JP2002115199A - 抄紙用添加剤 - Google Patents

抄紙用添加剤

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JP2002115199A JP2000312136A JP2000312136A JP2002115199A JP 2002115199 A JP2002115199 A JP 2002115199A JP 2000312136 A JP2000312136 A JP 2000312136A JP 2000312136 A JP2000312136 A JP 2000312136A JP 2002115199 A JP2002115199 A JP 2002115199A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パルプ原料を抄紙して得られたシートの嵩、
白色度、不透明度を向上させ、且つ紙力を向上させるこ
とのできる抄紙用添加剤を提供する。 【解決手段】 溶解パラメーターが10(cal/
31/2以下で非イオン性の不飽和モノマーの一種以上
に由来する構成単位と、アニオン性又はカチオン性モノ
マーの一種以上に由来する構成単位とを有し、(i)標
準嵩向上度が0.02g/cm3以上、(ii)標準不透
明度向上度が0.5ポイント以上、(iii)標準白色度
向上度が0.5ポイント以上の何れか一つ以上の紙質向
上効果をもたらす共重合体を、抄紙用添加剤として用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルプ原料を抄紙
して得られたシートの嵩、白色度、不透明度が向上し、
且つ紙力が向上したパルプシートを製造することができ
る抄紙用添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、白色度、不透明度、印刷適性、そ
してボリューム感等の面に優れた品質の高い紙が求めら
れている一方で、環境への負荷の少ない低密度な紙が望
まれている。これらを紙の嵩高さによって解決すべく、
これまでに種々の嵩向上の方法が試みられている。例え
ば紙用嵩高剤として、特定のアルコール及び/又はその
ポリオキシアルキレン付加物(WO98/03730
号)を用いる方法、多価アルコール脂肪酸エステル及び
多価アルコール脂肪酸エステルの平均0モル超12モル
未満の炭素数2〜4のオキシアルキレン付加物(日本国
特許第2971447号)を用いる方法が知られてい
る。しかしながら、これら紙用嵩高剤だけでは十分な紙
の強度が得られない場合がある。
【0003】一方、紙の強度を増強するために紙力増強
剤が用いられるが、例えば一般的に用いられているポリ
アクリルアミド系紙力剤では紙力が向上するも嵩が低下
(締まる)傾向にあり、上記の嵩高剤と併用しても紙力
が向上する代わりに、嵩高剤単独で使用した時よりも嵩
が低下する傾向がある。
【0004】また、ノニオン性のポリアクリルアミド系
紙力剤に疎水性やアニオン/カチオン性のモノマーを導
入した共重合体も多数報告されている。例えば、特定の
カチオン性ビニルモノマー、疎水性ビニルモノマー、ア
クリルアミドからなる共重合体を紙と接触させることを
特徴とする紙力増強方法(特開昭56−154597
号)や、特定のカチオン性ビニルモノマー、不飽和モノ
カルボン酸及び/又はその塩、架橋性ビニルモノマー、
疎水性ビニルモノマーを主原料として含有する共重合体
を用いた比破裂強度、比圧縮強度、Z軸強度で示される
紙力性能、及びpH変動に対して安定性効果の向上方法
(特開平5−156597号)等がある。しかし、これ
らは紙力の増強を目的としており、紙の嵩高さや光学特
性に関して考慮されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抄紙工程以
前のいずれかで添加することで紙の白色度向上、不透明
度向上、嵩向上効果の少なくとも1つが達成でき、且つ
従来の紙用嵩高剤よりも紙力向上性能に優れる抄紙用添
加剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶解パラメー
ターが10(cal/m31/2以下(以後、溶解パラメ
ーターの単位は省略する)で非イオン性の不飽和モノマ
ーの一種以上に由来する構成単位と、アニオン性又はカ
チオン性モノマーの一種以上に由来する構成単位とを有
し、且つ下記(i)、(ii)、(iii)の何れか一つ以
上の紙質向上効果をもたらす共重合体からなる抄紙用添
加剤、並びに、抄紙工程以前の何れかにおいて、上記本
発明の抄紙用添加剤を添加して得られるパルプシートに
関する。 (i)標準嵩向上度が0.02g/cm3以上 (ii)標準不透明度向上度が0.5ポイント以上 (iii)標準白色度向上度が0.5ポイント以上 本発明における標準嵩向上度、標準白色度向上度及び標
準不透明度向上度の測定方法を詳述する。
【0007】<標準嵩高向上度の測定方法> ブナ由来の広葉樹晒パルプ(以後、LBKPという)
を5cm×5cmに裁断後、25±3℃で一定量をビー
ターにて離解そしてカナダ標準濾水度(JISP 81
21)で450±10mlに叩解してパルプ濃度が1.
0重量%のLBKPスラリーを得る。このパルプスラリ
ーを調湿後のシートの坪量が80±2g/m2になるよ
うに量り取ってから、硫酸アルミニウムでpHを4.5
に調整した後、抄紙用添加剤となる化合物をパルプ10
0重量部に対して2.0重量部添加し、丸型タッピ抄紙
機にて150メッシュワイヤー(面積200cm2)で
抄紙し湿潤シートを得る。湿潤シートにアドバンテック
東洋(株)製生産用ろ紙No.26(直径185mm)
2枚とコーチプレートを重ねコーチングする。各2枚の
新しいろ紙でそのシートの上下をはさみ圧力340±1
0kPaで5分間プレスする。プレス後、シートのみ鏡
面ドライヤーを用い105±3℃で2分間乾燥する。乾
燥されたシートを20℃、湿度65%の条件で5時間以
上調湿する。調湿されたシートの重量を測定し、下記計
算式(3)により坪量(g/m2)を求める。 坪量(g/m2)=シート重量/0.02 (3) 次に調湿されたシートの厚さは、紙用マイクロメータを
用いて、圧力53.9±4.9kPaで、5ヶ所以上測
定し、得られる平均値を厚さ(mm)とする。 上記で得られた坪量と厚さから緊度d(g/cm3
を下式(4)により求める。 d=坪量/厚さ/1000 (4) また、抄紙用添加剤となる化合物を添加しないで同様に
シートを調製し、同様にして求めた緊度をd0とする。 上記で求めた緊度d、d0から、下式(5)より嵩高
向上度を求める。 標準嵩高向上度(g/cm3)=d0−d (5)
【0008】<標準白色度向上度の測定方法> 標準嵩向上度の測定方法のと同じ。 調湿されたシートはJIS P 8123ハンター白色
度により白色度Bを測定する。また、抄紙用添加剤とな
る化合物を添加しないで同様にシートを調製し、同様に
して得られた白色度をB0とする。 上記で求めた白色度B、B0から、下式(6)より標
準白色度向上度を求める。 標準白色度向上度(ポイント)=B−B0 (6)
【0009】<標準不透明度向上度の測定方法> 標準嵩向上度の測定方法のと同じ。 調湿されたシートはJIS P 8138Aにより不透
明度Pを測定する。また、抄紙用添加剤となる化合物を
添加しないで同様にシートを調製し、同様にして求めた
不透明度をP0とする。 上記で求めた不透明度P、P0から、下式(7)より
標準不透明度向上度を求める。 標準不透明度向上度(ポイント)=P−P0 (7)
【0010】更に、本発明に係る共重合体は、本明細書
に定義する標準比破裂強さ向上指数が−3000以上の
効果をもたらすものが好ましい。通常、同坪量で紙の緊
度が低下し嵩が向上した場合には、比破裂強さは低下す
る。標準比破裂強さ向上指数とは、前記標準嵩向上度の
測定条件において嵩が向上した場合において、比破裂強
さがどの程度維持されるかを表す指標である。その値が
正の場合は比破裂強さは向上することを、負の場合は比
破裂強さは低下することを表すが、本発明では、この標
準比破裂強さ向上指数が−3000以上であれば、嵩の
向上と比破裂強さの維持という点で望ましい。標準比破
裂強さ向上指数の測定方法は以下の通りである。
【0011】<標準比破裂強さ向上指数の測定方法> 標準嵩向上度の測定方法のと同じ。 調湿されたシートはJIS P 8112により比破裂
強さsを測定する。また、抄紙用添加剤となる化合物を
添加しないで同様にシートを調製し、同様にして求めた
比破裂強さをs0とする。また、それぞれのシートにつ
いて前記の方法で標準嵩向上度を測定する。 標準嵩向上度が0g/cm3以下の場合は、標準比破
裂強さ向上指数は定義不能とする。また、標準嵩向上度
が0g/cm3を超える場合は、下記式(8)により標
準比破裂強さ向上指数を求める。 標準比破裂強さ向上指数=(s/s0×100−100)/標準嵩向上度 (8) このように、所定の方法により1.0重量%のLBKB
スラリーを調製し、対パルプ2重量%の添加で標準嵩高
度、標準白色向上度、標準不透明度向上度、更には標準
比破裂強さ向上指数を測定することにより、本発明の抄
紙用添加剤は容易に特定される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者は、従来の非イオン系の
紙力増強剤に対し共重合体の構成成分として溶解パラメ
ーターが10以下で非イオン性の不飽和モノマーとアニ
オン性またはカチオン性のビニルモノマーとを導入する
ことにより、嵩高性や光学特性と紙の強度の面において
優れた効果を発揮することを見出した。本発明に係る共
重合体は、標準嵩向上度が0.02g/cm3以上、標
準不透明度向上度が0.5ポイント以上、標準白色度向
上度が0.5ポイント以上の少なくとも一つの効果と、
好ましくは標準比破裂強さ向上度が0%を超えるという
効果をもたらす。
【0013】本明細書にいう溶解パラメーターδとは、
POLYMER HANDBOOK(J.Brandru
p and E.H.Immergut、third e
dition)のVII/519に記載される方法で計算
された値である。すなわち、 δ=((H−R×298.15)/V)1/2 〔単
位:(cal/m31/2又は×2.046×103(J
/m31/2〕 H:蒸発エンタルピー 〔単位:(cal/mol)
又は(×4.186J/mol)〕 R:気体定数 〔単位:(1.98719cal/d
eg)又は(1.98719×4.186J/de
g)〕 V:mol体積(cm3/mol) で計算される値である。なお、本明細書においては、H
は、 H=−2950+23.7Tb+0.020Tb 2
〔単位:(cal/mol)又は(×4.186J/m
ol)〕 Tb:沸点〔単位:K〕 で経験的にあらわされること利用して、沸点Tbより求
めた。
【0014】本明細書にいう非イオン性の不飽和モノマ
ーとは、pHの変化によりアニオン性又はカチオン性を
帯びることがない不飽和モノマーである。また、本明細
書にいうアニオン性又はカチオン性モノマーとは、常に
アニオン性又はカチオン性を帯びたモノマーのみなら
ず、pHの変化によりイオン性を帯びることがあるモノ
マーである。
【0015】本発明の共重合体を構成する溶解パラメー
ターが10以下で非イオン性の不飽和モノマーは、例え
ば(メタ)アクリル酸の炭素数1〜40、好ましくは炭
素数2〜40アルキルエステル、ビニルアルコールの炭
素数1〜40、好ましくは炭素数2〜40アルキル酸エ
ステル、マレイン酸の炭素数1〜40モノ又はジアルキ
ルエステル、フマル酸の炭素数1〜40モノ又はジアル
キルエステル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチル
スチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン等が挙げ
られる。なかでも、ブチルアクリレート、ブチルメタク
リレート等のアルキル基の炭素数が2〜40、更に3〜
22の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0016】本発明の共重合体を構成するアニオン性モ
ノマーとしては、不飽和モノマーが好ましく、例えば
(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸等のジカ
ルボン酸またはこれらのハーフエステル;ビニルスルホ
ン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸等のナ
トリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が使用され
る。
【0017】本発明の共重合体を構成するカチオン性モ
ノマーとしては、不飽和モノマーが好ましく、ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミド、アリルアミン、ジアリルアミン、
トリアリルアミン;またはこれらの塩酸、硫酸、酢酸、
燐酸等の無機酸、有機酸の塩類、もしくはメチルハライ
ド(クロライド、ブロマイド等)、エチルハライド(ク
ロライド、ブロマイド等)、ベンジルハライド(クロラ
イド、ブロマイド等)、ジアルキル(メチル、エチル
等)硫酸、エピクロロヒドリン等の四級化剤との反応に
よって得られる四級アンモニウム塩を含有するビニルモ
ノマーが使用される。なお、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルア
ミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン
は共重合した後、塩酸、硫酸、酢酸、燐酸等の無機酸、
有機酸の塩類で処理することによっても用いる事ができ
る。
【0018】本発明の共重合体は、溶解パラメーターが
13以上で非イオン性の不飽和モノマーの少なくとも一
種に由来する構成単位を有することができる。溶解パラ
メーターが13以上で非イオン性の不飽和モノマーとし
ては、特に(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0019】また、紙力向上の観点から、共重合体を構
成する不飽和モノマーに架橋性モノマーを一部使用する
ことができる。架橋度はモル比に大きく依存することか
ら、その割合は、全構成モノマーに対して0.001〜
5モル%が好ましく、0.01〜1モル%がより好まし
く、0.05〜0.5モル%が特に好ましい。架橋性モ
ノマーとして、例えば、メチレンビス(メタ)アクリル
アミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサ
メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリル(メ
タ)アクリルアミド等の2官能型架橋性モノマー、ある
いは、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S
−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアク
リル酸ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン
アクリレート、トリアクリルホルマール、ジアクリロイ
ルイミド等の多官能型架橋性モノマー等が使用される。
【0020】本発明に係る共重合体のモノマー構成比
は、嵩高度・不透明度・白色度向上と紙力向上の両者の
観点から、溶解パラメーターが10以下で非イオン性の
不飽和モノマーは10〜84重量%が好ましく、20〜
60重量%がより好ましく、25〜50重量%が特に好
ましく、アニオン性モノマー及び/またはカチオン性モ
ノマーは合計で1〜75重量%が好ましく、3〜50重
量%がより好ましく、5〜30重量%が特に好ましく、
溶解パラメーターが13以上で非イオン性の不飽和モノ
マーは15〜89重量%が好ましく、20〜80重量%
がより好ましく、40〜70重量%が特に好ましい。な
お、この構成比は、モノマー仕込み時のものであっても
よい。
【0021】また、本発明に係る共重合体は、抄紙工程
以前でのパルプ繊維への均一吸着性や水への溶解性又は
均一分散性の点から、共重合体の重量平均分子量が0.
1万〜1000万のものが好ましく、1万〜500万が
より好ましく、3万〜200万が特に好ましい。
【0022】本発明に関わる共重合体は公知の方法で製
造する事ができる。この製造法の例として次の方法が挙
げられる。まず、イソプロピルアルコール溶媒中で、前
記のモノマー構成比を満たす比率の溶解パラメーターが
10以下で非イオン性の不飽和モノマー、アニオン性や
カチオン性モノマー、及び溶解パラメーターが13以上
で非イオン性の不飽和モノマー、更に重合開始剤として
V−65(2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)を全モノマー量に対し0.05モル%混合
し、30重量%モノマー溶液を調製し均一に攪拌する。
窒素ガスを反応溶液内、及び反応容器内に通じ、反応系
から酸素を除去した後、系内を徐々に70℃まで昇温
し、2時間重合反応を行い反応を終了し、目的の重合体
溶液を得ることができる。
【0023】本発明に係る共重合体は、操業上、製品加
工上、製品使用上要求される紙力の点から、標準比破裂
強さ向上指数が−3000以上が好ましく、−1600
以上がより好ましく、−200以上が更に好ましく、0
以上が特に好ましい。
【0024】本発明の抄紙用添加剤は、サーモメカニカ
ルパルプ(TMP)等の機械パルプ、LBKP等の化学
パルプ等のヴァージンパルプ、古紙パルプ等のパルプ原
料に広く適用できる。
【0025】本発明の抄紙用添加剤は、抄紙工程以前の
いずれかにおいて添加される(内添)。その添加場所と
しては、パルプ原料の希薄液が金網上を進む間に濾水さ
れて紙層を形成する抄紙工程以前で、パルパーやリファ
イナー等の離解機や叩解機、マシンチェストやヘッドボ
ックスや白水タンク等のタンク、あるいはこれらの設備
と接続された配管中に添加してもよいが、リファイナ
ー、マシンチェスト、ヘッドボックスで添加する等、均
一にパルプ原料にブレンドできる場所が望ましい。本発
明の抄紙用添加剤は、パルプ原料に添加後、そのまま抄
紙されたパルプシート中に大部分残存することが望まし
い。
【0026】本発明の抄紙用添加剤は、パルプ原料10
0重量部に対して0.01〜5重量部の添加、特に0.
1〜2重量部の少量添加でも、従来の紙用嵩高剤よりも
優れた紙の強度を発揮し、且つ嵩高効果、白色度または
不透明度等の光学的特性のうち少なくとも1つ向上す
る。
【0027】本発明の抄紙用添加剤となる共重合体は、
抄紙用白色度向上剤、抄紙用不透明度向上剤として用い
ることができる。
【0028】本発明の効果の発現機構は次の様に考えら
れる。即ち、本発明に係る共重合体がパルプスラリー中
に添加されると、電荷を持つ共重合体のアニオンやカチ
オン部分がパルプ繊維に吸着し、溶解パラメーター10
以下で非イオン性の不飽和モノマー由来の構造は疎水性
を示すことから、その疎水性部分が表面に出てパルプ表
面を疎水化する。その結果、パルプと水溶液の界面張力
が増大し、抄紙時のパルプ間に隙間が多くなり、嵩高い
パルプシートが得られたり、光学的に反射率が大きくな
ることにより、不透明度や白色度が向上する。また、モ
ノマー組成や添加量により、パルプ表面の疎水化度が変
わるために、例えばパルプの一部しか疎水化されない場
合でもパルプ間の空隙が増大せず、嵩高性の発現が少な
い場合でも、パルプ間の水素結合が減少することでパル
プ表面積が増大し、光学的反射率が大きくなり、白色度
や不透明度の向上が発現することもある。なお、白色度
は明度(L値)とb値から算出され、L値が大きいほど
b値が小さいほど大きくなるが、本発明による白色度向
上効果はL値が増大することにより起こると考えられ
る。
【0029】一方で、パルプ間の隙間が増大しても、共
重合体の溶解パラメーター13以上のモノマーに由来す
る構造は親水性であり、その親水性の高い部分がパルプ
と水素結合相互作用をするためにパルプ間の結合力は維
持され、紙力は増強される。架橋性のモノマーを導入し
た場合は、共重合体の分子量が増大しパルプへの吸着量
が増大し、また分子サイズも増大するためパルプ間の結
合が容易になるため紙力の増強効果が増大すると考えら
れる。
【0030】本発明の抄紙用添加剤を用いて得られたパ
ルプシートは、有意さを認識できるという観点から、無
添加シートに比べて、嵩高さの指標である緊度が0.0
2g/cm3以上、白色度は0.5ポイント以上、不透
明度は0.5ポイント以上高いことが好ましい。
【0031】
【実施例】〔抄紙用添加剤〕表1〜3に抄紙用添加剤と
して用いた共重合体の組成及び分子量、その標準嵩向上
度、標準白色度向上度、標準不透明度向上度、標準比破
裂強さ向上度を示した。
【0032】なお、表1〜3中、モノマーAは溶解パラ
メーターが13以上で非イオン性の不飽和モノマー、モ
ノマーBはアニオン性又はカチオン性モノマー、モノマ
ーCは溶解パラメーターが10以下で非イオン性の不飽
和モノマー、モノマーDは架橋性不飽和モノマーであ
る。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】(注) ・AAM:アクリルアミド(溶解パラメーター:14.
7) ・DEAEMA:ジエチルアミノメチルメタクリレート ・QDM:ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メ
チル4級塩 ・DML60:ジメチルアミノエチルメタクリレート塩
化ベンジル4級塩 ・AA:アクリル酸 ・MBAAM:メチレンビスアクリルアミド ・BMA:ブチルメタクリレート(溶解パラメーター:
8.2) ・EMA:エチルメタクリレート(溶解パラメーター:
8.4) ・LMA:ラウリルメタクリレート(溶解パラメータ
ー:7.5) ・SMA:ステアリルメタクリレート(溶解パラメータ
ー:7.6) ・BA:ブチルアクリレート(溶解パラメーター:8.
3) ・MMA:メチルメタクリレート(溶解パラメーター:
8.7)。
【0037】〔パルプ原料〕パルプ原料としては、LB
KP(広葉樹晒パルプ)を、25℃で叩解機にて離解、
叩解して1%のLBKPスラリーとしたヴァージンパル
プを用いた。このもののカナダ標準濾水度(JIS P
8121)は420mlであった。
【0038】〔抄紙方法〕ヴァージンパルプスラリーを
抄紙後のシートのパルプ坪量が80g/m2になるよう
に量り取ってから硫酸アルミニウムでpHを4.5に調
整した。次いで表1〜3に示す種々の抄紙用添加剤をパ
ルプ100重量部当たり有効分で2.0重量部添加し、
丸型タッピ抄紙機にて150メッシュワイヤー(面積2
00cm2)で抄紙しシートを得た。抄紙後のシート
は、3.5kg/cm2で5分間プレス機にてプレス
し、鏡面ドライヤーを用い105℃で2分間乾燥した。
乾燥されたシートを20℃、湿度65%の条件で1日間
調湿してから紙の緊度、白色度、不透明度、比破裂強さ
を以下の方法で測定した。測定値は10回の平均値であ
る。結果を表4に示す。なお、試験No.46、49は
疎水性が強く難溶性で、抄紙系に添加するための均一な
溶液を得ることができず、評価を行うことができなかっ
た。
【0039】〔評価項目・方法〕 ・緊度 調湿されたシートの坪量(g/m2)と厚み(mm)を
測定し、下記計算式により緊度(g/cm3)を求め
た。 緊度=(坪量)/(厚み)×0.001 緊度は小さいほど嵩が高く、また緊度の0.02の差は
有意差として十分に認識されるものである。
【0040】・白色度 JIS P8123ハンター白色度による。白色度の
0.5ポイントの差は有意差として十分に認識されるも
のである。
【0041】・不透明度 JIS P8138A法による。不透明度の0.5ポイ
ントの差は有意差として十分に認識されるものである。
【0042】・比破裂強さ JIS−P8112法による。
【0043】〔重量平均分子量の測定方法〕重量平均分
子量は水溶性高分子の水溶液を調製し下記の条件でGP
Cにて測定した。換算分子量にはプルランを用いた。 [測定条件] カラム:α−M×2(東ソー株式会社) 溶出液:0.15M−Na2SO4/1%酢酸水溶液 流速:1ml/分 カラム温度:40℃ 検出器:RI 試料濃度:5mg/ml、100μl
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、嵩高向上、白色度向
上、不透明度向上効果のうち少なくとも1つが達成で
き、且つ従来の紙用嵩高剤よりも紙力性能に優れたパル
プシートが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲高▼橋 広通 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研 究所内 Fターム(参考) 4L055 AG71 AG72 AG73 AG89 AG93 AH16 AH50 EA07 EA08 EA11 EA29 FA12 FA13 FA16

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解パラメーターが10(cal/
    31/2以下で非イオン性の不飽和モノマーの一種以上
    に由来する構成単位と、アニオン性又はカチオン性モノ
    マーの一種以上に由来する構成単位とを有し、且つ下記
    (i)、(ii)、(iii)の何れか一つ以上の紙質向上
    効果をもたらす共重合体からなる抄紙用添加剤。 (i)標準嵩向上度が0.02g/cm3以上 (ii)標準不透明度向上度が0.5ポイント以上 (iii)標準白色度向上度が0.5ポイント以上
  2. 【請求項2】 溶解パラメーターが10(cal/
    31/2以下で非イオン性の不飽和モノマーが、アルキ
    ル基の炭素数が2〜40の(メタ)アクリル酸アルキル
    エステルである請求項1記載の抄紙用添加剤。
  3. 【請求項3】 共重合体が、溶解パラメーターが13
    (cal/m31/2以上で非イオン性の不飽和モノマー
    の少なくとも一種に由来する構成単位を更に有する請求
    項1又は2記載の抄紙用添加剤。
  4. 【請求項4】 共重合体の構成モノマーの割合が、溶解
    パラメーターが10(cal/m31/2以下で非イオン
    性の不飽和モノマー10〜84重量%、アニオン性モノ
    マーとカチオン性モノマーの合計で1〜75重量%、溶
    解パラメーターが13(cal/m31/2以上で非イオ
    ン性の不飽和モノマー15〜89重量%である請求項3
    記載の抄紙用添加剤。
  5. 【請求項5】 共重合体の構成モノマーのいずれかが架
    橋性を有する請求項1〜4の何れか1項記載の抄紙用添
    加剤。
  6. 【請求項6】 共重合体が、更に標準比破裂強さ向上指
    数が−3000以上の効果をもたらす請求項3〜5の何
    れか1項記載の抄紙用添加剤。
  7. 【請求項7】 抄紙工程以前の何れかにおいて、請求項
    1〜6の何れか記載の抄紙用添加剤を添加して得られる
    パルプシート。
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