設定する。
【0063】一般に結晶試料のLDは、LBに比べて1
−1のオーダーで小さく、CD,CBもLDに比べて
10−2〜10−3程度オーダーで小さい。よって、そ
のままでは、大きなLB,LDの存在によってCDを検
出するのが困難となる。そこで、PEMの残留歪み量α
が小さいとすると式(16)より、下記式(23)を得
る。
【0064】
【数21】
【0065】さらに、CDベースラインが最小になるよ
うな位置に光電子増倍管の方位角がセットされているの
で、cos2aは0に近似でき、sin2aは1に近似
できる。従って、式(23)のAppCDは、下記式
(23−1)となる。
【0066】
【数22】
【0067】この式(23−1)から、真のCDと1/
2(LD′LB−LDLB′)に起因する見かけ上のC
D成分は、試料の回転に依存しないが、LDとPEMの
残留ひずみとのカップリング,光電子増倍管の偏光特性
とLBとのカップリングに起因する見かけ上のCD成分
は、試料の回転に依存することがわかる。そこで、本形
態では、試料を回転可能に保持し、回転させながら各種
データを測定し、それに基づいて真のCDを算出するよ
うにした。
【0068】また、何回も言うが、結晶試料の場合に
は、LBが大きい。従って、LBに起因するAppCD
はかなり大きくなる。そこで、ωm(50kHz)信号
として観測されるAppCDから真のCDを求めるた
め、以下のような手順に従って測定する。 *測定手順 測定対象の結晶試料を、ホルダにセットするとともに
取付台に回転自在にセットする。このとき、試料の照射
面は、入射光に垂直になるようにする。また、検光子は
セットしない。この状態で、ωm(50kHz)信号
と、2ωm(100kHz)信号を2台のロックインア
ンプを用いて波長をスキャンしながら測定する。これに
より、ωm信号からAppCDを得、2ωm信号からL
Dスペクトルを得る。
【0069】LDスペクトルのピーク波長に波長をセ
ットする。次いで、試料を回転させながらLDスペクト
ルの変化を測定し、LDが最大になる角度位置で試料の
回転を停止する。このとき、式(21)は、式(24)
のようになる。
【0070】
【数23】
【0071】ここで、 LDmax=(LD+LD′1/2 γ=tan−1(LD′/LD) cos(2θ+γ)=0度または180度 のときに、LD信号が最大となる。
【0072】次に、この最大となった回転角度位置で試
料を保持したまま波長を再度スキャンさせ、AppCD
と、LDmaxを測定する。このとき、LDmaxは、
LD′max=0となるので、上記した式(23−1)
は、式(23−2)のようになる。
【0073】
【数24】
【0074】AppCDのピークに波長をセットする。
次いで、試料を回転させながらA CDスペクトルの
変化を測定する。このとき、AppCDの値が回転とと
もに変化する場合には、AppCDにLDとLBが寄与
しているといえる。そして、変化の程度が大きいほど、
LDとLBの寄与も大きい。つまり、変化の程度から、
ppCDにLDとLBがどれくらい寄与しているかが
わかる。
【0075】次いで、光の吸収がない波長で試料を回転
させながらAppCDスペクトルを測定する。このと
き、AppCDが2θで変化すると、AppCDにLB
が大きく寄与していることがわかる。
【0076】次に、検光子6を図2に示す状態にセッ
トする。つまり、検光子6を光路上に配置する。このと
きの検出器(光電子増倍管)7で検出する光の強度Id
は、D,A,S,M,P,Iinの行列計算により、式
(25)のように与えられる。
【0077】
【数25】
【0078】使用する検光子が理想的な場合には、エア
ブランクに対しては、 Id=1/4I となるので、ωm(50kHz)信号並びに2ωm(1
00kHz)信号は存在しない。しかし、実際には、使
用されるカルサィト・グラム・テラープリズムにはわず
かにLBとCBが存在するので、上記下2つの信号もわ
ずかに出現し、ベースラインシフトとして現れる。よっ
て、使用するプリズムは、高性能でできるだけLB,C
Bが存在しないものが良い。
【0079】そして、ωm(50kHz)信号は、下記
式(26)のようになる。
【0080】
【数26】
【0081】固体試料の場合には、上記したごとくCD
はLBに比べて10−2から10 小さいので、CD
は無視でき、検出される信号はLBである。よって、上
記した式(26)は、式(27)のようにみなすことが
できる。
【0082】
【数27】
【0083】なお、CD信号がLD信号と同じ大きさの
場合にのみ、観測される信号にCDの寄与が出現する。
そして、LBが無視できるほどに小さいか、液体のよう
にLBが存在しない場合には、観測される信号は真のC
Dとなる。
【0084】従って、検光子無しで測定したωm(50
kHz)信号が、真のCDであるか、AppCDである
かは、検光子有りで測定したωm(50kHz)信号と
比較し、両者が異なっている場合には、検光子無しで測
定したωm(50kHz)信号はAppCDであり、検
光子ありで測定したωm(50kHz)信号は、LBで
ある。
【0085】そこで、検光子有りの状態で固体試料を回
転させながらωm(50kHz)信号つまりLBを測定
し、LBが最大となる角度位置で固定し、その位置で波
長をスキャンしてLBmaxスペクトルを測定する。 次に、LBmaxの位置から正確に試料を45度回転
させる。すると、式(27)は、 LB信号=−GLBmaxcos90度=0 となる。すなわち、LBmax=0となり、逆にLB′
は最大(LB′max)となる。
【0086】試料をこの45度回転させた角度位置に保
持し、光路から検光子6を除く。この状態で波長をスキ
ャンしてωm信号,2ωm信号、すなわち、App
D,LDスペクトルを測定する。このとき、式(23−
1)は、式(28)に示すようになる。
【0087】
【数28】
【0088】ここで、角度(η−γ)は、LBmax
与える角度とLDmaxを与える角度との差である。そ
して、sin(η−γ)<1なので、式(28)におい
て、LDmaxsin(η−γ)sinαは、無視でき
るほど小さい。よって、式(28)は、下記に示す式
(28−1)のように近似できる。
【0089】
【数29】
【0090】上記の操作により、結晶試料のように大き
なLBを持つものであっても、そのLDのCD信号への
寄与と、光電子増倍管の偏光特性と試料のLB間のカッ
プリングに起因する偽のCDを消去することができる。
そして、式(28−1)で示されるAppCDスペクト
ルを記録する。
【0091】次いで、LDLB′maxの寄与を除去す
る。すなわち、上記した結晶試料をx軸(縦軸)に対し
て正確に180度回転させる。つまり、試料の表裏を反
転し、今まで入射面(出射面)であったものが出射面
(入射面)になるようにする。
【0092】すると、CD,LDはこの回転によって符
号を変えないが、LB′maxは符号が変わる(+L
B′max→−LB′max)。そして、この反転した
状態で波長をスキャンしてAppCDスペクトルを測定
する。なお、測定される信号は、式(28−2)で求め
られる。
【0093】
【数30】
【0094】そして、試料の表面に対して光を照射した
状態で測定して得られた(AppCD)faceと、試
料の裏面に対して光を照射した状態で測定して得られた
(A ppCD)backとを加算し、下記式(29)を
得る。
【0095】
【数31】
【0096】次いで、求めた値を2で割ると、真のCD
が求められる 次に、本形態に用いられる試料保持装置5の具体的な構
成について説明する。この試料保持装置5は、上記した
測定を容易に行えるようにするため、試料Sを360度
回転させたり、裏,表の切り替えを簡単に行えるように
したものである。
【0097】まず、図3,図4に示すように、試料保持
装置5は、ベースプレート10の上に、第1レンズL
1,第2レンズL2並びに検光子6用の各ホルダととも
に所定の位置関係で固定されている。そして、この試料
保持装置5は、ベースプレート10の上面に起立配置さ
れた支持プレート11と、その支持プレート11に対し
て着脱自在に取り付けられるホルダ12とから構成され
ている。
【0098】支持プレート11は、金属板からなり、ホ
ルダ12の取り付け面、つまり、第1レンズL1側の面
に、円筒状の凹部11aが形成されており、その凹部1
1a内に円筒状のホルダ12が挿入され保持されるよう
になる。また、凹部11aの中心には、支持プレート1
1の厚さ方向に貫通する貫通孔11bが形成され、試料
S内を通過した光が、この貫通孔11bを通って後段の
第2レンズL2に至る。
【0099】ホルダ12は、図5に拡大して示すよう
に、光路に沿って前後に2分割されており、それぞれ円
筒状の第1ホルダ要素13と第2ホルダ要素14を備え
ている。第1,第2ホルダ要素13,14は、その中心
軸に沿って貫通孔13a,14aが形成され、両ホルダ
要素13,14を連結して一体化した際にはこの貫通孔
13a,14aが同一直線上に繋がり、その内部を測定
用の光が通過するようになる。
【0100】第1,第2ホルダ要素13,14は、互い
にネジ機構により簡単に結合/分離ができるようになっ
ている。すなわち、第1ホルダ要素13の接合面には、
雌ネジ13bが形成され、第2ホルダ要素14の接合面
には雄ネジ14bが形成されている。これにより、両ネ
ジ13b,14bを結合することにより、図5(b)に
示すように第2ホルダ要素14の接合面側の一部が第1
ホルダ要素13の接合面側内に挿入した状態で両者は一
体化される。
【0101】そして、第1,第2ホルダ要素13,14
の対向する接合面間で、試料Sを挟み込み、これによ
り、ホルダ12内に試料Sを保持するようになる。この
とき、試料Sにかかるストレスを抑制するため、両接合
面に形成したリング状の凹溝13c,14c内には、そ
れぞれOリング15が装着され、試料Sに対しては、そ
のOリング15が接触されるようになる。
【0102】そして、ネジ13b,14bの締め付け量
を調整することにより、上記の挿入距離は調整できるの
で、第1,第2ホルダ要素13,14の接合面に形成さ
れる隙間16の間隔も調整できる。よって、試料Sの厚
さに応じて、隙間16の距離を調整することにより、試
料Sにかかる保持圧力を適切なものにすることができ
る。換言すると、異なる厚さの試料Sに対しても、対応
できるホルダ12となる。特に、結晶,フィルムなどの
膜厚の薄い試料Sの場合、大きな圧力が加わると、試料
Sに歪みを生じ、正確な測定ができなくなるが、本形態
では係る問題が発生しない。
【0103】また、第1,第2ホルダ要素13,14の
非接合面側は、外側に突出するフランジ13d,14d
が設けられている。このフランジ13d,14dの外径
は、上記した支持プレート11に設けた凹部11aの内
径と略一致している。これにより、フランジ13d,1
4dのいずれも凹部11a内に挿入することができる
(図では第2ホルダ要素14のフランジ14dが挿入さ
れている)。さらに、凹部11aとフランジ13d,1
4dが円形状となっているので、フランジ13d,14
dを凹部11a内に挿入した状態で、フランジ13d,
14dひいてはホルダ12を回転させることができる。
【0104】さらに、フランジ13d,14dの表面に
は、磁石17を取り付けている。これにより、支持プレ
ート11が金属板であるので、フランジ13d,14d
を凹部11a内に挿入した状態では、磁石17が金属板
からなる支持プレート11に付着する。この磁石17に
より、ホルダ12を支持プレート11に固定することが
できる。また、磁石であるので、簡単にホルダ12を支
持プレート11から取り外すこともできる。
【0105】従って、本形態によれば、ホルダ12内に
試料Sをセットした状態で、一方のフランジ14d(1
3d)を支持プレート11の凹部11aに挿入すると、
ホルダ12は支持プレート11に固定され、試料Sの表
面(或いは裏面)が第1レンズL1側に向き、光が照射
される。もちろん、支持プレート11は、光路と直交す
る平面内に位置するので、試料Sは、光軸に対して垂直
面に位置する。この状態で、ホルダ12を持って回転す
ると、360度内の任意の角度位置に位置させ、そこで
固定することができる。
【0106】さらに、一度ホルダ12を支持プレート1
1から取り外し、ホルダ12を裏返して他方のフランジ
13d(14d)を支持プレート11の凹部11aに挿
入すると、ホルダ12は支持プレート11に固定され、
試料Sの裏面(或いは表面)が第1レンズL1側に向
き、光が照射される。
【0107】従って、試料Sを360度回転させ、しか
も表と裏の両方に照射させることができるので、上記し
た固体CD測定装置において、見かけのシグナルを打ち
消すことができ、真のCDを求めることができる。
【0108】なお、本実施の形態では、ホルダ12の回
転を手動で行うようにしたが、例えばホルダ12の周囲
に歯車を設け、その歯車をパルスモータ(ステッピング
モータ)の出力軸に取り付けた歯車と直接または間接的
に連結させることにより、自動的に回転させることがで
きる。このようにすると、パルスモータの駆動を信号処
理装置8で制御するようにすると、現在の試料Sの角度
がわかり、自動的に測定が行える。
【0109】また、上記した実施の形態では、ホルダ1
2側に磁石を設けたが、支持プレート11側に磁石を設
け、ホルダ自体を金属で形成したり、フランジの表面に
金属板を設けるように磁石の設置を逆にしてもよい。さ
らには、ホルダ12の固定を磁石で行う必要はなく、他
のメカ的その他の任意の固定手段を用いることができ
る。但し、本実施の形態のように磁石を用いると、簡単
に構成でき、試料の装着並びに測定作業も容易に行える
点で好ましい。
【0110】図6,図7は、本発明の第2の実施の形態
である試料(石英板等の基板に堆積された膜,高分子フ
ィルム,膜,ゲル,結晶等)が光学的に均質であるか否
かを判定する装置を示している。これら図6,図7と、
図1,図2を比較すると明らかなように、基本的な構成
は、第1の実施の形態の構成から検光子6を取り除いた
構成となっている。
【0111】従って、使用する偏光変調器(PEM)4
は、残留歪み量が小さく、検出器7の偏光特性が小さ
く,ロックインアンプの2倍高調波除去率の高いものが
用いられる。そして、単色入射項Iin,偏光子P,偏
光変調器(PEM)M,検出器Dのミュラー行列は、第
1の実施の形態の際に記載した式(1)〜式(3),式
(5)の通りである。
【0112】さらに、高分子フィルム,膜,ゲル,結晶
などの固体試料を表すミュラー行列は、試料が巨視的異
方性,直線複屈折LB,直線二色性LDを持ち、光学的
に均質であるとすると、下記式のように表すことができ
る。
【0113】
【数32】
【0114】
【数33】
【0115】
【数34】
【0116】
【数35】
【0117】e−Fをテーラ展開すると、下記式(3
5)が得られる。
【0118】
【数36】
【0119】この式(35)中、F,F,F等が持
つ物理的意味は、光学的に均質な1層構造(F),光学
的に均質な2層構造(F),光学的に均質な3層構造
(F )を表す。そして、試料への入射光は、M,P,
inの行列計算により求められ、下記式(36)で与
えられる。
【0120】
【数37】
【0121】説明の便宜上、試料が光学的に均質な2層
構造からなると仮定する。まず、入射光が第1層を通過
した後の偏光状態は、次式により求められる。すなわ
ち、第1層のミュラー行列式Sは、下記式(37)で
あるので、第1層を通過した光の偏光状態Iは式(3
8)のようになる。
【0122】
【数38】
【0123】
【数39】
【0124】そして、第2層は第1層と同じミュラー行
列要素を持つので、第2層を通過した光は、下記式(3
9)で表すことができ、順次展開すると最終的に式(4
1)のようになる。
【0125】
【数40】
【0126】
【数41】
【0127】
【数42】
【0128】さらに検出器7における受信した光の強度
は、偏光特性の小さい光電子増倍管を使用すると、下記
式(42)のようになる。
【0129】
【数43】
【0130】上記した式(41),式(42)から明ら
かなように、第2層を通過する光の円偏光成分は、光電
子増倍管での光強度と関係がない。換言すると、円偏光
成分は試料のLDとLBに何らの相互作用もしていない
といえる。さらに、sin(δ+α)とcos(δ+
α)は、フーリエ変換すると、第1の実施の形態の説明
の際に示した式(7),式(8)のようになるので、検
出されるωm(50kHz)信号と、2ωm(100k
Hz)信号はそれぞれ下記式で表される。
【0131】
【数44】
【0132】
【数45】
【0133】さらに、使用したPEMの残留歪み量αが
小さいとすると、sinαが0とみなせるので、式(4
3)は式(43′)のように近似できる。
【0134】
【数46】
【0135】さらに、(LD′LB―LDLB′)si
n(δ+α)は、式(41)から明らかなように、第2
層に入射する直線偏光成分とLDとLBの相互作用によ
って生じるものである。
【0136】次に、試料をこの角度位置で反転し、表裏
を逆にセットする(試料を裏返す)。すると、LDとL
Bは何の変化も生じないが、LD′とLB′は、その符
号が変わる。つまり、試料を裏返すと、LB′は―L
B′となり、LD′は−LD′となる。従って、試料を
裏返した時に得られるω信号は、式(43′)中にL
B′とLD′の符号を反転すれば良いので、下記式(4
5)となる。なお、2ωm信号は、試料を裏返しても変
わらないので、式(44)の通りとなる。
【0137】
【数47】
【0138】つまり、上記した式(43′)と式(4
5)を比較すると明らかなように、試料の表面と裏面に
対してそれぞれ入射光を照射させた場合に得られるωm
(50kHz)信号は、絶対値が等しく、符号が反転し
ている。従って、光学的に均質な試料を反転させて、そ
の表面と裏面のそれぞれについてωm(50kHz)信
号を測定し、得られた両信号を加算すると、各信号が相
殺されて0となる。
【0139】次に、試料が光学的に等しくない2層構造
を持つ場合について考察する。入射光に対して第1層を
S1,第2層をS2とする。これを表面とすると、これ
に対するミュラー行列式は、以下のようになる。 Sface=S1face・S2face=Ae1+Ae2
【数48】
【0140】
【数49】
【0141】試料を裏返した場合には、各層のLD
LD,LB,LBの符号は変わらないが、LD′
,LD′,LB′,LB′の符号は反転する。
従って、入射光に対するミュラー行列は、下記のように
表せる。 Sback=S2back・S1back
【数50】
【0142】
【数51】
【0143】従って、試料の表面に対して入射光を与え
た場合のωm信号(ωm(50kHz)face)と、
試料の裏面に対して入射光を与えた場合のωm信号(ω
m(50kHz)back)は、下記式(50),式
(51)に示すようになる。
【0144】
【数52】
【0145】
【数53】
【0146】同様に、試料の表面に対して入射光を与え
た場合の2ωm信号(2ωm(100kH
z)face)と、試料の裏面に対して入射光を与えた
場合の2ωm信号(ωm(100kHz)back
は、下記式(52),式(53)に示すようになる。
【0147】
【数54】
【0148】
【数55】
【0149】上記した各式から明かなように、2ωm
(100kHz)信号、すなわち、LD信号は、表面と
裏面で大きさも等しく符号も変わらない。これに対し、
ωm(50kHz)信号は、入射光に対して表面と裏面
では大きさは異なり、その符号は変わるとは限らない。
つまり、光学的に不均質な2層構造の場合、下記式(5
4)のような相関関係を持つ。
【0150】
【数56】
【0151】以上のことから、LB,LDのような巨視
的異方性を持つ試料が光学的に均質であるかどうかを判
定するには、本実施の形態の装置を用い、入射光に対し
て試料の表面とこれを正確に裏返した裏面の両面につい
て、ωm(50kHz)信号を測定し、その大きさが等
しいが符号が異なっているならば試料は光学的に均質で
あると判定でき、両面で信号の大きさが異なる(符号の
一致/不一致は問わず)場合には試料は光学的に異なる
2層以上の構造を持っていると判断できる。係る判断
を、信号処理装置8が行う。
【0152】
【発明の効果】上記したように、本発明では、簡単な演
算処理によって固体試料の持つ真のCDを測定すること
ができ、また、試料が光学的に均質か不均質かの判定が
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る測定装置の第1の実施の形態を示
す図である。
【図2】その光学配置を示す図である。
【図3】試料保持装置の一実施の形態を示す側面図であ
る。
【図4】試料保持装置の一実施の形態を示す平面図であ
る。
【図5】ホルダの一例を示す図である。
【図6】本発明に係る測定装置の第2の実施の形態を示
す図である。
【図7】その光学配置を示す図である。
【符号の説明】
1 光源 2 分光器 3 偏光子 4 偏光変調器 5 試料保持装置 6 検光子 7 検出器 8 信号処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G059 AA02 BB10 DD13 EE05 EE12 GG04 HH02 HH03 JJ05 JJ06 JJ11 JJ18 JJ19 KK02 MM01 MM12

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源から出射される光の光路上に、単色
    光を出射する分光器と、その単色光を直線偏光させる偏
    光子と、その偏光子を透過した光の偏光状態を所定の基
    本変調周波数で、右回りの円偏光,左回りの円偏光に交
    番的に変化させると同時に2倍の基本変調周波数で垂直
    ・水平の直線偏光に交番的に変化させる偏光変調器と、
    その偏光変調器から得られた光が入射されるように試料
    を保持する試料保持装置と、その試料保持装置を通過し
    た光が通過する検光子を通過した光の強度を検出する検
    出器と、その検出器の出力に基づいて信号処理する信号
    処理部を備えた測定装置であって、 前記検光子は、前記光路上と光路外に移動可能にし、 前記試料保持装置は、前記試料を回転可能に保持すると
    ともに、反転して前記試料の表面側と裏面側のそれぞれ
    から光を入射可能とし、 前記信号処理部は、前記検出器の出力信号のうち前記偏
    光変調器における変調周波数に相当する周波数成分及び
    その変調周波数の2倍の周波数成分に基づいて信号処理
    するもので、 前記検光子を光路上に配置した状態で前記試料を回転さ
    せ、基本変調周波数成分が最大位置となる角度位置を求
    め、 前記角度位置から前記試料を45度回転させた位置で、
    前記試料を反転させ、前記検光子を前記光路外に配置し
    た状態で、前記試料の表面から光を照射した時に得られ
    た前記変調周波数に相当する周波数成分と、前記試料の
    裏面から光を照射した時に得られた前記変調周波数に相
    当する周波数成分を得、それらを加えて2で割ることに
    より真のCD値を算出する測定装置。
  2. 【請求項2】 光源から出射される光の光路上に、単色
    光を出射する分光器と、その単色光を直線偏光させる偏
    光子と、その偏光子を透過した光の偏光状態を所定の基
    本変調周波数で、右回りの円偏光,左回りの円偏光に交
    番的に変化させると同時に2倍の基本変調周波数で垂直
    ・水平の直線偏光に交番的に変化させる偏光変調器と、
    その偏光変調器から得られた光が入射されるように試料
    を保持する試料保持装置と、その試料保持装置を通過し
    た光の強度を検出する検出器と、その検出器の出力に基
    づいて信号処理する信号処理部を備えた測定装置であっ
    て、 前記試料保持装置は、前記試料を反転して前記試料の表
    面側と裏面側のそれぞれから光を入射可能とし、 前記信号処理部は、前記検出器の出力信号のうち前記偏
    光変調器における変調周波数に相当する周波数成分に基
    づいて信号処理するもので、前記試料の表面から光を照
    射した時に得られた前記変調周波数に相当する周波数成
    分Fと、前記試料の裏面から光を照射した時に得られた
    前記変調周波数に相当する周波数成分Bを求め、 F=−Bならば前記試料は光学的に均質と判断し、 F=−Bでないならば前記試料は光学的に不均質と判断
    する機能を備えたことを特徴とする測定装置。
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