JP2002115119A - ポリウレタン弾性糸、ストッキング、及びストッキングの製造方法 - Google Patents

ポリウレタン弾性糸、ストッキング、及びストッキングの製造方法

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JP2002115119A JP2000309053A JP2000309053A JP2002115119A JP 2002115119 A JP2002115119 A JP 2002115119A JP 2000309053 A JP2000309053 A JP 2000309053A JP 2000309053 A JP2000309053 A JP 2000309053A JP 2002115119 A JP2002115119 A JP 2002115119A
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晴孝 勝野
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時裕 中平
Minoru Shigenaka
実 茂中
Shuji Maeda
修二 前田
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 (A)ポリオールとジイソシアネートと
低分子量ジオールとを反応させて得られる両末端水酸基
プレポリマーと、(B)ポリオールとジイソシアネート
を反応させて得られる両末端イソシアネート基プレポリ
マーとを反応させて得られるポリマーを溶融紡糸してな
り、下記(1)及び(2)の要件を満たすことを特徴と
するポリウレタン弾性糸。(1)ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)分析による分散指数(M
w/Mn)が2.2≦Mw/Mn≦2.8(但し、Mw
は重量平均分子量、Mnは数平均分子量を示す)である
こと。(2)粘弾性測定による損失正接(tanδ)の
主分散ピーク温度(Ttanδ)が−5℃≦Ttanδ
≦5℃であること。 【効果】 横縞がなく、キメ細かく美しい編地であっ
て、かつ着用しやすく、ソフトな締め付け力を有する高
品質な被覆弾性糸単独使いのストッキングが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、編目がきれいで適
度な締め付け力を有するストッキングを製造するのに好
適なポリウレタン弾性糸、このポリウレタン弾性糸を芯
糸とし、この芯糸を非弾性糸で巻回してなる被覆弾性糸
のみで少なくとも脚部を形成した高品質なストッキン
グ、及びこのストッキングの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリウ
レタン弾性糸を芯糸とし、この芯糸にナイロン等の非弾
性糸を巻回した被覆弾性糸(所謂カバリング糸)を用い
た女性用ストッキングとしては、従来から、カバリング
糸とナイロンフィラメント糸とを交互に編み込んだ交編
タイプのものがある。
【0003】この交編タイプのストッキングは適度な締
め付け力とフィット性を有しているが、収縮性の異なる
2種類の糸で交互に編目を構成しているため、編目が平
滑性に欠けて肌触りが悪く、また横縞が目立ち美観に乏
しいものであった。
【0004】これらの欠点を補うべく、少なくとも脚部
が被覆弾性糸(カバリング糸)のみで編成される、被覆
弾性糸単独使いのストッキングが開発されている。この
タイプのストッキングは編目が揃っているため、平滑性
及び美観性に優れ、また、耐久性などの利点を有するも
のである。
【0005】しかしながら、上記のような被覆弾性糸単
独使いのストッキングは、通常、編み立て、縫製、染色
を行った後、板状の脚型に入れて蒸気又は熱風でセット
を行うことにより製造されているが、熱セット工程で
は、ストッキングの風合いを保つという観点から、セッ
ト温度の上限が存在する。その結果、芯糸弾性糸として
ジアミン等のアミノ基を有する化合物を主成分とする鎖
延長剤を使用したポリウレタンウレアポリマーを乾式又
は湿式紡糸して得られる一般的な弾性糸を使用したカバ
リング糸のみで編成した場合、この弾性糸の熱セット性
が悪いため、通常のストッキング製造工程ではストッキ
ングの仕上り寸法が小さくなってしまうという問題があ
る。
【0006】また、十分に熱セットがされず、仕上り寸
法が小さいストッキングは編地表面が粗いと共に、丁寧
に伸ばしながら着用しないと、編地の伸ばし斑により濃
淡が目立ち、着用時の外観が悪くなると共に、弾性糸の
収縮力が強すぎ、着用しにくい上に、過度の圧迫感があ
り、はき心地の悪いものになってしまうという問題があ
る。
【0007】一方、編み面をきれいにすることを主眼と
して、熱セット温度を上げすぎると、芯糸弾性糸の物性
が劣化して糸切れなどの欠点が生じ易くなり、また商品
の風合いも悪くなってしまうという問題がある。
【0008】このように従来の一般的なポリウレタン弾
性糸を用いた被覆弾性糸単独使いのストッキングは、十
分満足し得る性能を有するものではなかった。
【0009】これらの点を改良すべく、ある種の溶融
紡糸法により熱セット性を70%以上と大きくしたポリ
ウレタン弾性糸を用いる方法が提案されている(特開平
5−339802号公報)。また、イソシアネート末
端の中間重合体と有機ジアミンとモノアミンとを反応さ
せてポリウレタンポリマーを得るとき、有機ジアミンと
モノアミンの比と、総アミン基と末端イソシアネート基
との比とを特定の範囲にして反応させ、得られたポリウ
レタンポリマーを乾式紡糸して熱セット性を大きくする
方法が提案されている(特開平8−113824号公
報)。
【0010】しかしながら、の方法は、確かに編み面
がきれいになり、外観のよいものが得られ易いものの、
あまりにも締め付け力が弱く、ストッキングとしての着
用感が不十分であると共に、弾性糸の耐熱性が低いた
め、染色時の色直しなどの再加工により劣化が激しく、
商品としての実用性が乏しいという問題がある。また、
の方法は、ポリマー合成の管理が煩雑な上に、熱セッ
ト性の向上効果も大きくなく、得られた弾性糸を用いた
ストッキングは横縞の発生や着用感においても顕著な改
善は認められないものである。
【0011】一般に、被覆弾性糸単独使い編地は、全体
の編目が揃っている場合には極めて美しいものである
が、弾性糸の熱セット性が悪かったり、弾性糸そのもの
に応力斑や繊度斑があったり、被覆弾性糸の撚数や引伸
し倍率にばらつきがあったり、編み立て時の条件調整が
不適確であったりすると、却って横縞の発生や寸法不揃
いの欠点が目立ち、商品品位の低下をきたす場合が多
い。
【0012】このため、真に商品価値の高い被覆弾性糸
単独使いのストッキングを製造するには、先ず被覆弾性
糸単独使いのストッキング用としての適性を備えた弾性
糸を設計製造し、更に被覆弾性糸(カバリング糸)の生
産工程、ストッキングの生産工程において、被覆弾性糸
単独使いのストッキングに最適な条件の確立、管理を図
ることが必要であり、その開発が強く望まれていた。
【0013】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、被覆弾性糸単独使いのストッキングにおいて、従来
技術の欠点を改良し、キメ細かく美しい編地であり、か
つ着用しやすく、ソフトな締め付け力を有するストッキ
ングを得ることができるポリウレタン弾性糸、このポリ
ウレタン弾性糸を芯糸とし、この芯糸を非弾性糸で巻回
してなる被覆弾性糸のみで少なくとも脚部を形成した高
品質なストッキング、及びこのストッキングの製造方法
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため、ポリウレタン弾性
糸の基本的物性である繊度斑及び応力斑が少なく、優れ
た熱セット性を有し、かつ熱セット後においても適度な
締め付け力を保持している高品質な弾性糸を得るには、
ポリマーの基本的物性に加えて、紡糸時の工程安定性が
重要であり、このため、分散指数(Mw/Mn)と紡糸
時の工程安定性との関係について詳細に検討した結果、
(1)分散指数(Mw/Mn)が2.2〜2.8である
場合、ポリマーの溶融性が適正化され、紡糸時の工程安
定性が向上すると共に、繊度及び応力の均一なポリウレ
タン弾性糸が得られることを知見した。
【0015】また、ポリウレタン弾性糸の(2)粘弾性
測定による損失正接(tanδ)の主分散ピーク温度
(Ttanδ)が−5℃≦Ttanδ≦5℃の範囲であ
ることが、カバリング工程の安定性及び糸むらの発生防
止に効果的であること、更に、好ましくは(3)繊度変
動率が3%以下であること、及び/又は(4)応力巾指
数が1.3以下であることが、カバリング工程の安定性
に寄与し得、高品質な被覆弾性糸が得られることを知見
した。
【0016】そして、上記知見から、本発明者が、更に
鋭意検討を進めた結果、被覆弾性糸単独使いのストッキ
ングの少なくとも脚部を形成する被覆弾性糸の芯糸とし
て、上記(1)及び(2)、更に(3)及び/又は
(4)の物性を満たす糸自身の太さと応力の均整度が高
く、優れた熱セット性を有し、熱セット後にも有効な応
力(適度な締め付け力)を保持しているポリウレタン弾
性糸を用いることにより、下記(i)〜(iii)の物
性を満たす、横縞の発生がなく、キメ細かく美しい編地
であって、かつ着用しやすくソフトな締め付け感を有す
る被覆弾性糸単独使いのストッキングが得られることを
見出し、本発明をなすに至った。 (i)被覆弾性糸の撚数変動率が5%以下であること。 (ii)非弾性糸に対する芯糸の引伸し倍率変動率が3
%以下であること。 (iii)編込糸長変動が4%以下であること。
【0017】即ち、本発明は、下記のポリウレタン弾性
糸、ストッキング、及びストッキングの製造方法を提供
する。 請求項1: (A)ポリオールとジイソシアネートと低分子量ジオー
ルとを反応させて得られる両末端水酸基プレポリマー
と、(B)ポリオールとジイソシアネートを反応させて
得られる両末端イソシアネート基プレポリマーとを反応
させて得られるポリマーを溶融紡糸してなり、下記
(1)及び(2)の物性を満たすことを特徴とするポリ
ウレタン弾性糸。 (1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)分析による分散指数(Mw/Mn)が2.2≦Mw
/Mn≦2.8(但し、Mwは重量平均分子量、Mnは
数平均分子量を示す)であること。 (2)粘弾性測定による損失正接(tanδ)の主分散
ピーク温度(Ttanδ)が−5℃≦Ttanδ≦5℃
であること。 請求項2:更に、下記(3)及び/又は(4)の物性を
満たす請求項1記載のポリウレタン弾性糸。 (3)繊度変動率が3%以下であること。 (4)応力巾指数が1.3以下であること。 請求項3:ウエストゴム部と、パンティ部と、脚部と、
フート部とを含むストッキングにおいて、少なくとも脚
部が、請求項1又は2記載のポリウレタン弾性糸を芯糸
とし、この芯糸に非弾性糸を巻回してなる被覆弾性糸の
みで形成されると共に、下記(i)〜(iii)の物性
を満たすことを特徴とするストッキング。 (i)被覆弾性糸の撚数変動率が5%以下であること。 (ii)非弾性糸に対する芯糸の引伸し倍率変動率が3
%以下であること。 (iii)編込糸長変動が4%以下であること。 請求項4:ウエストゴム部と、パンティ部と、脚部と、
フート部とを含むストッキングの製造方法において、少
なくとも脚部が請求項1又は2記載のポリウレタン弾性
糸を芯糸とし、この芯糸に非弾性糸を巻回してなる被覆
弾性糸のみを用い、下記(i)〜(iii)の物性を満
たすように形成することを特徴とするストッキングの製
造方法。 (i)被覆弾性糸の撚数変動率が5%以下であること。 (ii)非弾性糸に対する芯糸の引伸し倍率変動率が3
%以下であること。 (iii)編込糸長変動が4%以下であること。
【0018】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明のポリウレタン弾性糸は、(A)ポリオール
とジイソシアネートと低分子量ジオールとを反応させて
得られる両末端水酸基プレポリマーと、(B)ポリオー
ルとジイソシアネートを反応させて得られる両末端イソ
シアネート基プレポリマーとを反応させて得られるポリ
マーを溶融紡糸してなり、下記(1)及び(2)の物性
を満たすものである。 (1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)分析による分散指数(Mw/Mn)が2.2≦Mw
/Mn≦2.8(但し、Mwは重量平均分子量、Mnは
数平均分子量を示す)であること。 (2)粘弾性測定による損失正接(tanδ)の主分散
ピーク温度(Ttanδ)が−5℃≦Ttanδ≦5℃
であること。
【0019】ここで、(1)の分散指数(Mw/Mn)
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)法によるポリマーの重量平均分子量(Mw)と数平
均分子量(Mn)との比であり、一般に、分子量分布の
広がりを示す指標とされているが、本発明のポリウレタ
ン弾性糸においてはポリマーの溶融特性判断の指標とし
て重要なものである。
【0020】この場合、本発明のポリウレタン弾性糸
は、分散指数(Mw/Mn)が2.2≦Mw/Mn≦
2.8、好ましくは2.3≦Mw/Mn≦2.5であ
る。
【0021】分散指数(Mw/Mn)が小さすぎると、
糸が弱くなり、紡糸中に糸切れが多発し、また、得られ
るポリウレタン弾性糸の繊度斑が大きくなり、カバリン
グ工程、編み立て工程、及び染色工程でもトラブルが発
生しやすくなる。分散指数(Mw/Mn)が小さくなる
原因としては、残留NCO%が高すぎるか、設定温度が
高すぎて溶融粘度が低下する場合等が考えられる。一
方、分散指数(Mw/Mn)が大きすぎると、高粘度、
異常反応物の発生により紡糸工程が不安定となり、目的
とする特性のポリウレタン弾性糸が得られない。分散指
数(Mw/Mn)が大きくなる原因としては、合成、紡
糸工程の設定条件が不適切となるか、又は局部異常反応
などの工程制御が不充分である場合等が考えられる。
【0022】このようなGPCにおける分散指数(Mw
/Mn)は、ポリウレタン弾性糸の製造工程における、
下記(a)〜(d)が影響する。 (a)ポリマー中の窒素含有量(N%) (b)紡糸直後の糸中に残留するNCO基の量(NCO
%) (c)各ポリマー合成における反応条件(温度、時間、
攪拌条件) (d)紡糸条件(特に紡糸温度)
【0023】これら(a)〜(d)は、単独又は互に影
響し合って複雑に作用するので、必ずしも一義的には決
められないが、凡そ下記(イ)〜(ハ)に示したような
傾向が認められ、これらの傾向を参考にして条件を種々
調整することにより、分散指数(Mw/Mn)の範囲を
設定することができる。 (イ)N%が高くなるほど分散指数(Mw/Mn)は大
きくなる。 (ロ)NCO%が低くなるほど分散指数(Mw/Mn)
は大きくなる。 (ハ)合成条件及び紡糸条件は紡出されるポリマーの溶
融粘度と密接な関係があり、溶融粘度を高くすると分散
指数(Mw/Mn)は大きくなる。
【0024】また、本発明のポリウレタン弾性糸は、上
記(1)の分散指数(Mw/Mn)の範囲を満たすと同
時に、(2)粘弾性測定による損失正接(tanδ)の
主分散ピーク温度(Ttanδ)が−5℃≦Ttanδ
≦5℃であるものである。
【0025】ここで、損失正接(tanδ)とは動的粘
弾性特性の測定から得られるポリマーの性質に関する指
標であり、主分散ピーク温度(Ttanδ)は個々のポ
リウレタン弾性糸についてtanδが最大となる温度を
示すものである。
【0026】ポリウレタン弾性糸は、わずかな外力によ
って伸びの状態が変わり易いため、カバリング工程で糸
道ガイドやスピンドル内通過時の摩擦抵抗の影響を受け
て、引伸し倍率が局部的に不安定になる場合がある。こ
のため、斑の少ないカバリング糸を得る観点から、ポリ
ウレタン弾性糸は外力に対する変形(伸び)が少ないも
のであることが望ましい。
【0027】また、ポリウレタン弾性糸は伸長状態で保
存すると、構成ポリマーの特性にもよるが、一時的に固
定された状態になり、伸度が低下し、その後、熱処理な
どのリラックス工程を経て元の伸度を回復する性質(こ
の性質を「仮セット性」と称する。)を有しており、こ
の仮セット性はTtanδの温度域で最大となる。
【0028】この場合、ポリウレタン弾性糸が仮セット
されると、糸の変形に対する外力の影響が少なくなるの
で、カバリング工程の安定性の観点からは、弾性糸が適
度な仮セット性を有していることが望ましい。仮セット
可能な温度はポリマーの特性により異なり、一般に従来
の乾式又は湿式紡糸で製造されているポリウレタン弾性
糸の多くは極めて低温度域にあり、室温域では殆ど仮セ
ット性はない。これに対し、溶融紡糸用ポリマーの多く
は比較的室温に近いところに存在している。
【0029】本発明者は、弾性糸の物性とカバリング工
程の安定性、糸むらの発生状況との関係から、粘弾性測
定による損失正接(tanδ)の主分散ピーク温度(T
tanδ)の範囲としては−5℃≦Ttanδ≦5℃、
好ましくは−4℃≦Ttanδ≦4℃であると知見し
た。
【0030】主分散ピーク温度(Ttanδ)が低すぎ
ると、室温付近での仮セット性が少なく、伸びやすいた
め、カバリング時に糸道ガイドなどの抵抗により糸の伸
長状態が安定しにくく、倍率斑が大きくなる。一方、T
tanδが高すぎると室温付近での仮セット性は大きく
なるが、糸は全体に伸度不足気味の硬い感じのものとな
り、糸切れが発生しやすく、カバリング工程は安定しな
いので、ストッキングとしたときに均一な編み面の製品
が得られない。
【0031】相異なるガラス転移温度(Tg)を有する
物質の均一混合系のガラス転移温度Tgobsは、各成分
の持つガラス転移温度(Tgn)とその構成質量分率
(Wn)の関数として表され、また、TtanδはTg
に依存することが示唆されている(「新版熱分析」p1
89〜、神戸ほか著 講談社)。また一般に、ポリマー
ジオールのTgに関しては、ポリエーテルジオールは低
い値であり、ポリエステルジオール、ポリカーボネート
ジオールは高い値を示すことがわかっている。このため
ポリウレタン弾性糸のTtanδとして前記のような所
望のTtanδを得るには、ポリマージオールとして適
合するTgを有する単独のポリマージオールを選択する
か、またはTgの異なる複数のポリマージオールを混合
して使用することにより達成することができる。
【0032】本発明のポリウレタン弾性糸は、上記
(1)及び(2)の物性を満たすものであるが、ストッ
キングの被覆弾性糸の芯糸として使用するためには、こ
れら物性に加えて繊度と応力の均一性が要求され、均一
できれいなストッキング編地を得るためには、更に、下
記(3)及び/又は(4)の物性を満たすことが好まし
い。 (3)繊度変動率が3%以下であること。 (4)応力巾指数が1.3以下であること。
【0033】上記(3)の繊度変動率は、静電容量方式
の繊度変動測定機を用い、ポリウレタン弾性糸を2倍に
伸長した状態で走行させ、所定の条件で連続測定し、そ
の変動率(CV%)で表わしたものである。繊度変動率
が3%以下、好ましくは2.5%以下である。
【0034】上記(4)の応力巾指数は、ポリウレタン
弾性糸を2倍伸長した状態で所定の条件で連続走行時の
応力を測定し、各チーズ毎の1分間の測定平均値をその
チーズの応力値とする。弾性糸ロットの中で各チーズ応
力値のうち、最大と最小のものをそれぞれ最大応力値
(Tmax)と最小応力値(Tmin)とし、これらの
比(Tmax/Tmin)を応力巾指数(TI)とした
ものである。
【0035】ここで、上記(3),(4)の物性は、ポ
リウレタン弾性糸の紡糸工程の安定性と密接に関係する
ものであり、紡糸工程が安定であると上記(3)及び
(4)の物性をクリアすることは容易であるが、逆に、
紡糸工程が不安定となり、弾性糸の繊度と応力の均一性
について、これら(3)及び(4)の物性の範囲を超え
ると、カバリング工程以下の後工程が正常であっても、
最終製品であるストッキングに横縞やその他の欠点、異
常が発生し易く、キメ細かく美しい編地のストッキング
が得られない場合がある。
【0036】上記(1)及び(2)の物性、好ましくは
上記(3)及び/又は(4)の物性を備えた本発明ポリ
ウレタン弾性糸は、(A)ポリオールとジイソシアネー
トと低分子量ジオールとを反応させて得られる両末端水
酸基プレポリマーと、(B)ポリオールとジイソシアネ
ートを反応させて得られる両末端イソシアネート基プレ
ポリマーとを反応させて得られるポリマーを溶融紡糸す
ることにより得ることができる。
【0037】ここで、(A),(B)成分のプレポリマ
ーを構成するポリオールとしては、目的とする物性を得
ることができるものであれば特に制限されず、重量平均
分子量が600〜3000のポリマージオールを用いる
ことが好ましい。
【0038】このようなポリマージオールとしては、ポ
リエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリ
カーボネートグリコールなどを用いることができる。
【0039】ポリエーテルグリコールとしては、例えば
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒ
ドロフラン等の環状エーテルの開環重合により得られる
ポリエーテルジオール;エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキ
サンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール
等のグリコールの重縮合により得られるポリエーテルグ
リコールなどが例示できる。
【0040】ポリエステルグリコールとしては、例えば
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−
ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペン
チルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチ
ル−1,5−ペンタンジオール等のグリコール類から選
ばれる少なくとも1種と、アジピン酸、セバシン酸、ア
ゼライン酸等の二塩基酸類から選ばれる少なくとも1種
との重縮合によって得られるポリエステルグリコール;
ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類の
開環重合により得られるポリエステルグリコールなどが
例示される。
【0041】ポリカーボネートグリコールとしては、例
えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の
ジアルキルカーボネート;エチレンカーボネート、プロ
ピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;ジフ
ェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等のジア
リールカーボネートなどから選ばれる少なくとも1種の
有機カーボネートと、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサ
ンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールな
どから選ばれる少なくとも1種の脂肪族ジオールとのエ
ステル交換反応によって得られるカーボネートグリコー
ルなどが例示される。
【0042】なお、上記例示したポリエーテルグリコー
ル、ポリエステルグリコール、又はポリカーボネートグ
リコールは1種を単独で又は2種以上を組合わせて用い
ることができる。
【0043】(A),(B)成分のプレポリマーを構成
するジイソシアネートとしては、ポリウレタンの製造に
際して通常使用されている脂肪族系、脂環式系、芳香族
系、芳香脂肪族系等の任意のジイソシアネートを使用す
ることができる。
【0044】このようなジイソシアネートとしては、例
えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
2,4−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレ
ンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシ
アネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’
−シクロヘキシルジイソシアネートなどが挙げられ、こ
れらの1種を単独で又は組合わせて用いることができ
る。
【0045】(A)成分のプレポリマーを構成する鎖延
長剤である低分子量ジオールとしては、イソシアネート
と反応し得る2個の活性水素原子を有する一般に分子量
が500以下の低分子量化合物が使用される。
【0046】このような低分子量ジオールとしては、例
えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−
メチル−1,5−ペンタンジオールなどの脂肪族ジオー
ル類を用いることができ、これらの1種を単独で又は組
合わせて用いることができる。これらの中でも1,4−
ブタンジオールが好ましい。
【0047】なお、上記(A),(B)成分のプレポリ
マーには、必要に応じて、分散指数(Mw/Mn)、主
分散ピーク温度(Ttanδ)等の物性に影響を与えな
い範囲で酸化防止剤、紫外線防止剤、着色剤、滑剤、触
媒、難燃剤、充填剤などの任意成分を添加することがで
きる。
【0048】本発明のポリウレタン弾性糸は、上記
(A),(B)成分のプレポリマーを反応機に供給し、
反応終了後にポリマーを固化することなく連続的に溶融
紡糸することにより得ることができるものである。
【0049】この場合、ポリマーの合成は、(I)両末
端水酸基プレポリマーの合成と、(II)両末端イソシ
アネート基プレポリマーの合成と、(III)これら二
つの合成されたプレポリマーを反応機に導き、連続的に
反応させる紡糸用ポリマーの合成の3つの反応で構成さ
れるが、原料の組成比は上記3つの反応を通算して、全
ジイソシアネートのモル量と、全ポリマージオール及び
全低分子量ジオールの合計モル量とのモル比(NCO
比)が1.03〜1.18であることが好ましい。
【0050】具体的には、上記(I)の両末端水酸基プ
レポリマーの合成は、所定のモル比でポリマージオール
とジイソシアネートを反応させ、次いで得られる前駆体
と低分子量ジオールとを反応させる。反応条件は50〜
130℃で30〜100分、好ましくは60〜120℃
で50〜70分である。反応方式は合成釜を使用したバ
ッチ方式でも、二軸混練機を用いた連続方式であっても
構わない。
【0051】(II)の両末端イソシアネート基プレポ
リマーの合成は、所定のモル比でポリマージオールとジ
イソシアネートとを仕込んで反応させる。なお、このと
き必要に応じてポリマージオールの所定モル数の一部を
低分子量ジオールで置換しても構わない。この場合、低
分子量ジオールは同時に仕込んで反応させるか、又はポ
リマージオールとジイソシアネートとのプレポリマー反
応終了後に低分子量ジオールを加えて反応させることが
できる。反応条件は50〜130℃で30〜100分、
好ましくは60〜120℃で50〜70分である。反応
方式は合成釜を使用したバッチ方式でも、二軸混練機を
用いた連続方式であっても構わない。
【0052】(III)の紡糸用ポリマーの合成は、一
定比率で送り込まれた(A),(B)2種類のプレポリ
マーを、連続的に混合攪拌させながら反応させて出口に
送り出す機構を備えた反応機を用い、連続反応させて紡
糸用ポリマーが得られる。反応条件は160〜220℃
で1〜90分、好ましくは180〜210℃で1〜60
分である。
【0053】本発明のポリウレタン弾性糸は、合成され
た紡糸用ポリマーが流動状態を示しているうちに、紡糸
温度180〜230℃でノズルより連続的に押出した
後、冷却し、紡糸油剤を付着せしめて巻取ることによっ
て得られる。この場合、紡糸された直後の糸に残留する
NCO%が0.3〜1.2質量%、特に0.5〜0.9
質量%であることが好ましい。
【0054】ここで、NCO%とは全ポリマー質量に対
する残留している活性NCO基の質量の百分率をいう。
NCO%が低すぎると熱セット性は良好であるが、耐熱
性や弾性性能が低下し、ストッキングとして望ましい締
め付け力が得られない場合がある。一方、NCO%が高
すぎると紡糸工程での安定性が低下し、繊度斑や糸切れ
が発生し易くなる場合がある。なお、NCO%の調整は
(A),(B)の2種類のプレポリマーの注入比率を変
えることにより行うことができる。
【0055】次に、本発明のストッキングは、ウエスト
ゴム部と、パンティ部と、脚部と、フート部とを含み、
少なくとも脚部が、上記本発明のポリウレタン弾性糸を
芯糸とし、この芯糸に非弾性糸を巻回してなる被覆弾性
糸のみで形成されるものである。ここで、フート部とは
ヒール部〜トウ部までの部分を指す。本発明のストッキ
ングは、ウエストゴム部と、パンティ部と、脚部と、フ
ート部の全体を本発明被覆弾性糸で形成してもよく、必
要に応じて脚部以外は異なる種類の糸を使用しても構わ
ない。
【0056】本発明の被覆弾性糸は、上記本発明ポリウ
レタン弾性糸を所定倍率に引伸ばし、これにナイロンフ
ィラメント等の非弾性糸を所定回数巻回して作成される
(シングルカバリングヤーン)。また、シングルカバリ
ングヤーンの上に更に非弾性糸を逆方向に巻き付けて作
成することもできる(ダブルカバリングヤーン)。被覆
弾性糸単独使いのストッキングには、通常シングルカバ
リングヤーンが使用されるが、ダブルカバリングヤーン
を用いることもできる。
【0057】なお、非弾性糸については、通常は6ナイ
ロン等のナイロンが使用されるが、特に限定されず、ポ
リエステル、アクリル等の一般合成繊維フィラメント糸
などが使用可能である。
【0058】本発明の被覆弾性糸は、下記(i)及び
(ii)を満たすものである。 (i)被覆弾性糸の撚数変動率が5%以下であること。 (ii)非弾性糸に対する芯糸の引伸し倍率変動率が3
%以下であること。また、本発明において、被覆弾性糸
のみで作成された編地を、均一な表面のきれいな編み面
とするためには、編み立て工程での編込糸長の均一化が
必須であり、下記(iii)の物性を満たすことが必要
である。 (iii)編込糸長変動が4%以下であること。
【0059】ここで、被覆弾性糸単独使いのストッキン
グの製造における最大不良要因である横縞発生原因を抑
えるには、カバリング工程において上記(i)及び(i
i)の物性を満たすことが必要である。
【0060】ここで、(i)撚数変動率は、被覆弾性糸
を50cm取り、所定の荷重下で撚数を測定し、その変
動率(TCV(%))を算出したものである。撚数変動
率が5%以下、好ましくは4%以下である。
【0061】(ii)引伸し倍率変動率は、被覆弾性糸
を50cm取り、撚数測定を行った後、沸騰水中で5分
間収縮させた後、ポリウレタン弾性糸の長さを測定し、
その変動率(DCV(%))を算出したものである。引
伸し倍率変動率が3%以下、好ましくは2%以下であ
る。
【0062】これら(i)及び(ii)の物性の範囲を
超えると、ストッキングの編み立て以下の後工程が正常
であっても、最終製品ストッキングに横縞やその他の欠
点、異常が発生し易く、キメ細かく美しい編地のストッ
キングは得られない。
【0063】このカバリング工程において、被覆弾性糸
の撚数変動及び引伸し倍率変動の発生する要因は多岐に
わたるが、通常、基本的な制御が必要とされるものとし
ては、スピンドル回転数、ポリウレタン弾性糸の送り出
し速度、巻き取り速度、解舒の均一性などが挙げられ
る。図1に、本発明の被覆弾性糸の製造工程(カバリン
グ工程)を示す。なお、図1中1はポリウレタン弾性糸
チーズ、2はフィードロール、3は中空スピンドル、4
は駆動ベルト、5は非弾性(ナイロン)ボビン、6はデ
リベリロール、7はテークアップロール、8は被覆弾性
糸(カバリング糸)チーズ、aは芯糸(ポリウレタン弾
性糸)、bは非弾性糸(ナイロン)をぞれぞれ示す。
【0064】カバリング工程において上記(i)及び
(ii)の物性を満たすには、図1の合撚点cを安定さ
せることが必要である。
【0065】カバリング工程で芯糸a(ポリウレタン弾
性糸)と、ナイロン等の巻回する非弾性糸bとの合撚点
の位置は、定常時はガイドdの真下の位置にあるが、被
覆非弾性糸のバルーンテンションの変動に伴って、周期
的又は不規則的に移動することがある。即ち、バルーン
テンションが大きくなりすぎると合撚点はガイドdの真
下位置cより下方のc’への移動を繰り返す。この現象
は主として撚数の局部変動要因となり、また、引伸し倍
率変動にも影響している。
【0066】また、引伸ばされたポリウレタン弾性糸
(芯糸)がスピンドル孔内を回転バルーン状で通過する
ときに生じる内壁と弾性糸との接触抵抗の変動が、芯糸
の引伸ばし倍率の局部変動の直接的要因となり、更に撚
数変動にも影響する。
【0067】この場合、合撚点cを静止状態に保ち、撚
数変動率を3%以下、好ましくは2%以下に保つための
条件として、図1において、ナイロンボビン5の長さを
Aとし、このボビン5の上端とガイドdとの距離をBと
すると、これらの比(B/A)が0.4〜1.0、特に
0.7とすることが好ましい。B/Aが1.0を超える
と撚斑が大きくなりすぎる場合があり、一方、B/Aが
0.4未満では糸切れが発生し易くなる場合がある。
【0068】また、図1に示した芯糸aのスピンドル3
への入出(上下)角度(θ)が5〜30°、好ましくは
10°とすることにより変動を抑止することができる。
【0069】本発明の被覆弾性糸のみで作成された編地
を、均一な表面のきれいな編み面とするためには、編み
立て工程において編込糸長の均一化が必須である。
【0070】ここで、編込糸長変動は、編地上の一定長
さ内に編み込まれている糸長さである編込糸長の誤差を
示すものである。編地を解編し、所定の加重にて、丸編
地の1周分の糸長さを測定し、同一編地試料から5回測
定し、糸長さの平均をL1、糸長の最大と最小との差L2
とを求め、編込糸長変動LV(%)=(L2/L1)×1
00を算出するものである。編込糸長変動が4%以下、
好ましくは2%以下である。編込糸長変動が大きすぎる
と、以後の工程が正常であっても、最終製品であるスト
ッキングに横縞やその他の欠点、異常が発生しやすく、
キメ細かく美しい編地のストッキングを得ることができ
ない。
【0071】編込糸長変動を上記の範囲とするために
は、編機での条件調整が必要であり、給糸口間の差を極
力少なくする必要があるが、更に、編み込みテンション
(編み機給糸口直前での張力)を極力均一に保ち、張力
変動幅を10%以下に保つことが望ましい。このため、
被覆弾性糸チーズからの解舒張力は1g以下とし、編機
には各給糸口毎に積極給糸装置を付設することが望まし
い。
【0072】本発明のストッキングの製造方法は、ウエ
ストゴム部と、パンティ部と、脚部と、フート部とを含
み、少なくとも脚部が本発明ポリウレタン弾性糸を芯糸
とし、この芯糸に非弾性糸を巻回してなる被覆弾性糸の
みを用い、下記(i)〜(iii)の物性を満たすよう
に形成するものであり、これにより、工程管理が容易で
高品質なストッキングを効率良く製造することができる
ものである。 (i)被覆弾性糸の撚数変動率が5%以下であること。 (ii)非弾性糸に対する芯糸の引伸し倍率変動率が3
%以下であること。 (iii)編込糸長変動が4%以下であること。
【0073】なお、編み立てられたストッキングは、常
法に従って縫製、染色を行った後、板状の脚型に入れて
蒸気又は熱風でセットすることにより製造される。
【0074】このようにして得られる本発明ストッキン
グは、糸自身の太さと応力との均整度が高く、適度な熱
セット性を有し、熱セット後にも有効な応力(適度な締
め付け力)を保持することができるポリウレタン弾性糸
を被覆弾性糸の芯糸として用い、この被覆弾性糸のみで
少なくとも脚部を形成したことにより、従来の欠点及び
課題を解消し得、横縞の発生がなく、キメ細かく美しい
編地であって、かつ着用しやすくソフトな締め付け感を
有する被覆弾性糸単独使いのストッキングが得られるも
のである。
【0075】なお、本発明の対象となるストッキング
は、パンティーストッキング(“タイツ”と称されるや
や厚地の製品を含む)、ロングストッキング、ショート
ストッキングなどに代表されるストッキング製品に幅広
く適用できるものである。
【0076】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更
に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限さ
れるものではない。
【0077】〔実施例1〕ポリマージオールとして両末
端に水酸基を持つポリエチレンアジペート(以下、PE
Aという;数平均分子量2,000)204質量部を、
ジイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネ
ート(以下、MDIという)49質量部に対して徐々に
加え、反応温度が80℃を超えないように管理しなが
ら、反応時間60分の条件で反応させて前駆物質を得
た。次いで、低分子量ジオールとして1,4−ブタンジ
オール(BD)67質量部に対し前駆物質を徐々に加え
ながら、反応温度90℃、反応時間60分の条件で反応
させて両末端水酸基プレポリマーを得た。
【0078】ポリマージオールとしてPEA(数平均分
子量2,000)443質量部、ジイソシアネートとし
てMDIを242質量部の割合で、反応温度80℃、反
応時間60分の条件で反応させて、両末端イソシアネー
ト基プレポリマーを得た。
【0079】このようにして得られた両末端水酸基プレ
ポリマー320質量部に対して両末端イソシアネート基
プレポリマー685質量部の割合で、ロータータイプの
掻面型熱交換式反応機に連続的に注入し、反応温度19
0℃、反応時間30分の条件下で混合攪拌した。
【0080】ポリマー中の残留NCO%が0.8質量%
となった時点で直ちに紡糸ポンプにより、紡糸温度19
1℃でノズルを通して押出して溶融紡糸し、鉱物油主体
の油剤を付与後、800m/分で22dtexのポリウ
レタン弾性糸を巻き取った。紡糸の状態は安定であり、
良好であった。
【0081】得られたポリウレタン弾性糸の原料として
用いられたジオール(PEA及びBD)の合計モル量と
ジイソシアネート(MDI)のモル量の比(NCO比)
は1.09であり、ポリマー中の窒素含有量(N%)は
3.2質量%であった。また、紡糸したチーズを室温に
て5日間放置後におけるポリウレタン弾性糸の諸物性を
下記方法で測定した。結果を表1に示す。
【0082】<GPCにおける分散指数(Mw/Mn)>
サンプルの調製は、ポリウレタン弾性糸試料を長さ約3
mm以下に細かく刻み0.03g秤量した。そこに、水
素結合を切断するための塩化リチウム(分子量42.
4)を30mmol/Lの濃度に調整したジメチルアセ
トアミド(DMAC)溶液でポリマー濃度が0.3質量
%となるように溶液を加え、室温で1時間膨潤させた。
その後、100℃のオイルバス中で、サンプルの熱履歴
を統一するために正確に10分間振盪して、糸を完全に
溶解し、室温放熱により室温まで冷却してサンプルを調
製した。このサンプルを用いて下記GPC測定条件に従
って分散指数(Mw/Mn)を測定した。GPC測定条件 測定装置 :島津製作所製LC−10 カラム温度:50℃ 移動相 :塩化リチウム30mmol/L DMAC
溶液 流量 :1ml/min カラム :昭和電工製Shohdex KD806M
を3本とKD801を1本の合計4本を連結して使用し
た。 検量線 :GPC標準試料のポリスチレンを分析して
求めたMw/Mnは付属のソフトを利用し、主ピークに
ついてのみ解析した。
【0083】<粘弾性測定(Ttanδ)>粘弾性測定
は、オリエンテック製レオバイブロンDDV−2型を使
用し、糸を20本弛まないように両端をセロテープ(登
録商標)等の粘着面に並べて固定し、下記条件で測定し
た。測定条件 把握長 :1cm 振動周波数 :110Hz 振幅 :±0.016mm 昇温速度 :3℃/min 測定温度範囲:−100℃〜230℃ 得られたtanδの温度依存性から、ガラス状態からゴ
ム状態への変化に対応した転移強度の大きい主分散での
ピーク温度をTtanδとして読み取った。
【0084】<繊度変動率(CV(%))>計測器工業
(株)社製イブネステスターC型を使用し、ポリウレタ
ン弾性糸を2倍伸長した状態で連続走行させ、下記測定
条件により各チーズの繊度変動率を測定した。 測定条件 走行速度:100m/分、 測定時間:2分間 測定評価長:30cm ポリウレタン弾性糸各チーズ毎に3回変動率の測定を行
い、その平均値を繊度変動率(CV(%))とした。
【0085】<応力巾指数(TI)>ポリウレタン弾性糸
を2倍伸長した状態で下記測定条件により連続走行時の
応力を測定し、各チーズ毎の1分間の平均値をそのチー
ズの応力値とする。測定条件 送り出し速度:25m/分 巻取り速度:50m/分 カバリング工程に供されるポリウレタン弾性糸ロットの
中で各チーズ応力値のうち、最大と最小のものをそれぞ
れ最大応力値(Tmax)と最小応力値(Tmin)と
し、これらの比(Tmax/Tmin)を応力巾指数
(TI)とした。
【0086】〔実施例2〕ポリマージオールとして両末
端に水酸基を持つポリテトラメチレンエーテルグリコー
ル(以下、PTMGという;数平均分子量1,000)
を111質量部、ジイソシアネートとしてMDIを54
質量部、低分子量ジオールとしてBDを60質量部の割
合とし、実施例1と同一反応方法及び温度条件で反応さ
せて両末端水酸基プレポリマーを得た。
【0087】ポリマージオールとしてPEA(数平均分
子量2,000)を542質量部、ジイソシアネートと
してMDIを232質量部の割合で実施例1と同一条件
により、両末端イソシアネート基プレポリマーを得た。
【0088】このようにして得られた両末端水酸基プレ
ポリマー225質量部に対して両末端イソシアネート基
プレポリマー774質量部の割合で、実施例1と同一条
件でノズルより押出して溶融紡糸し、鉱物油主体の油剤
で処理後、800m/分で22dtexのポリウレタン
弾性糸を巻き取った。紡糸の状態は安定良好であった。
【0089】得られたポリウレタン弾性糸の原料として
用いられたジオール(PTMG、PEA及びBD)の合
計モル量とジイソシアネート(MDI)のモル量の比
(NCO比)は1.09であり、ポリマー中の窒素含有
量(N%)は3.2質量%であった。また、紡糸したチ
ーズを室温にて5日間放置後におけるポリウレタン弾性
糸の諸物性を同様に測定した。結果を表1に示す。
【0090】〔実施例3〕実施例2の両末端水酸基プレ
ポリマー225質量部に対して実施例2の両末端イソシ
アネート基プレポリマー774質量部の割合で、二軸押
出し機に連続的に供給し、反応温度220℃、反応時間
15分の条件下で混合攪拌した。
【0091】得られた粘稠物を直ちに紡糸ポンプにより
紡糸温度189℃でノズルを通して押出し、鉱物油主体
の油剤で処理後、800m/分で22dtexの溶融紡
糸法によるポリウレタン弾性糸を巻き取った。紡糸の状
態は安定良好であった。
【0092】得られたポリウレタン弾性糸の原料として
用いられたジオール(PTMG、PEA及びBD)の合
計モル量とジイソシアネート(MDI)のモル量の比
(NCO比)は1.08であり、ポリマー中の窒素含有
量(N%)は3.2質量%であった。また、紡糸したチ
ーズを室温にて5日間放置後におけるポリウレタン弾性
糸の諸物性を同様に測定した。結果を表1に示す。
【0093】〔比較例1〕ポリマージオールとして実施
例2と同じPTMG(数平均分子量1,000)を11
1質量部、ジイソシアネートとしてMDIを54質量
部、低分子量ジオールとしてBDを60質量部の割合と
し、実施例1と同一反応方法及び温度条件で反応させて
両末端水酸基プレポリマーを得た。
【0094】ポリマージオールとしてPTMG(数平均
分子量2,000)を500質量部、ジイソシアネート
としてMDIを214質量部の割合で実施例1と同一条
件により、両末端イソシアネート基プレポリマーを得
た。
【0095】このようにして得られた両末端水酸基プレ
ポリマー225質量部に対して両末端イソシアネート基
プレポリマー714質量部の割合で混合攪拌し、紡出ポ
リマー中の残留NCO%が0.4質量%となった時点で
直ちに紡糸ポンプにより、紡糸温度192℃でノズルを
通して押出して溶融紡糸し、ジメチルシリコーン主体の
油剤で処理後、800m/分で22dtexのポリウレ
タン弾性糸を巻取った。紡糸の状態はやや不安定であっ
た。
【0096】得られたポリウレタン弾性糸の原料として
用いられたジオール(PTMG、PEA及びBD)の合
計モル量とジイソシアネート(MDI)のモル量の比
(NCO比)は1.04であり、ポリマー中の窒素含有
量(N%)は3.2質量%であった。また、紡糸したチ
ーズを室温にて5日間放置後におけるポリウレタン弾性
糸の諸物性を同様に測定した。結果を表2に示す。
【0097】〔比較例2〕ポリマージオールとしてポリ
−3−メチル−ペンタメチレンアジペート(以下、PM
PAという;数平均分子量2,000)を579質量
部、ジイソシアネートとしてMDIを220質量部の割
合で、実施例1と同一反応方法及び温度条件で反応させ
て両末端イソシアネート基プレポリマーを得た。
【0098】実施例2と同様の両末端水酸基プレポリマ
ー201質量部に対し、上記両末端イソシアネート基プ
レポリマーを799質量部の割合で、掻面型熱交換式反
応機に連続的に注入し、反応温度190℃、反応時間3
0分の条件下で混合攪拌した。紡出ポリマー中の残留N
CO%が0.75質量%となった時点で直ちに紡糸ポン
プにより紡糸温度190℃でノズルを通して押出して溶
融紡糸し、ジメチルシリコーン油主体の油剤で処理後、
700m/分で22dtexのポリウレタン弾性糸を巻
き取った。
【0099】得られたポリウレタン弾性糸の原料として
用いられたジオール(PMPA、PTMG及びBD)の
合計モル量とジイソシアネート(MDI)のモル量の比
(NCO比)は1.09であり、ポリマー中の窒素含有
量(N%)は3.0質量%であった。また、紡糸したチ
ーズを室温にて5日間放置後におけるポリウレタン弾性
糸の諸物性を同様に測定した。結果を表2に示す。
【0100】〔比較例3〕比較例2と同様の両末端水酸
基プレポリマーと両末端イソシアネート基プレポリマー
を用いて、両末端水酸基プレポリマー215質量部に対
し、上記両末端イソシアネート基プレポリマー785質
量部の割合で、比較例2と同一条件で混合攪拌した。紡
出ポリマー中の残留NCO%が0.37質量%となった
時点で直ちに紡糸ポンプにより紡糸温度190℃でノズ
ルを通して押出して溶融紡糸し、ジメチルシリコーン油
主体の油剤で処理後、700m/分で22dtexのポ
リウレタン弾性糸を巻き取った。
【0101】得られたポリウレタン弾性糸の原料として
用いられたジオール(PMPA、PTMG及びBD)の
合計モル量とジイソシアネート(MDI)のモル量の比
(NCO比)は1.04であり、ポリマー中の窒素含有
量(N%)は3.0質量%であった。また、紡糸したチ
ーズを室温にて5日間放置後におけるポリウレタン弾性
糸の諸物性を同様に測定した。結果を表2に示す。
【0102】〔比較例4〕ポリマージオールとしてPT
MG(数平均分子量2,000)を160質量部とポリ
カーボネートジオール(以下、PCDという;数平均分
子量2,000)を69質量部、ジイソシアネートとし
てMDIを56質量部、低分子量ジオールとしてBDを
62質量部の割合とし、実施例1と同一反応方法及び温
度条件で反応させて両末端水酸基プレポリマーを得た。
【0103】ポリマージオールとしてPTMG(数平均
分子量2,000)を309質量部とPCD(数平均分
子量2,000)を132質量部、ジイソシアネートと
してMDIを212質量部の割合で実施例1と同一条件
により、両末端イソシアネート基プレポリマーを得た。
【0104】このようにして得られた両末端水酸基プレ
ポリマー347質量部に対して両末端イソシアネート基
プレポリマー653質量部の割合で混合攪拌し、紡出ポ
リマー中の残留NCO%が0.69質量%となった時点
で直ちに紡糸ポンプにより紡糸温度193℃でノズルよ
り押出して溶融紡糸し、ジメチルシリコーン主体の油剤
で処理後、600m/分で22dtexのポリウレタン
弾性糸を巻き取った。
【0105】得られたポリウレタン弾性糸の原料として
用いられたジオール(PTMG、PCD及びBD)の合
計モル量とジイソシアネート(MDI)のモル量の比
(NCO比)は1.05であり、ポリマー中の窒素含有
量(N%)は3.0質量%であった。また、紡糸したチ
ーズを室温にて5日間放置後におけるポリウレタン弾性
糸の諸物性を同様に測定した。結果を表2に示す。
【0106】〔比較例5〕ポリマージオールとしてPT
MG(数平均分子量2,000)を115質量部とPC
D(数平均分子量2,000)を115質量部、ジイソ
シアネートとしてMDIを56質量部、低分子量ジオー
ルとしてBDを62質量部の割合とし、実施例1と同一
反応方法及び温度条件で反応させて両末端水酸基プレポ
リマーを得た。
【0107】ポリマージオールとしてPTMG(数平均
分子量2,000)を221質量部とPCD(数平均分
子量2,000)を221質量部、ジイソシアネートと
してMDIを212質量部の割合で実施例1と同一条件
により、両末端イソシアネート基プレポリマーを得た。
【0108】このようにして得られた両末端水酸基プレ
ポリマー348質量部に対して両末端イソシアネート基
プレポリマー654質量部の割合で混合攪拌し、紡出ポ
リマー中の残留NCO%が0.88質量%となった時点
で直ちに紡糸ポンプにより紡糸温度193℃でノズルよ
り押出して溶融紡糸し、ジメチルシリコーン主体の油剤
で処理後、600m/分で22dtexのポリウレタン
弾性糸を巻き取った。
【0109】得られたポリウレタン弾性糸の原料として
用いられたジオール(PTMG、PCD及びBD)の合
計モル量とジイソシアネート(MDI)のモル量の比
(NCO比)は1.05であり、ポリマー中の窒素含有
量(N%)は3.0質量%であった。また、紡糸したチ
ーズを室温にて5日間放置後におけるポリウレタン弾性
糸の諸物性を同様に測定した。結果を表2に示す。
【0110】〔比較例6〕ポリマージオールとしてPT
MG(数平均分子量1,965)を36.6質量部と、
ジイソシアネートとしてMDIを8.4質量部とを合成
槽にて60℃で90分間攪拌反応させて、両末端にイソ
シアネート基を持ったプレポリマーを合成し、17.5
質量部のジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し
た。次に、エチレンジアミン0.9質量部とジブチルア
ミン0.1質量部とをDMAc22質量部に溶解した溶
液を前記プレポリマー溶液に滴下し、攪拌して反応を完
結させた後、DMAcを追加してポリマー濃度が25質
量%の紡糸原液を得た。
【0111】得られた紡糸原液を通常の乾式紡糸方式に
より紡糸(600m/分)し、22dtex(構成フィ
ラメント数2本)のポリウレタン弾性糸を作製した。得
られたポリウレタン弾性糸のポリマー中の窒素含有量
(N%)は3.0質量%であり、また、紡糸したチーズ
を室温にて5日間放置後におけるポリウレタン弾性糸の
諸物性を同様に測定した。結果を表2に示す。
【0112】〔比較例7〕ジイソシアネートとしてMD
Iを49質量部に対し、ポリマージオールとしてPEA
(数平均分子量2,000)204質量部を加え、反応
温度100℃、反応時間60分の条件で反応させて前駆
物質を得た。次いで、低分子量ジオールとして1,4−
ブタンジオール(BD)67質量部と、得られた前駆物
質とを一気に混合し、反応温度115℃、反応時間60
分の条件で反応させて、両末端水酸基プレポリマーを得
た。
【0113】一方、ポリマージオールとしてPEA(数
平均分子量2,000)443質量部、ジイソシアネー
トとしてMDIを242質量部の割合で、反応温度10
0℃、反応時間60分の条件で反応させて、イソシアネ
ート末端プレポリマーを得た。
【0114】このようにして得られた両末端水酸基プレ
ポリマー320質量部に対し、両末端イソシアネート基
プレポリマー685質量部の割合で、ロータータイプの
掻面型熱交換式反応機に連続的に注入し、反応温度18
0℃、反応時間30分の条件下で混合攪拌した。
【0115】紡出ポリマー中の残留NCO%が0.8質
量%となった時点で直ちに紡糸ポンプにより、紡糸温度
178℃でノズルを通して押出して溶融紡糸し、鉱物油
主体の油剤を付与後、800m/分で22dtexのポ
リウレタン弾性糸を巻き取った。紡糸時にノズルつまり
が早く、切れがやや多かった。
【0116】得られたポリウレタン弾性糸の原料として
用いたジオール(PEA及びBD)の合計モル量とジイ
ソシアネート(MDI)のモル量の比(NCO比)は
1.09であり、ポリマー中の窒素含有量(N%)は
3.2質量%であった。また、紡糸したチーズを室温に
て5日間放置後におけるポリウレタン弾性糸の諸物性を
同様に測定した。結果を表2に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】〔実施例4〜6、比較例8〜20〕実施例
1〜3及び比較例1〜7で得られたポリウレタン弾性糸
を表4〜6に示した組合わせで芯糸として用い、この芯
糸を非弾性フィラメント糸(6ナイロン;11dtex
/5f)を用いて下記カバリング工程条件で被覆弾性糸
を作成し、この被覆弾性糸を用いて下記編み立て工程、
染色及び熱セット工程を行い、ストッキングを作成し
た。得られた被覆弾性糸単独使いのパンティーストッキ
ングの性能評価を下記基準により行った。結果を表4〜
6に示す。
【0120】(1)カバリング工程 使用機種 :片岡機械(株)BSS スピンドル回転数:20,000r/m
【表3】 *1:バルーン長比 図1において、ナイロンボビン5の長さをAとし、この
ボビン5の上端と合撚点との距離をBとした場合の比
(B/A)を算出した。 *2:入出糸角度 図1において、ポリウレタン弾性糸aと中空スピンドル
3の上(出)下(入)との角度(θ)
【0121】(2)編み立て工程 機種 :永田精機KT−4IV(積極給糸装置付設) 針本数 :400本 給糸口数:4口(s撚糸、z撚糸 1本交互給糸)
【0122】(3)染色及び熱セット工程 染色 :酸性染料+助剤+柔軟剤 95℃×60分 熱セット:湿熱 110℃×10秒
【0123】<撚数変動率(TCV(%))>被覆弾性糸
を50cm取り、その撚数を測定した。この場合、撚数
測定時の荷重は1cN/dtexとし、連続20回/チ
ーズ測定を行い、撚数変動率(TCV(%))を算出し
た。
【0124】<引伸し倍率変動率(DCV(%))>前記
撚数を測定したものと同じ試料からポリウレタン弾性糸
を取り出し、沸騰水中で5分間収縮させた後、糸の長さ
を測定した。この測定を連続20回/チーズ行い、引伸
し倍率変動率(DCV(%))を算出した。
【0125】<編込糸長変動(LV(%))>編込糸長と
は、編地上の一定長さ内に編み込まれている糸長さのこ
とをいい、編地構成糸本数分(編み機の給糸口数が4口
の場合は4本)を解編し、加重1cN/dtexにて、
丸編地の1周分の糸長さを測定した。同一編地試料から
5回測定し、糸長の平均をL1と、最大糸長さと最小糸
長さとの差L2を求め、編込糸長変動(LV(%))=
(L2/L1)×100を算出した。
【0126】<ストッキングの性能評価>10人の女性モ
ニターによる着用テストを行い、下記基準に基づき、編
み目、着用感、総合をそれぞれ評価した。 ○:良好 △:難有り ×:不良 (1)編み面 横筋がなく、編目が均一できれいであるか否か (2)着用感 はきやすく、適度なフィット感があり、ソフトな肌ざわ
りであること (3)総合 被覆弾性糸単独使いのストッキングとしての全体的商品
評価
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
【表6】
【0130】表6中比較例15〜17の芯糸(実施例2
*、実施例2**)は実施例2と同じ製法で得られたポリ
ウレタン弾性糸を用いているが、比較のため、実施例2
のポリウレタン弾性糸の物性を下記表7のように人為的
に変化させたものを用いた。
【0131】
【表7】
【0132】
【発明の効果】本発明によれば、横縞がなく、キメ細か
く美しい編地であって、かつ着用しやすく、ソフトな締
め付け力を有する高い商品価値を有する被覆弾性糸単独
使いのパンティーストッキングを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカバリング工程を示した説明図であ
る。
【符号の説明】
1 ポリウレタン弾性糸チーズ 2 フィードロール 3 中空スピンドル 4 駆動ベルト 5 非弾性(ナイロン)ボビン 6 デリベリロール 7 テークアップロール 8 被覆弾性糸(カバリング糸)チーズ a 芯糸(ポリウレタン弾性糸) b 非弾性糸(ナイロン)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中平 時裕 徳島県徳島市川内町中島635 日清紡績株 式会社徳島工場内 (72)発明者 茂中 実 徳島県徳島市川内町中島635 日清紡績株 式会社徳島工場内 (72)発明者 前田 修二 徳島県徳島市川内町中島635 日清紡績株 式会社徳島工場内 Fターム(参考) 3B018 AA01 AC01 AC10 AD02 AD07 HA02 HA05 JA00 4L002 AA05 AC01 BA01 BA02 FA05 4L035 BB31 FF07 FF10 HH01 HH04 MH04 MH07 MH13

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリオールとジイソシアネートと
    低分子量ジオールとを反応させて得られる両末端水酸基
    プレポリマーと、(B)ポリオールとジイソシアネート
    を反応させて得られる両末端イソシアネート基プレポリ
    マーとを反応させて得られるポリマーを溶融紡糸してな
    り、下記(1)及び(2)の物性を満たすことを特徴と
    するポリウレタン弾性糸。 (1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
    C)分析による分散指数(Mw/Mn)が2.2≦Mw
    /Mn≦2.8(但し、Mwは重量平均分子量、Mnは
    数平均分子量を示す)であること。 (2)粘弾性測定による損失正接(tanδ)の主分散
    ピーク温度(Ttanδ)が−5℃≦Ttanδ≦5℃
    であること。
  2. 【請求項2】 更に、下記(3)及び/又は(4)の物
    性を満たす請求項1記載のポリウレタン弾性糸。 (3)繊度変動率が3%以下であること。 (4)応力巾指数が1.3以下であること。
  3. 【請求項3】 ウエストゴム部と、パンティ部と、脚部
    と、フート部とを含むストッキングにおいて、少なくと
    も脚部が、請求項1又は2記載のポリウレタン弾性糸を
    芯糸とし、この芯糸に非弾性糸を巻回してなる被覆弾性
    糸のみで形成されると共に、下記(i)〜(iii)の
    物性を満たすことを特徴とするストッキング。 (i)被覆弾性糸の撚数変動率が5%以下であること。 (ii)非弾性糸に対する芯糸の引伸し倍率変動率が3
    %以下であること。 (iii)編込糸長変動が4%以下であること。
  4. 【請求項4】 ウエストゴム部と、パンティ部と、脚部
    と、フート部とを含むストッキングの製造方法におい
    て、少なくとも脚部が請求項1又は2記載のポリウレタ
    ン弾性糸を芯糸とし、この芯糸に非弾性糸を巻回してな
    る被覆弾性糸のみを用い、下記(i)〜(iii)の物
    性を満たすように形成することを特徴とするストッキン
    グの製造方法。 (i)被覆弾性糸の撚数変動率が5%以下であること。 (ii)非弾性糸に対する芯糸の引伸し倍率変動率が3
    %以下であること。 (iii)編込糸長変動が4%以下であること。
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