JP2002113637A - ワーク切断装置およびワーク切断方法 - Google Patents

ワーク切断装置およびワーク切断方法

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JP2002113637A
JP2002113637A JP2000308399A JP2000308399A JP2002113637A JP 2002113637 A JP2002113637 A JP 2002113637A JP 2000308399 A JP2000308399 A JP 2000308399A JP 2000308399 A JP2000308399 A JP 2000308399A JP 2002113637 A JP2002113637 A JP 2002113637A
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Japan
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cutting
cutting fluid
pump
fluid
work
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JP2000308399A
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English (en)
Inventor
Sadahiko Kondo
禎彦 近藤
Toshifumi Hiyoke
利文 火除
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 停電等による電圧異常発生時における切断刃
の損傷を低コストで防止できる、ワーク切断装置および
ワーク切断方法を提供する。 【解決手段】 電源電圧の正常時には切削液142をポ
ンプ24から切断ユニット12に供給する。このとき、
バッファタンク52によって切削液142の吐出圧力の
低下を抑制する。一方、停電等による電源電圧の異常が
検出されたときには切削液142をエンジンポンプ40
から切断ユニット12に供給する。このときも、バッフ
ァタンク52によって切削液142の吐出圧力の低下を
抑制する。バッファタンク52の容量を、電源電圧の異
常を検出したのちエンジンポンプ40による切削液14
2の供給が開始されるまでに必要な切削液142の量の
10倍以上に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はワーク切断装置お
よびワーク切断方法に関し、より特定的には、切削液を
供給しながら切断刃によってワークを切断するために用
いられる、ワーク切断装置およびワーク切断方法に関す
る。
【従来の技術】従来、この種の切断装置において停電に
よる切断刃の損傷を防ぐために、特開平5−17749
1号では停電が発生したとき切断刃を緊急後退させる技
術が提案されており、特開平8−85057号では停電
が発生したとき切削液から水道水の供給に切り替え切断
刃の慣性による回転が停止するまで切断刃を水道水で冷
却する技術が提案されている。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】しかし、たとえば希土
類磁石部材のような硬くて脆いワークを切断する場合に
は、切削液の供給が中断されると瞬間的に切断刃の焼き
付きが生じるので、停電時に特開平5−177491号
のように切断刃を緊急後退させても切断刃の損傷を防ぐ
ことはできない。また、停電時に特開平8−85057
号のように切削液を水道水に切り替えると、潤滑性が低
くなり、希土類磁石部材のようなワークを切断する場合
には切断刃の刃先が損傷する。この場合、切削液を供給
するポンプにUPS(uninterruptible power system)
を取り付けることも考えられるが、たとえば100枚の
切断刃を有する大型のワーク切断装置では、UPS自体
が非常に大型になり600万円〜700万円のコストが
かかるため、現実的ではない。それゆえに、この発明の
主たる目的は、停電等による電圧異常発生時における切
断刃の損傷を低コストで防止できる、ワーク切断装置お
よびワーク切断方法を提供することである。
【0003】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載のワーク切断装置は、切断刃を含む
切断ユニット、電源電圧によって駆動され切断ユニット
に切削液を供給する第1ポンプ、電源電圧の異常を検出
する電圧異常検出手段、電圧異常検出手段が電源電圧の
異常を検出したときに駆動され切断ユニットに切削液を
供給する第2ポンプ、ならびに切断ユニットに切削液を
供給する経路上に設けられるバッファタンクを備える。
請求項2に記載のワーク切断装置は、請求項1に記載の
ワーク切断装置において、切断刃は刃先から中心部に向
かってほぼ同じ厚みを有するものである。
【0004】請求項3に記載のワーク切断装置は、請求
項1または2に記載のワーク切断装置において、切断刃
は電鋳刃を含むものである。請求項4に記載のワーク切
断装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載のワーク
切断装置において、バッファタンクは電源電圧の異常を
検出したのち第2ポンプによる切削液の供給が開始され
るまでに必要な切削液の量の10倍以上の容量を有する
ものである。請求項5に記載のワーク切断装置は、請求
項1ないし4のいずれかに記載のワーク切断装置におい
て、第2ポンプはエンジンによって駆動されるものであ
る。
【0005】請求項6に記載のワーク切断方法は、切断
ユニットにおいて切削液を供給しながら切断刃によって
ワークを切断するワーク切断方法であって、電源電圧に
より駆動される第1ポンプから切削液を切断ユニットに
供給する工程、および電源電圧の異常を検出したとき、
第2ポンプから切削液を出力し、バッファタンクによっ
て切削液の吐出圧力の低下を抑制しながら切削液を切断
ユニットに供給する工程を備える。請求項7に記載のワ
ーク切断方法は、請求項6に記載のワーク切断方法にお
いて、切断刃は刃先から中心部に向かってほぼ同じ厚み
を有するものである。請求項8に記載のワーク切断方法
は、請求項6または7に記載のワーク切断方法におい
て、切断刃は電鋳刃を含むものである。
【0006】請求項9に記載のワーク切断方法は、請求
項6ないし8のいずれかに記載のワーク切断方法におい
て、バッファタンクは電源電圧の異常を検出したのち第
2ポンプによる切削液の供給が開始されるまでに必要な
切削液の量の10倍以上の容量を有するものである。請
求項10に記載のワーク切断方法は、請求項6ないし9
のいずれかに記載のワーク切断方法において、第2ポン
プはエンジンによって駆動されるものである。請求項1
1に記載の希土類磁石は、切断ユニットにおいて切削液
を供給しながら切断刃によってワークを切断するワーク
切断方法であって、電源電圧により駆動される第1ポン
プから切削液を切断ユニットに供給する工程、および電
源電圧の異常を検出したとき、第2ポンプから切削液を
出力し、バッファタンクによって切削液の吐出圧力の低
下を抑制しながら切削液を切断ユニットに供給する工程
を備えるワーク切断方法を用いて得られるものである。
【0007】請求項1に記載のワーク切断装置では、電
源電圧の正常時には、切削液が第1ポンプから切断ユニ
ットに供給される。一方、停電等による電源電圧の異常
が検出されたときには、切削液が第2ポンプから切断ユ
ニットに供給される。このとき、バッファタンクによっ
て切削液の吐出圧力の低下が抑制される。したがって、
停電等によって電源電圧の異常が発生した場合でも切削
液の吐出圧力の低下を抑制しつつ切削液を切断ユニット
の切断刃に供給でき、切断刃の焼き付きひいては破損を
防止できる。この発明は、請求項11に記載するよう
に、希土類磁石のような切削抵抗の高い材料を加工する
場合に有効である。請求項6に記載のワーク切断方法に
ついても同様である。
【0008】刃先から中心部に向かってほぼ同じ厚みを
有する切断刃によってワークを切断すると、切断刃側面
とワークに形成される切削溝との間にクリアランスはほ
とんどないが、請求項2に記載のワーク切断装置では、
電源電圧に異常が発生した場合でも切削液の吐出圧力の
低下を抑制でき切削液をクリアランスに十分に供給でき
るので、切断刃の焼き付きを防止できる。請求項7に記
載のワーク切断方法についても同様である。電鋳刃によ
ってワークを切断するときも、電鋳刃側面とワークに形
成される切削溝との間にクリアランスはほとんどないの
で、たとえば20MPa〜150MPaの高圧で切削液
を供給する必要がある。また、電鋳刃は高速回転(たと
えば8000rpm)してワークを切断するため、停電
直後においても慣性で回転し切削溝内で切削液切れが生
じやすい。請求項3に記載のワーク切断装置では、停電
が発生した場合でも切削液の吐出圧力の低下を抑制しつ
つ切削液を電鋳刃に供給できるので、切削溝内で切削液
切れによる電鋳刃の焼き付きを防止できる。請求項8に
記載のワーク切断方法についても同様である。
【0009】請求項4に記載のワーク切断装置のよう
に、バッファタンクの容量を、電源電圧の異常を検出し
たのち第2ポンプによる切削液の供給が開始されるまで
に必要な切削液の量の10倍以上に設定すれば、電源電
圧に異常が発生した場合であっても、切削液の必要とさ
れる吐出圧力を維持した状態で切削液を供給できる。請
求項9に記載のワーク切断方法についても同様である。
請求項5に記載のワーク切断装置では、第2ポンプはエ
ンジンによって駆動されるので、電源電圧に異常が発生
した場合であっても切断液を供給できる。このように高
価なUPSを用いることなく切断装置を低コストで構成
できる。請求項10に記載のワーク切断方法についても
同様である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。図1を参照して、この
発明の一実施形態のワーク切断装置10は、切断ユニッ
ト12を含む。切断ユニット12から排出される切削液
142(後述)はマグネットセパレータ14に与えら
れ、主に大きなスラッジが吸着除去された後、切削液タ
ンク16のダーティ部18aに排出される。切削液タン
ク16は、汚れた切削液142をためるダーティ部18
aと、浄化された切削液142をためるクリーン部18
bとを含む。ダーティ部18a内の汚れた切削液142
はフィルタポンプ20によってくみ出され、サイクロン
フィルタ22によって細かいスラッジが除去された後ク
リーン部18bに送られる。クリーン部18b内の浄化
された切削液142はポンプ24によってくみ出され、
逆流を防止する逆流防止弁26を介して切断ユニット1
2に循環供給される。マグネットセパレータ14、フィ
ルタポンプ20、およびポンプ24の動作はコントロー
ラ28によって制御される。また、切断ユニット12、
マグネットセパレータ14、フィルタポンプ20、ポン
プ24およびコントローラ28は交流電源30(商用電
源、日本では交流100V)の電圧(以下、「電源電
圧」という)によって駆動される。
【0011】電源電圧は電圧異常検出回路32にも供給
される。電圧異常検出回路32では、電源電圧が整流器
34によって直流電圧に変換され、コンパレータ36に
よって基準電圧と比較される。その比較結果の基づいて
オン/オフコントローラ38を動作させ、オン/オフコ
ントローラ38からの制御信号がセルモータ42(後
述)に与えられセルモータ42が制御される。たとえ
ば、コンパレータ36に与えられる基準電圧は、電源電
圧正常時に整流器34から出力される直流電圧の70%
の値に設定される。したがって、電源電圧が正常時の7
0%以上であれば、電源電圧は正常と判断される。一
方、電源電圧が正常時の70%未満であれば、電源電圧
は異常と判断される。このように電圧異常検出回路32
では、所定以上の電圧降下が検出されれば電圧異常と判
断される。
【0012】電圧異常検出時には、クリーン部18b内
の浄化された切削液142はポンプ24とは別のエンジ
ンポンプ40によってくみ出される。エンジンポンプ4
0としては、たとえば桜川ポンプ製作所製の非常用エン
ジンポンプ(STR−502ELX)が用いられる。電
圧異常検出時には、オン/オフコントローラ38からの
制御信号がエンジンポンプ40のセルモータ42に与え
られ、セルモータ42の起動が試みられる。セルモータ
42の起動は5回まで試みられ、ガソリンエンジン本体
44を始動させる。ガソリンエンジン本体44が始動す
れば、切削液タンク16のクリーン部18bにためられ
た切削液142は、ガソリンエンジン本体44によって
駆動されるポンプ部46でくみ出され、逆流防止弁50
を介して切断ユニット12に圧送される。なお、ガソリ
ンエンジン本体44が始動すれば、セルモータ42から
の信号によりオン/オフコントローラ38はオフ状態に
戻され、また、電源電圧が正常に戻れば、コンパレータ
36からの出力に基づいてエンジン停止回路48からガ
ソリンエンジン本体44にエンジンを停止すべき信号が
与えられ、ガソリンエンジン本体44は停止される。
【0013】切断ユニット12と逆流防止弁26、50
との間の、切削液142を切断ユニット12に供給する
経路51上には、切削液142の吐出圧力の低下を抑制
するバッファタンク52が設けられ、切削液142の流
れを制御する止め弁54が介挿される。バッファタンク
52としては、たとえば日本アキュムレータ社製のブラ
ダ型アキュームレータが用いられ、バッファタンク52
は容器56を含み、容器56内には気密的にブラダ58
が設けられる。バッファタンク52では図示しない充填
手段によってブラダ58内に気体が充填され、ブラダ5
8内の気圧に対抗させて容器56内へ切削液142を出
入りさせることによって切削液142の吐出圧力が一定
に保持される。したがって、電圧降下によってポンプ2
4から供給される切削液142が不足する場合であって
もブラダ58が膨張することによって切削液142の吐
出圧力の低下を抑制しつつ切削液142が切断ユニット
12に供給される。
【0014】ここで、切断ユニット12について図2を
参照して説明する。切断ユニット12は両持ちタイプの
薄刃切断機の一種であり、中空状のベッド60を含む。
ベッド60上にはベース部材62が配置される。ベース
部材62の前面略中央部には凹部64が形成され、ベー
ス部材62は横断面略コ字状に形成される。凹部64を
挟むベース部材62上の一端側には板状部材66が取り
付けられ、他端側には平行する一対のレール68が取り
付けられる。レール68上にはスライダ(図示せず)を
介して板状部材70が矢印Aで示す水平方向に摺動可能
に配置される。
【0015】また、凹部64上には、切断刃ブロック7
2が装着された回転軸74が配置される。図3に示すよ
うに、回転軸74の外周面には複数(この実施形態では
5個)のセグメントフランジ76が装着され、各セグメ
ントフランジ76には切断刃ブロック72が装着され
る。切断刃ブロック72は、複数の切断刃78を含み、
各切断刃78間にはスペーサ80が介挿される。ストッ
パ82を回転軸74から取り外すと切断刃ブロック72
を着脱できる。切断刃78としては、図4に示すような
刃先84から切断刃中心部86に向かってほぼ同じ厚み
を有する電鋳刃が用いられる。電鋳刃は、オールブレー
ドタイプであり、電鋳によって主としてNi、Coから
なる金属メッキ相88中の全体に超砥粒90を分散させ
て構成され、たとえば0.3mmの刃厚を有する。超砥
粒90としては、天然または合成工業用ダイヤモンド粉
末や、cBN(立方晶窒化ホウ素)粉末や、天然または
合成工業用ダイヤモンド粉末−cBN粉末の混合物など
が用いられる。このような薄い切断刃78は切断代が小
さく、高価な希土類磁石を切断する場合に有効である。
【0016】図2に示すように、回転軸74の一端側お
よび他端側はそれぞれ保持部92および94によって保
持される。保持部92は、回転軸74と直交する方向の
両側に鍔部96を有し、鍔部96上から板状部材66に
向けて複数(この実施の形態では8個)のボルト98が
螺入され、保持部92が固定される。同様に、保持部9
4は、回転軸74と直交する方向の両側に鍔部100を
有し、鍔部100上から板状部材70に向けて複数(こ
の実施の形態では8個)のボルト102が螺入され、保
持部94が固定される。また、回転軸74の一端にプー
リ104が取り付けられる。ベース部材62上には回転
軸モータ106が配置される。回転軸モータ106によ
って回転される回転軸108に取り付けられるモータプ
ーリ110と、プーリ104とはベルト112によって
連結される。ベルト112を回転軸モータ106の駆動
で回転させることによって、切断刃ブロック72および
回転軸74が回転される。
【0017】さらに、ベッド60内およびベース部材6
2の凹部64には、ワーク130(後述)を移動するた
めの移動手段114が設けられる。移動手段114は、
鉛直方向に延びる一対のレール116を含む。一対のレ
ール116にはスライダ118が装着され、スライダ1
18上には2本の棒状の支持部材120を介してたとえ
ばステンレス製の配置板122が取り付けられる。配置
板122の上面には水槽(図示せず)が配置される。水
槽内には断面略V字状の凹部124(図5参照)を有す
るたとえばカーボン製のテーブル126が配置され、テ
ーブル126上にはたとえばカーボン製の貼付板128
(図5参照)が装着される。切断作業時には、貼付板1
28上の各切断刃ブロック72に対応する位置にそれぞ
れワーク130が配置され、たとえば接着剤などによっ
て固定される。この実施の形態では、計10個のワーク
130が配置される。ワーク130としては、たとえば
円弧状の表面を有する磁石等の磁性部材が用いられる。
【0018】また、図2に示すように、スライダ118
にはボールねじ132が接続され、タイミングベルト1
34を介して駆動モータ136に接続される。したがっ
て、駆動モータ136の制御によってボールねじ132
が回転し、それに伴ってスライダ118がレール116
に案内されて矢印Bで示すように上下動可能とされ、ワ
ーク130ががたつきなく平行移動して鉛直かつ切断刃
ブロック72の中心方向に送られる。ワーク130の移
動量は切り込み量に応じて制御される。図5にも示すよ
うに、切断刃ブロック72の手前近傍には、切削液吐出
装置138が配置される。切削液吐出装置138には切
削液供給パイプ140から切削液142が供給され、切
削液吐出装置138の下端の吐出口144から切削液1
42が切断刃78およびワーク130に吐出される。
【0019】また、テーブル120内には、切削液14
2を供給するための切削液供給路146が形成される。
切削液供給路146には切削液供給パイプ148から切
削液142が与えられ、テーブル126の凹部124の
底部に設けられた吐出口150から切削液142が上方
向へ吐出される。切削液供給パイプ132、140には
ポンプ24、エンジンポンプ40からの切削液142が
供給される。使用する切削液142は水を主成分として
いる。また、切削液142の表面張力は25mN/m〜
60mN/mであり、吐出圧力は20MPa〜150M
Paである。主成分が水であれば比熱が高くかつ気化熱
が高いため冷却効果が高くなり、表面張力が25mN/
m〜60mN/mであれば切削液142の切断刃78へ
の浸透性がよく、切断効率がよい。また、吐出圧力が2
0MPa〜150MPaであれば、切断刃78の回転に
よる連れまわり流が発生しても、切削液142をワーク
130の切断箇所に供給することができる。さらに、吐
出圧力が20MPa〜150MPaの範囲内であれば、
吐出圧力によって切断刃78が変形しないので、製品の
寸法精度が良くなる。
【0020】なお、切削液142中に消泡剤を添加すれ
ば、泡の発生によっておこる、切断刃78での急激な温
度上昇を阻止できる。切削液用添加剤としては、界面活
性剤またはシンセティックタイプ合成潤滑剤、錆止め
剤、非鉄金属防食剤、防腐剤、消泡剤を用いることがで
きる。水を主成分とする切削液142に添加される界面
活性剤としては、アニオン系として、脂肪酸石鹸やナフ
テン酸石鹸等の脂肪酸誘導体、または長鎖アルコール硫
酸エステルや動植物油の硫酸化油等の硫酸エステル型、
または石油スルホン酸塩等のスルホン酸型、非イオン系
として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
やポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル等のポリオキ
シエチレン系、ソルビタンモノ脂肪酸エステル等の多価
アルコール系、または脂肪酸ジエタノールアミド等のア
ルキロールアミド系を用いることができる。具体的に
は、ケミカルソリューションタイプのJP−0497N
(カストロール社製)を水に2重量%程度添加すること
によって、表面張力および動摩擦係数を好適な範囲内に
調整することができる。
【0021】シンセティックタイプ合成潤滑剤として
は、シンセティック・ソリューションタイプ、シンセテ
ィック・エマルションタイプおよびシンセティックソリ
ュブルタイプを用いることができ、そのなかでも、シン
セティック・ソリューションタイプが好ましく、具体的
には、シンタイロ9958(カストロール社製)や#8
80または#830(ユシロ化学工業社製)を挙げるこ
とができる。いずれも、水に2重量%程度添加すること
によって、表面張力および動摩擦係数を好適な範囲内に
調整することができる。
【0022】また、錆止め剤を含有させることで、希土
類合金の腐食を防止することができる。ここで、PHは
9〜11とすることが好ましい。錆止め剤としては、有
機系として、オレイン酸塩や安息香酸塩等のカルボン酸
塩、またはトリエタノールアミン等のアミン類、無機系
として、りん酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、タング
ステン酸塩、または炭酸塩を用いることができる。非鉄
金属防食剤としては、たとえばベンズトリアゾール等の
窒素化合物を、防腐剤としては、ヘキサハイドロトリア
ジン等のホルムアルデヒド供与体を用いることができ
る。消泡剤としては、シリコーンエマルジョンを用いる
ことができる。消泡剤を含有させることで、切削液14
2の泡立ちを少なくし、切削液142の浸透性をよく
し、冷却効果を高め、切断刃78での温度上昇を防ぎ、
切断刃78の焼き付きさらには破損が生じにくくなる。
【0023】このようなワーク切断装置10の主要な動
作について図1を参照して説明する。まず、切削液タン
ク16のクリーン部18bにためられた切削液142
は、電圧正常時には、ポンプ24でくみ出され逆流防止
弁26を介しバッファタンク52で吐出圧力の低下を抑
制しつつ切断ユニット12に圧送される。一方、停電等
による電圧異常が検出された場合には、エンジンポンプ
40によって切削液142が切断ユニット12に圧送さ
れる。この場合、停電等による電圧異常の検出からエン
ジンポンプ40による切削液142の圧送が開始される
までは、バッファタンク52によって切削液142の吐
出圧力の低下を抑制しつつ切削液142が切断ユニット
12に供給される。
【0024】ワーク切断装置10によれば、停電等によ
る電圧異常が発生した場合でもバッファタンク52によ
って切削液142の吐出圧力の低下を抑制しつつエンジ
ンポンプ40によって切削液142を切断ユニット12
の切断刃78およびワーク130に供給できるので、切
断刃78の焼き付きひいては破損を防止できる。切断刃
78として電鋳刃が用いられる場合の電鋳刃側面152
と切削溝154との間のクリアランスC1(図6(a)
参照)は、台板付き切断刃における切断刃側面156と
切削溝158との間のクリアランスC2(図6(b)参
照)よりもさらに狭くなる。したがって、一般にクリア
ランスC1に切削液142を供給するのは難しい。しか
し、この実施形態では、切削液142の吐出圧力の低下
が抑制されるので、切断刃側面152と切削溝154と
の間の非常に小さいクリアランスC1にも切削液142
を供給できる。
【0025】また、高価なUPSを用いることなく電圧
異常検出回路32やエンジンポンプ40等の電圧異常発
生時の切削液供給手段を40万円〜50万円で構成でき
るため、電圧異常発生時における切断刃78の損傷を低
コストで防止できる。この発明は特に、ワーク130が
米国特許第4,770,723号や第4,792,36
8号に開示された希土類焼結磁石部材のような硬い主相
と粘りのある粒界相とからなる材質のとき効果的であ
る。焼結磁石部材は脆くて硬度がある高切断負荷の難切
断材であるが、本発明では、電圧異常発生時でも切削液
142が切断刃78に供給されるので、切削溝内で切削
液切れによる切断刃78の焼き付きが生じることなくネ
オジム焼結磁石部材を切断できる。
【0026】なお、このような希土類焼結磁石部材を切
断して得られた希土類合金小片の表面が機械研磨で平滑
化された後、酸化防止のための保護コーティングが施さ
れ、常法に従って着磁されることによって、希土類磁石
が得られる。この希土類磁石は、磁気ヘッドの位置決め
に用いられるボイスコイルモータ用の材料としても好適
に利用される。勿論、着磁されたワーク130を切断し
て希土類磁石を得るようにしてもよい。希土類磁石はR
−T−(M)−B系磁石を含み、RはYを含む希土類元
素、TはFeまたはFe−Co化合物、Mは添加物、B
はボロンである。
【0027】ついで、ワーク切断装置10を用いてワー
ク130を切断した実験例について説明する。この実験
例では、ポンプ24が正常に駆動している状態から停電
を発生させ、エンジンポンプ40によって切削液142
を切断ユニット12の切断刃78に供給した。また、切
断刃78としては外径150mm、内径60mm、厚さ
が0.3mmの電鋳刃が用いられ、切断刃ブロック72
は60枚の電鋳刃を含む。切断刃78の回転数は800
0rpmである。切削液142の吐出圧力は20MPa
であり、吐出量は150リットル/minである。ワー
ク130としては厚さ1.7mmのR−Fe−B系希土
類磁石(住友特殊金属製NEOMAX46BH)が用い
られる。バッファタンク52の容量は0リットル〜30
0リットルで可変である。さらに、停電による電圧降下
の検出からエンジンポンプ40による切削液142の供
給までの時間は5秒である。切削液142の1秒間の吐
出量が2.5リットルであるので、電圧降下の検出から
エンジンポンプ40による切削液142の供給が開始さ
れるまでに必要な切削液142の量は12.5リットル
である。
【0028】実験によって、切断刃78の損傷状況につ
いて図7に示すような結果が得られた。バッファタンク
52の容量が120リットルを超えれば、切断刃78の
破損枚数は0であった。したがって、バッファタンク5
2の容量が、電圧降下の検出からエンジンポンプ40に
よる切削液142の供給が開始されるまでに必要な切削
液142の量の略10倍以上であれば、切削液142の
吐出圧力の低下を抑制しつつ切削液142を切断ユニッ
ト12に供給でき、切断刃78の焼き付きさらには破損
を防止することができる。
【0029】なお、切断刃78として台板付き切断刃も
使用できる。台板付き切断刃は、中空円板状の台板と、
台板の外周縁に装着される超砥粒からなる刃先とによっ
て構成される。台板としては、たとえばタングステンカ
ーバイドなどの超硬合金や高速度鋼等が用いられる。ま
た、台板としては、特開平8−109431号や特開平
8−109432号に示すような、ダイヤモンドまたは
cBN等と超硬合金とを焼結処理したダイヤモンド焼結
体合金製の台板も使用できる。このように切断刃78と
して台板付き切断刃を用いた場合には、クリアランスC
2(図6(b)参照)が比較的大きくなるので、切削溝
158内への切削液142の供給が容易になる。
【0030】また、切断ユニット12が複数ある場合、
エンジンポンプ40の出力およびバッファタンク52の
容量を切断ユニット12の数に応じて大きくすることに
よって、1台のエンジンポンプ40およびバッファタン
ク52を複数の切断ユニット12に兼用できる。したが
って、切断ユニット12が複数ある場合であっても、停
電等による電圧異常発生時における切断刃78の損傷を
低コストで防止できる。さらに、バッファタンク52
は、逆流防止弁26、50より切断ユニット12側の経
路上のいずれの位置に設けられてもよく、切削液142
が合流する位置Pと逆流防止弁26との間や、位置Pと
逆流防止弁50との間に設けられてもよい。
【0031】
【発明の効果】この発明によれば、停電等による電圧異
常が発生した場合でも切削液の吐出圧力の低下を抑制し
つつ第2ポンプによって切削液を切断ユニットの切断刃
に供給できるので、切断刃の焼き付きひいては破損を低
コストで防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示すブロック図であ
る。
【図2】切断ユニットを示す概略斜視図である。
【図3】回転軸に装着された切断刃ブロックを示す図解
図である。
【図4】電鋳刃を示す一部省略側面断面図である。
【図5】切断刃およびワークに切削液を供給する状態を
示す図解図である。
【図6】(a)は電鋳刃側面と切削溝との間のクリアラ
ンスを示す断面図であり、(b)は台板付き切断刃にお
ける切断刃側面と切削溝との間のクリアランスを示す断
面図である。
【図7】ワーク切断装置を用いてワークを切断した実験
例の結果を示すテーブルである。
【符号の説明】
10 ワーク切断装置 12 切断ユニット 16 切削液タンク 24 ポンプ 30 交流電源 32 電圧異常検出回路 38 オン/オフコントローラ 40 エンジンポンプ 44 ガソリンエンジン本体 46 ポンプ部 48 エンジン停止回路 51 経路 52 バッファタンク 72 切断刃ブロック 78 切断刃 84 刃先 86 切断刃中心部 130 ワーク 142 切削液

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 切断刃を含む切断ユニット、 電源電圧によって駆動され前記切断ユニットに切削液を
    供給する第1ポンプ、 前記電源電圧の異常を検出する電圧異常検出手段、 前記電圧異常検出手段が前記電源電圧の異常を検出した
    ときに駆動され前記切断ユニットに前記切削液を供給す
    る第2ポンプ、ならびに前記切断ユニットに切削液を供
    給する経路上に設けられるバッファタンクを備える、ワ
    ーク切断装置。
  2. 【請求項2】 前記切断刃は刃先から中心部に向かって
    ほぼ同じ厚みを有する、請求項1に記載のワーク切断装
    置。
  3. 【請求項3】 前記切断刃は電鋳刃を含む、請求項1ま
    たは2に記載のワーク切断装置。
  4. 【請求項4】 前記バッファタンクは前記電源電圧の異
    常を検出したのち前記第2ポンプによる前記切削液の供
    給が開始されるまでに必要な前記切削液の量の10倍以
    上の容量を有する、請求項1ないし3のいずれかに記載
    のワーク切断装置。
  5. 【請求項5】 前記第2ポンプはエンジンによって駆動
    される、請求項1ないし4のいずれかに記載のワーク切
    断装置。
  6. 【請求項6】 切断ユニットにおいて切削液を供給しな
    がら切断刃によってワークを切断するワーク切断方法で
    あって、 電源電圧により駆動される第1ポンプから前記切削液を
    前記切断ユニットに供給する工程、および前記電源電圧
    の異常を検出したとき、第2ポンプから前記切削液を出
    力し、バッファタンクによって前記切削液の吐出圧力の
    低下を抑制しながら前記切削液を前記切断ユニットに供
    給する工程を備える、ワーク切断方法。
  7. 【請求項7】 前記切断刃は刃先から中心部に向かって
    ほぼ同じ厚みを有する、請求項6に記載のワーク切断方
    法。
  8. 【請求項8】 前記切断刃は電鋳刃を含む、請求項6ま
    たは7に記載のワーク切断方法。
  9. 【請求項9】 前記バッファタンクは前記電源電圧の異
    常を検出したのち前記第2ポンプによる前記切削液の供
    給が開始されるまでに必要な前記切削液の量の10倍以
    上の容量を有する、請求項6ないし8のいずれかに記載
    のワーク切断方法。
  10. 【請求項10】 前記第2ポンプはエンジンによって駆
    動される、請求項6ないし9のいずれかに記載のワーク
    切断方法。
  11. 【請求項11】 切断ユニットにおいて切削液を供給し
    ながら切断刃によってワークを切断するワーク切断方法
    であって、電源電圧により駆動される第1ポンプから前
    記切削液を前記切断ユニットに供給する工程、および前
    記電源電圧の異常を検出したとき、第2ポンプから前記
    切削液を出力し、バッファタンクによって前記切削液の
    吐出圧力の低下を抑制しながら前記切削液を前記切断ユ
    ニットに供給する工程を備えるワーク切断方法を用いて
    得られる、希土類磁石。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010194868A (ja) * 2009-02-25 2010-09-09 Shin Etsu Handotai Co Ltd インゴット切断装置、インゴット切断方法及びインゴット切断装置の切断テーブルの管理方法
JP2015196209A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 株式会社industria 加工液浄化システム
CN116441996A (zh) * 2023-06-14 2023-07-18 河北时硕微芯科技有限公司 一种滤波器加工用切割设备

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