JP2002112598A - モータ制御装置 - Google Patents

モータ制御装置

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JP2002112598A
JP2002112598A JP2000296262A JP2000296262A JP2002112598A JP 2002112598 A JP2002112598 A JP 2002112598A JP 2000296262 A JP2000296262 A JP 2000296262A JP 2000296262 A JP2000296262 A JP 2000296262A JP 2002112598 A JP2002112598 A JP 2002112598A
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Ichiro Oyama
一朗 大山
Yukinori Maruyama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘起電圧の歪みが大きいモータにおいても、
安定にアンチ・ワインド・アップを行い、操作量飽和に
よる応答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動の発
生を抑制することを目的とする。 【解決手段】 電流指令値とおりにステータ巻線11に
相電流が流れるようにステータ巻線11に印加する電圧
指令値を作成する電圧指令値作成部53、63と、前記
電圧指令値にフィルタ71,72を作用させたものに基
づいてどれだけ電圧指令値が飽和しているかを示す飽和
度を作成する飽和度作成部73と、飽和度の基準を示す
基準値を作成する基準値作成部74と、前記飽和度と前
記基準値とに基づき前記電流指令値を変更する電流指令
値変更部とから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石同期モー
タなどを制御するモータ制御装置に関する。特に、電流
制御の電圧飽和時においても、安定にモータを制御する
モータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インダクション・モータ(Induction Mo
tor。以後、IMと略記する)を商用電源に接続しほぼ
一定速度で回転させダンパにより風量を制御するダンパ
制御は、低風量時の効率が悪い。一方、インバータを用
いてIMの回転速度を制御する可変速制御は、低風量時
から高風量時まで効率がよい。近年、省エネルギーの要
望が高まっているため、ダンパ制御からインバータを用
いた可変速制御への置き換えが始まっている。
【0003】また、永久磁石同期モータ(Permanent Ma
gnet Sychronous Motor。以後、PMSMと略記する)
は、ロータに配置された永久磁石により界磁を発生させ
るため、高効率である。しかし、磁極位置に同期してス
テータ巻線の電流を変化させる必要があるため、インバ
ータが必須である。
【0004】また、シンクロナス・リラクタンス・モー
タ(Synchronous Reluctance Motor。以後、SynRM
と略記する)は、永久磁石を持たないため低コストであ
る。このSynRMも、PMSMと同様に、ロータ角度
に同期してステータ巻線の電流を変化させる必要がある
ため、インバータが必須である。
【0005】このように、IMの高効率駆動制御、PM
SMの駆動制御及びSynRMの駆動制御のために、イ
ンバータが必要である。このインバータは、PWM制御
などを用いてステータ巻線に交流電力を印加するにあた
り、商用電源を整流平滑した直流電源などを用いる。そ
のため、この直流電源の電圧より大きな電圧を印加でき
ない。すると、電流制御を用いてモータを制御すると
き、高負荷・高速回転時において、十分な電圧を印加で
きず電圧が飽和する。このような電圧が飽和する領域で
は、操作量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みによ
る騒音・振動が発生する。
【0006】電圧が飽和したときも良好な制御を実現す
るモータ制御装置として、特開平11−308900号
広報で開示されたもの(以後、従来例と記す)が知られ
ている。以下、この従来例のモータ制御装置について説
明する。
【0007】図14は、従来例におけるモータ制御装置
の構成を示すブロック図である。ここでは、表面磁石型
同期モータ(Surface Permanent Magnet Synchronous M
otor。以後、SPMSMと略記する)110を制御する
例を示す。従来例のモータ制御装置は、q軸電流指令値
iq*、d軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令値vq
*に関するアンチ・ワインド・アップを行う。
【0008】すなわち、ロータ112の速度ωが速度指
令値ω*とおりになるように、比例積分制御135を用
いてq軸電流指令値iq*’を作成する。そして、この
q軸電流指令値iq*’にリミット136が作用され
る。ここで、リミット136が動作するとき、この前後
の差Δiqに比例した量Δeωだけ、速度指令値ω*を
減じる。そして、q軸電流指令値iq*の飽和を回避す
る。
【0009】また、d軸電流値idがd軸電流指令値i
d*とおりになるように、比例積分制御153を用いて
d軸電圧指令値vd*’を作成する。そして、このd軸
電圧指令値vd*’にリミット154が作用される。こ
こで、リミット154が動作するとき、この前後の差Δ
vdに比例した量eidだけ、d軸電流指令値id*を
減じる。そして、d軸電圧指令値vd*の飽和を回避す
る。
【0010】また、q軸電流値iqがq軸電流指令値i
q*とおりになるように、比例積分制御163を用いて
q軸電圧指令値vq*’を作成する。そして、このq軸
電圧指令値vq*’にリミット164が作用される。こ
こで、リミット164が動作するとき、この前後の差Δ
vqに比例した量eiqだけ、リミット後のq軸電流指
令値iq*を減じる。そして、q軸電圧指令値vq*の
飽和を回避する。
【0011】このように、従来例のモータ制御装置は、
q軸電流指令値iq*、d軸電圧指令値vd*及びq軸
電圧指令値vq*に関するアンチ・ワインド・アップを
行い、操作量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みに
よる騒音・振動が発生を抑制した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来例のモータ制御装
置は、それぞれ比例積分制御153及び比例積分制御1
63で得たd軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令値v
q*を直接に飽和検知に使用する。そのため、誘起電圧
が歪みが大きい埋込磁石型同期モータ(InteriorPerman
ent Magnet Synchronous Motor:IPMSM)に適応す
ると、d軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令値vq*
が振動するため、電流指令値を減少させる量Δeid及
びΔeiqが振動し、動作が不安定になった。
【0013】本発明は、誘起電圧の歪みが大きいモータ
においても、安定にアンチ・ワインド・アップを行い、
操作量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みによる騒
音・振動の発生を抑制することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のモータ制御装置は、ステータ巻線に流す
電流の指令値を示す変更前電流指令値を作成する電流指
令値作成手段と、前記変更前電流指令値を変更し電流指
令値を作成する電流指令値変更手段と、前記ステータ巻
線に流れる電流を示す相電流値を検知する電流検知手段
と、前記電流指令値と前記相電流値とに基づき前記ステ
ータ巻線に印加する電圧の指令値を示す制限前電圧指令
値を作成する電圧指令値作成手段と、前記制限前電圧指
令値を制限し電圧指令値を作成する電圧指令値制限手段
と、前記電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電力を
印加する駆動手段とを具備するモータ制御装置におい
て、前記制限前電圧指令値あるいは前記電圧指令値に基
づきどれだけ前記電圧指令値が飽和しているかを示す飽
和度を作成する飽和度作成手段と、前記飽和度の基準を
示す基準値を作成する基準値作成手段とを含んで構成さ
れ、前記電流指令値変更手段は、前記飽和度と前記基準
値とに基づき前記変更前電流指令値を変更し前記電流指
令値を作成するものである。この構成により、操作量飽
和による応答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動
が発生を抑制するモータ制御装置を実現する。
【0015】また、本発明のモータ制御装置は、ロータ
の速度の指令値を示す変更前速度指令値を作成する速度
指令値作成手段と、前記変更前速度指令値を変更し速度
指令値を作成する速度指令値変更手段と、前記ロータの
速度を検知する速度検知手段と、前記速度指令値と前記
速度とに基づきステータ巻線に流す電流の指令値を示す
制限前電流指令値を作成する電流指令値作成手段と、前
記制限前電流指令値を制限し電流指令値を作成する電流
指令値制限手段と、前記ステータ巻線に流れる電流を示
す相電流値を検知する電流検知手段と、前記電流指令値
と前記相電流値とに基づき前記ステータ巻線に印加する
電圧の指令値を示す制限前電圧指令値を作成する電圧指
令値作成手段と、前記制限前電圧指令値を制限し電圧指
令値を作成する電圧指令値制限手段と、前記電圧指令値
に基づき前記ステータ巻線に電力を印加する駆動手段と
を具備するモータ制御装置において、前記制限前電圧指
令値あるいは前記電圧指令値に基づきどれだけ前記電圧
指令値が飽和しているかを示す飽和度を作成する飽和度
作成手段と、前記飽和度の基準を示す基準値を作成する
基準値作成手段とを含んで構成され、前記速度指令値変
更手段は、前記飽和度と前記基準値とに基づき前記変更
前速度指令値を変更し速度指令値を作成するものであ
る。この構成により、操作量飽和による応答性の悪化、
電流波形歪みによる騒音・振動が発生を抑制するモータ
制御装置を実現する。
【0016】また、本発明のモータ制御装置は、さら
に、前記飽和度作成手段は、前記制限前電圧指令値、あ
るいは前記電圧指令値にフィルタを作用させたものに基
づき前記飽和度を作成するものである。この構成によ
り、誘起電圧の歪みが大きいモータにおいても、安定に
アンチ・ワインド・アップを行い、操作量飽和による応
答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動が発生を抑
制するモータ制御装置を実現する。
【0017】また、本発明のモータ制御装置は、さら
に、前記電圧指令値作成手段は、比例動作により電圧指
令値比例成分を作成し、積分動作により電圧指令値積分
成分を作成し、前記電圧指令値比例成分と前記電圧指令
値積分成分とに基づき前記制限前電圧指令値を作成し、
前記飽和度作成手段は、前記電圧指令値積分成分に基づ
き前記飽和度を作成するものである。この構成により、
誘起電圧の歪みが大きいモータにおいても、安定にアン
チ・ワインド・アップを行い、操作量飽和による応答性
の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動が発生を抑制す
るモータ制御装置を実現する。
【0018】また、本発明のモータ制御装置は、さら
に、前記基準値作成手段は、前記基準値を前記駆動手段
が印加できる最大電圧値より大きくするものである。こ
の構成により、印加する電圧の実効値を大きくし、モー
タの出力を大きくするモータ制御装置を実現する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明のモータ制御装置の
具体的な実施の形態について添付の図面を参照して説明
する。
【0020】(実施の形態1)以下、本発明の実施の形
態1であるモータ制御装置について説明する。実施の形
態1のモータ制御装置は、比例積分制御により得られた
電圧指令値にローパス・フィルタを作用し飽和度を作成
し、アンチ・ワインド・アップを行う。こうすることに
より、誘起電圧の歪みが大きいモータにおいても、安定
にアンチ・ワインド・アップを行い、操作量飽和による
応答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動の発生を
抑制する。
【0021】また、実施の形態1のモータ制御装置は、
電圧指令値に作用させるリミットとは別に基準値を設
け、飽和度を基準値と比較し、アンチ・ワインド・アッ
プを行う。こうすることにより、電圧指令値にローパス
・フィルタを作用させるときにおいても、出力を小さく
することなく、アンチ・ワインド・アップを行い、操作
量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・
振動が発生を抑制する。
【0022】また、実施の形態1のモータ制御装置は、
基準値を駆動手段が印加できる最大電圧値より大きくす
る。こうすることにより、印加する電圧の実効値を大き
くし、モータの出力を大きくする。
【0023】[モータの構造]まず、実施の形態1のモ
ータ制御装置が制御する埋込磁石型同期モータ(Interi
or Permanent Magnet Synchronous Motor。以後、IP
MSMと略記する)の構造を説明する。図1は、実施の
形態1におけるモータ制御装置の構成を示すブロック図
である。
【0024】IPMSM10は、電磁鋼板積層品であり
ティースを有するステータ(図示せず)と、被覆銅線で
あり相電流が流れステータ(図示せず)のティースに巻
回されたステータ巻線11u、11v、11wと、ステ
ータに対向し近接して配置されたロータ12と、ロータ
12と回転中心が同一になるように配置されエンコーダ
信号Z、A、Bを出力する光エンコーダ13とから構成
される。ここで、ステータ巻線11u、11v、11w
はY結線(各ステータ巻線11u、11v、11wの片
端が1点で接続される結線)されている。
【0025】ロータ12は、回転自在に支持され、シャ
フト14と、シャフト14と回転中心が同一であり電磁
鋼板積層品であるロータヨーク15と、ロータヨーク1
5の内部に配置された永久磁石16とから構成される。
永久磁石16の透磁率はロータヨーク15より大幅に小
さく、かつ、ロータヨーク15は円筒形でない。そのた
め、ロータ12において、磁束の通りやすさは一様でな
く、突極性が大きい。
【0026】ステータ巻線11u、11v、11wに流
れる相電流により発生される回転磁界と永久磁石16に
より発生される界磁との相互作用によりトルク(マグネ
ットトルク)を発生させる。また、磁束のとおりやすさ
の違いを利用し、相電流により回転磁束を発生させるこ
とにより、トルク(リラクタンストルク)を発生させ
る。
【0027】[実施の形態1のモータ制御装置の構成]
次に、実施の形態1のモータ制御装置の構成を説明す
る。実施の形態1のモータ制御装置20は、DCカレン
ト・トランスから構成されそれぞれアナログu相電流値
iua、アナログv相電流値ivaを出力する電流セン
サ21u、21vと、エンコーダ信号Z、A、Bとアナ
ログu相電流値iuaとアナログv相電流値ivaとア
ナログ速度指令値ω*とを入力しスイッチング指令信号
guh、gul、gvh、gvl、gwh、gwlを出
力するマイコン22と、スイッチング指令信号guh、
gul、gvh、gvl、gwh、gwlを入力しステ
ータ巻線11u、11v、11wに電力を印加する駆動
部23とから構成される。
【0028】図2は、実施の形態1における駆動部23
の構成を示す回路図である。駆動部23は、電源23a
と、コレクタが電源23aの正極に接続されエミッタが
ステータ巻線11u、11v、11wにそれぞれ接続さ
れた上側IGBT(Insulated Gate Bipolar Transisto
r:絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)23b
u、23bv、23bwと、上側IGBT23bu、2
3bv、23bwにそれぞれ逆並列接続された上側フラ
イホイール・ダイオード23cu、23cv、23cw
と、コレクタがステータ巻線11u、11v、11wに
それぞれ接続されエミッタが電源23aの負極に接続さ
れた下側IGBT23du、23dv、23dwと、下
側IGBT23du、23dv、23dwにそれぞれ逆
並列接続された下側フライホイール・ダイオード23e
u、23ev、23ewと、スイッチング指令信号gu
h、gul、gvh、gvl、gwh、gwlを入力し
それぞれ上側IGBT23bu、23bv、23bwの
ゲート電圧と下側IGBT23du、23dv、23d
wのゲート電圧とを制御するゲート・ドライブ器23f
とから構成される。
【0029】マイコン22は、ハード的に、CPU、R
AM、ROM、タイマ、ADC、ポート及びこれらをつ
なぐバスなどから構成される。また、マイコン22は、
機能的に、エンコーダ信号Z、A、Bを入力し角度θを
出力する角度作成部31と、角度θを入力し速度ωを出
力する速度作成部32と、アナログ速度指令値ω*aを
入力し速度指令値ω*を出力するアナログ・ディジタル
・コンバータ(AnalogDigital Converter。以後、AD
Cと略記する)33と、速度指令値ω*と速度ωとを入
力し速度誤差eωを出力する速度減算部34と、速度誤
差eωと電流指令最大値I*maxとを入力しd軸電流
指令値id*とq軸電流指令値iq*とを出力する電流
指令値作成部35とを含んで構成される。
【0030】また、マイコン22は、アナログu相電流
値iuaを入力しu相電流値iuを出力するADC41
と、アナログv相電流値ivaを入力しv相電流値iv
を出力するADC42と、角度θとu相電流値iuとv
相電流値ivとを入力しd軸電流値idとq軸電流値i
qとを出力する三相二相変換部43とを含んで構成され
る。
【0031】また、マイコン22は、d軸電流指令値i
d*とd軸電流値idとを入力しd軸電流誤差eidを
出力するd軸減算部52と、d軸電流誤差eidを入力
しd軸電圧指令値vd*を出力するd軸電流指令値作成
部53とを含んで構成される。また、マイコン22は、
q軸電流指令値iq*とq軸電流値iqとを入力しq軸
電流誤差eiqを出力するq軸減算部62と、q軸電流
誤差eiqを入力しq軸電圧指令値vq*を出力するq
軸電流指令値作成部63とを含んで構成される。
【0032】また、マイコン22は、d軸電圧指令値v
d*を入力しローパス・フィルタ(Low-Pass Filter。
以後、LPFと略記する)後d軸電圧指令値vd*lを
出力するd軸LPF部71と、q軸電圧指令値vq*を
入力しLPF後q軸電圧指令値vq*lを出力するq軸
LPF部72と、LPF後d軸電流値vd*lとLPF
後q軸電流値vq*lとを入力し飽和度v2を出力する
飽和度作成部73と、基準値v0を出力する基準値作成
部74と、飽和度v2と基準値v0とを入力し電流指令
最大値I*maxを出力する電流指令最大値作成部75
とを含んで構成される。
【0033】また、マイコン22は、角度θとd軸電圧
指令値vd*とq軸電圧指令値vq*とを入力しu相電
圧指令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令
値vw*とを出力する二相三相変換部81と、u相電圧
指令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値
vw*とを入力しスイッチング指令信号guh、gu
l、gvh、gvl、gwh、gwlを出力するPWM
制御部82とを含んで構成される。
【0034】[実施の形態1のモータ制御装置の動作の
原理]次に、実施の形態1のモータ制御装置の動作を説
明する。実施の形態1のモータ制御装置は、LPFを作
用した電圧指令値から飽和度を作成し、アンチ・ワイン
ド・アップを行う。ここで、LPFを使用することによ
り、誘起電圧の歪みが大きいモータにおいても、安定に
アンチ・ワインド・アップを行う。また、実施の形態1
のモータ制御装置は、電圧指令値に作用させるリミット
とは別に基準値を設けることにより、電圧指令値にロー
パス・フィルタを作用させるときにおいても、出力を小
さくすることなく、アンチ・ワインド・アップを行い、
操作量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みによる騒
音・振動が発生を抑制する。また、実施の形態1のモー
タ制御装置は、基準値を駆動手段が印加できる最大電圧
値より大きくすることにより、印加する電圧の実効値を
大きくし、モータの出力を大きくする。
【0035】まず、座標系を説明する。図3は、座標系
の説明図である。図3において、説明を簡単にするため
に、磁極数が2のIPMSMが示されている。d軸及び
q軸は、実際のロータ12の角度θによる軸である。d
軸をロータ12に配置された永久磁石16による磁束と
同じ向きとし、q軸をd軸に対して90°進んだ向きと
する。そして、ステータ巻線11uとd軸のなす角度を
角度θとする。ここで、正の向きは、u相、v相、w相
の順とする。
【0036】次に、電圧の大きさが大きくなったら、電
流振幅を小さくすることにより、電圧飽和を防止するこ
とを説明する。実施の形態1のモータ制御装置は、ロー
タ12の速度ω*が速度指令値ω*とおりに回転するよ
うに、d軸電流指令値id*とq軸電流指令値iq*と
を制御するような速度制御を行う。そして、ステータ巻
線11u、11v、11wに流れる電流のdq軸成分で
あるd軸電流値id、及びq軸電流値iqが、それぞれ
d軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*とおり
になるように、d軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令
値vq*を制御するような電流制御を行う。
【0037】図4は、実施の形態1における速度ωに対
する出力トルク、d軸電流値id、q軸電流値iq、電
流振幅I、d軸電圧値vd、q軸電圧値vq及び電圧振
幅Vの変化を示す関係図である。ファンなど制御すると
き、図4及び下記式(1)のように、速度ωの増加に伴
い、必要となる出力トルクTが大きくなる。ここで、ω
^2は速度ωの二乗値、KtwはトルクTとω^2との
比を示す。下記式(2)のように、出力トルクTを大き
くするために、d軸電流値id及びq軸電流値iqが大
きくする。ここで、Pは極対数、ψはdq軸巻線鎖交磁
束実効値ψ、Lqはq軸インダクタンス、Ldはd軸イ
ンダクタンスを示す。式(2)において、第一項はマグ
ネット・トルクを示し、第二項はリラクタンス・トルク
を示す。ここで、正のリラクタンス・トルクを発生させ
るためには、d軸電流値idを負にする。従って、d軸
電流値idが大きくなるという表現は、d軸電流値id
の絶対値が大きくなることを示す。速度制御は、d軸電
流指令値id*及びq軸電流指令値iq*とを大きくす
ることにより、d軸電流値id及びq軸電流値iqを大
きくし、出力トルクTを大きくする。そして、d軸電流
値id及びq軸電流値iqの増加に伴い、下記式(3)
で表される電流振幅Iが大きくなる。ここで、√は()
内の正の平方根を示す。
【0038】 T = Ktw・ω^2 …(1) T = P・{ψ・iq − (Lq−Ld)・id・iq} …(2) I = √(id^2 + iq^2) …(3) また、ステータ巻線における電圧のd軸成分及びq軸成
分であるd軸電圧値vd及びq軸電圧値vqは、下記式
(4)(5)で表される。ここで、Rは相抵抗値、pは
微分演算子を示す。そのため、速度ωの増加に伴いd軸
電圧値vd及びq軸電圧値vqが大きくなる。ここで、
正のリラクタンス・トルクを発生させるためには、d軸
電圧値vdが負である範囲が多い。従って、d軸電流値
idと同様に、d軸電圧値vdが大きくなるという表現
は、絶対値が大きくなることを示す。そして、d軸電圧
値vd及びq軸電圧値vqの増加に伴い、下記式(6)
で表される電圧振幅Vが大きくなる。
【0039】 vd = (R+p)・id − ω・Lq・iq …(4) vq = (R+p)・iq + ω・Ld・id + ω・ψ …(5) V = √(vd^2 + vq^2) …(6) このように、速度ωの増加に伴い、必要となる電圧振幅
Vが大きくなる。しかし、駆動部23の電源23aの電
圧には限界があるため、高速・高負荷領域において、十
分な電圧を印加できず電圧が飽和する。このような電圧
が飽和する領域では、操作量飽和による応答性の悪化、
電流波形歪みによる騒音・振動が発生する。
【0040】そこで、電圧振幅Vが大きくなったら、電
流振幅Iを制限することにより、電圧飽和を防止する。
すなわち、電源電圧/2より若干大きな基準値v0を設
定し、電圧振幅Vが基準値v0より大きいとき(図4に
おいて、電流振幅I及び電圧振幅Vが、●で示される状
態のとき)、電圧振幅Vが基準値v0に収斂するように
電流振幅Iを小さくする(図4において、電流振幅I及
び電圧振幅Vを、●で示される状態から○で示される状
態に変化させる)。このように、アンチ・ワインド・ア
ップを行い、操作量飽和による応答性の悪化、電流波形
歪みによる騒音・振動の発生を抑制する。なお実動作に
おいて、電圧振幅Vの代わりに後述の飽和度v2を利用
し、電流指令Iの代わりに電流指令値振幅I*を制限す
る。
【0041】次に、飽和度v2を作成するにあたり、L
PFを作用させた電圧指令値を利用することを説明す
る。図5は、実施の形態1におけるd軸電圧指令値vd
*、q軸電圧指令値vq*、電圧指令値の二乗和(vd
*^2+vq*^2)、LPF後d軸電圧指令値vd*
l、LPF後q軸電圧指令値vq*l及び飽和度v2の
波形図である。誘起電圧が歪んだIPMSMにおいて、
d軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*が一定
であっても、図5(a)及び図5(b)のように、電流
制御により作成されるd軸電圧指令値vd*及びq軸電
圧指令値vq*は振動する。この振動に伴い、図5
(c)のように、これらの二乗和(vd*^2+vq*
^2)も振動する。そのため、この二乗和(vd*^2
+vq*^2)に基づきアンチ・ワインド・アップを行
うと、制御が安定しない。
【0042】一方、d軸電圧指令値vd*及びq軸電圧
指令値vq*に、それぞれLPFを作用したLPF後d
軸電圧指令値vd*l及びq軸電圧指令値vq*lは、
図5(d)及び図5(e)のように、振動が抑制され
る。従って、図5(f)のように、これらの二乗和であ
る飽和度v2(下記式(7))の振動も抑制される。そ
のため、この飽和度v2に基づきアンチ・ワインド・ア
ップを行うと、制御が安定する。
【0043】 v2 = vd*l^2 + vq*l^2 …(7) 次に、電圧指令値のリミットと基準値v0とを独立に設
定することを説明する。d軸電圧指令値作成部53及び
q軸電圧指令値作成部63は、それぞれ比例積分制御を
行いリミットを作用し、d軸電圧指令値vd*及びq軸
電圧指令値vq*を作成する。ここで、電圧の飽和を検
知するならば、リミットの前後のd軸電圧指令値の差及
びリミットの前後のq軸電圧指令値の差から判断すれば
よい。しかし、図5(a)及び図5(b)のように、d
軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令値vq*は振動す
る。
【0044】そこで、前述のように、図5(d)及び図
5(e)のLPF後d軸電圧指令値vd*l及びLPF
後q軸電圧指令値vq*lを用いて飽和度v2(図5
(f))を作成し、この飽和度v2と基準値v0とに基
づきアンチ・ワインド・アップを行う。すなわち、電圧
指令の低周波成分から飽和を判断しアンチ・ワインド・
アップを行う。一方、誘起電圧の歪みに対応するため
に、電圧指令の高周波成分はそのまま印加する必要があ
る。そのため、電圧指令値のリミットとアンチ・ワイン
ド・アップの飽和判断とを独立に設定する必要がある。
【0045】次に、基準値v0を駆動部23が印加でき
る最大電圧値より大きくすることを説明する。多少電圧
が飽和しても正弦波状の電流を流し続けることができ
る。また、印加する電圧の実効値が大きいほど、モータ
の出力を大きくできる。そのため、基準値v0を駆動部
23が印加できる最大電圧値より大きくすることによ
り、モータの出力を大きくできる。
【0046】[実施の形態1のモータ制御装置の動作の
詳細]上記の原理に基づき、実施の形態1のモータ制御
装置は、IPMSM10を制御する。以下、実施の形態
1のモータ制御装置の動作の詳細を説明する。
【0047】光エンコーダ13は、互いに90°だけ位
相が異なりロータ12の機械角の一回転あたりNP周期
を含む矩形波状のA、B信号と、ロータ12の機械角の
一回転あたり一回だけパルス状に変化するZ信号とを出
力する。ここで、Z信号がパルス状に変化するときの角
度が0°となるように、あらかじめ光エンコーダ13を
取り付ける。
【0048】電流センサ21u、21vは、それぞれス
テータ巻線11u、11vに流れる電流を検知し、アナ
ログu相電流値iua、アナログv相電流値ivaを作
成する。
【0049】駆動部23は、スイッチング指令信号gu
h、gul、gvh、gvl、gwh、gwlとに基づ
きステータ巻線11u、11v、11wの電圧を制御す
る。電源23aは、駆動部23に電力を供給する。ゲー
ト・ドライブ器23fは、スイッチング指令信号guh
がHのとき上側IGBT23buが通電し、スイッチン
グ信号guhがLのとき上側IGBT23buが非通電
であるように、上側IGBT23buのゲート電圧を制
御する。一方、スイッチング指令信号gulがHのとき
下側IGBT23duが通電し、スイッチング指令信号
gulがLのとき下側IGBT23duが非通電である
ように、下側IGBT23duのゲート電圧を制御す
る。また、v相及びw相についても同様に、スイッチン
グ指令信号gvh、gvl、gwh、gwlに基づき上
側IGBT23bv、23bw、下側IGBT23d
v、23dwのゲート電圧を制御する。
【0050】マイコン22は、ある一定周期毎(以後、
この周期を制御周期Tと記す)に、ADC33、ADC
41及びADC42を動作させ、これらのADCの動作
が終了した時点で、順に、角度作成部31、速度作成部
32、速度減算部34、電流指令値作成部35、三相二
相変換部43、d軸減算部52、d軸電圧指令値作成部
53、q軸減算部62、q軸電圧指令値作成部63、d
軸LPF部71、q軸LPF72、飽和度作成部73、
基準値作成部74、電流指令最大値作成部75及び二相
三相変換部81を演算実行する。また、PWM制御部8
2は、ハード・ロジックにより実現される。
【0051】角度作成部31は、エンコーダ信号Z、
A、Bに基づき角度θを作成する。角度作成部31には
カウンタが含まれる。このカウンタのカウンタ値TM
は、Z信号がパルス状に変化したとき、0にされる。ま
た、A信号、B信号が正順のとき(A、Bの順番に変化
するとき)、それぞれの立上がり及び立下りエッジにお
いてカウンタ値が1だけ増加される。一方、A信号、B
信号が逆順のとき(B、Aの順番に変化するとき)、そ
れぞれの立上がり及び立下りエッジにおいてカウンタ値
が1だけ減少される。そして、角度作成部31は、下記
式(8)のように、このカウンタ値TMを用いてθを作
成する。
【0052】 θ = TM・2π/(4・NP) …(8) 速度作成部32は、角度θを微分し速度ωを作成する。
下記式(9)のように、角度θの差分から速度ωを作成
する。ここで、θ(i)は今回に速度作成部32が動作
するときの角度θであり、θ(i−1)は前回に速度作
成部32が動作するときの角度θである。
【0053】 ω = {θ(i)−θ(i−1)}/T …(9) ADC33は、アナログ値であるアナログ速度指令値ω
*aをディジタル値である速度指令値ω*にアナログ/
ディジタル変換する。速度減算器34は、下記式(1
0)のように、速度指令値ω*と速度ωの差を速度誤差
eωにする。
【0054】 eω = ω* − ω …(10) 電流指令値作成部35は、比例積分制御を用いて電流指
令を作成し、さらに速度指令最大値i*maxに基づき
電流指令をリミットする。図6は、実施の形態1におけ
る電流指令値作成部35の動作を示すブロック図であ
る。ここでzは、z変換を表す。
【0055】下記式(11)のように、速度誤差eωに
比例ゲインKpwを乗じたものを電流指令値振幅比例成
分I*pにする。また、下記式(12)のように、速度
誤差eωに積分ゲインKiwを乗じ積分したものを電流
指令値振幅積分成分I*iにする。ここで、下記式(1
3)のように、この電流指令値振幅積分成分I*iを、
I*minからI*maxの範囲に制限する。そして、
下記式(14)のように、電流指令値振幅比例成分I*
pと電流指令値振幅積分成分I*iとの和を電流指令値
振幅I*にする。ここで、下記式(15)のように、こ
の電流指令値振幅I*を、I*minからI*maxの
範囲に制限する。なお、電流指令最大値I*maxは、
後述の電流指令最大値作成部75により作成される。ま
た、I*minは、駆動部23の最大回生能力などによ
り決定される。
【0056】 I*p = Kpw・eω …(11) I*i = ΣKiw・eω …(12) I*min ≦ I*i ≦ I*max …(13) I* = I*p + I*i …(14) I*min ≦ I* ≦ I*max …(15) そして、下記式(16)及び下記式(17)のように、
d軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*を作成
する。ここで、β*は、電流指令値振幅I*が与えられ
たときに最大出力トルクまたは最大効率を実現する電流
位相である。
【0057】 id* = − I*・sin(β*) …(16) iq* = I*・cos(β*) …(17) ADC41は、アナログ値であるアナログu相電流値i
uaをディジタル値であるu相電流値iuにアナログ/
ディジタル変換する。また、ADC42は、アナログ値
であるアナログv相電流値ivaをディジタル値である
v相電流値ivにアナログ/ディジタル変換する。
【0058】三相二相変換部43は、ステータ巻線11
u、11v、11wに流れる電流を示す電流値を角度θ
による回転座標系であるdq軸上のd軸電流値idとq
軸電流値iqとに変換する。また、後述の二相三相変換
部81は、ステータ巻線11u、11v、11wに印加
する電圧について三相二相変換部43で行われる変換の
逆変換を行う。具体的には、三相二相変換部43は、下
記式(18)、(19)のようにd軸電流値idとq軸
電流値iqとを作成する。
【0059】 id={√(2)}・{iu・sin(θ+π/3)+iv・sin(θ)} …(18) iδ={√(2)}・{iu・cos(θ+π/3)+iv・cos(θ)} …(19) d軸減算器52は、下記式(20)のように、d軸電流
指令値id*とd軸電流値idとの差をd軸電流誤差e
idにする。
【0060】 eid = id* − id …(20) d軸電圧指令値作成部53は、比例積分制御を用いてd
軸電圧指令値vd*を作成し、さらにリミットする。図
7は、実施の形態1におけるd軸電圧指令値作成部53
の動作を示すブロック図である。
【0061】下記式(21)のように、d軸電流誤差e
idに比例ゲインKpdを乗じたものをd軸電圧指令値
比例成分vd*pにする。また、下記式(22)のよう
に、d軸電流誤差eidに積分ゲインKidを乗じ積分
したものをd軸電圧指令値積分成分vd*iにする。こ
こで、下記式(23)のように、このd軸電圧指令値積
分成分vd*iを、vd*minからvd*maxの範
囲に制限する。
【0062】そして、下記式(24)のように、d軸電
圧指令値比例成分vd*pとd軸電圧指令値幅積分成分
vd*iとの和をd軸電圧指令値vd*にする。ここ
で、下記式(25)のように、このd軸電圧指令値vd
*を、vd*minからvd*maxの範囲に制限す
る。なお、この範囲は、電源23aが与えることができ
る電圧値の2〜3倍程度にする。すなわち、vd*mi
nを電源−3・(√(3/2))・(E/2)から−2
・(√(3/2))・(E/2)程度にする。また、v
d*maxを電源2・(√(3/2))・(E/2)か
ら3・(√(3/2))・(E/2)程度にする。ここ
で、Eは電源23aの電圧値である。
【0063】 vd*p = Kpd・eid …(21) vd*i = ΣKid・eid …(22) vd*min ≦ vd*i ≦ vd*max …(23) vd* = vd*p + vd*i …(24) vd*min ≦ vd* ≦ vd*max …(25) q軸電圧指令値vq*は、d軸電圧指令値vd*と同様
の方法で作成する。
【0064】q軸減算器62は、下記式(26)のよう
に、q軸電流指令値iq*とq軸電流値iqとの差をq
軸電流誤差eiqにする。
【0065】 eiq = iq* − iq …(26) q軸電圧指令値作成部63は、比例積分制御を用いてq
軸電圧指令値vq*を作成し、さらにリミットする。図
8は、実施の形態1におけるq軸電圧指令値作成部63
の動作を示すブロック図である。
【0066】下記式(27)のように、q軸電流誤差e
iqに比例ゲインKpqを乗じたものをq軸電圧指令値
比例成分vq*pにする。また、下記式(28)のよう
に、q軸電流誤差eiqに積分ゲインKiqを乗じ積分
したものをq軸電圧指令値積分成分vq*iにする。こ
こで、下記式(29)のように、このq軸電圧指令値積
分成分vq*iを、vq*minからvq*maxの範
囲に制限する。そして、下記式(30)のように、q軸
電圧指令値比例成分vq*pとq軸電圧指令値幅積分成
分vq*iとの和をq軸電圧指令値vq*にする。ここ
で、下記式(31)のように、このq軸電圧指令値vq
*を、vq*minからvq*maxの範囲に制限す
る。なお、この範囲は、電源23aが与えることができ
る電圧値の2〜3倍程度にする。すなわち、vq*mi
nを電源−3・(√(3/2))・(E/2)から−2
・(√(3/2))・(E/2)程度にする。また、v
q*maxを電源2・(√(3/2))・(E/2)か
ら3・(√(3/2))・(E/2)程度にする。ここ
で、Eは電源23aの電圧値である。
【0067】 vq*p = Kpq・eiq …(27) vq*i = ΣKiq・eiq …(28) vq*min ≦ vq*i ≦ vq*max …(29) vq* = vq*p + vq*i …(30) vq*min ≦ vq* ≦ vq*max …(31) d軸LPF部71は、下記式(32)のように、d軸電
圧指令値vd*にディジタル一次LPFを作用しLPF
後d軸電圧指令値vd*lにする。ここで、LPFの係
数であるKldは、0から1までの値をとり、小さくな
るほどLPFの作用が大きくなる。なお、vd*l
(i)は今回にd軸LPF部71が動作するときのLP
F後d軸電圧指令値であり、vd*l(i−1)は前回
にd軸LPF部71が動作したときのLPF後d軸電圧
指令値である。
【0068】 vd*l(i) = Kld・vd*+(1−Kld)・vd*l(i−1) …(32) q軸LPF部72は、下記式(33)のように、q軸電
圧指令値vq*にディジタル一次LPFを作用しLPF
後q軸電圧指令値vq*lにする。ここで、LPFの係
数であるKlqは、0から1までの値をとり、小さくな
るほどLPFの作用が大きくなる。なお、vq*l
(i)は今回にq軸LPF部72が動作するときのLP
F後q軸電圧指令値であり、vq*l(i−1)は前回
にq軸LPF部72が動作したときのLPF後q軸電圧
指令値である。
【0069】 vq*l(i) = Klq・vq*+(1−Klq)・vq*l(i−1) …(33) 飽和度作成部73は、下記式(34)のように、LPF
後d軸電圧指令値vd*lとLPF後q軸電圧指令値v
q*lとの二乗和を飽和度v2にする。
【0070】 v2 = vd*l・vd*l + vq*l・vq*l …(34) 基準値作成部74は、基準値v0を作成する。このv0
は、電源23aの電圧値の1.1倍から2倍程度にす
る。
【0071】電流指令最大値作成部75は、飽和度v2
と基準値v0とに基づき電流指令最大値I*maxを作
成する。図9は、実施の形態1における電流指令最大値
作成部の動作を示すブロック図である。
【0072】まず、下記式(35)のように、基準値の
二乗値v0^2から飽和度v2を減算した結果を飽和度
誤差evにする。そして、下記式(36)のように、飽
和度誤差evに比例ゲインKpiを乗じたものを電流指
令最大値比例成分I*maxpにする。また、下記式
(37)のように、飽和度誤差evに積分ゲインKii
を乗じ積分したものを電流指令最大値積分成分I*ma
xiにする。ここで、下記式(38)のように、この電
流指令最大値積分成分I*maxiを、0からI0の範
囲に制限する。そして、下記式(39)のように、電流
指令最大値比例成分I*maxpと電流指令最大値積分
成分I*maxiとの和を電流指令最大値I*maxに
する。ここで、下記式(40)のように、この電流指令
最大値I*maxを、0からI0の範囲に制限する。な
お、このI0は、IPMSM10の最大出力や駆動部2
3のIGBTの耐量などにより決定される。
【0073】 ev = v0^2 − v2 …(35) I*maxp = Kpi・ev …(36) I*maxi = ΣKii・ev …(37) 0 ≦ I*maxi ≦ I0 …(38) I*max = I*maxp + I*maxi …(39) 0 ≦ I*max ≦ I0 …(40) 三相二相変換部81は、推定角度θによる回転座標系で
あるdq軸上のd軸電圧指令値vd*とq軸電圧指令値
vq*とを静止座標系に変換し、ステータ巻線11u、
11v、11wに印加するu相電圧指令値vu*とv相
電圧指令値vv*とw相電圧指令値vw*とを作成す
る。具体的には、下記式(41)、(42)、(43)
のようにする。
【0074】 vu*={√(2/3)}・{vd*・cosθ−vq*・sinθ}…(4 1) vv*={√(2/3)}・{vd*・cos(θ−2・π/3) −vq*・sin(θ−2・π/3)} …(42 ) vw*={√(2/3)}・{vd*・cos(θ+2・π/3) −vq*・sin(θ+2・π/3)} …(43 ) PWM制御器82は、u相電圧指令値vu*とv相電圧
指令値vv*とw相電圧指令値vw*とをパルス幅変調
(PWM:Pulse Width Modulation)する。具体的に
は、ある設定された周期とE/2の振幅とを持つ三角波
を発生する。ここで、Eは電源23aの電圧値である。
そして、この三角波とu相電圧指令値vu*とを比較
し、u相電圧指令値vu*の方が大きいとき、スイッチ
ング信号guhをH、gulをLにする。一方、u相電
圧指令値vu*の方が小さいとき、スイッチング信号g
uhをL、gulをHにする。
【0075】なお、スイッチング信号guh、gulの
状態が遷移するとき、スイッチング信号guh、gul
を双方ともLにする短い時間を設ける(この短い時間は
デッド・タイムと呼ばれる)。また、v相及びw相とに
ついても同様に、それぞれv相電圧指令値vv*及びw
相電圧指令値vw*に基づきスイッチング信号gvh、
gvl及びgwh、gwlを作成する。
【0076】[実施の形態1のモータ制御装置の効果]
上述のように動作させることにより、実施の形態1のモ
ータ制御装置は、以下の効果を有する。速度ωの増加に
伴い、必要となる電圧の振幅が大きくなる。しかし、電
源23aの電圧には限界があるため、高速・高負荷領域
において、十分な電圧を印加できず電圧が飽和する。こ
のような電圧が飽和する領域では、操作量飽和による応
答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動が発生し
た。
【0077】そこで、実施の形態1のモータ制御装置
は、基準値v0を設定し、飽和度v2が基準値v0の二
乗値より大きいとき、飽和度v2が基準値v0の二乗値
に収斂するように比例積分制御を用いて電流指令最大値
I*maxを小さくすることにより、電流指令値を小さ
く制限する。このように、飽和度v2と基準値v0とに
基づき電流指令値を制限することにより、操作量飽和に
よる応答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動が発
生を抑制するモータ制御装置を実現する。
【0078】また、誘起電圧が歪んだIPMSMにおい
て、d軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*が
一定であっても、図5(a)及び図5(b)のように、
電流制御により作成されるd軸電圧指令値vd*及びq
軸電圧指令値vq*は振動する。そのため、これらのd
軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令値vq*を用いて
アンチ・ワインド・アップを行うと、動作が不安定にな
った。
【0079】実施の形態1のモータ制御装置は、d軸電
圧指令値vd*及びq軸電圧指令値vq*に、それぞれ
LPFを作用したLPF後d軸電圧指令値vd*l及び
q軸電圧指令値vq*lを利用する。図5(d)及び図
5(e)のように、LPFの作用により、LPF後d軸
電圧指令値vd*l及びq軸電圧指令値vq*lの振動
は、抑制される。従って、図5(f)のように、これら
の二乗和である飽和度v2の振動も抑制される。そし
て、この飽和度v2を用いてアンチ・ワインド・アップ
を行う。
【0080】このように、LPFを作用した電圧指令値
から作成した飽和度v2を使用することにより、誘起電
圧の歪みが大きいモータにおいても、安定にアンチ・ワ
インド・アップを行い、操作量飽和による応答性の悪
化、電流波形歪みによる騒音・振動が発生を抑制するモ
ータ制御装置を実現する。
【0081】また、実施の形態1のモータ制御装置は、
上述のように、図5(d)及び図5(e)のLPF後d
軸電圧指令値vd*l及びLPF後q軸電圧指令値vq
*lを用いて飽和度v2(図5(f))を作成し、この
飽和度v2と基準値v0とに基づきアンチ・ワインド・
アップを行う。すなわち、電圧指令の低周波成分から飽
和を判断しアンチ・ワインド・アップを行う。一方、誘
起電圧の歪みに対応するために、電圧指令の高周波成分
はそのまま印加する必要がある。そのため、電圧指令値
のリミットとアンチ・ワインド・アップの飽和判断とを
独立に設定する必要がある。
【0082】このように、電圧指令値のリミットとアン
チ・ワインド・アップの飽和判断とを独立に設定するこ
とにより、電圧指令値にローパス・フィルタを作用させ
るときにおいても、出力を小さくすることなく、アンチ
・ワインド・アップを行い、操作量飽和による応答性の
悪化、電流波形歪みによる騒音・振動が発生を抑制する
モータ制御装置を実現する。
【0083】また、実施の形態1のモータ制御装置は、
基準値v0を駆動部23が印加できる最大電圧値より大
きくする。ここで、多少電圧が飽和しても正弦波状の電
流を流し続けることができる。また、印加する電圧の実
効値が大きいほど、モータの出力を大きくできる。この
ように、基準値v0を駆動部23が印加できる最大電圧
値より大きくすることにより、モータの出力を大きくす
るモータ制御装置を実現する。
【0084】(実施の形態2)次に、実施の形態2のモ
ータ制御装置を説明する。実施の形態1のモータ制御装
置は、LPFを作用した電圧指令値(LPF後d軸電圧
指令値vd*l及びLPF後q軸電圧指令値vq*l)
に基づき飽和度v2を作成した。実施の形態2のモータ
制御装置は、電圧指令の積分成分(d軸電圧指令値積分
成分vd*i及びq軸電圧指令値積分成分vq*i)の
基づき飽和度v2を作成する。こうすることにより、誘
起電圧の歪みが大きいモータにおいても、飽和度v2の
振動を抑制し、安定にアンチ・ワインド・アップを行
い、操作量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みによ
る騒音・振動の発生を抑制する。また、LPFの演算を
省くことにより、演算時間を短縮する。
【0085】[実施の形態2のモータ制御装置の構成と
動作]まず、実施の形態2のモータ制御装置の構成と動
作を説明する。図10は、実施の形態2におけるモータ
制御装置の構成を示すブロック図である。このモータ制
御装置220が含む構成のうち、マイコン222が、実
施の形態1と異なる。また、マイコン222が含む構成
のうち、d軸電圧指令値作成部253とq軸電圧指令値
作成部263と飽和度作成部273とが、実施の形態1
と異なる。また、実施の形態1に含まれたd軸LPF部
71及びq軸LPF部72は、実施の形態2に含まれな
い。その他の構成は、実施の形態1と同様であり、実施
の形態1と同一の符号で示し、説明を省略する。
【0086】d軸電圧指令値作成部253は、d軸電流
誤差eidを入力し、d軸電圧指令値vd*とd軸電圧
指令値積分成分vd*iとを出力する。d軸電圧指令値
作成部253の入出力以外の動作は、実施の形態1と同
様であり、説明を省略する。
【0087】q軸電圧指令値作成部263は、q軸電流
誤差eiqを入力し、q軸電圧指令値vq*とq軸電圧
指令値積分成分vq*iとを出力する。q軸電圧指令値
作成部263の入出力以外の動作は、実施の形態1と同
様であり、説明を省略する。
【0088】飽和度作成部273は、d軸電圧指令値積
分成分vd*iとq軸電圧指令値積分成分vq*iとを
入力し、飽和度v2を出力する。下記式(44)のよう
に、d軸電圧指令値積分成分vd*iとq軸電圧指令値
積分成分vq*iとの二乗和を飽和度v2にする。
【0089】 v2 = vd*i・vd*i + vq*i・vq*i …(44) [実施の形態2のモータ制御装置の効果]次に、実施の
形態2のモータ制御装置の効果を説明する。図11は、
実施の形態2におけるd軸電圧指令値vd*、q軸電圧
指令値vq*、電圧指令値の二乗和(vd*^2+vq
*^2)、d軸電圧指令値積分成分vd*i、q軸電圧
指令値積分成分vq*i及び飽和度v2の波形図であ
る。誘起電圧が歪んだIPMSMにおいて、d軸電流指
令値id*及びq軸電流指令値iq*が一定であって
も、図11(a)及び図11(b)のように、電流制御
により作成されるd軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指
令値vq*は振動する。この振動に伴い、図11(c)
のように、これらの二乗和(vd*^2+vq*^2)
も振動する。そのため、この二乗和(vd*^2+vq
*^2)に基づきアンチ・ワインド・アップを行うと、
制御が安定しない。
【0090】一方、d軸電圧指令値積分成分vd*i及
びq軸電圧指令値積分成分vq*iは、図11(d)及
び図11(e)のように、振動が抑制される。従って、
図11(f)のように、これらの二乗和である飽和度v
2(式(44))の振動も抑制される。そのため、この
飽和度v2を利用して、アンチ・ワインド・アップを行
うと、制御が安定する。
【0091】このように、電圧指令値の積分成分(d軸
電圧指令値積分成分vd*i及びq軸電圧指令値積分成
分vq*i)から作成した飽和度v2を使用することに
より、誘起電圧の歪みが大きいモータにおいても、安定
にアンチ・ワインド・アップを行い、操作量飽和による
応答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動が発生を
抑制するモータ制御装置を実現する。
【0092】また、実施の形態2のモータ制御装置は、
実施の形態1と同様の作用を有するため、実施の形態1
と同様の効果を有する。
【0093】また、実施の形態1のモータ制御装置は、
LPFを作用させた電圧指令値(LPF後d軸電圧指令
値vd*l及びLPF後q軸電圧指令値vq*l)に基
づき飽和度v2を作成するため、LPFに要する演算時
間が必要であった。これに対して実施の形態2では、L
PFを使用せず、電圧指令値の積分成分(d軸電圧指令
値積分成分vd*i及びq軸電圧指令値積分成分vq*
i)に基づき、飽和度v2を作成することにより、演算
時間を短縮したモータ制御装置を実現する。
【0094】(実施の形態3)次に、実施の形態3のモ
ータ制御装置を説明する。実施の形態1のモータ制御装
置は、電圧飽和を検知すると、電流指令最大値I*ma
xを変化させることにより、電流指令値を小さくするよ
うなアンチ・ワインド・アップを行った。実施の形態3
のモータ制御装置は、電圧飽和を検知すると、速度指令
値ω*を小さくするようなアンチ・ワインド・アップを
行い、操作量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みに
よる騒音・振動の発生を抑制する。
【0095】[実施の形態3のモータ制御装置の構成と
動作]まず、実施の形態3のモータ制御装置の構成と動
作を説明する。図12は、実施の形態3におけるモータ
制御装置の構成を示すブロック図である。このモータ制
御装置320が含む構成のうち、マイコン322が、実
施の形態1と異なる。また、マイコン322が含む構成
のうち、速度減算部334と電流指令値作成部335と
速度指令値減算量作成部376とが、実施の形態1と異
なる。また、実施の形態1に含まれた電流指令最大値作
成部75は、実施の形態3に含まれない。その他の構成
は、実施の形態1と同様であり、実施の形態1と同一の
符号で示し、説明を省略する。
【0096】速度減算部334は、速度指令値ω*と速
度指令値減算量Δωと速度ωとを入力し、速度誤差eω
を出力する。下記式(45)のように、速度指令値ω*
から速度指令値減算量Δωを減じ、さらに速度ωを減じ
た結果を速度誤差eωにする。
【0097】 eω = ω* − Δω − ω …(45) 電流指令値作成部375は、電流指令最大値I*max
としてある設定された値を用いる。その他の動作は、実
施の形態1と同様であり、説明を省略する。
【0098】速度減算量作成部376は、飽和度v2と
基準値v0とを入力し、速度指令値減算量Δωを出力す
る。図13は、実施の形態3における速度指令値減算量
作成部の動作を示すブロック図である。
【0099】まず、下記式(46)のように、基準値の
二乗値v0^2から飽和度v2を減算した結果を飽和度
誤差evにする。そして、下記式(47)のように、飽
和度誤差evに比例ゲインKpdwを乗じたものを速度
指令値減算量比例成分Δωpにする。また、下記式(4
8)のように、飽和度誤差evに積分ゲインKidwを
乗じ積分したものを速度指令値減算量積分成分Δωiに
する。ここで、下記式(49)のように、この速度指令
値減算量積分成分Δωiを、0からω0の範囲に制限す
る。そして、下記式(50)のように、速度指令値減算
量比例成分Δωpと速度指令値減算量積分成分Δωiと
の和を速度指令値減算量Δωにする。ここで、下記式
(51)のように、この速度指令値減算量Δωを、0か
らω0の範囲に制限する。なお、このω0は、IPMS
M10の最大速度などから決定される。
【0100】 ev = v0^2 − v2 …(46) Δωp = Kpdw・ev …(47) Δωi = ΣKidw・ev …(48) 0 ≦ Δωi ≦ ω0 …(49) Δω = Δωp + Δωi …(50) 0 ≦ Δω ≦ ω0 …(51) [実施の形態3のモータ制御装置の効果]図4を用いて
前述したように、ファンなど制御するとき、速度ωの増
加に伴い、必要となる電圧振幅Vが大きくなる。しか
し、駆動部23の電源23aの電圧には限界があるた
め、高速・高負荷領域において、十分な電圧を印加でき
ず電圧が飽和する。このような電圧が飽和する領域で
は、操作量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みによ
る騒音・振動が発生する。
【0101】そこで、電圧振幅Vが大きくなったら、速
度ωを小さくすることにより、電圧飽和を防止する。す
なわち、電源電圧/2より若干大きな基準値v0を設定
し、電圧振幅Vが基準値v0より大きいとき(図4にお
いて、速度ω及び電圧振幅Vが、●で示される状態のと
き)、電圧振幅Vが基準値v0に収斂するように速度ω
を小さくする(図4において、速度ω及び電圧振幅V
を、●で示される状態から○で示される状態に変化させ
る)。このように、アンチ・ワインド・アップを行い、
操作量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みによる騒
音・振動の発生を抑制する。なお、実動作において、電
圧振幅Vの代わりに飽和度v2を利用し、速度ωの代わ
りに速度指令値ω*を小さくする。
【0102】このように、実施の形態3のモータ制御装
置は、飽和度v2と基準値v0とに基づき電圧飽和を検
知し、電圧が飽和したとき速度指令値ω*を小さくする
ことにより、実施の形態1と同様の効果を有する。な
お、実施の形態3において、実施の形態2で用いた飽和
度v2を利用してもよい。
【0103】以上、実施の形態1〜3について詳細な説
明を行ったが、実施の形態1及び実施の形態3におい
て、d軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令値vq*に
ディジタル一次LPFを作用させたが、本発明はこの形
態に限定されない。例えば、d軸電圧指令値vd*とq
軸電圧指令値vq*との二乗和(vd*^2+vq*^
2)にLPFを作用させてもよい。また、リミット後の
電圧指令値(d軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令値
vq*)でなく、リミット前の値にLPFを作用させ使
用しても本発明に含まれる。本発明の要諦は、電圧指令
値にLPFを作用させ電圧飽和を判断することにより、
アンチ・ワインド・アップを安定化させることであり、
LPFを作用させる場所により限定されない。
【0104】また、実施の形態1及び実施の形態3にお
いて、ディジタル一次LPFを作用させたが、高次のL
PFなどの他の種類のLPFを作用させてもよい。ま
た、バンド・パス・フィルタを利用し、高周波成分を除
去してもよい。さらに、ノッチ・フィルタを用いて、振
動する成分のみを除去しても本発明に含まれる。例え
ば、4極6スロット(磁極数が4であり、ティースの数
が6)のモータであれば、d軸電圧指令値vd*及びq
軸電圧指令値vq*は、電気角60°の周期で振動する
ため、この成分を除去するディジタル・ノッチ・フィル
タを利用することにより、大きな効果がある。
【0105】また、実施の形態1及び実施の形態2にお
いて、電流指令最大値I*maxを小さくすることによ
り、電流を小さくしたが、電流指令値を変更してもよ
い。さらに、実施の形態3において、速度指令値ω*を
速度指令値減算量Δωだけ小さくしたが、速度指令値ω
*にリミットを設け、そのリミットの範囲を変更するこ
とにより、速度を小さくしてもよい。本発明の要諦は、
飽和度と基準値とから電圧の飽和を検知し、電流、ある
いは速度を小さくすることであり、その方法は実施例に
記述した方法に限定されない。
【0106】また、実施の形態1及び実施の形態2にお
いて、電流指令最大値I*maxを比例積分制御により
求めた。一方、実施の形態3において、速度指令値減算
量Δωを比例積分制御により求めた。これらの別の形態
を使用しても本発明に含まれる。例えば、フィード・フ
ォワード制御や微分制御を付加してもい。
【0107】また、実施の形態1から実施の形態3にお
いて、速度制御は比例積分制御を用いたが、他の形態に
より制御してもよい。例えば、フィード・フォワード制
御や微分制御を付加してもよい。
【0108】また、実施の形態1から実施の形態3にお
いて、電流制御は比例積分制御を用いたが、他の形態に
より制御してもよい。例えば、非干渉制御を付加し、下
記式(52)(53)のように、d軸電圧指令値vd*
及びq軸電圧指令値vq*を作成してもよい。このと
き、実施の形態2において、下記式(54)のように、
非干渉制御で付加された項(非干渉項)を考慮し、飽和
度v2を作成する。なお、非干渉項に電流指令を使用し
たが、実電流を使用してもよい。また、非干渉項にのみ
にLPFを作用させてもよい。
【0109】 vd* = vd*p+vd*i +R・id*+ω・Lq・iq* …(52) vq* = vq*p+vq*i +R・iq*+ω・Ld・id*+ω・ψ …(53) v2 = (vd*i +R・id*+ω・Lq・iq*)^2 +(vq*i +R・iq*+ω・Ld・id*+ω・ψ)^2 …(54) また、実施の形態1から実施の形態3において、速度制
御に関する動作と電流制御に関する動作とを同一周期で
同期させたが、分離してもよい。特に、速度制御に関す
る動作の周期を長くすることにより、全体の演算時間を
減少させることができる。
【0110】また、実施の形態1から実施の形態3にお
いて、光エンコーダ13を用いて角度を検出したが、他
の位置センサを用いてもよい。例えば、磁気エンコーダ
やレゾルバを用いてもよい。また、ホールICなどを用
いてCS信号(転流信号)を作成し、CS信号から角度
を外挿してもよい。また、位置センサを用いずに角度を
推定してもよい。
【0111】また、本発明は実施の形態1から実施の形
態3の構成に限定されない。例えば、マイコン22、2
22、322は複数のマイコンから構成してもよい。ま
た、駆動部23をも含めたICとしてもよい。
【0112】また、実施の形態1から実施の形態3にお
いて、ファン制御するときを説明したがこれに限定され
ない。回転数により必要となる出力トルクが変化しない
負荷であっても、回転数に伴い電圧が大きくなるため、
実施の形態3を適応できる。
【0113】また、実施の形態1から実施の形態3にお
いて、IPMSMに限定されない。例えば、SPMS
M、IM、SynRMを制御してもよい。これらのモー
タは、IPMSMと比較し、一般に誘起電圧(マグネッ
トによる誘起電圧、電機子反作用を含む)がきれいだ
が、誘起電圧が歪んでいるものもあり、本発明を用いる
ことにより上述の効果が得られる。
【0114】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、飽和度
と基準値とに基づき電圧飽和を検知し、電圧が飽和した
とき電流指令値を小さく制限することにより、操作量飽
和による応答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動
が発生を抑制するモータ制御装置を実現できる。
【0115】また、本発明によれば、飽和度と基準値と
に基づき電圧飽和を検知し、電圧が飽和したとき速度指
令値を小さくすることにより、操作量飽和による応答性
の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動が発生を抑制す
るモータ制御装置を実現できる。
【0116】また、本発明によれば、LPFを作用した
電圧指令値から飽和度を作成することにより、誘起電圧
の歪みが大きいモータにおいても、安定にアンチ・ワイ
ンド・アップを行い、操作量飽和による応答性の悪化、
電流波形歪みによる騒音・振動が発生を抑制するモータ
制御装置を実現できる。
【0117】また、本発明によれば、電圧指令値の積分
成分から飽和度を作成することにより、誘起電圧の歪み
が大きいモータにおいても、安定にアンチ・ワインド・
アップを行い、操作量飽和による応答性の悪化、電流波
形歪みによる騒音・振動が発生を抑制するモータ制御装
置を実現できる。
【0118】また、本発明によれば、基準値を駆動部が
印加できる最大電圧値より大きくすることにより、モー
タの出力を大きくするモータ制御装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1におけるモータ制御装置の構成を
示すブロック図
【図2】実施の形態1における駆動部の構成を示す回路
【図3】実施の形態1における座標系の説明図
【図4】実施の形態1における速度に対する出力トル
ク、d軸電流値、q軸電流値、電流振幅、d軸電圧値、
q軸電圧値及び電圧振幅の変化を示す関係図
【図5】実施の形態1におけるd軸電圧指令値、q軸電
圧指令値、電圧指令値の二乗和、LPF後d軸電圧指令
値、LPF後q軸電圧指令値及び飽和度の波形図
【図6】実施の形態1における電流指令値作成部の動作
を示すブロック図
【図7】実施の形態1におけるd軸電圧指令値作成部の
動作を示すブロック図
【図8】実施の形態1におけるq軸電圧指令値作成部の
動作を示すブロック図
【図9】実施の形態1における電流指令最大値作成部の
動作を示すブロック図
【図10】実施の形態2におけるモータ制御装置の構成
を示すブロック図
【図11】実施の形態2におけるd軸電圧指令値、q軸
電圧指令値、電圧指令値の二乗和、d軸電圧指令値積分
成分、q軸電圧指令値積分成分及び飽和度の波形図
【図12】実施の形態3におけるモータ制御装置の構成
を示すブロック図
【図13】実施の形態3における速度指令値減算量作成
部の動作を示すブロック図
【図14】従来例におけるモータ制御装置の構成を示す
ブロック図
【符号の説明】
10 IPMSM 11 ステータ巻線 20,220,320 モータ制御装置 21u,21v 電流センサ 22,222,322 マイコン 23 駆動部 34,334 速度減算部 35,335 電流指令値作成部 52 d軸減算部 62 q軸減算部 53,253 d軸電圧指令値作成部 63,263 q軸電圧指令値作成部 71,273 d軸LPF部 72 q軸LPF部 73 飽和度作成部 74 基準値作成部 75 電流指令最大値作成部 376 速度減算量作成部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年12月19日(2001.12.
19)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】電圧が飽和したときも良好な制御を実現す
るモータ制御装置として、特開平11−308900号
公報で開示されたもの(以後、従来例と記す)が知られ
ている。以下、この従来例のモータ制御装置について説
明する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】このように、従来例のモータ制御装置は、
q軸電流指令値iq*、d軸電圧指令値vd*及びq軸
電圧指令値vq*に関するアンチ・ワインド・アップを
行い、操作量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みに
よる騒音・振動発生を抑制した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来例のモータ制御装
置は、それぞれ比例積分制御153及び比例積分制御1
63で得たd軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令値v
q*を直接に飽和検知に使用する。そのため、誘起電圧
歪みが大きい埋込磁石型同期モータ(InteriorPerman
ent Magnet Synchronous Motor:IPMSM)に適応す
ると、d軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令値vq*
が振動するため、電流指令値を減少させる量Δeid及
びΔeiqが振動し、動作が不安定になった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のモータ制御装置は、ステータ巻線に流す
電流の振幅指令値を示す変更前電流指令値振幅を作成す
る電流指令値振幅作成手段と、前記変更前電流指令値
を変更し電流指令値振幅を作成する電流指令値振幅
更手段と、 前記電流指令値振幅に基づき前記ステータ
巻線に流す電流の指令値を示す電流指令値を作成する電
流指令値作成手段と、前記ステータ巻線に流れる電流を
示す相電流値を検知する電流検知手段と、前記電流指令
値と前記相電流値とに基づき前記ステータ巻線に印加す
る電圧の指令値を示す制限前電圧指令値を作成する電圧
指令値作成手段と、前記制限前電圧指令値を制限し電圧
指令値を作成する電圧指令値制限手段と、前記電圧指令
値に基づき前記ステータ巻線に電力を印加する駆動手段
とを具備するモータ制御装置において、前記制限前電圧
指令値あるいは前記電圧指令値に基づきどれだけ前記電
圧指令値が飽和しているかを示す飽和度を作成する飽和
度作成手段と、前記飽和度の基準を示す基準値を作成す
る基準値作成手段とを含んで構成され、前記電流指令値
振幅変更手段は、前記飽和度と前記基準値とに基づき前
記変更前電流指令値振幅を変更し前記変更前電流指令値
振幅を作成するものである。この構成により、操作飽和
量による応答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動
発生を抑制するモータ制御装置を実現する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】また、本発明のモータ制御装置は、ロータ
の速度の指令値を示す変更前速度指令値を作成する速度
指令値作成手段と、前記変更前速度指令値を変更し速度
指令値を作成する速度指令値変更手段と、前記ロータの
速度を検知する速度検知手段と、前記速度指令値と前記
速度とに基づきステータ巻線に流す電流の指令値を示す
制限前電流指令値を作成する電流指令値作成手段と、前
記制限前電流指令値を制限し電流指令値を作成する電流
指令値制限手段と、前記ステータ巻線に流れる電流を示
す相電流値を検知する電流検知手段と、前記電流指令値
と前記相電流値とに基づき前記ステータ巻線に印加する
電圧の指令値を示す制限前電圧指令値を作成する電圧指
令値作成手段と、前記制限前電圧指令値を制限し電圧指
令値を作成する電圧指令値制限手段と、前記電圧指令値
に基づき前記ステータ巻線に電力を印加する駆動手段と
を具備するモータ制御装置において、前記制限前電圧指
令値あるいは前記電圧指令値に基づきどれだけ前記電圧
指令値が飽和しているかを示す飽和度を作成する飽和度
作成手段と、前記飽和度の基準を示す基準値を作成する
基準値作成手段とを含んで構成され、前記速度指令値変
更手段は、前記飽和度と前記基準値とに基づき前記変更
前速度指令値を変更し速度指令値を作成するものであ
る。この構成により、操作量飽和による応答性の悪化、
電流波形歪みによる騒音・振動発生を抑制するモータ
制御装置を実現する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】また、本発明のモータ制御装置は、さら
に、前記飽和度作成手段は、前記制限前電圧指令値、あ
るいは前記電圧指令値にフィルタを作用させたものに基
づき前記飽和度を作成するものである。この構成によ
り、誘起電圧の歪みが大きいモータにおいても、安定に
アンチ・ワインド・アップを行い、操作量飽和による応
答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動発生を抑
制するモータ制御装置を実現する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】また、実施の形態1のモータ制御装置は、
電圧指令値に作用させるリミットとは別に基準値を設
け、飽和度を基準値と比較し、アンチ・ワインド・アッ
プを行う。こうすることにより、電圧指令値にローパス
・フィルタを作用させるときにおいても、出力を小さく
することなく、アンチ・ワインド・アップを行い、操作
量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・
振動発生を抑制する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】[実施の形態1のモータ制御装置の動作の
原理]次に、実施の形態1のモータ制御装置の動作を説
明する。実施の形態1のモータ制御装置は、LPFを作
用した電圧指令値から飽和度を作成し、アンチ・ワイン
ド・アップを行う。ここで、LPFを使用することによ
り、誘起電圧の歪みが大きいモータにおいても、安定に
アンチ・ワインド・アップを行う。また、実施の形態1
のモータ制御装置は、電圧指令値に作用させるリミット
とは別に基準値を設けることにより、電圧指令値にロー
パス・フィルタを作用させるときにおいても、出力を小
さくすることなく、アンチ・ワインド・アップを行い、
操作量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みによる騒
音・振動発生を抑制する。また、実施の形態1のモー
タ制御装置は、基準値を駆動手段が印加できる最大電圧
値より大きくすることにより、印加する電圧の実効値を
大きくし、モータの出力を大きくする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】図4は、実施の形態1における速度ωに対
する出力トルク、d軸電流値id、q軸電流値iq、電
流振幅I、d軸電圧値vd、q軸電圧値vq及び電圧振
幅Vの変化を示す関係図である。ファンなど制御すると
き、図4及び下記式(1)のように、速度ωの増加に伴
い、必要となる出力トルクTが大きくなる。ここで、ω
^2は速度ωの二乗値、KtwはトルクTとω^2との
比を示す。下記式(2)のように、出力トルクTを大き
くするために、d軸電流値id及びq軸電流値iq
きくする。ここで、Pは極対数、ψはdq軸巻線鎖交磁
束実効値ψ、Lqはq軸インダクタンス、Ldはd軸イ
ンダクタンスを示す。式(2)において、第一項はマグ
ネット・トルクを示し、第二項はリラクタンス・トルク
を示す。ここで、正のリラクタンス・トルクを発生させ
るためには、d軸電流値idを負にする。従って、d軸
電流値idが大きくなるという表現は、d軸電流値id
の絶対値が大きくなることを示す。速度制御は、d軸電
流指令値id*及びq軸電流指令値iq*とを大きくす
ることにより、d軸電流値id及びq軸電流値iqを大
きくし、出力トルクTを大きくする。そして、d軸電流
値id及びq軸電流値iqの増加に伴い、下記式(3)
で表される電流振幅Iが大きくなる。ここで、√は()
内の正の平方根を示す。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正内容】
【0084】(実施の形態2)次に、実施の形態2のモ
ータ制御装置を説明する。実施の形態1のモータ制御装
置は、LPFを作用した電圧指令値(LPF後d軸電圧
指令値vd*l及びLPF後q軸電圧指令値vq*l)
に基づき飽和度v2を作成した。実施の形態2のモータ
制御装置は、電圧指令の積分成分(d軸電圧指令値積分
成分vd*i及びq軸電圧指令値積分成分vq*i)
基づき飽和度v2を作成する。こうすることにより、誘
起電圧の歪みが大きいモータにおいても、飽和度v2の
振動を抑制し、安定にアンチ・ワインド・アップを行
い、操作量飽和による応答性の悪化、電流波形歪みによ
る騒音・振動の発生を抑制する。また、LPFの演算を
省くことにより、演算時間を短縮する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正内容】
【0091】このように、電圧指令値の積分成分(d軸
電圧指令値積分成分vd*i及びq軸電圧指令値積分成
分vq*i)から作成した飽和度v2を使用することに
より、誘起電圧の歪みが大きいモータにおいても、安定
にアンチ・ワインド・アップを行い、操作量飽和による
応答性の悪化、電流波形歪みによる騒音・振動発生を
抑制するモータ制御装置を実現する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田澤 徹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 大山 一朗 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 丸山 幸紀 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5H560 BB04 BB07 BB12 DA07 DB07 DC12 EB01 EC01 GG04 RR01 SS01 TT08 TT15 UA01 XA02 XA12 5H575 BB04 DD03 DD06 EE07 FF05 GG04 HA08 HB01 KK05 LL22 5H576 AA08 BB04 BB09 CC02 DD02 DD04 DD07 DD09 EE01 EE09 EE11 GG01 GG04 HA04 HB01 JJ03 JJ04 JJ08 JJ12 JJ16 JJ17 JJ18 JJ22 JJ23 JJ24 JJ26 JJ28 LL05 LL08 LL09 LL10 LL22 LL41 LL58

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステータ巻線に流す電流の指令値を示す
    変更前電流指令値を作成する電流指令値作成手段と、 前記変更前電流指令値を変更し電流指令値を作成する電
    流指令値変更手段と、 前記ステータ巻線に流れる電流を示す相電流値を検知す
    る電流検知手段と、 前記電流指令値と前記相電流値とに基づき前記ステータ
    巻線に印加する電圧の指令値を示す制限前電圧指令値を
    作成する電圧指令値作成手段と、 前記制限前電圧指令値を制限し電圧指令値を作成する電
    圧指令値制限手段と、 前記電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電力を印加
    する駆動手段と、を具備するモータ制御装置において、 前記制限前電圧指令値あるいは前記電圧指令値に基づき
    どれだけ前記電圧指令値が飽和しているかを示す飽和度
    を作成する飽和度作成手段と、 前記飽和度の基準を示す基準値を作成する基準値作成手
    段と、を含んで構成され、 前記電流指令値変更手段は、前記飽和度と前記基準値と
    に基づき前記変更前電流指令値を変更し前記電流指令値
    を作成することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記電流指令値変更手段は、前記飽和度
    と前記基準値に基づき比例積分制御を用いて前記変更前
    電流指令値を変更し前記電流指令値を作成することを特
    徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 【請求項3】 ロータの速度の指令値を示す変更前速度
    指令値を作成する速度指令値作成手段と、 前記変更前速度指令値を変更し速度指令値を作成する速
    度指令値変更手段と、 前記ロータの速度を検知する速度検知手段と、 前記速度指令値と前記速度とに基づきステータ巻線に流
    す電流の指令値を示す制限前電流指令値を作成する電流
    指令値作成手段と、 前記制限前電流指令値を制限し電流指令値を作成する電
    流指令値制限手段と、 前記ステータ巻線に流れる電流を示す相電流値を検知す
    る電流検知手段と、 前記電流指令値と前記相電流値とに基づき前記ステータ
    巻線に印加する電圧の指令値を示す制限前電圧指令値を
    作成する電圧指令値作成手段と、 前記制限前電圧指令値を制限し電圧指令値を作成する電
    圧指令値制限手段と、 前記電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電力を印加
    する駆動手段と、を具備するモータ制御装置において、 前記制限前電圧指令値あるいは前記電圧指令値に基づき
    どれだけ前記電圧指令値が飽和しているかを示す飽和度
    を作成する飽和度作成手段と、 前記飽和度の基準を示す基準値を作成する基準値作成手
    段と、を含んで構成され、 前記速度指令値変更手段は、前記飽和度と前記基準値と
    に基づき前記変更前速度指令値を変更し速度指令値を作
    成することを特徴とするモータ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記速度指令値変更手段は、前記飽和度
    と前記基準値に基づき比例積分制御を用いて前記変更前
    速度指令値を変更し前記速度指令値を作成することを特
    徴とする請求項3に記載のモータ制御装置。
  5. 【請求項5】 前記飽和度作成手段は、前記制限前電圧
    指令値、あるいは前記電圧指令値にフィルタを作用させ
    たものに基づき前記飽和度を作成することを特徴とする
    請求項1または請求項3に記載のモータ制御装置。
  6. 【請求項6】 前記電圧指令値作成手段は、比例動作に
    より電圧指令値比例成分を作成し、積分動作により電圧
    指令値積分成分を作成し、前記電圧指令値比例成分と前
    記電圧指令値積分成分とに基づき前記制限前電圧指令値
    を作成し、 前記飽和度作成手段は、前記電圧指令値積分成分に基づ
    き前記飽和度を作成することを特徴とする請求項1また
    は請求項3に記載のモータ制御装置。
  7. 【請求項7】 前記基準値作成手段は、前記基準値を前
    記駆動手段が印加できる最大電圧値より大きくすること
    を特徴とする請求項1または請求項3に記載のモータ制
    御装置。
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