JP2002119280A - モノクローナル抗体、ハイブリドーマ、免疫学的測定法及び診断キット - Google Patents
モノクローナル抗体、ハイブリドーマ、免疫学的測定法及び診断キットInfo
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Abstract
せずに、安価にヘリコバクター・ピロリの感染が診断で
き、また、単一の抗体を用いることにより、交差反応性
がなく特異性に優れ、ロット毎の変動がなく品質管理が
容易であり、更に、単一のモノクローナル抗体を用いた
場合でも優れた感度を有する診断方法を提供する。 【解決手段】 ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを
抗原とするモノクローナル抗体。
Description
ピロリのカタラーゼを抗原とするモノクローナル抗体、
そのモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ、免
疫学的測定法及び診断キットに関する。
bacter pylori)はヒトの胃粘膜に見られ
る細菌である。ヘリコバクター・ピロリへの感染率は、
社会経済状態と密接に関連しており、発展途上国ほど感
染率が高く、先進国ほど感染率が低くなる傾向がある。
しかしながら、日本人の感染率は先進国の中でも際立っ
て高く、40歳以上では80%の人が感染しているとも
言われている。近年、ヘリコバクター・ピロリが胃潰
瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎、更には胃癌等のさまざま
な胃、十二指腸疾患の原因となりうることが明らかにさ
れてきた。
より、これらの疾患に罹患する可能性を低減できること
が明らかになったために、ヘリコバクター・ピロリの除
菌対象疾患について国際的な議論がなされ、現在では胃
潰瘍、十二指腸潰瘍、胃悪性リンパ腫、早期胃癌切除後
胃等が除菌の適応対象疾患として認知されている。
十二指腸疾患の新しい治療法として認知されるのに伴
い、我が国でも日本消化器病学会により治験ガイドライ
ンが作成され、ヘリコバクター・ピロリ感染の存在診断
と除菌判定法が示された(日本消化器病学会雑誌、96
巻、199−207、1999年)。上記治験ガイドラ
インでは、存在診断は侵襲的検査法である胃部生検組織
の培養、鏡検、ウレアーゼ試験にて行い、除菌判定は胃
部生検組織の培養と鏡検及び非侵襲的検査法である尿素
呼気試験を必須とすることが示されている。また、被験
者が小児である等の特殊な場合、血中抗ヘリコバクター
・ピロリ抗体検査と存在診断とを併用して判定を行うこ
とが示されている。
感染の検査法には以下の問題点がある。侵襲的検査法
は、胃内視鏡の挿入及び生検等により被験者が多大な苦
痛を強いられることとなる。非侵襲的検査法では、被験
者の苦痛は大幅に改善されるが、尿素呼気試験では、検
査前の絶食が必要である。また、尿素呼気試験は、マス
スペクトルや赤外分光高度計等の装置が必要であり、特
定の施設でしか実施できず、コストも高くなるという欠
点がある。抗体検査は、除菌後も血中抗体価が長期にわ
たり高値であるので、除菌判定には適さない。従ってこ
れらの検査に代わる、非侵襲的で且つヘリコバクター・
ピロリ感染を直接、特異的に精度良く検出できる検査方
法が望まれている。
化管排泄物、特に糞便からの感染菌の選択培地を用いた
分離培養が行われてきた。しかし、ヘリコバクター・ピ
ロリに関しては数多くの試みにも拘らず、糞便から分離
培養された報告はほとんどない。その理由として、ヘリ
コバクター・ピロリはin vitroで、低温、栄養
欠乏、酸素欠乏等のように環境条件が悪化すると、通常
のらせん状体から培養不能な球状体へ形態変化すること
から、下部消化管においても分離培養不能な球状体に変
化していることが考えられる。
による糞便からのヘリコバクター・ピロリの直接検出に
関して、ヘリコバクター・ピロリに対するポリクローナ
ル抗体を用いたイムノアッセイにより糞便等の排泄物検
体中のヘリコバクター・ピロリを検出する方法が報告さ
れている(J.Clin.Microbiol.、33
巻、2162−2165、1995年、特開平10−1
0128号公報(特許第3043999号))。
差反応性があり、特異性が劣るうえ、抗血清のロット毎
に抗体価や特異性が変動する欠点があるので、ポリクロ
ーナル抗体を用いた診断薬の製造は、本質的に品質管理
が難しいという問題点がある。現実に、特許第3043
999号の特許権者であるメリディアン社により製造さ
れたポリクローナル抗体を用いた糞便中ヘリコバクター
・ピロリ抗原検出キット「HpSA」に関しては、偽陰
性の出現や特異性の低さが問題となっている(Medi
cal Tribune、4−5、1999年6月3日
号;Am.J.Gastroenterol.、94
巻、1830−1833、1999年)。
公報には、ヘリコバクター・ピロリは菌株の変異を起こ
すので、単一の抗原のみとしか反応できないモノクロー
ナル抗体は、ヘリコバクター・ピロリの検出には不適で
あり、逆に、多様な抗原やエピトープに対応し得る点
で、ポリクローナル抗体の方がヘリコバクター・ピロリ
の検出には適していると記載されている。
鑑み、被験者に苦痛を与えず、特別の装置を必要とせず
に、安価にヘリコバクター・ピロリの感染が診断でき、
また、単一の抗体を用いることにより、交差反応性がな
く特異性に優れ、ロット毎の変動がなく品質管理が容易
であり、更に、単一のモノクローナル抗体を用いた場合
でも優れた感度を有する診断方法を提供することを目的
とするものである。
ー・ピロリのカタラーゼを抗原とするモノクローナル抗
体である。本発明は、また、ヘリコバクター・ピロリの
カタラーゼを抗原とするモノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマである。本発明のモノクローナル抗体の
少なくとも1種を用いて行う免疫学的測定法もまた、本
発明の1つである。本発明のモノクローナル抗体の少な
くとも1種を含む診断キットもまた、本発明の1つであ
る。なお、本明細書において、カタラーゼとは、SDS
等の変性剤で変性・乖離され、立体構造がほどかれたサ
ブユニットに相当するタンパク質を含まないものであ
る。以下に本発明を詳述する。
クター・ピロリのカタラーゼを抗原とするものである。
本発明のモノクローナル抗体は、本発明のハイブリドー
マにより産生することができ、例えば、本発明のハイブ
リドーマを培養し、その培養液から得ることができる。
しかしながら、本発明のモノクローナル抗体の製造方法
としては特に限定されず、例えば、遺伝子工学的に得ら
れたものであっても、ヘリコバクター・ピロリのカタラ
ーゼと特異的に結合することができる限り本発明の範囲
に含まれるものである。
ー・ピロリのカタラーゼを抗原とするモノクローナル抗
体を産生するものであって、ヘリコバクター・ピロリで
免疫した動物の脾細胞又はリンパ節細胞と、骨髄腫細胞
とを融合して得られるものである。
合法により作製することができる。即ち、ヘリコバクタ
ー・ピロリを免疫原としてヒト以外の動物を免疫し、そ
の脾細胞又はリンパ節細胞と骨髄腫細胞とを融合させて
ハイブリドーマを作製し、その中からヘリコバクター・
ピロリを認識するモノクローナル抗体を産生するハイブ
リドーマを選択することにより本発明のハイブリドーマ
を得ることができる。
ロリのカタラーゼを含有するものであれば特に限定され
ず、例えば、ヘリコバクター・ピロリの菌株を適当な培
地で培養して得られる培養物、らせん状体の菌体、球状
体の菌体、これらの菌体の破砕物、溶解物、抽出物、こ
れらを分画したもの等を挙げることができる。上記菌体
は、死菌体であっても、生菌体であってもよい。
例えば、失活したもの、一部の立体構造が壊れているも
の、一部が欠損したもの等であってもよいが、4個のサ
ブユニットを有するものが好ましく、Nativeなも
のがより好ましい。なお、本明細書において、Nati
veな酵素とは、ほぼ生理的な条件でとっている固有の
構造を保持しているものを指し、全てのサブユニットを
有し、かつ、活性を有しているものをいう。
砕物が好ましい。ヘリコバクター・ピロリはin vi
troでは低温、栄養欠乏、酸素欠乏等のように環境条
件が悪化すると、通常のらせん状体から培養不能な球状
体へ形態変化するので、消化管排泄物中においても分離
培養不能な球状体に変化していると考えられる。また、
ヘリコバクター・ピロリの菌体は下部消化管では破砕さ
れた状態であると考えられる。
ピロリの菌株種としては特に限定されず、例えば、標準
菌株であるATCC43504株、NCTC11638
等を挙げることができ、更に感染者から採取した他の株
であってもよい。上記免疫原として用いるヘリコバクタ
ー・ピロリの遺伝子型も特に限定されず、例えば、va
cAやcagAを有していても有していなくてもよく、
更に、vacAがS1a、S1b、S2のいずれの配列
を有していてもよく、m1、m2のどちらの配列を有し
ていてもよい。
用いる被免疫動物としては特に限定されず、例えば、ヤ
ギ、ヒツジ、モルモット、マウス、ラット、ウサギ等を
挙げることができるが、なかでもマウスが好ましい。
公知の方法を用いることができ、例えば、マウスを免疫
する場合、1回に1〜100μg、好ましくは50〜1
00μgの免疫用抗原を等容量(0.1mL)の生理食
塩水及びフロイントの完全アジュバント又はRIBIア
ジュバントシステムで乳化して、上記被免疫動物の背
部、腹部の皮下又は腹腔内に2〜3週毎に3〜6回接種
する方法等を挙げることができる。
後、抗体価の高い個体を選び、最終免疫3〜5日後に脾
臓又はリンパ節を摘出し、公知の細胞融合法に従って、
融合促進剤の存在下で、これらの組織に含まれる抗体産
生細胞を骨髄腫細胞と融合させることができる。
例えば、ポリエチレングリコール(以下、PEGとい
う)や、センダイウイルス等を挙げることができるが、
好ましくはPEGが用いられる。
例えば、P3U1、NS−1、P3x63.Ag8.6
53等のマウス由来の細胞;AG1、AG2等のラット
由来の細胞等を挙げることができる。
例えば、脾細胞と骨髄腫細胞とを1:1〜10:1の比
率で混合し、これに分子量1,000〜6,000のP
EGを10〜80%の濃度で添加し、20〜37℃、好
ましくは30〜37℃で3〜10分間インキュベートす
る方法等を挙げることができる。
を認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マの選択は、例えば、ハイブリドーマのみが生育できる
HAT培地等の選択培地で培養し、ハイブリドーマ培養
上清中の抗体活性を固相酵素免疫測定法(ELISA)
等の方法を用いて測定することにより行うことができ
る。更に、本発明において、ヘリコバクター・ピロリを
認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
の樹立は、例えば、ヘリコバクター・ピロリを認識する
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマに対し、
限界希釈等の方法によりクローニングを繰り返すことに
より行うことができる。
ば、21G2(受託番号FERM BP−7336)、
41A5(受託番号FERM BP−7337)、及
び、82B9(受託番号FERM BP−7338)を
挙げることができる。これらのハイブリドーマは、平成
11年10月14日に通商産業省工業技術院生命工学工
業技術研究所(日本国茨城県つくば市東1丁目1番3
号)に寄託(原寄託)されたものであり、平成12年1
0月23日に原寄託である微工研菌寄第P−17604
(21G2)、P−17605(41A5)、及び、P
−17606(82B9)より、それぞれ移管されたも
のである。
する方法としては特に限定されず、例えば、あらかじめ
プリスタンを投与したマウスの腹腔にハイブリドーマを
移植して、回収した腹水から得る方法等を挙げることが
できる。腹水中の本発明のモノクローナル抗体は、プロ
テインAやプロテインGカラム等を使用する公知の方法
等により精製することができる。
ゼを抗原とするものである。上記カタラーゼとしてはエ
ピトープが保持されているものであれば特に限定され
ず、例えば、失活したもの、一部の立体構造が壊れてい
るもの、一部が欠損したもの等であってもよいが、4個
のサブユニットを有するものが好ましく、Native
なものがより好ましい。なお、上記カタラーゼは、変異
等を有するものも含むものである。
・ピロリの菌株種としては特に限定されない。また、上
記カタラーゼを産生するヘリコバクター・ピロリの遺伝
子型としても特に限定されず、例えば、vacAやca
gAを有していても有していなくてもよく、更に、va
cAがS1a、S1b、S2のいずれの配列を有してい
てもよく、m1、m2のどちらの配列を有していてもよ
い。
・ピロリの形態としては特に限定されず、例えば、らせ
ん状体のヘリコバクター・ピロリ、球状体のヘリコバク
ター・ピロリを挙げることができる。
ブクラスとしては特に限定されず、IgG1、Ig
G2、IgG3、IgG4、IgM、IgE、Ig
A1、IgA2、IgDのいずれであってもよく、ま
た、L鎖も特に限定されず、λ鎖であっても、κ鎖であ
ってもよい。
はヘリコバクター・ピロリのカタラーゼと特異的に結合
することができるものであれば特に限定されず、例え
ば、本発明のモノクローナル抗体の分解物であるF(a
b′)2、Fab′、Fabや、キメラ抗体であっても
よい。
P−7336)、41A5(受託番号FERM BP−
7337)、及び、82B9(受託番号FERM BP
−7338)のハイブリドーマが産生するモノクローナ
ル抗体(以下、それぞれモノクローナル抗体21G2、
モノクローナル抗体41A5、モノクローナル抗体82
B9ともいう)は、ヘリコバクター・ピロリのNati
veなカタラーゼを認識するものである。
2、モノクローナル抗体41A5、及び、モノクローナ
ル抗体82B9をそれぞれ用いてヘリコバクター・ピロ
リの菌体破砕物に対して抗体固定アフィニティークロマ
トグラフィーを行ったところ、ヘリコバクター・ピロリ
の菌体破砕物に含まれていた270kDaの分子量を有
するタンパク質が検出された。このタンパク質に対して
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行ったとこ
ろ59kDaの分子量を有する単一のバンドが検出され
た。また、このタンパク質のN末端のアミノ酸配列を調
べたところヘリコバクター・ピロリのカタラーゼのアミ
ノ酸配列と一致した。ヘリコバクター・ピロリのカタラ
ーゼは200kDaの分子量を有し、50kDaの分子
量を有するサブユニットが4個集合した4量体の構造を
有することが知られている(J.Gen.Microb
iol.(1991),137,57−61)。
抗体21G2、モノクローナル抗体41A5、及び、モ
ノクローナル抗体82B9が検出したタンパク質は4個
のサブユニットを有するヘリコバクター・ピロリのカタ
ラーゼであると同定され、上記の各モノクローナル抗体
は、4個のサブユニットを有するカタラーゼを認識する
ものであることが明らかとなった。
フィーで検出されたカタラーゼの活性を測定したとこ
ろ、活性を有しており、このカタラーゼがいわゆるNa
tiveな酵素であったことも判明した。なお、モノク
ローナル抗体21G2、モノクローナル抗体41A5、
及び、モノクローナル抗体82B9はいずれも、解離し
たカタラーゼのサブユニットとは反応しなかった。
パク質のうちカタラーゼの占める割合は、J.Gen.
Microbiol.(1991),137,57−6
1に記載されたカタラーゼの精製過程における比活性の
上昇度から概算して、重量換算でたかだか0.5%であ
る。この点に鑑みると、モノクローナル抗体21G2、
モノクローナル抗体41A5、及び、モノクローナル抗
体82B9が、4個のサブユニットを有するカタラーゼ
を認識するものであったということは驚くべきことであ
り、到底予見しえない事項であった。
保存されており、ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼ
も他の細菌のカタラーゼと相同性が高いことが知られて
いる(J.Bacteriol.(1996),178
(23),6960−6967)。しかしながら、モノ
クローナル抗体21G2、モノクローナル抗体41A
5、及び、モノクローナル抗体82B9は、実施例3に
示したとおり、ヘリコバクター・ピロリ以外の細菌のカ
タラーゼとは全く反応しなかった。
変異株が存在することが知られているが(Molecu
lar Microbiology(1996),2
0,833−842)、驚くべきことに、モノクローナ
ル抗体21G2、モノクローナル抗体41A5、及び、
モノクローナル抗体82B9は、実施例3に示したとお
り、いずれのヘリコバクター・ピロリに対しても良好に
反応した。
ター・ピロリの多様な変異株に対して良好に反応するこ
とに鑑みると、本発明のモノクローナル抗体が認識する
エピトープは変異株同士のカタラーゼの間で極めてよく
保存されている部位であると思われる。
ーナル抗体は、糞便を検体として、極めて高い精度でヘ
リコバクター・ピロリへの感染の有無を判定することが
できるものである。
ナル抗体41A5、及び、モノクローナル抗体82B9
を用いて、糞便を検体として免疫学的測定を行ったとこ
ろ、上記の各モノクローナル抗体はヘリコバクター・ピ
ロリに感染している被験者の糞便のみと反応した。これ
により、ヘリコバクター・ピロリに感染している被験者
の糞便中には、4個のサブユニットを有するヘリコバク
ター・ピロリのカタラーゼが存在していることが明らか
になった。糞便中に存在するヘリコバクター・ピロリの
カタラーゼがサブユニットごとに解離したものではな
く、4個のサブユニットを保有するものであるというこ
とは今まで全く知られておらず、このことは、通常タン
パク質は消化管中でタンパク質分解酵素により分解され
てしまうことに鑑みても全く驚くべきことである。
糞便を試料として、モノクローナル抗体21G2を固定
したカラムを作製し、アフィニティークロマトグラフィ
ーを行い、その溶出画分について、ELISAとカタラ
ーゼ活性測定を行ったところ、カタラーゼ活性と抗原性
とは一致した。
の感染者の糞便中には4個のサブユニットを有し、カタ
ラーゼ活性も有するNativeなカタラーゼが含まれ
ることがわかった。ヘリコバクター・ピロリのカタラー
ゼが消化管内で消化されずに、活性を有するNativ
eな酵素として排出され、糞便中に存在していたという
ことは全く予想できないことであった。
ect.Immun.(1997),65,4668−
4674にはヘリコバクター・ピロリのカタラーゼをS
DS−PAGEにより変性・乖離させて得られた、ほど
けたサブユニットに相当するタンパク質と反応するモノ
クローナル抗体が開示されている。しかしながら、これ
らのモノクローナル抗体が、Nativeな、立体構造
を保持し活性を有するカタラーゼと反応するか否か、ま
た、糞便等の排泄物検体中のヘリコバクター・ピロリを
検出することができるか否かは不明である。
体は、採取が容易である糞便等の消化管排泄物中を検体
として用いてヘリコバクター・ピロリへの感染の有無を
認識することができるものである。
は特に限定されるものではないが、免疫学的測定法にお
いて、ヘリコバクター・ピロリへの感染の判定に用いる
ことができる。
クローナル抗体のうちの少なくとも1種を用いて行うも
のであり、1種のみを用いても実施することができるも
のである。
は、特異性が低く、バックグラウンドが高いポリクロー
ナル抗体よりも、特異性が高く、バックグラウンドが低
いことから、感度に優れるモノクローナル抗体の方が好
ましいとされている。
は多様な変異株が存在することが知られており、このた
め、単一のモノクローナル抗体を用いては感染や存在を
検出することが極めて困難であると考えられていた。特
開平10−10128号公報に記載のように、多様な抗
原を有する細菌への感染や、その細菌の存在を検出する
ためには、多様な抗原に対応しうるポリクローナル抗体
の方が適しているという見解もあり、また、複数のモノ
クローナル抗体を併用してヘリコバクター・ピロリを検
出する方法は開示されている(WO00/26671)
が、単一のモノクローナル抗体を用いてヘリコバクター
・ピロリを検出する方法は今まで開発されてはいなかっ
た。
モノクローナル抗体は、1種の抗体のみを用いることに
より極めて優れた精度でヘリコバクター・ピロリを検出
することができるものであった。
いるモノクローナル抗体は、ウレアーゼ、熱ショックタ
ンパク質、アルカリヒドロペルオキシダーゼ−レダクタ
ーゼ、20kDaのタンパク質(3−デヒドロキナーゼ
2型)、16.9kDaタンパク質(好中球活性化タン
パク質)、及び、33.8kDaタンパク質(フルクト
ース−ビスホスファターゼ−アルドラーゼ)を抗原とす
るものであり、カタラーゼに関しては全く触れられてい
ない。また、WO00/26671に記載されている測
定方法の検出感度は充分なものではなかった。
ば、酵素免疫測定法(EIA)、固相酵素免疫測定法
(ELISA)、放射線免疫測定法(RIA)、蛍光免
疫測定法(FIA)、ウエスタンブロット法、イムノク
ロマトグラフィー法等を挙げることができる。上記の各
種免疫学的測定法は、競合法やサンドイッチ法等によ
り、標識剤で標識された抗原又は抗体を用い、目的とす
る抗原又は抗体を測定することができるものである。上
記の各種免疫学的測定法のなかでも、ELISA法及び
イムノクロマトグラフィー法が好ましい。
クター・ピロリのカタラーゼと、既知の量の標識された
ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼとの、本発明のモ
ノクローナル抗体に対する結合の量的な競合反応による
ものである。上記で例示した競合法においては、ヘリコ
バクター・ピロリのカタラーゼを含む検体液に、担体上
に保持された一定量の抗体を加え、更に標識剤で標識し
た一定量のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを加え
る。その後、担体上に保持された標識剤又は担体上に保
持されなかった標識剤の活性を測定する。この際、抗体
と標識された抗原の添加はほぼ同時に行うことが好まし
い。
れた本発明のモノクローナル抗体と、標識剤で標識され
た本発明のモノクローナル抗体とで、検体中のヘリコバ
クター・ピロリのカタラーゼをサンドイッチするもので
あり、酵素等の標識剤に対する基質等を加え発色等させ
ることにより、検体中のヘリコバクター・ピロリのカタ
ラーゼを検出するものである。
同位元素(以下、RIと記す)、酵素、酵素基質、発光
物質、蛍光物質、ビオチン、着色物質等を挙げることが
できる。これら標識剤と抗原又は抗体との結合には、マ
レイミド法[J.Biochem.(1976),7
9,233]、活性化ビオチン法[J.Am.Che
m.Soc.(1978),100,3585]、疎水
結合法等が用いられる。
ーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダー
ゼ、グルコースオキシダーゼ等を挙げることができる。
この際用いる基質としては、選択した酵素に適したもの
を選べばよく、例えば、ABTS、ルミノール−H2O
2、o−フェニレンジアミン−H2O2(ペルオキシダ
ーゼ用)、p−ニトロフェニルホスフェート、メチルウ
ンベリフェリルホスフェート、3−(2'−スピロアダ
マンタン)−4−メトキシ−4−(3"−ホスホリルオ
キシ)フェニル−1,2−ジオキセタン(アルカリホス
ファターゼ用)、p−ニトロフェニル−β−D−ガラク
トース、メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトー
ス(β−ガラクトシダーゼ用)等を挙げることができ
る。
反応させ、生じた発色、蛍光量、発光量又は着色量を測
定することにより行うことができ、他にも、4〜40℃
の範囲で加温しながら行ういわゆるレート法を採用して
もよい。
れているボルトンハンター試薬により容易に行うことが
できる。例えば、0.1M炭酸水素ナトリウム水溶液に
溶かした抗原又は抗体溶液にボルトンハンター試薬を加
え1〜2時間後に、G−25の脱塩カラム等を用いて未
反応のボルトンハンター試薬を除去することにより実施
することができる。この他、クロラミンT法やヨードジ
ン法等を採用することにより容易に125Iによる放射
標識を行うことができる。
ノールやアクリジンエステル等を挙げることができ、上
記蛍光物質としては、例えば、フルオレセインやローダ
ミン等を挙げることができる。この際、標識の方法は活
性化エステル法やイソシアネート法を採用することによ
り容易に行うことができる(「酵素免疫測定法」医学書
院、1987年)。上記着色物質としては、例えば、着
色ラテックス粒子、金コロイド等を挙げることができ
る。
法を実施するには、例えば、未知量のヘリコバクター・
ピロリのカタラーゼを含有する検体を、公知の手段で物
理的又は化学的に本発明のモノクローナル抗体を結合さ
せた固相に加えて反応させる。また、同時に標識剤で標
識したヘリコバクター・ピロリのカタラーゼの一定量を
加えて反応させる。
ドイッチ法を実施するには、例えば、未知量のヘリコバ
クター・ピロリのカタラーゼを含有する検体を、公知の
手段で物理的又は化学的に本発明のモノクローナル抗体
を結合させた固相に加えて反応させる。その後標識剤で
標識した本発明のモノクローナル抗体を加えて反応させ
る。
場合には固相をよく洗浄した後で、固相上に結合してい
る標識剤の活性を測定する。上記標識剤がRIである場
合、ウェル・カウンター又は液体シンチレーション・カ
ウンターを用いて測定する。標識剤が酵素である場合、
基質を加えて放置し、比色法又は蛍光法により酵素活性
を測定する。標識剤が蛍光物質、発光物質、着色物質で
あっても、それぞれ公知の方法に従って測定する。
クローナル抗体を用いるものであるので、ヘリコバクタ
ー・ピロリのカタラーゼに特異的に存在するエピトープ
を認識することができ、他の物質を、交差反応を原因と
して誤って検出してしまうことがなく、特異性が極めて
高い測定を行うことができるという極めて優れた特色を
有する。
本発明の診断キットを用いることができる。本発明の診
断キットは、本発明のモノクローナル抗体の少なくとも
1種を含むものであり、1種のみのモノクローナル抗体
を含むものであってもよい。本発明の診断キットにおい
て用いられる本発明のモノクローナル抗体としては、ヘ
リコバクター・ピロリのカタラーゼを認識するものであ
れば特に限定されず、本発明のモノクローナル抗体の分
解物であるF(ab′)2、Fab′、Fab等であっ
てもよい。
ピロリの菌体又はヘリコバクター・ピロリのカタラーゼ
の存在を免疫学的に検出することができ、ヘリコバクタ
ー・ピロリへの感染を判定するものである。本発明の診
断キットでは、本発明のモノクローナル抗体はあらかじ
め固相化されていてもよく、また、本発明のモノクロー
ナル抗体はあらかじめ上記標識剤で標識されていてもよ
い。
しては特に限定されず、例えば、ポリスチレン等のポリ
マー、ガラスビーズ、磁性粒子、マイクロプレート、イ
ムノクロマトグラフィー用濾紙、グラスフィルター等の
不溶性担体を挙げることができる。
んでいてもよい。上記他の成分としては特に限定され
ず、例えば、標識に用いる酵素、その基質、放射性同位
元素、発光物質、蛍光物質、着色物質、緩衝液、プレー
ト等を挙げることができ、これらとしては上記に掲げた
ものを用いることができる。
定されないが、迅速かつ簡便に診断を行うためには本発
明の診断キットの構成成分が一体となった一体型の診断
キットであることが好ましい。上記一体型の診断キット
としては特に限定されず、例えば、カセット型、カート
リッジ型等を挙げることができる。
イムノクロマトグラフィー法を用い、反応カセット内に
メンブレンが収納されており、そのメンブレン上の一端
(下流側)には本発明のモノクローナル抗体が固相化さ
れており、メンブレン上の逆の一端(上流側)には、展
開液が装着されており、その近傍の下流側には、上記標
識剤の基質が添加されたパッドが配置されており、メン
ブレンの中間部には上記標識剤で標識された本発明のモ
ノクローナル抗体が添加されたパッドが配置されている
態様等を挙げることができる。
診断キットを使用する場合、上記標識剤で標識された本
発明のモノクローナル抗体が添加されたパッド上に検体
を添加し、検体に含まれるヘリコバクター・ピロリのカ
タラーゼと上記標識剤で標識された本発明のモノクロー
ナル抗体との結合体を形成させた後、上記展開液を展開
させると、形成された結合体は本発明のモノクローナル
抗体が固相化されている箇所まで移送され、そこでヘリ
コバクター・ピロリのカタラーゼと上記標識剤で標識さ
れた本発明のモノクローナル抗体と固相化された本発明
のモノクローナル抗体との複合体が形成される。次い
で、上記標識剤と上記基質が反応し、発色等する。この
発色等を感知することによって、ヘリコバクター・ピロ
リへの感染を判定することができる。
ンブレン上に滴下する態様を採用する場合は、あらかじ
めメンブレン上に展開液を装着しておかなくともよい。
また、上記標識剤として着色ラテックス粒子等の着色物
質を用いる場合は、基質は不要であり、本発明のモノク
ローナル抗体が固相化されている箇所で上記複合体が形
成されたか否かは、着色物質による着色により判断され
る。
ば、反応が上記競合法である場合には、複数のウェルを
有するカートリッジであり、(a)本発明のモノクロー
ナル抗体が収納されたウェル、(b)上記標識剤で標識
されたヘリコバクター・ピロリ等を含む液状試薬(例:
バッファー溶液)が収納されたウェル、(c)上記標識
剤の基質を含む液状試薬(例:バッファー溶液)が収納
されたウェル、が一体的に形成されてなるカートリッジ
等を挙げることができ、反応がサンドイッチ法である場
合には、複数のウェルを有するカートリッジであり、
(a)本発明のモノクローナル抗体が固相化された不溶
性担体が収納されたウェル、(b)上記標識剤で標識さ
れた本発明のモノクローナル抗体を含む液状試薬(例:
バッファー溶液)が収納されたウェル、(c)上記標識
剤の基質を含む液状試薬(例:バッファー溶液)が収納
されたウェル、が一体的に形成されてなるカートリッジ
等を挙げることができる。
診断キットを使用する場合は、通常、競合法やサンドイ
ッチ法を実施する際と同様に、反応及び測定を行うこと
ができる。本発明の診断キットは、上記競合法と上記サ
ンドイッチ法のいずれの方法を実施するものであっても
よいが、上記サンドイッチ法を実施するものであること
が好ましい。上記サンドイッチ法は、感度が高く、反応
時間が短くてすみ、精度に優れるという利点を有する。
上記サンドイッチ法としてイムノクロマトグラフィー法
を用いると、試験操作が簡便で、結果の判定も目視で容
易に行うことのできるキットを作製することができる。
また、ELISAとして上記サンドイッチ法を用いる
と、測定対象物質の量に依存して酵素反応生成物が生じ
るので、ヘリコバクター・ピロリへの感染が陽性である
場合の発色等を目視で確認できるような系の設定が容易
である。
特に限定されず、例えば、胃内容物、胃洗浄液、消化管
排泄物等を挙げることができるが、採取が容易で被験者
への負担が少ない点で糞便等の消化管排泄物が好まし
い。本発明の診断キットは、除菌治療前に感染の有無を
調べるために用いてもよく、除菌治療後にその成否の判
定を行うために用いてもよい。
体を用いるためロット毎の差がなく、検出感度が高く、
偽陰性や偽陽性の問題を生じない。本発明によれば、ヘ
リコバクター・ピロリのカタラーゼを抗原とするモノク
ローナル抗体を用いることによって、検体中の他の物質
による影響を排除できるので、極めて高感度かつ特異的
に、ヘリコバクター・ピロリの存在を検出することがで
きる。また、ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼに対
するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマが樹立され
たことにより、同一のモノクローナル抗体を半永久的に
製造することが可能となる。本発明のモノクローナル抗
体を用いた診断キットは、消化管排泄物を検体とするこ
とができるので、被験者に苦痛を与えることなく、簡便
かつ効率よくヘリコバクター・ピロリ感染を検出するこ
とができる。また、本発明のモノクローナル抗体を用い
た診断キットは、1種のみのモノクローナル抗体を用い
る場合であっても、極めて優れた精度を呈し、ロット毎
の差がなく、安定しているので、常に特異的かつ精度良
くヘリコバクター・ピロリ感染を検出することができ
る。また、上記診断キットは、測定が簡便であり、医療
現場で非常に有用である。
詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるも
のではない。
原)の調製 5%馬脱繊血を添加したブレインハートインヒュージョ
ン寒天培地(ディフコ社製)上にヘリコバクター・ピロ
リ(ATCC43504)を筋状に画線した。このプレ
ートを37℃微好気性環境下にて3〜4日培養後、更に
37℃嫌気性環境下にて7日間インキュベートし、球状
化させた。得られたコロニーを白金耳等でかきとり、リ
ン酸緩衝生理食塩液(PBS)に懸濁した。4℃にて、
10000×gで10分間遠心分離したヘリコバクター
・ピロリの菌体を0.5%ホルマリンに懸濁し、4℃に
て4日間放置して不活化した。その後、PBSに懸濁
し、4℃にて、10000×gで10分間遠心分離する
操作を3回繰り返し、上記菌体を洗浄した後、PBSに
懸濁した。
砕物(免疫原)の調製 (1)で得られた菌体懸濁液を、超音波破砕機(セイコ
ー電子工業社製、Model 7250)を用いて、o
utput 3、50% duty cycleの条件
にて10分間超音波処理して菌体を破砕した。
ピロリ球状菌体懸濁液又はヘリコバクター・ピロリ球状
菌体破砕物)とFreundのコンプリートアジュバン
ト(カルビオケム社製)を当量混合し、オイルエマルジ
ョンとした。これをBALB/cAマウス(日本クレア
社製、6週齢、雌)の背部皮下に0.2mLずつ投与し
た。初回免疫後7日目と14日目に追加免疫を行い、更
に細胞融合3日前に上記免疫原を0.2mLずつ腹腔内
に投与した。最終免疫から3日目のマウス脾細胞を摘出
し、骨髄腫細胞(P3x63.Ag8.653株、RC
B0146、理研ジーンバンク)と10:1の割合で混
合し、50%ポリエチレングリコール4000を用いて
融合した後、HAT培地(ギブコ社製)によりハイブリ
ドーマを選択培養した。
Aにより測定した。免疫原10μg/mLを固相化した
96穴ELISAプレート(コースター社製)の各穴に
融合細胞の培養上清液200μLを添加し、37℃で1
時間反応後、0.05%Tween20入りPBS(洗
浄液)で洗浄し、ぺルオキシダーゼ標識抗マウスIgG
(Cappel社製、1:20000)200μLを添
加した。37℃で1時間反応後、上記洗浄液で洗浄し
た。洗浄後、基質液(0.1M o−フェニレンジアミ
ンと0.012%過酸化水素水)を各穴に200μLず
つ添加し、室温で15分反応させた。反応後、各穴に
3.5N硫酸を50μLずつ添加し酵素反応を停止し、
492nmにおける吸光値を測定した。吸光値が0.1
5以上を示した、上記免疫原に反応する抗体を産生する
ハイブリドーマクローンを選択した。各クローンを限界
希釈法により2回クローニングを行った。クローニング
後のハイブリドーマをBALB/cAマウスに移植した
結果、腹水として回収できるモノクローナル抗体を産生
したハイブリドーマは32クローンであった。
コバクター・ピロリを特異的に認識するモノクローナル
抗体の選択] (1)モノクローナル抗体固相化プレートの作製 32クローンの腹水各1mLをPBSで2倍に希釈し、
飽和硫酸アンモニウム2mLを滴下して4℃で4時間放
置した。その後、3000rpm、20分間遠心分離
し、沈査をPBS2mLに浮遊し透析を行った。これら
のモノクローナル抗体を以下の方法により96穴ELI
SAプレートに固相化した。即ち、各モノクローナル抗
体を5μg/mLに希釈した後、96穴ELISAプレ
ートの各穴に0.2mL加え、4℃で一夜放置した後、
PBSで洗浄した。洗浄後、1%スキムミルク−PBS
を各穴に0.25mL加え、4℃で1時間放置してマス
キングを行った。マスキング後、上記洗浄液で洗浄し
た。
作製 (1)にて調製した32クローンのモノクローナル抗体
3mgとビオチニル−N−ヒドロキシサクシニミドエス
テル(ザイメッド社製)10mgを混合し、0.1M炭
酸水素ナトリウム(pH8)中、室温で、3時間攪拌し
ながら反応させた。反応液をPBS 5Lに対して4℃
で一夜透析し、ビオチン標識モノクローナル抗体を得
た。
ピロリを特異的に認識するモノクローナル抗体の選択 尿素呼気試験によりヘリコバクター・ピロリ陽性者及び
陰性者と判定された各1名の糞便検体250mgを0.
1%スキムミルク−PBS 0.5mLに懸濁後、30
00rpmで10分間遠心分離した上清を集め、糞便抽
出液とした。糞便抽出液0.2mLを(1)にて調製し
た各モノクローナル抗体固相化プレートの各穴に添加し
た。37℃で1時間放置後、上記洗浄液にて5回洗浄
し、(2)にて調製した各ビオチン標識モノクローナル
抗体0.2mLを添加した。37℃で1時間放置後、上
記洗浄液にて洗浄し、ぺルオキシダーゼ標識アビジン
0.2mL(ザイメッド社製)を添加した。37℃で1
時間放置後、上記洗浄液にて洗浄後、基質液(0.1M
o−フェニレンジアミンと0.012%過酸化水素
水)を各穴に0.2mLずつ添加し、室温で10分反応
させた。反応後、各穴に3.5N硫酸を50μLずつ添
加し酵素反応を停止し、492nmにおける吸光値を測
定した。結果を表1に示した。
抗体21G2、41A5、82B9を単独又は組合わせ
たサンドイッチELISAは、ヘリコバクター・ピロリ
感染者の糞便検体に対して高い反応性を示すことがわか
った。各モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
はそれぞれハイブリドーマ21G2(FERM BP−
7336)、ハイブリドーマ41A5(FERM BP
−7337)、及び、ハイブリドーマ82B9(FER
M BP−7338)として工業技術院生命工学工業技
術研究所に寄託されている。なお、各モノクローナル抗
体のイムノグロブリンサブクラスをイムノグロブリンタ
イピングキットマウス(和光純薬工業社製)により調べ
た結果、3クローン共IgG1で、L鎖はκ型であっ
た。
ン寒天培地上にヘリコバクター・ピロリ(ATCC43
504;東海大学病院臨床分離株No.130、及び、
No.112;兵庫医科大学臨床分離株No.526、
No.4484、No.5017、No.5025、N
o.5049、No.5142、No.5287、N
o.5308、No.5314、及び、No.533
0)を筋状に画線した。このプレートを37℃で3〜4
日間微好気性培養して得られたらせん状菌のコロニー、
又は、更に37℃で嫌気性環境下にて7日間放置して得
られた球状菌のコロニーを白金耳等でかきとり、PBS
に懸濁した。4℃にて、10000×gで10分間遠心
分離した菌体を0.5%ホルマリンに懸濁し、4℃にて
4日間放置して不活化した。その後、PBSに懸濁し、
4℃にて、10000×gで10分間遠心分離する操作
を3回繰り返し、菌体を洗浄した後、再度、PBSに懸
濁し、ヘリコバクター・ピロリらせん状菌体懸濁液及び
球状菌体懸濁液を得た。
・ジェジュニの菌体懸濁液の調製 ヒト糞便から分離される代表的な腸内菌バクテロイデス
・ブルガタス、エシェリヒア・コリの2菌種及びらせん
状菌であるキャンピロバクター・ジェジュニを以下の方
法で培養し、得られたコロニーから(1)と同様の方法
により各菌の菌体懸濁液を調製した。即ち、バクテロイ
デス・ブルガタス(IFO14291)は5%馬脱繊血
を添加したBL寒天培地(日水製薬社製)上で37℃で
2日間、嫌気培養した。エシェリヒア・コリ(ATCC
25922)はブレインハートインヒュージョン寒天培
地上で、37℃で1日間、好気培養した。キャンピロバ
クター・ジェジュニ(80068 東海大学病院臨床分
離株)は5%馬脱繊血を添加したブレインハートインヒ
ュージョン寒天培地上で37℃で2日間微好気培養し
た。
調製 ヘリコバクター・フェリス(ATCC49179)とヘ
リコバクター・ヘパティカス(ATCC51448)と
を5%馬脱繊血を添加したブレインハートインヒュージ
ョン寒天培地上で(1)と同様に培養して、得られたら
せん状菌のコロニーから(1)と同様にしてらせん状菌
体懸濁液を得た。
超音波破砕機(セイコー電子工業社製、Model 7
250)を用いて、output 3、50%duty
cycleの条件にて10分間超音波処理して菌体を
破砕した。
g/mL)0.2mLをそれぞれ、実施例2(3)の方
法によりサンドイッチELISA(モノクローナル抗体
41A5固相化プレート:ビオチン標識モノクローナル
抗体82B9、モノクローナル抗体21G2固相化プレ
ート:ビオチン標識モノクローナル抗体41A5、モノ
クローナル抗体21G2固相化プレート:ビオチン標識
モノクローナル抗体82B9、モノクローナル抗体21
G2固相化プレート:ビオチン標識モノクローナル抗体
21G2、及び、メリディアン社製HpSA)を行っ
た。結果を表2に示した。
1G2、41A5、82B9は、ヘリコバクター・ピロ
リの各菌株のらせん状菌体、球状菌体に対して高い反応
性を示すことがわかった。一方、バクテロイデス・ブル
ガタス、エシェリヒア・コリ、キャンピロバクター・ジ
ェジュニ、ヘリコバクター・フェリス、及び、ヘリコバ
クター・ヘパティカスに対しては全く反応しなかった。
これに対して、メリディアン社製HpSAは、ヘリコバ
クター・フェリス、及び、ヘリコバクター・ヘパティカ
スに対して反応性を示した。
ター・ピロリの検出(1)]尿素呼気試験の結果、ヘリ
コバクター・ピロリ陽性、陰性であったそれぞれ3名よ
り提供された糞便検体250mgを0.1%スキムミル
ク−PBS 0.5mLに懸濁し、実施例2(3)と同
様の操作にて試験した。また、同じ糞便検体をメリディ
アン社製のHpSA ELISAを用いて操作方法に従
って試験し、450nmの吸光値を測定した。それぞれ
の吸光値及び尿素呼気試験結果を表3に示した。
(No.4、5、6)より提供された糞便検体は、陰性
検体(No.1、2、3)に比べて著しく高い吸光値を
示すことがわかった。
ター・ピロリの検出(2)] (1)モノクローナル抗体の調製 ハイブリドーマ21G2をBALB/cAマウスに移植
して回収した腹水5mlをPBSで2倍に希釈し、飽和
硫酸アンモニウム10mLを滴下して4℃、4時間放置
した。その後、3000rpm、20分間遠心分離し、
沈渣をPBS10mLに溶解した後、PBSに対して透
析を行った。
の作製 (1)で調製したモノクローナル抗体21G2溶液を以
下の方法により96穴ELISAプレートに固相化し
た。PBSにて抗体濃度5μg/mLに希釈した後、9
6穴ELISAプレートの各穴に0.2mL加え、4
℃、一夜放置した後、PBSで洗浄した。
ル抗体作製 マレイミド法(石川栄治著、生物化学実験法27、酵素
標識法、p.51、1991年、学会出版センター)を
用いてペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体を作製
した。(1)で調製したモノクローナル抗体5mgとS
−acetylmercaptosuccinic a
nhydride(アルドリッチ社製)0.6mgを混
合し、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)0.5mL
中、30℃で、30分間反応させた。反応液に0.1M
EDTA20μL、0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH
7.0)0.1mL、1Mヒドロキシルアミン(pH
7.0)0.1mLを加えて、30℃、5分間放置後、
10000rpm、5分間遠心分離して上清を得た。上
清をセントリコン30(amicon社製)で限外ろ過
して、試薬を除去した後、5mM EDTA−0.1M
リン酸緩衝液(pH6.5)1mLに置換し、チオール
基導入モノクローナル抗体を得た。
製)5mgとN−succinimidyl−4−(N
−maleimidomethyl)−cyclohe
xane−1−carboxylate−(ICN B
iomedicals社製)1mgを混合し、0.1M
リン酸緩衝液(pH7.0)0.5mL中、30℃で、
1時間反応させた。反応液を10000rpm、5分間
遠心分離して上清を得た。上清をセントリコン30で限
外ろ過して、試薬を除去した後、0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.0)1mLに置換し、マレイミド基導入ペル
オキシダーゼを得た。
とマレイミド基導入ペルオキシダーゼをモル比1:5で
混合し、室温で30分間反応させた。反応液をSeph
acryl−S300HRカラムのゲル濾過カラム(直
径26×長さ870mm、0.1Mリン酸緩衝液(pH
6.5))に負荷し、ペルオキシダーゼ標識モノクロー
ナル抗体を含む画分を集めた。
検体中ヘリコバクター・ピロリの検出 尿素呼気試験によりヘリコバクター・ピロリ陽性者及び
陰性者と判定された各10名の糞便検体250mgを
0.1%スキムミルク−PBS 0.5mLに懸濁後、
3000rpm、10分間遠心分離した上清を集め、糞
便抽出液とした。糞便抽出液50μL及び(3)で作製
したペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体50μL
を上記モノクローナル抗体固相化プレートの各穴に添加
した。25℃、1時間放置後、洗浄液(0.05%ツィ
ーン20−PBS)にて5回洗浄後、基質液(テトラメ
チルベンチジン+過酸化水素、BioFX社製)0.1
mLを各穴に添加し、室温で10分反応させた。反応
後、各穴に1N硫酸を50μLずつ添加し酵素反応を停
止し、吸光値(450nm−630nm)を測定した。
また、同じ糞便検体を、HpSAを用いて試験し、吸光
値(450nm−630nm)を測定した。結果を表4
に示した。
1G2を単独で用いたサンドイッチELISAは、ヘリ
コバクター・ピロリ感染者の糞便検体に対して高い反応
性を示し、尿素呼気試験による判定結果と完全に一致し
た。一方、HpSAでは2検体(検体番号16、19)
が不一致(偽陽性)であった。
ター・ピロリの検出] (1)抗体固相化支持体の作製 抗ヘリコバクター・ピロリモノクローナル抗体及び抗ウ
サギIgG抗体を線状に固相化した抗体固相化支持体を
作製するために、ニトロセルロースシート(ワットマン
社製)を5mm×20mmに裁断し、その下端より10
mmの位置にモノクローナル抗体21G2の溶液、15
mmの位置に抗ウサギIgGヤギポリクローナル抗体
(Cappel社製)の溶液をバイオジェットQ300
0(Biodot社製)を用いて塗布した。室温で2時
間乾燥後、1%スキムミルク(Difco社製)−0.
1%ツィーン20−PBSに10分浸漬しマスキングを
行った。その後、充分に乾燥した。
抗体 赤色ラテックス粒子分散液(PL−Latex、10
%、450nm、Polymer Laborator
ies社製)300μLにPBS1.2mLを加え、1
3000rpm、5分間遠心分離を行った。沈渣にモノ
クローナル抗体21G2溶液(5mg/mL)1mLを
加え、充分混和して、室温、1時間反応を行った。未反
応のモノクローナル抗体を除去するため、13000r
pm、5分間遠心分離を行い、沈渣をPBS1.5mL
に懸濁し、再度遠心分離を行った。1%スキムミルク1
mLを加え、室温、1時間反応させてマスキングを行っ
た。その後、13000rpm、5分間遠心分離を行
い、沈渣を1%スキムミルク−0.01%アジ化ナトリ
ウムを含むPBS1.5mLに懸濁した。
%、450nm、Polymer Laborator
ies社製)及びウサギIgG(0.5mg/mL、C
appel社製)を用いて上記と同様な操作で青色ラテ
ックス粒子標識ウサギIgGを調製した。
し、ベンリーゼ(商標登録)不織布(旭化成社製)5m
m×5mmに10μL含浸させ、通風乾燥した。
作製 抗体固相化支持体の下端から2.5mmの位置まで着色
ラテックス標識物を重ねた。更に、着色ラテックス標識
物上に被検液浸漬用担体(3MM Chr、ワットマン
社製)を下端から2.5mmの位置まで重ねた。また、
抗体固相化支持体の上端から2mmの位置まで吸水性担
体(3MM Chr、ワットマン社製)を重ね、最後に
透明なテープを上部に貼り固定してイムノクロマトグラ
フィー試験片とした。
の検出 実施例4に記載した6名(陽性、陰性各3名)の糞便を
用いて試験した。各糞便0.1gを採取し、0.1%B
SA−0.05%ツィーン20−PBS1mLに懸濁し
た。3000rpm、1分間遠心分離して夾雑物を除去
し、上清50μLを(3)で作製したイムノクロマトグ
ラフィー試験片の被検液浸漬用担体部に滴下した。10
分後に抗ヘリコバクター・ピロリモノクローナル抗体固
相化部位に現れる赤いラインの有無を判定した。その結
果、陰性検体では全例赤いラインは確認できず、陽性検
体では全例赤いラインが確認できた。なお、青ラインは
全検体で確認されたので、試験は成功であった。
リの検出] (1)ラテックス粒子標識抗ヘリコバクター・ピロリ抗
体の調製 白色ラテックス粒子分散液(PL−Latex、10
%、440nm、Polymer Laborator
ies社製)0.1mLにPBS0.4mLを加え、1
3000rpm、5分間遠心分離を行った。沈渣にPB
S0.5mL及びモノクローナル抗体21G2溶液(1
mg/mL)0.5mLを加え、充分混和して、室温、
一晩反応を行った。未反応のモノクローナル抗体を除去
するため、13000rpm、10分間遠心分離を行
い、沈渣をPBS1mLに懸濁し、再度遠心分離を行っ
た。1%スキムミルク1mLを加え、室温、1時間反応
させてマスキングを行った。その後、13000rp
m、5分間遠心分離を行い、沈渣を1%スキムミルク−
0.01%アジ化ナトリウム含有PBS1mLに懸濁し
た。
の検出 実施例4に記載した6名(陽性、陰性各3名)の糞便を
用いて試験した。各糞便0.1gを採取し、0.1%B
SA−0.05%ツィーン20含有PBS1mLに懸濁
した。3000rpm、1分間遠心分離して夾雑物を除
去し、上清を得た。この糞便懸濁液上清50μL及び
(1)で調製したラテックス粒子標識抗ヘリコバクター
・ピロリ抗体50μLをラテックス凝集盤上に滴下し、
スライドローター(栄研化学社製)を用いて混和した。
5分後に凝集の有無を目視判定した。その結果、陰性検
体では全例凝集は確認できず、陽性検体では全例凝集が
確認できた。
クター・ピロリ陽性者(表3のNo.4及びNo.5)
より提供された糞便検体20gを氷冷したPBS100
mLに懸濁した。10000×gで10分間遠心分離
し、残渣を取り除き、更に90000×gで30分間遠
心分離を行い、上清を得た。この上清1.5mLをSe
phacryl−S300HR(ファルマシア社製)を
充填したゲル濾過カラム(1.5×140cm、0.1
Mリン酸緩衝液、pH6.5)に適用し、1.5mLご
とに分画した。分子量マーカーには、チログロブリン、
フェリチン、カタラーゼ、牛血清アルブミン及びチトク
ロームcを使用した。実施例2(3)に記載したサンド
イッチELISA(モノクローナル抗体41A5固相化
プレート、ビオチン標識モノクローナル抗体82B9、
及び、モノクローナル抗体21G2固相化プレート、ビ
オチン標識モノクローナル抗体41A5)により各画分
の抗原を検出した。その結果、糞便中のヘリコバクター
・ピロリ特異的抗原の分子量は、270kDaであるこ
とがわかった。
ロマトグラフィーハンドブックに記載の方法により、モ
ノクローナル抗体82B9を、CNBr−活性化Sep
harose4B(アマシャムファルマシアバイオテク
社製)に固定化したカラムを作製した(10mL)。ヘ
リコバクター・ピロリ(ATCC43504)菌体を超
音波破砕後、超遠心分離により得た上清(タンパク質濃
度4mg/mL)5mLをこのカラムに負荷した。室温
にて2時間静置後、PBS 120mL(流速約2mL
/分)にてカラムを洗浄し、0.2M グリシンHCl
緩衝液(pH3.0)130mLにて溶出した。洗浄、
溶出とも10mLずつ分画し、280nmの吸光度及び
抗原性を測定した。抗原性の測定は、実施例2に記載の
サンドイッチELISA(固相化21G2、標識82B
9)により行った。その結果、図1に示した通り、溶出
画分(画分No.14〜17)のみに抗原性が確認され
た。
衝液(2%SDS−5%メルカプトエタノール)と混合
し、100℃、5分間煮沸した。この溶液20μLを用
いてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(4−2
0%アクリルアミドゲル)を行った。分子量マーカー
は、ホスホリラーゼb、牛血清アルブミン、卵白アルブ
ミン、炭酸脱水酵素、大豆トリプシンインヒビター、及
び、α−ラクトアルブミンを用いた。泳動後、シルバー
ステインKANTO III(関東化学社製)を用い
て、ゲルを染色した。その結果、精製抗原は単一バンド
を示し、その分子量は59kDaであった。また、溶出
画分(No.14)1mLを実施例6に記載したのと同
様の方法でSephacryl−S300HRのゲル濾
過を行った。得られた画分について、サンドイッチEL
ISAにより抗原性を調べた結果、本精製抗原の分子量
は、270kDaであり、糞便中抗原と同じであること
がわかった。
列の決定 溶出画分(No.14)300μLを用いてHP G1
005A Protein Sequencing S
ystem(日本ヒューレット・パッカード社製)によ
り精製抗原のアミノ末端側アミノ酸配列を決定した。ア
ミノ末端から8残基の配列は、Met−Val−Asn
−Lys−Asp−Val−Lys−Glnであった。
この配列は、ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼのア
ミノ末端からの配列(J.Bacteriol.(19
96),178,6960−6967)と完全に一致し
た。
可視吸収スペクトルの測定 精製抗原のアミノ末端側アミノ酸配列がカタラーゼと一
致したので、各画分のカタラーゼ活性を測定した。反応
液には、11mM過酸化水素を含むPBSを用いた。各
画分をPBSにて100倍希釈した後、その50μLを
反応液2mLに添加して反応を開始した。反応は室温に
て行った。経時的に240nmの吸光度を測定し、1分
間あたりの吸光度の減少を求めた。ブランクにはPBS
を用いた。その結果、図1に示した通り、抗原画分には
カタラーゼ活性が検出された。
め、溶出画分No.14の紫外可視吸収スペクトルを測
定した。その結果、407及び277nmに吸収極大を
認めた。この値はヘリコバクター・ピロリのカタラーゼ
の文献値(405及び280nm、J.Gen.Mic
robiol.(1991),137,57−61)と
ほぼ一致した。
に0.1%BSA含有PBSにて希釈した溶液を、25
℃で1週間保存した。保存後の精製抗原の抗原性を実施
例5に記載したサンドイッチELISA法により、ま
た、カタラーゼ活性を(4)に記載した方法によりそれ
ぞれ測定した。−80℃で凍結保存した精製抗原と比較
した結果、抗原性は25℃保存でほとんど変化しなかっ
た。しかし、カタラーゼ活性は著しく失活し、活性残存
率5%以下となった。
中抗原のサブユニットとの反応性]抗ヘリコバクター・
ピロリモノクローナル抗体と糞便中抗原のサブユニット
との反応性を測定するため、実施例8に記載のヘリコバ
クター・ピロリ陽性者の糞便懸濁液上清50μLを用い
て、実施例9(2)に記載したSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動を行った。対照として実施例9の精製
抗原(溶出画分No.14)50μLも同様に電気泳動
した。泳動後、ウェスタンブロッティング法によりニト
ロセルロース膜にタンパク質を転写した。ニトロセルロ
ース膜を1%スキムミルク液に1時間浸してマスキング
した後、モノクローナル抗体21G2又は82B9と1
時間反応させた。ニトロセルロース膜を0.05%ツィ
ーン20−PBSで5回洗浄後、ペルオキシダーゼ標識
抗マウスIgG抗体と反応させた。ニトロセルロース膜
を0.05%ツィーン20−PBSで5回洗浄後、基質
液(過酸化水素+3,3'−ジアミノベンチジン)を加
えて10分間インキュベートしたが、糞便抗原、精製抗
原を泳動したレーンともに、いずれのモノクローナル抗
体を用いても抗原性に由来する発色は認められなかっ
た。サブユニット分子に抗原性が認められなかった原因
を明らかにするため、サブユニットへの解離処理で抗原
性が変わるかどうかドットブロッティング法により調べ
た。1%SDSによる解離処理前後の検体をそれぞれニ
トロセルロース膜に5μL滴下し、風乾した。ニトロセ
ルロース膜に吸着したタンパク質の抗原性を上記と同様
の方法で調べた結果、糞便抗原、精製抗原ともに1%S
DSによる解離処理後は、抗原性が著しく低下すること
がわかった。従って、本発明のモノクローナル抗体はカ
タラーゼのサブユニット即ち一次構造上のエピトープを
認識するのではなく、よりNativeな高次構造をエ
ピトープとして認識していることが示唆された。
性者(表4の検体番号8)から提供された糞便165g
を4倍量のPBSに懸濁し、遠心分離(7000rp
m、30分)して得られた上清を更に超遠心分離(30
000rpm、30分)して上清を得た。上清680m
Lに40%飽和となるように硫安165gを加えて撹拌
後、生じた沈殿を遠心分離(7000rpm、30分)
により除去した。上清750mLに80%飽和となるよ
うに硫安214gを加えて撹拌し、生じた沈殿を遠心分
離(7000rpm、30分)により回収した。沈殿を
PBSに懸濁し、10Lの蒸留水に対して透析した。透
析内液82mLの内、2mLを用いて実施例6と同様の
方法でSephacryl−S300HRカラムによる
ゲル濾過を行った。得られた画分について、実施例5と
同様の方法でサンドイッチELISAにより抗原性を調
べた結果、本糞便中抗原の分子量は、270kDaであ
り、実施例8に記載した陽性者2名の糞便中抗原及び実
施例9に記載した精製抗原の分子量と同じであった。
H7.0)で100mLに希釈した後、同緩衝液で平衡
化した陽イオン交換樹脂CM−SephadexC−5
0(アマシャムファルマシアバイオテク社製)のカラム
(1×2.5cm)に負荷した。同緩衝液10mLで洗
浄後、PBS10mLで溶出した。通塔、洗浄、溶出の
各画分を0.1%スキムミルクを含むPBSにて320
倍希釈した後、実施例5に記載のサンドイッチELIS
Aにより抗原性を測定した。抗原性は溶出画分に認めら
れた。
ィニティークロマトグラフィーハンドブックに記載の方
法により、モノクローナル抗体21G2を、CNBr−
活性化Sepharose4B(アマシャムファルマシ
アバイオテク社製)に固定化したカラムを作成した(2
×3cm)。上記溶出画分6mLをモノクローナル抗体
固定化カラムに負荷し、室温にて2時間静置した。PB
S50mLで洗浄した後、0.2MグリシンHCl緩衝
液(pH3.0)で溶出し、10mLづつ分画した。各
画分を0.1%スキムミルクを含むPBSにて10倍希
釈した後、実施例5に記載のサンドイッチELISAに
より抗原性を測定した。また、実施例9に記載した方法
によりカタラーゼ活性を測定した。その結果、図2に示
した通り、矢印で示した溶出開始直後の溶出画分(画分
No.7〜8)に抗原性が認められ、カタラーゼ活性
も、抗原性と一致した。以上のことから本糞便中には4
個のサブユニットを有し、カタラーゼ活性も有するNa
tiveな抗原が含まれることがわかった。
リコバクター・ピロリのカタラーゼに特異的に存在する
エピトープを認識することができるモノクローナル抗体
を提供することができ、更に、本発明のモノクローナル
抗体を用いれば、ヘリコバクター・ピロリを極めて特異
的に認識することができる。また、ヘリコバクター・ピ
ロリのカタラーゼを認識するモノクローナル抗体産生ハ
イブリドーマの樹立に成功したので、同一のモノクロー
ナル抗体を半永久的に製造することができる。本発明の
モノクローナル抗体を用いた診断キットは、消化管排泄
物を検体とすることができ、被験者に苦痛を与えること
なく、簡便かつ効率よくヘリコバクター・ピロリ感染を
検出することができる。また、本発明のモノクローナル
抗体を用いた診断キットは、1種のみのモノクローナル
抗体を用いる場合であっても、極めて優れた精度を呈
し、ロット毎の差がなく、安定しており、常に特異的か
つ精度良くヘリコバクター・ピロリ感染を検出すること
ができる。
フィーの溶出パターンを示した図である。
ラフィーの溶出パターンを示した図である。
7)
より産生されることを特徴とするモノクローナル抗体。 ─────────────────────────────────────────────────────
Claims (16)
- 【請求項1】 ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを
抗原とすることを特徴とするモノクローナル抗体。 - 【請求項2】 ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを
抗原とするモノクローナル抗体を産生することを特徴と
するハイブリドーマ。 - 【請求項3】 ハイブリドーマは、21G2(FERM
BP−7336)、41A5(FERM BP−73
37)、又は、82B9(FERM BP−7338)
であることを特徴とする請求項2記載のハイブリドー
マ。 - 【請求項4】 請求項2又は3記載のハイブリドーマに
より産生されることを特徴とするモノクローナル抗体。 - 【請求項5】 請求項1又は4記載のモノクローナル抗
体の少なくとも1種を用いて行うことを特徴とする免疫
学的測定法。 - 【請求項6】 請求項1又は4記載のモノクローナル抗
体のいずれか1種を用いて行うことを特徴とする請求項
5記載の免疫学的測定法。 - 【請求項7】 ヘリコバクター・ピロリへの感染を判定
するために用いられることを特徴とする請求項5又は6
記載の免疫学的測定法。 - 【請求項8】 検体は、消化管排泄物であることを特徴
とする請求項5、6又は7記載の免疫学的測定法。 - 【請求項9】 ELISA法によることを特徴とする請
求項5、6、7又は8記載の免疫学的測定法。 - 【請求項10】 イムノクロマトグラフィー法によるこ
とを特徴とする請求項5、6、7又は8記載の免疫学的
測定法。 - 【請求項11】 請求項1又は4記載のモノクローナル
抗体の少なくとも1種を含むことを特徴とする診断キッ
ト。 - 【請求項12】 請求項1又は4記載のモノクローナル
抗体のいずれか1種を含むことを特徴とする請求項11
記載の診断キット。 - 【請求項13】 ヘリコバクター・ピロリへの感染を判
定するために用いられることを特徴とする請求項11又
は12記載の診断キット。 - 【請求項14】 検体は、消化管排泄物であることを特
徴とする請求項11、12又は13記載の診断キット。 - 【請求項15】 ELISA法によることを特徴とする
請求項11、12、13又は14記載の診断キット。 - 【請求項16】 イムノクロマトグラフィー法によるこ
とを特徴とする請求項11、12、13又は14記載の
診断キット。
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Applications Claiming Priority (7)
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JP11-308475 | 1999-10-29 | ||
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JP2000244414 | 2000-08-11 | ||
JP2000328766A JP3393855B2 (ja) | 1999-10-29 | 2000-10-27 | モノクローナル抗体、ハイブリドーマ、免疫学的測定法及び診断キット |
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