JP2002119306A - 履物用摩擦装置及び摩擦体 - Google Patents

履物用摩擦装置及び摩擦体

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JP2002119306A
JP2002119306A JP2000315792A JP2000315792A JP2002119306A JP 2002119306 A JP2002119306 A JP 2002119306A JP 2000315792 A JP2000315792 A JP 2000315792A JP 2000315792 A JP2000315792 A JP 2000315792A JP 2002119306 A JP2002119306 A JP 2002119306A
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Yasuhiro Ijiri
保宏 井尻
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 砂粒等が摩擦体と保持体の間に侵入すること
が効果的に防止される。 【解決手段】 ゴルフ靴底Sの内周縁部に、保持体10
と同心状をなす上方開口の方形断面の内周側環状溝S1
を形成し、ゴルフ靴底Sにおける内周側環状溝S1より
も径方向外方に、径方向間隔を隔てて同心状に上方開口
の略三角形断面の外周側環状溝S2を形成する。摩擦部
14における基盤部の下面に内周側環状突条R1を設
け、基盤部の外周縁部に外周側環状突条R2を設ける。
内周側環状突条R1及び外周側環状突条R2がそれぞれ
内周側環状溝S1及び外周側環状溝S2に嵌合すると共
に、環状部分14bとゴルフ靴底Sにおける内周側環状
溝S1と外周側環状溝S2の間の環状部分S3が当接す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフ靴等の履物
に用いられる滑止体等の摩擦体を、履物底部に設けられ
た保持体により履物底に保持した履物用摩擦装置、特
に、砂粒等が摩擦体と保持体の間に侵入することが効果
的に防止される履物用摩擦装置及びその履物用摩擦装置
における摩擦体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】履物用
の摩擦体の一例であるゴルフ靴用の滑止体としては、従
来、金属製やセラミクス製のスパイクが用いられていた
が、グリーン等の損傷防止や履き心地向上のために、合
成樹脂製の滑止体が用いられることが多くなってきた。
このような合成樹脂製の滑止体は、金属製の場合に比し
摩耗し易いため、滑止体の裏側に金属製又は合成樹脂製
の雄ねじ部等の嵌合突部を突設し、それと螺合等により
嵌合する金属製の雌ねじ部等の保持部を備えた保持体を
ゴルフ靴の底部に設け、滑止体をなるべく容易に着脱交
換可能なように構成されている。
【0003】ところが、保持体により滑止体が螺合等に
より嵌合保持されている状態において、滑止体と保持体
の間、特に嵌合突部と保持部の間に、細かい石粒、砂
粒、土粒子、芝、塵芥等が侵入すると、それらの螺合等
の嵌合の解除が困難となったり、嵌合解除操作により保
持体や摩擦体を損傷させたり、無理な操作により怪我を
引き起こすおそれがある。
【0004】本発明は、従来技術に存した上記のような
課題に鑑み行われたものであって、その目的とするとこ
ろは、砂粒等が摩擦体と保持体の間に侵入することが効
果的に防止され、嵌合の解除が困難となったり、嵌合解
除操作により保持体や摩擦体を損傷させたり、無理な操
作により怪我を引き起こすことが防がれる履物用摩擦装
置及びその履物用摩擦装置における摩擦体を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の履物用摩擦装置
は、履物底部に保持された状態において使用されること
により履物底部が踏む対象に接してその対象との間に摩
擦力を発生させる摩擦部と、履物底部に設けられた保持
体に嵌合して着脱可能に保持される嵌合突部を有し、そ
の嵌合突部は、履物底部に保持された状態において前記
摩擦部のうち履物底面部又は保持体表面部に相対する裏
側部の側に設けられており、摩擦部の前記裏側部のうち
前記嵌合突部よりも外周側の部分に、環状突条を有する
摩擦体と、前記環状突条に対応して履物底面部および/
または保持体表面部に設けられた環状溝部を有してな
り、嵌合突部が保持体に嵌合保持されて履物用摩擦体が
履物底部に保持された状態において、前記環状突条が前
記環状溝部に嵌合することを特徴とする。
【0006】また本発明の摩擦体は、履物底部に保持さ
れた状態において使用されることにより履物底部が踏む
対象に接してその対象との間に摩擦力を発生させる摩擦
部と、履物底部に設けられた保持体に嵌合して着脱可能
に保持される嵌合突部を有し、その嵌合突部は、履物底
部に保持された状態において前記摩擦部のうち履物底面
部又は保持体表面部に相対する裏側部の側に設けられて
おり、摩擦部の前記裏側部のうち前記嵌合突部よりも外
周側の部分に環状突条を有することを特徴とする。
【0007】保持体により摩擦体が嵌合保持されている
状態において、摩擦体と保持体の間、特に嵌合突部と保
持体の間に、細かい石粒、砂粒、土粒子、芝、塵芥等が
侵入すると、それらの嵌合の解除が困難となったり、嵌
合解除操作により保持体や摩擦体を損傷させたり、無理
な操作により怪我を引き起こしたりするおそれがある。
【0008】この履物用摩擦装置又は摩擦体の場合、履
物が使用される状態、すなわち履物底部に設けられた保
持体に摩擦体が保持されて地面を踏む状態において、摩
擦部の裏側部に設けられた環状突条が履物底面部および
/または保持体表面部に設けられた環状溝部に嵌合して
いる。そのため、環状突条と環状溝部との嵌合構造によ
って砂粒等の侵入物が摩擦体と保持体の間の内方に侵入
することが防がれる。
【0009】また本発明の履物用摩擦装置は、履物底部
に保持された状態において使用されることにより履物底
部が踏む対象に接してその対象との間に摩擦力を発生さ
せる摩擦部と、履物底部に設けられた保持体に嵌合して
着脱可能に保持される嵌合突部を有し、その嵌合突部
は、履物底部に保持された状態において前記摩擦部のう
ち履物底面部又は保持体表面部に相対する裏側部の側に
設けられており、摩擦部の前記裏側部のうち前記嵌合突
部よりも外周側の部分に、間隔をおいて二重に環状突条
を有する摩擦体と、前記環状突条に対応してそれぞれ履
物底面部および/または保持体表面部に二重に設けられ
た環状溝部を有してなり、嵌合突部が保持体に嵌合保持
されて履物用摩擦体が履物底部に保持された状態におい
て、前記各環状突条が前記各環状溝部に嵌合することを
特徴とするものとすることができる。
【0010】また本発明の摩擦体は、履物底部に保持さ
れた状態において使用されることにより履物底部が踏む
対象に接してその対象との間に摩擦力を発生させる摩擦
部と、履物底部に設けられた保持体に嵌合して着脱可能
に保持される嵌合突部を有し、その嵌合突部は、履物底
部に保持された状態において前記摩擦部のうち履物底面
部又は保持体表面部に相対する裏側部の側に設けられて
おり、摩擦部の前記裏側部のうち前記嵌合突部よりも外
周側の部分に、間隔をおいて二重に環状突条を有するこ
とを特徴とするものとすることができる。
【0011】この履物用摩擦装置又は摩擦体の場合、履
物が使用される状態、すなわち履物底部に設けられた保
持体に摩擦体が保持されて地面を踏む状態において、摩
擦部の裏側部に二重に設けられた環状突条がそれぞれ履
物底面部および/または保持体表面部に二重に設けられ
た環状溝部に嵌合している。そのため、二重に設けられ
た環状突条と環状溝部との嵌合構造によって砂粒等の侵
入物が摩擦体と保持体の間の内方に侵入することが防が
れることは勿論、たとえ外周側の環状突条と環状溝部の
間に砂粒等の侵入物が侵入したとしても、その侵入物に
より摩擦部のその部分が履物底面部および/または保持
体表面部に対しめくれ上がるので、摩擦部のうちその内
周側の部分は却って履物底面部および/または保持体表
面部に押しつけられ、内周側の環状突条と環状溝部との
嵌合がより強固なものとなって侵入物が内周側の環状突
条と環状溝部よりも内方へ侵入することが効果的に防止
される。
【0012】本発明の履物用摩擦装置は、本発明の摩擦
体と、環状溝部を有してなる。
【0013】摩擦体は、履物底部が踏む対象に接してそ
の対象との間に摩擦力を発生させる摩擦部と、履物底部
に設けられた保持体に嵌合して着脱可能に保持される嵌
合突部を有してなる。嵌合突部は、履物底部に保持され
た状態において前記摩擦部のうち履物底面部又は保持体
表面部に相対する裏側部の側に設けられる。
【0014】摩擦体は、合成樹脂(66ナイロン樹脂等
のナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹
脂等を適宜採用することができる。例えば、強度及び剛
性をある程度必要とする部分に66ナイロン樹脂等のナ
イロン樹脂、弾力性又は柔軟性をある程度必要とする部
分にポリウレタン樹脂等を用いることができる。)、金
属、セラミクス、又はこれらの組み合わせ等により適宜
形成し得る。
【0015】摩擦部は、合成樹脂、合成ゴム、金属、セ
ラミクス等、又はこれらの組み合わせ等により適宜形成
し得、全体としてある程度の弾性を有するものとするこ
とができる。摩擦部と通常の摩擦対象(例えば、土や砂
利や石や岩や植物等からなる地面、コンクリートやアス
ファルトや石材等からなる道路面、コンクリートや合成
樹脂や石材や木材等からなる床面、雪面、氷面等)との
間に作用する摩擦力は、履物底と通常の摩擦対象との間
に作用し得る摩擦力よりも大きいものとすることができ
る。
【0016】摩擦部は、例えば、基盤部と、使用時にそ
の基盤部から対象に向く方向である高さ方向に突起する
複数の突起部を有してなるものとすることができる。ま
た例えば、摩擦対象に接する部分が平坦面又は細かい凹
凸を全面又は一部に有する面であるもの、摩擦対象に接
する側(例えば履物底部の底面側)に突出する小突起
群、突条群、直線放射状に配された突条、螺旋放射状に
配された突条等の突起部を有するもの等を挙げることが
できる。摩擦部の全体形状としては、例えば突起部を備
えた略板状体、好ましくは略円板状体等とすることがで
きる。
【0017】嵌合突部は、例えば摩擦部の裏側に金属又
は合成樹脂等の材料からなる嵌合突部を突設してなるも
のとすることができる。このような嵌合突部の例として
は、外周部に雄ねじ部が形成され、履物底部に設けられ
た保持体における雌ねじ部を有する保持穴に螺合保持さ
れるものが挙げられる。嵌合突部と、履物底部に設けた
保持体に、螺子以外の嵌合保持機構を設けたものとする
ことも可能である。履物用摩擦体は、履物底部に1又は
2以上保持させて使用することができる。
【0018】前記のような、履物底部に設けられる保持
体は、合成樹脂、金属、セラミクス、又はこれらの組み
合わせ等により形成し得る。このような保持体は、例え
ば、合成樹脂製の履物底(例えば靴底、特にゴルフ用靴
底等の運動用靴底等)に埋設固定された状態で使用する
ことができるほか、そのような履物底に一体成形により
形成したり、履物底の基盤部に一体成形により形成して
履物底の底面に露出する状態で使用することも可能であ
る。
【0019】摩擦部は、その裏側部のうち嵌合突部より
も外周側の部分に、環状突条を一重に又は径方向間隔を
おいて二重に環状突条(すなわち外周側の環状突条と内
周側の環状突条の二重の環状突条)を有する。また、履
物底面部および/または保持体表面部に、前記環状突条
に対応して一重に設けられた環状溝部又はそれぞれ二重
に設けられた環状溝部を有し、嵌合突部が保持体に嵌合
保持されて履物用摩擦体が履物底部に保持された状態に
おいて、前記各環状突条が前記各環状溝部に嵌合する。
なお、二重の環状突条及び環状溝部に加えて更に相対応
する環状突条及び環状溝部を設けて三重以上とすること
もできる。
【0020】各環状突条と、それに対応する各環状溝部
の断面形状は、嵌合突部が保持体に嵌合保持されて履物
用摩擦体が履物底部に保持された状態において、ほとん
ど隙間なく嵌合するものとすることができる他、少なく
とも環状突条の基部が環状溝部の開口縁部にほとんど隙
間なく接する(好ましくは圧接する)もの(例えば環状
突条が摩擦部の裏面側に先細状をなす三角形状断面であ
り、環状溝部が方形状断面であって、環状突条の基部が
環状溝部の開口縁部に接するもの)とすることができ
る。
【0021】摩擦部と履物底面部および/または保持体
表面部の間への侵入物の侵入をより効果的に防ぐ上で、
外周側の環状突条と環状溝部の嵌合は、ほとんど隙間な
く嵌合するものとすることが好ましい。この場合に内周
側の環状突条と環状溝部の嵌合は、環状突条の基部が環
状溝部の開口縁部にほとんど隙間なく接するものとする
ことができる。
【0022】上記の二重の環状突条は、同心状に設けら
れていることが好ましい。また、両環状突条は円環状を
なすもの、特に嵌合突部の軸線を中心とした円環状をな
すものであることが好ましい。この場合、嵌合突部の軸
線を中心として摩擦体が回転し得るものである場合に環
状突条と環状溝部の嵌合に好都合であるからである。
【0023】各環状突条は、例えば、摩擦部の裏面側に
先細状をなす三角形状断面等の一定断面形状をなすもの
とすることができる。環状突条の高さや形状は、両環状
突条において同一であっても異なってもよく、例えば外
周側の環状突条の方が高いものとすることができる。
【0024】二重の環状突条の間は、例えば何れか高く
ない方の環状突条の高さ(低い方の高さ又は同一高さで
ある場合のその高さ)の0.7乃至3倍程度、好ましく
は1乃至2倍程度の径方向距離を隔てるものとすること
ができる。このようにして、外周側の環状突条と環状溝
部の間に砂粒等の侵入物が侵入した場合に、その侵入物
により摩擦部のその部分がめくり上がって摩擦部のうち
その内周側の部分が履物底面部および/または保持体表
面部に押しつけられ、内周側の当接し合う環状部分の当
接および/または環状突条と環状溝部との嵌合がより強
固なものとなる程度の間隔を有するものとすることが好
ましい。
【0025】外周側の環状突条は、摩擦部の外周縁部に
設けられたものであることが好ましい。この場合、保持
体により摩擦体が嵌合保持された状態で、摩擦部の外周
縁部において環状突条と環状溝部が嵌合するので、摩擦
部と履物底面部および/または保持体表面部の間への侵
入物の侵入を効果的に防ぐことができる。この場合の外
周側の環状突条は、外周面が円筒面状をなし内周面が傾
斜面をなし摩擦部の裏面側に先細状をなす三角形状断面
の一定断面形状をなすものとすることができる。これに
より、外周側の環状突条と環状溝部が嵌合した状態で摩
擦部と履物底面部および/または保持体表面部の間への
侵入物の侵入をより効果的に防ぐことができる。
【0026】また、本発明の履物用摩擦装置は、嵌合突
部が保持体に嵌合保持されて履物用摩擦体が履物底部に
保持された状態において、各環状突条が各環状溝部に嵌
合すると共に、摩擦部の裏側部における両環状突条間の
環状部分と履物底面部および/または保持体表面部にお
ける両環状溝部間の環状部分が当接するものであること
が好ましい。
【0027】この場合、履物が使用される状態、すなわ
ち履物底部に設けられた保持体に摩擦体が保持されて地
面を踏む状態において、摩擦部の裏側部に二重に設けら
れた環状突条がそれぞれ履物底面部および/または保持
体表面部に二重に設けられた環状溝部に嵌合すると共
に、摩擦部の裏側部における両環状突条間の環状部分
と、履物底面部および/または保持体表面部における両
環状溝部間の環状部分が当接している。そのため、二重
に設けられた環状突条と環状溝部との嵌合構造及びそれ
らの間の環状部分の当接構造によって砂粒等の侵入物が
摩擦体と保持体の間の内方に侵入することが防がれるこ
とは勿論、たとえ外周側の環状突条と環状溝部の間に砂
粒等の侵入物が侵入したとしても、その侵入物により摩
擦部のその部分がめくれ上がるので、摩擦部のうちその
内周側の部分は却って履物底面部および/または保持体
表面部に押しつけられ、内周側の当接し合う環状部分の
当接および/または内周側の環状突条と環状溝部との嵌
合がより強固なものとなって侵入物が内周側の環状突条
と環状溝部よりも内方へ侵入することがより効果的に防
止される。
【0028】なお、保持体による摩擦体の嵌合保持は、
侵入物の侵入を防ぐ上で、摩擦部の裏側部と履物底面部
および/または保持体表面部が圧接する状態で行われる
ものであることが好ましい。
【0029】また、摩擦体の嵌合突部と履物底部に設け
た保持体を螺子構造により着脱する場合、螺子の緩み止
め機構として、環状突条と環状溝部の相対する部分、又
は摩擦部の裏側部における両環状突条間の環状部分と履
物底面部および/または保持体表面部における両環状溝
部間の環状部分等の、摩擦体と保持体又は履物底面部の
相対する部分に複数の又は連続的な凸部と凹部を設けて
それらが噛合ったような状態とすることができる。螺合
の際はそれらの噛み合い力に打ち勝って螺合させ、螺合
後は噛み合い力により自然には螺合が緩み難いよう構成
されることとなる。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参
照しつつ説明する。
【0031】図1乃至図6は何れも本発明の履物用摩擦
装置の実施の形態の一例としてのゴルフ靴用の履物用摩
擦装置に関するものである。但し、他の各種運動靴及び
その他の履物にも使用可能である。
【0032】図1は、ゴルフ靴底に設けられた保持体に
摩擦体を嵌合保持させる状態を示す断面図、図2は、ゴ
ルフ靴底に設けられた保持体に嵌合した摩擦体の挿入部
に嵌合解除具の挿入体を挿入する状態を示す断面図、図
3は摩擦体の平面図、図4は摩擦体の正面図、図5は摩
擦体の斜視図、図6は、摩擦体の底面側とゴルフ靴底に
固定された保持体を示す斜視図である。図1及び図2
は、図3におけるA−A線断面についてのものである。
【0033】この履物用摩擦装置は、合成樹脂又は合成
ゴム製のゴルフ靴底Sと、ゴルフ靴底Sに固定保持され
た66ナイロン樹脂製の保持体10と、66ナイロン樹
脂(硬質合成樹脂)製の嵌合体12とポリウレタン樹脂
(比較的軟質の合成樹脂)製の摩擦部14からなる摩擦
体16からなる。
【0034】保持体10は、図1における上半部の内周
側に環状の保持体側嵌合部10a(嵌合凹部)が形成さ
れ、外周側上下中間位置に外方張出部10bを有し、略
平板状部10cにより底部が閉塞されてなる。
【0035】保持体側嵌合部10aは、上下方向の軸心
線の回りに回転対称状をなす。保持体側嵌合部10aの
図1における上部のほとんどは、下方に向かって縮径す
る円錐台形状内周面部10dにより構成され、その下端
部は経方向内方突出の環状の抜け止め突部10eに形成
されている。その抜け止め突部10eの図1における下
側、すなわち保持体側嵌合部10aの下部は、全周にわ
たりほぼ径方向外方に拡径され、環状壁部10fにより
囲繞されている。
【0036】保持体10は、図1における保持体側嵌合
部10aの上端部が露出する状態で、外方張出部10b
よりも上方まで埋設されることによりゴルフ靴底Sに固
定されて使用される。保持体10の上端外周面は、円筒
面形状をなし、ゴルフ靴底Sの内周縁部に設けられた環
状切欠部と共に、保持体10と同心状をなす上方開口の
方形断面の内周側環状溝S1を形成している。また、ゴ
ルフ靴底Sにおける内周側環状溝S1よりも径方向外方
に、その内周側環状溝S1の深さの1.5倍程度の径方
向間隔を隔てて同心状に、上方開口の略三角形断面の外
周側環状溝S2が形成されている。外周側環状溝S2
は、外周面が円筒面形状、内周面が上方に向かって内方
に傾斜する円錐台外周面形状であり、深さは内周側環状
溝S1の深さの約1.5倍である。
【0037】ゴルフ靴使用時は、図1の上下関係は逆に
なる。外方張出部10bは、保持体10が靴底に埋設固
定された場合の靴底からの離脱防止の機能を果たす。
【0038】なお、保持体10は可動部を有しないので
全体として耐久性が良好であり、保持体10を着脱不能
な状態でゴルフ靴底Sに固定したゴルフ靴を可及的に長
期にわたり使用することができる。また、保持体10に
可動部を有しないので、耐熱性、耐圧性、耐摩耗性等の
物性に優れた材料を適宜選択して保持体10として使用
することができる。そのため、ゴルフ靴底Sを構成する
合成樹脂若しくは合成ゴム等の成形材料に保持体10を
インサートしてそれを成形する上で耐熱性及び耐圧性に
優れた材料を選択することができる。
【0039】摩擦体16における嵌合体12の上端部に
は円板状の側方張出部12sを有する。この側方張出部
12sを含む嵌合体12の上端部をポリウレタン樹脂
(比較的軟質の合成樹脂)で被覆するよう成形固化させ
て略円板状の摩擦部14を形成することにより、嵌合体
12と摩擦部14が一体化した摩擦体16を構成してい
る。
【0040】嵌合体12のうち摩擦部14から下方へ突
出した部分が、摩擦体側嵌合部12a(嵌合突部)であ
る。摩擦体側嵌合部12aは、一対の支持片12bと、
その支持片12b同士の間において水平方向間隔を隔て
て向かい合った一対の抜け止め片12cからなる。
【0041】支持片12bの上半部外周面12b1は、
下方に向かって縮径する円錐台形状外周面の約120度
中心角部分に相当し、下半部外周面は円筒形状の約12
0度中心角部分に相当する。保持体10における保持体
側嵌合部10aの円錐台形状内周面部10d及び摩擦体
16の摩擦体側嵌合部12aにおける支持片12bの上
半部外周面12b1が、横方向支持機構及び嵌合方向支
持機構を構成する。
【0042】抜け止め片12cの下端部には、外方に開
口した略周方向の溝状をなす抜け止め凹部12c1が形
成されている。抜け止め片12cの下端外側面12c2
は上外方に向かって傾斜している。
【0043】摩擦部14は、略円板状をなす基盤部14
aと、使用時にその基盤部14aから対象に向く方向で
ある高さ方向に突起する複数の突起部を有する。基盤部
14aの上面は、中央部に向かって漸次上方に膨出す
る。
【0044】基盤部14aの上面のうち径方向における
外周寄りの部分(例えば外周寄りの4分の3乃至2分の
1程度、好ましくは3分の2程度)における90度中心
角毎に、合計4つの径方向突部22を有し、各径方向突
部22同士の間を周方向に二等分する位置に合計4つの
中間高突部24を有する。径方向突部22及び中間高突
部24はポリウレタン樹脂(弾力性を有する材料)から
なる。
【0045】各径方向突部22は互いに同一形状で、径
方向における中心より半径の3分の1程度の位置から径
方向外端位置にわたるものであり、周方向幅はほぼ一定
である。各径方向突部22において使用時に対象に臨む
面である突起方向面22aは、径方向の長さ(半径の長
さの3分の2程度)が周方向幅よりも長く、周方向幅は
ほぼ一定である。径方向突部22の径方向外方端部は基
部から図1における上方に向かって径方向外方に漸次張
り出しており、これにより突起方向面22aの径方向外
方端部が基盤部14aよりも径方向外方に張り出してい
る。一方、径方向突部22の径方向内方端部は基部から
上方に向かってやや径方向外方に傾斜している。
【0046】各突起方向面22aは、径方向において湾
曲した凹曲面状をなしつつ径方向外方から径方向内方に
向かって高さが低くなるよう傾斜しており、且つ、周方
向において湾曲した凹曲面状をなす。また、各径方向突
部22の径方向中央位置における周方向両側にわたり
(すなわち周方向に貫くように)、その径方向突部22
の突起方向面22aに開口する半円形状断面の緩衝溝2
2bが設けられている。
【0047】各中間高突部24は、各径方向突部22に
おける緩衝溝22bの径方向位置とほぼ同じ径方向位置
に設けられている。各中間高突部24は、図1における
上向きに漸次径が縮小する円錐台形状をなし、その上端
部である突起方向端部に、突起方向である上方に開口す
る180度より小さい中心角(好ましくは20乃至16
0度程度)の球面状の緩衝凹部24aを有する。各中間
高突部24の高さは、径方向突部22の突起方向面22
aの径方向外方端部の高さと径方向内方端部の高さの差
の3割をその径方向内方端部の高さに加えた程度の高さ
である。
【0048】摩擦部14における両抜け止め片12cの
経方向外側位置に、それぞれ上下方向の孔状をなす挿入
部28が設けられている。各挿入部28は、下部が開口
し、上部は閉塞部30によって閉塞されている。閉塞部
30は、平面視において方形状をなす薄厚であり、中央
部に上下貫通する切込部30aが設けられている。
【0049】摩擦部14における基盤部14aの下面に
おける摩擦体側嵌合部12aよりも外周側の部分に、内
周側環状突条R1を有し、基盤部14aの外周縁部に外
周側環状突条R2が設けられている。内周側環状突条R
1及び外周側環状突条R2、並びに摩擦部14の裏側部
における内周側環状突条R1と外周側環状突条R2の間
の環状部分14bは、摩擦体16の摩擦体側嵌合部12
aが保持体10に嵌合保持されて摩擦体16がゴルフ靴
底Sに保持された状態において、内周側環状突条R1及
び外周側環状突条R2がそれぞれ内周側環状溝S1及び
外周側環状溝S2に嵌合すると共に、環状部分14bと
ゴルフ靴底Sにおける内周側環状溝S1と外周側環状溝
S2の間の環状部分S3が当接するよう構成されてい
る。
【0050】内周側環状突条R1は、下向きに先細状を
なす二等辺三角形状の一定断面であり、内周側環状突条
R1の基部が内周側環状溝S1の開口縁部(図1におけ
る左右上端部)に接する。外周側環状突条R2は、外周
面が円筒面形状、内周面が上方に向かって内方に傾斜す
る円錐台外周面形状の一定断面であり、外周側環状溝S
2にほとんど隙間なく嵌合する。
【0051】ゴルフ靴底S(図1において靴底面は上向
き)に埋設固定した保持体10の保持体側嵌合部10a
に、図1に示す向きに摩擦体16の摩擦体側嵌合部12
aを十分に嵌合させれば、抜け止め片12cの先端部
は、その下端外側面12c2が嵌合の過程において保持
体側嵌合部10aにおける円錐台形状内周面部10dに
案内されることにより一旦径方向内方へ弾性的に撓んだ
後、径方向外方へ復元し、図2に示されるように抜け止
め凹部12c1が抜け止め突部10eに嵌合する。
【0052】抜け止め凹部12c1が抜け止め突部10
eに嵌合すると、抜け止め片12cによる径方向外向き
の付勢力(抜け止め片12cが径方向内向きに撓むこと
に対し、抜け止め片12c自体の弾性により抵抗する
力)によりその嵌合が保持され、摩擦体側嵌合部12a
が保持体側嵌合部10aから上方へ離脱することが防が
れて摩擦体16が保持体10に固定的に保持される。
【0053】この状態において、摩擦部14の裏側部
(図1における下側部)に二重に設けられた内周側環状
突条R1及び外周側環状突条R2がそれぞれゴルフ靴底
Sに二重に設けられた内周側環状溝S1及び外周側環状
溝S2に嵌合すると共に、摩擦部14の裏側部における
内周側環状突条R1と外周側環状突条R2の間の環状部
分14bと、ゴルフ靴底Sにおける内周側環状溝S1と
外周側環状溝S2の間の環状部分S3が当接している。
そのため、二重に設けられた内周側環状突条R1と内周
側環状溝S1及び外周側環状突条R2と外周側環状溝S
2の嵌合構造並びにそれらの間の環状部分14bと環状
部分S3の当接構造によって砂粒等の侵入物が摩擦体1
6と保持体10の間の内方に侵入することが防がれるこ
とは勿論、たとえ外周側環状突条R2と外周側環状溝S
2の間に砂粒等の侵入物が侵入したとしても、その侵入
物により摩擦部14(基盤部14a)のその部分がゴル
フ靴底Sに対しめくれ上がるので、摩擦部14(基盤部
14a)のうちその侵入箇所の内周側の部分は却ってゴ
ルフ靴底Sおよび/または保持体10表面部に押しつけ
られ、環状部分14bと環状部分S3の当接および/ま
たは内周側環状突条R1と内周側環状溝S1の嵌合がよ
り強固なものとなって侵入物が内周側環状突条R1と内
周側環状溝S1よりも内方へ侵入することがより効果的
に防止される。特に、摩擦部14の外周縁部において外
周側環状突条R2と外周側環状溝S2がほとんど隙間な
く嵌合し、而も両者の外周面は円筒面状をなすので、摩
擦部14とゴルフ靴底Sの間への侵入物の侵入自体を効
果的に防ぐことができる。
【0054】また、摩擦体側嵌合部12aにおける支持
片12bの両上半部外周面12b1が保持体側嵌合部1
0aの円錐台形状内周面部10dに当接することによ
り、摩擦体16が保持体10によって上向き及び径方向
に支持されるので、ゴルフ靴底Sに埋設固定された保持
体10に摩擦体16が不安定に保持されて十分な摩擦効
果を発揮し得ないこと、保持体側嵌合部10a又は摩擦
体側嵌合部12aに破損や摩耗が生じること、使用中に
保持体10による摩擦体16の保持が解除されて摩擦体
16が脱落すること等が防がれる。
【0055】この摩擦体16を、ゴルフ靴底S及びその
ゴルフ靴底Sに固定された保持体10と組合せて履物用
摩擦装置として使用すると、摩擦体16の摩擦部14が
比較的軟質であるため、グリーンや建造物の床面等の損
傷防止や履き心地向上に資するところが大きく、抜け止
め凹部12c1と抜け止め突部10eがそれぞれ硬質合
成樹脂製であるため、使用中に予想外の力が作用して抜
け止め凹部12c1と抜け止め突部10eの嵌合が解除
されたり、抜け止め凹部12c1又は抜け止め突部10
eが磨耗してそれらの嵌合が解除され易くなることが防
がれる。
【0056】複数の摩擦体16が複数の保持体10にそ
れぞれ保持された状態でゴルフ靴を履いて使用すると、
一般に、先ず各径方向突部22の突起方向面のうち径方
向外方の部分から対象面に対する圧接を開始する。各径
方向突部22は、弾力性を有する材料からなるため、ほ
ぼ高さ方向に圧縮され又はそのように圧縮されると共に
高さが低下するたわみが生じ、それに伴い、突起方向面
22aの対象面に対する圧接部位は、径方向外方から内
方へと及ぶ。更に径方向突部22における突起方向面2
2aのうち残部と中間高突部24の突起方向端部が対象
面に対する圧接を開始する。
【0057】このように各径方向突部22が径方向外方
から対象に圧接しつつ変形して圧接部位が径方向内方に
及ぶので、ゴルフ靴底Sが踏む対象が芝生や砂地等の柔
軟な又は変形し易いものである場合、芝生等にあまり食
い込まずにその損傷を防ぎつつ、径方向突部22が滑り
止め及び安定支持の効果を発揮し、更に、径方向突部2
2の突起方向面22aの径方向外方端部の高さと径方向
内方端部の高さの差の3割をその径方向内方端部の高さ
に加えた程度の高さである中間高突部24により、芝生
等の損傷を防ぎつつ滑止及び安定支持効果をより高め
る。
【0058】ゴルフ靴底Sが踏む対象が、コンクリート
やアスファルトや石畳等の比較的硬い又は変形しにくい
面である場合、一般に、先ず各径方向突部22の突起方
向面のうち径方向外方の部分から対象面に対する圧接を
開始する。各径方向突部22は、弾力性を有する材料か
らなるため、ほぼ高さ方向に圧縮され又はそのように圧
縮されると共に高さが低下するたわみが生じ、それに伴
い、突起方向面22aの対象面に対する圧接部位は、径
方向外方から内方へと及ぶ。これにより、摩擦部14の
柔軟性をそれほど高めなくとも、すなわち、各径方向突
部22の耐摩耗性、耐久性、及び芝生等の柔軟な又は変
形しやすい対象に対する滑り止め及び安定支持効果が損
なわれる程度にまで摩擦部14の柔軟性を高めなくと
も、優れたクッション性又は緩衝性が発揮される。
【0059】各径方向突部22の突起方向面22aのう
ちある程度の高さの部分、すなわち径方向外方寄りの部
分が、前記のように対象面に圧接し、その部分の径方向
突部22が弾性的に変形して高さが低下すると、径方向
突部22における突起方向面22aのうち残部と中間高
突部24の突起方向端部が対象面に対する圧接を開始す
る。径方向突部22のうち径方向内方寄りの部分及び中
間高突部24は、対象面に圧接することにより同様に変
形して高さを低下させようとするが、それまでに対象面
に圧接している径方向突部22の径方向外方寄りの部分
に加えてこれらの部分が対象面に圧接するので、クッシ
ョン性又は緩衝性を発揮しつつ変形に対する抵抗が増大
し、各突起部(各径方向突部22及び各中間高突部2
4)の過度な変形による突起部の耐久性低下や歩行等の
不安定化等が防がれる。
【0060】径方向突部22の突起方向面22aが、径
方向においても周方向においても窪んだ凹曲面状をなす
ので、径方向突部の突起方向面22aが対象に圧接した
場合に生じ得る変形量が、突起方向面22aが平坦面で
ある場合に比し大きい。そのため、径方向突部22の突
起方向面22aが芝生や砂地等の柔軟な又は変形し易い
ものに圧接することにより芝生等を捉える効果が高ま
り、芝生等にあまり食い込まずにその損傷を防ぎつつ、
滑り止め及び安定支持の効果をより発揮するものとな
る。また、径方向突部22の突起方向面22aが比較的
硬い又は変形しにくい対象面に圧接した場合に生じ得る
変形量も、突起方向面22aが平坦面である場合に比し
大きく、衝撃吸収力が高い。
【0061】また、径方向突部22の径方向中間位置に
おける周方向両側にわたり(すなわち径方向突部22を
周方向に貫いて)、その径方向突部22の突起方向面2
2aに開口する緩衝溝22bが設けられているので、径
方向突部22の突起方向面22aが対象に圧接した場合
にほぼ高さ方向における圧縮又はそのような圧縮及び高
さが低下するたわみが生じ易くなる。そのため、径方向
突部22の突起方向面22aが芝生や砂地等の柔軟な又
は変形し易い対象を捉える効果が高まり、芝生等にあま
り食い込まずにその損傷を防ぎつつ、滑り止め及び安定
支持の効果をより発揮するものとなる。径方向突部22
の突起方向面22aが比較的硬い又は変形しにくい対象
面に圧接した場合にも、ほぼ高さ方向における圧縮又は
そのような圧縮及び高さが低下するたわみが生じ易くな
り、クッション性又は緩衝性がより効果的に発揮され
る。
【0062】更に、径方向突部22の突起方向面22a
の径方向外方端部が基盤部14aよりも径方向外方に張
り出すことにより、芝生や砂地等の柔軟な又は変形し易
い対象に対する径方向突部22による滑り止め及び安定
支持の効果が高まると共に、硬い対象面又は変形しにく
い対象面に対する径方向突部22によるクッション効果
又は緩衝効果が高まる。
【0063】また、中間高突部24の突起方向端部に、
突起方向に開口する緩衝凹部24aを有するので、対象
に対する圧接当初において中間高突部24の突起方向端
部のほぼ高さ方向における圧縮が生じ易くなると共に吸
盤吸着状の効果が生じ、芝生や砂地等の柔軟な又は変形
し易いものに圧接した場合に芝生等を捉える効果が高ま
り、芝生等にあまり食い込まずにその損傷を防ぎつつ、
滑り止め及び安定支持の効果より発揮するものとなると
共に、比較的硬い又は変形しにくい対象面に圧接した場
合に、クッション性又は緩衝性がより効果的に発揮され
る。
【0064】また更に、基盤部14aの中央に対し周方
向等中心角毎に4つ有する径方向突部22において、各
突起方向面22aが径方向外方から内方へと対象面に圧
接しつつ変形して芝生や砂地等の柔軟な又は変形し易い
ものに対する滑り止め及び安定支持の効果を発揮すると
共に、クッション性又は緩衝性を発揮し、次いで周方向
における径方向突部22同士の中間にそれぞれ位置する
中間高突部24の突起方向端部が対象面に圧接して滑り
止め及び安定支持を行い或いはクッション性又は緩衝性
を発揮しつつ変形に対する抵抗を増大させて各突起部の
過度な変形を防ぐので、滑り止め及び安定支持の効果の
発揮並びに、クッション性又は緩衝性の発揮と変形に対
する抵抗の増大が、位置的にバランス良く行われる。
【0065】使用により摩擦体16の径方向突部22及
び中間高突部24がある程度以上磨耗すると、摩擦体1
6を新しいものに交換する必要が生じる。保持体10か
ら摩擦体16を離脱させるには、一対の挿入体32を、
閉塞部30における切込部30aを通じ、一対の挿入部
28に対し図2における下向きに十分に挿入する。する
と、両挿入体32は、円錐台形状内周面部10dに案内
されて内下方に向かい、両抜け止め片12cの外側面を
内方へ押圧して径方向内方に弾性的に撓ませる。これに
より、環状の抜け止め突部10eに対する抜け止め凹部
12c1の嵌合が解除されるので、摩擦体側嵌合部12
aを保持体側嵌合部10aから上方へ離脱させて摩擦体
16を保持体10から取り外すことができるようにな
る。その際、円錐台形状内周面部10dが、径方向内方
に弾性的に撓ませた両挿入体32及び両抜け止め片12
cに対し上方へ押し出す力を及ぼすので、摩擦体16を
嵌合解除具31の挿入体32と共に保持体10から容易
に離脱させることができる。なお、挿入部28及び抜け
止め片12cの双方を摩擦体16に有するので、保持体
10に対する摩擦体16の回転角度に拘らず、挿入体3
2を挿入部28に十分に挿入すれば抜け止め片12cを
径方向内方へ撓ませて抜け止め突部10eに対する抜け
止め凹部12c1の嵌合を解除することができる。
【0066】挿入部28の上部は閉塞部30によって閉
塞されており、閉塞部30には切込部30aを有するだ
けであるから、通常の使用状態において挿入部28に砂
・石・土・セラミックス・金属・合成樹脂・木等の粒子
・粒・片等が詰まって挿入部28に対する嵌合解除用の
挿入体32の挿入による保持体10からの摩擦体16の
離脱が妨げられることや、地面や床面等における種々の
突起物やその他の物が意図せずに挿入部28に挿入され
て抜け止め凹部12c1と抜け止め突部10eの嵌合が
解除されることを回避することができる。
【0067】嵌合解除具31は、合成樹脂板製であり、
互いに平行状に下向きに突出する一対の挿入体32を有
する。各挿入体32は、弾性的に撓み得る棒状をなす。
【0068】なお、ゴルフ靴底に埋設固定された保持体
による摩擦体の摩擦体側嵌合部の嵌合保持は、保持体1
0に雌ねじ穴を設け、摩擦体側嵌合部の外周部に雄ねじ
部を設けることによる螺合機構によっても実現し得るこ
とは云うまでもない。
【0069】
【発明の効果】本発明の履物用摩擦装置又は摩擦体の場
合、履物が使用される状態、すなわち履物底部に設けら
れた保持体に摩擦体が保持されて地面を踏む状態におい
て、摩擦部の裏側部に設けられた環状突条が履物底面部
および/または保持体表面部に設けられた環状溝部に嵌
合している。そのため、環状突条と環状溝部との嵌合構
造によって砂粒等の侵入物が摩擦体と保持体の間の内方
に侵入することが防がれる。
【0070】本発明の別の履物用摩擦装置又は摩擦体の
場合、履物が使用される状態、すなわち履物底部に設け
られた保持体に摩擦体が保持されて地面を踏む状態にお
いて、摩擦部の裏側部に二重に設けられた環状突条がそ
れぞれ履物底面部および/または保持体表面部に二重に
設けられた環状溝部に嵌合している。そのため、二重に
設けられた環状突条と環状溝部との嵌合構造によって砂
粒等の侵入物が摩擦体と保持体の間の内方に侵入するこ
とが防がれることは勿論、たとえ外周側の環状突条と環
状溝部の間に砂粒等の侵入物が侵入したとしても、その
侵入物により摩擦部のその部分が履物底面部および/ま
たは保持体表面部に対しめくれ上がるので、摩擦部のう
ちその内周側の部分は却って履物底面部および/または
保持体表面部に押しつけられ、内周側の環状突条と環状
溝部との嵌合がより強固なものとなって侵入物が内周側
の環状突条と環状溝部よりも内方へ侵入することが効果
的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】保持体に摩擦体を嵌合保持させる状態を示す断
面図である。
【図2】保持体に嵌合した摩擦体の挿入部に嵌合解除具
の挿入体を挿入する状態を示す断面図である。
【図3】摩擦体の平面図である。
【図4】摩擦体の正面図である。
【図5】摩擦体の斜視図である。
【図6】摩擦体の底面側とゴルフ靴のかかと部に固定さ
れた保持体を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 保持体 10a 保持体側嵌合部 10b 外方張出部 10c 略平板状部 10d 円錐台形状内周面部 10e 突部 10f 環状壁部 12 嵌合体 12a 摩擦体側嵌合部 12b 支持片 12b1 上半部外周面 12c 抜け止め片 12c1 凹部 12c2 下端外側面 12s 側方張出部 14 摩擦部 14a 基盤部 14b 環状部分 16 摩擦体 22 径方向突部 22a 突起方向面 22b 緩衝溝 24 中間高突部 24a 緩衝凹部 28 挿入部 30 閉塞部 30a 切込部 31 嵌合解除具 32 挿入体 R1 内周側環状突条 R2 外周側環状突条 S ゴルフ靴底 S1 内周側環状溝 S2 外周側環状溝 S3 環状部分

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】履物底部に保持された状態において使用さ
    れることにより履物底部が踏む対象に接してその対象と
    の間に摩擦力を発生させる摩擦部と、履物底部に設けら
    れた保持体に嵌合して着脱可能に保持される嵌合突部を
    有し、その嵌合突部は、履物底部に保持された状態にお
    いて前記摩擦部のうち履物底面部又は保持体表面部に相
    対する裏側部の側に設けられており、摩擦部の前記裏側
    部のうち前記嵌合突部よりも外周側の部分に、環状突条
    を有する摩擦体と、前記環状突条に対応して履物底面部
    および/または保持体表面部に設けられた環状溝部を有
    してなり、嵌合突部が保持体に嵌合保持されて履物用摩
    擦体が履物底部に保持された状態において、前記環状突
    条が前記環状溝部に嵌合することを特徴とする履物用摩
    擦装置。
  2. 【請求項2】環状突条が摩擦部の外周縁部に設けられた
    請求項1記載の履物用摩擦装置。
  3. 【請求項3】履物底部に保持された状態において使用さ
    れることにより履物底部が踏む対象に接してその対象と
    の間に摩擦力を発生させる摩擦部と、履物底部に設けら
    れた保持体に嵌合して着脱可能に保持される嵌合突部を
    有し、その嵌合突部は、履物底部に保持された状態にお
    いて前記摩擦部のうち履物底面部又は保持体表面部に相
    対する裏側部の側に設けられており、摩擦部の前記裏側
    部のうち前記嵌合突部よりも外周側の部分に、間隔をお
    いて二重に環状突条を有する摩擦体と、前記環状突条に
    対応してそれぞれ履物底面部および/または保持体表面
    部に二重に設けられた環状溝部を有してなり、嵌合突部
    が保持体に嵌合保持されて履物用摩擦体が履物底部に保
    持された状態において、前記各環状突条が前記各環状溝
    部に嵌合することを特徴とする履物用摩擦装置。
  4. 【請求項4】外周側の環状突条が摩擦部の外周縁部に設
    けられた請求項3記載の履物用摩擦装置。
  5. 【請求項5】嵌合突部が保持体に嵌合保持されて履物用
    摩擦体が履物底部に保持された状態において、各環状突
    条が各環状溝部に嵌合すると共に、摩擦部の裏側部にお
    ける両環状突条間の環状部分と履物底面部および/また
    は保持体表面部における両環状溝部間の環状部分が当接
    する請求項3又は4記載の履物用摩擦装置。
  6. 【請求項6】摩擦部が、基盤部と、使用時にその基盤部
    から対象に向く方向である高さ方向に突起する複数の突
    起部を有してなるものである請求項1乃至5の何れかに
    記載の履物用摩擦装置。
  7. 【請求項7】履物底部に保持された状態において使用さ
    れることにより履物底部が踏む対象に接してその対象と
    の間に摩擦力を発生させる摩擦部と、履物底部に設けら
    れた保持体に嵌合して着脱可能に保持される嵌合突部を
    有し、その嵌合突部は、履物底部に保持された状態にお
    いて前記摩擦部のうち履物底面部又は保持体表面部に相
    対する裏側部の側に設けられており、摩擦部の前記裏側
    部のうち前記嵌合突部よりも外周側の部分に環状突条を
    有することを特徴とする摩擦体。
  8. 【請求項8】履物底部に保持された状態において使用さ
    れることにより履物底部が踏む対象に接してその対象と
    の間に摩擦力を発生させる摩擦部と、履物底部に設けら
    れた保持体に嵌合して着脱可能に保持される嵌合突部を
    有し、その嵌合突部は、履物底部に保持された状態にお
    いて前記摩擦部のうち履物底面部又は保持体表面部に相
    対する裏側部の側に設けられており、摩擦部の前記裏側
    部のうち前記嵌合突部よりも外周側の部分に、間隔をお
    いて二重に環状突条を有することを特徴とする摩擦体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1285595A1 (en) * 2001-08-20 2003-02-26 Yasuhiro Ijiri Friction device for footwear

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1285595A1 (en) * 2001-08-20 2003-02-26 Yasuhiro Ijiri Friction device for footwear

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