JP5095065B2 - ヘリコバクター・ピロリ感染の検査方法及び診断キット - Google Patents

ヘリコバクター・ピロリ感染の検査方法及び診断キット Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、糞便を検体とし、感度良くヘリコバクター・ピロリへの感染の有無を検査することができる検査方法及び診断キットに関する。
背景技術
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)はヒトの胃粘膜に見られる細菌である。ヘリコバクター・ピロリへの感染率は、社会経済状態と密接に関連しており、発展途上国ほど感染率が高く、先進国ほど感染率が低くなる傾向がある。しかしながら、日本人の感染率は先進国の中でも際立って高く、40歳以上では80%の人が感染しているとも言われている。近年、ヘリコバクター・ピロリが胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎、更には胃癌等のさまざまな胃、十二指腸疾患の原因となりうることが明らかにされてきた。
ヘリコバクター・ピロリを除菌することにより、これらの疾患に罹患する可能性を低減できることが明らかになったので、ヘリコバクター・ピロリの除菌対象疾患について国際的な議論がなされ、現在では胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃悪性リンパ腫、早期胃癌切除後胃等が除菌の適応対象疾患として認知されている。
ヘリコバクター・ピロリの除菌療法が胃、十二指腸疾患の新しい治療法として認知されるのに伴い、我が国でも日本消化器病学会により治験ガイドラインが作成され、ヘリコバクター・ピロリ感染の存在診断と除菌判定法が示された(日本消化器病学会雑誌、96巻、199−207、1999年)。上記治験ガイドラインでは、存在診断は侵襲的検査法である胃部生検組織の培養、鏡検、ウレアーゼ試験にて行い、除菌判定は胃部生検組織の培養と鏡検及び非侵襲的検査法である尿素呼気試験を必須とすることが示されている。また、被験者が小児である等の特殊な場合、血中抗ヘリコバクター・ピロリ抗体検査と存在診断とを併用して判定を行うことが示されている。
しかし、これらのヘリコバクター・ピロリ感染の検査法には以下の問題点がある。侵襲的検査法は、胃内視鏡の挿入及び生検等により被験者が多大な苦痛を強いられることとなる。非侵襲的検査法では、被験者の苦痛は大幅に改善されるが、尿素呼気試験では、検査前の絶食が必要である。また、尿素呼気試験は、マススペクトルや赤外分光高度計等の装置が必要であり、特定の施設でしか実施できず、コストも高くなる欠点がある。抗体検査は、除菌後も血中抗体価が長期にわたり高値であるので、除菌判定には適さない。従ってこれらの検査に代わる、非侵襲的で且つヘリコバクター・ピロリ感染を直接、特異的に精度良く検出できる検査方法が望まれている。
従来、消化管感染菌の直接検査法として消化管排泄物、特に糞便からの感染菌の選択培地を用いた分離培養が行われてきた。しかし、ヘリコバクター・ピロリに関しては数多くの試みにも拘らず、糞便から分離培養された報告はほとんどない。その理由として、ヘリコバクター・ピロリはin vitroで、低温、栄養欠乏、酸素欠乏等のように環境条件が悪化すると、通常のらせん状体から培養不能な球状体へ形態変化することから、下部消化管においても分離培養不能な球状体に変化していることが考えられる。
一方、抗原抗体反応に基づく免疫学的方法による糞便からのヘリコバクター・ピロリの直接検出に関して、ヘリコバクター・ピロリに対するポリクローナル抗体を用いたイムノアッセイにより糞便等の排泄物検体中のヘリコバクター・ピロリを検出する方法が報告されている(J.Clin.Microbiol.、33巻、2162−2165、1995年、特開平10−10128号公報)。
発明の要約
本発明は、上記現状に鑑み、被験者に苦痛を与えず、特別の装置を必要とせずに、安価に、優れた感度でヘリコバクター・ピロリへの感染を判定することができる検査方法及び診断キットを提供することを目的とするものである。
本発明は、消化管中及び/又は糞便中のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼ活性を測定することによりヘリコバクター・ピロリへの感染を判定する検査方法である。
本発明はまた、消化管中及び/又は糞便中のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼ活性を測定することによりヘリコバクター・ピロリへの感染を判定する診断キットである。
発明の詳細な開示
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことにヘリコバクター・ピロリ陽性者の糞便中にはヘリコバクター・ピロリのカタラーゼがNativeな状態で含まれていることを見出し、これがヘリコバクター・ピロリ感染の判断の指標になることに想到し、本発明の完成に至った。
ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼは200kDaの分子量を有し、50kDaの分子量を有するサブユニットが4個集合した4量体の構造を有することが知られている(J.Gen.Microbiol.(1991),137,57−61)。ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼは他のカタラーゼと異なり、塩基性であるという特徴を有する。
ヘリコバクター・ピロリの菌体中の総タンパク質のうちカタラーゼの占める割合は、J.Gen.Microbiol.(1991),137,57−61に記載されたカタラーゼの精製過程における比活性の上昇度から概算して、重量換算でたかだか0.5%である。
糞便中に存在するヘリコバクター・ピロリのカタラーゼがサブユニットごとに解離したものや消化されたものではなく、4個のサブユニットを保有するNativeなものであるということは今まで全く知られていない。通常タンパク質は消化管中でタンパク質分解酵素により分解されてしまうことに鑑みると、ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼが消化管内で消化されずに、活性を有するNativeな酵素として排出され、糞便中に存在していたということは全く予想できないことであった。
本発明者は、糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原陽性及び陰性の被験者の、カタラーゼ活性の有無の確認を試みた。その結果、全ての陽性者の糞便由来塩基性画分にカタラーゼ活性を検出することができた一方、陰性者の糞便由来塩基性画分には、カタラーゼ活性は検出されなかった。
この結果より、カタラーゼ活性を指標としてヘリコバクター・ピロリへの感染を判定できることが明らかとなった。
本発明の検査方法で検出するヘリコバクター・ピロリの菌株種としては特に限定されない。
また、本発明の検査方法で検出するヘリコバクター・ピロリの遺伝子型としても特に限定されず、例えば、vacAやcagAを有していても有していなくてもよく、更に、vacAがS1a、S1b、S2のいずれの配列を有していてもよく、m1、m2のどちらの配列を有していてもよい。
消化管及び糞便中にはヘリコバクター・ピロリのカタラーゼ以外の他のカタラーゼも存在する。このため、本発明の検査方法では、これらの影響を排除するために、検体中のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを夾雑カタラーゼから分離した後、カタラーゼ活性を測定することが好ましい。
夾雑カタラーゼからヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを分離する方法としては特に限定されず、例えば、ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼは他のカタラーゼと異なり塩基性であるということを利用して、イオン交換樹脂、イオン交換ろ紙等を用いるイオン交換分離法等の化学的方法;ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを抗原とするポリクローナル抗体やモノクローナル抗体を用いる免疫学的方法等を挙げることができる。
上記ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを抗原とするポリクローナル抗体としては特に限定されず、公知の方法により作成されたものを用いることができ、例えば、ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを抗原とし、感作された動物の血清、卵黄、乳等から得ることができる。
上記モノクローナル抗体としては、例えば、21G2(受託番号FERM P−17604)、41A5(受託番号FERM P−17605)、82B9(受託番号FERM P−17606)等のハイブリドーマから産生されるものを挙げることができる。
上記免疫学的方法に用いる抗体としては、ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを抗原とするモノクローナル抗体が好ましい。ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを抗原とするモノクローナル抗体を用いることにより、ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを精度良く捕捉することができる。
本発明において、カタラーゼ活性を測定する方法としては特に限定されず、例えば、以下の(1)〜(3)の方法等を挙げることができる。
(1)過酸化水素を基質として、生ずる酸素を検出する方法(以下、測定方法(1)ともいう)。
上記測定方法(1)としては、例えば、生ずる酸素の発泡を観察する方法、酸素の発色剤による呈色度合いを測定する方法、酸素電極により生ずる酸素の量を測定する方法等を挙げることができる。
(2)過酸化水素を基質として、過酸化水素の消費を検出する方法(以下、測定方法(2)ともいう)。
上記測定方法(2)としては、例えば、過マンガン酸カリウム滴定法、過酸化水素の消費を240nmの吸光度の変化により測定する分光光度法等を挙げることができる。
(3)カタラーゼのペルオキシダーゼ作用を利用する方法(以下、測定方法(3)ともいう)。
上記測定方法(3)としては、例えば、過酸化水素とテトラメチルベンチジン等の水素供与体である発色試薬とを基質として、生ずる呈色を検出する方法等を挙げることができる。
本発明の検査方法に供する検体としては特に限定されず、例えば、胃内容物、胃洗浄液、消化管排泄物等を挙げることができるが、採取が容易で被験者への負担が少ない点で糞便等の消化管排泄物が好ましい。
本発明の検査方法は、除菌治療前に感染の有無を調べるために用いてもよく、除菌治療後にその成否の判定を行うために用いられてもよい。
本発明の検査方法を実施するためには、本発明の診断キットを用いることができる。
本発明の診断キットの構成としては、消化管中及び/又は糞便中のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼ活性を測定することができれば特に限定されず、例えば、CM−セルロース等の前処理用のイオン交換樹脂、過酸化水素等のカタラーゼの基質、リン酸バッファー等の緩衝液から構成されるもの等を挙げることができる。
このような構成を有する診断キットによれば、まず、被験者から提供された糞便を緩衝液に懸濁し、これを前処理用イオン交換樹脂に負荷し、その溶出液に基質を添加し、酸素の発生の有無を確認することにより、ヘリコバクター・ピロリへの感染を判定することができる。
本発明によれば、極めて高感度かつ特異的に、ヘリコバクター・ピロリの存在を検出することができる。また、本発明は、消化管排泄物を検体とすることができるので、被験者に苦痛を与えることなく、簡便かつ効率よくヘリコバクター・ピロリ感染を判定することができる。更に、本発明は、測定が簡便であり、医療現場で非常に有用である。
発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]糞便中塩基性カタラーゼの検出
糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原陽性及び陰性のボランティア(各4名)の糞便約10gを3倍量のリン酸緩衝生理食塩液(PBS)に懸濁し、遠心分離(7000rpm、30分)して得られた上清を更に超遠心分離(30000rpm、30分)して上清を得た。これらを蒸留水にて透析後、更に10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析した。透析内液を10mMリン酸緩衝液(pH7.0)にて平衡化した陽イオン交換樹脂CM−Sephadex C−50のカラム(1cm×1cm)に負荷した。同緩衝液5mLで洗浄後、PBS3mLにて溶出し、塩基性物質を含有する画分(塩基性物質画分)を得た。溶出画分1mLに30%H0.1mLを添加し、気泡の発生を観察することにより、カタラーゼ活性の有無を確認した。その結果、全ての陽性者の糞便由来塩基性画分にカタラーゼ活性を検出することができた。一方、陰性者の糞便由来塩基性画分には、活性は検出されなかった。
この結果より、カタラーゼ活性を指標としてヘリコバクター・ピロリへの感染を判定できることがわかった。
[実施例2]抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼ卵黄抗体を用いた糞便中ヘリコバクター・ピロリカタラーゼの検出
(1)ヘリコバクター・ピロリカタラーゼの精製
5%ウマ脱繊血を添加したブレインハートインヒュージョン寒天培地(ディフコ社製)330枚にヘリコバクター・ピロリ(ATCC43504 10CFU/mL)を25μL/枚にて塗布し、37℃、微好気条件下にて4日間培養した。
得られた菌体を白金耳にてかきとり、PBSに懸濁した。4℃、3000rpmで15分間遠心分離したヘリコバクター・ピロリ菌体を0.5%ホルマリンに懸濁し、4℃、1晩放置して不活化した。不活化した菌体は、遠心分離(4℃、3000rpm、15分間)を用い、PBSにて3回洗浄した後、再度PBSに懸濁した。菌体懸濁液を超音波破砕機(セイコー電子工業社製、Mode17250)を用いて、output 4、50% duty cycleの条件にて30分間超音波処理して菌体を破砕した。この菌体破砕物を超遠心分離(4℃、30000rpm、30分間)し、上清(菌体可溶性画分)40mLを得た(タンパク質濃度4.9mg/mL)。
アマシャムファルマシアバイオテク社アフィニティークロマトグラフィーハンドブックに記載の方法により、抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼモノクローナル抗体21G2をCNBr−活性化Sepharose4B(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に固定化したカラムを作製した(10mL)。
このカラムにヘリコバクター・ピロリ菌体可溶性画分20mLを負荷した(流速約4.5mL/h)。PBS60mL(流速約30mL/h)にてカラムを洗浄し、0.2MグリシンHCl緩衝液(pH3.0)60mL(流速約30mL/h)にて溶出した。洗浄、溶出とも10mLずつ分画した。各画分5μLに3%H及び0.1%ツィーン20を含むPBSを100μL添加し、泡の発生を観察することによりカタラーゼ活性を調べた。その結果、溶出画分(画分9及び10)に強いカタラーゼ活性を認めた。これらの画分を合わせ、5mLに濃縮し、ヘリコバクター・ピロリカタラーゼを得た。(タンパク質濃度0.8mg/mL)。
ヘリコバクター・ピロリカタラーゼを等量のサンプル緩衝液(2%SDS、5%メルカプトエタノール)と混合し、5分間煮沸した。この溶液5μLを用いてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(4−20%アクリルアミド)を行った。分子量マーカーは、ホスホリラーゼb、ウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、炭酸脱水素酵素、大豆トリプシンインヒビター及びα−ラクトアルブミンを用いた。泳動後、シルバーステインKANTOIII(関東化学社製)を用いてゲルを染色した。ヘリコバクター・ピロリカタラーゼは59kDaの単一なタンパク質であった。
(2)抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼ卵黄抗体の作製
ヘリコバクター・ピロリカタラーゼをフロイント・コンプリートアジュバンドと等量混和した後、産卵鶏(白色レグホーン系)に1mL筋肉注射した。免疫は2週間に1回、合計3回行った。初回免疫から9〜11週目に産卵した6個の免疫卵より卵黄抗体を調製した。免疫卵を割卵し、卵黄を取り出した後、等量の精製水を加えた(全量156mL)。これに2倍量(312mL)の0.15%λ−カラギーナン水溶液を混合し、室温で30分間放置した後、10000rpm、15分間遠心分離した。得られた上清に硫酸アンモニウムを40%飽和になるように加えて撹拌した後、遠心分離により沈渣を得た。この沈渣をPBSに溶解し、同緩衝液に対して透析を行い、透析内液を回収した(抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼ卵黄抗体 288mg タンパク質)。
抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼ卵黄抗体とヘリコバクター・ピロリカタラーゼとの反応性は、酵素免疫測定(ELISA)法にて確認した。ヘリコバクター・ピロリカタラーゼをPBSにて0.1mg/mLに希釈した後、96穴ELISAプレートの各穴に0.1mL加え、4℃、1晩放置することにより固相化した。PBSにて洗浄した後、0.1%スキムミルク−PBSを各穴に0.25mL加え、4℃で1時間放置してマスキングを行った。ヘリコバクター・ピロリカタラーゼを固相化したELISAプレートの各穴に0.1%スキムミルク−PBSにて適宜希釈した抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼ卵黄抗体0.1mLを加え、室温にて1時間放置した。0.05%ツィーン20−PBS(洗浄液)にて5回洗浄した後、ペルオキシダーゼ標識抗IgY(ボストンエキスプレス社製、1:10,000)0.1mLを加え、室温にて1時間放置した。洗浄液にて5回洗浄後、基質液(テトラメチルベンチジン+過酸化水素、BioFX社製)0.1mLを各穴に添加し、室温で10分間反応させた。反応後、各穴に1N硫酸を50μLずつ添加し酵素反応を停止し、吸光度(450nm−630nm)を測定した。対照には、免疫する前に産んだ卵より同様の方法にて調製した卵黄抗体を用いた。その結果、抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼ卵黄抗体は、ヘリコバクター・ピロリカタラーゼと強く反応した。結果を表1に示した。
Figure 0005095065
(3)抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼ卵黄抗体固相化プレートの作製
抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼ卵黄抗体をPBSにて20μg/mLとなるように希釈した後、96穴ELISAプレートの各穴に0.2mL加え、4℃、1晩放置した後、PBSにて洗浄した。洗浄後、0.1%スキムミルク−PBSを各穴に0.25mL加え、4℃で1時間放置してマスキングを行った。
(4)抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼ卵黄抗体固相化プレートを用いた糞便中ヘリコバクター・ピロリカタラーゼの捕捉及びその酵素活性の検出
ヘリコバクター・ピロリ陽性者及び陰性者各4名の糞便検体を使用した。糞便検体約3gを12mLのPBSに懸濁し、4℃、3000rpm、15分間遠心分離して上清(糞便抽出液)を得た。糞便抽出液(対照PBS)を抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼ卵黄抗体固相化プレートの各穴に0.2mLずつ24穴に分注し、室温にて1時間放置した後、洗浄液にて5回洗浄した。予めオートクレイブ処理にて脱気したPBSを用いて調製した5mM Hを0.2mL/穴分注して、室温にて1時間反応した。反応後、各穴から反応液を集め、溶存酸素測定計(ケメットDO計型式K−7512 CHEMetrics社製)にて溶存酸素を測定した。その結果、陽性者糞便検体では、溶存酸素は8〜12ppm以上と高値を示したのに対し、陰性者糞便検体では、対照と差がなかった(約1ppm)。
この結果から、糞便検体中のヘリコバクター・ピロリカタラーゼを特異抗体によって捕捉した後、酵素活性を検出する方法により、ヘリコバクター・ピロリカタラーゼへの感染を判定できることがわかった。
[実施例3]抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼモノクローナル抗体を用いた糞便中ヘリコバクター・ピロリカタラーゼの検出
(1)抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼモノクローナル抗体固相化プレートの作製
抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼモノクローナル抗体をPBSにて5μg/mLとなるように希釈した後、96穴ELISAプレートの各穴に0.2mL加え、4℃、1晩放置した後、PBSにて洗浄した。洗浄後、0.1%スキムミルク−PBSを各穴に0.25mL加え、4℃で1時間放置してマスキングを行った。
(2)抗ヘリコバクター・ピロリカタラーゼモノクローナル抗体固相化プレートを用いた糞便中ヘリコバクター・ピロリカタラーゼの捕捉及びその酵素活性の検出
ヘリコバクター・ピロリ陽性者及び陰性者各4名の糞便検体を用いて、実施例2と同様の方法で行った。その結果、陽性者糞便検体では、溶存酸素は8〜12ppm以上と高値を示したのに対し、陰性者糞便検体では、対照と差がなかった(約1ppm)。
産業上の利用可能性
本発明は、上述の構成よりなるので、消化管排泄物を検体とすることができ、被験者に苦痛を与えることなく、簡便かつ効率よくヘリコバクター・ピロリ感染を検出することができる。

Claims (11)

  1. 消化管排泄物中のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを夾雑カタラーゼから分離する工程、及び、
    ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼ活性を測定する工程を含む、
    消化管排泄物中のヘリコバクター・ピロリを検出する検査方法。
  2. 消化管排泄物中のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを夾雑カタラーゼから分離する工程は、塩基性カタラーゼを分離するイオン交換分離法を用いて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
  3. 消化管排泄物中のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを夾雑カタラーゼから分離する工程は、ヘリコバクター・ピロリのNativeなカタラーゼを抗原とするモノクローナル抗体又は卵黄抗体による免疫学的方法を用いて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
  4. ヘリコバクター・ピロリのNativeなカタラーゼを抗原とするモノクローナル抗体が、21G2(FERM P−17604)、41A5(FERM P−17605)及び82B9(FERM P−17606)のハイブリドーマからなる群から選ばれる少なくとも1つのハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体である請求項2又は3に記載の検査方法。
  5. カタラーゼの活性を測定する方法が、
    (1)過酸化水素を基質として、生ずる酸素を検出する方法、
    (2)過酸化水素を基質として、過酸化水素の消費を検出する方法、及び
    (3)カタラーゼのペルオキシダーゼ作用を利用する方法、からなる群から選ばれる少なくとも1つの方法である、請求項1〜4のいずれかに記載の検査方法。
  6. 消化管排泄物中のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを夾雑カタラーゼから分離する手段、及び、
    ヘリコバクター・ピロリのカタラーゼの活性を測定する手段を含む、
    消化管排泄物中のヘリコバクター・ピロリを検出する診断キット。
  7. 消化管排泄物中のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを夾雑カタラーゼから分離する手段は、塩基性カタラーゼを分離するイオン交換分離法を用いて行なわれることを特徴とする請求項6に記載の診断キット。
  8. 消化管排泄物中のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを夾雑カタラーゼから分離する手段は、ヘリコバクター・ピロリのNativeなカタラーゼを抗原とするモノクローナル抗体又は卵黄抗体による免疫学的方法を用いて行なわれることを特徴とする請求項6に記載の診断キット。
  9. ヘリコバクター・ピロリのNativeなカタラーゼを抗原とするモノクローナル抗体が、21G2(FERM P−17604)、41A5(FERM P−17605)及び82B9(FERM P−17606)のハイブリドーマからなる群から選ばれる少なくとも1つのハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体である請求項7又は8に記載の診断キット。
  10. カタラーゼの活性を測定する手段が、
    (1)過酸化水素を基質として、生ずる酸素を検出する手段、
    (2)過酸化水素を基質として、過酸化水素の消費を検出する手段、及び
    (3)カタラーゼのペルオキシダーゼ作用を利用する手段、からなる群から選ばれる少なくとも1つの手段である、請求項6〜9のいずれかに記載の診断キット。
  11. 消化管排泄物を検体とし、検体中のヘリコバクター・ピロリのカタラーゼを夾雑カタラーゼから分離する処理を含み、カタラーゼ活性を測定することができる構成を有することによって、ヘリコバクター・ピロリの存在を検出することができる診断キット。
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